第2部 中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化 

第3節 情報化の進展

1. 情報化の進展に伴う消費者行動・物流構造の変化

近年、情報技術の発達が著しい。第2-1-25図は、情報通信端末の世帯保有率の推移を示したものである。携帯電話は社会に十分に普及したといえ、世帯保有率は既に9割超となっている。また、ここ3年で、スマートフォンやタブレット端末の普及も急速に広がっているのが分かる。

第2-1-25図 情報通信端末の世帯保有率の推移
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また、第2-1-26図は、年齢階級別のインターネット普及率を示したものである。これを見ると、第2-1-25図で見てきたような、各情報通信端末の急速な普及に伴い、インターネット普及率は、2008年に比べて、全体的に上昇している。特に、高齢者層での普及が進んでおり、若者との情報格差は縮小傾向にあるといえる。

第2-1-26図 年齢階級別インターネット普及率
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第2-1-27図は、対個人向けEC22市場規模の推移を示したものである。これを見ると、第2-1-25図及び第2-1-26図で見たような、スマートフォンを始めとする情報通信端末・インターネットの普及を背景に、楽天市場やAmazon等を始めとする個人向けEC市場は拡大傾向にあることが分かる。

22 「EC」とは、電子商取引を表す「eコマース」の略語で、インターネットなどのネットワークを利用して、契約や決済などを行う取引形態のことをいう。
第2-1-27図 対個人向けEC市場規模の推移
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消費者の行動も、店頭での購入からインターネットを通じての購入へと変化しつつある。近年では、ECサイトやショッピング比較サイト、オークションサイトなどが充実したことを背景に、商品の確認は店頭で行い、購入をネット通販で行うという「ショールーミング」という動きも出てきている。これに対して、ネット販売への移行を防ぎ、店舗販売を促進する観点から、店内でのカメラやスマートフォンでの商品撮影を禁止する小売業者もいる。逆に、ネット販売の流れをうまく活用して売上を伸ばそうとする小売業者もいる。例えば、大手ファッション通販サイトの「ZOZOTOWN」では、スマートフォンで商品のバーコードを読み取ることで、気になる商品を他の商品と比較し、インターネットで購入ができるアプリ23の配布を始めた。

以上のような、EC市場の拡大及び消費者行動の変化に伴い、物流構造も大きく変化している。従来は、「大量輸送」が主目的であった物流であるが、ネット通販の拡大に伴い、輸送、保管、荷役、包装、流通加工、情報管理を効率的に運用した「スピード輸送」、「高品質輸送」の重要性が増している。例えば、「Amazon.co.jp」を運営するアマゾン・ジャパン(株)では、自社で九つの物流センター24を保有し、物流のスピードアップや高品質での配送を実現できるようになっている。

このような動きに付随する形で、ネット通販会社や大手デベロッパー、物流専門業者なども大型物流センターを次々と作っており、大量輸送からスピード・品質重視へと物流構造そのものが変化しつつあるといえる。

23 「アプリ」とは、アプリケーションの略で、スマートフォンなどのOS上で動くソフトのこと。

24 2013年9月3日のアマゾン・ジャパン(株)のプレスリリース資料より引用。

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