第2部 自己変革を遂げて躍動する中小企業・小規模事業者 

第4章 情報技術の活用

情報技術(IT)は、近年ますます進歩している。タブレット型端末、スマートフォン等の新しい情報機器やクラウド・コンピューティング1等の新しい情報サービスが生まれており、情報技術は情報処理能力・利便性・価格比性能いずれも大幅に向上し、低コストでのITの活用2が可能となっている。

また、中小企業・小規模事業者の経営課題は高度化・複雑化している。ITは、そうした経営課題への対応のための強力な手段となり得る。財務・会計、人事・給与管理等の後方支援業務でのITの活用という、従来からある取組以外にも、生産・在庫管理、営業力の強化、新規顧客の獲得等、生産性や競争力の向上のために、ITを活用する企業も出てきている。また、企業単独での取組のみならず、中核となる企業を中心に、中小企業・小規模事業者が連携して、ITを活用する取組も見られる。発展する情報技術を活用し、経営課題を解決することで、中小企業・小規模事業者はますます活力ある存在となるであろう。

本章では、「ITの活用に関するアンケート調査3」により、中小企業・小規模事業者のITの導入の現状、経営課題に対するITの活用の状況を分析し、更なるITの導入・活用のために必要となる対応を検討する。

1 クラウド・コンピューティングとは、ネットワークから提供される情報サービスで、ネットワークとの接続環境さえあれば、情報処理やアプリケーションが利用できるものをいう。本章第4節第3項で詳しく分析している。

2 本章では、事例企業で紹介しているような、情報をデジタル化し、蓄積、処理、伝達する技術を使った機器・システム・サービス等を中小企業・小規模事業者が活用して、経営課題に対応する取組について分析している。

3 中小企業庁の委託により、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)が、2012年11月に企業15,000社を対象に実施したアンケート調査。回収率16.7%。詳細は、参考資料を参照。ここでいう中小企業とは、従業員300人以下(卸売業、サービス業では100人以下、小売業では50人以下)の企業をいう。また、ここでいう中規模企業とは、ここでいう中小企業から小規模事業者を除いたものをいう。さらに、ここでいう大企業とは、ここでいう中小企業以外の企業をいう。

第1節 ITの導入の現状

1 ITの普及による市場や経営環境の変化

第2-4-1図は、ITの普及に伴う市場や経営環境の変化の内容を、規模別に見たものである。中規模企業、大企業では「業務スピードの要求増大」と回答する企業が最も多くなっている。また、小規模事業者で、最も多い回答は、「同業他社との競争激化」となっているが、「特段の変化はない」と回答する事業者も3割近くある。ITの普及によって、市場や経営環境には変化がもたらされているが、変化の感じ方には、規模で違いがあることが分かる。

第2-4-1図 規模別のIT の普及に伴う市場や経営環境の変化の内容(複数回答)
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