中小企業政策審議会(第15回)・基本政策部会合同会議 議事録
日時:平成25年3月26日(金) 15:00~16:56
場所:経済産業省本館2階東3共用会議室
議題:
(1)「平成24年度中小企業の動向に関する年次報告」(案)について
(2)「平成25年度において講じようとする中小企業施策」(案)について
(3)平成24年度における各部会の活動状況(“ちいさな企業”未来部会、経営安定部会、経営支援部会)
(4)「“ちいさな企業”成長本部」について
(5)「中小企業・小規模事業者経営改善支援対策本部」について
議事録:
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蓮井企画課長
時間になりましたので、ただ今より「中小企業政策審議会・基本政策部会合同会議」を開催いたします。
本日は御多忙のところ、委員の皆様方には多数御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
なお、本合同会議には過半数の委員及び臨時委員に御出席をいただいており、中小企業政策審議会令第8条第1項の規定に基づき、定足数を満たしていることを御報告いたします。 本日は平経済産業大臣政務官が出席予定でございますが、公務のため遅れての出席となります。 まず、新しく委員となられた方を御紹介いたします。
高田坦史委員でございます。
次に、審議会について御説明をいたします。本審議会につきましては、原則として公開との方針がございますので、この審議会につきましても原則公開といたします。ただし、皆様にお配りしている資料のうち、中小企業白書に関係する資料5~資料8につきましては、4月下旬を予定しております閣議決定を経て公表することになります。それまでの間、委員限りの取り扱いとさせていただきたいと存じますので、御了承をお願いいたします。 -
鈴木中小企業庁長官
鈴木中小企業庁長官 中小企業庁長官の鈴木でございます。本日は年度末の御多忙の中お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
まず、御報告しておきたい点が1点ございます。昨年、本審議会におきまして御答申いただきました中小企業の経営力強化の関係でございますが、さきの通常国会で中小企業経営力強化支援法を成立させていただきました。これは税理士の方々、弁護士の方々、中小企業団体の方々、また、金融機関の方々を中小企業支援機関として、私どもと金融庁が認定するという仕組みでございますが、昨年11月以来認定を続けてまいりましたところ、この先週末までで、6,400の機関を認定することになりました。地銀さん、信金さんはほぼ100%の認定をさせていただいたところでございます。
3月末で中小企業金融円滑化法の期限が到来いたしますけれど、この認定支援機関を中心に中小企業の支援に万全を期したいと考えてございます。
また、昨年7月以来“ちいさな企業”未来部会を本審議会に設置させていただきました。ただいまの御審議賜りまして、間もなく御答申いただけると伺っております。この関係で、この通常国会で小規模企業活性化法案を提出させていただく予定でございます。これは中小企業、その中でも特に小規模企業の方々の事業活動の活性化を行う、また、意義等も明確にし、定義等についても検討を加えていただいた成果でございます。是非、この通常国会に提出させていただきまして、この法案の施行を行いたいと考えているところでございます。
また、本日は中小企業白書の原案につきまして、御審議をいただくこととしております。今回の中小企業白書は実は50回目という節目でございます。やはりこの50年間のこれまでの中小企業白書を展望しながら、今回自己変革を遂げて躍動する中小企業、小規模企業ということで、この自己変革というところに焦点を当てて分析を行ってきました。ぜひとも本日は忌憚のない御意見を賜ればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 -
蓮井企画課長
それでは、これより先の進行は岡村会長にお願いしたく存じます。会長、よろしくお願いいたします。 -
岡村会長
それでは、本日は平成24年度中小企業の動向に関する年次報告案について御報告をさせていただきます。
そして、平成25年度において講じようとする中小企業施策案につきまして、御審議をいただくことになっておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
ともに、中小企業基本法に基づきまして、政府が国会に提出することになっております。
まず、平成24年度中小企業の動向に関する年次報告案につきまして、事務局からの説明をお願いいたします。 -
小山調査室長
中小企業庁調査室長の小山と申します。座って失礼いたします。
お手元の資料5~資料8が中小企業白書関連でございます。
資料5は資料6、資料7のエッセンスをまとめたもので、このポイントというものについて簡単に内容を御説明させていただきたいと考えております。先週あらかじめ資料をお送りしたものと若干ページ数がふえているのと、中身の構成を変えておりますが、基本的には資料6の中からの抜粋となっております。
簡単にそれぞれの内容について御説明いたしますが、まず1ページをご覧になっていただければと思います。今回は先ほど長官からも話がありましたように、ここに書かれているようなテーマについて分析をしております。
もう一つのポイントとしましては、小規模事業者に焦点を当てた中小企業施策の再構築を現在進めている中で、主要な項目について小規模事業者とそれ以外の中小企業を区別しまして、それぞれの現状、直面する課題を明らかとし、特に小規模事業者の課題に対応した政策のあり方を取りまとめることを狙いとしております。
1ページめくっていただきまして、第1部、第1節、第2節、我が国経済の動向、中小企業の動向。こちらにつきまして年次報告といたしまして今年度、の経済の動向、中小企業の動向を紹介するとともに、それに関連した中小企業施策を資料7のエッセンスを資料6の中にも取り込むような形で紹介をしております。状況につきましては御承知のとおりだと思いますが、持ち直しの兆しが見られているという中で、この中では特に雇用関係、引き続きミスマッチが存在しているという中で、今後雇用状況がどうなっていくかということは少し心配されるということでございます。
中小企業の取組につきましては、経営改善の取組を先ほど紹介がありましたように抜本的に強化をしておりまして、この内容について紹介をしております。
さらに1ページめくっていただきまして3ページでございます。昨年、一昨年の白書でも取り上げておりますが、東日本大震災被災地の状況を分析に含めております。今年度の状況を見ますと生産活動であるとか販売活動であるとか、そういった経済指標はかなり回復が見られております。一方で先日、公表されました24年度経済センサス活動調査速報によりますと、震災前と震災後で事業者数、従業者数を比べてみますと、特に被災3県の岩手、宮城、福島で全国を上回る減少が見られる状況で、本文の中ではさらに詳しく沿岸地域の状況なども紹介させていただいております。
こうした中、事業再開はできても必ずしも以前の事業を再開できていない企業もございます。そういった中で引き続き復旧を図っていくということで、中小企業庁として被災地の産業振興で取り組んでいますグループ施設等復旧整備補助事業の実施の状況についても、本文の中で触れさせていただいております。
3ページ右側の第4節でございます。これは第2部につながる導入部分として、中小企業、小規模事業の役割あるいは課題というものについて分析をしております。全体としてその平均的な姿を示しているということで、必ずしも個々の中小企業の状況を示したものではありませんが、長期のトレンド、構造としてどういったことがあるかということを分析しております。
一番右上の従業者規模別の管理的職業従事者に占める女性の割合を見ていただきますと、従業者規模が小さいほど女性の管理的職業従事者が高い。特に規模が小さいところについては家族経営の企業等もございますので、その辺は割り引いて考えていく必要があるかと思うのですが、300人以上が3%未満であるのに対して、平均的に1割を超えている。こういった意味で女性の雇用に占める中小企業の役割あるいは本文の中では地域の雇用に占める中小企業の役割を触れております。
他方で、課題といたしましては特に中小企業を中規模と小規模に分けた場合に、小規模において自己資本が低い。あるいは過去30年見ていましても、生産性の伸びが中規模、大規模に比べて遅れている。こういった課題があるのではないかということでございます。
4ページ、こちらはテーマ別分析ということで、1番目のテーマとして起業・創業を取り上げております。起業・創業につきましては昨年も一昨年も取り上げておりまして、非常に重要なテーマということで認識をしております。ただ、起業・創業というのは非常に多様な活動ですので、切り口を明らかにしてできるだけ特徴を出していきたいということで、今回の白書の中では多様に展開する起業を事業経営方針あるいは目指している市場によりまして2つのタイプに分けて、それぞれどういった特徴があるのか。その後、それぞれのタイプの起業でどういった課題があるのかということを分析しております。
1つの切り口としまして、2つの切り口で事業者経営方針と目指している市場で、こちらは昨年やりました“ちいさな企業”未来会議であるとか、未来部会の議論を踏まえまして、ここではグローバル成長型、地域需要創出型と言っておるのですけれども、そういった世界、全国を目指す起業家の方あるいは地域の中で地域の需要に対応して活動する方といった違いがあるかと見ております。
本文の中では市場としてB to CであるとかB to Bであるとか、あるいは雇用の伸びであるとか売り上げの伸びといったことも分析をしているのですが、この中では1つ代表的に起業家の起業年齢にどういった違いがあるかということで見てみますと、グローバル成長型が平均年齢で40歳ぐらいということで、地域需要創出型に比べて平均的には若いということで、どちらかと言うと若者の起業ということで言うと、グローバル成長に該当する方が多いのではないかということでございます。
5ページ、そういったいろいろなタイプを見るという切り口に加えまして、いろんなところでよく言われておるのですけれども、起業は起業したときではなくて、その後もいろんな課題があるんだということで、生むだけでなくて育てていくことが重要だということを御意見いただいたこともありますので、そういった観点から今回の白書の中では、起業後から10年後までは売上が立っていない萌芽期の段階。売上が立った成長初期の段階。売上が立ってさらに利益も出ている段階ということで3つの時期に分けまして、それぞれのタイプで課題がどういうふうに変化していくかということを分析しております。
萌芽期におきましては、いずれの形態におきましても手続、資金調達、ノウハウ不足といったことが課題になっているのですが、売上が立って利益が出ていきますと、どんどん資金調達という問題から、むしろ質の高い人材の確保ということが大きな課題になってございます。
質の高い人材の確保が重要になっているという意味では、地域需要創出型、グローバル型いずれも共通しているのですが、その中でどういったタイプの社内人材が必要とされているかということで比べてみますと、地域需要型、グローバル型でかなり違いがありまして、グローバル型ですとどちらかと言うと即戦力というような技術を持った方、販路開拓ができる方に対するニーズが高いのですが、地域需要型ですと経営者の補佐をされる方で、しばらく安定してきますと後継者の候補になるような方が必要になってくるという結果も得られています。
6ページはそういった課題を踏まえて、特に今年度の補正であるとか、今年度の予算等でどういった対応をしていくかということで整理をしたものでして、各種の手続、資金調達、経営ノウハウ不足、人材確保等、こういった形でいろんな対策を政府としてもとってきていることを紹介させていただいております。
7ページ、2番目の課題でございます。新事業展開ということで今回の白書の中では特に新事業展開を新しい事業に取り込みまして、主力事業を置きかえたような事業転換をした企業。それと新しい事業を加えて主力事業を温存しながら事業転換を図っていくような多角化した企業ということで、それぞれの企業にどういった特徴があるのかということを分析しております。
こちらで紹介しておりますのは、今回のアンケートで得られた結果といたしましては、新事業展開した中でも特に事業転換した企業のほうが、将来の売上見通しも高くなっている。新しい事業を始めたときに事業転換した企業がどういった状況であったか見てみますと、好転していた企業もありますし、悪化していた企業もある。両タイプの企業が事業転換をすることによって、将来の売上を改善している姿が見てとれるかと思います。
右側が新事業展開を実施したことによる効果でして、こちらは企業のPR、知名度の向上いろいろ挙がっておりますけれども、全体的によい影響があったという評価が得られている企業が多くなっているということでございます。
次のページに移っていただきまして、特に成長戦略との関係で今回、新事業展開に取り組んでいらっしゃる企業さんの方にどういった分野に関心があるか、あるいは今後どういった分野で取り組んでいきたいかということで聞いたものでございます。
8ページ右側が新事業展開の課題ということで、今まで取り組むことのメリット等を紹介してきたのですけれども、実際にはいろいろな課題があるということで、こちらにつきましては小規模事業者、中規模事業者それぞれどういった課題があるかということを整理しております。人材確保であるとか、販路開拓である。先ほども紹介したのですが、特に小規模事業者では自己資金不足も課題になってきております。
9ページはそういった新事業展開の課題に対して、どういった施策があるかということを紹介しております。
10ページ、3番目のテーマといたしまして事業承継ということが出ております。こちらの中小企業に非常に特有の課題ですけれども、まず事業承継を取り巻く状況がどうなっているかということで分析を進めてきました。こちらで紹介しているのはそのエッセンスでありますが、経営者の事業承継時期別に見た経営者の平均引退年齢を見てみますと、過去に比べて上昇している。特に小規模事業者では平均的に70歳前後で経営者が引退している状況になっております。
その下の図は企業規模別に経営者の年代別の経常利益を見たものの一部ですが、特に小規模事業者においては経営者の年齢が高くなるほど経常利益の状況が厳しくなるということであります。右側は事業承継をしたときの後継者、現経営者の年代とその後の業績好転を見たものなのですが、後継者の年齢が若いほどその後の業績好転が全体として見られるということで、事業承継による経営者の世代交代が重要な課題であるというメッセージを分析しております。
続きまして11ページ、事業承継をめぐる課題といたしまして、左上に紹介しておりますのは特に小規模事業者の廃業というものがふえている中で、どういった理由で廃業しているのかということをアンケートに基づいて明らかにしたものでございます。こちらは企業形態別に分けておりますけれども、いずれにしても息子に継ぐ意思がない。適当な後継者が見当たらない。息子・娘がいないという形で、後継者難というのが廃業理由の多くを占めている。事業の将来性と後継者難というのはある程度相関があるので、その辺は十分に踏まえて見ていく必要がある数字かと思うのですが、廃業の理由の1つとして後継者難が大きな問題になっていることは、間違いないのではないかと思っています。
右側が本文の中で紹介しておるのですが、特に中規模企業において従業員であるとか第三者であるという形の親族以外の承継がふえている中で、今回の白書の中で親族承継、親族外承継それぞれどういった課題があるのかということを分析しております。
右上のグラフは親族承継における課題ということで、中規模企業ほど問題になりそうなことが大きい。具体的には経営者としての資質、能力不足の問題。次に挙げられますのが相続税、贈与税の負担の問題でございます。その下が親族以外に事業を引き継ぐ際の問題ということで、具体的な問題としては個人保証の引継ぎの問題。自社株、事業用資産の買い取りの問題というのが挙げられています。
12ページはそういった対策に対する具体的な取組として、事業支援センターの活動であるとか、事業承継税制の拡充、個人保証問題研究会等について、本文の中でも触れさせていただいている状況でございます。
13ページ、最後に情報技術の活用ということで、こちらはフェーズごとというよりも、いろんな経営課題に横断的に使えるツールとしての分析をしております。現状といたしましては左上のグラフにあるのですが、こちらは小規模企業と中規模企業を比べてみますと、小規模企業のほうは導入した割合も少ないですし、必要と考えているうちの導入した割合も少ないということで、規模別の格差があるということなのですが、右側のグラフ、若干循環論法のところもあるのですけれども、ITを導入して効果が得られた場合には、特に小規模企業において販売数の獲得増加が顕著に見られている。次の項目が、導入したけれども、効果が得られていない。その下の項目はIT活用が必要だが、導入していない。こちらを比べるとあまり販売先に変化がないということですので、導入しても効果が得られなければその分、持ち出しになる。他方、効果が得られれば大きなメリットが得られるというのが、ITの利用について言えるのではないかと思っております。
次のページめくっていただきまして14ページ、IT導入の課題ということで、ここでは少し業種別の分析を中でやっておりますので、業種別にどういった課題があるかということを紹介しております。いずれの業種におきましてもコストの負担の問題、人材不足の問題というのが、中小企業にとってITに取り組む際の課題になっていることが明らかになっております。
最後に15ページ、今回50回目ということで過去50年間の白書をひも解きまして、それぞれの時代でどういった分析がなされてきたかということをまとめて、結びの言葉といいますか、結びの分析として紹介をしております。こちらはそのエッセンスをまとめたものでございまして、それぞれ年代ごとに直面する課題、中小企業に対する期待というものが変化してきて、現在は経営課題が多様化する中で、さまざまな経営課題にどのような形で中小企業が対応してきているのかということの現状とか対応の分析が中心になっていて、そういった流れの中で今回の白書もあるということでございます。
少し長くなりましたが、以上でございます。 -
岡村会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして平成25年度において講じようとする中小企業施策につきまして、これも事務局から御説明をお願いいたします。 -
藤野参事官
中小企業庁参事官の藤野と申します。座って説明させていただきます。
お時間の関係で手短に御説明をさせていただこうと思いますが、資料8をご覧になっていただければと思います。中小企業、小規模事業者は日本経済の成長と地域経済を支える重要な存在として、その活力を引き出すために小規模事業者に着目した施策の拡充を図るという形で、今年2月末に成立いたしました緊急経済対策補正予算と、現在、国会において審議いただいおります25年度予算、この2つを合せまして切れ目のない対策を行い、取り組みの徹底支援を行いたいと思っております。
特に25年度におきましても、小規模事業者に着目した施策を拡充するとともに、ものづくりや海外展開の新たな挑戦、地域商業の機能強化あるいは中小企業、小規模事業者の事業再生の取り組みを支援したいと思っております。
細かな中身になりますけれども、まず1ページ目をご覧になっていただければと思います。こちらできめ細かな経営支援体制の強化という形で中小企業、小規模事業者の皆様方の声を伺っておりますと、経営上の知識やノウハウの習得に困難があるという声をたくさん頂戴いたしております。先ほど申し上げました補正予算におきまして100万以上の中小企業、小規模事業者の方や、1万人以上の支援人材の方々のマッチングのための支援ポータルサイトを作成させていただくという予算をお認めいただきましたが、25年度におきましてはその運営と、15万社の中小企業、小規模事業者に対しまして高度で生きた知識、ノウハウを提供するための専門家派遣を実施したいと考えております。
次に、海外展開の支援。3ページでございますけれども、中小企業の海外展開につきましては、中小企業海外展開支援大綱を踏まえまして進めてきているところでございますが、中小企業あるいは小規模事業者の皆様方からは海外展開に当たっての具体的な支援。例えば海外市場の情報提供といったものに対するニーズが挙げられておるところでございます。25年度におきましてはJETROあるいは中小機構が中小企業、小規模事業者に対しまして海外市場と連関する情報提供をしたり、販路開拓や海外展開計画の実現可能性調査等を行う支援をさせていただきたいと思います。また、世界に通用するブランド力の確立を目指す複数の中小企業、小規模事業者の皆様方の連携した新商品開発などの支援を実施していきたいと考えております。
次に技術開発、技術力の向上でございます。中小企業、小規模事業者の皆様からの声を聞いておりますと、資源小国の我が国がこれから国際競争に勝っていくためには、その持っている高い技術力を維持またはそれを磨いていくことが大切だという声を頂戴しております。そのため、補正予算につきまして全国で約1万社のものづくり中小企業、小規模事業者に対しまして試作品の開発や設備投資に必要な経費を補助していく、総額で1,000億円の事業を実施させていただくことになりました。25年度におきましても、ものづくりを進める中小小規模事業者の連携した取り組みを引き続き支援していきたいと考えております。また、ものづくり小規模事業者の皆様のお持ちの技能あるいは技術の伝承も大切だと思っておりますので、そのために必要な措置も講じてまいりたいと考えております。
10ページ、起業、創業、新事業展開。ただいま白書の案の中でも御説明申し上げましたが、起業、創業なかんずく女性による起業あるいは創業あるいは若者による起業、創業を進めていくことが、この方々の新たな感性を生かした新商品の開発などを通じまして、経済の活性化を図ることになると思っています。
そのため、補正事業におきましても200億円の予算を手当いたしまして、創業、起業に必要な経費の約3分の2を補助するというスキームを認めていただきましたが、これに合わせまして小規模事業者が行う新商品、新サービスの開発あるいは販路開拓の取り組みに対しまして、支援をしていく方向で予算を要求いたしておる次第でございます。
その他につきまして資金繰りの支援、これは7ページにございます。こちらは補正予算で経営支援計画の策定の補助400億円。以下いろいろなメニューを用意させていただきました。また、地域のコミュニティの中核としての商店街の活性化。こちらは12ページでございますけれども、住民の安心安全を守るために商店街の施設、設備の整備をする事業、また、にぎわいを回復するための事業のための補正予算等、全部で300億をお認めいただいておりますが、引き続き商店街の活性化につきまして25年度も進めていきたいと考えております。
下請け支援につきましては15ページにございますように、下請けの皆様方のグループで新たな販路開拓を進めていくために必要な事業等につきましての支援もさせていただければと考えている次第でございます。予算措置以外にも昨年議論がございました東日本大震災対応という形でグループ補助金、これにつきましては商業集積向けの新規分も含めましての手当あるいは二重負債問題への対応。また、税制面におきましては事業承継税制の運用の抜本的見直し。こらちは17ページに記載がございます。このようなことをやらせていただこうと思っております。
また、後ほど御審議をいただくことになると存じますが、いわゆる小規模企業活性化法の法案提出あるいは、これも後ほど御説明させていただきますが、“ちいさな企業”成長本部という小規模事業者の皆様方の現場の声を聞かせていただく事業を進めていきたいと思っております。これらを通じまして中小企業、小規模事業者のニーズの発掘から具体的な措置まで、一貫した幅広い政策展開を進めていきたいと考えております。
以上、大変短くて恐縮でございますが、説明を終了させていただければと思います。 -
岡村会長 ありがとうございました。
ただいま24年度の実績と、25年度にこれから講じようとする、この2つについての説明がございました。少し議論をお願いしたいと思います。30分ぐらいの時間をかけまして、お一方2分程度で御発言をいただければと思います。澤部委員、どうぞ。 -
澤部委員
経団連の中小企業委員会共同委員長をしております澤部でございます。
2013年度の白書の案を拝見いたしますと、業を興すところから新事業展開、そして事業承継といった企業のライフステージごとに起こり得るだろう問題点について仔細に調査、分析をされています。この辺は経営者の視点とも非常に共感するところが多々ございます。また、我が国の産業の非常に大きな課題であります成長分野での新事業展開の可能性につきましても言及されており、非常に時宜を得ていると同時に、今後の産業政策のあり方を検討していく上で重要なデータを示しているものと思います。
全体を通じて非常に質が高いと感じます。本案をまとめられました岡村会長はじめ、事務局の御努力には敬意を表します。
その上で、私からは来年以降の白書に取り上げていただきたい内容について少し申し上げたいと思います。
経済の本格的な再生を実現するためには、御承知のように我が国企業の9割を占める中小企業の強化に資する施策が極めて重要であるという面を改めて強調いただきたいと考えます。グローバルな企業競争の激化の中で、先進国、新興国を問わず、各国政府は企業の競争力強化の施策に力を入れているわけですが、69年の白書では欧米の中小企業の強さについて分析し、それを活用することによって非常に役立ったように聞いております。
各国政府が実施している中小企業の競争力強化に関する施策というものを比較分析いただきまして、利用状況や政策効果、あるいは日本にとって参考になるものを明らかにして、白書に盛り込んでいただけたらと思います。
2つ目は、これは昨年も少し申し上げたのですが、中小企業が直面する課題、そして、それに対する施策はたくさんあるのですが、その実施効果がいま一つはっきりしないようなところがございます。限られた予算でもありますし、次年度以降にプライオリティを置いて効果的な施策を展開していくためには、施策の実施効果をしっかり分析し、検証する必要があり、それを記載いただければと思います。ただし、政策が非常に多いので、一つひとつ分析・検証するのは大変かなと思いますので、節ごとにまとめていただきたいと思います。企業の場合、投資をしたら当然、効果というものを把握するわけで、実施した政策が実際にどうだったのかが気になります。
最後に、昨今の社会環境の変化の中で、ソーシャルビジネスが非常に話題を呼んでおります。この領域でも、中小企業の方々が非常に多く関わって、活躍されています。この方面についても取り上げていただければと思います。
以上、御検討よろしくお願い申し上げます。 -
岡村会長
ありがとうございました。今の澤部委員の御意見のソーシャルビジネスを具体的に御説明いただけますか。 -
澤部委員
普通の企業でも社会のお役に立つというのは当然なければならないのですけれども、社会的課題を解決することをミッションにして、かつ継続的に行うためには自ら利益を上げているビジネスです。そのためにイノベーティブなものを出していかなければならないのですが、あくまでも、社会的課題を解決するもので、利益を上げることを目的とするものではありません、環境、所得や地域間格差の問題とか資本主義のあり方が話題になってきた中で、脚光を浴びてきたものと思います。白書の中にも一部NPOのことが書かれておりますが、中小企業がそれに取り組んでいるものが多いようです。ソーシャルビジネスへの支援をいただけますと、中小企業庁の役割もますます高まるのではないかと思いますので、ひとつよろしくどうぞお願いします。 -
岡村会長
わかりました。具体的に言えば介護等のNPOのようなものでしょうか。 -
澤部委員
色々なケースがございまして、NPOだけではないようにも聞いております。 -
岡村会長
ありがとうございました。
鹿住委員、どうぞ。 -
鹿住委員
専修大学の鹿住でございます。
質問3点とコメント3点ございます。
まず質問ですが、大変有意義な調査を4件ほどされていらっしゃいますけれども、例えば64ページ、152ページ、209ページ、116ページにそれぞれの調査のサンプル数と回収数があるのですが、こちらのサンプルの出所、どういったデータベースからとられたのか。そして、回収サンプルの基本統計量、業種ですとか規模ですとか、そういった分布をぜひ後ろのほうで結構ですので載せていただきたい。そうしませんと、得られたデータがどういう意味を持つのか、解釈が少し変わってまいりますので、そこをぜひお聞かせいただきたいし、お載せいただきたい。
質問2点目ですが、先ほど小規模企業の女性管理職の比率が高いのは、家族経営のものも含まれているのでという御説明がありましたが、同様に52ページの第1-1-35図で従業者規模別の女性雇用者割合が出ているのですが、従業員が19人以下の企業では20年以上にわたり雇用者の4割以上が女性と書いてあるのですけれども、これは正規雇用か非正規雇用か割合を明示していただきたいということです。
3点目ですが、10年にわたって成長のライフステージごとの課題を浮き彫りにされているのは大変素晴らしい分析かと思うのですけれども、これは時間軸を示していただけるといいかなと思います。というのは、恐らくIT系の企業ですと非常に短期間に成長、安定までいくでしょうし、そうではない製造業などは時間がかかるでしょうし、時間軸について業種による違い等も御説明いただければと思います。
コメントですが、全体的に今、前の委員が御発言されましたとおり、出てきたデータの結果が何となくほかの調査でも今まである程度同じ傾向が見られたというところもございました。
例えば90ページにございますような交流の場づくりというのも、いろいろな調査結果で交流ネットワークを必要としているというデータを拝見しています。自分自身の研究でもそういうものが出ておりますし、あるいは91ページにございます質の高い人材の確保とか、113ページ第2の2の11図に出ておりますような販路開拓とか人材の不足。これも見たことがあるなというデータなのですが、それぞれに対して今までもいろんな政策を講じていらしたと思うのです。販路開拓には販路コーディネーターとか販路ナビゲータなど、そういう政策がございますし、交流という意味では新連携等もあったと思うのです。やはりそういった今までやってきた政策が、もちろん全員の方が政策を使っていらっしゃるわけではないので、量的に不足しているという側面もあるでしょうし、あるいは使ってみたけれども、こういう交流も必要なんだ、今までの新連携だけでは不足なんだという部分もあるかもしれませんので、そのあたりの評価もあわせてしていただければと思います。
最後に50年の白書を振り返ってということで大変興味深く拝見させていただきましたが、実は1970年代から90年代まで、それぞれ10年ごとに70年代の中小企業ビジョン、80年代の中小企業ビジョン、90年代の中小企業ビジョンということで、10年ごとに中期的な施策の展望というものをまとめていたのですが、私の記憶ではかつてはかなりビジョンに縛られていたというか、それに沿った形での政策が企画立案されたかと思います。今はビジョンをつくっていないのですが、そうなりますと白書の役割、位置づけというのもビジョンがあったころと今では変わってきているかと思いますので、そのあたりも言及していただければと思います。
来年度以降のお話なのですが、起業、創業に関するいろいろな課題を浮き彫りにしていただいて大変興味深いのですが、惜しむらくはそもそも起業志向があるけれども、今、起業していない、二の足を踏んでいるという方の課題とかニーズが調査されていないということです。就業構造基本調査等で起業準備中というカテゴリがございますので、そういった方に何がハードルになって創業していないのか、経営者の個人保証がネックなのか、それともリスクがあって病気とかけがをしたときのセーフティネットが被雇用者ほどには充実していないところがネックなのか。そういったことが浮き彫りになると、さらに創業、新規開業率が上がっていくことが期待できるのではないかと思います。
以上でございます。 -
岡村会長
どうもありがとうございました。
御質問につきましては、一通りお話を伺ってからお答えするということにさせていただきたいと思いますので、どうぞ御自由に挙手をお願いしたいと思います。 -
白形委員
ソーシャルサービスの代表をしております白形と申します。
私の会社は社員数20人ぐらいの小さなそれこそ小規模事業者でして、数年前に中小企業大臣賞をいただきましたので、そのご縁でここに置いていただいているかと思うのですが、本当の現場の経営者の立場というところで、コメントをさせていただきたいと考えております。
3点ございます。1つ目は現状の中小企業の経営者の立場として、非常に課題に思っていることは、やはり販路開拓や新規事業をどう立ち上げるかという、今回調査でも出ていましたが、ここの部分が大きな課題だと感じます。それに対して25年度において講じようとする中小企業の施策は、仕事をふやそうと思ったときの支援策が少ないのではないかと感じています。
以前いただいた資料では下請取引斡旋相談介入の販路開拓支援に0.5億円。それに対してITを使って専門家をマッチングする施策が48億円でありました。しかし別紙のデータにもありますように、小企業の経営者はITの能力が不足している調査結果があり、講じる施策が中小企業の実態に即していないのではないか、ITを使ったマッチング施策より現場の相談会にもう少し目を向けてもいいのではないかということを感じています。またマッチングする人材も、財務や経営のスペシャリストだけでなく、経理や総務の実務経験者が必要な場合もあると思います。施策実施の際はそのあたりの視点もお持ちいただければと思います。
これに関連するのですが、同様に情報伝達が届かないというのが現場の意見でございます。政策にもありましたけれど、弁護士さんや税理士さんに限らず、中小企業を支援している社労士さんですとか、そういったところに広く情報を伝達していっていただきたいのと、業界団体も広く活用頂きたいです。例えば私の父は寿司屋を経営しているのですが、寿司組合のような事業者連合会ですとか、タクシー事業者の会ですとか、エステサロンの会などあると思うのですが、そういう業界団体に対する情報の啓発を広報でもう少し取り上げていただければと感じています。
次に3つのうち2つ目は女性支援の部分です。ここはやはりもう少し議論を深めていただきたいなと思います。事前にお配りいただいた資料の5ページ目には、規模別の新事業展開に対して直面した課題があるのですが、本日配っていただいた資料には肝心な女性支援の視点が削除されています。事前資料には「起業家が必要と感じる起業支援施策」というアンケートがあり保育施設や家事支援、介護施設等が不足しているという回答が50%ぐらいの割合で見られました。回答者の母数が幾つかわかりませんが、仮に母数の30~40%が女性の回答者であるとすれば、女性企業家にとっては100%以上の割合で保育施設や家事支援が足りないという結果に読みとれるのではないかと思います。
ところが、きょうお配りいただいた資料にはそのような事実が入っておりませんし、講じようとする施策においても9ページの支援でもう少し具体的に女性の経営者もしくは管理職が欲しているものが、施策として何なのかというところを深掘りしていただければと感じております。
最後、3点目になりますが、これはシニアです。中高年の雇用について、もう少し施策の中で取り入れていただければということを感じています。私どもの会社は500万人のシニア会員を持っている会社でございまして、会員の声を聞きますと、65歳を過ぎた後の社会参加をしたいという希望が非常に多く聞かれます。これに対して例えば高齢者を雇用したら助成金を出すとかお金の支援ではなく、本日の資料にありました成長過程の企業が欲している人材確保、例えば財務、経理や特殊領域の人材不足というのがありますので、中規模、大規模の企業をリタイアメントされて、経理をやっていたような人材の方であれば、実際には週に2~3回中小企業にいらしていただければ、中小企業の人材不足や財務スキルの不足は非常に安定してくると考えております。
こういった少し踏み込んだ現場の意見もぜひ取り入れていただければということで、3点発言させていただきました。 -
岡村会長
どうもありがとうございました。
それでは、竹岡委員、どうぞ。 -
竹岡委員
今、弁護士として仕事をしていて、久々に経済が上げ潮になってきたなという感じがしております。ただ「25年度において講じようとする中小企業施策」の中で、ベンチャーという言葉がない。起業という言葉はあるのですが、ベンチャーという言葉が消えているというのが残念なのですけれども、過去数年間、非常に経済状況が悪いと、どれだけお金をつぎ込んでも効果が出ない。けれども、今、株式市況が良くなり、今年はIPOがかなり出てくる。数年我慢に我慢を重ねて、ここまで生き延びてきたベンチャー企業というのは財務体質がよく力があるので、多分今年、あるいは来年とどんどん出てくるのではないかと思っているのです。
こういうときにこそ、むしろ効果的に資源をつぎ込むとすごく効果が出る。経済情勢が悪いときは幾らお金をつぎ込んでも効果が出ないけれども、いいときにつぎ込むお金というのはすごく効果が上がるのではないかと思って見ています。
そういう目で見ますと、いろいろと特に金融系の取り組みが日本政策投資銀行さんを初めとして、非常にベンチャーにとって使いやすいものが出てきています。例えば資本性の貸付金とか、あのあたりはとても施策としてよいと思っています。
一方、ベンチャーの課題というのはお金と同時に経営者というか経営のノウハウだと思うのですが、それを外部的に支援するというだけではなくて、内部的に入り込んで支援する。この支援する人材というのは経営経験のある方なのです。
できたらベンチャーを成功させた体験がある方がハンズオンでやるのが一番いいし、そうでなくても、大企業の海外子会社などを経営していたような方々が入っていくとか、いろいろやり方があるのだと思うのですけれども、こういう方々が入っていくときにエンジェル税制の仕組み、制度としてはあるのですが、現実の適用というところだとなかなかいろいろとハードルが厳しくて、例えば創業何年以内とか、既に何人雇用していなければいけないとか、実際に非常に使いづらいところがあるので、これをもう少し使いやすいような方向に変えていっていただきたい。
全般的に金融政策、ベンチャー向けの政策、特にお金系の政策が今、よい方向で充実されてきている。今後、もっと充実していただけたら、というのが1点目と、経営者がハンズオンで入り込むためにはエンジェル税制の変更が大事だというのが2点目です。
3点目ですが、実は政策面で手薄になってきているなと思ったのが知財系なのです。科学技術政策を再び強化しようということを言われてきているのですが、その中にどうも知財戦略というものが、以前の自民党政権時のときのようにはきちんと中心的に入り込んでいないなという危惧を持っています。
資料8の最後のほうで29ページ、30ページあたりで中小企業向けの知財の支援ということでやっているのですが、特に海外展開の中で海外の出願への支援というのはとてもいいことだと思うのですが、とにかくよく起きるのは模倣品なのです。中国とか、本当にホームページから何からそっくりなものをつくられて、製品もそっくりなものをつくられるというのは中小企業はよく被害に遭っているわけです。だからこの辺もよく目配りしていただいて、特に模倣品対策というのは国対国の部分があって、つまり国として相手の国に物を言わないと、向こうの国がちゃんとやってくれないという部分があるので、ぜひそこを、これは民間だけではやり切れない部分があるので、こここそ本当に国のほうで引き続きといいますか、中小企業が出ていけば出ていくほどこの問題にぶち当たりますので、よろしくお願いしたいと思っています。 -
岡村会長
ありがとうございました。
それでは、もうお二方ほど御意見を承りたいと思います。 -
藤田委員
商工会の藤田正美です。
先ほどからもお話があったように、ソーシャルビジネスという観点、強いて言えばコミュニティビジネス、地域の資源を活用するビジネスあるいは地域の課題を解決していくビジネス。言いかえれば小規模事業者がコミュニティを維持しながら今、頑張っております。そんな中で現状は地域社会の中で人口が減って、1次産業も疲弊して、地方は厳しい状況の中にあります。その中で私はそういう地域の課題であったり、地域資源であったり、農商工連携であったり、そういうものを小規模事業者、地域に根差して頑張っておりますので、ビジネスの手法を用いて例えば環境問題にしろ、1次産業の問題にしろ、農商工連携にしろ、そういうものをビジネスの手法を用いて地域に貢献していく。そういう1つのコミュニティを維持していくという意味で、もう少しそういうところを小規模事業者、中小企業というのは担っていけるのではないか。そういうところが逆に強みであるのではないか。
そういうところへ大きな1つの、これからグローバル経済やマクロ経済、市場経済、そういうところが元気になっていくと同時に、パラレルでそういう分野を強くつくることによって日本の国は元気になっていくと思っているので、ぜひビジネスの手法を用いて小規模事業者がそういうことを貢献していくことに、もう少しウェートを置いていただきたい。
もう一点は、既存の事業者は今までのいろんなバブルが崩壊して、いろんな流れの中で大変厳しい環境にあります。新しい創業、起業をしていく上においても、なかなかそう簡単には新しい事業に展開していくことは非常に厳しい。その中で例えば一例として地域の農業分野を一既存の事業者が1人でやるのではなくて、自分の事業もしながらグループで組織をつくって、そういう1次産業とともに2次産業、3次産業を6次化していくようなところへ、どちらかと言うとグループでやるような、例えば単なる株式会社だけの手法ではなくて、一既存の事業者がグループでやるようなところへ支援することによって、地域の底上げになるのではないかと思っておりますので、その辺の方向に向けてひとつよろしくお願いしたいということでございます。
もう一点、先ほど冒頭にも小規模活性化法案を今国会で提出されると言われましたが、その辺の中身ももう少し詳しく御説明をいただきたいと思います。
以上でございます。 -
岡村会長
ありがとうございました。
それでは、西村委員、どうぞ。 -
西村委員
大阪商工会議所の西村でございます。
本当にいろいろ中小企業に対して施策を考えていただきまして、ありがとうございます。
1点、プリミティブな問題なのですけれども、海外展開への支援ということでいろいろ施策が書いてございますが、これは行け行けという話になって、そのための支援がいっぱいあるということなのですが、中堅企業ぐらいになりますと既に行っておりまして、逆に今はそこでうまくいっていればいいのですが、うまくいかなかったときにどのように上手に撤退をするかということの支援をしていただきたい。これは法の手続の問題から、ローン問題、逆に言えば向こうへ進出した資産を上手に売却できないかとか、そういうような問題もそろそろ考えていかないといけないのではないか。今回入れてくれというわけではありませんが、来年度以降はそういうことも考慮していただければ非常にありがたいと思っております。
もう一点はIT関係なのですけれども、なかなか思い切って導入できない。50%ぐらいの中小企業がなかなか導入できないということがございますが、基本的には1つのソフトが非常に高いということと、それが本当に使えるのかどうかというのが実際に導入してみないとなかなかわからないところがあるのです。セールストークではいいことをいっぱい言っておられますが、実際に自分の企業に導入したときに使えるかなというのが非常に不安でありまして、その辺の試行錯誤といいますか、使えるような状況がどこかでずっとある程度使えるというのがわかるような場所がありますと、非常に安心して導入できるのではないかという感じもしております。
以上でございます。 -
岡村会長
ありがとうございました。
それでは、まだいろいろと御意見もあろうかと思いますけれども、ここで区切りまして鈴木長官からまとめてお答えをお願いします。 -
鈴木中小企業庁長官
それでは、何点かだけ私から申し上げさせていただきまして、引き続き次長の富田からお話させていただきたいと思います。
まず、全般的に今までの政策の効果をしっかり分析すべきだという御意見をいただきしました。実は民主党政権3年の間に私どもは効果を分析しまして、別途資料を準備いたしました。白書は中小企業基本法で、これとこれを書けと限定的になっているもので、中小企業白書の中に政策効果の分析を入れるのは難しいかと思いますけれども、別途既存の政策については効果分析をやって、これは効果がない、また、政策を打つときにはこういう効果を狙って、それもできるだけ定性的だと大体ごまかしてしまうもので、定量的にやることが重要だと考えております。それがわかるような形でぜひお示しさせていただければと思います。
25年度において講じようとする中小企業施策と、24年度において講じた中小企業施策。なかなか15カ月予算なもので難しいところがございます。例えば、販路開拓についても御指摘いただきました。24年度において講じた中小企業施策、39ページの22番で地域力活用市場獲得等支援事業でございますが、これはまさしく販路開拓のための支援でございます。24年度に講じた施策となると、終わってしまったものと思われると思うのですが、実はこれからやるものでございまして、ただ、予算では補正予算としてセットさせていただいたもので、こういう形で載せさせていただきました。やはり御指摘のとおり、販路開拓についてはきめ細かくやることが大事で、さまざまな展示会等も必要でしょうし、例えば長崎の人が大阪で物を売るときには、大阪のマーケットに詳しい人とのマッチング等も必要でございます。そういうようなことを行わせていただければと思っております。
創業について、ベンチャーという言葉を使っていないということで、実はできるだけ片仮名は使うなということもありまして、なかなかコーディネーターとかになると日本語といいますか漢字にできないもので使っているのですが、創業、起業というふうに書かせていただきました。
24年度補正予算で、産業革新機構に1,000億円の出資をいたしまして、そこがベンチャーに投資をするファンドに投資をするというのもありますが、件数的に言いますと、25年度において講じようとする中小企業施策の9ページの1ポツのところで、新創業融資制度(継続)と何とも素っ気ない書き方をしているのですけれども、これが大体年間1万5,000~2万社の起業、創業を御支援している制度でございます。
おっしゃるように一昨年度ぐらいまでは起業、創業の件数が減ってきました。一時期は2万1,000件ほど使われていましたものが、1万5,000件に落ちておりましたけれども、去年は1万7,000件程度に増えてきました。だんだん上向きで、これからやろうというところで、その時にこういうような融資制度をどんどん活用していただきたいと思っているところでございます。
模倣品対策について御指摘いただきました。実は中小企業庁長官になる前、模倣品対策の局長をやらせていただきまして、広州見本市とかいたるところに行きまして、要は向こうの警察を巻き込まないとどうしようもない。広州見本市で横のほうに行ったら、警察から、そこに行くと危ないから行かないほうがいい。と言われることもやってきまして、これはまさしく政府と政府との闘いだと思っています。とりわけ警察権を持っているところといかに連携をするのかということで、模倣品対策として年間5回も6回も某国には行っております。某国以外にも大変増えてきておりますので、この取り組みを進めていかなければいけないなと考えております。
最後に外国からの撤退ということですけれども、私どもに今、御相談いただくところで、進出と大体ほぼ同数ぐらい撤退というものが出てきております。これも今日マスコミの方がいらっしゃるもので、国名は伏せますが、この国だと何年間かけて撤退すると大体お金は持ってこられる。この国だと何年間ぐらい。そのときのやり方はこういうことだということで、非常に詳しい専門家の方がいらっしゃいまして、そういう方とのマッチングをさせていただいて、できるだけ投資をしたものは持ち帰らせていただくということでやっております。
私どもは海外展開、進出するときも、単にどんどん進出してくれという気持ちではありません。まずしっかりと考えてから進出をしてくれと。タイの洪水のとき、日本に基盤を持たずに、タイに全部出て行っていた企業さんはかなりの確率で倒産いたしました。やはり、あなたのところのコアのものは一体何なのか。それを日本に置くのか分散して外国に置くのがいいのか、やはり海外進出のときにはそういうリスクを考えてやってください。リスクを考えていただいた上でやると、国内の雇用もどんどん伸びていくという分析も去年の中小企業白書でさせていただいておりますが、私どもはそういう気持ちで行わせていただいているところでございます。 -
富田中小企業庁次長
次長の富田でございます。
白書の分析に関連して、御指摘いただいた点について簡単に補足をいたします。
澤部委員から中小企業施策の国際比較というお話がございました。大変重要な視点だと思います。中小企業の活動もどんどん国際化、広がりを持っておりますので、各国の施策がどういうふうに比較できるのか。いわゆるイコールフッティングの問題もございますので、そういった視点を来年以降も分析の中で検討させていただきたいと思います。
ソーシャルビジネスの御指摘が、澤部委員と藤田委員からございました。実は今年の分析でも77ページでございましょうか。一応コラムという形で特定非営利活動法人の起業の現状という分析のパーツを置かせていただきまして、その中で、例えば業種としては医療福祉だとか、あるいは教育、学習支援業だとか、非常に社会性、地域性の強い業種が非営利活動法人といった形態で起業している現状を、一応、大変雑駁でございますけれども、分析させていただいております。御指摘いただきましたのは大変重要な視点でございますので、今後いろいろな形で掘り下げていきたいと考えております。
鹿住委員からございましたサンプルデータの基本統計量の問題、時間軸のところは、可能な限り対応させていただきたいと思いますが、正規、非正規のところはデータがとれているかどうか。とれているとすれば大丈夫でございますが、そこはアンケート調査の結果をよく見て対応を考えたいと思います。
あとはベンチャー資金のところでございます。エンジェル税制のお話がございました。確かに税制は中小企業関係もいろいろな税制があるのですけれども、本当に使いにくいということが言われておりまして、今年も事業承継税制、これは長年の懸案で非常に使いづらいと言われていたところを、今回、相当な条件緩和をしております。ですから既存の税制でもできるだけ使い勝手のいいように、絶えず見直しをするように努力をしていきたいと思っております。
私からは以上でございます。 -
岡村会長
ありがとうございました。
今のお答えの中で抜けているのがダイバーシティの問題ですね。女性の活用、資源の活用、この辺のお答えが抜けていたので補足していただけますか。 -
富田中小企業庁次長
女性の活用の中で、これは白形委員からも御指摘がございました保育園の問題ですとか、様々な女性ならではの非常に難しい課題がございます。今回、私どもは女性の起業、創業のさまざまな施策を検討する中で、これ1つ大きな課題として取り組んできておりまして、例えば女性の活用につきましては、今回新しく補正予算の中で女性のインターンシップの制度をつくったのでございますけれども、このインターンシップを進める上で保育施設の利用を就業者並みに取り扱ってもらうように厚生省に働きかけるとか、そういう大変地味なところでございますが、できるだけハードルが下がるようにいろんな努力をしております。今後ともまたいろいろ具体的な御指摘をいただく中で、いろいろ検討を進めて積み上げていきたいと思っております。 -
岡村会長
ありがとうございました。
いろいろ御意見があろうかと思いますが、問題意識の面では皆様方と恐らく共有できていると感じますので、25年度の施策に対して具体的にどう書き込むかということについて、これから少し時間がありますので審議させていただきたいと思います。統計上の問題について、いろいろと御質問がございましたが、これも具体的に白書の中で明確にするということをお約束させていただきたいと思います。具体的な文言等につきましては、まことに申しわけございませんが、私に御一任いただいて、全体をまとめさせていただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり) -
岡村会長
ありがとうございます。
それでは、そのように進めさせていただきます。ありがとうございました。
本審議会のもとに各分科会や部会がございます。24年度に開催されました各部会の活動状況について御報告をお願いしたいと思います。
まず初めに“ちいさな企業”未来部会につきましてお願いをいたします。 -
蓮井企画課長
中小企業庁企画課長の蓮井でございます。よろしくお願いいたします。
資料9-1~資料9-3でございますが、主に資料9-1及び資料9-2のA3の紙に基づいて御説明をいたします。
先ほどもお話が出ておりましたが、昨年6月“ちいさな企業”未来会議。これは岡村会長にも共同議長をお務めいただきましたが、こちらの取りまとめを受けまして、小さな企業に焦点を当てた総合的な中小企業施策のあり方につきまして、専門的知見に基づく審議を行うために、同年7月、今日も御出席いただいております川田部会長に部会長をお引き受けいただきまして、“ちいさな企業”未来部会を中小企業政策審議会に設置したところでございます。
あわせまして、同審議会のもとに法制的な観点から専門的な検討を行う必要があることから、同部会のもとに法制検討ワーキンググループを設置いたしました。委員長は松島東京理科大教授でございました。
審議状況につきましては資料9-3にございますように、部会自体は2月26日までに5回開催をし、そのもとにありました法制検討ワーキングにつきましては、2月18日までの都合6回開催いたしております。その法制検討ワーキンググループで法制面を中心にした論点を整理した上で、26日に取りまとめの御審議をいただき、最終取りまとめ中という状況でございます。
その内容につきまして簡単に御説明いたしますが、資料9-2をご覧いただければと思います。大きく9つの論点がございますが、これはいずれも“ちいさな企業”未来会議での提言の論点に沿ったものでございます。
1つ目のものが小規模事業者に光を当てた中小企業政策の再構築ということで、こちらは基本的な考え方としまして、中小企業基本法における小規模企業の位置づけの精緻化・強化を図るという観点から、小規模企業に関する基本理念及び施策の方針を明確化するでありますとか、小規模から中小・中堅へと発展する際の支援のあり方、さらに今後の中小企業・小規模企業施策の中核となる政策課題を中小企業基本法の中に位置づけていくということで、女性や青年による創業の促進、グローバル化に対応した海外展開、情報通信技術の活用、事業承継等について位置づけていくといった提言をいただいているところでございます。
2点目が経営支援体制でございますけれども、①のITを活用した専門家情報の提供、実践的知識・ノウハウの提供。②の地域における膝詰めマッチング。③の専門家の派遣。この3点を有機的、総合的に結びつけた支援の実施が重要だという御指摘をいただきました。
3点目の人材でございますけれども、技能等の習得機会あるいは優秀な若手人材の確保の推進の観点での御指摘をいただいております。
4点目は販路開拓でございますが、グローバル対応の海外展開をさらに支援することが必要であること。さらに下請取引の観点から2点、下請取引等の適正化をさらに一層図りながらも、下請中小企業がどのように今後発展していくのか、その振興への対応を御提言いただいております。
5点目の技術でございますが、国際競争に打ち勝つための技術力強化、技術・技能・知恵といった経営資源の継承の促進でございます。
6点目の資金調達や事業再生でございますが、まず1点目は創業や成長のための資金調達手段のあり方。その一方、小規模企業者等設備導入資金助成制度というオールドファッションな制度がございますが、こちらの取り扱いとしての終了の話。3点目といたしまして事業再生支援の観点での民間でも行われております債務の株式化(DES)を公庫でも行えるようにするといった御提言をいただいております。
7つ目が女性による起業・創業、若者による起業・創業。先ほどから議論が出ておりますが、各創業スタイルに応じた実践的で生きた知恵と資金を供給する補助制度を創設する。あるいは経営支援と一体となった融資制度等々の御指摘をいただきました。
8点目が女性が働きやすい環境整備でございまして、先ほども御議論ございましたが、仕事と育児の両立ができるような雇用環境の整備ということで、女性の方々の働きやすい環境ということについての御提言もいただいております。
9点目が地域ということで商店街、こちらも女性、若者の力を活用した商店街の新陳代謝の促進あるいはソフト事業、コミュニティ機能の強化を図ったという御提言をいただいたところでございます。
こういった御提言を踏まえた施策の検討ということで、法的措置が資料9-1に戻りまして3.(1)にございます。先ほども少し御指摘がございましたので簡単に御説明いたしますが、現在、小規模企業の事業活動の活性化のための以下の内容とする法案を、小規模企業活性化法案と通称で呼んでおりますが、この法案を提出予定でございます。
内容といたしまして、1点目に中小企業基本法の改正。ここは先ほど申し上げたとおり中小企業基本法の基本理念と施策の方針に小規模企業の事業活動の活性化を図る観点から、地域での小規模企業の意義、成長に向けた小規模企業の意義といったものを位置づける。あわせまして、海外展開推進等、中小企業施策として今日的に重要な事項を位置づけたいということでございます。
2点目が小規模企業の定義でございますけれども、小規模企業の多様性に着目をし、特定の業種において小規模企業者の範囲の変更を弾力的に行えるよう、政令で措置するといった改正をこちらに書いてあります3本の法律に関して行いたいと思っております。
3点目は中小企業信用保険法でございますが、これは今般、平成20年にできました電子記録債権を信用保証の対象に位置づけるという趣旨でございます。
4点目、中小企業支援法の改正でございますが、これはITを活用した専門家、ビジネスパートナー等の紹介を行う事業者を国が認定をする。そういうスキームをつくることによって、情報を隅々まで行きわたらせるという趣旨でございます。
5点目の下請中小企業振興法の改正でございますが、これは下請中小企業が連携して自立的に取引先を開拓するといった計画を国が認定するということで、こういった下請中小企業同士の横の連携を支援したいということでございます。
6点目が先ほど申し上げたDESの業務を公庫に追加するというもの。
最後は小規模企業者等設備導入資金助成法の廃止といった内容でございます。
あわせまして(2)にございますように、予算や税制、財政投融資におきまして、先ほども御説明がありましたが、24年度補正及び25年度予算要求において、先ほど申し上げました2点目から9点目までの論点に応じた形でのこういった予算措置を要求し、国会等で御議論いただくという状況でございます。
こうしたことを踏まえながら、中小企業政策審議会への答申という最後の3ページ目でございますけれども、2月26日に未来部会での取りまとめにおいて未来部会の取りまとめ(案)を審議いただきました。さらにパブリックコメントを実施したところ94件の意見が寄せられております。これらを踏まえまして取りまとめを行い、平成24年7月19日付の中政審に対する大臣からの諮問に対しまして、今月中を目途に答申を予定しているところでございます。
以上でございます。 -
岡村会長
ありがとうございました。
続いて、経営安定部会につきましてお願いいたします。 -
大槻経営安定対策室長
経営安定対策室長の大槻と申します。
経営安定部会について御説明申し上げます。
資料10にありますように、本年度の経営安定部会は、今月19日に開催し、議題にあります小規模企業共済制度の平成25年度付加共済金の支給率について、御審議をいただいております。
審議内容につきましては、若干制度概要等を補足させていただきながら御説明をさせていただきたいと思います。
議題の小規模企業共済は、経営基盤が脆弱で、経営環境の変化を受けやすい小規模企業の個人事業主の方や企業の役員の皆様が事業を辞められた場合の生活の安定のための資金、いわゆる退職金を共済金の形でお支払いする共済制度で、昭和40年12月から運用を開始されております。運用は独立行政法人中小企業基盤整備機構が担っており、昨年末の加入者は、小規模企業の約3分の1、約122万人の方に御加入をいただいております。
この共済制度は、退職金として支払われます基本共済金に加えまして、各事業年度の収支の状況に応じてお支払いをする付加共済金という2階建ての方式になっております。この2階建て部分の付加共済金については、小規模企業共済法及び関係法令で算定方式等が定められており、支給率の決定に当たりましては、前年度末までに経済産業大臣が中小企業政策審議会の意見を聞いて定めることとなっております。この部分を御審議いただくために、経営安定部会を開催しております。
来年度の付加共済金の支給率につきましては、今月の18日付で経済産業大臣から中小企業政策審議会の意見を求める旨の諮問をさせていただき、中小企業政策審議会会長から経営安定部会長、足立部会長に付託され、御審議をいただきました。
審議結果は、本年度末に小規模企業共済におきましては繰越欠損金が見込まれることから、付加共済金に充てるべき額はないということで、資料の審議内容に結果でございますように、平成25年度の支給率をゼロとすることは適当であるとの議決をいただいております。この議決につきまして中小企業審議会会長に御報告をさせていただき、21日付で経済産業大臣に答申をいただいたところです。
この答申を受けまして、明後日、28日付で平成25年度の付加共済金の支給率をゼロとするという旨を官報に掲載をさせていただき、告示をする予定です。
以上、経営安定部会の審議内容の御報告とさせていただきます。 -
岡村会長 ありがとうございました。
続きまして、経営支援部会につきましてお願いいたします。 -
高島経営支援課長
資料11をご覧いただきたいと思います。経営支援部会について御報告をいたします。
24年度でございますが、まず昨年4月6日に開催をいたしまして、平成24年度の中小企業支援計画について御審議をいただきました。これは国の中小企業施策と都道府県の政策、中小企業基盤整備機構の事業がそれぞれ適切な役割分担のもとで緊密に連携して効果を上げるようにということで毎年策定している計画でございまして、これについて4月6日に御審議をいただいたところでございます。
続きまして8月6日の際には、中小企業経営力強化支援法が成立をいたしまして、それに基づく認定経営支援機関というものが活動を開始するに当たりまして、その認定支援機関の根拠法を書き込みました中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律、これに基づく指針がございますけれども、そこに認定経営支援機関に関する規定を書き込みまして、その内容について御審議をいただいたということでございます。24年度の経営支援部会につきましてはこの2回、開催して御議論いただいたところでございます。
以上でございます。 -
岡村会長
ありがとうございました。
“ちいさな企業”未来部会、経営安定部会、経営支援部会、3つの部会の報告がございました。御質問、御意見等ございましたら、どうぞ御自由に御発言をいただきたいと思います。 -
三神委員
ジャーナリストをしております三神と申します。
女性の起業、貿易の促進といったいろんな分野にかぶってくる領域として、サービス貿易の分析を並行してやる必要があるだろうと感じております。どうしても拝見しておりますと、支援策が製造業の技術支援に偏っている傾向がありまして、雇用は実際にサービス業にシフトしているという点が大きいのと、現在並行してFTA、EPA、代表的なところですとTPPがあり、明らかに中小企業の貿易を促進する、そのための紛争解決手段というのも明確化するといったことが交渉の中身に反映されております。日本の製造業はもちろんリーディング産業でもあるのですが、サービス業の貿易、女性のスモールサイズでの起業というと、やはりサービス業が多くなってくる可能性が極めて高いので、こういった観点での研究あるいは他国のサービス貿易で非常にうまくいっているケースを分析するといった項目を、始めていただけないかということを感じております。
自由貿易の政策に変更していきますと、交渉で現時点ではどうなるかわかりませんが、猶予期間を設けるという妥結の方法をとったものについては、事前に前倒しで準備としての支援策を、もちろん中小企業に対してやっていく必要があると思われます。今までですと過去の結果から次の年度の政策が決まるというアプローチですが、ゴールが先にあって、前倒しでそこに向けた政策をという新しい発想が必要になってくるのではないかと感じております。
もう一点が、やはり自由貿易化で人の交流がふえてくるというところで、むしろ単純労働者よりは知識層の交流がふえるということがわかっておりますので、これは中小企業にいかに優秀な人材を海外の留学生なども対象にして引き抜いていくかといった競争も自由貿易域内で当然起こってくるのではないかと感じております。
資料9-2の(5)では製造業の技術、技能が対象となっておりますが、例えばサービス業における技術開発というと、安全管理あるいはリスク管理といったプロセス領域になってくるのです。あるいはトレーニングの支援システムであるとか、こういった非常にふわふわとした目に見えづらい領域ではあるのですが、ニーズが極めて高いです。日本人のきちんとした働き方を自分たちの国でもマスターしたい。それも日本人の100%レベルでなくても70%ぐらいでもかなり売れる領域だなという印象を、海外の企業を取材していると感じるところですので、こういった点をできるだけ早いうちから視野に入れていただけないかということを感じました。 -
岡村会長
ありがとうございました。
広義のソフトウェアということで大変重要なお話だと思いますが、検討する機関や部署等がありましたら、ご説明をお願いします。 -
鈴木中小企業庁長官
今の状況についてさせていただきたいと思います。
恐縮ですけれども、資料7の24年度において講じた中小企業施策の27ページに17ございますが、私どももサービス業というのは非常に重要だと考えておりまして、是非またこれは学問の世界としても分析をしてみたいと思っているのですが、今おっしゃいましたように日本人のおもてなし、日本人の生活の態度が非常に外国で評価されて、エステとかそのほかのところでもそういう日本らしいサービスがかなりいろいろと収益を上げている。ただ、今おっしゃいましたように研修をする際に現地で現地人の方を研修しても、なかなかまた夜、自宅に帰られると一から朝から教えなければいけないということがあったり、いろんな問題があるかと伺っております。
なので、今回はサービス業に特化した形で、どういうふうに現地の方に研修をするのかとか、日本に来ていただいて研修をするとか、色々あるかと思いますけれども、そういう取り組みにチャレンジしてみたい。
そこで、先ほどございましたが、政策の効果というものを検証させていただいて、これだったら日本のサービス業が出て行くときに全面的に効果があるとなると、私どもは大規模にやらせていただきたいと思っております。お恥ずかしいのですけれども、まだトライ・アンド・エラーの世界で、25年度は少し小規模でトライをさせていただきたいと思います。
それから、留学生の方々、外国人の優秀な学生さんを取り込んでいきたいということで、実は今回インターンシップにそういう留学生さんも対象に加えることにいたしまして、例えば中小企業の人がこういうような留学生の人、また、こういうような人をインターンシップとして受け入れてみたいというときに御支援するような、そういう制度もあわせて作らせていただいたところでございます。ただ、まだまだ私どもの取り組みが効果分析も必ずしも十分にできていないところでございますので、その分析もしながら大規模にやるところは大規模に行わせていただきたいと思っております。 -
岡村会長
これからTPPや日EUのFTAが始まる中で、サービス貿易に対する中小企業の重要性はますます増してくると思いますので、ぜひ具体的な検討項目を立てていただいて、25年度の施策の中に反映するということをお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
では、どうぞ。 -
西川委員
東京特別区長会の会長をしております、荒川区長の西川でございます。元この副大臣もさせていただいておりました。
私はこの席を頂戴しているのは、自治体の代表の一人だという自覚を持って参加をさせていただいておりますが、小さな企業関係で支援をする側に地方公共団体というものがあって、先ほどの御報告では県レベルしかここには加わっていない。確かに867も区市がありますから、それは取り扱いに大変なことになるけれども、ブロックもあって地方6団体の仕組みの中に位置づけられておりまして、そういう意味では小規模企業に一番ファミリアというか、身近なところで、それから、特にこのごろは就労支援が厚生労働省が直に基礎自治体と言われる範疇に協力を求めてきている状況です。ぜひそのイノベーションと需要の好循環をこれからやっていこうということであれば、私はきめ細かくそういう幾らでも手法はあるわけですから、全国市長会というものもあるわけでございますので、そういうところになぜ地方分権の視点からも小規模企業の対策のお仕事をさせていただけないのか。県の命令を受けてやらなければならないというのは、殊東京に関しては東京都の内部組織ではないわけでありますので、少しこの辺を長官はまめに歩いていただいて、我々のところにもおいでいただいたりしているように、ちょっとがっかりしたのですけれども、いかがでございましょうか。 -
鈴木中小企業庁長官
申しわけございません。後でまた御指摘賜りたいのですけれども、私どもは、基礎自治体の方々の重要性というのは非常に高まっていると感じております。とりわけ小規模な事業者の方々、従業員規模が2名、3名、5名の方々、こういう方々に御支援いただくときに、やはり都道府県レベルでは無理でございます。そこは基礎自治体の方々にぜひお願いしたいと思っておりまして、御指摘いただきました、私どもの本意は、基礎自治体の方々にお願いしたいという思いでございますので、修正するところは全て修正させていただきたいと思います。 -
岡村会長
ありがとうございました。
そのほかどうぞお願いします。 -
鹿住委員
専修大学の鹿住でございます。
今の“ちいさな企業”未来部会のところで、資料9-1の3.(1)法的措置の②です。小規模企業者の範囲の変更を政令で行うことができるように規定する。既に未来部会のほうで十分議論が尽くされているかと思うのですが、この定義をどのような方向で変えるのか。規模を大きくするというのは少し予想がつくのですが、業種別にもう少し細かく区分を分けるというお考えなのか。今、小規模企業の定義は製造業で従業員20人以下、商業で5人以下となっておりますが、商業の中で例えばサービス業を別枠にして別の定義を設けるとか、そういうお考えがあるのか。
つまり、私は1999年に基本法を改正したときにお手伝いさせていただいたのですが、そのときも基本法の定義を変えるにもかなり実態に即してというか、データを分析いたしましてサービス業を別に分けたわけです。その際、小規模企業のほうは全く手つかずでそのまま残ってしまったのですが、同様にサービス業の分野というのはかなり変化をしてきております。業種によってはかなり規模が全体的に大きなサービス業もございますし、逆に今のウェブサービスとかIT系の企業のように、非常に小規模なところが多数あるというような業種もございますので、そのあたり業種の中の多様性も含め、定義をどのように改定されていく方向かというのを教えていただきたいです。 -
鈴木中小企業庁長官
定義の改正でございますけれども、今、御指摘のとおり業種ごとにしっかりと見直しをしていきたいと思っております。
実は中小企業の定義、この基本法におけます中小企業の定義は今、御指摘がありましたように業種ごとに見ておりまして、例えばゴム製品、製造業などは従業員規模が900人いても中小企業としても扱わせていただいている。今回、小規模企業のほうにもほかの中小企業並みに規定を入れまして、例えば具体的に御要望が来ておりますのは宿泊業、映画館から御希望が来ておりまして、宿泊業ですと20人規模まで小規模企業として扱ってほしいと。私どもは徹底的に調査いたしました。本当に20人のところで何か違っているのか。例えば20人以上の宿泊業だと利益率がどうなっているとか、なっていないとか、そういう調査をしましたところ、やはり5人というのは無理があるというのが正直なところです。
今回改正させていただいて、そういう業種ごとにきめ細かく見させていただきたいと思っております。 -
岡村会長
ありがとうございました。
では、ここで少し区切らせていただきまして、残りの課題に移りたいと思います。
“ちいさな企業”成長本部及び中小企業・小規模事業者経営改善支援対策本部につきまして、事務局から御説明をお願いします。 -
藤野参事官
“ちいさな企業”成長本部について御説明を申し上げます。資料12-1でございます。
先ほども話題に上っておりましたが“ちいさな企業”未来会議におきまして、たくさんの中小企業・小規模事業者の皆様方の声を聞かせていただきました。その“ちいさな企業”未来会議での成果なども生かしながら、中小企業・小規模事業者の成長を実現していくために“ちいさな企業”成長本部というものを“ちいさな企業”未来会議を格上げした形で設置することといたしました。
こちらの本部におきましては、支援を受ける側、中小企業・小規模事業者の皆様方。また、支援を行う側。基本的には国ですとか先ほども出てきました認定支援機関、先ほど御指摘がございました地方公共団体も含まれるかと思います。こういう方々双方に参加いただきまして、中小企業、小規模事業政策とその実施方針について私ども、あるいはその認定支援機関から御説明を申し上げ、それに対するコメントをいただく。また、政策を効果的に実行するためにどのようにしていったらいいかということにつきましても、関係者の意見を伺わせていただき、最終的には関係者が行動計画、今後の具体的な行動について行動計画を取りまとめる。コミットする形でまとめていく。そういうものを予定いたしております。
構成メンバーといたしましては、本部長に経済産業大臣の茂木大臣。支援を受ける側には女性及び若手経営者など幅広い中小企業・小規模事業者の皆様方に御参加いただく方向でございます。
支援を行う側につきましては国、関係省庁、地方公共団体あるいは先ほど出てまいりました認定支援機関、商工会、商工会議所、中央会のそれぞれの支援機関にも御参加をいただく方向で進めております。
既に第1回目、東京都大田区におきまして“ちいさな企業”成長本部を実行させていただきました。その後3月以降、これまで5回、帯広、岐阜、広島、川崎、北上の都市においてやらせていただいておりますが、これからも全体で約20ケ所程度におきまして地方の皆様方の声を聞かせていただきながら、最終的に行動計画を取りまとめるべく、6月中に取りまとめ本部会合を実施していく所存でございます。
簡単でございますが、以上でございます。 -
岡村会長
ありがとうございました。
それでは、最後に中小企業・小規模事業者経営改善支援対策本部について、お願いいたします。 -
三浦金融課長
中小企業・小規模事業者経営改善支援対策本部について御説明させいただきます。
資料13-1という一番最後についております資料をご覧いただけますでしょうか。この本部につきましては、今月末に中小企業金融円滑化法が期限を迎えることを踏まえまして、中小企業・小規模事業者の経営改善に関する支援体制の強化を図るとともに、年度末及び年度明け以降の資金繰り支援を万全なものとしていくことを目的として、経済産業大臣を本部長とし、関係機関から構成される本部を3月6日に設置をしたということでございます。今後1年程度を目途として中小企業・小規模事業者の経営改善を集中的に支援していきたいと考えております。
本部での取り組みでございますが、1.の2つ目の○でございます。経営改善支援や資金繰り支援に向けた経営改善支援対策を速やかに実施していくということで、支援の対策の説明は資料13-2としてその次のページにつけてございますが、簡単に紹介させていただきます。まず相談窓口を全国580カ所に設置をし、関係機関による施策の周知及び積極活用を推進する。日税連、日弁連、金融機関団体等に対して関係施策の周知を要請する。認定支援機関に対して説明会を実施し、周知及び積極活用を要請する。特に認定支援機関に対して金融機関による条件変更等への対応状況について、情報の収集・提供を要請していく。副大臣・大臣政務官が各地域を分担いたしまして、全国各地で事務方も含め分担をしつつ、意見交換会を開催していくということでございます。こういった取組みを今後1年間程度を目途に行っていくこととしております。
構成メンバーはここに書いてあるとおりでございまして、本部長が経済産業大臣、以下、庁内関係部局及び庁外関係機関から構成されてございます。
説明は以上でございます。 -
岡村会長
ありがとうございました。
“ちいさな企業”成長本部と経営改善支援対策本部について、御説明いただきました。この両件につきまして御質問や御意見がございましたら、どうぞ御自由に御発言ください。 -
三神委員
たびたび恐れ入ります。
経営力強化であったり、部会を立ち上げていくときのこれまでのアプローチは既存の産業分類あるいは企業規模に従ってきたかと思うのですが、東北の大震災から2年がたちまして、さまざまなケースがまとめ上がるタイミングに来ております。私は東北のほうで復興を考える経済番組を持っているものですから、海外から非常にニーズが高いという実感がございます。震度5以上の地震が世界中で多発しており、日本はサービス業も、製造業も企業の作業の復旧が非常に早かったであるとか、あるいは道路をあっと言う間に仮の形でも直してしまうであるとか、ありとあらゆるところにディザスター・マネジメント分野に属するノウハウがあるわけです。実は詳細は関東経済産業局のほうでお話させていただいているのですけれども、ケースを集める、あるいはそういったディザスター・マネジメントという――サービス業というとどうしても「おもてなし」であるとか、“役務”サービスの発想が多くなってしまうのですが――知識サービスです。コンサルティング企業はある程度フィーが高くとれる、あるいは顧客が必ずしも民間対民間ではなくて、間に政府が入る形かどうかわかりませんが、対政府あるいは対州単位かわかりませんが、そういったところにコンサルティングサービスで案件をとる。しかも少数精鋭で、あるいは分野ごとにそういったブティック型の中小企業がありつつも、必要に応じてプロジェクト単位で横断的にコーディネートしていくといったイメージでしょうか。これは大変ニーズが高くてお問い合わせが多い。けれども、どこも窓口としてきちんと対応していない。
そして知識サービスというと金融、IT、法律事務所のメガファームや会計事務所、こういったところはアングロサクソン諸国が先行していますが、ディザスター・マネジメントに関してはニーズが先進国であろうと途上国であろうと多く、日本が恐らく相当説得力を持って御提供できる分野ではないかと感じております。今までにないけれども、横串的に業界横断的な産業をどうつくっていこうか、あるいはそこにノウハウを提供できる中小企業さんをまとめるグルーピングのような、そういった既存の区分にない発想の部会も、研究を進めていかれる上で、ぜひともおつくりいただけないか。2年目という節目でもありますので、加えさせていただければと思います。 -
岡村会長
ありがとうございます。
新しい産業を興すための御提案です。長官、何かございますか。 -
鈴木中小企業庁長官
ありがとうございます。
多分、中小企業庁というだけではなくて、もっと横断的に検討をしていくことだと思います。私もこの2年間ずっと被災地を歩いてまいりましたけれども、確かにこのノウハウというのは、かなりのノウハウがございますので、これをどういうふうに、その次のビジネスに活かしていくのか、私どもも内部で検討させてください。 -
岡村会長
ぜひ検討をよろしくお願いいたします。
伊藤委員、どうぞ。 -
伊藤委員
日本電鍍工業の伊藤です。
いろいろと本当に中小企業庁さんにはきめ細かい取り組みをしていただいて、日々感謝しているのですけれども、これからも中小企業で元気のあるところ、勢いのあるところはかなり攻め続けていくと思うのです。新事業とか取り組んでいきたいという意欲的な企業の方がたくさんいる中で、情報が少ないかなと。例えば当社は医療の分野などのお仕事をさせていただくのですけれども、医療業界というのは非常に情報がとりづらいところであって、国内の情報もとりづらいのに、世界の情報は全く入ってこないのです。そうすると、何かを開発しようとしたときに日本ではナンバーワンかもしれませんが、本当にやる気の企業は最終的に世界に売り出したい。そうしたときに日本でナンバーワンの案件は世界では全然ランクインしていない技術だったりするときに、どこに聞いていいかわからない。
中小企業庁さんが全てやることではないと思うのですが、もし問い合わせが来たときに、ここに問い合わせてくださいとか、この方だったら安心ですよという何かどこに行けばいいかという仕組み。これは医療だけではなくて新しいエネルギーとか、何か新分野の仕事に携わった時にどの方向を向いていいかわからない。情報の収集方法によってはお金が掛かる場合もありますし、信憑性がない情報かもしれない。非常に難しいかもしれませんけれども、何か道しるべというかマッピングか何かを出していただけると、参入すべきか、もしもやるのであれば世界一、1番を目指したいわけです。それによって技術開発の初期段階でも方向性が変わる可能性もあるので、そういった御支援があればありがたいかなと思います。 -
岡村会長
グローバルなマーケット情報を得られるような支援でしょうか。 -
伊藤委員
そうですね。全般的な話というのはよくセミナーとかであるのですけれども、細かい分野において専門家の方がよくわからないのです。何かよく何とか会に行けば大丈夫という話も医療に関してだけではないのかもしれないのですが、なかなか情報が入って来づらいような気がするので、もしも簡単な道しるべでも示していただけると、あとは自分たちの意欲次第ではあるのですけれども、右か左かぐらいでもわかるようにしていただけるとありがたいかなと思います。 -
岡村会長
JETROあたりで対応できるのではないですか。 -
鈴木中小企業庁長官
実は、伊藤委員から今、御指摘いただいたことは、恐縮ですが、資料9-2のA3横長の経営支援体制の知識サポートの抜本的強化というところで、さらっと書いてあるのですけれども、そこでぜひやってみたいと思っているのです。
こういう知識サポートシステムのところで、先輩経営者や、この分野についての専門家とのマッチングとかいろいろありました。例えば伊藤委員からこういうことをやりたいという時に、この指にとまれる人はいますか。と出してもらったら、そこに専門家が何人か来る。ただ、そういう専門家が、必ずしも相性がいい人とも限りませんので、例えば中小企業基盤機構さんから3回までは無料で派遣をしてもらって、少しやってみて、相性がよければどんどんやっていただく。かつ、そういう専門家について、是非その次はランク付けをしていただきたいのです。じゃらんでも何でも、このホテルは何点でしたというのがありますね。やはりそこは、ある程度マッピングしていかないと、正直言いまして自分は専門家だと威張っているのですけれども、何だよという人も結構いらっしゃいますので、そういう人はできるだけはじいていきたい。そういうシステムをこの知識サポートシステムでやってみたいと思っております。
実は認定支援機関についても私ども6,400認定をしておりますが、実は今回、中小企業金融円滑化法が期限を迎えるというときに、私どもが恐れましたのは、やはり反社会勢力が入ってくることを恐れました。今回、認定支援機関の認定をするときには、役員の方々についても全て警察のチェックをいただいております。これは反社会勢力が入らないような仕組みをやっています。多分この知識サポートのところも、今度はそういうような勢力が入ってこないということと、どの意味での役員、専門家、それをどうやってマッピングしていくのかなということで、今、悩んでいるところでございます。 -
岡村会長
ありがとうございました。
グローバルな情報を提供するということですから、大変な作業になると思うのですけれども、努力していくということです。
最後に白形委員、どうぞ。 -
白形委員
ありがとうございます。
専門部会という視点で、先ほども少し申し上げたのが中高年雇用を視点とした専門部会をお開きになってもいいのではないかと感じました。
具体的には今、長官からもお話がありました1万人の専門家というところが、本当にある分野のスペシャリストだけではなく、中小企業の経営者からすると大企業、中企業を定年退職した経理能力をお持ちの方も欲しいわけです。コンサルティングではなく、自分の会社の即戦力として御活躍いただける、そういう中高年の方というのはたくさんいらっしゃるのではないかということをすごく感じています。
シルバー人材センターや東京都しごとセンターなど幾つか施設はありますが、本当に雇用する側の方から見ると若者と同じ賃金で中高年の方を雇用したいかといいますと、そうではないと思うのです。また中高年の方も生活の安定のために働きたいというよりは、社会参加のために働きたい方も多いと思いますので、その雇用制度や賃金体系を変えるなどの視点を持って、25年度に講じようとされている中小企業施策の各施策の中で、中高年対策を入れていくことができるかなと感じます。もし可能であれば専門部会においてもシニア対策という視点で今後、検討いただければと感じました。 -
岡村会長
ありがとうございます。
具体的にこれからどう展開されますか。 -
鈴木中小企業庁長官
実は今回“ちいさな企業”未来会議でいろいろと御議論いただきまして、私ども少し政策としてできていないのが労働関係でございます。これは中高年の労働も含めて、若者の労働も含めて、企業にとってどういうふうに働いていただくか、どういうふうにそういう人たちが働けるようにするのか、さまざまな意味でこれから検討していかなければいけない点だと思っています。
今、小さな企業成長本部でもこの問題について御意見賜っていますので、私どももその意見をずっと集めておりまして、それを見ながら検討させていただければと思います。 -
岡村会長
先ほどもダイバーシティの問題が欠けていましたので、その辺りをどうするか、ぜひまた考えさせていただきたいと思います。
そのほかいかがでございましょうか。お時間がございますので、あとお一方、御発言をお願いいたします。 -
木村委員
京都リサーチパークの木村と申します。本日は多様な政策を御報告いただきまして、ありがとうございました。
私どもでも今、中小企業の新事業展開や海外進出をご支援するということで、経済産業省で実施されております様々な施策を活用させていただいております。
そういう中で日ごろ大事なことではないかと考えておりますことに、支援事業の継続性という問題があります。たとえば海外進出と申しましても、簡単に成果が出るものではありません。1年、2年、3年、4年と地道に継続していくことが大切です。しかし、支援制度としては、どうしても単年度あるいは数年で終了してしまい、結果が中途半端なままになるケースが見受けられます。たとえば女性の起業支援なり海外進出支援など、5年とか10年という長いレンジでじっくりと施策を継続していく必要があるかと考えます。今日、御発表いただいたような政策を、ぜひ長い目で継続してやっていただければと思います。 -
岡村会長
どうもありがとうございました。
ただいまのは激励のお言葉と受けとめて、しっかりやらせていただきたいと思います。
最後に川田委員、何かコメントございますか。 -
川田委員
今、木村委員からもお話がありましたように、施策の継続性というのは重要な課題だと思っています。特に、先ほどの中小企業・小規模事業者経営改善支援対策本部の内容説明の中で、いろんな対策とフォローアップの体制充実に取り組まれると伺いましたが、実効性を高め継続的に取り組むためには、中小企業庁だけでなく、民間金融機関との連携に対する金融庁との協力体制やあるいは保証協会との連携なども重要になってまいりますので、是非、中小企業庁の政策に理解と支援をいただけるような体制づくりを進めていただきたいと思います。
以上でございます。 -
岡村会長
どうもありがとうございました。
それでは、時間がまいりましたので、きょうの議論はここで終わらせていただきたいと思います。
最後に、大変お忙しい中を平経済産業大臣政務官がお見えになっていますので、御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 -
平経済産業大臣政務官
経済産業大臣政務官の平将明でございます。
本日は活発な御議論をいただきまして、まことにありがとうございました。
御承知のとおり中小企業・小規模事業者が日本経済の根幹でありますし、地域経済と地域の雇用を支える重要な存在でございます。特に今回は小規模事業者の活力を引き出すことが、日本経済の再生に極めて不可欠であろうということを考えております。
今回の緊急経済対策は経産省は日ごろ予算はないのですが、今回は珍しく1兆2,000億円の計上という中で、しかもその中の半分近い5,400億円が中小企業・小規模事業者対策予算でございます。今後はこの予算をいかに多くの中小企業・小規模事業者の方々に効果的に使っていただくかが重要であると考えております。これらの政策を実行していくために、先ほど御説明をさせていただきました“ちいさな企業”成長本部を全国各地で開催しているところでございます。第1回は大田区で開催をいたしまして、中小企業・小規模事業者の方々と膝詰めで意見交換をさせていただきました。安倍総理も参加をしていただいて、テレビなどで報道されたところでございます。
この中で地元のものづくりの方々から申請書類が多過ぎる、簡素化してほしいという意見をいただきました。その意見をいただいて対応したということで、これまで15ページあったものを6ページまで申請書類を簡素化させていただきました。このように中小企業・小規模事業者の皆様からいただいた意見は、その都度速やかに施策に反映してまいりたいと思っております。
また、金融円滑化法が3月末で期限到来をいたします。先ほど説明があったように経済産業大臣を本部長とする中小企業・小規模事業者経営改善支援対策本部を設置いたしました。今、川田委員からも御指摘ありましたけれども、しっかりと金融庁とも連携をしながら、そもそも銀行がしっかりやれば信用保証協会や公的金融機関が出ていく必要はありませんので、その辺はしっかりと連携をして対応をしてまいりたいと思います。
しかしながら、中小企業・小規模事業者の方からかなり不安の声も寄せられておりますので、資金繰り支援対策としましては政府系金融機関による経営支援型等のセーフティネット貸付を5兆円の規模で準備をさせていただきました。また、信用保証協会による借りかえ保証の推進も5兆円規模でございます。あわせて10兆円規模の資金供給を速やかに実施すること等を決定したところでございます。
こうした政策について、わかりやすいパンフレットを中小企業団体や就業団体等から事業者に配付したり、認定支援機関の皆様から事業者へ周知していただくなど、事業者への広報活動に力を入れているところでございます。
加えて、明日から新聞各紙の全面広告で、これらの代替の政策についてのPRをしてまいりたいと思っているところでございます。
私自身も中小企業の経営者をしておりまして、平成3年から平成18年まで大田市場で野菜の仲卸という非常に地味な中小企業をやってまいりました。ずっと景気も悪かったし、その間に会社の規模を半分まで経営不振で縮めて、その後また3倍に広げていく過程で、お取引をしている信用金庫、信用組合が破たんをしたりとかいろいろな経験をしてまいりましたが、経済産業省といたしましては、しっかりと政策が絵に描いた餅にならないように、現場の皮膚感覚を持つか、皮膚感覚が持てないのだったらそれに対するイマジネーションを研ぎ澄まして、利用者の立場に立ってしっかりと政策立案をしてまいりたい。そのように思っておりますので、引き続き皆様の御指導を賜りますようお願いを申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。
本日はまことにありがとうございました。 -
岡村会長
平政務官、どうもありがとうございました。
それでは、以上をもちまして「中小企業政策審議会・基本政策部会合同会議」を閉会とさせていただきます。御協力いただきましてありがとうございました。
それでは、本日の会議を始めるに当たり、鈴木中小企業庁長官から御挨拶を申し上げます。