第2部 多様性が織りなす中小企業の無限の可能性 

8.廃業で失われる経済的資源

 廃業が取引先に与える影響の大きなものとして、今まで廃業企業が供給していた製品や技術などの喪失に伴うものと、廃業事業者による発注量が無くなることに伴う取引先の収入の減少が考えられる。
 製品や技術の喪失について「小規模企業経営者の引退に関する実態調査」の回答を見てみると、元経営者の自己判断ではあるが「商品・技術の確保難により、事業を縮小した取引先があった」と回答した経営者が14.9%存在した。
 一方、元経営者側の回答に基づけば、「競争相手や同業者と比べて独自の仕入れ先や商品の陳列方法、技術、ノウハウなどの」「強みがあったと思う」と回答する企業が43.6%存在した。しかし、その強みを「伝授した」という回答は38.0%に留まり、多くは廃業に伴って失われてしまったと推察される(第2-3-92図)。

 
第2-3-92図 事業上の強みの有無と伝授
〜強みがあった企業は約4割存在したが、その強みを伝授したのはそのうちの約4割に留まる〜

第2-3-92図 事業上の強みの有無と伝授〜強みがあった企業は約4割存在したが、その強みを伝授したのはそのうちの約4割に留まる〜
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 ここで言う「強み」は、非常に幅広い範囲のものであり、一つ一つの強みはそのまま特許になったり、それだけで大きな利益をもたらしたりするようなものばかりではないであろう。しかし、こういった強みの積み重ねこそが経済の発展や活力の源泉であるとするならば、これらが廃業によって失われていくこと自体、経済資源の損失と言えるであろう。

 

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