第1部 平成25年度(2013年度)の中小企業・小規模事業者の動向 

第1章 平成25年度(2013年度)の中小企業・小規模事業者の動向

第1節 我が国経済の動向

本節では、2013年に入って、底堅い個人消費や企業マインドの改善等を背景に、我が国経済は、一部に弱さが残るものの持ち直しの動きを見せ、足下では緩やかに回復していることを概観する。

1. 最近の我が国の景況

2008年9月のリーマン・ショックに端を発する世界経済危機により、大幅に落ち込んでいた我が国経済は、2009年から持ち直しの動きを見せていたが、2011年3月の東日本大震災や、同年夏以降に欧州政府債務危機がリスク要因として一層認識されるようになったこと、また、同年10月のタイでの洪水被害によるサプライチェーンの寸断等、内外の様々なショックに見舞われた。しかし、2013年に入って、大胆な金融政策と機動的な財政政策の実施により、家計や企業マインドの改善等を背景に、我が国の景気は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きを見せるようになり、足下では緩やかに回復している。

実質GDPの推移を見てみると(第1-1-1図)、リーマン・ショック後は急速な景気の悪化を経験し、2009年1-3月期に前期比▲4.0%まで落ち込んだ後、2009年4-6月期には、アジアを中心とした海外経済の堅調な成長、エコカー補助金・エコポイント等の景気刺激策に支えられた個人消費の伸びに牽引され、プラス成長に転じた。その後、6四半期連続でプラス成長を続けたが、猛暑効果の反動やエコカー補助金の終了の影響も加わって、2010年10-12月期には再びマイナス成長となった。その後、東日本大震災が発災し、マイナス成長が続いたが、東日本大震災からの復興需要や経済対策等を背景に、2011年7-9月期から2012年1-3月期にかけて3期連続でプラス成長を続けた。しかし、欧州政府債務危機を背景として海外景気が減速する中で、輸出が減速し、2012年4-6月期に4四半期ぶりにマイナス成長に転じ、同年7-9月期には、個人消費や設備投資の減少幅が拡大したことなどから、前期比▲0.8%まで低下した。

第1-1-1図 実質GDP成長率と需要項目別寄与度の推移
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2013年1-3月期には、株価上昇による資産効果や消費者マインドの改善を背景とした個人消費、公共投資、輸出の伸びにより、前期比+1.1%のプラス成長となり、4-6月期には+1.0%、7-9月期は0.2%、10-12月期も0.2%と4四半期連続のプラス成長を続けている。生産の持ち直し等による企業収益の改善が所得や設備投資の増加へとつながり、消費、投資、所得の好循環が動き出している。今後も引き続き、企業の設備投資、企業の収益を向上させ、これを個人の賃金や所得の向上につなげ、消費が拡大する、そして、消費の拡大が、再び企業の設備投資の呼び水となる「経済の好循環」を実現していくことが期待される(第1-1-2図)。

第1-1-2図 経済の好循環

また、2014年4月に実施された消費税増税による経済への影響の見込みを、実質GDP成長率の推移によって見ていくこととする(第1-1-3図)。ここでは、消費税がそれまでの3%から5%に引き上げられた1997年の水準と比較することとする。日本経済フォーキャスターによる予測の集計である、公益財団法人日本経済研究センターの「ESPフォーキャスト調査」によれば、今回の増税においても、前回の増税時程度の落ち込みを予想しており、実質GDP成長率は、2014年1-3月期の4.6%から2014年4-6月期には▲4.1%に落ち込むと予想されている。しかし、直後の2014年7-9月期には2.2%にまで回復すると見込まれており、前回の増税時よりも速いスピードで回復すると予測されている。

第1-1-3図 消費税増税による実質GDP 成長率の推移
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次に、リーマン・ショック以降の我が国経済の動向を、内閣府「景気ウォッチャー調査1」で見てみると(第1-1-4図)、「現状判断DI」は、リーマン・ショック及び東日本大震災での落ち込みが顕著であることが分かる。また、2013年に入ってからは、概ね50.0を超える高水準で安定して推移しており、過去を遡ると、景気回復局面にあった2006年以来の水準となっていることからも、景気が着実に上向いていることが見て取れる。

1 内閣府「景気ウォッチャー調査」は、地域の景気に関連の深い動きを観察できる立場にある人々の協力を得て、地域ごとの景気動向を的確かつ迅速に把握する目的で実施されている。このため、地域の景況感について、より肌感覚に近い「街角の景況感」を知ることができる。

第1-1-4図 全国の現状判断DIの推移
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また、足下の経済の動きを、「景気動向指数2」で確認してみると(第1-1-5図)、2014年1月には、前月と比較して、景気の先行きに対する予測を行うときに参照される「先行指数3」は、1.2ポイント上昇して113.1と5か月連続で上昇、景気の現状を把握するのに用いられる「一致指数4」は、3.0ポイント上昇して115.2と7か月連続で上昇、景気の転換点を確認するものとして利用される「遅行指数5」は、1.2ポイント上昇して116.0と3か月連続で上昇しており、三つの指数全てが改善傾向にあり、景気が拡張局面にあることが分かる。他方で、2014年2月には、前月と比較して、「先行指数」は4.6ポイント下降して108.5、「一致指数」は1.8ポイント下降して113.4、「遅行指数」は0.7ポイント上昇して116.7となっている。

2 「景気動向指数」は、生産、雇用など様々な経済活動での重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを統合することによって、景気の現状把握及び将来予測に資するために作成された指標。

3 「先行指数」の採用系列は、「新規求人数(除学卒)」、「実質機械受注(船舶・電力除く民需)」、「新設住宅着工床面積」、「消費者態度指数」等の11系列。

4 「一致指数」の採用系列は、「生産指数(鉱工業)」、「営業利益(全産業)」、「中小企業出荷指数(製造業)」、「有効求人倍率(除学卒)」等の11系列。

5 「遅行指数」の採用系列は、「第3次産業活動指数(対事業所サービス)」、「実質法人企業設備投資(全産業)」、「法人税収入」等の6系列。

第1-1-5図 景気動向指数の推移
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そして、企業規模別、業種別の業況判断DIの動きを、日本銀行「全国企業短期経済観測調査6」(以下「日銀短観」という。)で見てみると(第1-1-6図)、2013年に入って、大企業、中小企業・小規模事業者共に一貫して上昇しており、足下の業況判断DIは企業規模別に見ても、業種別に見てもプラスとなっている。特に、中小企業・小規模事業者の業況判断DIが、製造業では6年ぶり、非製造業では21年10か月ぶりにプラスに転ずるなど、景気回復の効果が、中小企業・小規模事業者にも現れ始めている。他方で、大企業に比べて、中小企業・小規模事業者の回復のスピードには遅れが見られるため、こうした景気回復の実感を地域経済を支える中小企業・小規模事業者にまで広く行き渡らせていくことが今後の課題である。

6 「日銀短観」は、総務省の「事業所・企業統計調査」をもとに、資本金2千万円以上の民間企業(金融機関を除く)を「母集団企業」(現行約21万社)とし、その中から、業種別・規模別に設けた区分毎に統計精度等に関する一定の基準をもとに抽出した企業(現行約1万社)を調査対象企業とする標本調査。

第1-1-6図 企業規模別、業種別の業況判断DIの推移
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