トップページ 審議会・研究会 審議会 中小企業政策審議会 中小企業政策審議会(第11回)・基本政策部会合同会議 議事録

中小企業政策審議会(第11回)・基本政策部会合同会議 議事録

日時:平成22年3月30日(火) 15:00~17:00
場所:経済産業省 本館17階 第1-3共用会議室
議題:
(1)「平成21年度中小企業の動向に関する年次報告」(案)について
(2)「平成22年度において講じようとする中小企業施策」(案)について
(3)平成21年度における各部会の活動状況
   (経営安定部会、経営支援部会、取引部会、商業部会)
(4)「中小企業憲章に関する研究会」について
(5)「中小企業支援等の最低賃金引上げ対策検討チーム」の設置について

議事録:

  • 宮本企画課長
    ただいまから第11回「中小企業政策審議会・基本政策部会合同会議」を開会いたします。
    本日は御多忙のところ、委員の皆様方には多数御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
    なお、本合同部会の委員及び臨時委員の数でございますが、中小企業政策審議会、基本政策部会、それぞれ20名、10名でございまして、本日過半数の委員及び臨時委員の方々に御出席いただいており、中小企業政策審議会の規程に基づきまして、定足数を満たしておりますことを御報告申し上げます。
    まず、新しく就任された委員の方を御紹介させていただきます。
    石井淳蔵委員でございます。
    鶴田欣也委員でございます。
    藤田正美委員でございます。
    また、臨時委員として新しく御就任された方でいらっしゃいますが、 有村佳子委員でございます。
    笹山喜市委員でございます。
    白形知津江委員でいらっしゃいます。
    なお、本日は御欠席されていらっしゃいますが、中西勝則委員も新しくご就任されております。代理として清水様に御出席いただいております。
    次に、審議会について御説明申し上げます。審議会につきましては、原則として公開との方針がございますので、本審議会につきましても原則公開とし、資料及び議事録を公表させていただきます。
    ただし、皆様にお配りしている資料のうち、中小企業白書に関係するもの、具体的には資料5~9でございますが、こちらにつきましては4月下旬を予定しております閣議決定を経て公表することになります。それまでの間、委員の方限りの取扱いとさせていただきたく存じますので、御了承いただきたいと存じます。
    また、本日は審議会の配付資料に加えまして、私ども中小企業庁の方で取り組んでいる様々な施策の紹介の広報の資料も併せてお配りをしているところでございます。
    それでは、本日の会議を始めるに当たりまして、増子経済産業副大臣にごあいさつをお願いいたします。
  • 増子副大臣
    皆さん、こんにちは。ただいま御紹介賜りました、経済産業副大臣の増子輝彦でございます。今日は大変お忙しい中、皆さんにお集まりいただきまして、中小企業白書についてのいろいろな御議論をいただくこと、まずもって御礼を申し上げる次第でございます。
    私も47年の歴史を持つ中小企業政策審議会に初めて出席をさせていただきました。大変光栄に思っております。岡村会長を中心として、どうぞ皆様方には引き続き、日本の中小企業政策のために、また、中小企業が元気にならなければ日本の経済はよくならないという思いを共有していただきながら、是非今後ともよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
    ただいま、新しく委員に御就任された皆さん、本当にありがとうございます。いろいろと、また皆様方の新鮮な、さまざまな知見をこの審議会の中にも反映をしていただきますよう、心から御期待とお願いを申し上げる次第でございます。
    私は中小企業を自分で十数年経営をいたしておりまして、政治の世界に入りましてはや30年近くになってまいりました。やはり日本の法人の中の99.2%が中小企業です。その中の73%が小規模零細企業という、日本の企業の中に占める中小企業の比率は大変大きなものがございます。
    先ほど申し上げたとおり、中小企業が元気になって、中小企業がもうかれば、私は日本の経済はよりよいものになっていくといつも思っております。私が今、こうやって経済産業省の中で副大臣として直嶋大臣の下で一生懸命、自分の中小企業や経済政策に当たることを、私は本当に感無量でありまして、やはり中小企業の皆さんのためにしっかり頑張っていきたいという思いを持って、鳩山政権発足はや半年が過ぎました。昨年の税制改正や予算編成の中においても、中小企業の皆さんのためにという思いを持って今日まで頑張ってまいりました。
    そういう意味で、中小企業白書というのは、その時代の経済を表しながらも、中小企業に対するさまざまなことが織り込まれていくわけであります。私も中小企業白書を見ながら、日本の今の経済の状況や、これから中小企業に対して国がどのようなことをサポートできるのか、また、どのようなことを克服していかなければならないかということの制度設計もしていかなければならないと、いつも中小企業白書を大切に読ませていただいたわけでございます。
    今回、中小企業白書、皆様方に最後の詰めをしていただきながら、次の政策にどのように反映できるのか、そして、実は今日から我が省の中でも始まりましたが、予算の監視・効率化のチームをつくって、国民の皆さんからちょうだいした税金をどのような形で使っていくのか、無駄なく、効率よく、この国民の皆さんの税金を予算の中で反映をしていく。そのとき、中小企業に対して一体、私どもは何をできるのかということを、これからまた真剣に考えていきたいと思っております。
    ここにおいでの皆さんには、長い間経済産業省はもとより、中小企業政策に大変御尽力をいただいてまいりました。どうぞ、更にこの中小企業政策に大いに力を発揮していただければ、大変ありがたいと思っております。
    私どもは人の命を大切にする、コンクリートから命へということで予算の再編もいたしておりますが、どうぞ皆さん、私は雇用の問題にしてもそうなんですが、やはり企業がもうからなければ、今の日本が抱えるさまざまな問題は解決できないと思っております。
    ですから、昨年の税制改正でも中小企業に対する提言税率を18%から11%に引き下げたいということで、一生懸命頑張ってまいりましたが、残念ながらペイ・アズ・ユー・ゴーということで、それに代わる財源を確保できないということで先送りになってしまいましたが、中小企業がもうける、すなわち利益を出すような体制をしっかりつくっていくために、これから私はこの経済産業省の中で、日本のこの政治の中で、鳩山政権として頑張っていきたいと思いますので、重ねての皆様方の引き続きの、一層の御指導と御支援を賜りますよう、心からお願いを申し上げる次第でございます。
    今日は大変お忙しいところ、本当にありがとうございました。
    済みません、私は最後までこの席におられませんことをお許しいただきながら、皆様方のさまざまな御意見をしっかりと集約しながら、素晴らしい白書となることを願いながら、皆さんへの御礼に代えさせていただく次第でございます。
    本日は誠にありがとうございます。(拍手)
  • 宮本企画課長
    ありがとうございました。
    それでは、これより先の進行は岡村会長にお願いしたく存じます。
    岡村会長、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 岡村会長
    それでは、進行をさせていただきます。
    本日は「平成21年度中小企業の動向に関する年次報告」(案)につきましてまず御報告をいただくとともに、平成22年度において講じようとする中小企業施策(案)について御審議をいただくことになっております。
    双方ともに中小企業基本法に基づき、政府が国会に提出することとなっております。
    まず「平成21年度中小企業の動向に関する年次報告」(案)につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
  • 星野調査室長
    調査室長の星野でございます。座って失礼させていただきます。
    年次報告でございますけれども、本文の方はお手元にある資料7、このような分厚いものでございますけれども、本日はその概要ということで、資料6の30枚紙ぐらいの資料にのっとって御説明を申し上げます。
    それでは、まず2ページをごらんいただけますでしょうか。白書のポイントということでございます。白書は2部構成になってございまして、第1部では最近の中小企業の動向を分析するということでございます。
    また、毎年取り上げるトピックでございますけれども、第2部において、中小企業のさらなる発展の方向性ということで、集積の関係、環境・エネルギー制約の関係、少子高齢化時代の新事業展開といった3つの国内制約の中での新たな展開のお話を書かせていただいております。
    また、もう一つの柱といたしましては、アジアを中心とする国外の成長機会の取り込みといった視点で分析を行っているところでございます。
    続きまして、3ページ目をごらんください。まずは最近の中小企業の動向について御説明申し上げます。冒頭は中小企業ということではなくて、内外経済の動向ということでございます。委員の先生方は御承知のとおり、世界経済は2008年9月のリーマン・ショック以降、急速に悪化をしておったわけでございますが、足元では景気刺激策の効果もありまして、アジアを中心に緩やかに持ち直してきているということを何ページかにわたって書かせております。
    こうした動きの中、5ページ目以降で中小企業の動向を分析をしているところでございます。5ページをごらんいただけますでしょうか。
    まず、中小企業の景況感でございます。景況感につきましては持ち直しの動きが見られているところでございますが、やはりその水準は依然として低いといえるのではないかと思います。特に下段の図表をごらんいただきますと、業況判断でございますけれども、製造業を中心に持ち直しの動きが見られているところでございますが、右側の建設業、卸売業、小売業、サービス業といった非製造業では持ち直しの動きが緩やかになっているというところでございます。
    次のページをごらんください。次は生産でございます。今、製造業を中心に持ち直しの動きが見られると申し上げたところでございますが、業種ごとの生産動向というのが上段に書いてございますが、自動車、電子部品といった輸出向け産業で持ち直しているというところでございますが、精密機械、一般機械といった設備投資関連産業では足踏み状態にあるといえるのではないかと思われます。
    本日発表されました鉱工業生産指数におきましては、小型乗用車を始めとして生産が減少しているということでございますが、持ち直しの基調には変化がないということでございます。
    続きまして、7ページ目をごらんください。次は中小企業の資金繰りについてでございます。資金繰りにつきましても持ち直しの動きが見られているところでございますけれども、その水準は依然として低い状況にあるということかと思います。
    また、右側の倒産件数ですけれども、足元、増勢は鈍化しているというところでございますけれども、小規模企業の倒産は依然として多いという状況かと思われます。
    また、これに関連しまして下段のところで、自殺について分析を行ってございます。我が国の自殺者というものは年間約3万人を超える形で推移をしているところでございますが、そのうち約1割が自営業者、家族従事者といった方々が占めておるところでございます。
    これらの自営業者、家族従事者の方の自殺の原因について示したものが、その右側のグラフでございますが、そこにございますように事業不振、負債といった理由が多くを占めております。政府におきましては、内閣府を中心に自殺対策を推進しておるところでございまして、中小企業庁としても内閣府と連携して、経営相談の充実や強化、資金繰り対策に尽力をしているところでございます。
    自殺問題につきましては、国民運動としてとらえていくという必要があるのかと思っているところでございます。
    続きまして8ページ目でございますが、雇用について御説明を申し上げます。上段にございます1月の失業率が4.9%と、依然高水準で推移をしているところであると思われます。右側の図でございますが、製造業、卸売業、建設業での雇用のDIの水準も高いところでございます。過剰感が強くなっているということではないかと思います。
    また、右側、新規求人数でございますが、どの規模も関係なく前年比で減少が続いているというところではないかと思います。
    このように、中小企業の業況というのは持ち直しの動きが見られているというところではないかと思いますが、ただいま申し上げましたように、業種や規模においてその動きに違いがあり、特に資金繰りや、今、申し上げた雇用については依然厳しい状況ではないのかということが言えるかと思います。
    続きまして9ページにお進みください。今度は先行きのお話を申し上げます。9ページの上段をごらんいただきますと、左側でございます。やはり中小企業の想定レートを超えて円高が進行している状況がわかるかと思います。
    また、輸出を行っている中小企業でございますけれども、約半数が円高によってマイナスの影響を受けていると回答しているという状況にございます。
    また、下段でございますけれども、左の図でございますけれども、小売業においては2008年に比して、主力製品の価格が10%以上下落をしているというお話がございまして、やはり価格競争への対応を行っているということで、今、申し上げた円高でございますとか、デフレの進行ということで、先行きにはリスクがあると言えるかと思われます。
    続きまして、10ページ目をごらんください。こちらからは経済危機が中小企業に及ぼした影響ということで簡単に御説明申し上げます。
    2008年秋に株価が急落したということでございますが、民間金融機関の保有株式などには評価損が発生しました。また、中小企業向け貸出はその後、中小企業の業況悪化があったことから、都市銀行を中心に減少するなど、資本市場に通じた影響というものがあったということかと思われます。
    また、11ページでございますけれども、やはり経済危機は今、申し上げた資本市場だけではなくて財市場、特に輸出関連産業を中心に急激に減少したということが言えるのではないかと思います。
    11ページの下の図表をごらんください。経済危機で減少した新車完成車の輸出額、約7,000億円でございますけれども、これは規模別産業連関表を使わせていただきまして、我が国の経済に与えた間接的影響を試算したものでございます。中小企業においては製造業、非製造業を合わせまして約5,400億円ということで、減少の影響が出たのではないかという試算でございます。
    続きまして、12ページをごらんください。こちらは経済危機の影響を過去と比較をしたものでございます。このグラフをごらんいただけると、過去2回の景気後退期と、それぞれ3つの指標を並べてございますけれども、明らかに動きが異なるのかと思います。輸出急減の影響を受けた製造業というものが、業況を急激に悪化させて、生産も低水準に落ち込んだということです。雇用についても急速に過剰感が高まったということがおわかりになるかと思います。
    続きまして、次の13ページ目をごらんください。こうした状況につきまして、政府といたしましては、中小企業金融対策、雇用対策を講じてきたわけでございます。上段におきましては緊急保障制度の保証承諾実績でございますとか、セーフティネット貸付、危機対応貸付の実績の推移をお示ししてございます。
    次の14ページには雇用関係でございますけれども、雇用調整助成金の関係での計画届受理状況というものをお示ししているというところでございます。
    ここまでが中小企業の今の現状と、経済危機の影響ということで第1部のお話をさせていただいたところでございます。
    続きまして、第2部の御説明に移らせていただきます。先ほど申し上げた柱の中の1番目でございますけれども、国内制約が高まる中での新たな展開ということで、集積、環境・エネルギー制約への対応、少子高齢化時代の新事業展開のそれぞれについて、これから御説明を申し上げていきます。
    まず15ページ目でございますが、集積の関係について御説明申し上げます。
    日本の国際競争力の源泉であります製造業というものは、1986年から2006年までに、全国の事業所数を37.3%減少させているところで、従業者数も25.6%減少しているというところでございます。この節では、製造業事業者数が全国で上位3位になっています東大阪市、大田区、浜松市を取り上げて分析をしているところでございますけれども、これらの3地区では全国平均を上回る事業所数、従業者数の減少が見られるところでございます。
    これら3地区で特に減少が目立つ業種というのは、下段のところのグラフの図表にお示ししておりますけれども、一般機械、金属製品の分野であると思われます。この後の分析では、この2業種に加えて輸送用機械器具というものも加えて3業種の分析を行っていこうと思っております。これら3業種は製造業全般の基礎となる技術力を維持していく上でも重要な業種ではないかと考えます。
    16ページ目をごらんください。まず、事業所数の減少について分析を行いました。ここの地図でございます。各地区の地図で、赤が濃いところが事業所の数、密度が高いところでございますが、3地区とも1986年からの約20年間で色が薄くなってきているということがわかります。事業所がなくなっているということを表しております。
    我々がここで着目いたしましたのは駅との位置関係と、土地の用途地域との関係でございます。各地図の中で黒い小さな点があるのがおわかりかと思います。見づらくて申し訳ございませんが、黒い点で表わされているのが駅の位置ということでございます。右端の地図は、各地区の用途地域別に色塗りをしたものでございます。
    駅、用途地域と事業所の減少率の関係を示したのは一番下の表でございますが、わかったことは、駅から700m未満、徒歩10分圏内ということで言えるかと思いますが、そういった住居地域におきまして、事業所の減少が著しいということかと思います。
    こちらに関して、主な理由として考えられますのは、地価が高い大田区の駅周辺で工場を閉鎖してマンションに建て替えているといったことや、東大阪などで住居地域などで、近隣住民との関係で製造業の工場を営むことが困難になってきているということなどが考えられるのではないかと思っております。
    右側に工場、アパートの地図が載ってございますが、大田区では区が工場アパートを建設して、移転する工場の誘致を行う対策をとっているという事例が見られるところでございます。
    続きまして、17ページでございます。こちらは3地区の集積内の取引構造を分析したものでございます。上段のピラミッドのような図は、3地区の金属製品、一般機械器具、輸送用機械と、製造業を営む企業の取引を図示化したものでございます。
    左端は浜松市でございますけれども、170社の頂点に立っているところは大手二輪製造の企業でありまして、同社を頂点とする重層的なピラミッド構造、取引構造が明らかになったかと思います。
    他方、右端の東大阪市でございますけれども、比較的取引数の小さい企業約10社程度でございますが、同市が水平的な取引構造を有している状況が見てとれます。大田区はその両者、垂直的・水平的取引の双方が確認されるという違いがあるかと思います。
    その中で、下の方で密になっていますところですが、仕入れ企業の数が20社未満の企業の部分を拡大したところが真ん中の図でございます。各地区とも、そのハブとなる中小企業のネットワークが存在しているということが表れているかと思います。
    これらのハブ企業というのは、右に幾つか企業を載せさせておりますけれども、右の欄にありますような企業、すなわちオンリーワンの技術を有する企業や、ネットワークを積極的に進めている企業が多く見られるのかと存じます。
    次に、こうした集積内の企業です。今までは域内の取引に着目したわけでございますが、域外との取引も勘案して図示かしたものが、下段の円の図でございます。図では、域内の取引というものは実線で示しておりますが、域内と域外を合わせた取引数を円の大きさで表わしているということでございます。
    例えば、東大阪では上の図で、域内で10社ぐらいしか取引をしていない企業と申し上げたところでございますが、下段の丸の大きさを見ていただきますと、域外の取引も合わせて考えますと50社、100社、150社といった取引を積極的に行っている様子がおわかりになるかと思います。
    また、この3つの図表では3地区の産業の特徴、つまり、浜松市は赤色の輸送用機械器具、大田区は緑の一般機械、東大阪は黄色の金属製品が中心となっている様子も表わすことができたかと思ってございます。
    続きまして、18ページ目をごらんください。ただいまほど、集積内企業の域外取引の拡大について御説明をしたところでございますが、この日本地図でお示ししたのは、各地区の企業の有する事業所と取引の地域展開の状況を示したものでございます。
    上段の一番上の大田区でございますけれども、大田区の企業は域外にも事業所を保有している割合が高いということでございます。取引数について考えますと、大田区、浜松市、東大阪市、3地区とも域内にとどまらず、日本各地に取引を広げているということでございますが、これら3地域の発展というものが全国に展開して、それぞれの各地域にもその発展が広がっている状況が見てとれるのかと思っております。
    続きまして、また海外のお話でございます。海外に目を向けますと、一番下のところでございますが、3地区とも海外の子会社または関連会社を有する企業というものを、ここ10年で増加させている状況というのが見てとれるのかと思います。
    19ページ目をごらんください。こうした、今まで申し上げてみました製造業の集積というものは、地域の競争力維持、企業のさらなる発展のために維持、強化が必要だと考えられますけれども、そのために必要な取組みというものを述べたものでございます。
    上段でございますが、自営業者の高齢化というものによる廃業というのが、事業所数減少の大きな要因になっているというところでございます。50~60代の経営者の方々の中には、約2割の方が自分の代で廃業すると回答していらっしゃるところでございますし、事業を引き継ごうという希望を持たれている企業の中でも、約1割の方が後継者の確保が難しいとされているところでございます。やはり、円滑な事業の引き継ぎというものは、集積の維持という観点から必要となっているということでございます。
    この観点で、事業承継につきまして、本日御出席の小松委員の会社の事例も、この分厚い本の143ページでございますが、掲載をさせていただいているところでございます。
    また、下段の方でございますが、集積内におきましては、単に企業が維持されるだけではなくて、それぞれの企業がネットワークを広げて発展を実現しているという事例が多数存在するというところでございます。下にありますアンケート結果によりますと、他者との日常的なネットワークで取引先の技術や能力を的確に判断できるようになったとか、他者との間で技術的修正・提案が行いやすいといったことなど、互いに強みを出し合って、競争力を高める中小企業の連携が重要となっているということではないかと思います。
    一番下には、こうしたネットワークを築くことでヒット商品の開発をおこなっている東大阪の事例なども紹介させていただいております。
    続きまして、20ページでございますが、環境エネルギー制約の対応について御説明申し上げます。ここにございます図表ですが、我が国におけるエネルギー起源の二酸化炭素排出量を示したものでございます。今回初めて、中小企業の日本全体の排出割合ということを推計いたしたものでございます。
    日本全体といたしましては、中小企業は全体の約13%の二酸化炭素排出を行っているということでございます。中でも、サービス業を中心とする業務部門は43%の割合と非常に高くなっていまして、特に商業施設、飲食宿泊分野における省エネの余地が非常にあることがわかるのかと思っております。
    21ページにお移りください。
    しかしながら、21ページの中ほどのところのアンケート結果にもございますように、中小企業の方々でございますけれども、空室時の消灯の徹底、電源のオンやオフということのような、運用によっての省エネというのは進めていらっしゃるというところでございますが、投資による省エネというのは比較的進んでいないと言えるのかと思います。
    こちらについて理由を伺ったのが、下のところの左の表でございますけれども、投資費用が大きいからという理由は約5割を占めているなど、費用の問題が存在するのかと考えられます。
    今後の取組みについて伺うと、LED照明の設置というものが1位に上がってくるというところから、やはり比較的費用のかからないものというのが挙げられているところだと思いますが、2位、3位まで伺いますと、高効率ボイラーですとかコージェネレーションなど、高額な投資にも御関心があるという結果も出ているところでございます。 22ページにお移りください。こうした中小企業の取組みでございますけれども、取組みに対しては22ページの上の方にあるように、情報提供や補助金、税制などで積極的に支援することが重要となってくるということだと思われます。 また、真ん中のところでございますが、省エネ、CO2関係で申し上げますと、今、世の中にはESCO事業ですとか国内クレジット制度などがあるところでございますが、こちらの認識度合いをアンケートで示したものでございます。やはり規模の小さい企業ほど認知度合いが低いというところだと思われます。やはり状況提供によって認知度を高めることで、中小企業の皆様の省エネが促進されることが期待できるのではないかということでございます。
    続きまして、23ページでございますけれども、新成長戦略におきましては環境エネルギー大国を示すために、目立つためにグリーン・イノベーションの推進というものが挙げられているところでございます。
    中小企業の中には、これらの分野をチャンスととらえて省エネ支援事業に取り組む企業や、新製品を開発する企業が存在しております。
    23ページの下のところに2つほど事例を載せていただいておりますが、左側は真空管を使いました太陽熱の活用の事例です。右側は竹の繊維をつかった食器を、学校給食のところに今、売り込みをしているといった事例を挙げさせていただいているところでございます。
    続きまして24ページにお移りください。次に少子高齢化時代の新事業展開のお話をさせていただければと思います。
    上段のグラフにありますように、我が国の労働人口というのは、2008年から2035年にかけて0.76倍というふうに減少するということが推計されているところでございます。やはり、中小企業が新事業を展開して、さらなる成長を遂げていくには、新事業展開のための労働力の確保というのが今後重要となってくるところではないかと思います。そのためにも、従来から中小企業というのは大企業に比べて、女性や高齢者の活用の比率というのは高いということで、労働の多様化が進展しているところでございますが、今後さらなる少子高齢化が進んでいく中で、仕事と生活の調和、いわゆるワーク・ライフ・バランスということでございますが、そうしたものを使った、働ける場を提供していくことが必要になってくるのではないかと考えられるところでございます。
    25ページでございます。中小企業の従業者にアンケートをとってみたものでございます。ワーク・ライフ・バランスの取組みが高い中小企業というところにおきましては、従業員の貢献意欲が非常に高くて、従業員の定着率や生産性にもいい影響が出るということが出ております。
    25ページの下段には事例でございます。トライアンフと書いてございますが、毎週水曜日を「パパの日」として退社時刻を16時と決めて、飲み会に行ったりしないで早く帰って子育てに使えるようにしようという企業を紹介しているところでございます。
    続きまして、26ページにお移りください。こちらの分野は少子高齢化時代の中小企業の成長分野について記述しているところでございます。
    上段の図表でございますが、これは2003年度から2008年度にかけて、医療介護関連分野での新規求人数が増加しているということがおわかりになるかと思います。他方、その下のところで、中小企業における雇用者の移動状況を見たものでございますが、こちらでは他業種からの移動というものは半数以下と少ない状況になっておりまして、また、一旦移動してきた労働者も定着率が低いものですから、他業種へ転出をしている例も多いということなどの課題を抱えている状況が見てとれるかと思います。
    こうした状況につきましては、やはりインターンシップなどを通じた業種移動や、定着率向上に向けた環境整備が必要になってくるのかと考えられます。
    先ほどエネルギーの分野で新成長戦略をお話しさせていただきましたが、医療介護の分野を中心におきましてもライフ・イノベーションということの推進によった新たなサービス成長と、ものづくり産業の育成というものが掲げられているところでございます。
    下に2つほど企業の事例を載せているところでございますが、左側は医療分野の企業でございます。乳幼児の細い血管でも縫合できるようなナイロン糸が付いた、細い針を開発している企業の事例が左でございまして、右側は大学発ベンチャーでございますが、ユーグレナという藻の一種を活用して、サプリメントみたいな健康食品の関連の販売をしている企業を紹介しているというところでございます。
    以上、集積の維持、連携の強化といった点、環境エネルギー制約への対応、今、申し上げました少子高齢化時代の新事業展開という3点を、国内における制約として新たな展開の方向性を分析したというところでございます。
    続きまして、27ページにお移りください。次に、もう一つの柱でございます。国外の成長機会の取り込みでございます。
    中小企業の国際化の現状でございますけれども、中小企業におきましても輸出額や海外子会社の保有割合が上昇しているというところでございます。国際化が非常に進展しているというところでございますが、規模が小さくなるにつれて、その割合は小さくなっているということが言えるかと思います。地域別に見ますと、アジアへの輸出割合が高いというところが見てとれるというところでございます。
    続きまして、28ページでございます。28ページ上段のグラフでございますが、2000年度の輸出または直接投資を開始して、その後2007年度まで継続している中小企業といったグループと、2007年度までそうしたことをやっていないグループの労働生産性を比較したものでございますが、ごらんのとおり輸出や直接投資を行っている企業は、その後の労働生産性の伸びが高くなっているというところでございます。
    下段でございますが、同様に従業者数の変化を見たものでございます。輸出を行っている企業の場合は国内の従業者の伸び率が高くなっているというところでございます。
    また、直接投資でございますが、直接投資直後に従業員が減少しておりますけれども、6~7年目には従業員の増加率がまた高くなってきているというところでございます。これは現地のネットワークで生じた取引が国内の取引にもつながって、仕事が増えたのではないかということが考えられるかと思います。
    続きまして29ページ、国際化のきっかけということでございますが、やはり取引先の生産拠点が海外に移転したといったもの以外に、左側でございますが自社製品に自信があり、海外市場で販売しようと考えたなど、前向きな理由が筆頭に上がっているというところでございます。
    これらの企業でございますけれども、海外のつながりを有している割合が高いということで、国際化のために情報収集でありますとか、現地販売チャネルの開拓や海外マーケティングの強化を重視しているというところでございます。
    30ページ目をごらんいただければと思います。ただいま国際化している企業は国際化していない企業よりも労働生産性が高くなる傾向にあると申し上げたところでございますが、30ページ下段の左のグラフを見ていただきますと、労働生産が高いにもかかわらず国際化をしていない中小企業というのが多数存在するところでございます。図表の黄色で網かけをした部分がそれらの企業に当たります。
    これらの企業が国際化しない理由ということでございますが、右の図表にありますように必要性を感じないとか、国内業務で手一杯ということを挙げる企業も多く存在するところでございますけれども、同時に国際業務に必要な知識がないとか、人材がいないといった点を挙げる企業も少なからず存在するところでございます。
    続きまして、32ページをごらんください。勿論、今まで国際化のメリットばかりを強調していたわけでございますが、失敗があり得るということも忘れてはならないところだと思います。32ページでは、2000年に輸出を開始した企業のうち2007年度までに半数が撤退していたりする点、直接投資を行っている企業も撤退比率が高い点を指摘しているということでございます。こうした点も考慮しつつ、国際化というのを考えていく必要があるのかと思います。
    続きまして33ページ以降は「グローバル経済下の中小企業」と題して、貿易の自由化に関して分析をしたというのを御紹介いたします。
    33ページのアンケート結果では、貿易自由化に賛成される中小企業の方々も多いというところでございますが、経済連携協定につきましてはその存在を認識しておらず、原産地証明制度も浸透していないということがうかがえるのかと思っております。
    続きまして、最後のページでございます。今回、国際産業連関表を活用いたしまして、APEC参加国地域で関税が撤廃された場合の中小企業に与える影響を試算したところでございます。試算結果によりますと、中小企業にとっても0.5%のプラスの影響があるということで、APEC地域での貿易の自由化の重要性が示されたところでございます。
    下段の企業の事例は、いずれも自らの強みを生かして、アジアを中心とする需要の増加を自らの成長に取り込んでいる事例ということでございます
    以上、国際化のこのパーツではグローバル経済下の中、中小企業がアジアを中心とする経済の発展を取り込んでいく必要があるのではないかということで分析をしたわけでございますが、そのためにも30~31ページで情報、人材、資金等の課題解決ということが必要となってくるということでございますので、こうした分野を積極的に支援してくことを通じて、これまで以上に国外の成長機会を取り込んで発展していくチャンスがあるということではないかと考えられます。
    以上、今回の2010年版白書(案)では「ピンチを乗り越えて」という副題を付けまして、今回の世界経済危機が非常に厳しくて、中小企業の皆さんにとってはさまざまな課題が存在するというところではないかと思いますが、危機と課題を乗り越える中で、中小企業が更に発展していくチャンスがあるのではないかというメッセージをお伝えしたいと考えております。
    今後のスケジュールについてでございますが、先ほどございましたように、例年どおり来月末の閣議決定を予定するところでございます。
    長くなりましたが、私からは以上でございます。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    それでは、続きまして「平成22年度において講じようとする中小企業施策(案)」につきまして、事務局からお願いいたします。
  • 後藤参事官
    中小企業庁の総括参事官をしております後藤でございます。私の方から、資料8と資料9を御説明させていただきたいと思います。
    基本的には、講じようとする施策という平成22年度の中身がメインでございますが、実は講じた施策、平成21年度に実施したものの継続の事業は、事実上平成21年度の資料8の方に詳しく書いてあることもございますので、資料8と資料9を並べながら御説明をさせていただきたいと思います。
    今年の施策編の特徴といたしましては、従来に比べてできるだけ読んだ人にわかりやすくということを心がけておりまして、基本的にはリーマン・ショック以降資金繰り対策が大変だったということで、全体の最初に資金繰り対策を書いて、中小企業を守るというところをメインにしております。その後、仕事をつくるという意味で、技術開発等のところに施策を並べているという仕組みになってございます。
    まず、資料8の3ページを見ていただきたいと思います。これは3ページに金融対策を具体的に幾つか書いてございますが、これが引き続き平成22年度においても実施されている施策になっております。1つは景気対応緊急保証の創設ということで、2009年度の二次補正で新たに景気対応緊急保証という形で保証制度を入れ替えたものを載せております。これは2011年3月31日までということで、平成22年度においても同様の措置をとらせていただきたいと思っております。
    それから、セーフティネット貸付ということと、その次に中小企業金融円滑化法の施行という形で、貸し渋り対策で条件変更対応保証制度等も併せてセットで創設させていただいてございます。
    それから、4.と5.では流動化担保の保証制度の推進、劣後ローン等の貸付の推進等、新たに今年度、2010年度でこういう施策をやっていこうということになっております。
    それから、マル経等についても引き続き、今年度も実施していきたいと思ってございます。
    ページをめくっていただきまして、資料8の5ページ目でございますが、下請対策でございます。下請対策は下請代金支払遅延等防止法の厳格な執行ということで、公正取引委員会と私どもの方で協力をしまして、下請取引に目を光らせているということでございますが、具体的には2.に書いてありますように、相談の体制の強化とかという話です。それから、施策の普及広報等をやってございます。
    ページをめくっていただきまして、8ページ目のところでございますが、8ページ目のところで下請代金支払遅延等防止法の具体的な執行例が書いてございます。公正取引委員会と中小企業庁は各々別々にやっておりますが、平成21年度の上期においては1件の、いわゆる公正取引委員会の差止請求ということをやってございます。これは引き続き、平成22年度においても同額の予算を計上しておりまして、併せて同様のことをやっていきたいと思っております。
    ページをめくっていただきまして9ページでございますが、9ページは中小企業倒産防止共済、小規模企業共済制度でございますが、これは交付金で中小機構にやっていただいておりますが、これを今年度は新たに法案を出しまして、改正をし、その各々中身を改正してございます。具体的には、倒産防止共済においては、現行の規模を3,200万に拡大する。それから、小規模企業共済におきましては、加入範囲を共同経営者に拡大するということを実施しているところでございます。
    それから、雇用を守るということで10ページと11ページに幾つかの事業が書いてございます。こちらは人材対策とさまざまな事業を実施しているところでございます。今年では11ページの「4.労働者の雇用維持対策」というところで、こちらは雇用調整助成金の拡充等を実施しております。
    それから、その上の「2.新卒者就職応援プロジェクト」という形で、新たにインターンシップで5,000人の新卒の学生さんを手助けしようということを実施してございます。
    それから、13ページ以降の第3章でございますが「仕事を創る」という形で、技術開発予算でございます。平成21年度はものづくりの基盤技術の総合的支援という形で、1.と2.に書いてございますが、このような事業を引き続き継続していきたいと考えてございます。
    それから、ずっと飛びまして16ページでございますが官公需対策という形で、昨年度は官公需、6月に閣議決定をしてございます。目標は5.2兆円という形でやっておりますが、今年も新たに6月の閣議決定に向け、しっかりやっていきたいと考えてございます。
    それから、第4章でございますけれども、新事業促進という形で1.に書いてございます。新連携対策事業と、2.の地域資源、3.の農商工連携という形で、中小企業の魅力発信ということを実施しているところでございます。
    それから、ずっと飛びまして21ページです。海外への市場確保という形でJAPANブランド事業等、中小企業のものを海外に売っていくということで、今年はJETROとタイアップをしながらしっかりと中小企業のものを海外に売っていきたいと考えているところでございます。
    以下、商店街対策、再生・チャレンジ等いろいろやってございますが、時間の都合もございますので、私の説明は以上にさせていただきます。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    ただいまの説明について、これから御質問、御意見等をお受けしたいと思いますが、なるべく多くの方に御発言いただきたいということもございますので、お一方2分以内ということを目安にひとつ御発言をいただければと思います。
    それでは、どうぞ。御意見がございましたら挙手をお願いいたします。
    鹿住委員、どうぞ。
  • 鹿住委員
    高千穂大学の鹿住でございます。御説明ありがとうございました。
    手短にということですので単刀直入に申し上げますと、まず本文の中に、創業を支援するという言葉が一言も入っていないということに対しては、私は大変不満でございます。
    なぜかと申しますと、後ほど御説明があるかと思いますが、中小企業憲章に関する研究会の方でも、創業ですとか起業家に対することが言及されているわけです。雇用創出におきましても新規事業創出におきましても、創業、新規開業というのは非常に大きな役割を果たしているわけですが、そのことについて全く言及がない。グリーン・イノベーションにしてもライフ・イノベーションにしても、既存の企業さんがそういった分野に進出されることは勿論のこと、新規の創業でそういった分野で新サービス、新商品を提供される企業さんへの支援というのも重要なことだと思います。
    もう一つ、雇用創出の側面というのも非常に重要でございまして、やはり既存の企業さんが今の雇用を維持するのに必死になっていらっしゃる、その一方で新しく雇用の場を生み出すという新規創業についても、もっと支援をしていくんだという姿勢を是非示していただきたいんです。
    去年も同じことを申し上げて、創業支援政策はもう既に地方自治体さんでメインでやっていらっしゃるということで、勿論今、御説明のあった平成22年度において講じようとする中小企業政策、あるいは平成21年度の施策の中にも創業支援策が幾つも盛り込まれているのは承知しておりますが、ただ、本文中に一言もないというのは、中小企業庁の姿勢として、中小企業政策として創業支援を行っていく意思、意欲というのが全く感じられないんです。それはちょっといかがなものかと思われます。
    もう一点だけ、創業支援と関係もあるんですが、ワーク・ライフ・バランスのところで、実は1社の中でワーク・ライフ・バランスを従業員の方に実現していただくための政策を充実させていくと同時に、実はもう働いている方たちはもっと先を行っていまして、1人の方がライフステージに合わせて柔軟な働き方を選択するということです。つまり、正社員で働いていた方が結婚してお子さんが生まれたら、今度は自宅で自営業者としてSOHO事業者になる。少し経って、お子さんが小学校になったら今度はパートで働くとか、派遣労働で働く。中学校ぐらいになってフルタイムで働けるようになったら、今度はまた正社員に復帰するといった柔軟な働き方をしている方が、特に女性で増えてきているんです。
    厚生労働省さんの方ではもうそこに着目しておりまして、例えば在宅就業をしている方の数にしても、平成9年には17.4万人と推計されていたんですが、平成20年には123万人ということで、副業も含めますとかなりの数がそういった在宅就労という形で働いていらっしゃるんです。
    ただ、その方たちに対するいろいろな課題があって、支援策というのも考えられているんですが、厚生労働省さんはやはり労働者性の高い方たちへの支援と、自営業者でも労働者性の高い人たちへの支援ということで、御自分たちの政策の対象の範囲を非常にかっちりと守っていらっしゃいます。
    事業性の高い自営業者については、それは中小企業庁さんのお仕事でしょうということで、厚労省さんの方では余り対象とはしていらっしゃらない。そうしますと中小企業庁の方でも、どこからどこまでが労働者性が高くて、どこからどこまでが自営業者として事業性が高いのかというのは、非常にグレーゾーンもございますし、できれば継ぎ目のない支援策というのを、厚労省さんと協調してやっていっていただきたいと思っております。
    個別具体的な細かい内容は今、時間がございませんので申し上げませんが、是非そういった自営業者、特にワーク・ライフ・バランスにおけるSOHOとか在宅就労の中での自営業者の方の支援というのを考えていただきたいと思います。
    以上でございます。
  • 岡村会長
    どうもありがとうございました。後ほどまとめて御対応するような形にさせていただきたいと思います。
    川田委員、どうぞ。
  • 川田委員
    大変厳しい環境が続いておりまして、その中で特に金融支援ということでいろいろと配慮していただいておりますが、その中で特にこのマル経でございます。これは非常に効果的で、中小企業の支援に最も効果的ではなかったかなと感じております。
    ただ、その中で融資対象が、製造業が20人以下、商業・サービス業が5人以下ということになっておりますが、ちょっとこの対象がかなり不平等といいますか、これは事業所の統計でいきますと、製造業の80%がカバーされますし、建設業は93%がカバーされますけれども、卸小売業とか飲食業になると60%に落ちてしまうんです。
    こういう面で、この商業・サービス業の5人以下を10人以下ということで、対象を5人増やしていただきますと、ほぼ製造業とか建設業と同じカバー率になるのではないかということで、ちょっと現状のこの対象数では不公平が出ているということでございますので、御配慮をいただけないかということでございます。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    浦田委員、どうぞ。
  • 浦田委員
    ありがとうございます。非常によく調査された白書だと思います。
    済みません。手短に4点指摘したいと思います。
    1つ目は、調査結果はよくわかるんですけれども、それでは課題に対して政府の役割が何なのかということです。例えば、国内の3つの課題、対外的な課題が1つあるわけですけれども、そこでの政府のあるべき役割について、調査結果があれば勿論更にいいわけですけれども、もしなくても、こういう形で政府が支援したならば、こういった課題を乗り越えられるのではないかという指摘があるといいなと思いました。
    2つ目は、そういう中で重要なのは生産性を上げることであり、それを支える研究開発だと思うんです。研究開発については、お話を伺った限りでは余り議論されていないような感じを受けました。特に研究開発については政府が支援をすることを正当化できますし、そうするべきだと思うんですけれども、先ほどの政府の役割と関連して、研究開発についてももう少しお触れになった方がよかったのかなと思いました。
    3つ目です。これはちょっと細かなことなんですけれども、アジアの躍動感を日本の中小企業はとらえるという形ですけれども、1つは当然輸出を伸ばすということだと思うんですが、その輸出の中身についてもう少し細かな分析が必要だったかなと思います。今までは日本の企業というのはアジアに部品を供給し、アジアで最終製品をつくって、それが欧米に輸出されるという中での中小企業は、多分割合部品を供給するという役割を担ったかと思うんですけれども、今後はやはり最終財がアジアで売れるようになると思うんです。
    そういった今までと違うような動きが出てくるような気がしますので、白書を読んで、中小企業が何かヒントを得たいと多分思っているんですけれども、その場合には将来こうなりそうだという話を入れていただければよかったかなと思います。
    最後、自由化に対するアンケート結果の読み方なんですが、この場合の自由化というのは、外国が自由化した場合という話だと思うんですけれども、要は自由化というのは勿論EPAがやった場合には自分たちも自由化しなければいけないし、相手も自由化するわけですけれども、それがきちんととらえられた質問なのかなというのが、ちょっと疑問に思いました。
    つまり、ここでは自由化というと、海外が自由化するということです。自分たちの自由化というのは余り考えていないようなことのように思うんですけれども、もしそうでなければ、そこをもう少し教えていただければありがたいと思います。
    以上です。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    秋山委員、どうぞ。
  • 秋山委員
    サキコーポレーションの秋山でございます。産業用のロボットの会社を自分で創業いたしまして十数年やっております。
    海外に輸出もしておりまして、今回の非常に環境変化の影響も大きく受けた中で、今回の白書で御紹介をされています、一番最初の中小企業のDIのグラフですね。一時的に急激に落ちて、また回復してくるといった局面において実行していただいた金融支援のセーフティネット貸付といったものは、私自身も使わせていただいて、こういう時期を乗り切る金融支援としては大変ありがたいものだったということで、この場を借りてまずお礼を申し上げたいと思います。
    それから、本題ですけれども、白書の方につきましてはよくまとめていただいていると思いますので、平成22年度ということにこだわらず、今後の中小企業施策について3点ほど問題提起をさせていただきたいと思います。
    今回の白書でいろいろ紹介されているデータを見ましても、先ほど副大臣から御紹介があった、この47年の歴史がある政策審議会の中でも、今、起きていることというのは景気が悪いということではなくて、産業構造が転換するということが今、起きているとまずとらえるべきであるということです。そうであれば、産業構造の転換期において、中小企業がどういう形でサポートしていくのか、それがひいては日本経済の発展にどう貢献できるのかという観点で見たときに、まさに政権交代が起きて、コンクリートから人へということで、例えば今まで公共事業を支えてきた建設業から、例えば介護ですとか医療ですとか、こういったサービス業に人材の需要がシフトしているということです。
    そうであれば、雇用の施策についても、中小企業はそもそも雇用の受け皿としての社会的存在意義があると思いますので、むしろ今の企業で今の雇用を何とか維持するということもさることながら、人材シフトがスムーズに起きるということについての施策を考えるべきだと思います。これはセーフティネットですとかいろいろな考え方が、方法はいろいろあるかと思いますけれども、まずそういう視点がこれから非常に重要ではないかというのが1点目です。
    それから、2点目ですが、同じように産業構造の転換ということを考えたときには、中小企業といえども、これから事業再編というものを積極的に行っていくということも必要になってくると思います。
    そういった観点で見たときに、是比ひとつ見直しを考えていただきたいと思いますのは、経営者の個人保証制度です。これは私は、できれば廃止をしていただきたいと思います。国際的に見ても、このような制度をいまだに使っている、一般的に国を代表するような金融機関ですとか、あるいは政府系の金融機関がこういう制度を採用している例というのは少なくなっているはずだという認識でありますし、これはデータがないので何とも言えませんが、今日御紹介がありました、景気が悪くなったときの自殺者の中に自営業者が多いということについて、場合によってはひとつの要因になっているということもあるのではないでしょうか。
    むしろ、ダイナミックな事業再編が中小企業においても行うことができる余地をつくっておくという意味で、そういう観点で是非とも個人保証制度の廃止、できれば政府系の金融機関さんに率先して、あるいは政府系のいろいろな金融支援のプログラムの中で、率先してそういうことを検討していただきたいと思います。これが2点目です。
    それから、3点目ですけれども、補助金の在り方について是非再考いただきたいと思います。先ほど御指摘がありましたように、特にこれから日本の中小企業が生き残っていくためには、国際的に通用する付加価値の高い製品、サービスを生み出していく主体になるということが大変重要になると思います。そのために、研究開発促進のための補助金、税金を原資に使うということは、私自身は大賛成でありますけれども、実は私自身も今般使わせていただいて、非常に大きな疑問をもったのは、通常の商慣習上の常識を超えたような事務手続の要求事項が非常に多いということです。これは特に人手の少ない中小企業にとっては、事務コスト負担が大き過ぎるということがあります。これは多分、現場にいらっしゃる方の負担感ということです。そういうことで、もう少し事務負担を軽くするような在り方を考えていただきたいということです。
    以上でございます。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    それでは、もう一方に御意見を伺って、それに対して回答していただくことといたします。
    小野徹委員、どうぞ。
  • 小野徹委員
    全国中小建設業協会の小野です。
    「平成21年度において講じた中小企業施策」の「第3章 仕事を創る」の「第2節 官公需対策」が16ページにございますが、中小企業の官公需契約の方針は6月12日の閣議決定という過去最速、しかも52.4%に高めていただいたということで、大変感謝を申し上げているところです。
    また、その文面に加えて、併せて地方公共団体に対して、国の施策に準じて必要な措置を講じるように要請するとともに、全都道府県で説明会を開催したとあります。当局の御努力に敬意を表しますけれども、7ページの新しく平成22年度において講じようとする中小企業施策ですが、この後段の文言と併せて地方公共団体に対して国の施策に準じて必要な措置を講じるように要請するとともに、全都道府県で説明会を開催するという記事がございません。これは一番最初の説明にありましたとおり、わかりやすくするという意味でこれを外されたのかどうかということでお尋ねをしたいと思っております。
    ちなみに平成21年度、昨年のこちらの会での施策(案)では、官公需についての中小企業者の受注機会の確保については、引き続き重要な課題であるため、関係省庁と連携して、平成21年度中小企業者に関する国との契約の方針を策定するとともに、同方針について可能な限り準ずるよう地方公共団体について要請を行うと記載されております。
    他意はないと思いますけれども、この未曾有の大不況下にありまして、全国の中小建設業者の数少ない民間工事は凍結、白紙です。また、頼みの公共工事予算は大幅な削減です。そこへなりふり構わぬ大手業者の攻勢、参入ということで、まさに青息吐息の状況におちいっております。
    地域を担う全国の中小建設業者に救いの手を伸べていただくように、平成22年度におきましても地方公共団体に対して国の施策に可能な限り準ずるよう、地方公共団体に対して要請を行うといった文章を、できればきっちりとお書き願えればと思います。
    よろしくお願いいたします。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。5名の方から御質問がございました。それぞれ内容が多岐にわたっておりますけれども、それは事務局からまず御回答申し上げて、議論していただきたいと思います。
  • 増子副大臣
    皆さんの御意見を幾つかお聞きしてから退場しようと思っていましたので、今、5人の方からいろいろお伺いしまして、ありがとうございました。
    何点か私の方からお答え申し上げさせていただきたいと思います。先ほど秋山さんの方からお話がございました点を何点かお答えいたします。
    個人保証の撤廃の問題は、実は民主党のマニフェストの中でもずっとうったえてまいりました。今、政府系金融機関の中においては、第三者保証は一応廃止をいたしておりますが、個人保証がまだ残っているという実態がございます。
    これは何とか、私どもは国会の質問でも随分この問題については出てまいりますので、どういう形で速やかにできるかということを、今後とも前向きに検討をしていきたいと思っておりますので、これは少し時間をいただきたいと思います。
    それから、補助金の在り方の再検討で、まさに手続きの問題は、民間の中小企業の皆さんも大企業もそうだと思いますが、非常に複雑なんですね。面倒くさいんです。今回、実はエコポイントの中に住宅エコポイントを付けました。これはいろいろな地方の話を聞きますと、非常に手続きが面倒で複雑だということです。こんなことではせっかくのいい制度が活用できないという声が非常に多いものがあります。
    それ以外でも、もしあれだったら長官から後から答えていただきたいと思いますが、実はものづくりの補正予算でかなりの金額を取って、ものづくりに対する補助を出しました。これも実は手続き上の複雑さとか問題点があって、一次では十分消化ができなくて、二次募集をさせていただきました。そして二次募集の後、また更にちょっとお金が出てまいりましたので、三次募集ということです。これについてはそういう御批判もいただきながら、少しずつ改善をして、このものづくりの補助金についてはだいぶ簡素化されてきたということで、長官が一生懸命やってくれましたので、少しずつこれも改善をしてまいりました。
    これは中小企業庁あるいは経済産業省だけではなくて、行政機関全部がそうだと思うんです。ですから、ここのところを私は積極的に変えていく必要があるだろうということは、もう一般の皆さんからの声がたくさんございますので、これもしっかりやっていきたいと思っております。
    それから、雇用の面の受け皿としての存在意義があるという話はまったくそのとおりでありまして、中小企業は先ほど申し上げたとおり、全法人の中に占める比率が非常に高いものがあります。事業体としては小さいんですけれども、やはり数がたくさんあるわけですから、中小企業がしっかりやっていけば雇用の機会というのは非常に増えてまいりますから、これも私どもは認識を十分持っておりますので、この辺のところをやっていきたいと思います。
    実は私は先ほど申し上げたんですが、やはり雇用というのは、昨日も政府の雇用対策をして、実は今日もやるんですが、最低賃金を含めて雇用の問題は何が大事かというのは、やはり企業に利益が出なければだめなんですね。企業が儲からなければ人を雇えないんです。利益さえちゃんと出していくような仕組みをつくれば、その中で正規社員が中心となって雇用ができるということも間違いありません。
    しからば、企業が利益を出すためにはどうするかというと、私は規制もある程度しっかりと緩和をするとか税制の改正もしてくとか、さまざまな中小企業は勿論のこと、大企業の方でも実効法人税率を下げていくとかいうことを含めて、私たちはさまざまな制度の改革をやって、利益の出るような体質にしていきたいということです。
    産活法の中でも、実は海外に中小企業が進出するときに全面的にバックアップしようということも、昨年の法律改正の中で産活法の中にこれも入れてまいりました。
    それから、もう一つ、これは話は出てまいりませんでしたけれども、岡村会長の下部組織に全国商工会議所青年部というのがありまして、この青年部の皆さんや役員の方が昨年6、7名の方がいらっしゃいました。そのときに、あなたたちは今、一番何をしてほしいんですかということで、私はボールを投げました。そうしましたら開口一番、再チャレンジのチャンスがほしいと言うんです。若いですから皆さん積極的に、先ほどの創業も含めて企業を起こすということをやると、リスクがかなりあります。そのリスクの中で失敗したときに、もう一度再チャレンジのチャンスがあると、我々は若いだけにまだまだ十分やれるんですということでございましたので、その再チャレンジのための仕組みというものも、中小企業庁も経済産業省もしっかりと今、つくっているということでございます。
    JALで有名になった企業再生支援機構というのは、まさに地方の有為な中小企業や中堅企業の経営資源や人材を確保するための再チャレンジの機構であります。私はJALの受け皿は反対いたしましたが、結果的にはこれが活用されておりますが、今回第1号として中小企業、中堅企業がようやく適用になりましたけれども、しっかりと再チャレンジのことも含めながらさまざまな施策を今後、平成22年度、平成23年度に向けて、中小企業がしっかりと地域の中に根付きながら、あるいは元気が出て利益を上げて、雇用をつくれるような体制を私どもはがんばってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
    言いっ放しで申し訳ございませんが、これで失礼させていただきます。あとはこちらの長官を始め、皆さんからいろいろ意見交換をしていただきたいと思います。
    ありがとうございます。
  • 長谷川中小企業庁長官
    よろしいですか。
  • 岡村会長
    長谷川長官、どうぞ。
  • 長谷川中小企業庁長官
    時間の許される範囲で2、3お答え申し上げます。
    貴重な意見ありがとうございました。いただきたきました意見はまず総論的に申し上げますと、この白書はある種の講じたことの実績を御報告する、実績のところをハイライトするという機能です。
    ですから、いただいた意見の中には、そもそも施策を今後こういうふうに変えろという御要望がありましたので、それはそれで今後の施策を考える上で、貴重な材料にさせていただきたいと思っています。
    そういうふうに申し上げますと、まずは創業につきましては私自身も大変重要だと思っていますし、ハイライトの仕方がちょっと足りないというお話だと思いますので、それはもう少し工夫をし、また、同時に今後の政策を考えるときにも、ちょうどタイミング的にもそういう時期かなと思っておりますので、そこは工夫をしたいと思います。
    ワーク・ライフ・バランスにつきましても、特に事業者につきましては分担上講じたというのもおっしゃるとおりですから、少しいい例か何か、具体的にあった方がわかりやすいかもしれませんので、白書の中身をこれから改善といいますかつくるときに、何とか工夫ができるかどうかやってみたいと思います。
    それから、マル経のお話は施策をどうするかという話ですので、白書をつくるときに白書で書いても、実体が動きませんと書けませんので、今後の施策の御要望ということで御理解をさせていただきますけれども、マル経というのは御存じのとおり、小規模企業について、中小企業基本法では特に念入りに政策を講じろというものが実はございまして、したがって小規模企業の範囲が法律で決まって、先ほど川田さんがおっしゃったような卸売、小売、製造業という従業員の差になっているわけです。
    したがって、そことのリンケージがありますので、小規模企業政策としてカバー率から範囲を決めるというのが理論的には難しいかもしれません。
    それから、あとは海外の関係は次長にお願いをすることにして、先ほど副大臣がお話ししました保証です。これは大変大事な問題だとは思っています。
    ただ、マニフェストにも個人保証というのをなくしたいということがあるんですけれども、これは難しいのは、政策金融機関だけで御融資を完結されている企業はありません。これは政策金融機関自身が実は系譜的には特殊法人ですから、何でもかんでもできると民業を圧迫するということで、例えば日本政策金融公庫、旧国金で預金機能がないわけですね。ですから、そこで決済ができないから、必ず民間金融機関を一緒に御利用いただいているんです。
    そうなると、民間金融機関の方が個人保証をやめないと、何かそこで事故があったときに政策金融機関だけがまず率先してというのはいいんですけれども、政策金融機関の方が残念ながら、言わばそういう事故になってしまったときに劣後することになりますので、財政上大丈夫かという話になるわけです。
    そうすると、ではどちらが先でどちらが後で、動かないではないかというお話があるので、そこがだめだと言っているわけではなくて、なかなか難しいというのがひとつです。
    それから、2つ目に、これは司法の方の世界で、法人格の否認というひとつの確立された判例があります。勿論、それは個人の経営者が法人の形態をとったときに保証をとられた場合、全部がそういうケースだと言っているわけではありません。したがって司法の判例等との並びで、どこまで個人保証をとらないで済ませることができるかというのを今、腰を入れて研究をし始めております。
    なお、ちなみに申し上げますと、今でも政策金融公庫の中小企業部門では、法人格がきちんと確立をしている企業の場合には、個人保証は経営者さんからもいただかないということで実例もございますので、これを何とかもう少し広げられないかなと思っています。
    更に申し上げると、もう一つ連帯保証があります。日本だけではございませんけれども、この制度がかなり世界的にはまれな例でありますので、保証はともかく連帯保証は何とかならないかという問題もございまして、ここも今、研究を始めさせていただいております。
    それから、あとはアジアのお話です。海外との話なんですが、これはなかなか私どもも歯切れが悪いということも言われるんですが、とにかく大事なことは、日本の国内市場だけではなくて世界に目を向けて、どんどんできるものは打ち出していこうということなんですけれども、おっしゃるとおり、こちらが出れば向こうから日本ももっと開けと、開くこと自体が経済厚生が上がるわけです。
    したがって、そういう問題提起を少しでもしたいと思っていますので、これは政府の文書になりますので、こういった国内の自由化についてどこまで書きこんで、政府全体で協議できるかはちょっとやってみたいと思いますけれども、なかなか分野によっては自由化と言った瞬間に示す分野もあるものですから、ちょっと御指摘を受けたといいますけれども、どこまでできるかはなかなか難しい分野もあるということでございます。
    それから、書類の話は副大臣がおっしゃったとおりですから、私どもはできるだけ努力をします。これも終わりがありませんので続けていきます。
    それから、官公需の話は、特に平成21年度はいろいろな意味で、従来にない異例なところをできたと思っています。異例ですから平成22年度に続くかどうかはわかりませんけれども、最大限の努力をしたいと思っています。
    できれば、地方公共団体というのは一方で、国から具体的に言われるとそれ自体が地方主権との関係で、かえって進まない面もありますので、よい例と悪い例といった点をもうちょっと直してもらうといいんだという、もし具体的なヒントをいただければ、これはこれで官公需計画をつくりますときに参考にさせていただきたいと思います。
    長くなりましたが、とりあえず以上です。
  • 佐藤中小企業庁次長
    海外のところにつきまして若干補足させていただきますと、アジアの躍動感を取り入れられるような輸出の中身の分析、特に中小企業の方々のヒントになるようなものという御指摘をいただきましたけれども、本文の215ページからいろいろな事例を取り上げておりまして、先ほど説明のときにも秋山さんの御説明等ございましたけれども、こういう形で、どういうふうに海外に展開していったら海外の需要が取り入れられて、成功しているかというものは、できるだけたくさん載せるような努力はしております。更にこういう取組みができないかどうかというのを工夫してまいりたいと思います。
    それから、もう一つ、自由化の読み方として、海外の自由化が行われた場合に国内にどういうメリットが出たかという分析でしょうかという御質問をいただきましたけれども、本文ですと264ページにAPECに参加する国、地域の間で関税が撤廃されたときの分析というのをしておりまして、これは我が国も含めまして関税を撤廃したときに、それぞれどのようなメリットが出るかというのを、国際産業連関表というものを使いまして分析したものでございます。
    したがいまして、我が国も含めて関税を下げていったときにどのような影響が出るかというものの分析でございます。
  • 岡村会長
    今、大方の問題について副大臣、長官、次長からございましたけれども、少しまだ完全にお答えしきれていない部分がありますので、担当の方からお願いします。
  • 星野調査室長
    創業支援のところで鹿住委員の方から御指摘ございました。
    実は昨年、まさにイノベーションということをかなり大々的に取り上げまして、研究開発を行っているようなベンチャーキャピタルみたいな話も、資金調達の話等を結構させていただいたところではございます。その関連が今年につきましてはイノベーションということで申し上げますと、先ほど委員の御指摘のグリーン・イノベーションでありますとかライフ・イノベーションといったところの記述にとどめさせていただいているところでございますが、もう少し何かできないかを少し考えてみたいと思っております。
    ワーク・ライフ・バランスにつきましても、昨年かなり女性の関係ということでアンケート調査等を大々的にやったところでございまして、今年はどちらかというと正社員の方とそうでない方で、どのように意識に違いが出てくるかといったところに着目したところがございます。
    ただ、柔軟な働き方という意味で申し上げますと、186ページの分厚い方でございますが、主婦の方々の20~60代の主婦の方々のネットワークといった事例を少し紹介させていただいているところでございます。もう少し別に何かいいものがないか考えたいと思ってございます。
    あと、浦田委員の方から海外進出、輸出についての課題について、政府の役割といったところの御指摘があったかと思います。本文255ページと256ページで、出て行った方々に国際化の支援策を利用したタイミングでございますとか、どのような内容のものを国際化支援策を利用されたかといったこと、または、国際化支援策を利用したことによるメリットといったアンケートというものをさせていただいております。
    やはり情報提供といったところに需要が多いのかと思っておりますが、引き続きこういった分野、情報提供でございますとか、また、現地支援のところも非常に多くニーズがあるということだと思っておりますので、こちらのところも内容を深めていくなり、対応が必要かと考えているところでございます。
    私の方からは以上でございます。
  • 岡村会長
    あと、研究開発の問題がありますね。
  • 星野調査室長
    恐れ入ります。浦田先生から海外進出と研究開発の方のお話がございまして、残念ながら御指摘のとおり、研究開発のところは分析が進みませんでしたので、今後の課題を勉強させていただきたいと思っております。
    以上です。
  • 岡村会長
    それでは、大方の御質問についてはお答えいたしますが、時間がまいりましたのでこれで打ち切らせていただきたいと思いますが、最後にどうしてもという方がおられたらお一方、お願いします。
    三神委員、どうぞ。
  • 三神委員
    済みません。今、ちょうど海外支援に関する256ページのところで、パブリックセクターは主に情報提供が多く、民間のコンサルティング会社、商社は現地に進出した後の支援が多いと書いてありますが、この間をつなぐ存在というのが日本はなかなか足りていないという現状がございまして、具体的に割とメッセなんかの歴史が非常に深いドイツだったり、ヨーロッパ諸国などで起きている事例が、ちょうど中間のものなんです。
    これは具体的に何をするかというと、組織の形態だとPPPですね。パブリックとプライベートの中間の形態で、情報提供のレベルも展示会に、日本の場合はどうしてもブースを出して名刺交換をしたら終わりという形で、そこまでで止まってしまうんですが、PPP形式でやっているところの入り込み方というのは、もう行った時点では現地の取引有望先とのアポが取れていて、ブースとしてはそこで本社機能の縮小版という形で契約をそこで取ってきてしまうということです。1回旅費をかけたのであれば売上に貢献するところまで、しかも、ドクター取得者の方々がPR用なのか、それとも法人顧客向けなのか、ペーパーの書き分けまでコンサルティングをする。ブースのつくり方も、日本のコーナーという形でまとまって出すということではなくて、もし業界ごとに分けたらいいのであれば、そこはそこで支援するといったかなり機動力を持った中間的な位置づけがありまして、現時点の状態ですとどうしても多々、JETROさんと商工会と機構さんとで、それぞれがどのように住み分けをされているか、使う側としては恐らくなかなかそこの色分けがわかりづらかったり、あとは現地に進出した後はもう民間のところを使えばいいんですが、どうしてもそこに行くまでが非常に難しいんです。
    ちなみに、その中間的なところは8か国語に同時に翻訳資料をつくるであるとか、大々的にデータベースをつくるだとか、こういったところまでやっておられるので、この点は今後の課題ということになろうかと思いますが、是非御検討いただけたらと思っております。
    あともう一点、植物工場に対する支援で、金額が結構出ているんですが、私の知っている範囲で現地で大変聞かれるのは、日本のみならず植物、つまり野菜を売るということですと、売上単価を上げることに限界があって、あと、エネルギーコストがどうしてもかかるので、設備投資のコストを回収するのが非常に難しい。これが、もし仮に天候リスク、特に干ばつリスクが大きいであるとか、こういった国々のODAとくっ付いたような政策になっているのであれば、非常に植物が育ちづらいところに広大な面積が余って、そこに工場をつくってと、そういったところであればまだ有望であろうかと思うんですが、国内でやるであるとか、輸出財としてということになると、なかなかコスト競争力が難しい。
    あともう一点、これは農業の方に絡んでしまうんですが、どうしても今、世界市場でF1のレベルの種子、ここのマーケットを押さえられていない以上は、どうしてもビジネスモデルとして回る可能性が低いのではないかといった疑問が多々出ていますので、是非ともこの辺り、入口のところと出口のところの希望感を御検討いただけたらと思います。
    あともう一点なんですが、エコといった場合のグリーン・イノベーションなんですけれども、どうしても日本の場合CO2の削減と省エネルギーに力点が置かれがちなんですが、アジアマーケットが伸びてきたときの天然資源の枯渇議論、これに伴って単価がどれだけ上がっていくかというシミュレーションが、これもヨーロッパで出ておりまして、これに伴って原材料の省資源化、マテリアルの効率化、ここのイノベーションも、実はエコのカテゴリーに入れていくべきではないかと感じておりまして、ここは日本の無駄取りであるとか、連動して得意分野ですので、ここもおいおい範疇に入れていただけたらいいのではないかと感じました。
    長くて済みません。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    事務局から、どうぞ。
  • 佐藤中小企業庁次長
    最初の海外の展開のところですけれども、講じた施策の冊子の方の21、22ページに、ジャパンブランドを始め、JETRO、中小機構の事業展開の記述がございますけれども、確かに御指摘のようなところはあると思っておりまして、本年度に入りましてから、JETROと中小機構がタイアップをして、商談会まで含めました、もう少し深みのある支援ができないかどうかという検討を進めておりますので、今の御意見を参考にして進めさせていただきたいというふうに考えております。
    それから、植物工場と省資源、いずれも大変大事な御指摘だと思いますので、御指摘を踏まえまして、またいろいろと検討をさせていただければと考えております。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。時間が不足気味でございますので、申し訳ございませんが、白書と年次報告につきましては、ここで終わらせていただきます。
    御質問に対するお答えの中で、年次報告並びに施策案につきまして、変更すべき内容もたくさん御質問いただきましたし、また、御意見としてお述べいただいた部分もございましたので、その辺はうまく振り分けまして、これから再度調整に入らせていただきますけれども、細かな記述などを含めまして、一応私に御一任いただくということでよろしゅうございますでしょうか。 (「はい」と声あり)
  • 岡村会長
    ありがとうございます。それでは、そのとおり進めさせていただきます。
    さて、本審議会の下には、各分科会及びそれに属する部会がございます。ここで、今年度1年間に開催されました各部会の活動状況につきまして、事務局から御報告いただきたいと思います。
  • 奈須野経営安定対策室長
    それでは、経営安定部会の審議状況について御説明申し上げたいと思います。資料10をごらんいただければと思います。
    経営安定部会は、足立部会長の下に2回開催してございまして、小規模企業共済制度と中小企業倒産防止共済制度の見直しの方向性について審議いただいてございます。
    昨年6月開催の第19回の中で、まず議題の1でございますけれども、小規模企業共済、これは小規模事業者の退職金制度でございますけれども、その見直しについて御審議いただきました。
    この内容につきましては、昨年度から引き続き検討することとなっておりました加入対象者の範囲の見直しについて御審議いただいてございます。個人事業の経営実態を踏まえまして、個人事業主とともに経営に参画し、従業員に対して指揮・監督権限を有する共同経営者を加入対象者とすることととりまとめていただいてございます。
    これと併せまして、財政健全化に向けた方策についても御審議いただいてございます。まずは、繰越欠損金削減の基本方針を示していただきまして、併せて貸付制度の拡充、加入促進の強化を併せて図りまして、経営者の将来不安を取り除いて、事業の継続、発展を支援することが必要というような内容でとりまとめていただいてございます。
    なお、これにつきましては、法律改正案が2月16日に閣議決定を受けまして、現在、国会で審議しておるところでございます。
    次に議題の2番目でございますけれども、中小企業倒産防止共済制度、これは取引先の倒産による連鎖倒産を防止するためには、掛け金の10倍の範囲で共済金の貸付を行う制度でございますけれども、この中で政府の余裕財源が生じた場合に、完済手当金を支給することができるという規定がございますけれども、この余裕財源の推計方法につきまして御審議いただいてございます。
    完済手当金の余裕財源につきましては、実態に即しまして推計を行うということで、具体的には費用項目に掛け金を前納してお支払いいただいた場合にディスカウントする制度があるんですけれども、この前納減額金と併せて回収率につきまして、今までは5年平均で採用していたものなんですが、これを累計に変更してございます。この2点を御審議いただいてございます。
    議題の3番目に、同じく中小企業倒産防止共済制度ですけれども、これは5年ごとに見直しを行うというのが倒産防止共済法に規定がございまして、21年度がこれに当たるということで、中小企業倒産防止共済制度の今後の在り方についてという報告書をまとめていただきました。
    具体的には、共済金の掛け金月額、貸付限度額の引き上げ、それと償還期間の延長、共済事由の拡大、繰上償還の負担軽減の方向性について御審議いただいてございます。
    これを受けまして、倒産実態、あるいは中小企業者のニーズ等を踏まえまして、貸付限度額の水準を事務局の方でその後検討いたしまして、関係先との調整を経て見直しを具体化してございます。
    これも併せて改正法案を2月16日に閣議決定を受けて、現在、国会に提出してございます。内容につきましては、中小企業の資金ニーズに対応して、貸付限度額を迅速に改正を行えるようにするため、政令事項化するということと併せて、貸付限度額を3,200万から8,000万への引き上げ、それと共済事由につきましても、弁護士等が関与する私的整理の一部の追加、それと早期償還手当金制度の創設などを内容としてございます。
    最後に、3月に開催した部会の中で、小規模企業共済制度の22年度の共済金の支給率について御審議いただきました。これは毎年前年度の3月に御審議いただいて答申をいただくものでございますけれども、21年度は累積の欠損金の縮小が見込まれてはおりますけれども、まだ解消には至らないということで、支給率もゼロであることが適当ということで御意見をちょうだいしてございます。
    経営安定部会の審議状況は、以上でございます。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    それでは、経営支援部会についてお願いします。
  • 岸本経営支援課長
    経営支援課長の岸本でございます。資料11に基づきまして、御説明申し上げます。
    経営支援部会は、平成18年度は地域資源活用促進法及び産業活力再生特別措置法、平成19年度は農商工連携促進法、平成20年度は産業活力再生特別措置法、これらの改正法案について審議をいただいております。
    平成21年度につきましては、平成20年度の審議を踏まえて、通常国会で成立をしました産業活力再生特別措置法の運用に関わる規定について御審議をいただきました。
    この新しい法律は、いわゆる第二会社方式というものでございまして、中小企業を再生するに当たって、企業価値のある部分を切り出して、その部分について支援策を講じるためのものでございます。
    この審議会で議論していただいた再生指針につきまして、大きく言いまして2点改正点がございます。
    1点は、先ほど増子副大臣から御紹介がありましたとおり、国の再生支援策として、資金繰り、新事業あるいは販路開拓と並びまして、人材の育成、海外展開を明確に位置づけたということでございます。
    もう一点は、中小企業基盤整備機構が、各県の支援協議会について、技術的あるいは専門的な立場から支援をする体制を整えたということでございます。
    この再生指針を踏まえまして、昨年の6月22日に、中小企業承継事業再生計画の運用が開始をされておりますけれども、第1号が昨年10月1日、民事再生案件で上島珈琲貿易の認定がされております。
    第2号が、今年に入りまして1月29日、これは社名非公表になっておりますが、整理回収機構(RCC)の案件として認定をされております。
    このほか、再生全般について申し上げますと、平成21年度は再生支援が完了した件数が4月から年末までで317社、累計では2,422社、このうち債権放棄は、昨年4月から年末までで40社、そのうち第二会社方式が31社となっております。
    経営支援部会の今後の活動につきましては、例年3月の下旬に、経営支援部会で中小企業支援法に基づく支援計画の審議をしていただいておりますけれども、今回は4月9日に経営支援部会で御審議をいただく予定でございます。この機会に、経営支援関係の施策の実施状況についても御報告をする予定でございます。
    経営支援部会については、以上でございます。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    次に、取引部会、お願いします。
  • 十時取引課長
    取引課長の十時でございます。取引部会につきましては、昨年6月2日に開催をされております。村上部会長の下で、官公需施策について御議論いただいております。
    官公需は、官公需法第4条に基づきまして、国は毎年度、国との契約に関し、中小企業者の受注機会の拡大を図るための方針を作成することになっておりまして、経済産業大臣がこの案を作成して閣議に諮ることになっておりますので、この閣議決定の前に取引部会に諮って御議論をいただいております。
    具体的には、平成21年度の中小企業者に関する国等の契約の方針について御議論をいただいておりまして、具体的な21年度の方針の内容につきましては、参考のところにございますように、まず21年度における措置の拡充ということで、従来からこうしている措置、取組みに加えまして、新たな措置といたしまして大きく3点を掲げてございます。
    まず、情報提供の推進ということで、国等の発注情報をホームページ上で一括検索をして情報提供する「官公需ポータルサイト」というものを構築するということで、これは実際に昨年の10月から運用を開始しております。
    第2に、国等の契約目標・実績について、よりきめ細かく公表していくということで、従来はまとめて公表しておりましたところの独立行政法人等の192の政府関連法人につきまして、それぞれ個別に情報公開を行っていくといった取組みによりまして、契約目標・実績をきめ細かく提供していくようにしております。
    第2の柱として、地域の中小企業者の適切な評価ということで、当該地域への精通度ですとか、地域災害協定への参画などの地域貢献度、こういったものを積極的に御評価いただくということで、適切な地域要件を設定していくということで、地域の中小企業者の適切な評価や積極的な活用に努めるということを、措置事項として盛り込ませていただきました。
    更に、下位等級者の入札参加機会の確保ということで、一括調達による発注を行う場合に、従来の予定価格に対応する等級の参加資格者だけではなくて、それより下位の資格者も参加が可能となるような弾力的な運用に努めるということを盛り込ませていただいております。
    こういったことを含めまして、2ページ目にございますように、21年度の契約目標といたしまして、先ほど少し御指摘がございましたように、中小企業向け契約比率で、過去最高の52.4%を目標として掲げまして、金額ベースで5兆1,993億円となりました。これを、取引部会で御議論をお認めいただいたということでございます。
    以上でございます。
  • 岡村会長
    ありがとうございました
    次に商業部会についてお願いします。
  • 和田商業課長
    資料13をごらんいただければと思います。昨年の通常国会で、地域商店街活性化法が成立いたしました。地域に根差した存在としての商店街ならではのコミュニティーに貢献する事業活動を促進することで、商店街の活性化、更には地域の活性化を図ろうという法律でございまして、8月1日に施行されましたが、その前後に2回、商業部会の方におきまして、商店街活性化事業の促進に関する基本方針案につきまして御審議をいただいたところでございます。
    なお、8月1日の施行以後、次のページの「参考」にございますように、同法の施行後、これまで31の商店街が認定を受けて活性化に取り組んでいるという状況でございます。
    以上でございます。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    ただいま各部会からの御説明を申し上げましたけれども、御質問、御意見ございましたら、どうぞ御自由にお願いします。よろしゅうございますか。
    それでは、御意見ないようでございますので、各部会におかれましては来年度も中小企業施策の企画立案のために活発な御審議をいただくように、改めてお願いを申し上げます。
    最後に、残りの議題でございます、中小企業憲章に関する研究会と、中小企業支援等の最低賃金引上げ対策検討チームについて、事務局から御説明をお願いします。
  • 宮本企画課長
    資料14でございますが「『中小企業憲章に関する研究会』について」という1枚紙の資料がございます。先ほど鹿住委員からもお話がございましたが、現在、私どもとして中小企業憲章というものを策定すべく「2.委員」というところにございますが、こういう学識経験者の方で組織する研究会を設置いたしまして検討を行っているところでございます。
    中小企業憲章と申しますのは、人によっていろいろ見方、位置づけが変わってくるものでございますが、もともとは2000年にヨーロッパにおきまして中小企業憲章というものが策定されております。これは、EU加盟各国に対して、EUとしてどういうふうな中小企業施策をすべきかということを御提示するといいますか、それを受けまして各国が中小企業施策を具体的に取るものでございます。EUと日本の構造は若干違っております。中小企業庁の方で国会の御同意を得つつ施策を進めるということであれば、それで中小企業施策は進むことになるものですから、また、私ども各都道府県に対して、こういうことをすべき、ああいうことをすべきということを、必ずしもすべて申し上げる立場にもないということもありますし、EUとの違いというのはございますけれども、私どもといたしましては、中小企業の重要性でございますとか、先ほど鹿住委員のお話でありました創業の重要性でありますとか、起業家精神の重要性でありますとか、そういったものを記載いたしまして、中小企業を始め、国民各層に対するある種の提言と申しますか、メッセージと申しますか、そういったものに続けるべく、「3.スケジュール」にございますけれども、現在、5月を目途に研究会のとりまとめを行うということで検討している状況でございます。
    2点目でございますが、資料15「『中小企業支援等の最低賃金引上げ対策検討チーム』の設置について」という資料でございます。この最低賃金の引上げにつきましては、政権公約にもなっておりまして、現在の水準では低いところでは600円強ぐらいから、最高で791円ぐらいまでが最低賃金として決定しておりまして、最低賃金というのはすべての労働者に適用されるものでございまして、これに違反いたしますと一定の罰則がかかるという仕組みでございます。これを引上げようと、具体的には800円を目途に引き上げようということで検討が行われているところでございます。
    これにつきまして、非常に関係の深いところの、いわゆる労働行政を行っております厚生労働省と、また、私ども中小企業庁、経済産業省におきまして、両省で検討チームをつくって検討を行っているところでございます。
    具体的にどのタイミングで、どのぐらいの金額に引き上げるのかということで、今後、政府全体として進むものと考えておりますが、まず、私どもといたしましては、最低賃金引上げに向けた課題、どういう課題があるのかについて調査を行うということ。また、その課題を踏まえまして、それでは、中小企業にどういった御支援をすべきかということ。また、最低賃金引上げが、いわゆるマクロとしての経済なり雇用全体にどのような影響を及ぼすのだろうかということにつきまして、一定の検討を行うために、今回こういうものを設置したものでございます。
    メンバーにつきましては、今日は退席いたしましたが、増子経済産業副大臣と厚生労働省の細川副大臣を頭にいたしまして、両省の関係者で構成いたしております。
    スケジュールといたしましては、3.の一番下のところに記載がございますように、今年の1月下旬から検討を開始しておりますので、まずは来年度実施いたしますところの、さまざまな最低賃金引上げに当たっての課題の調査を検討することにしておりまして、これを踏まえつつ、その後中小企業支援策の具体策について検討を進めてまいりたいと考えているものでございます。
    以上、御報告、2点でございました。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    それでは、中小企業憲章の問題と最低賃金引上げの検討方向につきまして御報告がございましたけれども、この点について、御質問、御意見がございましたら、どうぞ御自由にお願いいたします。
    どうぞ。
  • 笹山委員
    中小企業診断協会の笹山と申します。今いろいろお話があったんですが、実は小規模企業というのが非常に苦しんでおりまして、例えば役員報酬等も含めて、300万~500万程度というような感触を得ているんですけれども、そういう中で、いろいろ施策が展開されると思うんですけれども、この最低賃金にしましても、非常に厳しいのではないかというような感じを受けます。
    また、先ほど来お話がありました、海外の進出ということにおいても、例えば海外に進出して、海外でやっていただくのなら構わないですけれども、また帰ってきて、デフレが更に進行するようなことが、小規模企業においては大変、悲鳴に似たような声を聞いておりますので、その辺、是非御配慮いただきながらお願いしたいと思っております。
    以上です。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    どうぞ。
  • 白形委員
    本日初めて参加をさせていただきます、白形と申します。中小企業支援等の最低賃金引上げについてなんですけれども、さっきのお話にもありましたとおりワーク・ライフ・バランスで今、在宅の主婦ですとか、在宅でお仕事をされている方を雇用している企業というのは、すごくたくさん増えているかと思います。
    そういった主婦ですとか在宅のお仕事に対しても一律に最低賃金引上げを導入するのが、果たして正しいのかどうかというところを、実際に雇用の現場を見ている者の意見というのは、どういったところで御発言をさせていただいたり、意見として述べさせていただくことができるんでしょうか。
  • 岡村会長
    これは検討のプロセスの話なので。
    どうぞ。
  • 長谷川中小企業庁長官
    済みません。国会の関係がありまして中座をいたしました。今の最低賃金のことなんですけれども、まず事実として申し上げると、新政権のマニフェストに書いてあるんです。したがって、検討をするということですけれども、上げることを検討するというふうに私は承知していません。まず、この問題をどういう影響があるかということを調査したいという検討だというふうに、私は承知をしています。若干事務局の説明は不正確だったかもしれません。
    実際そういうことで、この紙に書いてございますように、課題等の調査の進め方、それから、引上げに当たって、引上げるということを決めたわけではなくて、上げるとすればどういう支援が大事かということです。
    全国各地を回っておりますけれども、かなり多くの、特に経営者、事業者の皆さんは、自分の給料を削っても雇用を守りたいという声が大変強いです。そのときに、雇用の方がもう本当にいっぱいいっぱいなときに、賃金を上げたいんですけれども、できないものはできないんですという声もあります。
    他方で、やはりきちんとした仕事をした成果が成果として、根付けをされて、それが経営者のみならず従業員にきちんと分配されると、その結果として賃金が上がるというのも好ましいことであることも間違いないわけです。
    ですから、今の白形さんの御質問がまさにそのとおりなんですが、私どもこれからかなり、今日お見えの商工会議所とか、あるいは中央会とか皆さんのお力も借りながら、かつ、そういった団体に入っておられるメンバーの方よりももう少し個人事業者のような小さい企業の方にも、どういうふうにしたら調査できるかいろいろ工夫しますので、是非今お話があったような点も、在宅の方も大変貴重な観点ですので、これがいわゆるネットで調べるのがいいのか、なるべく広く御意見、今日いただいた御意見も大変貴重な意見だと思っていますので、もしまたお耳にすることがあったら教えていただきたいと思います。
  • 岡村会長
    どうぞ。
  • 鹿住委員
    高千穂大学の鹿住です。今の問題と関連して、実はある成功したベンチャー企業の経営幹部の方から、いろいろなベンチャー支援策があって、もうそれは十分だと、今やってほしいことは何かと社内で議論したら、労働基準法を変えてほしいと、緩和してほしいと、労働基準法に書いてあるとおりに働いたら生産性が上がらない。それは、厚生労働省のお仕事なので、経済産業省の仕事ではありませんが、ただ、最低賃金を引き上げてもいいけれども、その代わり働かせ方についてはもうちょっと規制緩和というか工夫をしてほしいという、そういう検討の仕方もあるのかなと。やはり労働基準は工場労働者を基準につくられていますので、そうじゃない開発だとか、知的労働の部分を当てはめると、ちょっとそぐわない部分が出てきていますので、そういったことも検討の中にちょっと入れていただけると、少し突破口が開けるのかなと思います。
    ありがとうございます。
  • 岡村会長
    ありがとうございます。
    長官、いかがですか。
  • 長谷川中小企業庁長官
    少し厚生労働省とも、別に厚生労働省も何かある方向を固めたわけではないので、今の御意見もちょっと、今日まさに検討チームがありますから、どういうふうに調査の方法というか、意見のくみ上げ方があるのか検討してみたいと思います。
  • 岡村会長
    ありがとうございました。
    それでは、定刻に近づいてまいりましたので、特に御意見がなければここで終了させていただきたいと思いますが、最後に、どうぞ。
  • 有村委員
    本日、初めて参加をさせていただきました、鹿児島県指宿から来ました有村と申します。今、地方が元気ですという話をちょっとさせていただきます。皆さんのお手元に、私どもの袋に入った資料がお配りしてあると思いますけれども、この事業は内閣府の「地方の元気再生事業」というものに採択をされまして、2年間した事業の結果であります。明日で終わります。
    どういうことか。「平成版IT湯治」という名前です。湯治というのは、昔から日本にあった文化です。労働が終わって、お風呂に行って、温泉に行って体を癒そう、そういう文化がありました。それはどういうふうに体にいいの?
    本当に効くの?
    ということを、今はやりのITという道具を使って検証してみたら、何がわかるだろうかということを、このお金を使って、産学官連携で検証した結果であります。
    そして、今、私たちが何がわかるかということをしているかといいますと、胸部に小型計測器を付けます。ここは、はかっているのは心電です。その心電の中から周波数解析をしますと、交感神経と副交感神経が取り出されます。これでストレスとリラックスがわかります。つまり自分がどんなときにストレスを感じるのか、どういうときにリラックスをするのか、これを付けて行動すると、癒しポイントという言葉が波形で持ってはっきりと表されるということがわかりました。
    そして、これを新しい観光の産業として、ツールとして取り入れようということです。2011年、九州新幹線が全線開業します。それを一過性のものではなくて、ずっと産業として定着する。観光産業、健康産業、医療産業、それらをコラボレートした温泉地になっていこうということです。
    メディポリス指宿のパンフレットも入れさせていただきました。これは、来年7月から粒子線でがんの治療をします。切らずに治すがんの治療が指宿で始まります。ですから、保養する、治療する、そういう観光の町として指宿がこれから発展していこうということです。
    指宿に10軒、国際観光旅館連盟のホテルがあります。この10軒がインストラクターを男女1名ずつで2名を養成いたしました。このインストラクター養成で、この胸部装着の機械を扱い、そこからSDカードを取り出して、専用ソフトの入ったパソコンに入れると、波形でその人の構造によってストレスとリラックスがわかります。
    これを、実は東京の大手旅行代理店、航空会社、ネット販売の業者のトップの方たちに説明しました。ある企業がおっしゃいました。これはうちで使いたい。社員に使いたいということでした。今、心の病気になる人が多い。いつなるかわからない。なってもいつ治るかわからない。その間の人件費が大変なんだと。だから、これが日常的にできるといいという御意見もいただきました。ものづくりの得意な日本のことです。きっとこういうことが日常的にも使えるようになると思います。
    済みません。突然ですけれども、お話をさせていただきました。
  • 岡村会長
    産学官の連携を含めた元気の出るお話を最後にいたしまして終わらせていただきたいと思います。
    中小企業政策審議会・基本政策部会の会議、すべて閉会とさせていただきます。今日は、御協力いただきまして、ありがとうございました。