第3部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来 

3. 直接投資企業の現状

次に、直接投資を行っている中小企業(直接投資企業)の現状を見ていく。そもそも直接投資と一括りにしても、直接投資先の機能は様々である。第3-4-17図は、企業にとって最も重要な直接投資先の拠点の機能を見たものである。これを見ると、中小企業の製造業の約8割の企業が「生産機能」と回答している。また、非製造業・製造業共に約6割の企業が「販売機能」と回答している。その他、「調達機能」や「研究・開発機能」の直接投資先を持つ企業もいることが分かる。

第3-4-17図 最も重要な直接投資先の拠点の機能(複数回答)
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ここからは、「生産機能」や「販売機能」の直接投資先を持つ中小企業を中心に見ていくことにする。

第3-4-18図、第3-4-19図は、直接投資先の機能別に、直接投資企業の今後の直接投資の方針を見たものである。第3-4-18図は、生産機能の直接投資先を持つ企業が、今後生産機能の直接投資をどのように考えているのかを見たものである。これによると、半数以上の企業が「生産機能の直接投資を拡大したい」と考えていることが分かる。一方、販売機能の直接投資先を持つ企業について見たものが第3-4-19図であるが、約6割の企業が「販売機能の直接投資を拡大したい」と考えていることが分かる。すなわち、生産機能としても、販売機能としても、直接投資を実施している企業の多くが、一定の手応えと将来性を感じていることが分かる。

第3-4-18図 生産機能の直接投資先を持つ企業の今後の直接投資(生産機能)の方針
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第3-4-19図 販売機能の直接投資先を持つ企業の今後の直接投資(販売機能)の方針
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第3-4-20図は、最も重要な直接投資先の投資時期を業種別に見たものである。これを見ると、製造業、非製造業共に7割以上が2000年以降に直接投資を実施している。特に、非製造業では、半数以上が2005年以降の直近10年内に実施したものである。前掲第3-4-10図と併せて見ると、特に直近10年で製造業、非製造業共に海外の需要獲得のための直接投資が増加していると考えられる。

第3-4-20図 最も重要な直接投資先の投資時期
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第3-4-21図は、最も重要な直接投資先について、当初の目的と現在の目的を業種別に尋ねたものである。これを見ると、製造業では、当初の目的として、「新規の取引先・市場の開拓」が最も多く、次に「既往取引先の随伴要請への対応」、「人件費等のコストの削減」が多くなっている。また、現在の目的では、「新規の取引先・市場の開拓」と回答する企業の割合が増加している一方、「既往取引先の随伴要請への対応」、「人件費等のコストの削減」と回答する企業の割合が減少している。このことから、製造業では、当初は既往取引先の随伴要請やコストの削減を目的に直接投資を行った場合でも、直接投資後は、新規の取引先や市場の開拓を進めている企業が多いことが分かる。

第3-4-21図 最も重要な直接投資先の当初の目的と現在の目的
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一方、非製造業では、当初より取引先・市場の開拓を目的に直接投資をしているため、「新規の取引先・市場の開拓」という目的については、当初と現在ではあまり変化していない。

また、製造業、非製造業のどちらも、「投資利益の獲得」の目的としている企業の割合は、当初から現在にかけて2倍以上増加していることが分かる。このことから、直接投資の事業が当初の見込み以上にうまくいき、国内の親会社にも資金を還流する余裕が出てきている中小企業もいることが推測される。

第3-4-22図、第3-4-23図は、直接投資先の機能別に、現在最も重要な国・地域と今後最も重視している国・地域を見たものである。これを見ると、生産機能、販売機能の直接投資先として、現在最も重要な国・地域は、中国と回答する企業が最も多く、次にタイ、ベトナム、インドネシアといったASEAN諸国、さらに北米が続く。

第3-4-22図 直接投資先(生産機能)として、現在最も重要な国・地域と今後最も重視する国・地域
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第3-4-23図 直接投資先(販売機能)として、現在最も重要な国・地域と今後最も重視する国・地域
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また、今後最も重視している国・地域を見ると、中国と回答する企業は減少し、ベトナム、インドネシアといった国を回答する企業が増加している。生産拠点、販売拠点としても、中国からASEANへ企業の関心が移っていることが分かる。さらに、生産機能の直接投資先でミャンマーが、販売機能の直接投資先でインドが、今後最も重視している国・地域として大きく増加していることも併せて指摘しておきたい。

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