第2部 自己変革を遂げて躍動する中小企業・小規模事業者 

第3章 次世代への引継ぎ(事業承継)

企業運営の多くの部分を、経営者の経営能力、意欲に依存する中小企業・小規模事業者にとって、経営者の高齢化と後継者難は、業績悪化や廃業に直結する問題である。中小企業・小規模事業者が有する技術やノウハウ等の貴重な経営資源を喪失させないためにも、後継者の確保はもちろん、円滑な事業承継に向けて、後継者の養成や資産・負債の引継ぎ等中長期にわたる準備に、早期から計画的に取り組むことが求められる。

他方、経営者の世代交代が、第二創業と呼ばれるような経営革新や、経営環境の変化への適応を可能とし、企業を発展させる事例もある。

少子化が進んでいる現状においては、経営者の子ども以外への事業承継や事業売却も含めて、事業承継を検討することが、企業存続のために必要である。本章では、中小企業・小規模事業者の事業承継を巡る現状と課題を明らかにし、事業承継の意義や、円滑に事業を引き継ぐための方策を論ずる。

第1節 事業承継を取り巻く状況

始めに、「中小企業の事業承継に関するアンケート調査1」により、中小企業・小規模事業者の事業承継を取り巻く状況を見ていく。

1 中小企業庁の委託により、(株)野村総合研究所が、2012年11月に2001年以前に創業した中小企業30,000社を対象に実施したアンケート調査。回収率21.3%。詳細は、参考資料を参照。

1 経営者の年代と経営状況

まず、第2-3-1図は、経営者の平均引退年齢の推移を示したものであるが、引退年齢は上昇傾向にあり、経営者の高齢化が進んでいる状況が見て取れる。規模別に見ると、小規模事業者の方が、中規模企業よりも経営者の引退年齢が高い。

第2-3-1図 規模別・事業承継時期別の経営者の平均引退年齢の推移
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第2-3-2図を見ると、経営者が高齢である企業ほど、経常利益の状況について、「減少傾向」と回答する割合が高い。特に、小規模事業者では、その傾向が顕著に表れており、経営者の年齢が70歳以上になると、約7割が減益傾向という状況になっている。

第2-3-2図 規模別・経営者年齢別の経常利益の状況
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今後の事業運営方針についても、経営者の年齢が高い企業ほど、「縮小・廃業したい」と回答する割合が高い。特に、小規模事業者では、その傾向が顕著に表れていることも、前図と同様となっている(第2-3-3図)。

第2-3-3図 規模別・経営者年齢別の今後の事業運営方針
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