第1部 平成25年度(2013年度)の中小企業・小規模事業者の動向 

第2節 中小企業・小規模事業者の動向

前節では、最近の我が国経済の動向を概観し、2013年に入って、企業マインドの改善や底堅い個人消費等を背景に、一部に弱さが残るものの持ち直しの動きを見せていた我が国経済が、足下では緩やかに回復していることを見てきた。

本節では、こうした我が国経済の動きを受けて、中小企業・小規模事業者の景況感、売上・収益、生産、資金繰り、倒産、廃業、設備投資、雇用等の状況が、2013年度を通じて、どのように推移してきたかについて見ていく。

1. 景況感

まず、中小企業・小規模事業者の景況感を、中小企業庁・独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業景況調査8」(以下「中小企業景況調査」という。)で見てみる(第1-1-13図)。

8 「中小企業景況調査」は、中小企業基本法に定義する全国の中小企業・小規模事業者1万9千社を対象に、全国の商工会、商工会議所の経営指導員及び中小企業団体中央会の調査員による聴き取り調査。調査対象の約75%が小規模事業者で構成されており、「日銀短観」に比べると、小規模事業者の割合が高い。

第1-1-13図 中小企業・小規模事業者の業況判断DIの推移
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足下の中小企業・小規模事業者の業況判断DIは、2008年9月のリーマン・ショックにより2008年1-3月期の▲28.7から2009年1-3月期には▲48.8まで大幅に悪化した後、順調に持ち直していたが、2011年3月の東日本大震災で、2011年1-3月期の▲26.0から2011年4-6月期には▲35.0まで落ち込んだ。2011年7-9月期に▲26.5と東日本大震災前の水準にまで回復した後は、足踏みを続けていたが、2013年に入ってからは緩やかに改善しており、足下の2014年1-3月期には▲11.1となっている。ただし、中小企業・小規模事業者全体の動きに比べると、小規模事業者の業況判断は低い水準にある。

この業況判断DIの動きを長期で見てみると(第1-1-14図)、足下の水準は1994年と同程度の水準にあり、これは19年ぶりの高い水準となっている。また、この水準は1994年の統計開始以来の過去最高水準であり、中小企業・小規模事業者全体の景況感は確実に良くなってきていることが分かる。

第1-1-14図 中小企業・小規模事業者の業況判断DIの推移(長期)
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続いて、月次ベースでより詳細に足下の動きを見るために、全国中小企業団体中央会「中小企業月次景況調査9」(以下「中小企業月次景況調査」という。)で2011年以降の中小企業・小規模事業者の景況感を見てみる(第1-1-15図)。中小企業・小規模事業者の景況DIは、東日本大震災直後の2011年4月に▲58.2まで落ち込んだ後、回復を見せたものの長くは続かず、2011年9月頃から2012年2月頃まで一時期横ばいとなった。2012年に入ってからは東日本大震災の反動により前年同月比で上向いているように見えるが、実際は円高方向への動きが依然として続いていたこと等もあり、2012年5月以降、マイナス幅が拡大して悪化傾向が続いた。そして、同年10月のDIは▲43.6と2011年8月以来の低い水準となったものの、その時点でマイナス幅の拡大は底を打ち、2012年11月からはマイナス幅の縮小に転じた。その後も引き続き改善を続け、2013年12月には▲3.2まで改善し、DIはプラスも目前の状況となった。これは過去を遡ると、1991年4月の▲2.9とほぼ同水準であり、22年8か月ぶりの高水準となっており、中小企業・小規模事業者全体の景況感は確実に改善しているといえる。

9 「中小企業月次景況調査」は、都道府県中央会に設置されている情報連絡員(中小企業の組合(協同組合、商工組合等)の役職員約2,600名に委嘱)による調査。

第1-1-15図 中小企業・小規模事業者の景況DIの推移
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次に、地域別の業況判断DIを見てみよう(第1-1-16図上)。各地域の業況判断DIは、マイナス幅の縮小傾向が続いており、特に近畿地方、中部地方、九州・沖縄地方の業況判断DIは、1-3月期には、それぞれ▲7.2、▲8.4、▲8.9までマイナス幅が縮小し、他の地域を上回る順調な回復ぶりを見せている。ただし、あくまでマイナス幅の縮小であり、全地域とも引き続き業況判断DIはマイナスであることに留意すべきである。

第1-1-16図 地域別・業種別の業況判断DIの推移
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業種別の業況判断DIを見てみると(第1-1-16図下)、製造業、建設業、卸売業の業況が大きく改善している。特に、復興需要等を背景に、建設業の業況改善が著しく、2013年10-12月期には、+3.9とプラスの水準にまで改善している。また、建設業において1994年の統計開始以来プラス水準を記録したのは2013年10-12月期が初めてであり、その水準を更新して過去最高水準となっている。これは、消費税増税による駆け込み需要や2020年のオリンピックに向けた人員・人材確保の必要性が高まっていることも起因していると考えられる。

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