2. 販路開拓支援の在り方
最大の課題である「新規顧客へのアプローチ方法」については、小規模事業者を一定数集めて国内外の大企業に対して直接売り込む「技術提案型商談会」というようなアプローチが考えられる。小規模事業者単体では、これまで全く取引のない国内外の大企業などと新たな取引に至るのは極めて困難であり、そもそも提案する機会さえないのが現状である。そこで、都道府県や経済産業局等の主導により、地域における小規模事業者を集めて都道府県の中小企業支援センターなどの支援機関が取りまとめる形で、国内外の大企業に対して、一定数の小規模事業者群が有する技術や製品等を提案する機会を設けることが有効である31。例えば、石川県庁は、2008年、県の産業創出機構(ISICO)に、県内の中小企業51者を取りまとめさせて、トヨタグループと「技術提案型商談会」を実施した。商談会に至るまでの約6か月間、ISICOは県内51者の中小企業とトヨタ本社の橋渡しの役割を果たし、トヨタ本社から指定された第3-1-31図のシート(1社1枚)を用いて、何をトヨタグループに提案するかというブラッシュアップを、中小企業群と徹底的に行ったのが商談会成功の「鍵」といわれている。なお、第3-1-32図にて、その商談会における成果をまとめている。これを見ると、2日間の開催であったが、延べ14件の商談が成立しており、2,000万円を超える受注獲得につながっていたことが分かる。いかに、事前の準備が重要であるかを示す好事例といえよう。