第2部 中小企業・小規模事業者が直面する経済・社会構造の変化 

2. 我が国における人口問題

次に、我が国のこれまでの人口の推移について概観していく。第2-1-3図は、出生数、死亡数、自然増減数、合計特殊出生率の推移を示したものである。これを見ると、高度成長期以降、合計特殊出生率は、人口置換水準4である2.07を下回り推移しているが、平均寿命が伸びてきたこと(第2-1-4図)や高度成長期以前の出生数が多かったこともあり、自然増減数は長期にわたりプラスで推移していた。しかしながら、出生数の減少と死亡数の増加によって、2005年に初めて自然増減数はマイナスとなり、2006年には一旦プラスとなったものの、2007年以降の自然増減数は再びマイナスとなっている。その後、社会増減を加味した結果、2011年から本格的な人口減少時代5に入ったといえる。

4 「人口置換水準」とは、人口が増加も減少もしない均衡した状態となる合計特殊出生率のことをいう。

5 人口増減は、自然増減(出生数−死亡数)と社会増減(入国者数−出国者数)の合計で表される。総務省「平成17年国勢調査」に基づき人口を推計していた総務省「人口推計」によると、2008年以降人口が減少したと推計されていたが、2010年に発表された総務省「平成22年国勢調査」に基づき、「人口推計」の結果を遡及推計し直したところ、2005年から2010年にかけての総人口は、2005年に減少した後、再び増加し、2007年から2010年かけては横ばいで推移したと推計されている。2011年には、26万人の減少となっていることから、2011年が「人口減少の開始年」といえる。

第2-1-3図 出生数、死亡数、自然増減数、合計特殊出生率の推移
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第2-1-4図 平均寿命の推移
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ここからは、今後の日本の人口推移について見ていく。第2-1-5図は、15-49歳女性人口、合計特殊出生率、出生数の推移を示したものである。戦後、大きなトレンドとしては、合計特殊出生率は低下していたが、15-49歳の女性の人口が増加していたこともあり、出生数が急速に減少することはなかった。しかしながら、今後は、15-49歳女性人口が急速に減少することにより、仮に合計特殊出生率が上昇したとしても、直ちに人口減少が止まることはない。

第2-1-5図 15-49歳女性人口、合計特殊出生率、出生数の推移
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また、第2-1-6図は、年齢別の出生率と年齢別の女性人口(2010年及び2040年)を示したものである。これを見ると、若い年齢の女性が少なく、出生数の多い25歳から35歳の女性の人口は、今後減ることが予想されている。「合計特殊出生率を上げれば、人口減少の流れを止められる」との誤った認識が一部ではされているようであるが、出生数は世代ごとの女性人口と年齢別出生率の積を合計して算出されるものであり、合計特殊出生率(年齢別出生率の合計)を多少上げても、出生数の多い世代である25歳から35歳女性人口は、第2-1-6図を見ても分かるように、今後25年間は、現在よりも増加することはないため、出生数が急激に増えることはありえない。

第2-1-6図 年齢別出生率と年齢別女性人口
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以上を踏まえて今後の人口推移を見ていく。第2-1-7図は、総人口の推移と年齢階級別構成割合を示したものである。これを見ると、2011年以降、人口が急速に減少し、高齢化もますます進展していくことが分かる。

第2-1-7図 総人口の推移と年齢階級別構成割合
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また、第2-1-8図は、人口増加率(前年同期比)の将来推計及び年齢階級別寄与度を示したものである。これを見ると、年少人口及び生産年齢人口が減少することに伴い、総人口についても2011年以降マイナスで推移することが予測されている。一方で、高齢者人口については、ひのえうま世代が高齢者人口に入る時期(2031年)を除き、増加で推移することが予測されている。しかしながら、2043年には、高齢者人口も減少に転じる予測となっており、これ以降、人口減少のスピードに拍車がかかる。

第2-1-8図 人口増加率(前年同期比)の将来推計及び年齢階級別寄与度
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以上見てきたように、今後は、本格的な人口減少社会に突入し、日本国内の需要は大幅に減少していくことが予想される。中小企業・小規模事業者については、このような厳しい国内の経営環境を前提とした上で、今後の中長期的な経営戦略を考えていくことが求められている。

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