平成23年度において講じた中小企業施策 

第5章 その他の中小企業対策
第1節 環境・エネルギー対策
 東日本大震災を受けて、エネルギー政策の在り方については今後総合的に検討されることとされているが、平成23年度においても、中小企業における省エネルギー設備・機器、再生可能エネルギー利用設備の導入支援や公害防止対策支援等、中小企業における環境・エネルギー対策に取り組んだ。

具体的施策
1.国内クレジット制度【23年度予算:54.1億円】
 中小企業等が行った省エネ等の取組を評価し、これを支援する「国内クレジット制度」において、中小企業等の負担軽減のため、手続面等を支援する事業を行った。また、平成23年度予算事業として、国内クレジット制度を活用した中小企業等の低炭素型投資を後押しするため、低炭素型設備の導入を通じたCO2排出削減量の実績に相当する助成金の支給を行った。

2.カーボンフットプリント制度構築等事業【23年度予算:4.9億円】
 温室効果ガス排出量を「見える化」することで、事業者によるサプライチェーン全体の温室効果ガス削減を促し、事業者と消費者とが一体となって低炭素社会の構築に貢献するために、製品のライフサイクル全体(原材料調達〜廃棄・リサイクル)を通して排出される温室効果ガス排出量をCO2量に換算し表示する「カーボンフットプリント制度」にて、制度参加事業者への専門家派遣や全国で説明会を開催するなど、制度の構築・理解促進等の取組を進めた。また、平成24年度に発行予定であるISOの国際標準化に向けた議論に積極的に貢献した。73の商品種別算定基準(PCR)を策定し、カーボンフットプリント許諾製品は460件に上り、全国規模で説明会等を16回開催した(平成24年2月現在)。各地の事業者からヒアリングを行い平成24年度以降の自主的な制度運営の在り方を検討した。

3.環境・エネルギー対策資金(公害防止対策関連)
 中小企業の公害対策を促進するため、公害防止設備を導入する事業者に対して日本公庫による低利融資を行う制度である。平成23年度においては、対象設備・利率の一部を見直し、措置期間を平成24年3月31日まで延長した。
 平成23年4月から平成24年1月までの融資実績は以下となった。
件数金額
大気汚染関連19件428百万円
水質汚濁関連29件911百万円
産業廃棄物・リサイクル関連109件5,701百万円
自動車NOx・PM法関連23件1,097百万円

4.公害防止税制【税制】
 公害防止税制は、中小企業者の公害防止対策に対する取組を支援するため、公害防止設備についての固定資産税の課税標準の特例、及び、公害防止用設備を取得した場合の特別償却等の措置を講じるものである。平成23年度においては、適用期限が到来する対象設備について、対象設備・償却率を見直した上で、適用期限をおおむね2年延長した。

5.エネルギー使用合理化事業者支援事業【23年度予算:445.6億円】
 事業者が計画した取組のうち、「技術の先端性」、「省エネ効果」及び「費用対効果」を踏まえて政策的意義の高いものと認められる設備導入費について補助を行った。特に中小企業等に対して重点的に支援を行うとともに、電力需給対策として、節電効果の高い事業にも重点支援を行った。

6.省エネルギー対策導入促進事業【23年度予算:8.8億円】
 中堅・中小企業等における省エネ対策を促進するため、省エネの専門家による診断事業及び説明会開催等の取組を行った。また、エネルギー消費量を「見える化」する計測監視システムの導入を支援した。あわせて、「見える化」されたデータを活用し、簡易省エネ診断を実施した。

7.エネルギー需給構造改革推進投資促進税制/環境関連投資促進税制【税制】
 エネルギー安定供給の確保と低炭素成長社会の実現を目指し、企業に幅広く利用される省エネ効果・CO2削減効果の高い設備の取得に対する、環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)を2011年6月30日に創設した(2014年3月31日まで)。30%の特別償却(青色申告をしている法人又は個人、中小企業を含む。)又は7%の税額控除(中小企業に限定)の選択が可能(従来の省エネ・新エネ設備投資促進税制であったエネルギー需給構造改革推進投資促進税制(エネ革税制)は2011年度末で廃止。)。

第2節 IT化の促進
 中小企業が競争力を強化するためには、企業経営においてITを利活用することが必要不可欠である。よって、引き続き中小企業のIT利活用を促進するための環境整備を行い、生産性向上や経営の高度化を実現するため、中小企業が実践するIT経営のベストプラクティス収集・普及事業、クラウドコンピューティングの利用促進に向けた環境整備、政府系金融機関の情報化投資融資制度及び高度な情報セキュリティの確保された質の高いIT投資を促進するための税制上の措置等を講じた。

具体的施策
1.政府系金融機関の情報化投資融資制度(IT活用促進資金)【財政投融資】
 中小企業におけるIT・デジタルコンテンツの普及変化に関連した事業環境の変化に対応するため、日本公庫による融資を着実に実施した。平成24年1月末現在の貸付実績は、3,556件、353億円である。

2.中小企業情報基盤強化税制【税制】
 中小企業情報基盤強化税制は、大企業と比べてIT活用の遅れが顕著な中小企業の生産性の向上を実現し、高度な情報セキュリティの確保された質の高いIT投資を促進するため、一定の要件を備えたIT設備等の投資をした場合に、その投資額の30%の特別償却又は7%の税額控除の選択適用を認める措置である。当該税制につき、平成24年3月31日まで延長を行った。

3.次世代高信頼・省エネ型IT基盤技術開発・実証事業【23年度予算:15.8億円の内数】
 クラウドコンピューティングの進展により、従来の下請受託開発から新事業展開を画策する中小ITベンダがクラウドビジネスに対応できるよう研修等による支援を行った。あわせて、中小企業ITユーザにとって、クラウドを通じてIT利活用を促進されるような地域ネットワークを構築し、中小ITベンダと協業し、自走するビジネスモデルの策定、普及、実践を行った。

4.中小企業のIT経営促進【23年度予算:3.8億円の内数】
 ITによる地域経済の活性化を目的に、企業規模や業種、地域性等多様な環境にある地域の中小企業等が実践するIT経営(ITを活用した企業経営、新商品・新サービスの開発、企業間連携によるイノベーション創出)を持続的に推進するため、中小企業IT経営力大賞の実施による成功事例の収集やポータルサイトを通じた積極的な普及等を行った。

第3節 知的財産対策
 中小企業は、大企業と比べ、自らの知的財産を効果的に保護し活用していくための十分な知識や人材、資金を持つことが困難である。このため、知的財産に係る情報提供、知的財産保護のための専門人材の活用等、研究開発から事業展開、海外展開までを一貫して支援する体制整備が重要な課題となっている。これに対応するべく、知的財産に関するワンストップの相談対応や人材派遣等の事業を実施している。また、特許法等の一部を改正する法律(平成23年法律第63号)により、中小企業等に対する特許料減免期間を3年から10年にするなど、料金負担の軽減を図った。

具体的施策
1.特許出願技術動向調査【23年度予算:5.8億円】
 研究開発戦略や知的財産戦略構築を支援するために特許出願動向等について調査を行い、特許庁ホームページ等を通じて情報発信している。
 平成23年度は「燃料電池」等の「グリーン・イノベーション」(環境・エネルギー)関連技術、「医用画像の利用技術」等の「ライフ・イノベーション」(医療・健康)関連技術等の9の技術テーマについて実施した。

2.知的財産権制度に関する普及【23年度予算:1.1億円】
 知的財産権制度に関する知見・経験のレベルに応じて、知的財産権制度の概要や基礎的知識について説明する初心者向けと、特許・意匠・商標の審査基準や、審判制度の運用、国際出願の手続等、専門性の高い内容を分野別に説明する実務者向けの説明会を行っている。平成23年度は、初心者向け説明会を47都道府県で56回開催、実務者向け説明会を全国の20都市で88回開催した。
 また、特許法等の一部を改正する法律が成立したことに伴い、特許法等改正説明会を全国の18都市で19回開催した。

3.中小企業知的財産権保護対策事業【23年度予算:0.3億円】
 海外展開を図る我が国中小企業の知的財産権保護を図る観点から、ジェトロが有する海外ネットワークを活用して、中小企業の個別要望に基づいた知的財産権の侵害状況調査等の実施を支援するとともに、調査に要する経費の一部を補助した。平成23年度の採択件数は12件であった。

4.特許戦略ポータルサイト【23年度予算:0.1億円】
 特許庁ホームページ内の特許戦略ポータルサイトでは、パスワード交付申込みのあった出願人に対し、インターネットを通じて、自社の直近10年間の特許出願件数、審査請求件数、特許査定率等のデータが掲載された「自己分析用データ」を提供している。パスワード交付申込みのあった企業数は、平成24年3月末現在で約1,200社となっている。

5.中小企業向けの特許料等の軽減
 積極的に研究開発を行う中小企業等に対し、その研究開発成果の特許化を通じて新たな事業活動の展開ができるよう、審査請求料や特許料(第1年分から第3年(場合により第6年)分)を半額に軽減した。

6.審査請求料の納付繰延べ
 昨今の景気の悪化を受けて、中小企業等の資金的な負担を軽減するための緊急的な措置として、出願審査請求書の提出日から1年間に限り、審査請求料の納付を繰り延べることができるものである。平成21年4月1日から実施し、平成23年12月末現在の利用実績は41,906件に上った。

7.早期審査・早期審理制度
 出願人や審判請求人が中小企業者の場合、「早期審査に関する事情説明書」や「早期審理に関する事情説明書」を提出することにより、通常に比べ早期に審査又は審判を受けられるようにする早期審査・早期審理を実施した。また、平成23年8月からは、東日本大震災により被災した企業等が知財を活用し、復興していくことを支援するため、被災した者や被災地の事業所等からの特許出願を早期審査・早期審理の対象に追加した。

8.営業秘密の適切な保護
 刑事訴訟手続において営業秘密の内容が公になることを恐れて、中小企業等の被害企業が告訴を躊躇する事態が生じることの無いよう、不正競争防止法の改正を行い、裁判所が営業秘密の内容を公開の法廷で明らかにしない旨の決定や別の呼称等を用いることができることとするとともに、公判期日外において証人尋問等を行うことができることとする手続を整備した。
 また、同法の施行を受け、企業が価値ある情報を適切に管理するための方法をまとめた「営業秘密管理指針」を改訂し(平成23年12月1日)、営業秘密侵害罪に係る刑事訴訟手続において、裁判所等が営業秘密の内容を秘匿するための措置を実効的かつ適切に講じるにあたり、被害企業がとるべき協力の在り方を紹介した。
 あわせて、「営業秘密管理指針」を用い、全国各地で営業秘密管理に関する説明会や専門家による無料相談会を開催し、営業秘密管理の重要性について周知・普及するための活動を行った。

9.知的財産情報の高度活用による権利化推進事業【INPIT交付金】
 (独)工業所有権情報・研修館(INPIT)において、海外での事業展開が期待される有望技術を有する中小企業等に対して、知的財産マネジメントの専門家(海外知的財産プロデューサー)により、海外での事業内容や海外展開先の状況・制度等に応じた知的財産戦略策定等、中小企業の海外における事業展開を知的財産活用の視点から支援した。平成23年度は、6人の海外知的財産プロデューサーにより、約110件の支援を行った。

10.中小企業の知財に関するワンストップサービスの提供【23年度予算:18.5億円】
 中小企業等が企業経営の中で抱える知的財産に関する悩みや課題に対し、その場で解決を図るワンストップサービスを提供するため「知財総合支援窓口」を都道府県ごとに設置し、窓口に支援担当者を配置した。また、専門性が高い課題等には知財専門家を活用し共同で解決を図るほか、中小企業支援機関等との連携、知財を有効に活用できていない中小企業等の発掘等を通じて、中小企業等の知財活用の促進を図った。平成23年度の窓口利用件数は91,036件(平成24年2月末現在)に上った。

11.地域中小企業外国出願支援事業(外国出願費用負担の軽減)【23年度予算:0.8億円】
 中小企業者における戦略的な外国への特許出願等を促進するため、都道府県等中小企業支援センターを通じて、中小企業の外国出願(特許、意匠、商標)にかかる費用の一部(現地代理人費用、翻訳費用等)を助成した。平成23年度の支援実績は111社(平成24年2月末現在)に上った。

第4節 人権啓発の推進
 中小企業者等に対して、人権尊重の理念を広く普及させ、人権意識の涵養を図るため、民間団体等や地方公共団体に委任し、講演会の開催、パンフレットの作成等を実施した。【23年度予算:1.9億円】

第5節 調査・広報の推進
1.施策の広報
 中小企業施策を広報するため、施策のポイントをまとめたパンフレットやチラシを作成し、各地方公共団体や中小企業支援機関等に配付したほか、イベント「一日中小企業庁」の開催等により、広く広報を実施した。
(1)冊子類の発行
 中小企業施策を網羅した「施策利用ガイドブック」、施策別のパンフレットを作成し、中小企業、地方公共団体、中小企業支援機関、金融機関、中小企業を支援する税理士、弁護士、中小企業診断士等に広く配布した。
(2)チラシの発行
 「資金繰り」、「海外展開支援」、「人材支援」等、補正予算関連のチラシを作成し、冊子類と同様広く配布した。
(3)「一日中小企業庁」の開催
 開催地の都道府県と中小企業庁が共催し、地元中小企業者の方々に最新の施策を説明し、理解を深めていただくとともに、意見交換や交流の場を設け、今後の中小企業施策の見直し・拡充等に反映させるイベントを開催した。
 昭和39年度以来、毎年度開催しており、平成23年度は、岐阜県、青森県において開催した。
(4)インターネットを活用した広報
〔1〕ホームページによる広報
 中小企業庁ホームページにおいて、中小企業施策に関する最新情報、公募に関する情報、印刷を行ったチラシ・冊子等を公表した。平成23年度は、年間約2,836万ページビューのアクセスがあった。
〔2〕メールマガジン
 各中小企業支援機関と連携し、元気な中小企業の紹介、施策情報、地域情報、調査・研究レポート等の情報をメルマガ登録者に、毎週水曜日に配信した。メルマガ登録総数は約71,000件(平成24年3月現在)。
〔3〕モバイル中小企業庁
 携帯電話専用の中小企業施策検索サイトを運営し、最新の中小企業支援策等の情報提供を行った。平成23年度は、年間約31万ページビューのアクセスがあった。また、毎週水曜日に携帯版メールマガジンを配信した。登録総数は約2,900件(平成24年3月現在)。
(5)J-Net21(中小企業ビジネス支援ポータルサイト)
 中小企業支援に関するポータルサイトを運営し、必要な情報源にスムーズに到達できるサービス体制を提供した。平成23年度は、年間約4,290万ページビューのアクセスがあった。

2.中小企業白書の作成等
 中小企業の現状や課題を把握するため、中小企業基本法第11条の規定に基づく年次報告等(2011年度版中小企業白書)を作成するとともに、規模別製造工業生産指数の作成等を行った。

3.中小企業実態基本調査
 中小企業の売上高、従業者数等の経営・財務情報に関する統計を整備するため、中小企業基本法第10条の規定に基づく中小企業実態基本調査を実施した。

4.中小企業景況調査の公表
 中小企業の景気動向を把握するため、四半期ごとに中小機構が実施する中小企業景況調査の公表を行った。


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