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平成15年度 中小企業対策
概算要求及び財政投融資要求の概要

平成14年8月
中小企業庁
I. 基本的考え方

 我が国経済全体は、外需をテコに底入れしたと見られるが、中小企業の景況は、依然厳しい。
 中小企業は、大企業と比べ内需への依存度が大きく、空洞化等の構造問題もあって、今後、回復の跛行等の懸念がある。
 このような経済状況の下、やる気と能力を持ち、挑戦する中小企業の育成・発展を促し、我が国経済活性化・競争力強化を推進するため、以下の3つの考え方を基本に、概算要求及び財政投融資要求を行う。

金融セーフティネットと再生支援

 
  厳しい経済環境の中で、やる気と能力ある中小企業が破綻する事態を回避するため、金融セーフティネット対策に万全を期すとともに、再チャレンジの機会の提供等、事業再構築のための環境整備を行う。

挑戦する中小企業への支援


  創業・新事業への挑戦を強力に後押しして、経済活性化と雇用拡大の原動力である元気な中小企業の育成・発展を進める必要があるため、技術革新、人材の充実・育成、市場創出支援等、挑戦する中小企業に対して、強力かつ多面的な支援を行う。

中心市街地・商店街活性化支援


 地方経済の悪化の中で、街の顔である、中心市街地・商店街の活性化を図るため、各市町村の中心市街地基本計画等の内容や商店街の状況に応じて、きめ細かな支援を行う。

?.概算要求額及び財政投融資要求額

概算要求額

 

平成15年度要求額
平成14年度予算額
対前年増減
1,350億円
1,307億円
+43億円

※この他、財務省、厚生労働省において、585億円を計上(平成14年度:554億円)
・政府系金融機関に対する出資等(財務省計上) :541億円
・勤労者退職金共済機構に対する補助(厚生労働省計上): 44億円

財政投融資要求額(貸付規模)

 

15年度計画
14年度当初計画

13年度実績

中小企業金融公庫
注1 19,000
19,000
16,617
国民生活金融公庫 注2

注3 31,500

31,500

29,232

(うちマル経)
5,500
5,500
3,017


(注)

  1. 予想し難い経済事情の変動その他やむを得ない事情により、計画額に不足が生じる見込みが明らかになった場合には、財投からの借入及び債券限度額について5割を限度に増額することができる(弾力条項)ので、最大26,835億円の貸付規模を確保することが可能。
  2. 国民生活金融公庫は普通貸付ベース。
  3. 上記弾力条項に基づき、仮に弾力性の効果を全て普通貸付に振り向ければ、最大で53,055億円の貸付規模を確保することが可能。
  4. 商工組合中央金庫の貸付規模については、実需に応じ債券発行等による資金調達を的確に行い、所要の規模を確保することが可能。(平成15年度貸付規模計画(長期貸出額のみ)18,500億円)
?.重点項目

?.金融セーフティネットと再生支援


 資金繰り等依然厳しい状況の中で、やる気と能力ある中小企業までが破綻に追い込まれる事態を回避するため、金融セーフティネット対策に万全を期すとともに、事業再構築を促進するための環境整備を行う。

1.金融セーフティネット対策

(1)セーフティネット保証・貸付の充実
  現下の厳しい経済環境の下、挑戦する意欲と能力ある中小企業までが経営破綻に追い込まれるような事態を回避するため、引き続き、セーフティネット対策に万全を図る。    

セーフティネット保証・貸付
15年度要求額 22.0億円の内数(新 規)  

(2)売掛債権担保融資保証制度の充実   
 土地ではなく、中小企業が売掛先に対して有する債権を担保に金融機関から借り入れを行う場合に保証する売掛債権担保融資保証について、手続の改善等に取り組むとともに、一層の普及広報活動などを推進する。

売掛債権担保融資保証
15年度要求額 42.0億円の内数
14年度予算額      (42.0億円)

(3)再建途上の潜在力ある中小企業の再生支援
  民事再生法等により再建手続き中の中小企業の再生に資するため、DIPファイナンス(再建企業向け融資)制度の充実を図るとともに、法的再建過程にある中小企業への融資に対する保証制度等を検討する。     
 (政府系金融機関等が呼び水となり、民間金融機関の融資を促進)    

再建企業向け融資・保証
15年度要求額 13.0億円の内数(新 規)

2.事業再構築・活路開拓支援

 厳しい経営状況に追い込まれている中小企業が、自らの経営の現状を直視し、早期の経営改善の取り組みによる事業再構築や事業売却、又は円滑な退出等の見極めを促すような環境整備を行う。  

(1)経営進路形成支援
 CRD(中小企業信用リスク情報データベース)等を活用し、中小企業が経営実態を自己判断できるシステム(自社の財務状況をインプットすると、自社の倒産する確率や経営上の問題点を指摘するシステム)を構築し、ネット上(中小企業総合事業団のJ-Net21)で公開し自由な利用に供する。

経営実態把握サポートサイトの構築 
15年度要求額 1.9億円(新 規)  

(2)後継者確保・M&Aマッチング支援   
 事業再構築に当たり、後継者確保が重要な要素となる場合が多く、また、事業売却をもって活路を見出すケースが増加。中小企業の後継者探しや事業売却の支援を全国的規模で展開するため、ニーズを持つ中小企業、後継者人材、M&A取得希望企業等に関する情報を集積・提供するデータベースを構築し、ネット上で公開・運営する。

後継者確保支援・M&Aマッチングサポート事業  
15年度要求額 1.6億円(新 規)

?.挑戦する中小企業への支援

 

 我が国ものづくりを担う、やる気と能力ある中小企業による新事業、新分野への挑戦及び、個人による創業への挑戦に対して、技術面、人材面、資金面、組織面等多面的に後押しし、元気な中小企業を育成・支援する。

1.技術革新支援

 優れた技術シーズの開花を支援することにより、個人の創業や中小企業の新事業展開に拍車をかける。中小企業ながら優れた技術力により世界トップを占める企業を多数輩出するため、技術開発を強力に推進する。

(1)中小製造業の戦略的基盤技術開発プロジェクト   
 我が国製造業の国際競争力を強化するため、基盤的・戦略的分野(金型・ロボット部品分野等)の技術開発プロジェクトに対して、集中的に支援する。     

戦略的基盤技術開発プロジェクト
15年度要求額  40.0億円(新 規)

(2)産学官連携による技術開発支援
 中小企業と大学、研究機関による産学官連携の研究開発を通じ、新事業創出を促進する。

中小企業地域新生コンソーシアム研究開発事業
15年度要求額   30.0億円
14年度予算額  (20.5億円)                    

(3)中小企業の創造的技術開発の支援  
 中小企業による創造的な技術開発による全国レベルの新事業・新分野への進出を強力に支援する。                 

創造技術研究開発事業
15年度要求額 33.6億円
14年度予算額 (29.2億円)

2.人材の充実・育成の支援

 創業や新事業展開を成功させるためには、経営・マーケティング戦略等を構築できる優れた人材の確保・育成が重要。企業や国の研究機関のOB等が有する経営ノウハウや技術力と、創業・ベンチャー企業や中小企業のニーズとが、出会い・結びつく機会を提供(マッチング)すべく、全国レベルのマッチングの仕組み・ネットワークを構築するとともに、創業や経営革新の裾野を拡大するため、人材育成を支援する。  

(1)人材の充実(マッチング)支援  
 中小・ベンチャー企業の事業展開に不足しがちな、経営戦略等を助言する人材(企業等のOB)の掘り起こし等を行い、OB人材を活用し新事業展開を図ろうとする中小企業とのマッチングを行う。OB人材に関するデータベースとOB人材の活用を希望する中小企業に関する情報を、ネット上(事業団のJ-Net21)で公開してマッチングを支援。

中小・ベンチャー企業人材マッチング事業           
15年度要求額 11.8億円 
14年度予算額 (4.0億円)

(2)人材育成の支援  
  創業希望者の経験・潜在能力の掘り起こしを行い、企業経営の能力開発支援を行うとともに、先導的な経営革新企業の育成を行うため、人材育成事業の充実を図る。      

創業塾、創業・経営革新講座等による人材育成  
15年度要求額 24.9億円
14年度予算額 (21.9億円)                     

3.新市場創出支援

 優れた技術力や製品開発能力を持ちながら、販路開拓が不十分であるため、その強みが生かされていない中小企業は多い。このような中小企業の新市場開拓を支援するため、全国的規模での見本市を開催し、場の提供を行うとともに、ITを活用した新市場進出のための支援を行う。  

(1)見本市による市場創出
  中小企業の新市場開拓の場を提供するため、国内・国外のユーザー、バイヤーを広く集め、中小企業による新市場創出が期待される個別分野(ロボット、医療・福祉等)での特色ある見本市を開催する。 

新市場創出見本市
15年度要求額 2.5億円(新 規)               

(2)ITを活用した新市場への挑戦支援
 製造・小売・卸・サービス各分野での中小企業の連携によるIT化・ネットワーク化を通じた新しい事業形態の開発・普及について支援を行う。  

IT活用等ビジネスモデル支援事業
15年度要求額 11.6億円  
14年度予算額 (11.4億円)

4.資金調達支援

(1)有限責任組合制度の充実
 ベンチャー企業だけでなく、新事業に挑戦するあらゆる中小企業に対して、投資ファンド(有限責任組合)を通じた、担保なしの事業資金供給を促進するために、有限責任組合制度の投資対象を株式会社から有限会社や個人等に拡大するとともに、投資内容についても、キャピタル・ゲイン(株式譲渡益)を目的とした株式投資だけでなく、事業の生み出す収益に着目した投資に拡大する。

5.連携支援

(1)企業組合制度の充実
 最低資本金がなく、有限責任の下で法人格が得られる企業組合制度をより多様な事業形態に開放、改善する。

?.中心市街地・商店街活性化支援

 

 現下の厳しい地方経済の状況にあって、個性と活力ある中心市街地を実現するため、各市町村の中心市街地活性化基本計画等の内容や商店街の状況に応じて、ニーズに即したきめ細かな支援を行う。  

(1)中心市街地の大型空き店舗対策支援   
 中心市街地の核店舗として営業してきた大型店の空き店舗が増加する中、中心市街地の集客力を取り戻すためにTMO等が行う空き店舗対策事業を総合的に支援する。   

大型空き店舗活用支援事業
15年度要求額  2.5億円(新 規)

コミュニティ施設活用商店街活性化事業
15年度要求額 10.0億円
14年度予算額 (13.8億円) 

(2)商店街等が行う商業基盤施設等の整備やソフト事業への総合的支援
 中心市街地の魅力向上や商店街の環境整備のため、TMO、商店街振興組合等が行う、商業基盤施設等の整備や、民間企業OBを活用し経営指導等を行う人材派遣事業等ソフト事業の拡充を図り、ハード・ソフト両事業を総合的に支援する。          

中心市街地等における商業基盤施設等の整備支援事業  
15年度要求額 119.6億円
14年度予算額 (109.7億円)                    

企業等OB人材活用推進・派遣事業   
15年度要求額 5.4億円の内数(新 規)

(3)中小小売個店活性化支援    
 中心市街地・商店街の活性化の源となる個店の魅力を高めるため、個店間や卸・製造元等を含めた連携による経営革新努力や新事業挑戦に対して支援を行う。

IT活用等ビジネスモデル支援事業 [再掲]  
15年度要求額  11.6億円 
14年度予算額   (11.4億円)