第2部 中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化 

第4節 就業構造・雇用環境の変化

1. 就業構造の変化

第2-1-30図は、製造業とサービス業の平均給与と給与所得者数の推移を示したものである。これを見ると、2002年から2012年にかけて、製造業では、平均給与が2万円上昇する一方、給与所得者数が265万人減少している。また、サービス業では、平均給与が46万円減少する一方、給与所得者数が285万人増加している。以上より、相対的に給与の高い製造業では給与所得者数を減らしており相対的に給与の低いサービス業では、給与所得者数が増加していることが分かる。

第2-1-30図 製造業とサービス業の平均給与と給与所得者数の推移
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次に、雇用者報酬と雇用者数の推移を見ていく。第2-1-31図は、景気拡張期における産業別の一人当たり雇用者報酬と雇用者数の推移を示したものである25。これを見ると、製造業では、バブル景気の頃までは、雇用者報酬・雇用者数共に増やしていた。バブル崩壊以降、雇用者報酬は増加したが、雇用者数は急速に減少した。近年では、雇用者報酬も頭打ちになってきており、雇用者数の減少は継続している。建設業については、製造業と似た動きをしているが、製造業ほど、雇用の増減は起こっていない。近年でも、製造業と同様に雇用者報酬は頭打ちで、雇用者数は減少している。卸売・小売業では、バブル景気の頃までは、雇用者報酬・雇用者数共に増加傾向で推移していたが、バブル崩壊以降は、雇用者数は増加しているものの、雇用者報酬は減少している。サービス業では、一貫して雇用者数は増加しており、バブル景気の頃までは雇用者報酬も増加傾向にあったが、2000年以降雇用者報酬は減少している。

25 全期間の産業別雇用者報酬と雇用者数の推移については、付注2-1-4を参照。

第2-1-31図 景気拡張期における産業別一人当たり雇用者報酬と雇用者数の推移
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以上より、バブル崩壊以降、比較的高所得の製造業から、比較的低所得のサービス業、卸売・小売業へ労働人口が移動しているのが分かる。サービス業や卸売・小売業は、労働集約型の産業であるため、雇用吸収力はあるものの、急速な生産性の向上は難しく、景気拡張期における製造業や建設業のような雇用者報酬の増加はなかなか期待できないといえよう。

では、最も雇用者数を増やしているサービス業について、詳細に見ていくこととする。第2-1-32図は、2002年から2013年にかけてのサービス業の業種別雇用者数の推移を示したものである。これを見ると、「医療,福祉」で雇用者数が大きく増加しており、「製造業」及び「建設業」から、「医療,福祉」へと労働人口が移動していることが分かる26

26 製造業及び建設業からサービス業への雇用者数の移動については、第2-1-31図を参照。

第2-1-32図 サービス業の雇用者数内訳
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第2-1-33図は、産業別の平均給与を示したものである。これを見ると、平均給与が最も低いのは、「宿泊業,飲食サービス業」であり、次いで「農林水産・鉱業」、「サービス業」、「卸売・小売業」、「不動産業,物品賃貸業」、「医療,福祉」と続いており、雇用者数が増加していた「医療,福祉」分野についても、給与は平均を下回っていることが分かる。

第2-1-33図 産業別の平均給与(2012年)
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