第3部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来 

2. 販路開拓支援の在り方

最大の課題である「新規顧客へのアプローチ方法」については、小規模事業者を一定数集めて国内外の大企業に対して直接売り込む「技術提案型商談会」というようなアプローチが考えられる。小規模事業者単体では、これまで全く取引のない国内外の大企業などと新たな取引に至るのは極めて困難であり、そもそも提案する機会さえないのが現状である。そこで、都道府県や経済産業局等の主導により、地域における小規模事業者を集めて都道府県の中小企業支援センターなどの支援機関が取りまとめる形で、国内外の大企業に対して、一定数の小規模事業者群が有する技術や製品等を提案する機会を設けることが有効である31。例えば、石川県庁は、2008年、県の産業創出機構(ISICO)に、県内の中小企業51者を取りまとめさせて、トヨタグループと「技術提案型商談会」を実施した。商談会に至るまでの約6か月間、ISICOは県内51者の中小企業とトヨタ本社の橋渡しの役割を果たし、トヨタ本社から指定された第3-1-31図のシート(1社1枚)を用いて、何をトヨタグループに提案するかというブラッシュアップを、中小企業群と徹底的に行ったのが商談会成功の「鍵」といわれている。なお、第3-1-32図にて、その商談会における成果をまとめている。これを見ると、2日間の開催であったが、延べ14件の商談が成立しており、2,000万円を超える受注獲得につながっていたことが分かる。いかに、事前の準備が重要であるかを示す好事例といえよう。

31 海外の企業や地方政府に売り込む場合には、大使館や総領事館が間に入ることで、よりスムーズに商談等が進むとの声もある。

第3-1-31図 技術提案型商談会で用いられたシート
第3-1-32図 トヨタグループとの商談会における成果

次に多く回答された課題である、「販売すべきターゲット市場の選定」については、商工会・商工会議所の経営指導員による事業計画の策定等を通じた販路開拓支援や都道府県の中小企業支援センターの活用、また、複雑な相談内容や複数の市区町村を巻き込むような広域案件の相談であれば、全国トップレベルの販路開拓アドバイザー・有名バイヤーの知見の活用や「よろず支援拠点32」を通じた販路開拓支援等が解決策として考えられる。

また、「商品・サービスのPR」に対しては、商工会・商工会議所が中心となって、地域の金融機関や行政機関、大企業・中規模企業との連携強化を図り、地場産品の展示会の開催やアンテナショップ運営、ネット販売支援などを展開する方法が考えられる。なお、以上のような商工会・商工会議所による小規模事業者を支援する体制の構築を目的に、2014年3月7日に、「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律を改正する法律案33」が閣議決定されている。

以上のような販路開拓を行う際の代表的な三つの課題ごとの支援の在り方をまとめたものが、第3-1-33図である。

32 「よろず支援拠点」とは、2014年度より、47都道府県に設置される新たな支援拠点のこと。詳細は、第4部第1章で改めて取り上げる。

33 詳細については、第4部第1章コラム4-1-2を参照。

第3-1-33図 販路開拓を行う際の課題ごとの支援の在り方
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