第2部 中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化 

2. 地域が直面する人口減少・少子高齢化

第2-2-7図は、三大都市圏への人口移動を示したものである。これを見ると、地方から三大都市圏への人口移動は、1960〜70年代(高度成長期〜第一次オイルショック)、1980〜93年(バブル経済〜バブル崩壊)、2000年代以降(ITバブル崩壊〜)の三度にわたって行われたことが分かる。中でも、1980〜93年(バブル経済〜バブル崩壊)、2000年代以降(ITバブル崩壊〜)では、東京圏への人口移動がほとんどであり、東京圏への一極集中が進展してきたことが分かる4

4 総務省「住民基本台帳人口移動報告」によると、我が国の人口移動率(総人口に占める移動者の割合)は、長期的に見ると1970年の8%をピークに低下を続けており、2013年では4%を切っている。また、都道府県間の人口移動率は2%を下回っており、都道府県間の人口移動は過去に比べると少なくなってきていることが分かる。詳細は、付注2-2-1を参照。

第2-2-7図 三大都市圏への人口移動
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第2-2-8図は、2010年から2013年にかけての年齢階級別地域別の転入超過数を示したものである。これを見ると、15-29歳の男女が地方圏から東京圏へ移動しており、東京圏への一極集中は男女共に若者が中心であることが分かる。

第2-2-8図 年齢階級別地域別転入超過数(2010-2013年合計値)
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以上のような人口移動の結果、地方には若者がますますいなくなり、高齢者の割合がますます高まるという人口構造の変化が急激に進展している。

コラム2-2-1.

東京一極集中と地方都市

東京圏に人口が一極集中していることを見てきたが、東京圏以外で人口の社会増を果たしている地方圏の都市がある。

ここでは、社会人口を増加させている地方都市と減少している地方都市の人口移動を見ていくこととする。

コラム2-2-1図は、福岡県と石川県に注目した、2012年の九州と北陸の人口移動である。これを見ると、九州の中心地である福岡県は、東京圏には人口が流出しているが、福岡県以外の九州やその他の地域からその流出をはるかに超える人口流入が起こっており、合計すると社会移動により人口が増加していることが分かる。

コラム2-2-1図 九州と北陸の人口移動(2012年)

一方で、北陸の中心地である石川県は、石川県以外の北陸からは人口が流入しているが、東京圏やその他の地域に対しては人口の流出が起こっており、合計すると社会移動により人口が減少していることが分かる。

このように、地方の中核都市にも二つのパターンがあることが分かる。

では、高齢者が多くなった地域はどのようになっていくかについて分析を行っていく。第2-2-9図は、2005年から2010年にかけての都道府県別人口増減率を自然増加率と社会増加率に分けて見たものである5。これを見ると、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、大阪府、福岡県で社会増加が起こっており、福岡県を除いて、三大都市圏及びその周辺都市で人口の社会増加が起こっていることが分かる。これは、第2-2-7図や第2-2-8図で見てきたような人口移動の結果といえるであろう。また、人口の自然増加が起こっている都道府県も、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、滋賀県、大阪府、福岡県、沖縄県と、茨城県及び沖縄県を除き、人口の社会増加が起こっている県と同じである。

5 年齢階級別の2005年から2010年にかけての都道府県別の人口増加率をついては、付注2-2-2を参照。

第2-2-9図 都道府県別人口増加率(2005-2010年)
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ここまで人口の社会増減について見てきたが、ここでは、人口の自然増加の要因について見ていく。第2-2-10図は、人口の自然増加率と高齢比率、合計特殊出生率、15-49歳女性人口との関係を見たものである。具体的には、2005年から2010年にかけての人口の自然増加率を、〔1〕2005年の高齢比率、〔2〕2005年の合計特殊出生率、〔3〕2005年の15-49歳女性人口割合で回帰分析したものである。人口の自然増加率は高齢比率が高いほど低くなり、また、15-49歳女性人口割合が高いほど高くなることが分かった。一方、合計特殊出生率との関係については、特に関係性を見出すことができないという結果となった。つまり、高齢者が増加し、若年女性の減少が起こっている地域では、合計特殊出生率の水準に関係なく、死亡数の増加及び出生数の減少により、人口減少が急速に進んでいくことが分かる。

第2-2-10図 人口の自然増加率と高齢比率、合計特殊出生率、15-49歳女性人口との関係
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以上をまとめると、地方圏は社会移動により、15-29歳の若者が男女共に流出しており、大幅な人口の社会減少が起こっている。また、若者、とりわけ若年女性が流出することにより、15-49歳女性人口割合が下がり、高齢比率は増加する。その結果、出生数が下がり、死亡数が増加するため、人口の自然減少が起こることとなる。

このように、社会減少と自然減少の「ダブルの人口減少」により、地方圏の人口減少はそのスピードを増しており、事態は極めて深刻といえよう(第2-2-11図)。

第2-2-11図 人口の社会減少が人口の自然減少を引き起こしている

ここでは、第2-2-10図の分析を踏まえて、現在の都道府県の高齢比率を見ていく。第2-2-12図は、2010年の都道府県別の高齢比率を示したものである。これを見ると、秋田県、島根県、高知県の順に高齢比率が高いことが分かる。第2-2-10図の〔1〕に基づくと、2010年から2015年にかけての人口の自然減少率が、秋田県では3.2%、島根県では3.1%、高知県では3.0%になると試算6でき(全国平均は1.0%)、今後、我が国全体で人口が減少していく中で、特に自然減少率が高い県であるといえる。

6 第2-2-10図の〔1〕人口の自然増加率と高齢比率を表す回帰式のxに都道府県の2010年時点の高齢比率を入れてyの値(人口の自然減少率)を計算している。

第2-2-12図 都道府県別高齢比率(2010年)
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では、今後の都道府県の人口はどうなっていくのだろうか。第2-2-13図は、都道府県別の2040年の人口増加率の予測を示したものである。これを見ると、2040年には、全ての都道府県で人口が減少することが予想されている。中でも、現在高齢比率の高い秋田県、島根県、高知県では、2040年には高齢者人口までもが減少する局面に突入することが分かる。

第2-2-13図 2010年と比較した2040年の都道府県別人口増加率及び年齢階級別寄与度
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また、第2-2-14図は、2005年から2010年にかけて人口が増加していた都府県の今後の高齢比率の推移を示したものである。これを見ると、2010年時点ではどの都道府県も突入していない高齢比率30%代に、福岡県、千葉県は2025年までに、大阪府は2030年までに、埼玉県、神奈川県、滋賀県は2035年までに、東京都、愛知県、沖縄県でも2040年までには突入することが予測されているなど、人口が増加していた都府県でも、今後急速に高齢化が進展していくことが分かる。

第2-2-14図 人口増加都府県の高齢比率の推移
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