第2部 中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化 

3. 人口減少・高齢化が進む都道府県

これまで見てきたように、地方では、人口減少が深刻である。そこで、ここからは、より詳細な地域分析を行っていく。2005年から2010年にかけて人口が最も減少しており、2010年における高齢比率が最も高い秋田県と、2005年から2010年にかけて人口が最も増加している東京圏とを比較する。

第2-2-15図は、秋田県と東京圏の現在(2010年)と将来(2040年)の人口ピラミッドである。2010年の秋田県は、先ほどまで見てきたように、我が国で一番高齢化が進んでおり、一人の高齢者に対して1.8人の若者が存在する構造となっている。一方、東京圏では、先進国型の人口ピラミッド(壺型)となっており、一人の高齢者に対して3.0人の若者が存在する構造となっている。

第2-2-15図 秋田県と東京圏の現在と将来の人口ピラミッド
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第2-2-14図、第2-2-15図で見たように、2040年には、東京圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)でも高齢化が急速に進み、一人の高齢者に対して1.5人の若者が存在する構造となる。人口規模は違うものの、2010年の秋田県と比較するとほぼ同じ形をした人口ピラミッドであるといえる。他方、秋田県の2040年の姿を見ると、一人の高齢者に対して1.0人の若者が存在する人口構造となっており、世界でも類を見ない超高齢型の人口ピラミッドとなる。ここでは、この超高齢型の人口ピラミッドをその形状から「カクテルグラス型」と呼ぶこととする。

ここで、最も高齢比率が高い秋田県をより詳細に見ていくこととする。第2-2-16図は、秋田県の2005年から2010年にかけての市町村別人口増加率及び年代別寄与度を示したものである。これを見ると、「小坂町」、「上小阿仁村」、「藤里町」、「羽後町」、「東成瀬村」では、高齢者人口の減少が既に起こっており、そのような町村の人口減少はより深刻なものとなっていることが分かる。

第2-2-16図 秋田県の市町村別人口増加率及び年齢階級別寄与度(2005-2010年)
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また、秋田県は人口流出も深刻な問題となっている。第2-2-17図は、2010年から2013年にかけての秋田県の市町村別転入超過数を示したものである。これを見ると、秋田県では、県庁所在地である秋田市でも人口が止まらず、全市町村で人口流出が起こっている。

第2-2-17図 秋田県の市町村別転入超過数(2010-2013年合計値)
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第2-2-8図の地方圏の人口移動同様に、秋田県でも若者が中心に移動していると考えられる。秋田県でも、若者、とりわけ若年女性の県外への流出の結果、出生数の減少による人口減少が起こるという「ダブルの人口減少」が起こっていることが推察される。

今後、人口減少・少子高齢化は全都道府県で起こる現象であり、秋田県の人口減少の姿は決して特殊な事例ではない。このことを十分に踏まえた上で、自治体や中小企業・小規模事業者は、中長期的な観点から対策や戦略を練っていくことが求められている。

以下では、同じ東北地方にあり、県全体では人口が減少する中、県内で唯一人口が増加している(平成22年国勢調査時点)自治体である山形県東根市について取り上げる。

事例2-2-1. 山形県東根市

県全体で人口減少が進む中、子育て支援等により、人口増加に成功した自治体

人口約4.8万人(2014年2月1日現在)の山形県東根市は、山形県中央部、村山盆地に位置し、東は仙台市、南は山形市・天童市に隣接した温泉のある自然豊かな田園都市である。山形新幹線さくらんぼ東根駅や山形空港が所在するなど県内交通の要衝にあり、先端技術産業が集積する産業都市でもある。また、日本一の生産量を誇るさくらんぼをはじめ、もも、ぶどう、ラ・フランス(西洋なし)、りんごなどの果物が年間を通じて生産される「果樹王国」としての一面も持つ。

「東根市総合計画(1973年〜)」以降、区画整理事業を始めとする定住人口の増加施策、中心市街地形成による魅力ある都心づくり、高速交通網などの都市基盤整備、工業団地の造成や企業立地、生産性の高い農業などの産業基盤強化、交流人口の拡大施策のほか、協働のまちづくり、地球温暖化防止施策、子育て支援施策の先駆的な取組を行っている。

少子高齢化が全国的に進展する中で、東根市は、山形県内35市町村で唯一、2005年から2010年にかけて人口が増加している自治体である7

7 山形市や天童市など2011年3月の東日本大震災以降、社会移動による人口増加が起こっている自治体も一部では存在している。

特に同市の子育て支援施策に関しては、「子育てするなら東根市」というキャッチフレーズのもと、2005年に開設した屋内型の遊び場のある「さくらんぼタントクルセンター」を拠点に様々な支援策を展開してきた。2008年度からは、従来の子育て関連事業を大幅に拡充した「子育て応援5つ星事業」を実施、妊産婦の検診費用助成の拡充、未就学児の医療費無料化、小学生の入院医療費無料化などを通じて、市内子育て環境の整備を図り、2008年にはこの一連の取組が評価され、「第3回にっけい子育て支援大賞(日本経済新聞社主催)」を全国の市で初めて受賞している。さらに2010年度からは、「子育て応援マニフェスト2010」として、六つの子育て支援事業に取り組むとともに、市民、地域、企業、行政等の地域社会みんなで子育てする意識醸成を進め、「共育」の理念の構築を目指している。

さらに現在、2016年4月の開校に向け、山形県初の県立中高一貫校の整備が進められている。こうした一連の政策は、1977年以降、毎年連続して人口が増加していることなどにその成果が表れているといえよう。

さくらんぼタントクルセンター・東根市の特産物

山形県内の転入超過数
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