第4章 取引環境の改善を始めとする事業環境整備等
第1節 取引環境の改善
1.電子受発注システム普及促進に向けた実証事業【令和3年度補正予算:8.0億円の内数】
発注側企業と受注側企業との間での取引の適正化や取引環境の改善を促進するため、〔1〕中小企業において活用しやすい業界共通EDIの策定、〔2〕当該EDIを策定するためのガイドラインの策定、〔3〕中小企業の国内外の電子受発注実態調査、〔4〕関係省庁や業界横断の会議体による実証成果を踏まえた適正な電子受発注の普及方策の検討、を実施する。
2.下請等中小企業の取引条件の改善【令和3年度補正予算:8.0億円の内数、令和4年度当初予算:23.0億円の内数】
「未来志向型の取引慣行に向けて」(2016年9月)の公表以降、中小企業庁では、取引適正化に向けた重点5課題(〔1〕価格決定方法の適正化、〔2〕支払条件の改善、〔3〕型取引の適正化、〔4〕知財・ノウハウの保護、〔5〕働き方改革に伴うしわ寄せ防止)を設定し、サプライチェーン全体にわたる取引環境の改善に向けた取組を行ってきたところ。
(1)パートナーシップ構築宣言の推進、(2)「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(2021年12月27日)に基づく価格転嫁対策、(3)価格交渉促進月間、(4)取引適正化に向けた5つの取組など、特に、価格転嫁のしやすい取引環境の整備に向け必要な対策を講じていく。2022年度に実施する具体的な取組内容としては、下記の通り。
(1)パートナーシップ構築宣言の推進
中小企業・小規模事業者に経営環境悪化のしわ寄せが及ばないよう取引適正化等を促進するために導入した「パートナーシップ構築宣言」の宣言企業数拡大のための周知を行うとともに、宣言内容の実効性向上に向けたフォローアップに取り組む。
(2)パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ
中小企業等が賃上げの原資を確保出来るよう、コスト上昇分を適切に転嫁できることを目的とし、2021年12月27日に「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」がとりまとめられた。同パッケージに基づき、中小企業庁と公正取引委員会は、事業所管省庁などとも連携し、下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」という。)の執行強化等、価格転嫁に向けた取組を実施する。
(3)価格交渉促進月間
9月と3月を価格交渉促進月間と設定し、広報や講習会を集中的に実施するとともに、月間終了後には、下請Gメンによる中小企業へのヒアリング調査や、アンケート調査など、フォローアップ調査を実施し、その結果を公表する。また、その結果に基づき、価格転嫁や価格協議の状況について、問題があるおそれがある発注側企業に対して、下請中小企業振興法(以下、「下請振興法」という。)に基づく指導・助言を実施する。年2回、「価格交渉促進月間」を実施することで、価格交渉の定着と浸透を図る。
(4)取引適正化に向けた5つの取組
〔1〕価格交渉のより一層の促進、〔2〕パートナーシップ構築宣言の大企業への拡大、実効性の向上、〔3〕下請取引の監督強化、〔4〕知財Gメンの創設と知財関連の対応強化、〔5〕約束手形の2026年までの利用廃止への道筋に取り組む。
3.下請代金支払遅延等防止法(下請法)の運用【令和4年度当初予算:23.0億円の内数】
下請取引適正化、下請事業者の利益保護のため、公正取引委員会と中小企業庁が密接な協力関係の下、下請法を執行する。公正取引委員会及び中小企業庁が親事業者等に対して書面調査等を実施するとともに、下請法違反に関する情報提供や申告等を受け付けて精査するなど、下請法の厳格な運用に努める。
4.下請中小企業振興法(下請振興法)に基づく対応【令和3年度補正予算:8.0億円、令和4年度当初予算:23.0億円の内数】
大企業と中小企業との取引の適正化をはかるため、必要に応じて、振興基準を改正するなど所要の措置を講じる。また、年に2回実施する価格交渉促進月間のフォローアップ調査結果を踏まえ、価格転嫁や価格協議の状況について、問題があるおそれがある発注側企業に対しては、下請振興法に基づく指導・助言を行う。
5.下請かけこみ寺の運営【令和4年度当初予算:23.0億円の内数】
全国48か所に設置した「下請かけこみ寺」において、中小企業の取引に関する相談対応や、裁判外紛争解決手続(ADR)にかかる相談などを実施する。
6.講習会・セミナーの開催等【令和3年度補正予算:8.0億円の内数】
〔1〕価格交渉促進月間の実施にあわせた、中小企業の担当者を対象とする価格交渉サポートセミナーや、〔2〕下請法の違反行為を未然に防止するための親事業者の調達担当者等を対象とした下請法や下請ガイドラインに関するセミナーなどを開催する。
7.消費税転嫁状況監視・検査体制強化等事業【令和4年度当初予算:23.0億円の内数】
消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、消費税転嫁対策調査官を配置し、取引先に買いたたき等の消費税転嫁拒否行為を行っている可能性がある事業者に対し、立入検査等を実施する。違反行為が確認された場合は、違反事業者に対して改善指導を行う。
8.デジタル取引環境整備事業【令和4年度当初予算:7.1億円】
デジタルプラットフォーム(オンラインモール、アプリストア、デジタル広告)を利用する中小事業者等(出店事業者、デベロッパー、広告主、媒体社等)向けに、取引上の悩みや相談に専門の相談員が無料で応じる「デジタルプラットフォーム取引相談窓口」を設置するとともに、各種デジタルプラットフォームを巡る取引環境等を把握するための市場調査等を実施する。
第2節 官公需対策
1.中小企業・小規模事業者の受注機会増大のための取組【令和4年度当初予算:23.0億円の内数】
(1)「令和4年度中小企業者に関する国等の契約の基本方針」の策定及び周知
毎年度策定する「中小企業者に関する国等の契約の基本方針」において、国等の中小企業者向け契約目標、中小企業者の受注機会の増大のために実施する措置等を閣議決定する。また、同基本方針を周知徹底するため以下の取組を実施する。
〔1〕経済産業大臣から各府省等の長、都道府県知事、全市町村の長及び東京特別区の長に対し、文書により基本方針の趣旨を説明するとともに、中小企業・小規模事業者の受注機会の増大に努めるよう要請する。
〔2〕地方自治体に対し基本方針の周知徹底を図るため、説明会(官公需確保対策地方推進協議会)を全国各地で開催する。
〔3〕基本方針をはじめとした国の施策や調達に関する取組事例などの情報共有を行い、国と地方自治体との連携方策を協議するための会議(都道府県中小企業者調達推進協議会)を開催する。
(2)「官公需情報ポータルサイト」の運用
中小企業・小規模事業者が官公需に関する発注情報を入手しやすくするため、国等や地方公共団体がホームページで提供している発注情報等を中小企業・小規模事業者が一括して入手できる「官公需情報ポータルサイト」を運営する。
第3節 人材・雇用対策
1.中小企業・小規模事業者人材対策事業【令和4年度当初予算:8.4億円】
中小企業の海外ビジネス担当者を対象に、座学学習に加え、グループワークを通じた課題解決の実践や、海外の市場調査経験ができるプログラムを提供する。加えて、非対面・遠隔での商談形態が浸透していることを踏まえ、こうした商談の成立において重要となる、資料作成やプレゼンテーション、会議運営等の技術の習得を支援する。
2.中小企業基盤整備機構における人材育成事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】
中小企業大学校と中小企業基盤整備機構地域本部において、中小企業の経営者、管理者等を対象に経営課題の解決に直接結びつくような研修等を実施する。2022年度においては、新たな政策課題への対応として、支援担当者に対する経営力再構築伴走支援に関する研修や、経営者等に対する事業再構築や再チャレンジ等の研修も実施する。
また、地域中小企業等からのアクセス改善に向けた「サテライト・ゼミ」等の実施や、豊富なメニューを揃えたウェブ活用型研修「WEBee Campus」の拡充、ケースメソッド型の高度実践プログラムを行う。
3.労働者の雇用維持対策【令和4年度当初予算:5,552億円】
景気の変動等に伴う経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業、教育訓練又は出向により、労働者の雇用の維持を図った場合に、雇用調整助成金を支給するとともに、不正受給防止対策にも積極的に取り組み、本助成金のより一層の適正な支給に努める。
4.魅力ある職場づくりに向けた雇用管理の改善の支援【令和4年度当初予算:48.1億円】
人材確保等支援助成金においては、建設事業主団体が建設労働者の処遇改善やキャリアパスの明確化を図り、もって若年者等の建設業への入職・定着促進による担い手の確保、魅力ある労働環境づくりに向けた基盤整備及び職業能力開発の促進に資するよう、建設キャリアアップシステム等の普及促進に取り組んだ場合に助成を行う「建設キャリアアップシステム等普及促進コース」を創設する。
5.地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)【令和4年度当初予算:11.5億円】
地域における雇用の創出及び安定を図るため、雇用機会の不足している地域等において事業所の設置又は整備を行い、併せて地域の求職者等を雇い入れる事業主に対して、設置等の費用及び雇入れ人数に応じて助成を行う地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)を支給する。
6.中途採用等支援助成金(UIJターンコース)【令和4年度当初予算:1.0億円】
東京一極集中の是正を図るとともに、人手不足に直面する地域の企業の人材確保を図るため、地方公共団体が地方創生推進交付金(移住・起業・就業タイプ)を活用して実施する移住支援事業により移住した者を雇い入れた事業主に対して、その採用活動に要した経費の一部を助成する。
7.地域活性化雇用創造プロジェクト【令和4年度当初予算:58.5億円】
地域における良質な雇用の実現を図るため、地域雇用の課題に対して、国や都道府県の施策との連携を図りつつ、新型コロナウイルス感染症の影響等を受けた地域雇用を再生するため事業主の業種転換や求職者のキャリアチェンジや、成長分野や人材不足分野における魅力ある雇用の確保や就職促進等に取り組む都道府県に対して支援を実施する。
8.成長分野等への人材移動の促進【令和4年度当初予算:17.1億円】
労働移動支援助成金(再就職支援コース)により、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者(再就職援助計画対象者等)に対する再就職支援を民間職業紹介事業者への委託等により行う事業主に対して助成を行う。
また、再就職援助計画対象者等を早期に雇い入れた事業主に対して労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)を支給し、当該労働者に対して訓練を実施した事業主に対してはさらに追加の助成を行う。2021年度においては当面の間、優遇助成(生産性指標等により一定の成長性が認められる企業が、事業再編等を行う企業等から離職した者を雇い入れた場合の助成)について、新型コロナウイルス感染症の影響により離職した45歳以上の者を離職前と異なる業種の事業主が雇い入れた場合に、助成額の加算を行う。
加えて、中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)により、中途採用者の能力評価、賃金、処遇の制度を整備した上で中途採用者の採用を拡大させた事業主に対する助成を行う。
9.新たな学び直し・キャリアパス促進事業【令和4年度当初予算:8.6億円】
大企業・スタートアップ等の間の人材交流を促進するべく、大企業等に所属する人材が、副業・出向等により中小企業・スタートアップへ経営参画する場合等の費用の支援、および起業に失敗した人材等が再度の起業に向けた準備を行う期間、雇用や業務委託を図る企業の支援を行う。
10.人材確保対策推進事業【令和4年度当初予算:44.4億円】
「人材確保対策コーナー」の拡充等を行い、人材不足分野におけるマッチング支援の強化を図る。
11.地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業(若手人材確保プロジェクト実証)【令和4年度当初予算:6.5億円の内数】
地域の共通課題である若者人材の流出防止・流入促進のため、民間事業者等が複数の地域企業を束ね、業界団体、経営支援機関、自治体等とも連携し、地域ぐるみで若者人材に向けた仕事やキャリアステップを作り、求人・採用、人材育成、キャリア支援等を行う総合的な取組を支援する。
12.若者雇用促進法に基づくユースエール認定制度【令和4年度当初予算:3.1億円】
若者の雇用管理が優良な中小企業について、「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭和45年法律第98号)に基づき、厚生労働大臣が「ユースエール認定」企業として認定し、中小企業の情報発信を後押しすることにより、当該企業が求める人材の円滑な採用を支援する。
13.最低賃金の引き上げに向けた中小企業・小規模事業者支援【令和3年度補正予算:135.1億円、令和4年度当初予算:122.1億円】
最低賃金・生産性向上による賃金の引上げに向けた中小企業・小規模事業者の生産性向上等のための支援として、
〔1〕働き方改革に関する相談等にワンストップで対応するため、「働き方改革推進支援センター」を全国(47カ所)に設置し、無料の相談対応・専門家派遣を実施する。
〔2〕生産性を高めながら労働時間の縮減等に取り組む中小企業・小規模事業者や、傘下企業の労働時間短縮や賃上げに向けて生産性向上に資する取組を行った中小企業団体に対し、その取組に要した費用を助成する。
〔3〕全国の中小企業・小規模事業者を対象として、生産性向上のための設備投資等を行い、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い時間給)を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などに要した費用の一部を助成する。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、特に業況が厳しい中小企業・小規模事業者を対象とする特例コースにより、対象となる設備投資等の範囲を拡大して助成する。
14.キャリアコンサルティングの普及促進
企業(人事管理・人材育成)、労働力需給調整機関(職業マッチング)、学校(キャリア教育)などにおいて、キャリアコンサルティングの普及を進める。また、2016年4月に国家資格化されたキャリアコンサルタントについて、引き続き養成と周知に取り組む。さらに、2020年度に運営開始したキャリア形成サポートセンターにおいて、労働者等に対するキャリアコンサルティングの機会の提供とともに、企業に対するセルフ・キャリアドック(※)の導入を推進する。
(※)企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組、また、そのための企業内の仕組み。
15.(再掲)起業家教育事業【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】
16.(再掲)中小企業連携組織対策推進事業【令和4年度当初予算:6.0億円】
17.(再掲)地域デジタル人材育成・確保推進事業【令和3年度補正予算:13.6億円、令和4年度当初予算:15.9億円の内数】
18.中小企業向け賃上げ促進税制【税制】
中小企業全体として雇用を守りつつ、積極的な賃上げや人材投資を促す観点から、所得拡大促進税制について、税額控除率を最大40%に大幅に引き上げるなどの見直しを行った上で、適用期限を令和5年度末までとする。具体的には、雇用者給与等支給額を前年度より1.5%以上増加させた場合には、雇用者給与等支給額の増加額の15%を税額控除できることとする。さらに、雇用者給与等支給額を前年度より2.5%以上増加させた場合には控除率を15%加算し、教育訓練費を前年度より10%以上増加させた場合には控除率を10%加算できることとする。
第4節 資金繰り支援
1.セーフティネット貸付【財政投融資】
日本政策金融公庫が、社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化を来たしている中小企業・小規模事業者等の資金繰りを支援する。
2.資本性劣後ローンの推進【財政投融資】
日本政策金融公庫が、新事業展開や経営改善に取り組む中小企業・小規模事業者に対し、財務体質を強化するとともに、民間金融機関からの資金調達の円滑化を図るため、金融機関の資産査定上自己資本とみなし得る一括償還の資金(資本性資金)を供給することで、中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援する。
3.日本政策金融公庫による設備投資の推進等補給金【財政投融資】
日本政策金融公庫が、新事業やビジネスモデルの転換等、生産性向上を図るための設備投資について適用利率を引き下げることで、中小企業・小規模事業者の資金繰りを支援する。
4.沖縄の中小企業金融対策【財政投融資】
沖縄振興開発金融公庫を活用した沖縄の中小企業対策は、日本政策金融公庫が行う業務・取組について同様に行うとともに、沖縄の特殊事情を踏まえ独自の貸付制度を拡充する。
5.小規模事業者経営発達支援融資事業【財政投融資】
事業の持続的発展に取り組む小規模事業者を支援するため、経営発達支援計画の認定を受けた
商工会・商工会議所による経営指導を受ける小規模事業者に対し、日本政策金融公庫が低利で融資を行う。
6.小規模事業者経営改善資金融資事業(マル経融資)【財政投融資】
東日本大震災、令和元年台風第19号等、新型コロナウイルス感染症及び令和2年7月豪雨災害により直接又は間接的に被害を受けた小規模事業者に対し、無担保・無保証人・低利で利用できる日本政策金融公庫によるマル経・衛経融資の貸付限度の拡充や金利の引下げを実施する。
7.(再掲)民間金融機関を通じた資金繰り支援(信用保証制度)
8.(再掲)中小企業・小規模事業者経営力強化融資【財政投融資】
9.(再掲)中小企業活性化協議会【令和3年度補正予算:7.4億円の内数、令和4年度当初予算:157.7億円の内数】
10.経営支援と一体となった高度化融資による設備資金の支援【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】
工場団地・卸団地、ショッピングセンター等の整備、商店街のアーケード・カラー舗装等の整備などを行う中小企業組合等に対して、都道府県と中小企業基盤整備機構が一体となってその設備資金を長期・低利(又は無利子)で貸付ける。貸付けに際しては、事前に事業計画について専門的な立場から診断・助言を行う。
11.金融行政における中小企業・小規模事業者に対する経営支援の強化等
金融機関に対し、担保・保証に過度に依存することなく、取引先企業の事業の内容や成長可能性等を適切に評価(事業性評価)することを通じて、企業に有益なアドバイスとファイナンスを行うよう促す。
第5節 経営安定対策
1.原油価格上昇等に対する中小企業対策
ウクライナ情勢の緊迫化及び原油高の影響を受けた中小企業・小規模事業者に対する支援策として、2022年3月に行った以下の対策を継続する。
(1)特別相談窓口の設置
日本政策金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、都道府県商工会連合会、都道府県中小企業団体中央会及びよろず支援拠点、並びに全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構各地域本部及び各地方経済産業局に「ウクライナ情勢・原油価格上昇に関する特別相談窓口」を設置し、ウクライナ情勢の変化や、原油価格上昇の影響により資金繰りに困難を来している中小企業者に対する資金繰りや経営に関する相談を受け付ける。
(2)セーフティネット貸付の運用緩和
日本政策金融公庫等が実施するセーフティネット貸付の要件を緩和し、支援対象を原油高等により今後の影響が懸念される事業者にまで拡大するとともに、金利を引き下げる。
(3)下請事業者に対する配慮要請
関係事業者団体約1,500団体に対して、原材料・エネルギーコスト増加分の適正な価格転嫁等を要請する経済産業大臣名の文書を発出した上で、取引の適正化を進める。
2.コロナ下における燃料油価格激変緩和対策事業【令和3年度当初予算:70億円、令和3年度予備費:323億円、令和3年度補正予算:500億円】
燃料油価格の激変緩和措置を講じることで、原油価格高騰がコロナ下からの経済の回復の重荷になる事態を防ぎ、経済回復の妨げとならないことを目指すため、以下を実施する。
〔1〕ガソリン価格の全国平均が170円以上となった場合、円建の原油価格の変動による卸価格上昇分につき、ガソリン・軽油・灯油・重油1Lあたり上限5円の範囲内で国が元売事業者等に原資支給。
〔2〕激変緩和の趣旨に即して、支給開始後は、4週間ごとに基準価格を170円から1円ずつ段階的に切り上げていく。
〔3〕対象期間中にガソリン価格が発動要件を下回った場合は、支給を停止。
3.中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済制度)【中小企業基盤整備機構運営費交付金の内数】
中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業の倒産により売掛金債権の回収が困難となった場合に、積み立てた掛金の額に応じて無利子、無担保、無保証人で共済金の貸付けを行う制度を引き続き実施する。
4.経営安定特別相談事業
経営の危機に直面した中小企業の経営上の様々な問題の解決に資するため、全国の主要な商工会議所及び都道府県商工会連合会に「経営安定特別相談室」を設置し、本相談室において、経営安定に関する幅広い分野の経営相談が円滑に実施されるよう日本商工会議所及び全国商工会連合会の実施する指導事業等の支援を実施する。
5.中小企業BCP(事業継続計画)普及の促進
自然災害等による事業中断を最小限にとどめることを目的に、引き続きBCP(事業継続計画)の策定を促進することを目的に「中小企業BCP策定運用指針」を作成し、公表する。
6.ダンピング輸入品による被害の救済【令和4年度当初予算:18.5億円の内数】
貿易救済措置のうちアンチダンピング措置は、他国企業から我が国に対するダンピング輸入により、国内産業が損害を受けた際に、国内産業からの申請に基づき政府が調査を実施した上で関税を賦課することにより、公正な市場競争環境を確保する措置である。2022年度も、国内産業からの申請を受け、国際ルール及び国内法令に基づき公正かつ適切に調査を進めていく。また、企業等への説明会やWTO協定整合的に調査を行うための調査研究を実施する。
7.中小企業防災・減災投資促進税制【税制】
中小企業等経営強化法における「事業継続力強化計画」又は「連携事業継続力強化計画」の認定を受けた中小企業・小規模事業者が、当該計画に記載された、自家発電設備や止水板、及び感染症対策のためのサーモグラフィ装置等の防災・減災設備を取得し、事業の用に供した場合に、特別償却ができる措置を引き続き講じる。
第6節 財務基盤の強化
1.中小企業等の法人税率の特例【税制】
中小企業の年間800万円以下の所得金額に対する法人税率を、19%から15%に引き下げる措置を引き続き講じる。
2.中小企業投資促進税制【税制】
機械装置等を取得した場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(税額控除は資本金3,000万円超の法人を除く)ができる措置を引き続き講じる。
3.中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例【税制】
取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、年間300万円を限度に、全額損金算入することができる措置を引き続き講じる。令和4年度税制改正において、対象資産から貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供した資産を除外した上、適用期限を2年延長することとしている。
4.欠損金の繰越控除・繰戻還付【税制】
欠損金の繰越控除は、当期の事業年度に生じた欠損金を繰り越して翌期以降の事業年度(繰越期間:10年間)の所得金額から控除することができる措置を引き続き講じる。また、欠損金の繰戻還付は、当期の事業年度に生じた欠損金を1年繰戻して法人税の還付を請求することができる措置を引き続き講じる。
5.交際費等の損金不算入の特例【税制】
交際費等を支出した場合、〔1〕定額控除限度額(年間800万円)までの損金算入または〔2〕支出した接待飲食費の50%までの損金算入のいずれかを選択適用できる措置を引き続き講じる。令和4年度税制改正において、適用期限を2年延長することとしている。
6.中小企業投資育成株式会社による支援
中小企業投資育成株式会社において、中小企業の自己資本の充実を促進し、その健全な成長発展を図るため、株式、新株予約権、新株予約権付社債等の引受けによる投資事業及び経営相談、事業承継支援等の育成事業を実施する。
第7節 人権啓発の促進
1.人権教育・啓発活動支援事業【令和4年度当初予算:1.9億円】
健全な経済活動の振興を促進するため、事業者を対象とした人権啓発のためのセミナー等の啓発事業を実施する。また、小規模事業者等が多く、特に重点的な支援が必要な地域又は業種に係る小規模事業者等の活性化のため、経営等の巡回相談事業及び研修事業を実施する。
第8節 経営支援体制の強化
1.事業環境変化対応型支援事業【令和3年度補正予算:130.4億円】
中小企業を取り巻く環境が大きく変化する中で、経営の方向性を見極めることが徐々に難しくなっており、不確実性の高い時代において、生産性向上、事業継続、販路拡大等を実現していくための各種支援を実施する。
〔1〕中小企業大学校における研修プログラムの作成及び支援者への研修プログラムの提供、中小企業支援の実施
中小企業大学校にて、「対話と傾聴」や「経営者の経営課題の真因を引き出す手法」等に関する研修プログラムを開発する。その上で、支援人材を公募(企業経営者OB、経営指導員OB、フリーランスの診断士等を想定)し、研修プログラムを受講してもらい、「経営力再構築伴走支援」の担い手として支援を実施する。
〔2〕中小企業支援機関の相談体制等の強化
商工会・商工会議所等の中小企業支援機関における相談窓口・巡回指導の体制を強化し、インボイス対応、デジタル化等の事業環境変化による影響を受ける中小・小規模事業者からの経営相談や各種申請サポート等を実施する。
〔3〕デジタル化診断ツールの開発及び診断業務の実施
中小・小規模事業者が、デジタル化の重要性に気づき、デジタル化に当たって必要な対応を明確化できるよう「デジタル化診断ツール」を開発し、Webやよろず支援拠点等を通じ、10万の中小・小規模事業者に診断を実施する。また、「デジタル化診断」相談・対応事務局等において、当該診断を受けた事業者からの相談を受け付け、事業者に必要なデジタル化の取組についてアドバイスを実施する。さらに、必要に応じて、必要な専門家派遣の調整や適切な支援機関の紹介等を行い、他事業とも連携しながら事業者を支援する。
2.中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業【令和4年度当初予算:40.0億円】
中小企業・小規模事業者等が抱える様々な経営課題に対応するワンストップ相談窓口として、各都道府県に「よろず支援拠点」を設置する。また、よろず支援拠点や商工会・商工会議所等では解決困難な課題に対して、それぞれの課題に対応した専門家を派遣し、その解決を支援する。さらに、オンラインで個社に適した支援策等が見つかる仕組みや官民連携による経営支援の仕組みを実証的に設け、支援サービスの効率化・高度化につなげる。
3.(再掲)中小企業連携組織対策推進事業【令和4年度当初予算:6.0億円】
4.ローカルベンチマークの活用促進
ローカルベンチマークを活用した企業の事業性評価に基づく、経営改善や生産性向上に向けた取組を引き続き推進する。具体的には、中小企業・小規模事業者支援施策との効果的な連携を検討するほか、各支援機関などのローカルベンチマーク活用に関する取組のフォローアップ等を行う。