第3部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来 

2. 引退を決断した経営者の選択肢

ここまで、経営者の高齢化と事業承継の意思の実態を見てきたが、ここでは、自らが引退することを決断した経営者の選択肢と、選択肢ごとの論点を概観することとしたい。

第3-3-6図は、引退を決断した経営者の選択肢を整理したものである。

第3-3-6図 引退を決断した経営者の選択肢

経営者が経営の一線から退くことを決断したとき、真っ先に考えるのは「事業承継」であろう。事業承継を円滑に進めるためには、後継者を確保した上で、承継に向けた準備に計画的に取り組んでいくことがポイントとなるが、後継者が確保できない場合には、事業を売却するという選択肢もある。

また、既に見てきたとおり、事業を承継することなく自らの代で事業を終了すること、すなわち「廃業」を選択する者もいるだろう。廃業を選択した経営者の中には、事業承継を検討しながらも、後継者の確保等がうまくいかずに廃業に追い込まれる者、最初から事業を引き継がずに終了することを決断する者も存在するものと考えられる。そのいずれにせよ、廃業を決断した以上は、会社が資産超過のうちに廃業し、事業で負った負債を清算した上で、経営からの引退後の生活に必要な資産を確保した方が望ましい。そのためにポイントとなるのは、事業承継同様、廃業においても、「事前準備(計画的取組)」であると考えられる。

加えて、経営者の中には、一度は経営引退を決断しながらも、様々な理由によって事業を継続せざるを得ない者も存在すると考えられる。こうした望まざる形で事業を継続している者は、事業承継や廃業に向けた事前準備を十分に行うことができないことから、債務超過に陥っての廃業(≒倒産)に追い込まれるかもしれない。

ここからは、上記のような整理を前提とした上で、引退を決断した経営者の選択肢である「事業承継」及び「廃業」について、それぞれの現状と課題について見ていくこととしたい。

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