トップページ 審議会・研究会 審議会(平成25年6月30日以前分) 取引部会 中小企業政策審議会基本政策部会・取引部会官公需施策に関する合同検討小委員会(第3回) 議事要旨

中小企業政策審議会基本政策部会・取引部会官公需施策に関する合同検討小委員会(第3回) 議事要旨


1.日  時: 平平成16年3月26日(金)15:30~17:30
2.場  所: 経済産業省本館17階 第1特別会議室
3.出席委員: 小川委員長、井上委員、上野委員、川合委員、竹岡委員、立花委員、玉利委員、冨永委員、中村委員、橋本委員(藤沼代理)、樋口委員、宮下委員、村上委員
4.議  題: (1)官公需施策に関する調査について(事務局報告)
(2)ヒアリング
(3)論点整理
(4)その他
5.議事概要
(1) 官公需施策に関するアンケート調査結果について事務局から説明。委員から官公需に関する情報の的確な提供等の必要性について発言があった。
(2) 官公需施策に関する有識者3名からのプレゼンテーション及び関連質疑が行われ、さらに、事務局から提示した「論点項目とこれまでの議論の概要」について討議が行われた。
委員の発言内容は以下のとおり。
○長崎県の電子自治体への取組について、発注者側の能力向上を図れば合理的な分離分割発注ができ、中小企業の参入を実現し、経済合理性にもかなっているものと思う。長崎県の取組で仕様書を職員に作らせるのは画期的だと感じたが、これを定着させるための方策如何。また、茨城県の取組で、技術力はどのような視点で評価しているのか。

○職員に対し専門性の高いSEになることを求めるのではなく、まず業務担当の職員にポンチ絵程度のものを作成して貰い、これを基にウエブデザイナーにプログラム作成を外注。また、平行して別途DB作成も外注。さらにこれらを受けて仕様書作成を外注することにより、一人のプロに丸投げするのではなく、外縁の複数のプロの能力を活用していくということ。また、併せてコスト面に係る不安を払拭することで、このようなシステムの定着を図ろうとしている。

○茨城県の技術力あるベンチャー企業等の推薦制度は、中小企業の意欲と実績の有無を視点に評価している。発注機関に対する営業材料として活用していただいている。

○分割発注についても単に細分化するということではなく、発注者が中小企業の能力を評価した発注の取組が必要。受注機会に繋がる力をつけていくために、どのようにサポートをしていくかということが重要。ヒアリングのケースは非常に参考になった。

○長崎県のケースで、分離発注を行うなどいろいろ工夫されているようだが、従来の一括発注の場合とで比較して総コストはどのようになったか。

○従来に比べ総コストで約半分となった。仕事の規模を小さくすることで、内在するリスクに係るコストを小さく見積もることができた。

○中小企業の技術力・提案力が適正に評価されていない面があるのが現状のようである。今後この点を活かす方向での検討が重要。発注側にとっても受注側にとっても人材の育成は重要。

○発注、調達について、技術力の評価の在り方、IT化時代にふさわしいシステムの開発導入、人材育成が重要。

○(1)茨城県において技術力評価の運用通達の運用実績が余りないとするその原因をどう考えているか。また、(2)長崎県の実績で地域要件の設定はどのようにされたのか。競争激化の状況について伺いたい。

○上記(1)について、技術力評価通達の運用実績がないことについては、会計検査の指摘といったリスクを心配して、或いはそもそもVBを育てるといったマインドが低いといったことが原因と思われる。

○上記(2)について、長崎県の場合地域要件については、本店又は営業所が県内にあることと限定している(なお、実態としては大手企業も参加出来る状態)。競争の激化により予定価格に比べ落札率はかなり低くなっている。方式変更により入札参加が5社から25社(後15~20社)となった。地場産業の育成について、伸びる企業は伸びていくので、機会を如何に提供するかということが重要。

○茨城県や長崎県での取組である、受注実績のないVB、中小企業に対する受注機会の増大策は大変評価している。

○地場産業育成においても、「競争力のある」という冠を被せたものの考え方は必要だと思う。地場の中小企業は地元の大手企業の下請に入らざるを得ないのが現状のようである。IT産業は黙っていれば外国に行ってしまう。しかし、仕事を受ける環境さえ整備できれば長崎県でも十分取り組めるものと感じている。

○企業は下請けから脱皮し開発型企業への転化を進めているところ。そのような企業の育成の観点からランク付けに拘らず特別に扱うことも必要と思う。

○長崎県のようなケースは人材の確保が出来てはじめて可能だったと考えられ、長崎県の場合たまたま専門のSEを確保できたから可能だったのではないか。

○システムをつくっていくとき骨格をどうつくるかが問題で、骨格をつくれば後は専門のSEがいなくても回っていく。また、県の方針としてこれを定着させるためにこの方法についてビジネスモデル特許をとることとしている。

○入札価格の低価格が大きな問題となっている。最低制限価格を設定し、成功している自治体がある。

○官公需施策については、納税者、ユーザーの視点での検討も必要。構造改革を通じて、国家としての競争力の確保が重要な課題。高コスト構造をどう是正していくか。インフラを利用するユーザー(国民)の視点(バリューフォーマネー(VFM)の視点)が必要。国家としての競争力の基盤となる空港、高速道路、港湾等の国家的インフラ等については、官公需法の適用対象から外すなどの視点を付け加えるべきではないか。

○中小企業保護のための政策議論をするのではなく、法的に拘束力を有さない契約目標を前提として議論すべき。現行の会計法令等の解釈を前提に議論していくということ。また、許容される限界としては、例えば地域経済活性化による地元企業の優遇程度か。

○発注側は大手に一括して任せる方が楽でありリスクをとらなくて済む。官公需法がなかった時代の中小企業向け発注比率は25%程度で、何も措置を講じてないときは、やはり大手がとるような状況だったのではないか。

○要は、アカウンタビリティの問題。説明責任を果たすためにも数値目標だけではなく、発注の際の考え方に関する指標が明らかにされる必要がある。
単に価格だけで割り切れない部分もあり、研究開発のための装置購入などでは、随意契約の余地を広げるべき場合もある。

○官公需総額が減ってきているのは厳しい状況。大手建設業は、技術力、資金力等を活かし、国内需要だけでなく、海外からも受注されたい。また、この際国内の技術力のある中小企業ともよく連携を取っていって欲しい。中小企業も異分野業種への進出が図られているので、こうした取組に対する支援策も検討して欲しい。

以 上

<お問い合わせ先>
中小企業庁事業環境部取引課
担 当:濱窄、荒井
TEL:03-3501-1511(代表)