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中小企業政策審議会(第10回)・基本政策部会合同会議 議事録


日時:平成21年4月3日(金) 15時~17時
場所:経済産業省別館10階1028号会議室
議題:
  平成20年度中小企業の動向に関する年次報告(案)
  平成21年度において講じようとする中小企業施策(案)
  その他

議事録:

  • 岡村会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「中小企業政策審議会・基本政策部会合同会議」を開会させていただきます。  大変お忙しいところ、委員の皆様方には多数御出席をいただきまして誠にありがとうございます。  なお、本合同会議の委員及び臨時委員は合計で33名でございますが、本日は過半数の委員及び臨時委員の方々に御出席をいただいておりまして、中小企業政策審議会令第8条第1項の規定に基づきまして定足数を満たしておりますことを最初に御報告を申し上げます。  それでは、まず、新しく就任された委員の方々を御紹介させていただきます。  荒牧知子委員でございます。  江田博委員でございます。  小野徹委員でございます。  澤田久代委員でございます。  澤部肇委員でございます。  関哲夫委員でございます。  前田正博委員でございます。  松沢成文委員でございます。  三神万里子委員でございます。  なお、本日は御欠席でございますが、永易克典委員も新しく就任されました。代理といたしまして井上様に御出席をいただいております。  同じく本日は御欠席でございますが、村上政博委員にも就任をしていただいております。  次に、審議会の運営につきまして、事務局から説明をお願いします。
  • 餅田企画課長 審議会の運営につきましては、平成7年9月の閣議決定に基づきまして、審議会は原則公開するという方針がございます。本審議会につきましても原則公開といたしまして、資料及び議事録を公表させていただきます。  ただし、皆様にお配りしている資料のうち、中小企業白書に関係するもの、これは資料5~8でございますが、これにつきましては、4月下旬を予定しております閣議決定を経て公表するということになります。それまでの間、委員限りの取扱いとさせていただきますので、御了承願います。よろしくお願いいたします。
  • 岡村会長 それでは、本日の会議の始めに当たりまして、谷合経済産業大臣政務官においでいただいておりますので、ごあいさつをお願いをいたします。
  • 谷合政務官 皆様、本日はお疲れさまです。また、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。本日の御審議に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。  まず、新しく委員に就任された皆様を含めまして、委員の皆様方におかれましては、日ごろから経済産業行政、とりわけ中小企業政策の推進に大変御理解、御協力をいただきまして、心から御礼を申し上げたいというふうに思います。  今、御案内のとおり、大変厳しい状況にございます。輸出の大幅な減少等の影響を受けまして、かつてない速度で景気が冷え込んでいく中で、多くの中小・小規模企業の皆様が厳しい状況に直面して、先行きに不安を感じておられます。  こうした中、経済産業省としては、中小・小規模企業の皆様の声をしっかりと受け止めながら、最も重要でございます資金繰り支援につきまして、倒産を1件でも減らすという決意の下、30兆円規模の資金繰り対策を講じているところでございます。中小・小規模企業の皆様が厳しい状況を乗り越え、一層の発展につなげていただくために、農商工連携などの新たな取り組みや人材の確保・育成への支援に取り組んでまいりました。  また、先般、総理指示を踏まえまして、現在検討中の新たな経済対策におきましても、中小・小規模企業の皆様への支援を一層拡充するべく全力を尽くしてまいります。  さて、本日の議題であります中小企業白書ですが、今回で46回目を迎えます。中小・小規模企業の皆様、中小企業支援機関の方々を始め、国民の皆様に対しまして、中小・小規模企業の実情や課題をお示しする重要な文書であると考えております。今年ほど、この中小企業白書が注目を集める年はなかろう、というふうに思っております。  今年の中小企業白書の案につきましては、1つ目に、内外需が減少し、市場環境が変化する中、中小・小規模企業が変化するニーズに対応した製品、サービスの開発等に取り組むこと。すなわち、イノベーションの実現に向けた取組の重要性や課題、そして2つ目に、雇用情勢が悪化する中、中小・小規模企業の雇用をめぐる実態を示し、中小・小規模企業の人材確保・育成に向けた課題を分析するとともに、20年度に講じた施策、そして21年度に講じようとする施策につきまして、従来よりもわかりやすい内容となるよう工夫をいたしました。  委員の皆様方におかれましては、本日、本案につきまして忌憚のない御意見をお願いするとともに、今後とも中小・小規模企業の施策の推進に対しまして御指導、御協力をくださいますよう心からお願い申し上げまして、冒頭のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございます。
  • 岡村会長 政務官、どうもありがとうございました。  なお、政務官は、公務の御都合で、ここで御退席をされます。どうもありがとうございました。  それでは、本日は「平成20年度の中小企業の動向に関する年次報告」(案)について御報告をいただくとともに、「平成21年度に講じようとする中小企業施策」(案)につきまして御審議をいただくことになっております。  なお、「平成20年度中小企業の動向に関する年次報告」(案)及び「平成21年度において講じようとする中小企業施策」(案)につきましては、それぞれ中小企業基本法に基づきまして政府が国会に提出することになっております。  それでは、まず「平成20年度中小企業の動向に関する年次報告」(案)につきまして、事務局の方から説明をお願いいたします。
  • 川上調査室長 中小企業庁調査室長の川上と申します。宜しくお願いいたします。  私の方から、先ず、平成20年度中小企業の動向に関する年次報告、中小企業の動向(案)を御説明させていただきます。  お手元の資料ですと、資料5と資料6がその関連でございます。本体が資料6で、製本されておりますけれども、何分、400ページ程度に亘るものでございますので、資料5の動向(案)の概要に基づきまして御説明させていただきます。  1ページ目でございます。ここで平成20年度中小企業の動向(案)のポイントということで全体概要をお示ししております。全体3章の構成になっておりまして、第1章につきましては、2008年度の中小企業をめぐる経済金融情勢というものを振り返りつつ、特に去年の秋以降、かつてない速度と幅で景気が悪化し、そういった中で中小企業の業況、資金繰りを始め、非常に厳しい状況になっておるわけでございますが、そうした要因、影響というものにつきまして分析をしております。  政府としましても、先ほど政務官の方から御紹介ございましたように、30兆円規模の資金繰り対策、下請取引の適正化等の中小企業の支援というものもやってまいりました。そういったところにつきましては、引き続き着実に抜かりなくやってまいる所存でございます。  第2章と第3章、テーマ分析と申しておりますが、かつてない内外需の減少の中で、変化しつつある市場ニーズを把握し直して、中小企業ならではの特徴を生かした取組みはどういうものがあるであろうかという観点で「第2章 中小企業による市場の創造と開拓」ということでテーマを立てさせていただいております。  イノベーションといいますと、とてもハードルが高いものに一見とらえられがちではないかと思いますが、こういった厳しい経済情勢の中でいかに工夫をしていくかという観点から、中小企業の創意工夫、生産方法の改善等、そういった取組みの特徴というものを示しながら、販路の開拓にも着目しつつ、いかに売れるようにしていくのかというような、農商工連携でありますとか、連携による取組みというものを示させていただいてございます。  こうした取組みを支える経営資源の課題ということで、知的財産、人材、資金調達というようなところについても分析をしてございます。  もう一つのテーマでございますが、「第3章 中小企業の雇用動向と人材の確保・育成」でございます。これだけ雇用情勢が悪化する中で、中小企業で働く人材の実態というものはどうなっているのかというところを、先ず現状の認識をしたいと思っております。中小企業白書の中で、雇用、人材という柱で分析を行ったことは今までございませんでした。特にこうした厳しい状況の中ではございますけれども、中小企業の雇用の状況というような現状を示しながら、課題というものを探っていきたいと考えてございます。もう一点は、仕事のやりがい等と人材育成というテーマで分析をしてございます。  こうした概要につきまして、次のページ以降、御紹介をさせていただきたいと思います。  2ページ目以降が第1章ということで、この1年間の中小企業をめぐる経済金融情勢でございます。これは、白書ということで、この1年間を振り返っておりますが、今更御説明するまでもなく、昨年の夏秋以降のリーマンショック等を契機に、日本も含めて、世界の株価が大幅に下落いたしました。そういった中で、世界経済の成長率の実績見通しというものも急速に減速をしております。  そういった中で、我が国経済について見ますと、海外経済の減速というところで、先ず輸出が大幅に減少いたしました。去年の10月から今年の1月まで4か月連続で貿易収支が赤字という状況になりました。  GDP成長率も2008年度に入ってからマイナスであったわけですが、10-12月期については年率▲12.1%ということで、これは第一次石油危機以来の下げ幅という急速な減少を記録しているところでございます。  雇用環境につきましても、非正規労働者の雇止め等というようなことで、雇用情勢が急速に悪化しているところでございます。  3ページ目が中小企業の景気動向、業況でございます。1年以上前からの、原油・原材料価格の高騰といった影響もございまして、中小企業の景況感は悪化の傾向を辿ってきたところでございます。特に昨年の後半から、業況判断DIをつけておりますが、これは中小企業景況調査という1万9,000社の中小・小規模企業を対象にしたもので、調査対象としては、一番カバレッジの広い中小企業に関する調査でございます。こういったものを見てみましても、特に製造業で大幅に悪化をしている、中小企業の製造業の生産、IIP(鉱工業生産指数)も大幅に落ちておりますが、中小企業に限って見た場合でも、大きく落ち込んでいる状況でございます。  業種別に見ますと、これまで比較的輸出に支えられてよかったと言われているような機械系の加工組立型の業種というものが急速に悪化をしておりまして、他の業種に比べても更に厳しい状況です。  地域別に見ましても、これまで地域別に業況の格差というものがあったというふうに言われておりますが、むしろ足元では逆転に近い状況でございまして、関東、中部、近畿といったところが他の地域と同等に悪い、若しくはそれを越して中小企業の業況感が悪化しているという状況でございます。  売上げも、昨年の秋以降、大幅に減少していまして、そういった影響もありまして、4ページ目でございますが、経常利益の推移というものを見てみましても、昨年の秋以降、大幅に悪化、減少しているところでございます。  いわゆる原油価格高騰の影響ということで、価格転嫁の問題が昨年度の前半までございました。仕入価格の上昇というものは、中小企業に聞いてみましても、やや一服感は足元ではございます。ただし、それにも増して、販売価格、売上げの単価というものが、景況の悪化を踏まえて足元急速に下がっておりまして、そういった意味では、引き続き価格転嫁というものは厳しい状況ではないかと分析をしてございます。  下請企業に着目してみますと、5ページ目でございます。先程の中小企業景況調査を、下請取引がある企業とない企業というところで分解をして示したものが上段でございます。足元、昨年の10-12月、今年の1-3月期と、下請取引がある企業の方が悪化の度合いというのが大きくなってございます。業況感の厳しさというものがこういった分析でもあらわれるのではないかと思います。  その背景の一因ということでございますが、下の図表でございます。いわゆる生産と輸出の関係でございますが、直接輸出をしている影響というものと、いわゆる輸出企業との取引を通じて間接的に輸出の減少の影響を受けるという2つのパスが考えられると思います。産業連関表を使いまして分析をしてみたものでございますけれども、中小企業の製造業全体で見ますと、もともと直接輸出をしている比率も低い状況ですので、直接輸出の影響と間接の輸出の影響が半々ぐらいでございますが、一番右にお示ししておりますような輸送機械でいきますと、間接的な影響というものが大きいというところが顕著に表れているのではないかと思います。  そういった中で、6ページ目でございますが、中小企業者にアンケートで聞いてみたものでございます。既に取引の数量というものが大幅に減少しているということで、我々も各地方局からも随時声を集めておりますが、そういった声は聞かれております。そういった中で、今後、取引単価も下落するのではないかというようなことを見込む中小企業者は結構多いという結果でございました。  政府といたしましては、下請取引の適正化というものを引き続き図っていくという観点から、下請代金法の厳格な運用、昨年度設けました「下請かけこみ寺」という相談機能等を実施、活用していただいているところでございまして、実際に相談実績というものも増えてきているところでございます。  もう一点が、7ページ目以降になりますが、「中小企業金融の動向」というところでございます。いわゆる中小企業の資金繰りがどうなっているかというところで、資金繰りが悪化しているか、好転しているかというのを聞いたものでございますが、これは業況のDIと同じように、足元悪化してございます。中小企業景況調査で申し上げますと、98年の頃よりも厳しくなっている状況でございます。  中小企業の倒産件数も増加傾向にございましたけれども、昨年の後半以降、もともと建設業の倒産件数は多かったわけでございますが、製造業の倒産というものが増えてきて、増勢を強めてきているというところでございます。  そういった中で、中小企業向けの貸出残高というものは、2007年の後半から減少に転じておりまして、一方で、いわゆる中小企業から見た借入れの難易度というものも悪化をしているという状況になっております。  8ページ目でございますが、実際に中小企業の方の声を聞いてみたものでございます。これは昨年の10月時点でございます。そういった意味では、更に厳しい状況ではあるかと思いますが、やはり設備資金のニーズというものが減少していて、運転資金需要というものが増大をしている。一方で担保価値というものを見てみますと、減少している。地価が下落している等の影響もございまして、資金調達環境は厳しくなっている状況でございます。  8ページ目の下でございますが、中小企業の方と金融機関の方にそれぞれアンケートで聞いてみたものでございます。新規貸出、貸出条件変更というところで、金融機関の方からは、積極的に対応しているという回答が多く寄せられました。一方で、中小企業の方から見ますと、それほど変わらないというような回答も結構多くなっておりまして、認識のギャップが現実としてあるというように考えてございます。売上げの急速な減少といった中で、どのように事業を構築していくかという中で、中小企業への円滑な資金供給というものは一層重要な役割を担ってくるわけでございます。  9ページ目でございますが、政府といたしましては、10月31日より、いわゆる緊急保証を開始いたしまして、実績を挙げてきたところでございます。年末、それから年度末にかけまして、承諾実績というものがピークに上がってございますけれども、3月31日、昨年度を閉めた段階で、緊急保証で9兆2,000億円弱、あと、日本公庫の方で実施をしていただいておりますセーフティネット貸付につきましても1兆4,000億円弱の実績ということになってございます。こういった対応をしておるわけでございますが、緊急保証について見ますと、これは1月時点のデータでございますが、建設業、製造業といったようなところで特に多く利用されていることになってございます。  9ページ目の一番下は、新規に借入れを行った企業の割合をお示ししたものでございます。これは、いわゆる保証債務のある中小企業に対する調査でございますけれども、10-12月期に関して言いますと、小規模な企業も含めまして、借入割合は上昇しているということで、一定の政策支援の効果がこういったところにも表れているのではないかというように考えてございます。  このような厳しい、かつてないと言って良いと思いますが、そういった状況の中で、中小企業が売上げをいかに維持していく、拡大していくかということを考えていく上で、市場ニーズを把握しながら、いわゆる中小企業の強みというものを生かした取組みを進めていくことが重要ではないかということで、第2章は「中小企業による市場の創造と開拓」ということで分析をさせていただいてございます。  10ページ目でございますが、やはり売上高に占める新製品の割合が高い企業の方が増収傾向にあるという関係は見て取れるわけでございます。あと、経年的に取れるデータは、研究開発に係る費用が取れるわけでございますが、こういったものを見てみましても、経済情勢が変動する中で、研究開発費と利益率の割合というものは、やはり研究開発をより多く行っている企業の方が利益率も高いという関係は見て取れるかと思います。また、いろいろな費用の変動の状況というものを見てみましても、研究開発費の売上高の比率というものは、過去10年ぐらい見てみましても余り変動がないというところで、こういった取組みを行っている中小企業というものは、しっかり努力の成果が実っているという結果が、おぼろげながらの分析ではございますが、見えるかと思っております。  11ページ目でございますが、中小企業のイノベーションの特徴ということで示させていただいてございます。いわゆる創意工夫、ひらめきでありますとか、あと、プログレスということかもしれませんけれども、いわゆる生産方法の改善、販路の開拓といったような幅広い取組みの中で、自らの事業の進歩を実現していくというところをイノベーションとして、ここでは捉えさせていただいてございます。  日頃からのいろいろな努力というものがきっかけにつながっている事例というものも多いのではないかということで、経営者のリーダーシップ、それから、研究開発を行っている中小企業の方もいらっしゃいます。それから、アイディアというものを製品に結びつけた中小企業もいらっしゃいます。あと、今までの経営資源を新しく組み合わせるというようなことで、新しい製品をつくられている中小企業もいらっしゃいます。  生産方法の改善といったような視点で見ましても、例えば、ITの活用といったところにつきましては、昨年の白書でも分析をさせていただきましたが、効果を十分に引き出せていない部分も中小企業では結構あるのではないかと思っております。まだまだ工夫の余地はあるのではないかと思っております。  そういったような類型の中で、まずは経営者のリーダーシップというものにつきまして、大企業と比較したものが12ページ目の上段でございます。右側の大企業と比べますと、マルで囲ってございますけれども、経営者のチャレンジ精神、創意工夫、素早い意思決定といった、これはある種中小企業の特徴とも言えるところだと思いますが、そういったところを重視されて取り組まれているということが見て取れるかと思います。  また、どのようなマーケットで活躍しているのかというところにつきましては、やはりニッチな市場で成果を生み出しやすいということになってございます。  また、分野で見てみましたのが13ページ目でございますけれども、環境、バイオ、IT、医療・福祉といったようなところでも中小企業は役割を担ってございまして、それなりの出荷額のウェイトでありますとか、従業員のウェイトでありますとか、市場が伸びている分野につきましては、中小企業の数も増えているというような医療・福祉の分野といったところもあるわけでございます。  14ページ目は中小企業の強みと収益力についてでございますが、どこが自社の強みかといいますと、経営者と社員の一体感・連帯感、それから、ニーズに対してきめ細かく応える柔軟な対応力、素早い意思決定、そういったところが強みというように考えておられます。  そういった強みとの因果関係を直接示したものではございません、いわゆる利益率の平均で見ますと、中小企業の方が大企業より低いわけですが、個々の分布の状況を示したものが14ページ目の下でございます。右側の方を御覧いただきますと、大企業と中小企業が逆転しているところが見て取れるかと思います。大体、上位10%ぐらいの層で比較をいたしますと、中小企業の方が利益率が高いというようなところも存在するわけで、潜在力はある筈であるということで考えてございます。  ニーズの把握と市場の開拓という需要サイドの話ではございますが、中小企業がどこからアイディアを得ているかという点で見てみますと、やはり顧客から得ているということでございまして、顧客を重視をしているという姿が伺われるかと思います。そういった中で、モノ作りとサービスの連携というような姿も見て取れるわけでございます。  一例といたしまして、17ページ目でございますが、農商工連携というような点につきましても、自ら顧客に販売する手段を持つというような意識で、いわゆる食料品製造業者がサービス分野に参入をしているということで、顧客ニーズの情報を直接得るというような観点からの参入が多いのではないかということで分析をしております。  18ページ目につきましては、ITの活用ということで、いわゆるメリットはどこにあるかを聞いたものが上段でございます。「新たな顧客を開拓しやすい」という項目につきまして見ますと、規模の小さな企業の方がよりメリットを感じております。そういった意味で、中小企業の方も、こういったITの活用のメリットというものを認識しておられるんではないかと思っております。  外需が非常に冷え込んでいるという中での話ではございますが、やはり近隣のアジア市場の成長率は日本の成長率よりも高いという中で、中長期的には海外市場の開拓というものはテーマになってこようと思っております。  実際に、19ページ目の中段になりますが、中小企業が行う輸出について、どういったメリット、輸出を行う理由ということで聞いてみたアンケートでございますけれども、ニーズを直接把握できる、フィードバックが国内にできるというような点を理由として挙げている企業が多くございました。  また、実際に海外進出するに当たって、ボトルネックといいますか、有効と考える措置ということで見ますと、関税率の引下げでありますとか、模倣品の取締りといったようなところが比較的高く出ておりまして、政策的な環境整備というものも引き続き重要だと思ってございます。  20ページ目から、経営資源の課題ということで、知的財産について御紹介をさせていただいております。特許出願、営業秘密に関する戦略ということで、大企業と比較してみますと、そもそも中小企業の方は余り方針を定めていないという回答が多くございます。  また、特許出願ではなくて、営業秘密とする理由ということで、技術流出という点について懸念をしておられる中小企業は多くありますが、コスト負担が大きいということでためらっている中小企業もそれなりにいるようでございます。  しかし、売上収益との関係で見てみますと、ヒット商品と特許取得の時期を見てみたものが20ページ目下段でございますが、早期から特許取得に向けた取組みをしている企業では、やはりヒット商品につながっている。勿論、模倣品の排除というような効果のみならず、特許を取得することによって信用力を獲得するでありますとか、顧客を開拓するという効果もあろうかと思います。そういった点も含めた戦略が必要ではないかと思っております。  中小企業がどこから技術を得たいかという点につきましては、21ページ目でございますが、大学でありますとか、公設試等の研究機関といったようなところも結構多くございます。ただし、戦略的に活用していく上で、まず、中小企業者にとって、知的財産の知識が不足している。あと、人材、資金が不足しているといったところが課題としては上がってくるところでございます。  また、イノベーションを生み出す人材ということで、技能承継の観点につきまして見てみたものが、22ページ目の中段でございます。新しいものを生み出すに当たって、どういった取組みが必要かというと、上司、先輩からの指導と技能の承継というところが圧倒的に多く上がっておりまして、技術革新をするに当たっても、そういった技能承継がうまく行われている企業の方が成功しているというアンケートの結果を示してございます。  23ページ目以降でございますが、資金調達の課題でございます。これは従来から言われていることでございますけれども、成長初期段階におきましての資金調達というものがボトルネックになるわけでございます。  そういった中で、24ページ目でございますけれども、資金調達を行うに当たって、金融機関の役割ということで見てみたものでございます。左上のアンケートでは、10年前と比較して金融機関の目利き能力が上がったかどうかというものを、金融機関と中小企業側でそれぞれアンケートを取ってみたものでございます。ギャップがあるわけでございますが、厳し目に自ら評価されている金融機関においても、職員の知識、見極め能力、いわゆる合理化による職員数の減といったところが要因になっているのではないかと認識しているようでございます。  目利き能力の向上のためには、職員の研修能力開発支援に加えまして、いわゆる産業界との連携といったようなところも金融機関は重要視しているところでございます。昨年度から地域力連携拠点ということで、中小企業に対するワンストップサービスを実施してきておりますが、こういった中で地域金融機関が積極的に入って活躍されているケースもございます。こうした取組みも1つのヒントになるのではないかと思っております。   25ページ目以降が第3章「雇用動向と人材の確保・育成」ということでございます。足元の雇用動向は厳しい状況がどんどん増しているわけでございますが、諸統計の調査を見てみましても、特に1-3月期に入ってから急速に悪化をしています。  そういった中で、過剰感のある企業、不足感のある企業というものを比較して見たものが25ページ目の中段でございます。不足感のある企業というのは、足元、やはり割合としては低下しておるわけでございます。ただし、98年ぐらいから10年以上の長期で見てみた場合、常に一定程度存在するという構造的な面も無くはないのではないかと考えております。  これを業種別に見てみたものが下の図でございますけれども、製造業や建設業で、今後を含めて過剰感が高いと出ていますが、飲食サービス、生活関連サービス、医療・福祉といったところは、不足感を結構見込んでいる企業も結構あるということが見て取れるかと思います。また、職種別に見たものが26ページ目ですが、2月の有効求人倍率は0.6倍を切り、非常に厳しさを増している状況にございます。そういった中でも、いわゆる技術者、医療・福祉関係の専門的な職種は、まだ実際に求人数の方が多いということで、不足感があるわけでございます。  中長期的には労働力人口が減少していくという中で、いかに人材を育成していくか、確保していくかというところが1つの中長期的な課題になるのではないかと思ってございます。  27ページ目は、中小企業で働く人材の現状でございます。下のグラフですが、10年前に正社員として採用した新卒者が何割働いているのかを見たアンケートでございます。規模が小さい企業であるほど離職率も高い傾向がありますけれども、ただ、殆ど残っている、働いてもらっているという企業もそれなりにありまして、二極化しているという現状が見て取れます。  28ページ目でございますが、中小企業は、どういった人材を採用しているかという経路を見てみたものでございます。いわゆる転職経験なし・新卒という割合は少ない。言い換えれば、中途採用が多いという現状が見て取れます。  業種で見たものが下でございますが、同業種から採用している割合は3~4割程度、言い換えると、残りの6~7割は他業種からの採用ということで、中小企業は多様な人材を採用しております。そういった中での、人材の情報のミスマッチ、スキルアップを支援するという点での政策的な取組みというものも期待されるのではないかと考えられます。  29ページ目は、新卒採用者について見てみたものでございます。インターンシップについて見てみますと、一番下の図、これは期間で見てみたものですが、実際に中小企業で行われているインターンシップというのは3日ぐらいが一番多いですが、教育機関側の回答では、もう少々長くてもいいのではないか、とギャップというものが見て取れます。こうしたギャップを埋めていくという課題もあるかと思います。  30ページ目は、賃金と仕事のやりがいについてでございます。上段は、従業員の給与につきまして、低い方から高い方にプロットしてみたものでございます。大企業の方が平均して見れば高いわけでございますけれども、上位2割ぐらいの中小企業の従業員の方は大企業の平均以上もらっている、これは統計的な事実としてあるわけでございます。  賃金に関して言うと、成果給と年功序列型と、システムが大きく2つありますが、31ページ目の下段、実際に企業業績との関係について、アンケートで調べてみますと、結論から言いますと、大きな相違はございませんでした。ここは個々の企業の特性と経営戦略に応じた設計が重要になってくると考えてございます。  また、仕事のやりがいにつきましても、32ページ目以降ですが、これは内閣府の調査を上段に示してございますけれども、経年的には仕事のやりがいというのは、どうも下がってきているようでございます。別のアンケートではございますが、大企業と中小企業のやりがい感というものを見てみると、余り大きな差はないという結果のものもございます。  実際に従業員がやりがいを感じているか、満たされているかということと収益との関係を見てみたものが33ページ目の上段でございます。やや振れがございますけれども、収益との関係では、従業員のやりがいが満たされている方が収益も良さそうだという関係になっておりまして、如何に意欲を引き出していくのかが課題だと思います。従業員からしてみますと、賃金水準が一番大きな源泉になるのではないかというアンケートの結果でございますが、2番目には、自分のやった仕事の社内での評価、それから、達成感といったところが高く出ておりまして、こういったものを引き延ばしていくというところも課題だと思ってございます。  また、ワーク・ライフ・バランスのようなものにつきましても、34ページ目以降、分析をさせていただいてございます。36ページ目、女性労働者の活用の状況、あと、高齢者の活用の状況といったものについても若干触れさせていただいてございます。  私からの説明は以上でございます。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  一気呵成で申し訳ございませんが、続いて「平成21年度において講じようとする中小企業施策」(案)について説明をお願いいたします。
  • 横田参事官 中小企業庁参事官の横田でございます。あと5分だけおつき合いいただきまして、事務局の説明をさせていただきます。  資料8をお手元に御用意いただければと思います。1枚おめくりいただきまして、目次というのが1ページ目にございます。今の川上室長からの御説明を一言で言うと、最近の経済産業省、中小企業庁の合言葉なんですけれども、「ピンチをチャンスに変えて」ということだと思います。こういう厳しい状況の中だからこそ、新分野への進出とか、あるいは、なかなか中小企業は確保が難しい人材の確保のチャンスがあるんではないか、そういったことについて一定の分析をしたということだと思います。  中小企業施策ですけれども、主に4本柱ということで我々は取り組んでおりまして、1章にございますように、当面の経営環境への変化、2章にございますように、事業再生とか、今ございました人材確保といった経営力向上、それから、第3章として、今、御説明があったような農商工連携を初めとする新事業活動の展開、そして第4章にございますような小規模企業対策と、大きな4本柱で取組みを行っております。  5分でございますので、本当にざっと項目を見ていただくだけになりますけれども、御説明をしたいと思います。  まず、2ページ目でございますけれども、第1章の環境変化対応というところでございます。環境変化対応の施策の柱は、何といっても資金繰り対策でございます。緊急保証・セーフティネット融資で、ちょうど昨日まで、約54万件、約11兆円の資金繰り対策を行ってきております。今後もこういった資金繰り対策を行っていくほか、なかなかこういう情勢でございますので、担保の価値も下がっているという中で、売掛債権とか、あるいは在庫担保融資といったようなところにも力を入れていきたいと思っております。  それから、何といっても250兆円の中小企業向け融資のうち8割は民間金融機関の融資でございますので、金融庁とも協力しながら、こういったところに働きかけをしていきたいと思います。  3ページ目をめくっていただきまして、下請対策でございます。こういう経済情勢でございますので、どうしても下請企業に対してしわ寄せが寄りやすいという中で、下請代金法の運用強化をやってございます。昨年度も書面調査、従来、10万件強だったものを、約倍の20万件にするといったようなことで一生懸命取り組んでございます。代金法違反の事例に対して、昨年度上半期だけで10億円ぐらいの下請代金の支払をお願いをしておりまして、これも平年度ベースは年間2億円ぐらいでございますので、約10倍のペースで運用してきているということでございます。  それから、相談体制ということで整備しました「下請かけこみ寺」につきましても、昨年度のいろんな経験を基に、より充実させていきたいというふうに考えております。  飛ばさせていただきまして、5ページ目でございます。2つ目の柱が経営力向上対策でございます。まず、事業再生でございますけれども、ちょうど今日、衆議院の経済産業委員会を通過しましたけれども、この国会に産業活力再生法の改正法案を出しておりまして、中小企業が事業再生していく中で、最近増えております第二会社方式を使った再生を円滑化するといった措置を今、国会で御審議いただいています。こういったものが成立しましたら、是非有効活用して事業再生に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。  それから、7ページ目でございますけれども、先ほど御説明しました人材のところでございます。昨年の二次補正で140億円の人材基金事業といったものを用意してございます。今年度から事業がスタートいたしますけれども、中小企業への人材橋渡しをする事業とか、あるいは実践型の研修で年間1万人ぐらいの雇用に結びつけるといったような事業に取り組んでいきたいというように考えてございます。  飛んでいただきまして、11ページ目でございます。新分野への挑戦ということでございます。これは、昨年度新たに成立しました農商工連携、あるいは一昨年度成立しました地域資源、あるいはその前の新連携と、いろんな枠組みがだんだん整備されてきております。新連携につきましては、この2月まで、約190件の新しい計画の認定がされてきております。こんなことも是非活用しながら、積極的に取り組んでいきたいと考えています。  それから、12ページ目の下の方でございますけれども、海外市場開拓支援。今、急激に輸出が落ち込んでいるという御説明を申し上げましたけれども、そうは言いながら、日本の国内マーケットがシュリンクしていく中で、中小企業といえども、やはり海外マーケットをうまく確保していくことが発展していく上で不可欠なんではないかということで、海外コーディネーターの大幅増員といったようなことで、是非御支援をやっていきたいと、こんなふうに考えております。  18ページ目でございます。小規模企業対策ということでございます。小規模企業対策につきましては、先ほどの御説明の中にもございました地域力連携拠点事業というのを昨年度から行っております。一言で言うと、競争と協調というふうに言っておりますけれども、商工会議所、商工会といった従来型の中小企業支援機関に加えまして、金融機関とか、あるいは農協さんとか、大学とか、そういったところにも御参加いただきながら、取組みの評価をユーザー視点に立って行いながら競争していただき、一方で約2,000のパートナーにも御参加いただいていますけれども、いろんなネットワークで総合的に小規模企業者を支援していこうという取組みでございます。  最後に、19ページ目でございますけれども、商店街対策につきましても、今年度、地域商店街活性化法という新しい法案を提出しております。これまで小売商業振興法ということで、ハード中心の支援をしてまいりましたけれども、新しい法律がもし成立すれば、ソフト面も含めた地域密着型のコミュニティの中核としての商店街の機能を果たしながら活性化をしていくということで支援をしていきたいと考えております。  以上でございます。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  ただいまの事務局からの説明について、これから御審議をいただくわけでございますが、何分たくさんの委員がおられますので、たくさんの御意見をいただきたいと思いますので、恐れ入りますが、お1人の発言は2分以内ということで、挙手の上、御発言をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  どうぞ。
  • 鹿住委員 高千穂大学の鹿住でございます。  2点ほどございます。1点が、創業による雇用創出への貢献ということについては何も分析はされていないんですが、昨今、こういった雇用情勢でございますので、既存の中小企業の雇用確保、あるいは雇用の増大というところに中心が置かれるんですが、10年前に中小企業基本法を改正いたしましたときには、新規創業による雇用の創出のところをかなりページも割いて分析もしておりましたが、そういった観点での分析がされていないというのはいかがかなと思われます。  イノベーションとも関係するんですが、イノベーションも、何のためのイノベーションか、何を目的としたイノベーションかということをもう少し明示された方がよいのではと思われます。というのは、事例で挙げられたものは確かにすばらしいイノベーションだとは思うんですが、例えば、下請からの脱却で、全く新しい分野に転換したいとか、そういった場合にはやはり国際競争力も求められるかと思います。その場合に、イノベーションを支援する仕組みとして、例えば、公設試験研究機関とか大学だけでよいのか。公設試は地域の産業集積に則した技術の研究等を中心になさっているかと思います。全く違う分野にということであると、多少、地域の公設試では不足というところもあるかと思います。  先月の初めに台湾に調査に行ってきたんですが、台湾では、日本の産総研に当たる工業技術研究院というところが、地域の中小企業の事業転換を大々的に支援をしておりまして、そういった仕組みも1つ参考になるかなと思います。産総研が全然出てこないというのはちょっとどうか、もっと活用してもいいのではないかと思われます。  以上です。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  どうぞ。
  • 伊藤委員 日本電鍍工業の伊藤でございます。  私も2点ほどありまして、冒頭から中小企業の資金繰り対策ということで、さまざまな対策を打たれていて、セーフティネットとかもあるのはよくわかるんですが、イノベートするために、当社も、要は、この景気の見通しがよくわからないので、先にお金を借りておかなければいけないということで、日本公庫さんにお借り入れをしました。周りの日本公庫さんとお取引のないところは、セーフティネットなどを活用してお借り入れするんですけれども、すぐにまた返済が始まってしまうので、景気の見通しがなかなかはっきりしないところでまた借り入れるというのは、結局、悪循環に陥っているところが多いんですね。ですので、金利が低いのもありがたいんですけれども、思い切って何年間か据置期間を設けて、リスクという意味では、危ないところには金利を高くするとかしていった方が、根本的な資金繰りをよくする上では助かる企業が多いんではないか。本来残るべき中小企業が残っていくんではないかと思っています。  もう一点は、先ほど海外市場の開拓というところで、当然、売先を探さなければいけないので、輸出依存度が高くなる日本にとって海外市場はいいんですが、余りそこを追うがために空洞化が更に悪化するということは非常に懸念すべき点で、当社みたいにメッキであったり、プレスであったり、熱処理であったりというところは、全部市場が外に行ってしまうと国の中で仕事がなくなってしまうので、その辺もしっかりと考慮していただければと思っています。  以上です。
  • 岡村会長 今の御意見は、21年度にこの2つの提案を入れた方がいいだろうと、こういう御意見ですね。
  • 伊藤委員 はい。
  • 岡村会長 わかりました。  どうぞ。
  • 竹岡委員 竹岡です。  内閣府の科学技術会議等の委員もやっていまして、今、内閣府レベルで、日本のこれからの新事業ということになりますと、やはり環境とか、太陽光発電とか、そういうエネルギーに対して相当なお金を投入するという政策がどんどん打ち出されて、その方向に行っている。環境というのはもともと非常に中小企業の比率が高い業種です。今まで、例えば、太陽光発電とかいっても、それは材料レベルとか、いろんなレベルで、半導体をやっていたとか、導体とか、液晶パネルとか、そっちの方が今、非常に悪いので、そこを支えていた中小企業群が、技術的には同じ基盤なので、それを今度は太陽光発電の方に何とかいけないかという状況なんです。  今回ちょっと思ったのは、非常に大きな国レベルの環境とかエネルギーとかいう対策と、中小企業の役割とのリンクというのが、読んでいて見えないなという感じがしました。だから、せっかくの勝機といいますか、逆に言うと、そういう新しいマーケットに、これは全世界分野でいろんな国が投資をしようとしているわけですから、大企業がそこに参入するだけではなく、勿論、それを支えていく中小企業ごと勝機に向かってかぶりついていく体制をつくっていかなくてはいけないんではないか。そうだとすると、今後の施策の中に、国レベルの大きな動向の中に中小企業がきちんと参入するというか、支えるんだというものが入っていると、中小企業も非常に元気が出る、要するに予算もきちんと回ってくるかなという感じがしますので、よろしくお願いします。
  • 岡村会長 よくわかりました。  澤部さん、お願いします。
  • 澤部委員 経団連の中小企業委員会委員長を務めている澤部でございます。  白書そのものにつきましては、資金繰り対応だとか、イノベーション、あるいは人材確保の重要性等々を網羅されて、非常によろしゅうございますが、人材確保と育成に絡んでなんですけれども、新現代チャレンジ支援事業というのを去年から引き続いてやって、中小企業のみならず、大企業にとっても非常に重要なことだと思うわけですが、このマッチングというのがどうなっているかということだと思うんです。現在、60歳で定年退職する人たちというのは、技術的にも、あるいは体力的にも十分なんですが、こういった人たちが大企業からどんどん退職していく中で、韓国であるとか、台湾であるとか、中国であるとかに就職していく。それはそれでそれぞれの人生があるわけですけれども、一方、中小企業として、そういったキーマンが足らないという状況があると思うんです。この1月のデータを拝見しますと、8,000少々の応募に対して1,600ぐらいのマッチングしかない。これは非常に残念で、ここのところをもっとうまくやれれば、更に中小企業の戦力強化につながるんではないかと思うのです。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  どうぞ。
  • 松沢委員 神奈川県知事の松沢です。全国知事会の方も代表して意見を言わせていただきますが、中小企業対策というよりも、産業全体を見て、労働力の移動というのは、新しい産業構造の転換と併せてしっかりやっていただきたいと思います。  例えば、1980年代ぐらいに鉄鋼産業とか石炭産業から、当時、非常に伸びてきた自動車とか電機産業への労働力がうまく移動できたんです。そこで、そんなに大きなミスマッチがなかったように思うんですけれども、今、外需がどんどんなくなってきて、むしろ内需を振興しなければいけないということで、お話があったように、例えば、一次産業ですとか、福祉・介護の分野、あるいは今後政府が力を入れていくんでしょう環境技術の分野等々に人が大きく移動しやすいような、例えば、能力開発ですとか、あるいは職業紹介というものを、もう少し国が音頭を取っていただいて、産業界、労働界と力を併せて、大きな取組みをしていただきたいというふうに思います。  それから、金融面なんですけれども、中小企業の信用保証制度における保険料率の軽減について申し上げたいんです。極めて厳しい経営環境を余儀なくされている中小企業の現状を踏まえて、政府は信用保証協会の緊急保証というのを導入していただいて、少なくとも緊急保証制度の実施期間である21年度末までの間は、中小企業者の負担軽減を図るために、緊急保証制度に係る現行の保険料率の引下げを行っていただきたいと、これを希望しておきます。  それと、もう一点、ちょっと言いにくいことを言いますが、先ほど商店街の振興のところで、地域商店街活性化法というんですか、こういうのをつくって、商店街振興を国も音頭を取ってやっていきたいと。これは法律の中身がよくわかりませんが、恐らく国も助成制度を充実したり、やっていくんだと思います。  ただ、実は市町村も商店街振興、商店街支援をやっているんです。都道府県も商店街振興、商店街支援をやっているんです。こういうのをやっているのに、また国が、商店街は重要だから、商店街振興、商店街支援をやっていく。これは二重行政どころか三重行政になってしまうんです。商店街ほど地域に密着したサービスをしているところはないわけです。ですから、商店街振興などは市町村や都道府県に任せていただきたいんです。国がもしそれをやりたいんだったら、交付金か何かで、商店街振興をやるために国が財政支援しますよ、でも、地域に密着している市町村や都道府県で特色ある、その地域に合った商店街の振興策をつくってくださいねというのが地方分権の精神であって、何でも困った分野を国がやっていくとなると、二重行政、三重行政になってしまうんです。ですから、この辺りはもう少し地方自治体と相談して、役割分担を考えていかないと、三重行政になって、商店街も困ってしまうんではないかというふうに思いますので、是非とも検討いただきたいと思います。  以上です。
  • 岡村会長 どうもありがとうございました。  どうぞ。
  • 西川委員 第3章のミスマッチの問題について、少し意見を言わせていただきます。今、松沢知事からお話があった、産業規模で移動するという大きなミスマッチ解消策というのは当然あるんだろうというふうに思いますが、かつて、前回のバブル崩壊後の労働市場の悪化の中で、企業行動課を中心に、実際に厚労省と共同で行った調査で、350万人の失業者に対して、個別の求人が360万潜在的にあったという発見があったわけでありますけれども、今回も同じように、問題を指摘されることは結構なんですが、大事なことは、ミスマッチをどういう方法で解消していくのかということについて、もう少し中小企業庁がリーダーシップを取って、厚労省のデータ上の応援も、また制度的な応援も必要でしょうが、やるべきではないかというふうに思うんです。  つまり、具体的に言えば、九州でこういう働き口がある。例えば、北海道でその技術を持っている人がいる。雇用の情報でそこまでのフォローはできるんですが、移動に対する補助、また、越した先での居住の補助、こういうようなかなり細かい点での欠落が10年たってもまだ埋まっていない。ここらのところは、今回、せっかく白書で章を立てて取り上げるという非常に画期的なことをなさるんですから、思い切って具体的な対策も示唆したらどうなのか。これは言うは易くして、なかなか難しいとは思いますが、是非お願いをしたい。  そして、そういう場合には、地方自治体に是非そういう責任を負わせていただきたい。労働行政は極めて地域的な限定がございまして、ハローワークなどは、ここからここまでの地域はこのハローワークがやるけれども、ここからここについてはなかなかお世話ができないという実態が実際、今回の中でありました。私たちは東京の下町でございますが、いろいろなところに雇用の先を求めました。ところが、ハローワークが別のところがカバーしているという理由で、私どもが開拓した職場は、結局、回り回って間接的に別のハローワークに、せっかくの何十人という雇用を提供して、親身なお手伝いができなかったというつらい経験を今回しましたので、そんなことを申し上げてみたいというふうに思います。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  どうぞ。
  • 米村委員 先ほど竹岡委員が言われたことに賛成でございまして、もっと貪欲的に市場を見つけていかなければならない。それこそが今、中小企業が当面している最大の問題ではないかと思います。長野の方にある中小企業で自動車部品をつくっているんですが、ラインが3つあって、3分の1は完全に要りませんと言っているわけです。真ん中のラインもほぼ要らないぐらいである。彼らはそれを今、どこか海外に持っていって、そこで委託生産みたいなことはできないかと、そういうような相談を我々は受けたりもしているところです。  それから、余談ですけれども、昔、ウォークマンというヒット商品が出ました。ソニーの盛田さんの発案なんですが、あんなローテクができるかと社内では猛反発を食ったんですが、あれがニーズに合うということでヒット商品になったわけです。ですから、ハイテク、ローテク構わず、とにかくマーケットを見つけるということをもっと強調する必要があるんではないかと思います。  もう一点は、来年のことになるんですが、今、起こっている大きな変化をどうとらえていくかということは非常に大きな問題で、まだ先が見えないんですが、是非勉強を始めていただきたい。特に来年の場合には、どういう課題設定で白書を書くかということを事前に意見を伺うような、今、あるのかどうかわかりませんけれども、そういうことが要るんではないかという感じがします。さっきちょっと出ましたけれども、新しい中小企業基本法ができてもう10年たったわけですから、そろそろ次のステップを考えていかなければならない。中小企業政策の基本の問題があると思います。そういうことの準備を来年辺りしていく必要があるんではないかと思います。  以上です。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  どうぞ。
  • 坪井委員 時間もないような感じでございますが、一言。私は商店街の代表でここへ参加させていただいておりまして、先ほど松沢知事から非常に厳しい御指摘をいただいて、相当ショックを受けているわけでございますが、これは国も地方自治体も一体となって再生を図っていただくというのが本来ではなかろうか。地方自治体が全くの何の体も成していないから疲弊し切っているところも現にあるわけでございまして、まちづくり三法の抜本的な見直しを私もやってまいりました。それで一向に明るさが見出されないというような状況下にあるわけでございまして、そのときに、国、中小企業庁がこのような形で商店街支援センターなるものをつくり上げていただいたというのは、一点の大きな明かりを見出したんだなというふうに私自身は思っておりますし、4商工団体もこぞって大賛成でございます。その上に地方自治体がなお一層御支援をいただければ、よりいいものが構築できるんではないかなというふうに私自身は思っているわけでございます。  いろいろ知事さんのお考え方もあろうかと思いますが、47都道府県の知事が全部こぞってというお話ではないわけでありまして、私は愛知県でございまして、愛知県の知事は喜んでこの支援センターをバックアップしていきたい、こういうお知恵をいただいてこそ、新たなものがまた構築できるというようなことを言っていただいておりますし、そこら辺のところも十分にひとつ示唆していただいて、前向きに、なお一層早く、スムーズに、商店街支援センターなるものをつくり上げていただきたいというのが私どもの考えでございます。ありがとうございました。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  どうぞ。
  • 石原委員 今、坪井委員がお話しくださいましたので、屋上屋を重ねることもないと思いますけれども、商業部会を預かっております石原として一言言わせていただきたいんです。勿論、商店街問題、地方分権の中で、都道府県、あるいは市町村が中心になってという御趣旨はよくわかりますけれども、まちづくり三法、あるいは中活の問題も含めて、そう言ってしまえば地方の問題なんでありますが、そういう問題として、全国的にさまざま起こっている問題が十分に対処し切れていないということから、全国的な取組みが要るんだろうということですし、地方の問題ではあるんですけれども、全国的な連携を組まなければ対処し得ない問題があって、国レベルで取り組まないと、どうしてもうまくいかないところがあるという点については御理解をいただきたいと思います。御趣旨の三重行政にならないように気をつけろというのは全くよく理解しておるつもりでございますので、そうならないような運用には心がけていただきたいというふうに思っております。  以上です。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  続けてどうぞ。
  • 河野委員 河野といいます。  私は労働組合の立場で参加させていただいておりまして、中小企業の労働組合、産別の役員をやっております立場から2~3申し上げたいと思います。  まず、中小企業の政策の基本になるのは、中小企業の収益を最大化していくといいますか、やはり利益が出る企業にしていかなくてはならないというふうに思っております。そのためには、1つは、先ほどからお話が出ておりますように、取引の適正化、これはやっていただいておりますので、引き続きこれを強力に進めていきたいというふうに思っております。「かけこみ寺」もありますけれども、直接ですといろんな問題が起こるので、例えば、大阪の業者は京都で対応するとか、そういうふうな運用上の配慮みたいなこともやっていただきたいと思っております。したがって、取引適正化の引き続きの取組みをしていただきたいという点です。  2つ目は、やはり人材の確保・育成の問題です。この中にもインターンシップの問題がありますけれども、実際に中小企業でインターンシップを受け入れるところでは、安全の問題とか、さまざまな形で企業側は努力しております。しかし、実際にインターンシップに来られて、そこに来てくれるかというと、なかなか来てもらえないというのがあります。それは初めに言った収益との関係において、賃金、あるいは総合労働条件というのがやはりどうしても大きな問題がありまして、それを改善していくために必要なことですけれども、そういった意味での人材の確保、インターンシップ、そこのところの充実が必要だというふうに思います。  3つ目は、競争力の観点からいきまして、技能・技術の対策というのがあります。ここの中で2つ出ておりました。1つは、TLO、産学官の技術移転の問題。産学官の技術移転の問題は2つ要素があって、基礎技術の移転の問題と応用技術の移転の問題があります。中小の場合は基礎技術はなかなか利益に結びつきませんので、ここのところを重視するためにやらなくてはいけないのは、コーディネーターの配置、コーディネーターと中小企業経営者との橋渡し、ここが非常に重要になってきます。どのような人材が配置されているのかというのはちょっとわからなかったので、その点について、もしわかれば教えていただきたいんです。実効ある結果とするためには、このコーディネーターの役割が非常に大きいので、その点の対策をお願いしたいということ。  もう一点は、技能・技術の向上のために、今、操業が非常に低くなっておりますので、雇用調整金をもらって技能教育というのを盛んにやるように、我々組合としても指導しておりますけれども、その中で特にお願いしたいのは、中小企業庁、厚労省との関係もありますが、特級技能士、1級技能士という国が認めた技能士の活用。これは都道府県単位で登録されておりますので、例えば、精密鍛造の特級技能士であるとか、ものづくりにかかわる技能士の活用について、都道府県単位で、中小企業に派遣できるようなシステム、そういうのをしっかりやっていただきたいということをお願いしたいと思います。  あと一点、私は昨年、イタリアの中小企業とか、ヨーロッパの企業の経営者団体や組合ともお話しする機会がありましたけれども、これからアジアが非常に、今は景気が悪いんですけれども、人口が2億人以上のところは平均的に30代前半の国がたくさんありまして、高度成長を担っていくと言われているんですけれども、そういうふうなことを見ていきますと、日本の中小企業が培ってきた技術というのが非常にそういったところに活用される要素が高くなっております。  今、海外に出ていった企業は、JETROを含めた支援策がありますが、先ほど言ったイタリアとかヨーロッパの中小企業は世界中から受注を取るわけです。ロシアであったり、ベトナムであったり。したがって、日本にいながらも、世界中から受注が取れる、そういった支援をどこかに入れていただきたい。日本の中小企業が持っている技術を世界的に活用するというのは、例えば、環境技術においても重要なことですので、そういった点も今後の方針の中に入れていただきたいということです。  以上です。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  どうぞ。
  • 木村委員 先ほどから既に御意見幾つか出ていると思うんですが、トップレベルの研究に中小企業が参入されるときには、言葉の問題ですとか、技術の問題ですとか、非常に困難が伴います。我が社にもiPSの山中先生の大きなラボがありまして、できれば京都で、是非バイオ系のところにも中小企業さんが参入できるようなということで、今、研究会等々、非常に苦労してやっているところなんですが、1つキーワードになっているのが、多分、トランスレーション的な機能を果たすような機関が必要なんだろう。さっき鹿住さんからも台湾のお話がありましたけれども、海外では、ヨーロッパも含めて、いわゆる国立の研究所が中小企業向けのいろんなサポートをするということで、結構大きな役割を果たしている事例がたくさん見られます。各地域にある工業試験所さんとか、あるいは産総研さんとかが、今、そういう役割をするには、ちょっとずつ何かが足りないのかなという感じもしますので、是非今後の政策にそういうことも御検討いただければなというふうに思います。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  どうぞ。
  • 小松委員 小松でございます。  先ほどから21年度において講じようとする内容、すべて大変すばらしいことが出されておりまして、是非進めていっていただきたいと思いますけれども、今、まさに中小企業として、この急激な減産の状態の中で、みんなどう生きていこうかという、本当に目の前のことの方が大変です。中小企業はみんな技術を持っているわけですけれども、注文がなくなったときに何もつくるものがなく、売上がありません。国から、雇用安定助成金というのを出していただいているわけです。それをいただけることで、社員に辞めてもらわないで継続しています。こういう状態をいつまで続けられるかです。200日とか300日という助成金を出していただける日数はありますが、社員が休まなければいただけないものです。会社に一歩でも出れば、その助成金はいただけないということで、大変使い勝手が悪いと思います。せっかく国もそれだけのお金を出してくださるのであれば、もっと有効に使いたいと私は思います。  他に、教育助成金も出していただけるようになっています。それは休業した日に丸1日教育をしたら上乗せということですが、そんな上乗せなどは要らないと思います。休業した日に、自分たちが好きなように勉強してもいいとか、もっと柔軟に、時間を使わせていただきたいと考えております。休業、時短の申請をして、最終的にお金をいただくときの最後の資料提出のときに、大変厳しい設定もされております。社員が家に帰って何をしているのかわかりませんが、少しは手当をいただいても、会社にいて、みんなで勉強会を開きたいとか、それぞれのコミュニケーションを取りたいとかの考えがあります。このままでは会社との一体感がだんだん薄れていくような気がいたしますので、その辺を是非いい方向に持っていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  それでは、時間の問題もありますので、あと一方御意見を伺います。どうぞ。
  • 安居委員 日本公庫の安居でございますが、委員というよりはむしろ当事者みたいな話で、御質問、御意見が2つあったので、現状だけを少し説明したいと思います。  伊藤さんからお話のあった金利ですが、既に今、格付けで全部変えております。ただし、逆に今、困っていますのは、景気が悪くなってきているんで、格付けが下がってくる中小企業の方がおられるわけで、そういうものをどうやっていくかという対策を今、検討しているという状況でございます。  もう一つ、さっき松沢知事がおっしゃった話ですが、私ども、信用保証の保険を全部引き受けておりますが、大赤字でやっておりまして、その赤字は税金でカバーしていただいているわけです。これ以上赤字を増やすか増やさないかは、政府の判断だと思いますが、現状だけ御理解いただきたいと思います。失礼しました。
  • 岡村会長 最後にどうぞ。
  • 三神委員 済みません、5点ほどあるんですけれども、まず第1に、今、現状を見ておりますと、例えば、農産品をすべて製造工程に入れて、特産品、あるいはお土産物のような加工品をつくって販売するというのが農商工連携の定義と同義だと受け取られている感があるんですが、これですと、売れるか売れないかわからない小粒なお土産物が増えていくという傾向が大変起きておりまして、そうではなくて、農商工連携の非常に先端的な事例を見ておりますと、例えば、農業において、証券会社のようなポートフォリオ的な考え方を取り入れて、食料自給率の低いものを、リスクに応じて耕作面積のバランスを取っていくであるとか、あるいは動線のブラッシュアップが一番進んでいるのは製造業の工場の中だということで、このノウハウを生かして、サービス業の教育に係る時間を非常に短くして、独立開業できるスピードを上げるといった、こうしたマネージメントモデルですとか、あるいはビジネスモデルそのものにおいて、製造業で培ってきたノウハウをどうやってサービス業に移管していくか、あるいは農業に移管していくか、こうしたソフト面の農商工連携をむしろ是非定義に入れていただけないかと思っております。それがもし明記されていないと、この白書が出た場合に、また従来と同じような、何か加工品をつくるということで補助金が得られる誤解が生まれ、これを続けていきますと、農業従事者はずっと材料提供者であり続ける危険があります。農業従事者のエンパワーにもつながらないので、この点を是非定義に1行加えていただけたらということがございます。    第2がイノベーション人材の育成のところで、例えば、国立大学の工学系博士課程の方ですとか、オーバードクターが就職できないという問題に対して、追加的な教育負担なく、ダブルディグリーで経営大学院、それも中小企業経営を学べるといったような融通がきく施策があれば、現実的にもっと中小企業に人材を生かすことができるのではないか。実際始めている国立大学もありますが、そういった文理横断的な教育との連動が1つ。  第3に、人材、あるいは販路の拡大をどうやって中小企業にとって有利なものにしていくかという点は、現在、経産省だけでも企業を評価し授与している様々な賞があります。例えば、技術面やものづくりで頑張っているところの表彰。こういったもののデータが全部ばらばらに記録されています。これ以外に、現在、中小企業はどこがどういった技術を持っているかといったデータベースの、体系立った、全国レベルで検索できるものが日本にはありません。例えば、大手の部品メーカーが工場を新規で建てたいといったときに、地元の優秀な中小企業に案件を頼みたいと思っても、電話帳レベルもなかったという声が実際にありました。現在、例えば、地域単位でメッセをやっているところは地域でデータベースがあります。公設試験場や民間企業、大学で一部つくっているところもありますが、国として表彰した企業を体系化した上で、これらにせめてリンクを張る、あるいは体系立った検索ができるようにすれば中小企業にとっては求人効率が上がり、企業間では取引先の探索やイノベーションの効率が上がると思われます。中国でも技術の検索サービスは民間であります。  第4に、イノベーションの定義ですけれども、これも同様に、白書に出ている事例は海外マーケットを狙えるレベルなのか、あるいはもうちょっと身近なレベルのイノベーションという事例なのか、少し混在しているので、整理して御提示いただけると参照しやすいのではないかという点。  そして、最後になりますが、事業再生時のデューデリジェンスコストについては、資金面のサポートとして補助金を出す施策がありますが、例えば、スイスのバイオ産業は事業再生時ではなくスタートアップ期や成長期の中小企業に対して、従来のM&Aのときのような金額ではない、少額のデューデリジェンスを受けさせることによって、どの程度リスクがあるかというレポートが出ます。投資家、あるいは融資する先がこの、いわば予備的な第三者レポートを基に、資金を出しましょうという、そこでワンクッション、リスクをレーティングする仕組みがあります。こういったサービスを提供する中立的な機関がIRやPRも兼ねて支援するわけです。こういった仕組みも考慮に入れた上で、産業振興の観点では新規参入組の質を高める視点から一部デューデリジェンスコストに対して補助金を出すとか、そういったやり方もあるのではないかと思います。  早口で失礼いたしました。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  まだまだ御意見たくさんあろうかと思いますけれども、時間の都合もございますので、御意見の方はここまでにさせていただきます。  大変膨大な量の御説明を申し上げましたので、説明漏れというところもあるいはあったのではないかというふうに推察をいたします。20年度の施策と、21年度に講じようとする中小企業施策という2つの議題を持ったんですが、21年度こうしてほしいという御意見の方が多かったわけですが、一部、最初の鹿住さんの御意見で、創業に対する分析なしというような問題もございました。したがって、20年度のお話について御説明していただけますか。
  • 川上調査室長 御説明させていただきます。鹿住委員から御意見のあった点ですが、まさに、創業による雇用創出効果というのは、従来から時折、中小企業白書では分析をさせていただいているところで、雇用創出効果が大きいという点は従来から認識をしてございます。実際にある程度定量的に示そうといたしますと、それなりの統計が必要になってまいりまして、特に足元の景気の状況が大きく変動している中で、どこまでタイムリーなものがお示しできるか。開廃業率につきましても、御承知とは思いますが、事業所・企業統計ベースでやってございますので、最新のものが2006年まででございます。そこから2~3年の間に大きく経済状況が変化してございますので、そういったものをある程度踏まえたものとしてお示しする材料が今回は正直ございませんでした。ただし、課題としては重要な点だと思っております。中小企業白書でも従来からやってきてございますが、これは引き続きの分析テーマだというふうに認識してございますので、そこは引き続き検討させていただければと思っております。  あと、いわゆる下請脱却という点につきましては、今回、私の方からは御説明は省きましたが、本体の中でも、下請企業から脱却して、いわゆる新たな製品を生み出して、市場でマーケットを新たに得ることができたというところで、そこは既存の今まで持ち合わせている技術というものをいかに新しいところに転換をしていくのかというような点、これは経営者のヒントにもなると思います。経営者のヒントといいますか、そこの気づきの点、それから、そういった気づきを気づかせるきっかけといったようなところは重要な課題だと思ってございます。事例として示させていただいておるところでございます。  20年度の分析の点については、数量的なものと事例的なところは以上でございます。  続きまして、三神委員からの御指摘のあった点でございます。順不同で恐縮でございますが、イノベーションの定義でございます。マーケットに受け入れられるというところが結果的な評価になっている実態はあるのだと思いますが、それだけマーケットを大きく変えていくという意味では、革新的な技術、プロセス、経営のいわゆるモデルの変換というものがあるのだと思います。ただ、今回の20年度の動向という中での、420万社の中小企業がいるわけでございますが、なるべく多くの方に経営のヒントになってもらえればという観点から、若干ハードルを下げた部分もございまして、そこは、いわゆる経営の改善のヒントというものは身近に存在し得るものであるという視点から、第2章の分析をさせていただいたところでございます。  本質的には、委員のおっしゃる点、非常に共感するところが多いのですが、閣議決定をして国民にお示しするという中で、なるべく多くの読者に参考になっていただければというようなことを踏まえまして、今回のような、やや国内、海外、身近、ハードルが高いといったところがごった煮になっている嫌いはございますけれども、なるべく取組みの種類に応じて分類をさせていただいた次第でございます。その点、御理解いただければと思います。  私の方からは以上でございます。
  • 岡村会長 それでは、今年度の施策につきまして、一応、3つに分類をいたしまして、まず、金融関係については横尾部長の方からお答えをしていただきます。
  • 横尾事業環境部長 事業環境部長の横尾と申します。  金融関係について、松沢知事が御退席され、また先ほど安居総裁の方からお話がありましたので、これは省略いたしまして、伊藤委員からございました据置期間の関係も含めてでございますが、日本公庫は、据置期間が最大3年ですので結構長いと思っておりますが、その他の政府機関の問題は、現下の厳しい情勢で、いろんな御要望があると承っております。例えば、私どもで劣後ローンというのを今、拡充をしております。これは金利だけ返済をすればいいということで、そういう意味では、業況に応じて金利を変動するんで、元本の返済負担はないということで、拡充をしてやっておりますし、直近では、一昨日、いわゆるマル経資金について、据置期間6か月だったものを、運転試験は1年、設備資金は2年ということで延長しております。いずれにせよ、今、経済対策の議論を始めたところでございますので、金融関係については引き続き一生懸命、充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  • 岡村会長 それでは、創業の問題、商業の問題、あるいは農商工連携の問題については、数井部長。
  • 数井経営支援部長 経営支援部長の数井と申します。  何点か、かなり広範囲にわたりまして御指摘いただきましたので、簡単に御説明させていただきます。  まず、鹿住委員から御指摘いただきました公設試、あるいは産総研の話でございます。イノベーションにおけますこういった機関の重要性は我々は深く認識しております。  具体的な施策といたしては、最近、地域の中小企業の支援のために特に力を入れているもので、地域力連携拠点がありますが、これによって中小企業の支援を行いたいと考えております。従来の支援の拠点と違う考え方として、パートナーシップを重視しており、自分のところでできない部分については、ほかの機関との連携を図りながらいろいろとやっていただきたいという意味で、この新しい施策に取り組んでおります。その中で、公設試、あるいは産総研と組んでいる例が何点かあるかと思います。また、地域力連携拠点の中には、珍しい例といたしまして、山形大学の工学部が技術を中心とする地域における創業支援といったような形で入っておりまして、こういったものを中心に、御指摘のような公設試、産総研とも連携を取りながら、中小企業施策は進めていきたいと思っております。  それから、伊藤委員から御指摘のありました海外市場展開でございます。我々がやりたいと思っておりますのは、海外市場に物を輸出する、あるいはサービスの提供、サービスというのはなかなか難しいと思いますが、これを主として念頭に考えております。その結果として、海外に例えば、支店を設けたり、場合によれば最終的な形として、生産工程の一部移転というものは否定はいたしませんが、我々としては、空洞化に類するような無理な移転のようなものは念頭に置いておりません。主として海外市場の開拓によって需要の開拓を進めたいと思っております。  それから、人材マッチングの部分で、澤部委員からの御指摘があったところでございます。昨年度から続いて、今、検討、実施に入っておりますものとして、人材の橋渡しとか、あるいは研修をするといったようなことがあります。これは全体で約140億円の予算を措置いたしまして、例えば、合同説明会、これを求職者向けにやるとか、あるいは大学生向けにやる、あるいは分野ごとの人材の育成を行い、人々の能力をアップして、中小企業等で働けるような能力をつける、あるいは従来いる方にも能力をつけていただく、こういったことをやりたいと思っております。合同就職説明会等は年間を通じまして2,500社の参加、1万5,000人の就職を目指しております。また、分野ごとの人材の育成を通じまして、年間約1万人規模の雇用に結びつけ、このような、橋渡し、あるいは実践型研修といったものを考えております。  それから、松沢委員から御指摘のありました商店街の件でございます。ほかの委員からも御説明ありましたが、今、用意しております商店街関係の法律につきましては、全国の模範となるようなモデル的な地域のブランドづくりですとか、あるいは高齢化への取組み、こういったものを法律で支援をしたいと思っております。市町村、あるいは都道府県との関係で申しますと、法律の中に市町村、都道府県の意見を聞き、手続を進めるといった条文を入れておりますので、都道府県、あるいは市町村とよく協力しながら、この商店街の振興というものを進めていきたいというふうに考えております。  それから、三神委員から御指摘のありました農商工連携の定義でございます。我々、農商工連携の定義といたしまして、農産物の加工だけということにはしておりません。農商工という名前に代表されますように、農林水産業と商工業がそれぞれお互いのいいところを持ち寄って、新しいビジネスを始めるという定義、にしております。  すなわち、意味するところは、農業分野におけます工業、あるいは商業の手法を使った新しい形の農業の進め方、例えば、ITを使ったトレーサビリティーを導入した農業でありますとか、あるいは私自身、自分の目で見た例で申し上げますと、歩行器を牛の足につけまして、牛のいろいろな活動を離れたところからウォッチいたしまして、子牛をつくるプロセスを獣医さんをいつも張りつけないでできるようにするようなものを念頭に置いております。あるいは高冷地での甘いトマトをつくるために、工業の仕組みを使った、いわば植物工場のはしりのような方法であるとか、そういったものも農商工連携の中には念頭に置いております。  残念ながら、今、農林水産業の分野におきまして従事されている事業者の方が、こういった部分の取組みに、まだいまひとつ乗り出しづらいところがありますので、実例として、委員御指摘のように、商工業の分野における農産品の新たな活用という例がどうしても目立っております。しかし、御指摘の点、我々も強く認識しておりますので、農業の分野におけます新しい商工業の取り入れといったようなものについては、より深く、これからも施策を進めていきたいというふうに考えております。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  最後に、雇用の問題について、餅田課長の方からお願いします。
  • 餅田企画課長 雇用の問題につきまして、雇用のミスマッチの解消は本当に重要なことと認識をしています。中小企業の動向の概要の25ページに、雇用のミスマッチが生じている分野が抽出されています。政府といたしましても、環境分野、医療・福祉・介護分野、農林水産などの分野で雇用のミスマッチが起こっていて、それらの需要を創出すべきということで、各省庁、各機関が一丸となって対応しようとしているところでございます。  その中で、農林水産業につきましては、先ほどございました農商工連携の促進によりこれを進められればと考えておりますし、環境分野、これは太陽光を初めといたしまして、資源エネルギー庁が主体となり進めておりますが中小企業庁、製造産業局も連携しまして、この分野の成長を支えていきたいと考えております。  全国ベースでマッチングを行うネットワークがないとの御指摘がありましたが、そういう機能を持つ機関を充実させたいというのが政府の考え方でございまして、厚労省中心としてハローワークの強化が進められているところです。私どもとしても、先ほど説明がありました地域連携力拠点や中小企業3団体の力を活用してミスマッチを解消していきたいと考えております。  それから、雇用調整助成金につきまして、12月に中小企業に特化した制度が創設されました。2月の計では、中小企業だけで110万人ぐらいの方がこの制度の対象となっているということで、これまでに比べ、多くの企業が雇用調整助成金を使っている状況です。12月以降、数次にわたる要件緩和、書類の簡素化等が進められております。中小企業庁といたしましても、中小企業団体を通じて、また、直接中小企業の皆様の声を聞きまして、厚生労働省とお話をさせていただいております。2月6日、3月13日、3月31日、3回、今まで要件緩和が進められましたが、その中にも生かしていただいていると思います。  先ほど小松委員御指摘の休業の部分でございますが、3月13日の対策で、残業相殺が撤廃されました。これまでは休業する場合に、職場に来ないようにと、これは残業との関係でそうなっていましたが、それが撤廃されたことによりまして、その部分について、休日、職場に出勤して何かやるというのは、現在はハローワークからも特段は指摘がない状態になっております。ただ、運用の定着が遅れている場合もあろうかと思いますので、このところについては、しっかり運用していただくように、私どもの方からもお願いしていこうと思っています。  教育訓練の内容ですが、何が対象になるか、ならないかについて明確化されましたので、使いやすくなっていると思います。私どもとしても、より多くの中小企業がこの制度を使えるように努力していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 数井経営支援部長 済みません。1点、先ほど説明を漏らしていた点がありまして、OB人材のマッチングがなかなか進まないので、是非もっと進めるべきだという御指摘がありました。現状、なかなか進んでいないことも事実でありますが、特に21年度、我々がやろうと思っておりますのが、それぞれの県ごとに登録されておりますOBの人材のデータベースを全国でお互いに使えるようにしようという体制を整えました。本年度、21年度からは、Aという県において登録された方で、その方が得意とする分野をBという県で欲しいという中小企業がおりましたら、そちらにも御紹介できるようにという形での進め方をしたいと思っております。極力マッチングして初めて成果があらわれるものですので、特にマッチングの部分につきましては、いろいろと工夫をして、これからも進めていきたいというふうに考えております。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  運用面での問題と、白書にどう付加するかという両方御指摘があったように思います。お答えすべきところは今日、お答えをしたわけですけれども、20年度の年次報告と、21年度に講じようとする中小企業施策、この両案につきまして、今、伺った御意見を取り入れるべきところは取り入れてまいりたい。その書きぶりにつきましては、会長であります私に御一任いただけますでしょうか。 (「異議なし」と声あり)
  • 岡村会長 よろしゅうございますか。ありがとうございます。  それでは、これから御意見を反映させるように書き換えまして、4月の後半に閣議決定というところまでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  大変時間が押しておりました恐縮でございますが、もうしばらくおつき合いいただきたいと思います。本審議会の下には各部会がございます。ここで、平成20年度の1年間に開催されました部会の活動状況につきまして、事務局から報告をさせたいと思います。  まず、経営安定部会の担当の奈須野経営安定対策室長、よろしくお願いいたします。
  • 奈須野経営安定対策室長 資料9をごらんいただければと思います。経営安定部会の審議について御報告申し上げます。  経営安定部会につきましては、金城学院大学の足立現代文化学部長に部会長をお願いしておりまして、20年度は2回の部会の開催、それと、部会の下に設けました小委員会を1回開催しております。中小企業倒産防止共済制度、それと小規模企業共済制度について御審議をいただいたところです。  まず、中小企業倒産防止共済制度については2点ございまして、1つ目が、制度の見直しのため、掛金月額、貸付限度額、それと掛金の権利消滅、共済事由の拡大、償還期間に関する検討に着手いたしまして、その検討状況について報告をしたところでございます。  2番目が、完済手当金につきまして、余裕財源の推計方法につきまして、共済事由発生率の考え方について御審議いただきました。  大きな柱といたしまして、もう一つ、小規模企業共済制度につきましても、大きく2点ございます。1つは、小規模企業共済制度の21年度の付加共済金の支給率につきまして、これは毎年御審議の上、答申いただくものですけれども、予定利率1%に対しまして、運用利回りがこれを下回ったことから、累積欠損金が拡大しています。この解消のめどが立つまで支給率はゼロとすることでやむを得ないとの意見をちょうだいしています。  それと、もう一つ、部会の下に小規模企業共済制度の検討小委員会を設置しています。この小委員会におきまして、加入対象者の範囲の見直しの検討を進めておりまして、個人事業主の後継者、あるいは共同経営者について整理を集中的に検討しています。また、資産の運用につきましても、累積欠損金の解消方法についても併せて検討いただいているところでございます。  なお、この小委員会につきましては、加入見込数、あるいは予定利回り、財務見通しなど、現時点で公表いたしますと無用の混乱を招く恐れがあるということで、一部非公開とさせていただいているところでございます。  経営安定部会につきましては、活動状況は以上でございます。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  続いて、経営支援部会につきまして、担当の情野企画官から御説明をお願いいたします。
  • 情野企画官 資料10に基づきまして、平成20年度における経営支援部会の審議状況について御報告をさせていただきます。  まず、農商工連携ですが、農林漁業者と商工業者との連携による新商品開発や販路開拓を促進させていくため、昨年の5月に成立いたしました農商工等連携促進法の規定に基づき、主務大臣が定めることとされております基本方針につきまして、有識者の皆様から御意見をちょうだいいたしました。いただいた御意見を踏まえまして、基本方針は昨年の8月20日に告示をされております。  次に、中小企業の事業再生支援関連でございますが、今通常国会に産業活力再生特別法の改正法案を提出させていただいているところでございますが、同法案で措置をする第二会社方式による事業再生の強化のための各種支援措置及び中小企業再生支援協議会の体制強化につきまして、有識者の皆様から御意見をちょうだいし、その後の検討に反映をさせていただきました。本法案は現在、国会で御審議をいただいているところでございます。  続きまして、中小企業支援計画ですが、これは中小企業支援法第3条に基づきまして、毎年、経済産業大臣が国、都道府県及び政令指定都市、中小機構の3者が行う中小企業支援に関し、計画を定めることになっておりまして、その計画について御審議をいただきました。当該計画を踏まえて、都道府県等の計画を作成していただきまして、5月中に経済産業大臣に届け出ていただくことになっております。  人材対策事業につきましては、これは先ほどからお話が出ておりますけれども、経営支援部会の下に中小企業人材確保育成支援小委員会を設置いたしまして、平成20年度補正予算によって実施をいたします人材対策事業について、有識者の皆様の御意見をちょうだいいたしました。人材対策事業は、中小企業が将来、中核となり得る人材や、即戦力となる人材を確保するのは支援する橋渡し事業と、それから、従業員の方々や求職者の方々を対象とした分野ごとの実践型研修の2類型、全20事業を実施するもので、現下の厳しい雇用情勢の改善にも資することを目指しております。  ものづくり関係ですが、中小ものづくり高度化法に基づきまして、特定ものづくり基盤技術高度化指針の一部を変更し、9つの技術分野に関する指針内容を改定する案について、経営支援部会及び技術小委員会において御審議をいただきました。現在、20の技術分野について指針が定められておりますけれども、技術の進歩、最終製品に対する消費者ニーズ等の変化を踏まえまして、金型、鋳造、鍛造、金属プレス加工など9分野について、指針の内容を改定しております。  最後になりますが、「元気なモノ作り中小企業」の選定に当たり、事例集検討小委員会において、対象事例について、技術面や経営面から御審議をいただき、今回で第3回となります。2008年の300社を決定していただいたところでございます。  簡単でございますが、以上、20年度の経営支援部会の審議状況について御報告をさせていただきました。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  続いて、取引部会につきまして、担当の井辺取引課長、よろしくお願いします。
  • 井辺取引課長 取引部会について御報告申し上げます。資料11をごらんいただきたいと存じます。  取引部会におきましては、官公需施策について御審議賜りました。具体的には、平成19年度の中小企業の受注機会の増大のための措置の実施状況について報告申し上げるとともに「20年度中小企業者に関する国等の契約の方針」について御審議賜りました。  具体的に措置の内容等は、時間の都合もございますので割愛させていただきますけれども、従来の措置に加えて新たな措置を追加する等の作業を行ったものでございます。一番下の方の(2)に書いてございますけれども、その際、併せて契約の目標ということで、中小企業者向けの契約の目標については、50.1%であったものを51%にまで高めるという目標を定めたところでございます。  以上でございます。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  続いて、商業部会につきまして、担当の和田商業課長、よろしくお願いします。
  • 和田商業課長 商業部会、大きく2つの取組みをいただきました。1つは、先ほど来申し上げている新しい商店街施策を講ずるに当たっての御審議を、第4回、5回、6回、都合3回にわたり、石原部会長の御指導の下、御審議を賜りました。そこに薄紫色の冊子「『地域コミュニティの担い手』としての商店街を目指して」という報告をちょうだいしておりまして、これに基づいて、先ほど御説明申し上げた新しい法律、あるいは商店街支援センターの設立といったような取組みを鋭意進めているところでございます。  もう一点は、こちらも商店街の事例集でございます。「がんばる商店街77選」というのを平成18年に発表したわけですが、今回、この第2弾として「新・がんばる商店街77選」を商業部会の下の事例検討小委員会で、全国77選んでいただきまして、つい先日、3月31日に公表したところでございます。お手元にございます一覧が、その77の商店街でございます。  以上でございます。
  • 岡村会長 ありがとうございました。  ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見ございますでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、各部会におかれましては、21年度につきましても、中小企業施策の企画立案のために活発な御審議をいただくように、改めてお願いを申し上げます。  以上をもちまして中小企業政策審議会・基本政策部会合同会議を閉会をいたします。  長谷川長官がお見えですけれども、お言葉がございますか。
  • 長谷川中小企業庁長官 中小企業庁長官の長谷川と申します。大遅刻でおわび申し上げます。  今回から新たに委員を御承諾いただきました皆様方には、心より御礼申し上げます。  来週中に追加経済対策をまとめるということで、委員の皆様方に御要望いただいたものを少しでも大きくまとめるということで、関係方面と交渉中であり、そのため大変遅れまして、お許しいただきたいと思います。今日は心より御礼申し上げます。  また、緊急の対策と、基本政策と、幾つかのサイクルがあるものですから、その辺はよく整理いたしまして、少しでも多くの中小企業の方が政策を使えるように、私ども、全力を尽くしてまいりますので、引き続き御指導をお願いいたします。ありがとうございました。
  • 岡村会長 それでは、今日、御審議いただきました白書につきましては、4月24日が閣議決定の予定と伺っておりますので、その後に皆様方に御配付申し上げますので、御一読いただければというふうに思います。  それでは、長い時間おつき合いいただきまして、どうもありがとうございました。閉会とさせていただきます。

以上