平成24年度において講じようとする中小企業施策 

第2章 中小企業の下支えとなる支援

第1節 資金繰り支援
 我が国の中小企業を巡る資金繰りの状況は、資金繰りDIの推移によれば、震災の発生した平成23年3月に大幅に悪化した後、足元改善してはいるが、震災の影響等により、依然として厳しい現状にあり、引き続き、中小企業者への資金繰り支援を講じていく必要がある。
 まず、信用保証については、東日本大震災復興緊急保証を平成24年度においても継続実施するとともに、セーフティネット保証5号についても、平成24年度上半期については対象業種を原則全業種(82業種)とする措置を継続することとしている。また、政策金融については、日本公庫等による東日本大震災復興特別貸付やセーフティネット貸付等について、平成24年度においても継続的に実施する。
 加えて、中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(平成21年度法律第96号、以下「中小企業金融円滑化法」という)の期限が更に1年延長されたことも踏まえ、引き続き、金融庁と連携し、民間金融機関等における中小企業金融の円滑化を促す。また、貸付けの条件変更により債務者の返済負担が軽減されている間に真に経営改善等が図られることが必要であり、中小企業に対する経営支援体制構築に向けた取組を進めていく。

具体的施策
1.セーフティネット金融の推進(継続)(p.198参照)

2.金融機関等による貸付条件の変更及びコンサルティング機能の発揮の促進等
 中小企業金融円滑化法については、法の期限を今回に限り2013年3月末まで再延長することとしたところである。法の延長期間においては、金融規律の確保(健全性の確保・モラルハザード防止)のための施策を講じる一方、金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮を促すとともに、中小企業者等の真の意味での経営改善につながる支援を強力に押し進めていく。(継続)(p.198参照)
 具体的には、以下のような施策に集中的に取り組んでいく。
(1)金融の円滑化にかかる取組
〔1〕金融機関によるコンサルティング機能の一層の発揮
〔2〕新規融資の促進を図るための、資本性借入金等の活用及び動産担保融資(ABL)等の開発・普及等
〔3〕金融機関の事務負担の軽減を図るための開示・報告資料の更なる簡素化等
(2)金融規律の確保にかかる取組
〔1〕実現可能性の高い抜本的な経営再建計画の策定・進捗状況の適切なフォローアップ
〔2〕対象企業の実態に応じた適切な債務者区分・引当ての実施
〔3〕金融機能強化法の活用
(3)中小企業等に対する支援措置にかかる取組
〔1〕企業診断、最適な解決策の提示・支援を図るためのコンサルティング機能の発揮等、地域密着型金融の深化を徹底
〔2〕中小企業再生支援協議会との連携強化
〔3〕産業復興機構、東日本大震災事業者再生支援機構等との連携強化
〔4〕事業再生等の支援を図るための、様々な制度・仕組みの活用

3.劣後ローン貸付の推進(継続)(p.198参照)

4.マル経融資制度【24年度予算:36.0億円】
 小規模事業者を金融面から支援するため、商工会議所、商工会、都道府県商工会連合会の経営指導員が経営指導を行うことによって日本公庫が無担保・無保証人で融資を行う。平成21年度から実施している貸付限度額の引上げ等の拡充事項について、平成24年度末まで延長する。(継続)(p.198参照)

5.小規模企業設備資金導入制度(設備資金貸付・設備貸与)【財政投融資】
 制度利用に係る基準のうち、設備貸与事業の上限額について6,000万円を8,000万円(創業1年未満の者も3,000万円を8,000万円。)に引き上げるとともに、小規模企業以外の中小企業者(50名以下)について利用制限をしている、経済産業大臣が定める金融機関からの借入金の残額について3億円を4.2億円に引き上げる。(継続)(p.199参照)

6.中小企業投資育成株式会社による支援(継続)(p.199参照)

7.貿易保険が付保された中小企業の輸出代金債権の流動化促進(継続)(p.199参照)

8.中小企業のための貿易保険の拡充
 中小企業輸出代金保険について、保険料率の引下げ等の商品性の大幅な改善を実施し、貿易保険の利便性をより一層向上させる。また、海外事業資金貸付保険について、本邦銀行等又は外国金融機関による中小企業の海外日系子会社への短期貸付金への付保を一定の条件の下で可能とする。(新規)

9.沖縄の中小企業対策【財政投融資】(継続)(p.199参照)

10.「中小企業の会計に関する基本要領」の普及・活用
 中小企業の経営状況の明確化、経営者自身による事業の説明能力の向上、資金調達力の強化を促す観点から、平成24年3月に取りまとめた「中小企業の会計に関する検討会報告書」に基づき、「中小企業の会計に関する基本要領」の普及・活用を推進する。(継続)(p.199参照)

第2節 財務基盤の強化
1.中小軽減税率の引下げ【税制】
 中小法人に係る法人税の軽減税率(年所得800万円以下の部分に適用)について、2012年4月1日から2015年3月31日までの時限的措置として18%から15%に引き下げる。
 ただし、2012年4月1日から2015年3月31日までの間、復興特別法人税として、法人税額に10%の加算税が上乗せされる。(継続)(p.199参照)

2.中小企業投資促進税制【税制】
 中小企業投資促進税制は、中小企業者の設備投資を促進し、その生産性の向上を図るため、一定の機械装置等を取得した場合に、その基準取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除を認める措置である。2012年度税制改正により、対象資産に製品の品質管理の向上に資する試験機器等を追加する等の見直しを行うとともに、その適用期限を2014年3月31日まで2年延長する。(新規)

3.中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度【税制】
 少額減価償却資産の特例は、中小企業者等における事務負担の軽減等を図るため、中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合において全額損金算入(合計年300万円を限度。)を認める措置である。2012年度税制改正により、その適用期限を2014年3月31日まで2年延長する。(新規)

4.交際費等の損金不算入の特例【税制】
 法人が支出した交際費は原則損金不算入とされているが、中小法人が支出した交際費等については600万円を上限としてその9割の損金算入が認められている。2012年度税制改正により、その適用期限を2014年3月31日まで2年延長する。(新規)

5.欠損金の繰越控除・繰戻還付【税制】
 当期の事業年度に生じた欠損金については、一定期間内に限り、翌期以降の事業年度の所得金額から繰越欠損金として控除することができる。2012年4月1日以降に開始した事業年度においては、その繰越可能期間を7年間から9年間に延長する。また、当期の事業年度に生じた欠損金については、1年間の繰戻還付を受けることができるが、2012年度税制改正により、その適用期限を2014年3月31日まで2年延長する。(新規)

第3節 下請取引の適正化
 親企業に比べて弱い立場にある下請中小企業に不当なしわ寄せが生じることがないように適正な取引を推進するため、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号、以下「下請代金法」という)を厳格に運用することにより、引き続き不公正な下請取引を取り締まるとともに、下請代金法違反を未然に防止することで下請中小企業を守るため、講習会等を実施し下請代金法の普及啓発等に取り組む。
 また、新たな取引先を開拓したい下請中小企業に対しての受発注情報の提供、商談会開催を通じた販路開拓支援等の事業を行い、下請中小企業の振興を図る。

具体的施策
1.下請代金法の運用強化【24年度予算:5.9億円の内数】
 下請代金法に基づく書面調査や立入検査を引き続き実施する。下請代金法違反に関する情報収集を強化し、これまで以上に、下請代金法の厳格な運用に努めていく。(継続)(p.200参照)

2.相談体制の強化と下請取引適正化に関する普及啓発【24年度予算:5.9億円の内数】(継続)(p.200参照)

3.下請中小企業の振興(継続)(p.201参照)
〔1〕下請取引あっせん、商談会による販路開拓支援【24年度予算:5.9億円の内数】
 新たな取引先を開拓したい下請中小企業に対して、ビジネス・マッチング・ステーションによる取引あっせんを行う。また、広域的に新たな販路開拓を支援するため、広域商談会も開催する。
〔2〕下請事業者への配慮要請等【24年度予算:5.9億円の内数】
 下請中小企業の経営基盤の強化を図るため、下請事業者及び親事業者がよるべき一般的基準(振興基準)等について、講習会等で周知を図る。

第4節 官公需対策
 官公需に係る中小企業者の受注機会の増大を図るため、「中小企業者に関する国等の契約の方針」を定めるとともに、施策の周知徹底を図る。

具体的施策
1.「平成23年度中小企業者に関する国等の契約の方針」の策定及び周知徹底【24年度予算:5.9億円の内数】
 官公需における中小企業者の受注機会の増大を図るため、「中小企業者に関する国等の契約の方針」を定めるとともに、地方公共団体に対する要請、説明会の開催等を通じて施策の周知徹底を図る。(継続)(p.201参照)

2.中小企業の受注機会増大のための「官公需情報ポータルサイト」【24年度予算:5.9億円の内数】(継続)(p.202参照)

第5節 経営安定対策
 今後も中小企業の経営の安定を図るため、中小機構が運営する中小企業倒産防止共済制度と小規模企業共済制度の着実な運営と推進を行う。
 また、経営の危機に直面した中小企業の経営上の様々な問題の解決に資するため、引き続き全国の主要な商工会議所及び都道府県商工会連合会に設置されている経営安定特別相談室による相談事業が円滑に実施されるよう、日本商工会議所及び全国商工会連合会を通じて支援する。
 さらに、東日本大震災の教訓を活かし、緊急時の中小企業の危機対応力の向上並びに企業価値向上に資するため、中小企業BCP(事業継続計画)策定運用指針の改訂を踏まえ一層の普及促進を図るとともに、BCPに基づく防災施設整備に対する低利融資を実施する。

具体的施策
1.中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済制度)【中小機構交付金】
 平成22年4月21日に公布された中小企業倒産防止共済法の一部を改正する法律(平成22年法律第25号)等により、共済金の貸付限度額の引き上げ、償還期間の上限の延長及び早期償還手当金の創設等のセーフティネット機能の強化がなされた倒産防止共済制度について、引き続き、制度への加入促進や共済金の貸付けを着実に実施する。(継続)(p.202参照)

2.小規模企業共済制度【中小機構交付金】(継続)(p.202参照)

3.経営安定特別相談事業【24年度予算:0.35億円】(継続)(p.203参照)

4.中小企業BCP普及の促進(継続)(p.203参照)

第6節 事業再生・事業承継への対応
 中小企業の事業再生支援については、引き続き中小企業再生支援協議会を通じ、企業再生に関する知識と経験を持つ常駐専門家が、中小企業の事業再生に関する相談を受けて課題解決に向けたアドバイスを実施するとともに、再生のために財務や事業の抜本的な見直しが必要な企業に対して、常駐専門家と中小企業診断士、公認会計士、弁護士等の外部専門家とで編成される支援チームにより、財務面・事業面についての調査(デューデリジェンス)等を行い、再生計画策定と金融機関との調整を支援していく。また、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(平成11年法律第131号)による中小企業承継事業再生計画の認定制度についても、引き続き事業再生支援策の1つとして推進する。
 中小企業の事業引継ぎ支援については、引き続き中小企業の事業引継ぎ支援に対する需要に対応するための体制整備を進めるため、事業引継ぎ支援の需要が多い地域を中心として「事業引継ぎ支援センター」を全国的に設置していく。
 さらに、地域経済の活力維持や雇用確保の観点から、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(平成20年法律第33号、以下「経営承継円滑化法」という)に基づく支援(民法特例、金融支援、税制措置)及び事業承継制度の普及啓発等による中小企業の事業承継の総合的な支援を、引き続き実施していく。
 なお、税制措置については、経営承継円滑化法に基づく認定等の運用状況等を踏まえ、その活用を促進するための方策や課税の一層の適正化を図る措置について引き続き検討を行う。

具体的施策
1.中小企業再生支援協議会【24年度予算:47.0億円】
 平成24年2月時点で全国計6か所に設置した「事業引継ぎ支援センター」を、事業引継ぎ支援の需要が多く、支援体制が整った地域の認定支援機関から順次設置し、全国的に拡充していく。(継続)(p.203参照)

2.中小企業承継事業再生計画(第二会社方式)(継続)(p.204参照)

3.中小企業再生ファンド(継続)(p.204参照)

4.経営承継円滑化法による総合的支援(継続)(p.204参照)

5.事業承継円滑化支援事業【中小機構交付金】(継続)(p.204参照)

6.事業承継融資【財政投融資】(継続)(p.204参照)

7.非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度(事業承継税制)【税制】(継続)(p.204参照)

8.経営資源融合を行う中小企業の資本力強化事業【24年度予算:10.0億円】
 中小企業の経営資源の融合・強化(合併)を支援するため、中小機構を通じて資本増強のための出資を中小企業に行うこととし、当該業務に必要な経費を国から中小機構に交付する。当事業を実施することにより、中小企業の経営基盤の強化を図り、我が国中小企業が新興国等の企業との競争に勝ち抜くことができるようにする。(新規)


前の項目に戻る      次の項目に進む