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中小企業政策審議会・基本政策部会合同会議(第8回) 議事録


日時:平成19年3月29日 (木曜) 14時~16時
場所:経済産業省本館17階第1共用~第3共用会議室
議題:
  平成18年度中小企業の動向に関する年次報告(案)
  平成19年度において講じようとする中小企業施策(案)
  その他

議事録:

  • 吉田企画課長 ただいまから「中小企業政策審議会・基本政策部会合同会議」を開会いたします。本日は御多忙のところ、委員の皆様方には多数御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
    まず、今般、委員の改選がございまして、新しく就任された委員の方々がいらっしゃいますので御紹介させていただきます。大変恐縮でございますが、お手元の資料2、資料3が委員名簿となってございますので、御参照いただきながら御紹介させていただきます。
    新たな委員といたしまして、相原力委員。財団法人航空振興財団理事長を務めておられます。
    足立文彦委員、金城学院大学現代文化学部教授であられます。
    伊藤麻美委員、日本電鍍工業株式会社代表取締役でございます。
    鹿住倫世委員、高千穂大学経営学部助教授であられます。
    小松節子委員、小松ばね工業株式会社代表取締役社長でございます。
    鈴木直和委員、独立行政法人勤労者退職金共済機構理事をお務めいただいてございます。
    安居祥策委員、中小企業金融公庫総裁であられます。
    渡邊佳英委員、東京商工会議所特別顧問をされてございます。
    また、臨時委員として塩田幸雄委員。独立行政法人福祉医療機構理事でございます。
    大前孝治委員、社団法人全国信用金庫協会会長でございます。
    米村紀幸委員、社団法人中小企業診断協会会長でございます。
    なお、本日は御欠席でございますが、高野金作全国商工会連合会理事にも委員に御就任いただいてございます。
    また、資料4を御参照いただきます。
    中小企業政策審議会は幾つかの部会から構成されてございますが、基本政策部会につきましては、清成委員の任期満了に伴い部会長が空席となっておりましたが、中小企業政策審議会令第6条第3項の規定に基づき、村本委員が部会長に選任されております。村本委員におかれましては、どうぞよろしくお願い申し上げます。
    次に、審議会の運営につきまして御説明いたします。
    審議会の運営につきましては、平成7年9月の閣議決定に基づき、審議会は原則として公開するという方針でございますので、本審議会につきましても原則公開とし、資料及び議事録を公表させていただきます。
    ただし、皆様にお配りしている資料のうち『中小企業白書』に関係するもの、資料5~10でございますが、これにつきましては、4月下旬を予定しております閣議決定を経て公表することとなります。それまでの間、委員限りの扱いとさせていただきますので、御了承願います。
    それでは、以下の議事の運営は山口会長にお願いいたします。
  • 山口会長 山口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは、本日の会議を始めるに当たりまして、渡辺経済産業副大臣にごあいさつをお願いいたします。
  • 渡辺副大臣 委員の皆様、御苦労様でございます。第8回中小企業政策審議会・基本政策部会合同会議の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げたいと思います。
    我が国の企業は、99.7%が中小企業でございます。また、雇用の7割を占めております。こうした430万社という中小企業が活力を高めることが、日本の経済の活性化を図る上で大変重要なことであることは間違いございません。
    このため、経済産業省といたしましては、昨年7月にとりまとめました経済成長戦略大綱に基づきまして、我が国経済を支える中小企業の活性化を図るため、産地の技術、農林水産品、そして、観光資源等の地域資源を用いて、新事業を展開するための取組みを支援する中小企業地域資源活用促進法案を今国会に提出しております。昨日、衆議院の委員会において審議が始まったところでございます。
    こうした地域の応援に加えまして、事業再生や不動産担保、個人保証に過度に依存しない融資の促進のための企業の応援、再チャレンジをする起業家などへの人への応援から成る3つの応援を推し進めていくところであります。
    加えて、先月、我が国経済の成長を図りつつ、格差の固定化を防止するため、成長力底上げ戦略をとりまとめられたところでございます。その一環としまして、下請取引の適正化、中小企業のIT化等から成る中小企業の生産性向上プロジェクトを推進し、中小企業の底上げを支援してまいる所存でございます。
    さて、本日は、中小企業基本法第11条に基づきまして、政府が国会に提出いたします「平成18年度中小企業の動向に関する年次報告」及び「平成19年度において講じようとする中小企業施策」、いわゆる『中小企業白書』の案について御審議をいただくことになります。
    『中小企業白書』は、中小企業に関する経営状況やさまざまな関連施策をとりまとめたものでして、今年で44年目を迎える白書でございます。発行部数も3万部に及び、数ある白書の中で最も発行部数が多いものの一つであります。本白書の作成・発行を通じまして、日々、懸命の努力を続けておられる中小企業の皆様を始め、中小企業向けの支援機関やアドバイザーなどの方々を含めて、幅広く中小企業の動向と、中小企業に対する施策の周知・普及に努めてまいりたいと考えております。
    最近の中小企業を取り巻く状況を踏まえまして、今年の『中小企業白書』におきましては、とりわけ地域間における景気回復のばらつきが指摘される中において、第1に、先ほど申し上げましたとおり、地域資源の有効活用を図る。第2番目として、中小小売業における住民ニーズへの対応。第3番目といたしまして、中小企業への円滑な資金供給という視点から、地域とともに成長する中小企業の姿を示しております。
    更に、大企業に比して景気回復の実感に乏しい中、複雑な企業間の取引構造における適正な取引関係の構築、経営の基幹となる人的資本の確保・育成という視点から、経済構造の変化にチャレンジする中小企業の姿を示しております。
    委員の皆様方におかれましては、本日お示しいたしました白書の案につきまして活発な御審議をいただきますとともに、今後とも中小企業施策の推進に関しまして一層の御指導・御協力を賜りますよう心よりお願いを申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。
    どうぞ、よろしくお願いを申し上げます。
  • 山口会長 副大臣、ありがとうございました。
    副大臣は、御公務の都合によりまして、ここで御退席されます。副大臣、ありがとうございました。
  • 渡辺副大臣 どうも、よろしくお願いいたします。
    (渡辺副大臣退室)
  • 山口会長 それでは、本日は「平成18年度中小企業の動向に関する年次報告(案)」について御報告いただくとともに「平成19年度において講じようとする中小企業施策(案)」について御審議いただくこととなっております。
    なお「平成18年度中小企業の動向に関する年次報告(案)」及び「平成19年度において講じようとする中小企業施策(案)」は、中小企業基本法に基づき、政府が国会に提出することとなっております。
    それでは、まず「平成18年度中小企業の動向に関する年次報告(案)」につき、事務局の方から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 林調査室長 調査室長の林でございます。私の方から「平成18年度中小企業の動向に関する年次報告(案)」の概要につきまして御説明させていただきたいと思います。
    関係する資料は、資料5、6、7の3つで、資料6、7が本体でございます。合わせまして400ページぐらいという大部でございますので、概要ということで資料5の方にエッセンスを載せてございますので、こちらの方で説明をさせていただきたいと思います。
    それでは、早速、説明の方を始めさせていただきます。
    1ページ繰っていただきますと、年次報告の全体概要ということで、各章の全体構成の方が見えると思います。全体は3部構成でございます。
    まず、最初の第1部におきましては、日本経済をマクロということで、それから、中小企業の景気動向、あと、地域における景況感のばらつき等々について分析をしております。
    それに加えまして、開廃業の状況。これにつきまして、問題意識は、これまで既存の事業所・企業統計の中では毎年出るものがないものですから、足元のところまでなかなかわかりにくい。あと、調査員が目視で事業所を確認するということで、なかなか漏れが多いというところがございます。そういう問題意識から、今年、私どもはNTTのタウンページのデータベースを使いまして、足元までの開廃業の状況を押さえたということでございます。
    あと、中小企業の事業承継の関係でございます。こちらにつきましては、特に相続税の負担等々の問題があるということでございますので、その辺りの分析を行っているところでございます。
    それから、第2部、第3部がテーマ分析ということで、第2部につきましてはキーワードは地域でございます。
    1つ目は、地域資源ということで、先ほど副大臣のごあいさつの中でもございましたが、地域固有の資源を生かして、商品・サービスの差別化を行っていく。そこで得られた果実を地域に還元していくというのが望ましい姿だと思いますが、それを支援するために法律の提出を行っております。この白書におきましては、このような地域資源の活用が中小企業の経営にどのような影響を与えるかということで、その効果について分析を行っているところでございます。
    2番目に、地域ということで、まちづくりについての検討を行っております。これは御承知のとおり、中小小売は全般的に申し上げると販売額の減少ということでなかなか厳しい状況にあるわけでございますが、一方、住民の方に支持されているサービスも多々あるわけでございまして、その辺りがどのようなものかについて書いてございます。
    それから、やや視点は異なりますが、地方公共団体がこの行政サービスを行っていく際に、最近の財政状況の厳しさから、その受け皿として商店街・商工会に対する期待が高まっているという状況がございますので、地方公共団体に対してアンケートを実施いたしまして、その辺りの期待の状況、あるいは受け皿の担い手の現状がどうなっているかという辺りを整理してございます。
    3つ目が、地域金融でございます。中小企業の場合、資金繰りが極めて重要なわけでございますが、特に今年、分析をいたしておりますのは、中小企業とメインバンクの関わりが過去に比べてどうなっているかというところ。あと、どういうところに不満を感じているかというような辺り。それから、更には複数行取引。これはアメリカと日本を比べてみた場合、日本の場合は規模を問わず、多数行と取引をしている。それがどのような影響を及ぼしているかという辺りを分析しております。
    第3部でございますが、これはやや広い間口でございますが、構造変化対応ということでございます。
    最初の第1章と第2章で、まともに分析をしておりますのは取引構造の変化ということでございます。
    まず、第1部におきましては、これまで大企業をトップとしたピラミッド構造の中で、重層的に取引構造があったということが言われておりますが、昨年の白書でも指摘しておりますが、これが「メッシュ化」をしている。すなわち、中小企業の側から見れば、特定の親企業・大企業に付いていくということだけではなくて、いろんな企業とつき合っていくということが起こっていると言われているわけでございますが、農林業につきましては、製造業14万社の取引データ、これはどこがどこへ納入したかということをつないでいくという地道な作業でございますが、そのデータを使いまして大きな取引構造を見ていくということをやっております。
    2番目でございますが、これは企業間の取引条件。これは、今、申し上げたとおり、長期的・安定的な取引が比較的一過性の高い取引に変化をしてきているという中で、従来の長期的な取引を前提とした取引関係は今も残っているという指摘がございます。この中で、今年におきましては、木型・金型の保管に関する費用についての問題を特に取り上げまして、どのような解決があるかということについて指摘をしたいと思っております。
    最後の章が、人材の問題でございます。中小企業に人材が足りないということは、かつて言われているわけでございますが、昨今、労働市場が退化しているということで、特に中小企業は人材の確保が困難になっているということでございます。その中で、人材タイプを4つに分けて分析しておりますが、中小企業がどういうタイプの人材に不足感が特に強いかという辺りについて分析を行っております。
    それから、中小企業を支える人材、これを我々はキーパーソンという名前を付けておるわけでございますけれども、キーパーソンがどのような形で採用され、どのような形で育成をされてきたか、キャリアパスがどうなっているかというふうなところについても分析を行っております。
    以上が、全体の構造でございます。
    それでは、早速、進めてまいりたいと思いますが、2ページをごらんいただきたいと思います。こちらは「日本経済全体の景況」ということでございまして、上の段の左側の「実質GDPの推移」というところを見ていただきますと、2001年の第2四半期を底とした緩やかな景気回復を続けているという現状でございます。
    右側にございますのは、今回の景気回復局面におきまして、それを牽引したのは民間設備投資と輸出ということでございます。特に、輸出に関して見ますと、過去の景気回復における寄与よりもはるかに大きな寄与が、今回、輸出によって生じているということでございます。
    それから、下の段でございますが、これは企業部門と家計部門を対比するという観点から、左側に「企業の業況、利益率の推移」ということをグラフにしております。
    まず、売上高経常利益率。これは橙色の線でございますけれども、これは緩やかに回復を遂げている。それに併せて、業況判断につきましても改善をしているという状況でございます。
    一方で、消費の方を見ますと、大体、横ばいということで、なかなか家計部門に力強さが見られないという現状かと思います。
    3ページでございます。ここで示しておりますのは「地域間のばらつき」ということでございまして、まず上の表は有効求人倍率。これは各県ごとに有効求人倍率が高いところほど明るい色という形で各県にプロットしてみたというものでございます。
    これを見ていただくとおわかりのとおり、愛知県が最も高いわけでございますが、中部を中心に有効求人倍率が高い地域が広がっております。
    地域の産業構造を見ていただきますと、下の表でございます。例えば下の表の「製造業」の左上でございますが、これは各地域の付加価値のウェート割合、機械関連業種ということで見ていただいて、機械関連業種は、下に注を付けてございますが、鉄鋼、一般機械、輸送機械等々を足し合わせたものの比率でございますが、これの高いところが中部エリアでございます。ですから、有効求人倍率の高いところと比較的一致をしているのかなという気がいたします。
    右側の方には「建設業」の付加価値ウェートの割合を同様にプロットしてみたものでございますが、例えばこの場合も、北海道とか東北の辺りがその割合が高いということで、逆に相関があるということで、全体として見ますと、地域の産業構造と各地域の状況は結構密接な関係があるのかなということでございます。
    次の4ページ目でございます。「地域間のばらつき」でございますが、これは上の段、ややテクニカルになりますが、数字が大きいほど地域間のばらつきが大きいというふうにごらんいただければと思いますが、この中で民間住宅投資と民間設備投資においてはややばらつきが増えているというふうなところが言えるかと思います。
    各地域ごとに内訳を見たのが、下の表でございます。これは、2002年を100とした場合にどのくらい減少したか。青いところが減少、赤いところが増加でございます。
    公共投資を見ますと、各エリアで等しく減少しているわけでございますが、一方、民間住宅投資、民間設備投資を見ますと、プラスのところもあれば、マイナスのところもある。例えば民間住宅投資で見ますと、都心回帰の動きもありまして、都市部では増加を続けている一方、四国、東北では減少しておるというところで、この辺りも地域間のばらつきの原因として挙げられるのではないかと考えております。
    5ページは、中小企業の中でも規模の違いによって景況感の違いがあるわけでございますけれども、まず上の段の左側を見ていただきます。これは上にあるほど景況感がよいということでございますが、小規模企業と中規模企業の間では相当な景況感の違いがございます。
    その原因について考えてみますと、右側の方に「資本金規模別売上高経常利益率」を挙げております。一番上の黒い線が資本金1億円以上、一番下の赤い線が資本金1,000万円未満ということでございますが、資本金1億円以上のところを見てみますと緩やかに回復を続けている一方、赤い線で資本金1,000万円未満のところについてはなかなか利益率が伸びないという状況がございます。
    真ん中の段でございますが、これは中小企業の資金繰りについて見たものでございます。これは製造業、非製造業を取って見ても、最近のところではまあまあ横ばいというところかと思いますが、右にありますとおり、金利水準を調べてみますと、これは昨年以来、やや金利が上昇傾向ということでございますので、この辺りについてはよくモニターをする必要があろうかと思います。
    それでは、次の6ページに行っていただきまして、これは先ほど申し上げました開廃業のデータでございます。開廃業は、先ほど申し上げましたとおり、タウンページのデータベースを使って、これを2001年9月から2006年9月まで表にしてみました。
    青い棒は事業所数でございまして、端的に言いますと、右肩下がりとなっておりまして、2001年以降、緩やかに事業所数が減っているということがタウンページのデータベースでも裏付けられたというところでございます。
    波線が、黒い波線が開業率、赤い波線が廃業率でございますが、これもこの時期全般で見てみますと、常に廃業率が開業率を上回っているという状況でございます。
    先ほど申し上げました、事業所数のカバー、要するに既存の統計では目視ではなかなか難しいということで、大体、同じ時点で数字を比べてみたいと思います。
    2004年9月時点で、例えばタウンページのデータベースでは642万という事業所数が出ておりますが、これは事業所・企業統計、ここには書いてございませんが、大体570万ぐらいということでございますので、大体、70万ぐらいの事業所数をタウンページデータベースの方には新たに見つけることができたと言えるかと思います。
    次に、真ん中以降でございますが、これは業種別の開業率・廃業率をこちらに書いてございますが、特に開業率が高いところは一番左側の「情報・通信」ということで、インターネット付随サービスとか、この辺りのところで開業率が高いようでございます。
    それから、右から3番目の「金融、教育、医療・福祉」というところも開業率が高いようですが、これもどうも介護サービス辺りが開業率が高いようでございます。
    7ページでございます。真ん中の表をごらんいただければと思います。これは「開業・廃業と雇用変動」ということでございまして、表の見方をまず御説明いたしますが、左側が存続事業所、右から2つ目が開業ということでございますが、まず存続事業所は何かといいますと、1994年と2004年の時点で、両方の時点で最も存在していた事業所を存続事業所、2004年に新たなできた事業所を開業事業所ということで、それぞれにおいてどのように雇用ができて、雇用が失われたかということをこちらに示しております。
    まず、右から2つ目の「開業による雇用創出」のところを見ていただければと思いますが、創出された雇用人口が1,325万人ということで、その内訳を見ますと、正社員が620万人、有給役員が475万人という内訳でございます。
    一方、一番左側の表「存続事業所における雇用創出」を見ていただきますと、正社員が341万人より多い人数で、パート・アルバイトが354万人ということでございまして、端的にこの2つを比べてみますと、正社員、あるいはそういう役員を生み出す能力というのは、どうも開業の方が高いというふうなところが言えるかと思います。
    下の表でございますが、これは業種別に開業による雇用創出・喪失を表にしたものでございます。ゼロより上が創出された部分で、下の部分が失われた部分ということで、例えば「製造業」を見ますと、300万人の雇用が失われている一方「サービス業」や「飲食店・宿泊業」「医療・福祉、教育・学習支援業」で雇用増加があったというふうなところが見て取れるかと思います。
    次の8ページを行っていただきまして、こちらに示しておりますのは事業承継の関係でございますが、まず最初の表で示しておりますのは毎年の社長交替率でございます。
    一番右側に、300人以上のところを記載しておりますが、19.8%ということで、100社あれば大体20社ぐらいで社長が替わる。逆に言うと、社長の任期は5年平均と考えていいかと思いますが、一方、2~5人ぐらいの規模の企業を見ていただきますと、年間の交替率が3%ということでございまして、裏返して言いますと、大体30年ぐらい社長が替わらないということで、社長交替というのはめったにないイベントということで、なかなかその準備が進まないというのも、その辺りが原因かなという気がいたします。
    2段目の右側の表でございますが、先ほど申し上げましたとおり、相続税というのが一つ、事業承継の際、問題になるわけでございますけれども、どのくらいの相続税負担があるかということを経営者に対して聞いてみました。
    株式会社が赤い斜めの線、それから、緑色の線が個人事業主ということでございますが、例えば相続税負担額が5,000万円以上というところで見ますと、ほとんどの方が株式会社、オーナーのケースということでございまして、株式会社の17.9%が5,000万円以上の相続税負担があるということを答えてきております。
    その資産の内訳について見たのが、左側の表でございます。左側の真ん中の表が株式会社、オーナーの表でございます。100%が総資産でございまして、ですから、全体の資産のうち、大体7割弱ぐらいが事業に関連した資産である。それから、総資産のうち3割ぐらいが自社株式ということで、いずれも換金困難でございますし、逆に売り払ってしまうと事業自体がなかなか進められないという意味で、相続税の負担にどう耐えるか、なかなか難しいという点が、この資産の構成割合から見えるかと思います。
    9ページをごらんいただければと思います。「小規模企業を取り巻く環境」ということで、小規模企業に対するアンケートの実施をしております。
    それで、小規模企業と中小企業、中規模企業という定義をしておりますが、規模の差による経営方針の違いというのを対比しております。
    真ん中辺りに「現状維持」というところがありますが、小規模企業の方というのは実は「現状維持」というふうに答えてきた方が結構いて、6割弱ということでございます。それから「事業縮小」「廃業」というふうなところを置かれている方も25%ぐらいいるということでございます。
    ただ、小規模企業はそういう方ばかりかというと、そうではございませんで、一番下の表でございますが、小規模企業も拡大志向の企業がございます。拡大志向の企業と、小規模企業全般で課題と関心にどのような違いがあるかということで、1つ○を付けてございますが、拡大志向の企業ではやはり人材の確保、育成等々に強い関心を持っているというところでございまして、小規模企業も十把一からげに扱うのではなくて、そのような経営方針とか、その辺りによってニーズが違うというふうなところを吟味する必要があるのではないかという気がいたします。
    次の10ページでございますが、これは地域資源の関係でございます。
    地域資源の検討を行う前に、まず最初に検討しておりますのは、中小企業と大企業でどういうような価格帯のものを売っているかということを、みそ製品類、清酒類、チーズ類、水産練製品ということで、それぞれのデータを分析したものでございます。
    やや表が見にくいので、簡単に御説明申し上げますが、まず左上のみそ製品類をごらんいただければと思います。これは横軸が販売価格帯ということで、100g何円かということで、縦軸が累積の販売量ということでございます。例えば、横軸の50のところから上に線を伸ばしていただきますと、赤い線と大体80辺りのところで交差するわけでございますが、これは何を意味しているかといいますと、50円以下で販売しているものが8割、それ以上で販売したものが2割ということです。
    更に、それを上へ伸ばしていただきますと、大企業の線とぶつかるわけでございますが、大企業はほとんど100%近くが50円以下で販売されている。大企業の製品が50円以下で販売されているということで、端的に言いますと、右側に線があるほど高い価格帯で販売していると言えるかと思います。
    ほかの製品についても見てみますと、大体、中小企業の方が大企業よりも高い価格帯で物を販売していると言えるかと思います。
    やや高い価格帯で販売している中小企業の方にアンケートを取ったのが下の表でございまして、地域資源というものをうまく活用できているかについて聞いてみたところ、やはり高価格帯で販売を行っている中小企業の方が、地域資源に関する認識が高いという状況が出ております。
    次の11ページでございます。冒頭に申し上げましたとおり、製品の差別化ということに地域資源をうまく使っていくということがどのくらい進んでいるかをアンケートで聞いてみました。これは法律のタイトルに従いまして、産地技術型、農林水産型、観光型と分けております。
    左にあるほど、地域資源の性質が強いと我々は考えておるものでございますが、見ていただくと、農林水産型と観光型では相当地域資源の活用が進んでいる一方、産地技術型についてはまだまだというところがございます。地域資源、あるいは産地技術はあると思いますし、産地技術を生かす人がいると思いますので、そういうものを積極的に活用して差別化していくという意味では成長の余地が大きいのかなというのが私どもの分析の結果でございます。
    ちょっと飛ばしていただきまして、13ページをごらんいただければと思います。
    下の段でございますが、地域資源を活用した企業が、どこに主に販売の重点を置いているかということで、地域資源があるというところもざっと見ていただければと思いますが、この表の左側ほどターゲットを遠くに置いているということでございますが、例えば産地技術型であれば、比較的、海外にターゲットを置いているわけですが、農林水産型、観光型については、どうもなかなか近場の人を顧客として意識しているようでございます。
    大消費地ということで、結果的に高く取れて、それの付加価値を地域に還元するという考え方から見れば、もう少し域外に積極的に進出するということが課題なのかなというのが私どもの印象でございます。
    14ページでございますが、まちづくりのところを議論する前に、まず小売業の動向一般について整理してございます。
    最初にある表でございますが、これは売場面積別に小売業の販売額の推移を見ております。一番下の赤いところが500平米未満ということで、比較的、売場面積が狭いところということで、1997年以降を見ていただくと、徐々に販売額は減少しているというところが見て取れます。
    右側の表は、売場面積の500平米以上というところで、それぞれ販売額の伸び率を計算してみました。そうすると、500平米未満のところでは特に販売額の減少が大きいというふうなところが出ております。
    それから、下の表の左側でございますが「業態別小売業販売額の推移」というところを見ますと、中小小売店が多い。専門店のシェアが減っておる一方、専門スーパーなり、この辺りが伸びているというところが表れております。
    次の15ページでございますが、こちらが消費者に対してアンケートを取っておりまして、それぞれの世代が、どのようなところで最も買い物をしているかということを聞いた表でございます。
    上の段の左側の表でございますが、これは赤いところが中小店、黄色いところが大型店ということで、どの世代を見ても、やはり大型店、これは品ぞろえが多分多いという、ワンストップで買い物ができるという意味で有利であるという点は事実であるかと思いますが、その中でも中小店が支持されているものとして、これは右側に挙げている表でございますが、左側の平均的な姿に比べまして、より多く中小店が利用されているものとしては、惣菜・パン、生鮮品、あるいは理容・美容、趣味・教養、飲食。この辺りについては、中小店の支持が高いということでございます。
    下の段で、今度は「購買行動の変化」ということで、どのような点を重視するかということで聞いてみたところ、下の段の「購買行動の変化」の下の2つについて、今後5年間、大きな変化として起こるだろうということで、この中身で言いますと、商品の安心・安全な買い物。要するに、安心・安全なところで買い物ができる。そういう安心・安全といったところが結構キーワードになってくるのかなという気がいたします。
    あと、お金を払ってもこういうサービスを期待したいというようなところで出てきておりますのは、商品の宅配、あるいは見回りサービス、配食サービスといったところでございまして、これは世代別に聞いておるんですが、50~60歳代が黄土色、60歳以上が赤色なんですが、この辺りの方にある程度、期待値が高いのは配食サービスと宅配サービスといったところかと思います。
    次の16ページでございますが、こちらはコミュニティービジネスということで、地方公共団体、市町村の市に対してアンケートを配付いたしまして、その期待と、実際の連携はどういうふうになっているかということで、下の段の左側の表を見ていただければと思います。期待の有無が右側でございまして、実際に連携があるかどうかが左側でございます。
    期待が高くて、連携もうまくいっているというところは、比較的、イベント開催とか、観光とかといった分野でございます。その一方で、高齢者福祉とか、児童福祉とか、この辺りは期待は高いんですが、なかなか受け皿や担い手がいないというところが現状として表れております。
    ただ、いろんな成功事例があるようでございまして、1つ挙げておりますのが福島県の小高町の「おだかe-まちタクシー」というのがございまして、これは、例えば高齢者の方が商店街に行きたいというときに、オペレーターに電話をすれば乗合タクシーをアレンジしていただけるということで、それに対して町の方からは補助が出ている。こんな仕組みもあるようでございます。
    それでは、若干飛ばせていただきまして、19ページをごらんいただければと思います。
    19ページは、地域金融ということで、まず検討しておりますのは、メインバンクの仕組みでございます。中小企業はメインバンクがあるわけで、9割ということで、あと、取引メインバンクにつきましては、規模が大きいところほど大きいメガバンクとつき合っているというふうな傾向があります。
    真ん中の表でございますが、これは借入申込みに対するメインバンクの反応ということで、過去3年度にわたって聞いたものを比較してみました。
    一番左側、大体のところが、申込みをしたけれども拒絶・減額されたという割合でございまして、2003年度に比べると、割合減っておるということで、借入申込みは、比較的お金については、今、借りやすい状況なのかなというのがこちらの方からわかるかと思います。
    あとは、顕著に目立つ点としては、一番右側の紫色の方でございますが、こちらは借入申込みを過去1年間行わなかったという人の割合でございます。全体の5割ぐらいの方は、実は過去1年間、メインバンクに対して借入申込みを行っていないということがこちらからわかります。
    次のページでございますが「小規模規模におけるメインバンクとの関係」ということで、接触頻度と取引満足度ということで、表をつくって並べてみました。
    一言で申し上げますと、規模の大きな企業ほどメインバンク担当者との接触頻度が高くて、メインバンクとの取引満足度が高い。逆に言いますと、小規模のところほど接触頻度は少なくて、メインバンクとの取引には満足していないというところがこちらからわかります。
    ただ、大きな規模の企業でも、やはり過去10年前と比較をいたしますと、接触頻度というのはどうも低下をしているようでございまして、やはり金融機関のリストラ等の影響で、接触頻度に関しては全体として下がっているのではないかということでございます。
    一番下の段が、最近10年間のメインバンクの変更割合ということで、規模別に分けてみたんですけれども、やはり規模が小さいところの満足度が低いということもあってか、変更の割合が高いということで、15.8%が変更したという回答をしてきております。
    それと、変更の理由について見たところ、実はこれは経済的理由というよりは、どちらかというと担当者に不満とか、ほかの銀行の担当者がよかったとかというふうなところで結構変更が行われて、特に小規模のところではそういう変更が行われているという実情が見て取れるかと思います。
    次の21ページでございますが、複数行取引ということで、取引金融機関別に、アメリカと日本とを比べてみました。
    橙色のところが1行取引ということで、アメリカの場合は2行を取らず、1行取引の割合が相当多いわけでございますが、日本の場合は、規模が小さくても、結構、取引金融機関が多いというデータが出ております。
    2番目を見ていただくと、端的に申し上げますと、取引金融機関の方が多いと借入依存度が高まるということでございまして、増額セールスを受ける割合も複数行取引をしている場合ほど高いというデータでございますので、ついつい借入れを安易に行ってしまうというふうなリスクもあるのかなと私どもでは分析をしておるところでございます。
    若干、飛ばさせていただきまして、23ページをごらんいただければと思います。23ページにつきましては、冒頭申し上げましたが、製造業14万社のデータベースを使って取引関係を整理したというものでございまして、表は23ページに1つ、24ページに2つということで、トータルで3つ用意いたしてございます。
    まず、23ページの下の段の表を簡単に御説明申し上げます。これは自動車メーカーA社に起点にして、そこに納入している企業、1次取引企業という形で名前を付けております。これが大体692社。それで、1次取引企業に対して納入している企業を2次取引企業ということで、これは2,126社あるということでございます。
    それで、1次取引企業692社がA社以外にどれだけ納入をしているかについて見たのが、グループ外との取引数ということで書いてあります、5,143という数字でございます。すなわち、相手の700社が5,143の取引をしているということでございますので、1次取引企業もレベルから見ると、A社以外に平均的に見ると、大体7社ぐらい納入先があるというふうなところは見て取れるかと思います。
    24ページでございます。こちらが輸送用機械製造業というところを見てみました。
    まず、一番上の段の円盤の小さい部分が輸送機械製造業に属する業種で、これは64社ございます。ここに納入している1次取引企業は、大体8,519社ということでございます。
    その上に、赤い矢印と黄色い矢印があろうかと思いますが、輸送用機械の上場企業に対して納入している企業が、そういう機械業種以外の上場企業に対して1万2,240ということでございまして、輸送機械製造業の上場企業に対して納入している企業は、業種の中だけではなくて、業種外の上場企業に対しても結構取引をしているということがこちらの方からわかるかと思います。
    一番下の段が、製造業全体で見てみた表でございます。こちらにつきまして、同じような整理をしますと、上場企業773社に対しまして、1次取引企業が4万社、2次取引企業が3万社ということで、3次以降は数字が少なくなりますが、これはデータの制約もあって、小規模な企業は比較的入っておりませんので、その辺りも含めると、この辺の文意は変わってくるかと思います。
    あと1点、付け加えまして、ユニークな点としては、右側に独立型企業というところがございます。これはいかなる形でも上場企業に対して納入していない企業、つまり、上場企業から物は買うけれども、上場企業に物を売らない企業が10万社中6万社あるということでございます。この内訳については、今回、なかなか分析はできなかったんですけれども、どのような状態かについては、今後、また分析をしてまいりたいと思います。
    25ページでございますが、これは「企業間取引関係の変化」で「メッシュ化」が進んでいるかどうかということで、特に販売先の数の変化について見ていただければと思います。
    10年前と比較して、販売先が増えているか減っているかということで比べてみると、増加、やや増加というところがやや減少、減少に対して多いということで、販売先については増加していると言えるかと思います。
    右側の方で、シェアの方を見ていただきますと、1位の販売額のシェアが減少したというのと、増加したというのを比べてみますと、減少したというところが多いということは1位の取引先の企業への依存度は低下していると言えるかと思います。
    販売先を増加させるメリットが何かということで聞いていますが、これは下の段の右側の表でございますが、やはり販売拡大ということで、売上高の増大を目指しているケース。あと、やはり1社に依存することのリスクということを考えて、リスク分散を考えているところが主な理由となっております。
    次の26ページでございますが、こちらの方の問題意識としてあるのは、そういう「メッシュ化」に、取引先企業、大手企業が、これまで1社であれば、そこから販売情報なり技術情報をいただけていたということかと思いますが、それが取引する相手が拡大するということで、かえって情報のやりとりが低下するということになれば、それは中小企業にとってデメリットもあるということではないかという問題意識から、10年前と比較した1社当たりの情報のやりとりの量がどう変化したかということをこちらで調べています。
    一番上の表の左側のところでございますが、販売先数が増加したところについて聞いてみたところ、1社当たりの情報が増加したというところが減少したというところに比べてはるかに多いということで、実際、何が起こっているかというと、販売先は増加しているけれども、1社当たりの情報のやりとりも実は増加しているということが言えるかと思います。
    2つ目の表でございますが、これは販売先、情報のやりとりをともに増加させた企業と、販売先は増加させたけれども、情報のやりとりは減少させた企業というのを比べています。そうすると、結構、売上高については顕著な差がございまして、要するに販売先を増やすだけではだめで、情報のやりとりを増やすということによって売上高は増加をするというふうなところがデータとして出ているかと思います。
    恐縮ですけれども、次の27ページを見ていただければと思います。こちらは、まず最近、中小企業の買い取りの議論があるわけでございますけれども、そもそも中小企業、大企業がどういう形で販売価格を決定していくかということについて聞いてみました。
    全体としては、63%の方が主要販売先と話し合いをして、合意をして決定している。これは、やはり主要販売先が主に決定しているケースも2割、一方、中小企業がイニシアティブを取って価格を決めているケースも1割あるということがわかりました。
    2番目の表でございますが、これはよく議論でございますが、中小企業はなかなか技術力・技能があっても、販売価格に反映できないというふうな原因は何かということについて製造技術ごとに聞いてみた表で、ちょっと細かくて恐縮ですけれども、整理した表がこちらでございます。
    1位ということで、各社が挙げておりますのは、やはり価格競争が激化しているということで、これは各社共通の認識でございます。
    ただ、やや新しいところとしては、右から4つ目に「海外製品基準による値決め」ということでございまして、実際、海外の企業からこのくらいの値段で出てきて買えるということで値段を比べられるケースが結構の割合であるということをここで言っております。
    あと、取引慣行としてよく言われております、重量取引でございます。重さを基準として値決めをするというケースも、鋳造、ダイカストを中心にそういう割合があるということでございます。
    2ページほど飛ばせていただいて、29ページをごらんいただければと思います。これも冒頭に申し上げましたけれども、取引慣行という中で、木型・金型の保管の問題、保管費用の問題というのがあります。
    まず最初に書いておりますのは、木型・金型がどこで使われているかということでございますが、これは金属プレス、鋳造、あるいはプラスチック成形加工を中心にいろいろと使われておりますが、それ以外の加工技術においても相当使われておるということでございます。
    2段目の左側の表でございますが「型の保管期間」。これは平均9.6年ということで、10年を超える方が2割いるということで、実は生産が終わった後でも相当長期間にわたって型が保管されているということが見て取れます。
    それから、型の保管費用配分がどうなっているかということでございますが、これは自社、要するに中小企業側がすべて負担しているケースが73%ということでございます。
    一番下の段を見ていただければと思うんですが、型の保管費用配分と取り決めがあるかどうかということで見ていただくと、自社がすべて負担というケースはほとんど取り決めもない、要するに、どういうルールでいつまで保管するかということについての取り決めもないし、変更もされていないということのようでございます。
    したがいまして、こちらの型も相当かさばりますし、費用もかかるということで、これはよく販売先と相談をしていただいて、取り決めをしていただく。更に言えば、それを書面化していくことが望ましいというところがここから出てくるのではないかと思います。
    それでは、最後に人材というところで、32ページをごらんいただければと思います。こちらの方では、まず雇用市場全般の状況について述べております。
    最初に書いておりますのは「有効求人倍率の推移」でございまして、2000年ごろの0.48から、現在は1ということで、職を求める方にとっては望ましい状況になってきているということが見て取れるかと思います。
    真ん中の段の左の表でございますが、これは新規の求人数を企業の規模別に積み上げてみたものでございます。
    一番上の青紫色の波線が、29人以下の企業がどのくらい求人を行ったかということでございますが、2002年以降を見ていただきますと、急激に右肩上がりとなっておりまして、急激に求人を増やしているというふうなところが見て取れるかと思います。
    一方「雇用者数規模別推移」ということで、右の表を見ていただきますと、これは一番上の同じ色の横線が1~29人、比較的小規模な企業の雇用者数でございますが、どうも求人はするけれども、なかなか人が増えていないという現状が見られる表でございます。
    それから、一番下の段でございますが、正規・非正規ということで、非正規雇用者が実際増加をしているかということを各企業の非正規雇用比率で比べてみた表でございます。
    これは1990年から比較をしているわけでございますけれども、全般的な傾向としては、非正規雇用比率が上がっているということでございますが、特に比率が上がっているところは一番下の赤い線、500人以上の規模の企業でございまして、2001年以降、急激に比率が上昇しているということが見て取れるかと思います。
    その右側の表でございますが、正規雇用と非正規雇用、要するに、正規の雇用を非正規で代替しているという議論があるわけでございますが、中小企業でどうかということを見てみたのが、この表でございます。
    結論の方から申し上げますと、やはり増やすときというのは正規・非正規両方とも増加させる。減らすときは正規・非正規両方とも減少させるというところが多いようでございまして、正規を減らして非正規を増やすというところは全体の13%というふうなデータが出ているところでございます。
    次の33ページでございますが、こちらが冒頭に申し上げましたとおり、中小企業はどういう人材タイプについて不足感があるかということで、人材タイプを4つに分けてございます。
    1つは、企業特殊的能力という指標でございまして、これは企業の強み、弱み、文化、仕事の仕方を多く知っているかどうかということで、高い低いを分けております。それから、横の部分ということで、業務スキルの高さ低さということで分けております。したがいまして、第1象限にあります「プロデューサー型人材」というものは、比較的企業の中ではコアとなる人材と言えると思います。
    真ん中の段が、経営者の方に、そもそもおたくの会社の人材構成はどうなっていますかというのを人材タイプ別に聞いたものでございます。これは10年前はどうだったか、今はどうだったか、あるいは理想的にはどうだったかという形で聞いております。
    比較をしていただければと思いますが、一番左側のプロデューサー型人材というところが、10年前と比べて、特に現在、減少している。一方、理想とする割合がはるかに高い割合でございまして、したがいまして、ここの正規雇用プロデューサー型人材というところに、どうも人材の不足感が高いということが言えるのではないかと思います。
    次の34ページでございますが、ここも冒頭申し上げましたキーパーソンで、経営者の方に、経営者の方以外で会社の競争力を支えるコアとなる人材ということで聞いております。
    何人ぐらいいますかということで聞いたところ、平均で見ると、一番右側に書いてございますが、3人ぐらいということでございます。
    そういう方の重要度と充足度を聞いております。重要度は高いけれども、充足度が低いところが問題かと思いますが、それにつきましては、黒い点線で囲っておりますけれども「新しい顧客を開拓し、マーケットを拡大できる人材」、あるいは「新事業を創造し、実現化する人材」。その辺りの不足感がどうも高いようでございます。
    それから、一番下の方に、やや面白い表だと私どもは思っておりますが、キーパーソンの採用経路でございます。
    一番左側が、他社で経験を積んだ方を中途採用するというケースが全体の4割、43%でございます。大卒の方を採用するケースが14%。それから、創業時が14%ということで、中途採用というルートを通じてキーパーソンになられた方が多いということが、こちらの方から見えてくるかと思います。
    最後の35ページでございますが「人材の確保・育成に向けた取組」ということで、キーパーソンの方に、キャリア形成で重要であったものは何かということと、あと、企業側にも同じようなことを聞いて、左右で対比をしております。
    まず、左側でございますが、本人の自己啓発、本人の資質という問題を除きますと、最も自分のキャリア形成で重要であったものはジョブローテーションというようなことを挙げております。中小企業は、そんなに規模が大きくないかもしれませんが、やはりいろんな職務の経験を積むということがキャリア形成で重要であるという指摘がされております。企業側の方から見ると、本人の資質ということで、ややそことの認識のキャップもあろうかと思います。
    一方のジョブローテーションが、どの程度行われているかということを真ん中の左側の表で示しておりますが、規模が小さくなるほど、そういうふうな意識を持ってジョブローテーションをしているというところはどうも少ないようでございます。
    最後の表でございますが、キーパーソンがなかなか採用困難であり、なおかつ育成困難であるということは、今、お示しをしたとおりでありますが、やはり辞めない理由というのは何かというのを聞いたのがこの表でございます。
    キーパーソンが辞めないで、その会社で仕事を続けている理由ということで突出した理由として挙げられておりますのは、2つございます。1つが、仕事の内容にやりがいや楽しみを感じているというケース。それから、自分の専門性や知識・ノウハウが十分に生かせるというふうな2点でございます。キーパーソンというのは貴重な人材でございますので、このようなところによく留意をしながら、キーパーソンに対するマネージメントをしていくということが大変重要なのではないかというところが結論でございます。
    駆け足で恐縮でございましたが、以上で御説明を終わらせていただきたいと思います。
  • 山口会長 ありがとうございました。
    続きまして「平成19年度において講じようとする中小企業施策(案)」について、事務局の方からお願いいたします。
  • 柚原参事官 参事官の柚原でございます。よろしくお願いいたします。
    「平成19年度において講じようとする中小企業施策(案)」ということで、資料8と資料10の2種類を配らせていただいておりますが、ここでは資料8を使いまして、時間の制約もございますので、簡潔に御説明申し上げたいと思います。
    資料8の1ページをごらんいただきたいんですけれども、これは19年度の中小企業対策の予算を書いてございます。
    中小企業対策費、19年度は1,625億円、プラス0.6%で、経済産業省分でいきますと、1,245億円で3.4%増ということで、近年、厳しい財政状況の中で減少傾向にあったわけでございますけれども、増加に転じているということでございます。
    1点、修正がございまして「予算案」という言葉を使っておりますけれども、今週、国会の方で予算が通っておりますので「案」というのは省いて御理解いただければと存じます。申し訳ございません。
    2ページに「中小企業への3つの応援」ということで、中小企業施策を全体的に分類して提示させていただいております。「地域の応援」「企業の応援」「ヒトの応援」という3つの分野に分けて施策というものを提言し、進めていきたいと考えております。
    これらのものにつきましては、次ページ以降で御説明申し上げたいと思います。
    3ページから4ページにかけまして、19年度の新しい施策でございます「中小企業地域資源活用プログラム」を創設したいという話を載せております。
    この3ページの上の四角に出ておりますけれども、各地域の「強み」でございます地域資源、この中には産地技術ですとか、農林水産品、観光資源といったものがあろうかと思いますが、これを活用した中小企業の新商品・新サービスの開発とか市場化というのを総合的に支援していくというプログラムでございます。5年間で1,000件ぐらいの新しい事業というのを創出することを目指して進めてまいりたいと思っております。
    4ページに、これを実現するための方策といたしまして「中小企業地域資源活用促進法案」というものを、現在、国会に提出しております。昨日、委員会で審議が始まったところでございます。
    特にポイントといたしましては、マーティング、ブランド戦略に精通した人材・仕掛人というものがこういった事業というものを成功させるためのキーであるというふうに認識しておりますし、また、関係省庁、連携を取って進めるという体制を構築しているところでございます。ここに出ておりますような法律の手続を経て、各般の支援措置というのを活用して、応援をしてまいりたいと考えております。
    5ページから6ページにかけまして、今の関連で「地域中小企業応援ファンド」というものの御紹介をしております。
    このファンドというのは、地域において元気な中小企業が輩出されるような環境整備を行う。そのために、中小企業基盤整備機構に5年間で2,000億円程度の資金の枠を獲得したファンドを創設するというものでございます。
    この5ページの下の方の地図と表が出ておりますけれども、どうしてもこういった環境を整えるための人材ですとか、あるいは仕組みというのはどうしても大都市圏に集中してきているということがございます。これを地方にも拡大していくために役立てていきたいということでございます。
    6ページに、このファンドにつきまして、若干、仕組みを説明してございますけれども、2種類の形を考えておりまして、1つは「スタート・アップ応援型」。これは新たな事業の「種」を発掘して、育てていく取組み。これに助成を行うということでございまして、中小機構が都道府県とともに無利子貸付を行って、ファンドを組成して、その運用益でこれを助成していこうというものでございます。
    右の方にございます「チャレンジ企業応援型」というのは、株式公開等を志向するような地域の中小企業に対する成長資金の供給というのを目的といたしておりまして、中小機構が地域金融機関ですとか自治体等とともに出資を行って、投資事業有限責任組合方式のファンドというのを組成して、企業に対して投資をしていくというスキームでございます。
    こういったものを活用していくということを進めてまいりたいと思っております。
    次に、7~10ページにかけまして「チャレンジ・再チャレンジの支援」ということで幾つかの施策を4項目に分けて紹介をさせていただいております。
    「(1)チャレンジ・再チャレンジのための金融支援」ということでございます。一旦、失敗した起業家という者を門前払いをせずに、積極的に融資しよう。これを進めていくための特別の融資制度というのを、中小公庫、国民公庫、商工中金等に導入していただくというのが、1つの柱でございます。
    下の方にございますのは、保証制度でございまして、民間金融機関による再チャレンジへの融資というのを後押しするということで、信用保証制度、保険制度というのを法律を改正して創設することを進めてまいりたいと思っております。
    一番下は流動資産の担保、これは中小企業の流動資産、かなり落ちてございますので、こういったものを更に活用して、従来売掛債権についての保険、保証制度があったわけでございますが、更に在庫といったものも含めて流動資産の活用、これによる金融の円滑化というのを進めていきたいと考えている次第でございます。
    9ページ「(3)事業再生と金融支援」ということでまとめさせていただいております。中小企業再生支援協議会というのが各都道府県にございます。平成15年の2月から制度が設けられておりますけれども、昨年末までに1万社を超えるような相談を受けていますし、その中で1,248 社、再生の計画を策定しております。全国組織等を設けまして、各協議会に対する助成ですとか、ノウハウの共有化といったことを進めてまいりたいと思っております。
    10ページ「(4)早期転換・再挑戦支援窓口」でございます。これは事業継続の見通しがなかなか付きにくくなってきたような事業につきましては、やはり早く撤退をしてもらって、新しい分野に向かってもらうということが一部であると思われますので、こういったことにつきまして、あるいは再チャレンジにつきまして、気軽に相談できるような窓口を全国280 か所に設置していきたいという、新しい取組みについての紹介でございます。
    11ページ~12ページにかけまして「モノ作りの中小企業の高度化」について説明をさせていただいております。これは昨年6月に施行されましたモノ作り基盤技術の高度化に関する法律に基づきまして、施行を進めているところでございます。12ページに具体的なものが出ておりますけれども、この開発計画等について認定を受けた中小企業に対する研究開発の支援、それから環境整備ということで人材育成の支援等を進めてまいりたいと思っております。
    13ページに「まちづくりの推進と商店街の振興」ということで、昨年まちづくり3法が改正されておりますので、これに基づきまして、戦略的な中心市街地活性化の支援を引き続きやっていくとともに、下の商店街の活性化ということでございますが、少子高齢化等いろんなニーズにきめ細かく対応していく商店街を支援していきたいと考えております。 14ページに「小規模・零細事業者への支援」ということで、従来からやっておりますような小規模事業者への支援、これを継続して充実していく。マル経融資についても進めていくということを紹介させていただいております。
    15ページ~16ページにかけまして「中小企業の底上げ」の話を載せさせていただいております。成長力底上げ戦略の基本構想が2月にまとまっております。この3本柱の1つとして、最低賃金と中小企業の底上げが掲げられております。成長戦略の一環として、中小企業の生産性向上を図っていくことによって賃金の底上げを推進していくということで、ここに書いておりますように、下請取引の適正化ですとか、IT化・機械化等々、こういった改革の施策を推進して、更に検討していくということで進めてまいりたいと思っております。
    以上、駆け足で恐縮でございますが、紹介させていただきました。ありがとうございます。
  • 山口会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問、御意見を受けたいと思います。なお、できるだけ多くの方に発言をしていただきたいと思いますが、時間の制約もございますので、1人2分以内ぐらいでお願いしたいと思います。
    御発言のある方は、手を挙げてお名前をおっしゃってください。どうぞ。
  • 村本委員 村本でございます。今年のアクションは、地域まで視野に入れた包括的な大変いいものになっていると思いますけれども、1つ気になるところがありますので申し上げたいと思います。
    1つは、開業率について、タウンページを利用されて丁寧にやられたのは大変結構なことだと思うんですけれども、例えばアメリカの開業率の定義というのは、第三者雇用がないところは含まないという定義でやっているはずなんですが、それでいくと日本の場合には、データの本文にあったと思いますけれども、それでやると余り開業率と廃業率の転換がないんです。現実に起きている話と、どこが違うのかということが問題だと思います。直観的には、恐らくそこに入っていない。第三者雇用していないところ、つまり小規模層、あるいは零細層になってくるだろうと思いますが、そこで大きな問題があるということを、もう少し丹念にやっていく必要があるということが1つの印象でございます。
    それを受けて、恐らく後ろの方にも小規模企業問題が出てくるわけですが、地域のところの話で、小規模企業ほど10年前に比べてメインバンクを変えているとか、あるいは変更の理由が担当者の不満だということはあるんですけれども、これは我々別なところでやっておりますが、地域密着型金融、リレーションシップバンキングというのをやって、よく経営者のところに行ってお話ししなさいということを言っているわけですが、実は今まで行っていないという温床にもなるわけでございまして、どういう金融機関がメインバンクを変えられているか。メインバンクは、どこからどこへ行っているかというところも丁寧にやると、どこに問題があるかがわかるのではないかと思いますので、その辺、今後の課題として取り組んでいただければと思います。
    以上です。
  • 山口会長 ありがとうございました。そのほかにございませんでしょうか。
    どうぞ。
  • 篠崎委員 九州大学の篠崎です。ITの関係のところで、19年度のポイントに関係してコメントなんですけれども、今、取り組まれたばかりなので、まだ詳細なことはこれからだと思うんですけれども、たまたま2000年と2006年に九州地域で800 社にアンケート調査とヒアリングを行った結果があって、御参考になるかと思って御紹介なんですけれども、3つぐらいポイントがあって、1つは2000年のころに比べると、かなり導入は進んでいるんですけれども、光ファイバー化も思いの外、進んでいたりするんですが、工場が立地しているところがなかなか、入れたいんだけれども来てないので、どうしたらいいか、そこを通信事業者と中小企業の工場のギャップがあるので、そこをどう埋めていくかということが少し課題になっているということがありました。
    農業なんですけれども、従来農水省の関係かもしれないんですけれども、今かなり工業化というか、農工連携のようなってきておりますので、ここもIT化して非常に面白い動きがありますので、チャレンジしているところに少しフォーカスを当てていただくと面白いのかなという気がしました。
    その一方で、2点目なんですけれども、2000年に比べるといろいろやって導入は進んだので、これでいいのかという、やや一服感が出ているところがあって、現実の情報化は更に進んできていますので、生産性の底上げというところで先行きがどうかなということが出ています。
    というのは、まだうまく利活用ができていないというのがあって、そこが3点目なんですけれども、先ほど人材のところにもあったんですけれども、専門人材、ITの専門はいいんですけも、IT経営応援隊というプロジェクトをやられていますけれども、そこがより実戦的なところで、外部の専門家を非常にうまく、ITではなくて経営のわかる人を、どういうふうにマッチングさせていくか。特に地域には、なかなかそういう人材の層も充実してないということがあるので、そこが課題かなという気がいたしました。
    その場合に、いろんな支援がハード、ソフトとあるんですけれども、それのみならずコンサルテーションのようなところまで踏み込んだ、非常にハードな部分というのは、もう2割ぐらいなので、あとソフトとコンサルテーションの部分が8割ぐらいになると思うので、その辺りをどうもっていくかということがあろうかと思います。
    大きな2番目としては、先ほど取引条件の明確化ということが、白書のところであったんですが、コンテンツ産業というのは、割と中小企業、零細なところがあるんですけれども、これは先ほど白書でもありましたけれども、伸びていく産業なんですが、非常に劣悪な状況になって、取引条件の明確化ができてないとか、セカンダリーユースの権利がないとか、いろいろありますので、この辺り製造業のみならず、コンテンツ産業、これから新しく出ていくところの公正取引というところに、かなり目配せしていただきたいということがあります。
    大きな3番目、これはやや趣味的なんですけれども、先ほど白書で取引関係の見直しのメッシュ化というのがあったんですが、ここにITの導入の度合いとを絡めて分析すると、割と面白い結果ができるような気がします。というのは、3年前に全国9,500 社に対するアンケート調査をやったことがあるんですが、それではITの導入と取引関係の見直しをうまくやったところほど効果が出ている。これは生産性の向上につながると思いますので、この辺りの分析が次回以降出てくると、政策の面でも生かせると思います。
    以上です。
  • 山口会長 そのほか、どうぞ。
  • 竹岡委員 竹岡です。2点あります。1つは、モノ作りの中小企業に対する支援ということで、これは大変すばらしいと思います。現実、いろんな技術系の中小企業さんで、本当に日本はものすごい強いと思うのがこの分野であると思います。ですから、素材系とか、装置系とか、非常に地味なんですが、ここが強いので、例えばサムソン電子とかが栄えていても、実は日本の中小企業がないとつくれてないとか、そういうことが起きていて、つまり日本の中小企業というのは、日本の大企業だけを相手にしているのではなく、世界中の大企業を相手にして、その大企業同士が価格競争で競争している中で、ちゃっかりと利潤を取っているというのがあるので、私はそこはちゃんと応援していってほしいと思います。
    そのときに、非常に大事なのは、例えば特許とか知財ということが、もう本当にグローバルなんです。今、言いましたように、とにかく日本の中小企業の中でモノ作りの技術がつくれるところは、即世界的に取引がシームレスになっている時代だと、私も本当に実感しております。ですからこそ、やはりこの辺の特許取得に対する国際的な特許取得に対する支援ということに関して、ほとんどそういうことに関する知識がない、支援がないというのが見ていて思いますので、ここを入れていただけると、モノ作りの日本の中小企業の一番強いところのよさがますます生かせて、BRICsがどうなろうと日本の中小企業が反映するという時代になっていただきたいと思います。
    2番目、実は内閣府の総合科学技術会議の知的財産専門調査会から駆け付けてきたところで、ちょうど大学、特に国立大学の地域との連携が実は課題になっている中で、出てきている議論が、実は今まで大学側というのは大学の中に技術、研究とかシーズがあって、それを移転するんだと。ところが、地域の中小企業との連携を見ていると、案外、地域の中小企業の中にシーズがあって、大学はそれを助けてもっと花を開かせて、本当にいいものにしていくという連携があるということが出ていました。そして、その地域企業のシーズをだれがよく見つけているかというと、例えば地域の公益TLOさんだったりするんです。こういうところの地道な活動を、引き続き支援していただいて、私が聞いていて思ったんですけれども、大学の側が産学連携というと、大学の側にこういうのがあるということで、一生懸命発信しようということでそういう政策でやってきているわけですけれども、案外中小企業の側がどういうシーズのあれが欲しいかというところも、各社、各社が独自にやっているという感じがしたんです。
    ここをよりうまく中小企業のシーズと大学のシーズとを結び付けていくという、何かうまく仕組みができると、TLOさんを始めもっとできれば、本当のいい連携ができるんではないかと思った次第です。
  • 山口会長 ありがとうございました。
    そのほかございませんか。どうぞ。
  • 鹿住委員 鹿住でございます。先ほどの村本委員、篠崎委員の御質問に関連してなんですが、開業率、廃業率のところですけれども、タウンページのデータベースをお使いになって、プラス70万事業所、補足率が上昇したという点は非常に評価できるかと思います。ただ一方で、いわゆるSOHOと言われるようなIT関連の小規模事業者、あるいは個人事業主の方、この方たちは私の調査によると90%以上が自宅を事業所にしてらっしゃるんです。そういうことは含まれていない。IT関連の方が多いわけですから、更にIT関連での開業率というのは、もう少し上がるのではないかと思われます。
    もう一点が、開業率、廃業率の地域格差でございまして、実は先ほどのIT関連でいいますと、いわゆるレンタルオフィスというような、1つのオフィスを小さく区切りまして、創業間もない方に貸すようなオフィスが増えておりまして、ウェブサイト等で調べると全国に三百数十か所ありまして、その230 か所以上が東京に集中しているんです。そういったものを含めると、やはり開業率、廃業率というのは、かなり地域差があるのではないかということが想定されます。
    もう一点、小規模政策、今、申し上げたSOHOに関してもそうなんですが、先ほど篠崎先生もおっしゃられたように、この平成19年度において講じようとする施策のポイントを拝見しますと、小規模政策というのはやはり従来型の小売、製造、あるいは従来型のサービス業の小規模事業者の方を対象とした施策というのがイメージされているかと思うんですが、やはりIT系のSOHOの方というのは、取引関係とか契約面、それから最近は常駐請負といいまして、請負契約なんだけれども、クライアントのオフィスに行って、そこで指示を受けながら仕事をするという、偽装請負とちょっと違うんですが、ちょっと問題のあるような働き方も散見されておりまして、そういった新しい課題についての小規模政策についての対応も、今後御検討いただけるといいのではないかと思いました。
    以上でございます。
  • 山口会長 ありがとうございました。そのほかにございますか。
    どうぞ。
  • 西藤委員 食品需給研究センターというところにいる西藤委員でございますが、普段から農業、食料の観点から見ているんですけれども、動向編の10ページのところに、地域資源の有効活用に向けた取組みということで、農林水産型の分析がしてありまして、大変興味深く拝見させていただいております。おっしゃっていることは、地域の資源に立脚して、中小企業の方が価格も維持でき、収益も高い状況を維持しているという状況で非常に興味深いんですが、POSデータを利用して分析されているんですが、小売形態が食料品の場合、かなりこの10年ぐらい大きく変化してきている。専門小売店がどんどん少なくなって、大型スーパーなり、食品スーパーなりの比率が上がってきていると思うんですが、POSデータの対象機関というか、取られている小売形態による差が、実はこのデータの中に出てきているのかどうかというのが、今、そういう地域資源型の一次産業も変わる中で、地域資源型の加工、流通ということに、すごく興味を持っているし、取組みが出てきているわけですけれども、言わば小売サイドの変化が、この分析に影響してないのかどうかというのは、若干心配なものですから、もしそういう分析が可能であれば、というのは極端に言うと中小企業の製品が、例えば食品スーパーで一緒に売られている。大手企業のものは、大手量販店で売られているような状況があるとすれば、そういう傾向が出ているのであって、中小企業の状況は本当にどういう形で出ているのか一抹の、結果は非常に励みになるし、面白いと思っているんですが、販売店の対象による違いが、実は後ろにないのかどうかというのは、ちょっと心配なので、もしそういう分析ができたら教えていただきたいという要望であります。
  • 山口会長 ありがとうございました。そのほかにございますか。
    どうぞ。
  • 江崎委員 若干の感想なんですが、1つ各省についての複数金融機関との取引についてなんですけれども、複数行取引のメリット・デメリットをもう少し分析されるとよかったという気がします。日本で中小企業でも複数金融機関取引が多いという背景として、よく私どものお取引先から聞くのは、やはり複数の金融機関に競わせた方が、安定的な資金調達ができるということが言われておりまして、一般的な組み合わせとしては、メガバンクさんとかに地銀さんとか、第二地銀さんとか、場合によっては信用金庫とか信用組合なども組み合わせて取引をしておられるところが多くて、中には政府系も入っていたりしているんですが、そういう格好の方が安定的な調達ができるということと、恐らく、これは想像なんですが、多分借入条件もメインバンクで一行取引で、その銀行の言うなりになるというよりは、複数の金融機関に競わせた方が、金利面を始めとしていろんな条件が借手にとって有利な結果得られると思うんです。だから、そこら辺のメリットを少し分析されたらどうかという感じがします。
    貸手にとっても金融機関にとっても、実は余り一行取引というのは一般的には避けたいと思っていまして、というのは、全部リスクを背負い込むことになるわけです。だから、相手次第で貸手の中小企業が優良な企業の場合には、どんどんシェアを増やしていくことについて余りちゅうちょはないんですけれども、非常に不確実といいますか、リスクの多い業者、あるいはリスクの多い環境である企業に対しては、やはりほかの金融機関とリスクシェアしながらやりたいというのが、我々の一般的なビヘービアでして、双方にとって複数取引というのは、割と安定した構造なんです。ただ、あくまでも相手次第なんですけれども、そこら辺を分析されると面白かったなという感じが一つします。
    もう一つは、後の方に出てくる大企業との関係で下請のメッシュ化が進んでいるという話が出ていますが、これも私ども商工中金のお取引先で、ここのところ6年に1回ずつ構造的な調査をやっておりまして、昨年の秋に最新の調査結果がまとまったんですけれども、それで見ると不思議なことに系列化されている企業が割り合いと増えているんです。
    その間、勿論、1社だけに頼っているのは不安定だということで、なるべくほかの納入先なり何なりを増やしたりとか、あるいは調達をほかのところからも増やしたり、聞けばそういう執行を目指しているとおっしゃるんですが、結果として系列化されているのが増えているんです。
    もう一つ不思議というか興味があるのは、系列化されてない企業に比べて、系列化されている企業の方が業績がいいんです。これは、原因なのか結果なのかわからないんですが、系列化された結果業績が厳しくなるというのは、それだけ厳しい道を歩むというのを覚悟で系列化を目指すということなのか、あるいはそうではなくて、むしろもともと業績のいい企業はいい製品を出して、従って大企業の方もそういうのを下請といいますか、自分の系列に取り込むのが有利だということで系列化されているんだと。だから、原因か結果かわかりませんけれども、ですから、メッシュ化の話と個々の企業の業績をクロスさせて分析すると面白いのではないかという気がいたしました。感想です。
    以上です。
  • 山口会長 ありがとうございました。そのほかございますか。
    どうぞ。
  • 中村委員 中村でございます。大変よくまとめられていると思うのですが、今よく言われております2007年問題、ちょうど今年は団塊の世代が定年退職を迎えて、大量に自由になる。それから、50代以降の女性が子育てを終え、あるいは親の介護も終えたり、そんなちょうど谷間のころに、私はまだ活力があるから何かしたい。そういった人たちに対する、もう少し具体的な応援、人の応援のところに、企業の応援のところに、ちょうど今年2007年問題をもう少し加味したものがあったら、よけいきらっとしたものになって、中高年への希望とか、そんなものが与えられるかなという感想を持ちました。
    以上です。
  • 山口会長 ありがとうございました。
    それでは、伊藤委員、お願いいたします。
  • 伊藤委員 伊藤でございます。難しい話よりも、自分が経験したこと、もしくは今、直面している問題に関連してくるんですが、先ほどもお話しされた相続税の問題です。これは早急に何とかしていただきたいと思うのですが、私自身も父が亡くなって、普通中小企業というのは、経営者がカリスマ性があったり、力があるので、そのトップが亡くなると途端に翌年の業績が下がっていく傾向が多いと思われます。
    しかし、相続税というのは、その時点で評価されてしまいますので、翌年どんな状態になろうと、待ったなしで相続税の負担が遺族に来ます。
    私は、まだ20代のころに父を亡くしたので、勿論支払える能力もありませんし、そうすると会社に代わって払ってもらう。そうすると、会社のキャッシュフローも急に悪くなるという状態に直面しまして、何とか乗り越えられた状態ですが、多分このようなことで困っている企業はたくさんあるのは、もしくは本当に会社の業績が落ちれば、個人保証の問題もあり、例えばM&Aされてしまい、大げさに言えば海外に技術が流出される形につながる可能性もあるので、中小企業の相続税対策というのは、今のような状態ではなく、もう少し中小企業、モノ作り大国日本らしいシステムに変えていただきたいと思っています。 もう一つは、今、人材確保に非常に困っておりまして、雇用の数値は上がっているというか改善というのは、すべて大手にとられているということでして、中小企業全般は決して景気がいいとは言えない状態です。ただ、どうしても人材を確保しなければいけないのは、過去業績が悪かったときに、人材を入れなかったがため、本当に社内での空洞化が始まり、今お話に出ましたように2007年問題ではないですけれども、事業を継承できない。技術継承が困難になりつつあります。
    そこで、今、急ピッチで人を募集しているんですが、なかなか来てもらえない。それは、多分賃金的に見ても大企業にかなうわけがないので、その辺で今、試行錯誤しているんですが、一つ私が思うに、例えば女性の雇用の問題、うちの会社でも何名かこれから子どもを授かる体制にいる人材がいるんですが、その人たちにも産んだ後すぐに戻ってきてもらうために、うちが今、考えているのは育児室をつくりたいという思いがあるんです。すごく大げさなものではなくて、本当にパートタイムかもしれませんけれども、子どもを預かれるような部屋をつくりたい。しかし、その補助をしてもらえる制度を探しているんですが、今のところ中小企業向けのものがないように感じます。
    ですから、雇用を促進するためにも、そういった中小企業の環境をもう少し補っていただくシステムを考えていただけると、すぐにでもうちは保育室をつくり、より多くの女性、男性限らず、育児をしなければいけないがために働けない方たちを雇い入れるような環境がつくれるので、是非お願いしたいと思います。
    以上です。
  • 山口会長 ありがとうございました。
    まだまだ御質問があるかと思いますが、時間の都合で最後にお一人だけにしたいと思いますが、平井委員、何かございますか。簡単にお願いいたします。
  • 平井委員 御指名いただきまして、ありがとうございます。それでは、簡単に1つだけ申し上げたいと思います。これまでの中小企業白書の流れを、この3年間ぐらい見ますと、17年度は新連携というようなお話がありました。18年度は、これまで議論がありますような、モノ作り中小企業の支援策というのが、高らかにうたわれて、いろんな施策が出ました。
    それから、今年は私の理解するところ、やはり地域資源の有効活用プログラムが目玉ではないかと思っております。
    そして、この3つの流れに共通して言えることは、一生懸命これからやろうとする中小企業の皆さん、その産地における力をもっと大きくしてあげることではないかと思っております。
    そういう意味では、私この席で一昨年申し上げましたけれども、一番大切な方策は、各産地における産業クラスターの形成ではないかと思っております。ところが、今日の案をじっと見せていただきましたらば、資料8の19年度に講じようとするポイントの中には、産地クラスターのお話がない。それでびっくりして、資料10の方を見ましたらば、わずかに書いてございました。それで安心したんですが、実は驚愕したことに、そこに書いてある予算措置、これは18年度に比べると半分以下になっている。こういうことはいかがなものかというのが、今日の率直な感想であります。
    勿論、ほかのところに全部予算がばらまかれていて、産地クラスターに関わるような施策のほかのところで載っているのかもわかりませんけれども、この重要な施策がここで予算措置が非常に減ってしまい消えていくというのは、ちょっと困るなというのが正直な感想であります。
    以上であります。
  • 山口会長 ありがとうございました。
    以上の御意見等につきまして、林調査室長の方からお答えすることがありましたらお願いいたします。
  • 林調査室長 私の方からお答えさせていただきたいと思います。
    まず、開廃業について、大変高い御関心を示していただきまして、大変ありがとうございます。今回、もう一つ申し上げる必要があるのは、実は調査の問題意識なんですが、開廃業はいろんなとらえ方があるということは、私どもも承知しておりまして、例えば法人企業の場合、開業が増えているということは事実であるわけでございますが、今回行った調査の問題意識は、事業所企業統計という、最も包括的な統計でもカバーできていないところをリアルに見てみたいというところが問題意識でございます。
    先ほど、鹿住委員の方から御指摘がございましたけれども、私どもNTTと相談をしたところ、どんな企業でも事業をやっている以上、最低限電話は引いているであろうということで、とりあえず今とらえられる指標としてみては、電話を置いて事業をやっているというところで見ておりますので、個人事業の方も、SOHOの方も、私どもとしては相当カバーできているのではないかと期待しております。
    あと地域企業の金融の関係でございますけれども、これは村本委員の方から、金融機関、特に小規模企業が地域金融機関とうまくいってないところが、業態別にどうかという御指摘いただきました。今回、確かにそこの問題意識は余りなくて、どんな内容で金融機関でうまくいってないかというところについては調査をしていないんですが、多分御指摘のとおり、小規模な地域密着型のところの方が、比較的そこは柔軟な対応をされて、高い満足度が中小企業の方にあるのかなということが、率直な感想としてはいたします。
    あと複数行取引のメリット・デメリットでございますが、これは私の説明もよくなくて、ちょっとデメリットを強調した説明をしてしまったんですが、これは本文の方では御指摘をいただいたような複数行取引、安定的な資金協定という意味でメリットはあるということはずっと書いてございまして、その辺の説明については、ややバランスを欠いたものであるということで失礼をいたしました。
    篠崎委員の方から御指摘がございました、コンテンツの方の取引の適正化の話でございます。実は今回説明資料には入ってございませんが、本文の方ではサービス取引に係る取引条件ということで、実は検討を行っております。
    その検討の中身は、下請法も改正をされて、それ以降は発注証明の交付等を義務づけられてございまして、その辺りがどのように以前と変化したかということでございますが、やはり法改正の効果が出ておりまして、その辺りの明確化ということにつきましては、以前に比べてまだまだというところはあるかと思いますけれども、そういう適正化というところは進んできているのかなというのが、私どもの調査の結果でございます。
    私からは簡単ですけれども、以上でございます。
  • 山口会長 ありがとうございました。
    それでは、ちょっとお答えする内容が若干ございますので、柚原参事官の方からお願いします。
  • 柚原参事官 19年度講じようとする施策に関しまして、いろんな政策面での御指摘をいただきまして、どうもありがとうございました。いただいた点につきましては、そういった御指摘も踏まえまして、19年度、更には20年度の要求ということになることもあるかと思うんですけれども、できる限り反映させていきたいと思っております。
    1、2点だけ申し上げますと、特に最初、篠崎委員の方からITの点につきまして御示唆をいただきました。まさにIT化を進めていくために、どうしていったらいいのかということで検討を進めているところでございます。いろいろ調査の結果なども参考にさせていただきながら進めてまいりたいと思っております。
    まさにIT化を生産性の向上にうまくつなげていくためには、経営の人材とうまくマッチングさせることが必要だと。そういった人たちをうまく組み合わせることが重要だということも重要な視点だと思っております。こういったソフトの面も含めて検討していきたいと思っております。
    竹岡委員の方から、モノ作りに関しまして御指摘をいただきました。まさに御指摘のとおり、この基盤技術というのは、日本の産業の競争力を支えているという観点から、この法律の運用をしているわけでございますが、特許、知財の面につきましても、知財の駆け込み寺ですとか、その他幾つかの施策を用意しております。そういったものを更に活用していきたいと思っております。
    産学連携につきましても、いろんな取組みをやっております。これを更に実効性あるような形になっていくように、実例等を見ながら進めていきたいと思っております。
    鹿住委員の方から、小規模企業施策についても御意見をいただきました。新しい形の企業等につきましても、実態を踏まえて小規模企業施策を考えていくべきではないか。この点につきましても、検討していただきたいと思います。
    中村委員の方から、2007年問題につきまして、人の応援の施策が必要ではないかという御指摘をいただきました。例えば、企業のOBの人たちを中小企業のアドバイザーになっていただくような、マッチング制度というのも各会社で運営していただいておりますけれども、まさにこういった人材というのが、いかに中小企業分野に貢献していただけるかという観点から、また更に検討していただきたいと思っております。
    伊藤委員の方からは、相続税対策ということで、まさに事業承継の話の御指摘をいただきまして、税制等につきましては、昨年末の税制の改正で助成などもかなりあるわけでございますけれども、更に検討を続けているところでございますので、検討をしてまいりたいと思っております。
    女性の活用の観点も御指摘をいただきました。融資制度とかいろいろ設けているところではございますけれども、更に検討してまいりたいと思います。
    ありがとうございました。
  • 山口会長 ありがとうございました。まだまだいろいろお聞きしたいことがおありだと思いますが、時間の都合もございますので、ここで一応打ち切らせていただきます。
    それでは「平成18年度中小企業の動向に関する年次報告(案)」及び「平成19年度において講じようとする中小企業施策(案)」につきましては、表現等を含めまして、私に御一任いただくこととして御了承いただきたいと存じますが、御異議ございませんでしょうか。
    (「異議なし」と声あり)
  • 山口会長 ありがとうございました。
    それでは、次に進ませていただきます。
    本審議会の下には、各分科会及びそれに属する部会がございます。ここで、平成18年度の1年間に開催されました各部会等の活動状況について、事務局の方から御報告いただきたいと存じます。
    まず、経営安定部会について、担当の飛田経営安定対策室長よりお願いしたいと思います。
  • 飛田経営安定対策室長 経営安定対策室長の飛田でございます。よろしくお願いいたします。
    資料は11でございます。「経営安定部会における審議について」でございます。本年は、3月12日に開催いたしました。今回、新しく金城学院大学の足立文彦先生に部会長に就任いただきまして、審議をしたところでございます。
    議題は、ごらんの4件でございます。
    議事の内容でございます。まず、小規模企業共済、これは20人以下の従業員の個人事業主、または会社の役員が対象になる共済でございまして、個人事業あるいは会社を退職した場合の退職金というものでございます。
    構成としては、基本共済金と付加共済金の2階建てになっておりまして、毎年この付加共済金につきまして、経済産業大臣から中小企業政策審議会会長あてに、その年の支給率いかんという諮問が出されたところでございます。
    これにつきまして審議をいただきまして、この共済制度の財務状況等を勘案しました結果、19年度に係ります支給率につきましては、0とするという答申をいただいたところでございます。それが審議事項でございます。
    2点目でございますけれども、この小規模共済事業と、もう一点中小企業倒産防止共済事業という2つの共済事業がございます。この2つの共済事業につきまして、加入・脱退・在籍の状況等につきまして報告いたしました。
    小規模共済事業につきましては、現在加入者側が126 万人ございます。共済金としましては、約8兆円の規模になってございます。
    一方、中小企業倒産防止共済事業でございますけれども、加入者が約30万社、共済金掛金としましては約6,000 億という状況になってございます。これにつきまして、御報告を申し上げたところでございます。
    この小規模共済事業につきましては、平成20年度に5年ごとの見直しの時期がまいることになってございますから、これに向けた勉強会を立ち上げたという御報告をしてございます。
    そのほか、平成18年度中に中小企業基盤整備機構が取り組んできました共済金に関しての取組み状況等を報告したところでございます。
    以上でございます。
  • 山口会長 ありがとうございました。
    次に、経営支援部会につきまして、担当の滝本経営支援課長より御説明をお願いいたします。
  • 滝本経営支援課長 経営支援課長の滝本でございます。引き続きまして「経営支援部会における審議について」の御報告を申し上げます。
    3点ございまして、地域支援関係、モノ作り関係、労働力確保関係でございます。
    地域支援関係につきましては、9月と12月の2回の経営支援におきまして、地域資源を活用した地域中小企業の支援の在り方について、答申案をまとめたところでございます。パブリック・コメントを経て、2月に答申としてまとめられてございます。
    なお、これにつきましては、法案が2月6日に閣議決定されまして、現在国会で審議中でございます。
    この答申案の原案をまとめるに際しまして、地域中小企業政策小委員会というものを3回開催いたしまして、産業集積活性化法の評価や地域中小企業の取組事例の発表等々について、詳しく詳細に議論をしたところでございます。
    その結果、中小企業において、地域資源を生かした創意あふれる事業展開を促進して、その動きを新たな地域産業の形成につなげるという支援の方向性について、報告書をとりまとめたところでございます。
    次に、中小企業労働力確保法の関係でございます。法の改正に基づきまして、若年者の実践的な職業能力の開発及び向上を図るという観点からの改善計画についての基本指針を改正したところでございます。9月の部会で審議をいたしまして、9月1日にこの指針については施行がされてございます。
    3番目にものづくり関係でございますけれども、18年ものづくり基盤技術高度化法が施行されましたけれども、この法の施行を受けまして、ものづくり基盤技術の指定及びその高度化指針についてとりまとめを行ったところでございます。
    詳細な検討につきましては、技術小委員会において検討いたしまして、鋳造・鍛造・めっき等の17技術分野プラス、後日になりましたけれども、粉末冶金、溶接に係る技術を追加して指定をいたしまして、この技術指針につきましては、基盤技術ごとに指針検討委員会というものを策定いたしまして、とりまとめを行いました。
    本日の午前中なんですけれども「『全国の元気なモノ作り中小企業300 社』事例集検討小委員会」を開催いたしました。これにつきましては、選定に関する事項でございますので、非公開になってございます。
    以上でございます。
  • 山口会長 ありがとうございました。
    次に、取引部会につきまして、担当の井辺取引課長さんからお願いしたいと思います。
  • 井辺取引課長 それでは、資料13をお願いいたします。「取引部会における審議について」の御報告をさせていただきます。
    取引部会におきましては、宮下部会長の下、官公需施策について御審議賜りました。審議の内容でございますけれども、平成17年度の中小企業者の受注機会の増大のための措置、この状況につきまして、詳細に報告させていただいたところでございます。
    2つ目は、18年度の中小企業者に関する国との契約の方針の案を御審議賜りました。この結果を受けまして、平成18年8月8日に国との契約の方針の閣議決定がなされたところでございます。
    そのポイントの2つを御説明させていただきます。真ん中辺りの?のところでございますけれども、技術力のある中小企業の方々の受注機会の増大を更に推進するため、入札参加資格制度の特例措置の対象分野をすべての物品の製造、役務、こういったものの提供等に拡大したということでございます。
    もう一つは、官公需適格組合等の活用を一層図るために、地方公共団体に対しまして、その周知に努めるということとしたところでございます。
    こうした結果、契約の目標でございますけれども、47.9%を中小企業向けの目標とするということを審議賜った次第でございます。
    以上でございます。
  • 山口会長 ありがとうございました。
    最後になりますが、商業部会につきまして、担当の後藤商業課長よりよろしくお願いいたします。
  • 後藤商業課長 商業課長の後藤でございます。商業部会につきましては、石原部会長の下、産業構造審議会流通部会との合同部会という形で、18年12月と19年1月に2回にわたり審議した次第でございます。議題の中身につきましては、一昨年来、まちづくり3法、都市計画法、中心市街地活性化法、大規模小売店舗立地法の3法の改正が行われてきたわけでありますけれども、その議論の一環として、継続審議になっておりました、大規模小売店舗立地法の指針の再改定案と大型店の社会的貢献等についてという2つの議題で行われました。2回の議論を経まして、大規模小売店舗立地法の指針、再改定案がまとまりまして、2月1日告示、施行は来る7月31日というスケジュールでまとまってございます。 中身につきましては、2枚めくっていただいた参考資料ということで概要を御説明させていただきたいと思います。
    まず、序文の中に、大規模小売店舗の社会的貢献ということで下線を引いてございます。業界団体におけるまちづくりへの貢献に関する自主ガイドラインの策定について触れるとともに、業界団体の中の個々の事業者においても自主的な取組みが期待される旨、具体的に申し上げると、大規模小売店舗が町中から退店する際に、周囲の関係者にできるだけ早く情報提供する。また、イベント等のまちづくりなどへの積極的な貢献を行うといったようなガイドラインの中身になってございます。
    2つ目「施設の配置及び運営方法に関する事項」ということでございまして、大規模小売店舗が整備すべき駐車場の必要量につきまして、特に郊外店、シネマコンプレックスと併設されるケース等々、大規模小売店で併設施設とともに立地される場合における必要駐車量についての算定式が新たに明示されたわけでございます。
    一言で申し上げると、併設施設の面積量も加味した形で、大規模小売店舗の駐車量を法施行者、具体的には都道府県知事及び政令指定都市になるわけですけれども、これらが算定していく内容でございます。
    一番下にございます「騒音」「廃棄物」「防犯」等、これらにつきましては、駐車量とともに、本来併設施設分を算定し直すということではあるんですけれども、現時点においては必ずしも技術的な知見の蓄積が十分でないということで、現時点では留意するという表記でございますけれども、今後引き続き検討となってございます。
    以上でございます。
  • 山口会長 ありがとうございました。
    それでは、各部会の説明をしていただきましたが、今日は足立経営安定部会長、取引部会長の宮下委員、商業部会長の石原委員が出ておられますが、何か一言ございましたら御発言いただきたいと思います。特にございませんか。
    それでは、先ほど説明が抜けましたけれども、平井委員からの御意見がございました、クラスターの問題について、近藤事業環境部長からお願いいたします。
  • 近藤事業環境部長 事業環境部長の近藤でございます。先ほど御質問にお答えをしておったんですけれども、産業クラスターの関係の答弁だけできてなかったものですからお答えを申し上げたいと思います。
    産業クラスター計画、私ども地域振興のために非常に重要な政策だと思って力を入れているところでございます。ただ、中小企業政策といいましても、中小企業予算も一定の限度がございますので、ある程度の重点化はございます。ただ、それにしても、実は恥かしいことでありますが、この数字を見て余りに違っておって、これはどうも整理の数字が違うんだと思うんです。もともと430 億の大きな予算を計上した記憶はありませんので、ちょっと数字の整理をした上で、正しい数字で公表するようにいたしますし、改めまして制御したところで、平井委員には別途御報告をしますし、資料の方は直した形で世の中に出るようにしたいと思います。
    ありがとうございました。
  • 山口会長 ありがとうございました。
    それでは、いろいろ御意見が出ましたが、皆様からいただきました御意見を踏まえて、各部会におかれましては、平成19年の中小企業政策の企画立案のために、活発に御審議いただくことをお願いいたしたいと思います。
    それでは、最後になりますが、中小企業庁長官の石毛さんにごあいさつをお願いいたします。よろしくお願いいたします。
  • 石毛中小企業庁長官 第8回「中小企業政策審議会・基本政策部会合同会議」にお忙しいところを御参集いただきまして、大変ありがとうございます。かつ非常に活発な御議論をいただきましたこと、本当にありがとうございます。
    冒頭、渡辺副大臣から、中小企業政策についての取組みの状況を申し上げたわけですけれども、19年度予算につきましては、中小企業政策に関して減少傾向にあったわけですけれども、私どもは歯止めをかけたいということでございましたけれども、全体の政策予算が増加したのは、結果的に科学技術予算以外の中小企業予算の2項目でございまして、そういう意味ではそういう傾向に歯止めをかけてきたわけでございます。20年度もその傾向を続けなければいけないと思っております。
    それから、税制についてですけれども、御案内のとおり留保金課税というものが長年の懸案だったわけですが、これは改正をいたしまして、中小企業については撤廃することになりました。私ども、昨日から法律の審議に入っておりまして、今、3つの応援ということで、とりまとめたうちの法律に関わる部分について、しっかり審議を終えて、中小企業者に使いやすい政策を現場に提供しなくてはいけないということで、この4月、5月、それの取りこぼしが行われないように、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
    併せて、企業と同じように、これからの新しい政策を仕込まなければいけない時期でございます。そういう中で、今日いただいた御意見の中には、まさに私どもが今、考えているような人材に関する、とりわけ企業間の人材のマッチングに関するもの。それから、事業承継に関するもの、ITに関するもの、いろいろ御指摘をいただきました。
    そういうものの政策のベースになるものは、今年の中小企業白書の中にしっかり書き込んでいると思っております。いい分析なしにいい政策はできないと思っておりますので、白書はしっかりベースを提供できているんではないかと思っております。
    いずれにしましても、これから夏に向けて来年度の政策をつくってまいりますので、その間に関しましても、皆様方からどうぞ忌憚のない御意見をお寄せいただいて、引き続き御指導をよろしくお願いしたいと思います。
    本日は、どうもありがとうございました。
  • 山口会長 長官、ありがとうございました。
    それでは、以上をもちまして第8回「中小企業政策審議会・基本政策部会合同会議」を閉会といたします。御協力、ありがとうございました。

以上