2020年版 小規模企業白書の概要
第1部では、中小企業・小規模事業者の動向に関する分析に加え、中小企業・小規模事業者の労働生産性、新陳代謝、多様性と役割・機能について分析を行う。
第2部では、地域の課題と小規模事業者の存在感について確認した上で、地域の生活や雇用を支える小規模事業者の取組について分析する。
第3部では、中小企業政策の変遷を確認した上で、中小企業・小規模事業者における経営課題への取組、中小企業支援機関の役割について分析する。
※小規模企業白書が対象とする「小規模企業」とは、小規模企業振興基本法(第2条第1項)に定義された、おおむね常時使用する従業員の数が20人以下(商業又はサービス業は5人以下)の事業者のことである。なお、本白書の本文中では、「小規模企業」に、会社のみならず、個人事業者も含まれることをわかりやすく記すため、「小規模企業」のことを「小規模事業者」としている。
第1部 令和元年度(2019年度)の小規模事業者の動向
●中小企業・小規模事業者の動向
中小企業・小規模事業者の業績は2019年以降横ばいから低下傾向で推移し、業況にも一服感が見られること、感染症の影響による厳しい状況が続くと見込まれる中、多様な課題に対処する必要があることなどを示す。
●中小企業・小規模事業者の労働生産性
中小企業の労働生産性が横ばい傾向で推移しており、業種に関わらず大企業との格差が存在していること、その一方で、中小企業の中にも大企業の労働生産性を上回る企業が一定程度存在することなどを示す。
●中小企業・小規模事業者の新陳代謝
企業の廃業は、経済全体の生産性向上に寄与する側面がある一方、生産性の高い企業の廃業も一定程度生じていることなどを示す。また、生産性の高い企業の廃業の背景には、経営者の高齢化と後継者不足があると考えられ、企業の貴重な経営資源を散逸させない事業承継の取組が重要性を増していることなどを示す。
●中小企業・小規模事業者の多様性と役割・機能
中小企業・小規模事業者の「目指す姿」を四つの類型に分類した上で、それぞれの特徴を分析し、業種だけでは捉えきれない異質性を有することなどを示す。
第2部 地域で価値を生み出す小規模事業者
●地域の課題と小規模事業者の存在感
人口密度が低い地域では、小規模事業者の存在感が相対的に大きいこと、地域において、商店街の衰退や生活インフラの脆弱化、地域労働市場のミスマッチ、地場産業の衰退などが大きな課題となっていることなどを示す。
●地域の生活を支える小規模事業者
商店街の来街者数が減少する中で、店舗数も減少しており、空き店舗問題が顕在化してきていること、地域の小規模事業者にとって身近な住民の需要の確保がまずは重要と考えられることなどを示す。
●地域における雇用と小規模事業者
地域の小規模事業者は、女性や高齢者が継続して長く働ける環境を提供していることなどを示す。
●付加価値の創出に向けた取組と地域活性化
人口密度の低い地域では地域外需要の獲得が必要となること、地域課題解決への取組が新たな事業機会につながることなどを示す。
第3部 中小企業・小規模事業者と支援機関
●中小企業政策の変遷
我が国の中小企業政策の基本理念や基本方針を定める中小企業基本法や、中小企業支援体制の変遷について概観する。
●中小企業・小規模事業者における経営課題への取組
現状把握、経営計画の策定・運用を行う上で、外部支援の活用が有効であること、日常の相談相手の存在が経営にとって有益であることなどを示す。
●中小企業支援機関の役割
支援機関ごとにも強み・弱みが存在すること、「商品・サービスの開発等」や「技術・研究開発」の分野で支援機関同士の更なる連携が期待されることなどを示す。