第2部 自己変革を遂げて躍動する中小企業・小規模事業者 

3 クラウド・コンピューティング利用の現状と課題

IT関連のコスト負担や人材不足への対応策の一つとして、クラウド・コンピューティングの利用が考えられる。

クラウド・コンピューティングとは、ネットワークから提供される情報処理サービスで、ネットワークと接続された環境さえあれば、情報処理やアプリケーションが利用できるものである。自社でサーバや情報処理ソフトウェアを所有する必要がなく、また、データ量や時間等、利用分のみに費用を支払うことから、規模の大きくない企業でも、低コストでのITの活用が可能となる方法として期待されている。

前掲第2-4-16図で、「IT関連のコストの負担が大きい」、「IT人材が不足している」と回答する割合が高い中規模企業に注目して、認知や利用の状況を見てみよう。

第2-4-19図は、経営者のクラウド・コンピューティングの認知状況を示している。規模により認知状況の差はあるが、中規模企業では、約3割が「よく知っている」と回答するなど、ある程度は認知されていることが分かる。

第2-4-19図 規模別のクラウド・コンピューティングの経営者の認知状況
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一方、第2-4-20図でクラウド・コンピューティングの利用状況を見ると、「利用を検討している」と回答している企業を含めても、中規模企業では、約2割にすぎない。大企業と比較して、認知状況の割には、利用は進んでいないといえる。

第2-4-20図 規模別のクラウド・コンピューティングの利用状況
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クラウド・コンピューティングのメリットと課題を、企業はどのように考えているのだろうか。

第2-4-21図は、従業員規模別のクラウド・コンピューティングの導入・利用のメリットを示したものである。経済産業省「平成23年度情報処理実態調査14」から作成した。従業員規模が100人以下の企業では、「技術的な専門知識がなくても導入できる」ことをメリットに挙げている企業が、最も多くなっている。一方で、従業員規模が101〜200人や201〜300人の企業では、「初期コストが安い」ことをメリットに挙げている企業が最も多い。

14 「平成23年度情報処理実態調査」は、資本金3,000万円以上かつ従業員50人以上の全ての企業に対して調査が行われている、企業活動基本調査の調査対象及び、(株)帝国データバンクのデータベースに登録されている企業を母集団として、調査対象を抽出しており、回答している企業は、比較的大きな規模の企業であることに留意が必要である。付注2-4-3に従業員規模ごとの回答企業数を示した。
第2-4-21図 従業員規模別のクラウド・コンピューティングの導入・利用のメリット(複数回答)
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それでは、導入・利用上の課題は何であろうか。従業員規模別に見ると、従業員規模100人以下や101〜200人の企業では、「システムの信頼性・安全性が不十分」であることを課題とする企業が最も多いが、従業員規模201〜300人の企業では、「既存システムとの連携ができない」ことを課題とする企業が最も多い(第2-4-22図)。

第2-4-22図 従業員規模別のクラウド・コンピューティングの導入・利用上の課題(複数回答)
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以上、統計上の制約から、比較的規模の大きい企業についての結果であるが、クラウド・コンピューティングについては、比較的規模の小さい企業ほど、技術的な面で導入しやすいことにメリットを感じている割合が高い。一方、システムの信頼性等を課題として見ている割合が高いことが分かる。

情報技術は日々進歩しており、クラウド・コンピューティングの課題が解決され、より利便性の高いものとなることが期待される。

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