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中小企業政策審議会(第13回)・基本政策部会合同会議(書面審議)

開催日:平成23年5月31日(火)~ 6月8日(水)(書面審議)
議題:
(1)「平成22年度中小企業の動向に関する年次報告」(案)
(2)「平成23年度において講じようとする中小企業施策」(案)
(3)平成22年度における各部会の活動状況の報告(経営安定部会、経営支援部会、取引部会)
意見等:

◇荒牧知子 公認会計士 以下は感想です。

  • 構造的課題への対応として、事業引継ぎ、事業再生、地域密着型金融等の取組が行われていることは十分理解しております。一方で、それらの方法で短期的解決が困難な場合に、雇用確保のため技術・ブランドを提供する形で(中国企業等による)M&Aの対象となるケースもかなり増えています。
  • 本白書の建前として、このような被買収等に言及することはなじまないのかもしれませんが、日頃M&A実務に従事し、アジア新興企業によるM&Aが中小企業にとってのひとつの潜在的なExit選択肢となりつつある流れを感じる身としては、やや現実との温度差のようなものを感じました。

◇小野五郎 埼玉大学名誉教授

  • 今後の課題として、低生産性部門から高生産性部門への転換といった産業構造調整問題について、マクロ・ミクロ両面から目標数値を設定するなど具体的に検討するべき。今後2,30年先まで睨んで、どういう部門でどのくらいの企業が退出し、従業員が職を失うことになるのか、その受け皿としてどういう新分野でどのくらいの企業の参入と雇用創出が必要なのか、さらに、そこに向けたソフトランディング策、延命策ではなく、本当に転廃を進めるにはどのようなものを用意すべきかということを、分かりやすく訴えるべき。

◇鹿住倫世 専修大学商学部教授

  • 「全国商店街調査」について、回答した商店街の多くは、事務局機能がしっかりした余裕のある商店街が多いと考えられるため、調査結果にバイアスがあるのではないか。できれば、アンケートに回答した商店街の立地地域の分布等について示すべき。
  • 「全国調査商店街」の消費者向けアンケートの回答者の属性が分からなければ調査結果について評価できないため、調査回答者の性別、年齢居住地域の分布等を示すべき。
  • 第2-1-66図「売場面積規模別の小売業の年間販売額及び売場面積」について、売場面積と販売額の関係を明らかにすべき。
  • 第2-1-71図「消費ニーズや関心の変化(今後5年間)」について、商店街の認識と消費者の認識のズレが問題なのではないか。
  • 大学発ベンチャーを起業における「主たる」イノベーションの源泉として論じることに違和感を感じる。

◇川田達男 セーレン株式会社代表取締役社長

  • 第4節 事業再生・事業承継への対応(地域中小企業の事業引き継ぎ円滑化支援)について、中小企業の事業引き継ぎは、地域経済において重要な課題であり、中小企業の体質改善などを進めるための継続的な助言が必要であることから、再生支援機関への仲介支援業務の追加だけでなく、中長期にわたる支援ができるような体制づくりを目指していただきたい。
  • 第5節 人材・雇用対策(中小企業魅力発信・採用力強化事業)について、大学生と中小企業の雇用ミスマッチを解消するためには、産学協働教育を通じた大学生に対する中小企業の魅力発信などとともに、中小企業での職場体験(インターンシップ制度)も重要なミスマッチ解消策であり、合同就職説明会等とともに各地域の実情にあわせて実施できる仕組みとすることが望ましい。

◇河野和治 日本労働組合総連合会副会長

  • 「中小企業ものづくり人材育成事業」について、「講じようとする施策」に記載がないのはなぜか。

◇小松節子 小松ばね工業株式会社代表取締役社長

  • 平成22年度に講じた施策、23年度に講じようとする施策より、中小企業動向と中小企業の重要性を理解できる。しかし国内需要の収縮やグローバル競争激化の構造的課題が深刻化する中で、今後増加を見込むことの困難。更に大企業の海外での事業拡大の進展による受注量の減少、国内で生きる中小企業は雇用を守る難しさを実感している。資金繰り支援は大変ありがたいが、有益な支援であることを望みます。

◇西藤久三 財団法人食品産業センター理事長

  • 福島第一原子力発電所の事故に伴う食品の安全問題が継続しています。一次産業のみならず、食品製造、外食の分野でも内外で対応に苦慮しています。主に、厚生労働省、農林水産省、内閣府で取り組んでいただいておりますが、経済産業省でも、ゼロリスクを求めたり、過剰な輸入規制にならないよう、関係者の理解を求める取組をお願いします。

◇澤部肇 社団法人日本経済団体連合会中小企業委員長

  • 平成22年度年次報告(案)において、中小企業の海外展開の重要性や課題について詳述されていることは評価できる。
  • 「平成23年度において講じようとしている中小企業施策(案)」に関しては、各施策の周知の状況や中小企業のニーズに応える適切な内容となっているかなどについて、当審議会で検証を行いながら、24年度以降の施策に向けて必要な見直しを図っていくことが重要である。

◇鶴田欣也 全国中小企業団体中央会会長 鶴田石材株式会社代表取締役社長

  • 「事業継続計画(BCP)」について、企業間連携による取組が重要であることを盛り込んでいただきたい。

◇笹山喜市 社団法人中小企業診断協会常任理事

  • 中小企業の資金繰りはまだ回復していないため、金融円滑化法の再延長について、金融機関の協力が得られるようにしてほしい。
  • 金融機関のコンサルティング機能を強化すべく、中小企業診断士等の外部コンサルタントとのタイアップを積極的に行う支援が必要。
  • 中小企業は盛りだくさんの増税論議に疲労困憊の感がある。中小企業を元気にする税制支援策が必要である。
  • 6次産業創出のために、中小企業診断士等と農協等との連携を促進する支援策が必要。
  • 「中小企業支援ネットワーク強化事業」について、支援機関内の人材育成や支援機関に関係する中小企業支援のためのセミナー開催を認めるべき。

◇白形知津江 株式会社メールdeギフト代表取締役社長

  • 「中小企業魅力発信・採用力強化事業」について、効果的な施策だとは思うが、更に中学・高校生世代に向けた、労働異議の啓蒙も必要ではないか。また、「緊急雇用制度」についても、労働生産性を高める努力が必要。
  • 地域住民の新事業創出や産業活性化支援には、外部アドバイザー誘致等の人的支援が必要。
  • 「中小企業支援ネットワーク事業」において、地元の金融機関を更に活用してはどうか。

◇竹岡八重子 弁護士

  • 中小企業のアジア市場(中国等)への取組が加速しております。しかしながら、英文契約等のスキル欠如、中国での商標・意匠権等の出願が非常に低調であるため、失敗している企業の例を多く見聞しています。中小企業向け知財・法務面のサポート施策は、国際対応に軸足を移すべきと強く思います。なお、以上は一般論であり、施策等の修正を求めるものではありません。