第2部 自己変革を遂げて躍動する中小企業・小規模事業者 

第2節 後継者選びの現状と課題

前節では、中小企業・小規模事業者の事業承継を巡る現状を示したが、中小企業・小規模事業者の経営者は、自身の引退後の事業継続や後継者の選定について、どのように考えているのであろうか。本節では、後継者選びの現状と課題を見ていく。

1 事業継続の意向と後継者難

まず、経営者の年齢が50歳以上の企業について、事業承継に対する意向を見ていく。

第2-3-8図は、経営者が引退した後の、事業継続についての方針を示したものである8。規模別に見ると、中規模企業の大半が、事業の継続を希望しているのに対し、小規模事業者では、6割弱にとどまる。また、廃業を希望する小規模事業者は、1割強に上っている。

8 規模別の経営者引退後も事業を継続させたい理由については、付注2-3-2を参照。また、規模別の経営者引退後の事業継続についてまだ決めていない理由については、付注2-3-3を参照。
第2-3-8図 規模別の経営者引退後の事業継続についての方針
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前掲第2-3-3図において、今後の事業運営方針を示したが、ここで「廃業したい」と回答した小規模事業者と、前掲第2-3-8図の、経営者引退後の事業継続について、「事業をやめたい」と回答した小規模事業者の、廃業を希望する理由を見てみると、後継者難に関連した項目が、半分以上を占めていることが分かる9(第2-3-9図)。後継者難の内訳を見ると、「息子・娘に継ぐ意思がない」、「息子・娘がいない」といった子どもへの事業承継が難しいことが約6割を占めていることから、親族以外も視野に入れて、後継者の確保に取り組む必要があると考えられる。

9 中規模企業についても、廃業を希望する理由の内訳は、小規模事業者と同様の傾向となっている。
第2-3-9図 小規模事業者の廃業理由
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コラム2-3-2

組織形態別の事業継続の意向と後継者選び

前掲第2-3-7図第2-3-8図で示したように、小規模事業者では、親族間の事業承継が多く、また、経営者引退後の事業継続について、後継者難等を理由に廃業を希望する事業者が、一定程度存在する。

それでは、小規模事業者の中でも、個人形態の事業者は、経営者引退後の事業継続や後継者の選定について、どのような考えでいるのであろうか。法人格を有する小規模事業者と比較して、見ていきたい。

まず、事業承継時期が0〜9年前の事業者について、現経営者と先代経営者の関係を示したものを見ると、個人形態の事業者では、親族以外への事業承継が、ほとんど行われていないことが分かる。

組織形態別の現経営者と先代経営者の関係

組織形態別の現経営者と先代経営者の関係
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次に、経営者の年齢が50歳以上の事業者について、事業承継に対する意向を見ると、経営者引退後も「事業を継続させたい」と回答する個人形態の事業者は半分以下であり、廃業を希望する割合が約4分の1に上っている。

組織形態別の経営者引退後の事業継続についての方針

組織形態別の経営者引退後の事業継続についての方針
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廃業を希望する理由を見ると、個人形態、法人形態共に、後継者難を挙げる事業者が多い。個人形態の事業者では、「息子・娘に継ぐ意思がない」、「息子・娘がいない」と回答する割合が、法人形態の事業者と比べて高くなっており、後継者となる子どもがいるかどうかが、事業承継の可否を左右している可能性がある。

組織形態別の小規模事業者の廃業理由

組織形態別の小規模事業者の廃業理由
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後継者を決定する際に重視することを見てみると、個人形態の事業者は、「親族であること」と回答する割合が約7割であり、今後の事業承継に関しても、経営者との血縁関係を非常に重視していることが分かる。

組織形態別の後継者を決定する際に重視すること(複数回答)

組織形態別の後継者を決定する際に重視すること(複数回答)
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親族以外への事業承継が増えつつある中で、未だに、親族への事業承継が大多数を占める個人形態の事業者では、後継者となる子どもがいない場合、後継者を確保することが、事業承継における最大の課題となろう10。また、子どもがいる場合でも、子どもが事業を継ぐことを当然視することなく、承継の意思を確認するなど、後継者を早期に決定することが、自身の引退後も事業を継続させるために、必要と考えられる。

10 前掲事例2-3-7のように、事業引継ぎ支援センターに相談して、公募によって後継者を確保した個人事業主もいる。
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