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中小企業政策審議会(第7回)・基本政策部会合同会議 議事録

日時:平成18年3月29日 (水曜) 10時~12時
場所:経済産業省第1共用~第3共用会議室
議題:
 平成17年度中小企業の動向に関する年次報告
 平成18年度において講じようとする中小企業施策
 その他

議事録:

  • 山口会長:おはようございます。ただいまから中小企業政策審議会・基本政策部会合同会議を開会いたします。
    本日は、ご多忙のところ、委員の皆様方には多数ご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
    まず、新しく就任された委員の方々がいらっしゃいますので、ご紹介をさせていただきます。
    初めに、新たな委員として秋山咲恵委員、小野五郎委員、竹岡八重子委員、西藤久三委員。このほかに、本日はご欠席されておりますが、小森善治委員にご参加いただくことになっております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
    それでは、本日の会議を始めるに当たりまして、望月中小企業庁長官にごあいさつをお願いいたします。
  • 望月中小企業庁長官:おはようございます。ご紹介いただきました望月でございます。本日はお忙しいところをご参集いただきましてまことにありがとうございます。中小企業が今置かれている現状というのは、全体景気は回復しているといわれている中で、地域とか業種によりまして跛行性があって、景気回復を大変享受している一部の製造業の方々がおられる一方で、景気回復というのは一体どこの国の話だろうといっておられるような非製造業の方々がおられるというようなまだら模様になっているわけで、全体が悪かったときに比べて、まだら模様になったことによって一部回復の波に乗り切れない方々の痛みがより厳しく感じられるというような状況ではないか、大変難しい状況に来ているのではないかと思っております。
    私ども、本日ご審議いただきます中小企業白書の原案を検討するに当たりましても、こういった中小企業の状況を景気の循環の中における出来事、あるいは構造的な出来事と頭の中を整理いたしまして、正しく事態を認識していきたいと思っているところでございます。
    最近の情勢は、単に経済の環境だけではなくて人口減少社会になってきました。あるいは日本をめぐる国際環境も東アジアの統合の中で大分変わってまいりまして、一斉に製造業が海外に出ていった状況から国内回帰といわれるような状況にもなりつつあるわけでございます。そういった中で構造的な要因と循環的な要因をみきわめながら中小企業の今後の姿、あるいは対応策を考えていくということはなかなか難しい問題でありますけれども、なるがゆえに冷静に分析をしていきたいと思うわけでございます。
    時あたかも経済産業省全体といたしましては、新経済成長戦略、改革の先に一体どんな姿があるんだということを、大臣以下、督励されて描いていこうということで検討している最中でございます。中間報告がほぼ出るところでございますけれども、今後さらにそれを深めて夏の前までには新しい成長戦略をつくり上げていこうという最中でございます。
    本日ご検討いただきます中小企業の姿、あるいは中小企業政策の中でなすべきことにつきましても、ご検討の結果をその新経済成長戦略の中でぜひ生かしていきたいと思っているところでございます。
    本日問題提起をさせていただきます幾つかの点については、大変私どもも悩みながら、あるいは皆様方も多々ご見解のある課題がございますので、ぜひともこの問題提起を真正面から受けとめていただいて、忌憚のないご意見をいっていただきますことが私どもにとっては大変に参考になることでございますし、正しい道筋を示していく上でも重要なことではないかと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
    活発なご審議をご期待申し上げて、ごあいさつにかえさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    本日は、平成17年度中小企業の動向に関する年次報告(案)についてご報告いただくとともに、平成18年度において講じようとする中小企業施策(案)についてご審議いただくこととなっております。なお、平成17年度中小企業の動向に関する年次報告(案)及び平成18年度において講じようとする中小企業施策(案)は、中小企業基本法に基づき、政府が国会に提出することになっております。
    審議に入ります前に、審議会の運営についてご説明をいたします。
    審議会の運営につきましては、平成7年9月の閣議決定に基づき、審議会は原則として公開するという方針がございますので、本審議会におきましても原則公開とし、資料及び議事録を公表させていただきます。ただし、皆様にお配りしている資料のうち中小企業白書に関係するものにつきましては、4月下旬を予定しております閣議決定を経て公表することになります。それまでの間、委員限りの取り扱いとさせていただきますので、ご了承をお願いしたいと存じます。
    それでは、まず平成17年度中小企業の動向に関する年次報告(案)につき、事務局からご説明をお願いいたします。
  • 花木調査室長:中小企業庁調査室長の花木と申します。よろしくお願いいたします。
    それでは、お手元の資料を確認しておりませんでしたけれども、資料番号が右上に付してございます。その中で、今会長からお話のございました年次報告につきましては、資料5番、6番、8番、9番と印刷されたものでございます。ただ、ごらんいただいたとおり非常に大部でございますので、本日は資料4に基づきまして、その中身を私の方から簡単にご紹介させていただきたいと思っております。
    それでは、資料4をごらんいただきたいと思います。めくっていただいて1ページ目でございます。白書につきましては、毎年大まかに2部構成とさせていただいておりまして、前半でこの1年間の景況、その中で中小企業がどうだったかということをみさせていただくということ、それから、その中で中小企業が直面する課題につきましてテーマを決めて分析するテーマ分析編ということで構成をさせていただいております。
    ことしにつきましても、字が小さくて恐縮でございますが、1ページの上の丸囲いのところで白書第1部に相当いたします中小企業の景況ということでご説明をさせていただきます。
    2番目のテーマ分析でございますが、ことしは2つ。1つが、特に製造業を中心に中国、東アジア経済との関係が非常に深まっている、その中で中小企業がどういう影響を受けているのかということ。もう1つは、昨年初めて人口減少になったということで新聞等に出ましたけれども、そういう人口構造の変化が中小企業にどう影響を与えているか、この2つをテーマとして分析をさせていただいております。内容につきましては、後ろの方で図を入れて書いてございますので、そちらで順次説明をさせていただきたいと思います。
    まず、めくっていただいて2ページでございます。こちらが最初の景況のところでございます。左側のところからみていただきたいと思うのですが、きょう時点ではまだ本年度になりますけれども、2005年度の1年度間の中小企業の景気はどうであったかということをみてございます。左上の部分でございますが、これは日銀の短観の業況DIを中小企業、大企業をそれぞれ製造業、非製造業に分けて折れ線グラフで結んだものでございます。
    ごらんいただきますとおり、黄色の部分、いわゆる景気の回復局面というのが2002年の第1四半期から始まりまして、ちょうどこの3月で50カ月ということで非常に長くなっております。その中で2005年度も中小企業は大企業に比べまして業況は下の方に来ているわけですけれども、傾向といたしましては緩やかな回復がみられたということではないかと思っております。
    ただ、今申し上げましたような業種による違い、特に非製造業の回復のおくれがございまして、下の右側をみていただきますと特に小売業とか卸売業といったような分野で景気回復のおくれがある。左側のところでございますが、地域をみていただきますと東北とか中国とか四国といったようなあたりで回復のおくれがある。業種によるばらつき、地域によるばらつきがみていただけるかと思います。
    この1年度間につきましては今申し上げたことでございますが、現在、景気回復局面は非常に長期化しているという中でデフレ脱却というような議論もなされているかと思います。右側は、その中で中小企業が90年代に非常に苦しんだ原因といわれております債務、設備、雇用の3つの過剰というのが今足元で一体どうなっているのかというのを改めて整理させていただいたものでございます。
    結論といたしましては、3ページの上のところに書いてございますけれども、この3つの過剰につきましては緩やかながら克服されつつあるのではないかということをみてございます。
    まず、債務でございます。中小企業につきましては、財務体質は大企業に比べますと脆弱さが目立つわけですけれども、左側、債務償還年数ということで何年分のキャッシュフローに相当する債務を中小企業が抱えているかというのを平均でみますと、90年代半ばの18年分から、足元では11年分まで比較的改善してきている。それから、裏腹でございますが、自己資本比率も足元で26%程度まで高まってきてございます。
    この原因といたしまして、真ん中の左側のところでございますけれども、90年代を通じまして設備投資を比較的押さえぎみに来たということが挙げられるのではないか。
    さらに、設備投資に関しましても、借り入れを比較的手控えるというようなことがあったということで、3ページの真ん中の右側は中小企業向け貸出残高をみてございますけれども、足元で252 兆円まで減ってきている。金融危機前の97年の段階で348 兆円ということで100 兆円弱減っているということでございます。
    この動きが中小企業における自主的な動きだったのかどうかということにつきましては、3ページの下のところでございますけれども、やはり設備過剰感の中でみずからの判断として借り入れを抑えるという動きと、もう一方で近年まで民間金融機関を中心に貸し出し態度が厳しかったということで借り入れが困難であったという両面があるのではないかということを書かせていただいております。以上のようなことで、債務につきましては比較的改善が進んでいるわけでございます。
    4ページの上のところですが、これは中小企業の借り入れ難易度をグラフにあらわしたものでございます。製造業と非製造業に区分して紹介してございますけれども、冒頭申し上げましたように、比較的業況の厳しい非製造業においては借り入れも難易度が高いということで、改善しているとはいいながら、業種による差というのは忘れてはいけないということをここで書かせていただいております。
    次に、設備の過剰ということにつきましてでございます。4ページの真ん中の段以降でございますが、中小企業の設備過剰感が、DIをみますと近年むしろ不足の方が超えてきておりまして、足元でも設備投資については活発に増加しつつある。この左側をみていただきますと、非製造業の方が全体としての設備投資額は多いわけですが、変化率でみますと濃い青い部分の製造業の設備投資が率としては非常に伸びているということでございます。
    この設備投資の内容ですが、なかなか的確にあらわすグラフはないのですけれども、右側で設備ビンテージ――設備年齢をみていただきますと、足元で少し高どまり感がございまして、これをみていただきますと、いわゆる補修のようなものから設備入れかえの方に少し変わってきているのではないかということ、あるいは新規投資がふえているのではないかとみてございます。
    また、下のところでございますが、設備投資の原資につきましても、今後につきましてはメーンバンクからの借り入れを考えているという企業が過半でございまして、そういう意味で、一言で申し上げますと、設備についても比較的従来の我慢の経営から中小企業全体といたしましては攻めの経営に向かいつつあるのではないかということでございます。
    5ページでございますが、雇用でございます。雇用につきましても、90年代を通じまして大企業、中小企業とも比較的過剰感があったわけでございますが、2004年以降、中小企業におきましてはむしろ不足という方に転じてございまして、足元ではマイナス5ということで、大企業よりも中小企業において雇用が不足感があるということでございます。
    こうした3つの債務、設備、雇用の過剰が足元では比較的改善されつつあるということで、5ページの真ん中のところで、収益性の1つの指標といたしまして損益分岐点比率をみますと、足元で85.7ということで、バブル期ほどではございませんけれども、バブル前の85年程度の水準にまでは戻ってきている。また、倒産件数でございますが、こちらも1万2,755 件ということで比較的減ってきているということで、3つの過剰から中小企業においてもようやく克服しつつあるという状況がみられるのではないかということでございます。
    引き続きまして、景況の関連でトピックス的に開廃業の動向を6ページでご紹介させていただいております。6ページの左上のところでございますが、開業率、廃業率、こちらは昨年10月に新しい総務省の統計が出まして、そちらをもとに再編加工して数字を出させていただいております。
    みていただきますと、青い線の開業率でございますが、足元で3.5 %ということで少し伸びているということでございます。一方、より目を引きますのが廃業率。点線の部分でございますが、6.1 %とかなり高くなってございまして、不況が非常に深刻でございました90年代後半よりもむしろ廃業率が高まっているということが目を引くかと思います。
    数字で実際の企業ベースでみましても、真ん中の段の左側のところで青いグラフ、毎年廃業する企業数を出したものでございますが、足元で毎年29万社、一方、開業企業が17万社ということで、差をとりますと年間12万社ずつ中小企業は減ってきているということでございます。
    右側は現在の中小企業の数でございます。オレンジ色のグラフの部分、432 万社ということで、ひところいわれておりました470 万社からさらに足元は減ってきているということかと思います。
    こういうことで企業の数は減っているわけですが、理由につきまして6ページの下の部分をみていただきますと、廃業者の中で比較的高齢の方が非常にふえている。また、これを分解してみますと自営業の方が非常に大きな割合を占めてございまして、高齢の自営業種の方が引退される。それに伴い、事業承継でなく廃業を選ばれるという形がふえているということかと思います。
    また、一方で開業につきましては7ページ右側でご紹介してございます。開業率、廃業率、それぞれ色が濃くなっている部分が高い地域でございまして、開業率の高い地域は廃業率も高いという全体としての傾向があるということでございます。
    また、開業に目を転じまして7ページの真ん中の段でございますが、どういう年代の方が開業されているかということにつきましてみてまいりますと、高齢者の方、60歳以上の方が現在19.9%、また30代の方が27.6%ということで、この2つの年齢層で開業がふえているということがみていただけるかと思います。
    もう1つ、女性の創業も30代中心にふえてございまして、ことしはこちらを少し分析をさせていただいております。女性の創業分野でございますが、みていただいたとおり、サービス業、いわゆる身の回りのサービスに関する分野というのが多くなってきてございまして、年代も下にみていただきますとおり若い方、30代の方が多くなっているということでございます。
    引き続きまして、もう1つの景況に関するトピックでございます。めくっていただきまして8ページですが、金融につきまして紹介させていただいています。
    まず、上のところでございます。冒頭申し上げましたように中小企業の財務体質がよくなっているということでございますが、依然、規模でみますと規模が小さくなればなるほど借入金に依存している割合は高いということで、中小企業、特に小規模企業にとりまして金融というのが非常に大事であるということかと思います。最近クイックローン等が非常にふえておりますが、そういう動向も本文の方では若干分析してございますが、一方で中小企業が金融機関に対して何を求めるかということを聞いた結果を真ん中に掲載させていただいております。みていただきましたとおり、安定した資金供給を望む中小企業が非常に多いわけでございまして、それに加えまして将来性とか事業への理解度といったような企業の中身についても理解をしてほしいということを非常に強く求められているという傾向が見て取れるかと思います。
    金融機関の側も、左側の下でございますが、従来のような不動産担保等に加えまして最近特に力を入れていることといたしまして、丸印をつけましたように企業の中身、例えば企業の経営者の経営意欲とか企業のもっている技術力といったようなことについても金融機関の側が最近重視しているということを紹介させていただいております。これは結局、リレーションシップ・バンキングというような長期継続的で、しかも企業の中身をよくみて、中小企業の取引先の拡大とか、そういう企業の支援にも力を入れている最近の地域金融機関等の取り組みというのがこういうデータに反映されているのではないかとみてございます。
    以上が景況のところでございます。
    引き続きまして、テーマ分析についてご紹介をさせていただきたいと思います。ことしのテーマ分析といたしましては、1つに製造業を中心に東アジア経済の統合が進む中で中小企業がどう影響を受けているかということを分析してございます。
    9ページの上でございますが、まず海外に出ている中小企業について分析をしてございます。ごらんいただきましたとおり、海外に現地法人をもつ中小企業、これは悉皆調査ではございませんので傾向をみていただければと思うのですけれども、2001年の中国のWTO加盟を契機に、現在、中国を中心に非常にふえているということでございます。
    また、下のところですが、海外に現地法人をもっている中小企業というのはどういう中小企業かということを分析してございます。左側の1980年以前をみていただきますと、国内で経常利益が非常にふえつつあった、もうかっていた企業が海外に現地法人をつくっていた。それがだんだん比率が低下しておりまして、今日、2001年以降でみますと、むしろもうかっていない、国内では経常利益が減少基調、言葉はあれですけれども、じり貧になる中で生き残りをかけて海外に出ていく企業がふえているという分析をさせていただいております。
    めくっていただきまして10ページ、11ページで、そうやって出ていった中小企業が現地でどうなっているのかということをヒアリング、またアンケートをもとに分析をさせていただいております。
    出ていってよかったという面を中心でございますけれども、左上のチャートをみていただきますと、例えば売り上げの増加につながった。海外に出ていったことによって、国内では二次下請だったけれども、海外で大手メーカーに直接取引の帳合?をもてるようになった。あるいは海外、例えば中国に来ているヨーロッパあるいはアメリカの製造業との取引につながった。それによって売り上げがふえたといったような声。
    あるいは真ん中の2のところでございますけれども、そういう海外の事業と国内の事業、海外で製品をつくることによってあいた人材、機械、設備等を国内での研究開発、高付加価値品製造に振り向けることによって企業全体の収益性が上がった。
    3番目でございますが、海外の経営を通じて、例えば後継者と目される方を現地の幹部に送り込むことによって人材の育成につながった、従業員のモチベーションアップにつながったといったような分析がございます。
    一方、右側、11ページでございますけれども、上のところをみていただきますと問題も抱えているわけでございまして、それが地域別にどういう問題を抱える傾向が多いかということを分析してございます。人材・労働力に関する問題が多いわけでございますが、そのほかにもインフラ・事業環境の面では部品・材料の調達が難しい。あるいは制度・商慣行につきましては、技術やノウハウの流出とか模倣品の問題、あるいは中国につきましては法制度・代金回収といった問題を挙げる企業が多いというような傾向が出てございます。
    11ページの下のところはそれぞれの事例ということで、左側が部品・材料、どういうものが入手しにくいのかということで、例えば自動車産業においては金型が非常に入手しにくいといったようなことをみていただけるかと思います。
    また、右側のところは知的財産の問題。これを大企業と中小企業に分けてみますと、中小企業の方が被害に遭っている率も高いし、さらに被害に遭ったときに放置せざるを得ないという赤い部分が多くなっているということがみていただけるかと思います。
    以上、海外に出ていった中小企業につきましてご紹介させていただきまして、情報提供とかアドバイスといった環境整備の必要性についてみてきたわけでございますが、めくっていただきまして12ページ以降は、国内で引き続き事業を行っている中小企業も含めて我が国のものづくり基盤産業を支える中小企業が、現在、東アジアとの競合の中でどういう影響を受けているかということを分析してございます。
    12ページの上でございますが、まずこれは大企業も含めまして我が国において製造業はどの程度投資がふえているかということでございます。ピンク色の部分をみていただきますと、例えばこれは電気・情報通信分野でございますが、太い線、国内における投資、工場等の投資が非常にふえているということがはっきりわかるかと思います。
    自動車産業、真ん中の黒い部分につきましては、国内もふえているのですが、海外向け投資の方が伸びが急でございます。ただ、国内もふえているということでございます。右側は一般精密機械ということ、これは同じような割合でふえているということをご紹介してございます。
    こういう国内の投資がふえるに当たりましては、よくいわれるのが国内ならではのものづくりを支える基盤産業が国内にあるからだというような指摘がございます。この節では、そういうことで国内の基盤産業が今どうなっているのかということを幾つか分析してございます。
    12ページの左下の部分です。これもよくいわれることでございますが、取引構造が従来の下請の系列からメッシュ化してきているということで、このグラフ、例えば白物家電という一番左側をみていただきますと、これは白物家電産業に属するものづくり産業が、その会社からみた売り上げの上位3社が自分の会社の売り上げの8割を超えている、要は特定の親企業に集中的に取引しているという企業の割合が、過去10年前と比べて大幅に減っているということを示しているわけでございます。これは白物家電だけではございませんで、ほかの産業を通じまして全体的に起きている。そういう中で親企業、下請企業といった取引のつながりが比較的薄まっているのではないか。その中で結果として例えばどういう製品を開発していったらいいかという技術開発の方向性が比較的みえにくくなっているのではないかということを分析させていただいております。
    13ページ右側でございますが、技術面を含めまして、それではそういうものづくり基盤産業はどうなっているかということでございます。上をみていただきますと、若干わかりにくいのですけれども、「現在」という部分が真ん中にございまして、薄い青い部分、現在、東アジア企業に対して技術力で自分の会社がすぐれていると感じていらっしゃる中小企業はまだ83.3%ございます。これは5年前89.6%でしたので、減ってはおりますけれども、急激には減っていない。ただ、今後5年後をみますと、現在のままでいきますと63%にこれが急速に減ってくるということで、今後5年間で技術面で競合がかなり激しくなるとみている中小企業が多いということが見て取れるかと思います。
    濃い青い部分は価格を中心にみてございまして、価格面では5年前から現在の間に相当競争が厳しくなっているということを見て取れるかと思います。したがいまして、これまで価格面を中心に――主として汎用品だと思われますが、そういう分野での競争が進んできたのが、今後は技術面でもかなり競争が激しくなっていくとみている中小企業が多いということでございます。
    それぞれ本文の方では具体的に事業分野ごとにどの程度競争力が東アジアと比べて差があるのか、あるいはキャッチアップされているのかということを分析しておりますが、それを総括図にしたのが13ページの下のところでございます。これはX軸を右に行けば行くほど技術面で東アジアに対して優位性が高い、またY軸を上に行けば行くほど市場競合の度合いも割と感じていないということで、一番右上にあるような自動車生産設備に関する熱処理技術とか圧延・伸線・製缶技術、あるいは絞り・メッキ・研磨、こういう部分の基盤産業が日本経済の中で比較的競争力が高いということがわかるかと思います。一方で家電産業等に属します組み立て、実装に関する技術、あるいは検査・測定、圧縮・押出・射出成形といった分野につきましては比較的競争が進んでいる、厳しい環境になっているということが見て取れるかと思います。
    こういう基盤技術の種類ごとの競争力の状況、また赤い線で囲ってございますが、これをそれぞれの中小企業が自動車産業の関係なのか、家電産業等の関係なのかによってみてございます。
    1つご紹介いたしますと、例えば金型製作でございますと、自動車産業に関する金型製作というのは比較的上の方に来ているわけでございますが、家電関係の金型製作というのはかなり市場競合を感じておられるということで、この違いといたしまして、例えば金型で申し上げますと、自動車で用いるような比較的精度の高い金属金型等々、家電で用いるようなプラスチック金型の違い、そういうことがあるのではないかとみてございます。
    次、めくっていただきまして14ページでございますが、こうした差というのは結局何に依存しているのかということを分析してございます。一言で申し上げますと、この図をみていただきますように技術力の差によって相当影響を受けてございまして、技術面で優位性をもっているという企業につきましては、自動車産業に属する企業、家電産業に属する企業、いずれにおきましても比較的競合を感じていないということで、中小企業におきまして技術開発、非常にコスト負担が大きいわけでございますが、そうした中でも技術力に優位性をもっていくということが競争力を確保していく上でますます重要になってきているということかと思います。
    一方で、冒頭申し上げましたように、技術開発につきましては、下請取引のメッシュ化に伴いまして技術開発の方向性がみえにくくなっているというような声もございまして、そうした中で中小企業は限りある資源をいかに有効に活用して効果的な技術開発をやっていくかということが重要な課題であるというような分析をさせていただいております。
    下のところでございますが、技術開発の中身といたしまして、例えば研究開発とか人材育成、機械を入れるとか、いろいろな要素があるかと思います。我々の今回のアンケートの分析では、そういう中でも特に研究開発に力を入れているという中小企業の技術力が比較的高い、優位性が保たれているという結果が出まして、中小企業がこれから東アジア経済統合が進む中で優位性を保っていく中で研究開発が非常に重要だという分析をさせていただいたところでございます。
    ちょっと長くなりましたが、15ページでございます。以上のような東アジアとの競合が進む中で産地にどういう影響が及んでいるのかということをアンケートをもとに分析をさせていただいております。
    上のところでございますが、従来の産地におけるメリットにつきましては、比較的受注をとりやすいというあたりに集まっていたわけでございますが、現在はそうしたメリットは随分下がっている。そういう中で分業によって少量、多品種、短納期の発注に対応する、あるいは質の高い情報が得られるというところにメリットを感じていらっしゃる中小企業がふえているということでございます。
    また、下のところは、集積にはいろいろなタイプがあるといわれますけれども、そういう中で、いずれにおきましても1つの企業との取引、大口取引というのはだんだん比率が減っているという実態面での変化をみてございます。
    めくっていただきまして、集積の中で比較的業績を上げている中小企業というのはどういう特徴があるのかということを今回分析してございます。上のところでございますけれども、1つは情報の入手のしやすさということで、集積の中で特に市場の方向性、あるいは技術開発のヒントとなるようなマーケット関係の情報を重視している企業というのは比較的業績を上げているということを分析してございます。
    そういう中で集積のメリットの一つとして、そういう情報が入手しやすいということがこれからますます重要になってくるのではないか。また、多品種、少量、分業生産という部分で企業連携が進んでいるわけでございまして、企業連携、特に異業種との連携によって取り組んでいる企業というのは集積の中でも収益が好調でございます。連携の相手先が集積の中にあるかどうかということとは関係なく収益が好調でございまして、そういう中で集積のメリットとして連携の相手方をみつけやすいということが挙げられるのではないかという分析をさせていただいております。
    以上が東アジア経済統合が中小企業に与える影響、課題といったことに関する分析でございます。
    引き続きまして、もう1つのテーマといたしまして、人口減少社会の中で中小企業がどう影響を受けているかというのを右側の17ページ、ページ打ちがしてございませんが、こちらの方で紹介させていただいております。
    経営者の平均年齢でございますが、徐々に上がってきておりまして、2002年時点で58.5歳になっているということでございます。一方で55歳以上の経営者の方の引退希望年齢は65歳という結果が今回アンケートで出ておりまして、今後、引退までの期間というのが余り差がないということかと思います。
    真ん中のグラフでございます。55歳以上の中小企業経営者の方にお聞きしたところ、当然のことながら事業を自分の後も引き継がせたいという方が非常に多いわけでございますが、その過半数において55歳時点でまだ後継者が決まっていないということでございます。こうした方に後継者が決まらなかったときの対応をお聞きしたところ、廃業を検討されるという方も4.8 %いらっしゃいまして、その大半が債務超過ではない。したがって、恐らく企業体として健全なものであろうということを考えますと、3.8 %の会社がストックベースでやはり後継者問題が原因して廃業を今後検討せざるを得なくなるということが見込まれるわけでございます。
    下のところは、自分の代で既に廃業を決意された方の中でも債務超過でない企業が多くなっておりまして、その中で適当な後継者が見当たらないということを理由に挙げられる方が0.6 %いらっしゃるということで、両方合わせますと4.4 %がストックベースで後継者問題による廃業、事業は好調なんだけれども廃業という結果が出てございます。これは冒頭申し上げました廃業率6.1 %ということと照らし合わせても相当な数字でございまして、フローベースでみますと、冒頭申し上げましたように年間29万社廃業があるわけでございますが、そのうち後継者不足を理由に廃業を検討という声が約25%ございまして、単純に掛け合わせましても年間7万社程度が後継者不足による廃業ということにつながっているのではないかということで、大きさをみてございます。
    次、18、19ページですけれども、そういう中で事業承継というのが非常に重要な課題になっているということでございます。左上のグラフでございますが、55歳以上の経営者の方にお聞きしたところ、事業承継について相談されていない理由として「深く検討していない」ということを挙げていらっしゃる方が3分の1いらっしゃいまして、そういう中で事業承継について比較的検討あるいは準備が進んでいないということが見て取れるわけでございます。
    真ん中のところでございます。後継者が決まっている方につきましてみましても、実際の準備の内容といたしましては、企業経営に関する事項あるいは後継者の教育等進んでいるわけでございますが、相続対策のように1年ではなかなかできないようなことについては比較的準備がおくれているという傾向がございます。
    また、後継者のいらっしゃらない場合につきましては、M&Aというのも中小企業で徐々に進んでおりまして、左側のグラフにございますように事業売却が自社で可能だと思えないという中小企業が多いわけでございますけれども、実際には19ページの上のように後継者のいない11人程度の小規模企業においてもうまくM&Aを活用して事業承継に成功された事例がございまして、こういった事例が今後ふえてくるのではないかということをみてございます。
    19ページの下でございます。中小企業にとりましてM&Aというのはなかなかハードルが高いという一般的なイメージがあるかと思いますが、中小企業のM&A市場の特徴といたしまして従業員の雇用を非常に大事に考えるという特色がございまして、こういう部分で事業承継をうまくやるために中小企業のM&A市場をさらに整備していくことが重要ではないかということを分析してございます。
    引き続きまして20ページでございますが、高齢化の関係で従業員の方の技能承継の問題を分析してございます。上をみていただきますように、製造業を中心に高齢者の従業員の方が多くなっておりまして、高齢者の引退に伴いまして、今後中小企業はどう取り組んでいくのかというのを真ん中の欄で聞いております。再雇用、定年延長、あるいは承継を意識した若者とペアにした人材配置、ITマニュアル化等の取り組みが進んでおりますが、下にみていただきますように時間的余裕、人材等、ひいては若者がなかなか会社に来ないというような問題もあって進んでいないというようなお答えが出てございます。
    以上が高齢化に関する部分でございますが、今度は目を転じまして若者の関係を21ページに紹介してございます。緑色のところ、新卒の若年者をみていただきますと、正社員になれる方というのが比較的少ないということでございます。一方でフリーターあるいは無職というような方がふえてございまして、ここでご紹介しておりますのは、正社員かどうかということによりまして配偶者があるか、あるいはお子さんがいらっしゃるかということにかなり違いが出てございますので、現在の新卒の方のような割合で正社員の方が減ってまいりますと、将来的にこうした方が30代後半になったときに配偶者がいらっしゃらない、あるいは配偶者があっても子供がいらっしゃらないという方が合わせて半分以上になってくるだろうということで、少子化が今後さらに進むのではないかと分析をさせていただいております。
    オレンジのところは、女性に関しまして、出産1年前に就労していた女性をみますと、出産前に離職される、あるいは育児休業取得後離職されるという方が多くなっておりまして、就業を継続される方は3分の1に満たないというようなことを分析してございます。
    そういう中で若者の就職、正社員化、あるいは女性の働く場の確保は非常に重要になってきているわけでございますが、それにつきましては22ページ以下で分析をしてございます。
    22ページでございますが、まず若者につきましては、中小企業は非常に採用が厳しくなっている中でフリーターの方も正社員になれない。両面の問題があるわけでございまして、フリーターの方を正社員に採用した中小企業に聞いたところ、こちらの上のグラフでございますけれども、フリーターについて比較的満足されている、あるいは新卒採用よりもフリーターの方がよかったという中小企業もかなりございます。こういったところに新しいフリーター、中小企業それぞれのチャンスがあるのではないかということを分析しております。
    また、左下の部分でございますが、中小企業が正社員に登用する際に、一般的にアルバイトで使いながら正社員に登用するということが多いわけでございますが、その中で中小企業になればなるほど採用の決め手が能力よりも人柄を重視して採用している傾向が強いということでございます。そういう分析をさせていただいております。
    また、23ページでございますが、若者につきまして、フリーターになるに際しまして正社員から離職される、あるいは中小企業の側でも正社員の定着を課題に考えていらっしゃるところが多いということでございまして、定着率に差が出る取り組みというのはどういうものかということを分析させていただいております。
    真ん中のグラフでございますけれども、いわゆる実力主義賃金とか成果主義、あるいは労働条件をよくするといったような取り組みをするかどうかによって若者の定着率はさほど差はございませんで、むしろ若者を成長させるための取り組みを一生懸命やっているかどうか、あるいは風通しのよい職場づくりに努めているかというようなことによって定着率に差が出ているということかと思います。定着率の高い企業ほど企業の業績も上がっている。また、先ほど申し上げましたような人材不足の面もございますので、こうした取り組みを中小企業の中でも進めていくことによりまして業績にもつながっていくのではないだろうかということを分析させていただいております。
    また、もう1つ、女性の関係でございますが、女性につきまして離職率が高いということを今申し上げたわけでございます。24ページ、25ページのところでございますが、上のグラフは企業規模別にみまして女性正社員1人当たり何人のお子様がいらっしゃるかということを分析させていただいております。
    みていただきましたとおり、企業規模が小さいほどお子さんの数が多いという結果がございます。これは中小企業に勤めている方ほどたくさん子供を産むというわけではございませんで、真ん中の欄をみていただきますように乳幼児期を過ぎた子供が多い。要するにお子さんが生まれた場合、大企業の場合は比較的離職される。その離職した女性が再就職をする場として地域の中小企業というのが非常に重要な役割を果たしているということを見て取れるのではないかと思います。
    そういう意味で中小企業が仕事と育児を両立しながら働く女性にとって非常に重要な場になっているわけでございますが、右側の25ページの上のところをみていただきますと、グラフの紺色の部分がいわゆる育児休業とか勤務時間、フレックスタイムといった両立支援策、大企業ほど制度しては整っているということがあるわけでございます。オレンジ色の濃い部分、制度としてはないんだけれども柔軟に対応しているという部分が企業規模が小さくなるほど大きくなっておりまして、両方足し合わせますと、制度の存否にかかわらず両立支援について中小企業の方が柔軟な対応をしているという傾向を見て取っていただけるかと思います。
    25ページの下の左から2番目の棒グラフでございますけれども、制度があるというところに聞いても、従業員の側からは利用をちゅうちょしてしまうような雰囲気があるというような声がございまして、問題は制度があるかどうか、もちろんこれも大事でございますが、実際にそれが利用しやすいかどうかということが非常に重要ではないかということでございます。
    そういった中で中小企業において女性の仕事と育児の両立しやすい特殊性はどういうものかということを幾つか分析をしてございます。
    1つが、上でございますけれども、中小企業になればなるほど人物本位で人をみている。一定期間休業しても昇進、昇格等に影響がない。これは組織階層がフラットだということとも関係しているかと思いますけれども、そういう特色が1つ女性の働きやすさにつながっているのではないか。
    また、左下のところですけれども、職住近接の職場環境にあること。
    また、右上のところでございますが、小規模企業になればなるほど職場に子供を連れてきやすくなっている。こういうことが女性の働きやすさにつながっているということ。
    それから、右下のところでございますけれども、幹部職員に占める女性の割合が高いということが、そこで働く女性にとっても働きやすさにつながっているということを分析させていただいております。
    めくっていただきまして、そういう取り組みをやることによって中小企業の側も優秀な人材がやめないで済む、あるいは優秀な人材を育成できる、採用できるといったようなメリットを感じているということでございまして、少子高齢化で労働力人口が減少する中で、また女性の働きがいを中小企業がうまくお互いにメリットのある形で活用していくというチャンスがあるのではないかということを分析させていただいております。
    最後に、29ページのところでございますが、人口構造変化の関係でまちづくりの観点から分析をさせていただいております。
    29ページの上のグラフでございますが、この青い点一つ一つが市町村をあらわしておりまして、右側が郊外、左側が中心市街地ということになっております。みていただきましたとおり、郊外に比べまして中心市街地においては人口も過去5年の減少率が高くなっておりまして、さらに人口減少以上に売り上げが中心市街地で大きく落ち込んでいる。中心市街地の空洞化が全国的に進んでいる現象であるということをこのグラフで見て取っていただけるかと思います。したがいまして、人口が減る中でまちのにぎわいをつくっていくためには中心市街地の活性化は非常に重要な課題になっているということでございまして、そのにぎわいづくりにつながると思われます公共施設につきまして、例えば役場とか図書館の設置状況を分析してございます。
    一番下のグラフをみていただきますと、過去10年間に中心市街地の外から中に市役所とか図書館とか文化施設を立地された市街地においては非常に活性化、にぎわいが増しつつあるという割合が突出して高くなっておりまして、ハードの面でございますけれども、公共施設を中心市街地に立地していくということが中心市街地の活性化のために1つ重要な要素であろうということを分析しております。
    また、めくっていただきまして30ページの上のところでございますが、大型店につきましても、最近の統計をもとに分析いたしますと、大型店の規模にかかわらず中心市街地に立地することによって周辺の小売店の売り上げはむしろ上がる、さらに小売店の売り上げが上がることによってサービス業の売り上げも上がるというような分析結果が出ておりまして、そういう意味で中心市街地に関しまして大型店と中小小売店というのはある意味共通の利害をもちつつある。対立ではなく中心市街地をもり立てていくパートナーになっているということを分析させていただいております。
    また、そういう箱物、施設的なものに加えまして、中小企業が中心に担っております、あるいはNPO等が担っておりますにぎわい創出に関するコミュニティ・ビジネスにつきまして、各市町村における取り組みの度合いを調査いたしまして、取り組みは進んでいるのですけれども、みていただきましたように、まだ住民ニーズの充足度は十分満たされていない。こういった部分につきまして、さらに今後活性化のための取り組みを進めていく必要があるだろうということを分析させていただいております。
    以上、長くなりましたけれども、説明とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    続きまして、平成18年度において講じようとする中小企業施策(案)について、事務局からご説明をお願いいたします。
  • 川口参事官:それでは、私の方から、資料7に基づきまして平成18年度において講じようとする中小企業施策、時間が5分ということでございますので、少し早口でこのポイントを新規施策を中心にご説明させていただきます。
    まず1ページ目でございますが、まず第1に、モノ作り中小企業への支援を強化したいと思っております。ここにありますのは、最近、製造業の国内投資の回帰がみられますけれども、1つの要因としてここに掲げてありますような中小企業の存在が大きな要因ではないかと思っております。今後、日本の国際競争力を維持するためには、これらものづくり基盤を支える中小企業の強化、発展が重要な政策課題だと認識しております。
    2ページ目でございますけれども、先ほどの分析にもありましたように、これらの中小企業が現在さまざまな課題に直面しているということだと思っております。
    2ページ目の左側の方に、例えばこれまで下請関係の中で川上・川下の情報の流通というのは、閉鎖的であるものの比較的容易にできる状態でありましたが、最近、系列関係が崩れることによって――これをメッシュ化といっていますが、情報の非対称性がみられている。よく情報が行き届かないという状況が生まれている。あるいは2番目の技術の開発のコストが増大しているとか、人材の確保とか育成が困難になっている等の課題があると認識しております。
    3ページ目でございます。衆議院ではもう終わりましたけれども、これから参議院で審議される予定の中小企業のものづくり高度化法というのを私どもは国会に提出させていただいております。
    この主要な中身は、まず技術指針をつくる。これは、現在17の技術分野ごとに技術指針の策定の着手をしておりますが、川上・川下、大企業、中小企業が一緒になって今後の技術方向を議論し、その方向性を出していく、またそれに伴う課題を抽出していくという作業でございます。
    そういった指針に基づきまして中小企業の方で研究開発計画をつくっていただいて、その認定した企業に対して左側の施策を充てていくということでございまして、一番大きな施策としてはやはり研究開発が大事と。先ほどの分析もございましたけれども、研究開発支援のための補助金を18年度やっていきたいと思っておりますし、また金融面では信用保険法の特例等を考えております。特許料の減免等々も考えております。
    そういった認定中小企業だけでなくて、もっと幅広くものづくり基盤の環境整備を行っていきたいということでございまして、右側の箱の一番上にあります川上・川下、大企業と中小企業との間の情報交換の場、出会いの場をいろいろな形で支援してまいりたいと思っております。また、人材、取引の適正化も重要な課題だと認識しておりますので、それぞれ対応してまいりたいと思っております。
    4ページ目でございます。4ページ目では人材の確保・育成支援でございます。これも引き続き重要な政策課題だと認識しておりまして、強化してまいりたいと思っています。新しい施策として18年度は若者に対して中小企業の魅力を発信していくのを強めていくということでございまして、例えば中小企業の職場の体験を支援するとか、職場の説明会もございますし、採用力向上、これはむしろ中小企業の経営者にノウハウを研修する等の事業を考えております。
    また、2番目でございますけれども、全国に今63校の国公立・私立の工業高等専門学校がございますが、こういった場を利用して中小企業の従業員の教育に連携させて教育に当たらせる。そういった事業を進めてまいりたいと思っています。
    また、一番最後の企業OBとマッチング、これはさらに強化してまいりたいと思っております。
    5ページ目、地域の中小企業の活性化、これは引き続きますます重要な政策課題になってきていると認識しております。新たな事業として商工会、商工会議所等による特産品の開発、その販路開拓をもっと幅広く支援してまいりたいと思います。例えば百貨店のバイヤー等を派遣するとか、そのバイヤー等を招いた展示会をやるといった事業の支援を行ってまいりたいと思っております。
    6ページ目、その中で特に地域においてさまざまなブランドを形成するという事業をこれまで2年間にわたって60件私どもは支援してまいったところでございますけれども、今まで1年の事業でございましたので、これを多年度展開、FSから始まって3年間シームレスで支援していくという制度の拡充を行ってまいりたいと思っております。
    7ページ目、再生支援でございます。これもこれまで3年間来たところでございますけれども、下の表にございますように大きな実績を上げています。地方における中小企業の再生というのはまだまだ正念場を迎えていると私どもは認識しておりますので、引き続き再生支援協議会に対する支援を拡充してまいりたいと思っています。
    8ページ目、金融でございます。政策手法として、中小企業の金融というのは、私どもは最大重要な政策課題だと認識しております。引き続き中小企業に対する円滑な資金供給を図るために、特に担保に依存しない、あるいは保証に依存しないという融資を政府系金融機関を中心に推進してまいりたいと思っています。例えば左の表にございますように無担保特例の枠を拡大する等々の制度の充実を図っていきたいと思っていますし、また国民公庫におきましては第三者保証人を不要とする融資の枠をまた拡大してまいりたいと思っています。
    右側に「中小公庫における証券化の取組」、これは民間の金融機関の無担保・第三者保証なしの融資を促進するための1つの手法でございますが、18年度はそのリスクをさらに中小公庫がとることによって要注意先の債権まで拡大したい。その結果、全中小企業の9割がカバーされる。そのような制度改革を行い、さらに民間金融機関による無担保融資を促進してまいりたいと思っております。
    その下の「信用補完制度の見直し」、これは保証料率の弾力化とか部分保証の導入というのが主要な中身でございますから、後ほど金融課長からご説明があります。
    9ページ目でございます。「商店街・中心市街地活性化対策」。これも私どもの現状認識として、2番目のところにありますように都市部、特に中心部の人口が減少している。その結果、中心部の販売額、ここに写真が掲げてありますが、よくいわれますシャッター通り、空き店舗が非常に多くなって社会問題化しているというのが現状ではないかと思っています。
    こういった現状にどう対応するかということで、三法見直しの時期でもありましたので、昨年来、産構審の流通部会、中政審の商業部会、合同で対応策を検討してまいりました。1つの方向性としてコンパクトでにぎわいのあるまちをつくる。その中で商店街も復興・復活させていけるのではないかというのが1つの結論でございました。その結論に基づきまして、また今国会に都市計画法、中心市街地活性化法の改正案を上程させていただいております。
    一番下の左に、これは国土交通省でございますけれども、都市計画法の見直しの中身を少し掲げております。例えば大規模集客施設等の立地可能な用途地域を見直す、制限する。あるいは先ほど白書の分析にもございましたけれども、公共公益施設が中心部に戻るとにぎわいが回復するという1つの要因もございます。したがいまして、公共公益施設の開発許可制度、これは今まで除外されていたのを導入するとか、市街化調整区域における大規模開発許可制度、これは原則不可の状態、等々1つのツールを地方公共団体に与え、都市計画集約のためのツール整備を都市計画法で行う、そういった法律案になっております。
    右側は、私どもが中心的にやっています中心市街地活性化法の中身でございます。もちろんこれが基本法でございますけれども、基本理念、魅力ある市街地を形成しようと。それから責務規定、これは地域の自主性を尊重するということではございますが、中心市街地活性化施策を各省連携して総合的に実施、策定していく。国の中では中心市街地活性化本部を内閣に設置し、地方が立てる基本計画を内閣総理大臣が認定するという制度を導入する。そういったところに国として選択と集中して支援をしていくというスキーム。それから、TMO(Town Management Organization)というのがございましたけれども、これを名実ともに法定してしっかりした組織にしていくといったようなものが主要な中身になっております。
    私どもの支援措置として一番大きなものが10ページ、最後のページでございます。先ほど選択と集中と申し上げましたけれども、都市機能を集約してにぎわいを回復、双方に取り組む地域。国が認定する地域に対して集中的に私どもの予算を充てていくということで、戦略的中心市街地活性化予算というのを3分の2補助で18年度強力に支援措置として推進してまいりたいと思っております。
    ただ、全国コンパクトシティーだけではなくて、市町村では今疲弊している商店街があるわけでございますので、例えば少子高齢化に取り組む、これは1つの重要な国の政策課題だと認識しておりますが、空き店舗を活用した保育所とかバリアフリーの歩道を整備するような商店街に対しても、私どもは国の直轄として2分の1補助金を充てていくという二段構えの補助金の体制をしいて18年度、今の商店街の疲弊の現状に当たっていきたいと思っております。
    以上、主要な中身をご説明させていただきました。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    それでは、ただいまの事務局からの説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたらお願いいたしたいと存じます。
    なお、多くの方にご発言いただきたいと思っておりますので、発言はお一人様3分以内ということでお願いいたしたいと存じます。
    それでは竹岡委員。
  • 竹岡委員:新任ですので、トップバッターを務めさせていただきます。
    私は、ベンチャー支援と知的財産権をやっておりまして、隣の中小企業整備機構さんの新事業支援専門委員をやっておりますし、国の方で独立行政法人産業技術総合研究所の顧問とか内閣府の総合科学技術会議の知的財政権の専門調査会の委員もやっております。大学とか公的研究機関の側、知的財産権の方から中小企業政策をみることがあって、きょうお話を聞いていていろいろ思うところは多かったのですけれども、18年度の政策について3点だけ申し上げたいと思います。
    まず1点目は、この中の3ページ目の「中小企業ものづくり基盤技術の高度化」というところで大企業と中小企業の研究開発に対する支援というものがございます。これは大変いい政策だと思っております。ただし、私は弁護士として研究開発の分野、共同研究の契約とかいろいろやっていますと、大企業と中小企業の共同研究開発においては、特に特許とかに関しては非常に問題が大きい。つまり中小企業側になかなか権利をもたせないといいますか、当然のことながら大企業は自分のものだよというのが全面的に力関係で出てくるというのが実態であります。ですから、こういう支援をされるのであれば、法律レベルというよりも施行のいろいろなレベルで、どんな特許が出てきていて、それが中小企業側でどのような権利を確保できているかということをあらかじめビルトインしていただいて、研究開発に熱心な中小ベンチャー企業の後押しをしていただきたいと思います。これは生の力関係に任せるとなかなかうまくいかないところだと思います。
    2点目です。研究開発型の中小企業の技術力の評価というところで、先ほど独立行政法人産業技術総合研究所の話をいたしましたが、実はそういうところに地銀さん、特に優良な地銀さんとかが包括連携をしたいという形で今申し込んできているのです。大学もそうなのです。なぜかといいますと、結局、優良な金融機関はいい中小企業に金を貸したいのです。ところが、今までみたいに担保主義の発想ではだめだとわかっていますから、技術力、会社の中身を評価したいんだけれども、その指標がない。そうすると、産総研とか大学と共同研究をしている中小企業は技術力が高いということはわかるわけですよね。だから、そこで包括連携をして優良な借り手をみつけたい部分があります。これは、ある意味で国の施策の中で大学とか公的研究機関との共同研究を進めていくことの1つの大きなメリットではないか、中小企業に対する金融面でのバックアップになるのではないかなと思っております。
    もう1つ、私は2年前に官公需の委員会のアドホック委員会で委員になったときに、官公需の調達の基準、技術力の基準が特許と技術指針の数だけだったのです。やっぱりこれじゃだめだろうと自分は思っていたのですけれども、そういうときも指標をもう少しふやしていただいて、実際どういう研究開発活動をやっているかというものも指標に踏み出していっていただくと、研究開発をよくやっている中小企業とかベンチャー企業が官公需、要するに公の調達の中に入っていけるというふうになりますので、ぜひそれも指標に入れていただきたいと思っています。
    3番目、人材です。総合科学技術会議でいつも問題になるのがポスドクなのです。要するに超高学歴、博士課程をとった30歳前後の理工系人材が物すごく余っている。就職難なのです。超高学歴フリーターなのです。結局、就職難の時代、超氷河期の時代だったということ、それと国の政策でポスドク何万人計画みたいなのをしてしまったということもあるのですが、彼らが就職できない。
    問題は、今景気が回復してきて中小企業がいい人材を採りたいといったときに、大企業が理工系の新卒の採用をがばっと今ふやしています。せっかく中小企業、ベンチャーが採りたくても今度は中小企業の方になかなか回らないというまたいつもの構造になっているわけです。そのときにポスドクの方たちに目を向けていただいて、ポスドクの方たちがいい中小企業に流れていく。どのようにやったらいいのかというのはあると思いますが、有能な人材のミスマッチングが物すごく今起きておりますので、国レベルでぜひこれを考えていただければなと思っております。
    3点です。済みません。
  • 山口会長:それでは、村本委員お願いいたします。
  • 村本委員:昨年の経済財政白書は人口減少問題を取り上げまして、最後に人口減少社会をクリエートするにはイノベーションが大事だということを掲げています。そういう意味では、ことしの中小企業白書でその点を取り上げられたことには大変敬意を表したいと思っておりますし、従来厚生白書で取り上げるようなテーマを取り上げられたことも新しい試みだと思っております。
    その上で二、三申し上げたいのですが、1点は、説明資料の最初にいつも出てくるのですけれども、日銀短観で景気動向をみるわけです。冒頭長官がいわれましたように、これは非常に跛行性のある中小企業を映していないわけです。日銀短観は資本金2,000 万円以上の中小企業ですから、いわばアッパーミドルですので、その下に出てくるような従来企業庁がやっておりました中小企業景況調査の小さなところをカバーしたところでみていかないといけないのではないか。少なくともそこはまだ相当水面下であるということを申しておきたいと思います。
    その上で2点だけ申し上げますが、1つは、先ほど竹岡委員もおっしゃいましたが、中小企業の担保不足のような問題をどうやって補っていったらいいか。大分新しいことが行われるようになったわけですけれども、最近重要なのは、新しい件は何もないわけで、あるのは経営だけというところがありますので、従来知的財産ということをいわれていたわけですが、そうではなくて知的資産に注目した経営が必要ではないか。本文のコラムの中に実は詳しく書かれているものがあるのですけれども、それをもう少し金融面で実現するような方向をぜひ実現していただきたいというのが1つでございます。
    それから、昨年度から新連携という新しい政策をやっておるわけです。今回の報告では東アジアの話の集積のところに出てくるのですが、それ以外に新連携をどのように評価しているか。現時点でまだ始まったばかりですが、どのように評価しているかという点についてもコメントがあればありがたいと思います。
    以上でございます。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    それでは、水口委員お願いいたします。
  • 水口委員:中小公庫の水口でございます。3点、3分以内に申し上げます。
    第1点は、きょうの資料の中にもありますように、中小企業金融に対する中小公庫の立場ということで、今まで以上に使命感と自信をもって全力を挙げてやっていくということをここで改めて申し上げておきたいと思います。
    第2番目は、17年度のご説明の中で外人労働者という問題が入っていませんでしたけれども、中小企業の中で外人労働者問題というのはそう大した問題ではないのかというような問題について、もしご意見があればと。
    第3点は、17年度分析から18年度の施策ということで、僕は17年度の分析は非常に詳細によくできた、よく短期間にこれだけのものをやられたと思いますけれども、その中で18年度への継続性という問題で資料の9をみますと、新規のものが随分入ってきているということで、これは新しい中小企業政策として私は高く評価したいと思っております。その中でこれからの各省庁間、国と地方との連携、提携というような問題について、さらに詳しく分析していただければありがたいというのが第1点。
    次は予算の問題ですけれども、もちろん私の方もいろいろな特例その他を含めて18年度新しくやるということになっておりますけれども、この資料9でみると、これらの予算で十分これだけのものがいけるのかどうかということは若干の問題点はある。もちろん財政の問題もありますけれども。
    特に税制の問題につきましては、創業あるいは事業承継という場合については、これは中小企業の方々から非常に強い要望があるのですけれども、税制の問題はさらに踏み切ってやるということがぜひ必要だと思いますので、今年度は無理として19年度以降についてはぜひこれは実現していただきたいなと思います。
    以上でございます。
  • 山口会長:ありがとうございました。
  • 望月中小企業庁長官:今問題になった点を、とりあえず簡単に私なりのコメントを幾つか申し上げたいと思います。
    竹岡先生の大企業と中小企業の共同研究の話というのは、つとに指摘されている話でございますけれども、一般的な解決法を全部するのは非常に難しいことだと思います。今話題になった話は、ものづくり法案という法律をつくって、特に国が委託研究をしようという際の出来事になるわけでございますので、そういう面でいえば自然な力関係を超えた、ある意味では是正?みたいな話ですね。ということは可能だろうと思いますので十分意識をしてやっていきたいと思いますし、今度の法律自身が中小企業について特許の審査手数料だとか特許費用について6年間半額にするということを込みの政策をやっておりますので、そういった面でも特許に着目した私どもの関与はできるのではないかと思っているところでございます。
    官公需についても、つとにそういうベンチャーみたいなものが参加できるような仕組みをつくるということで、今細かく申し上げませんけれども、幾つか参入基準のところで制度的な対応をしているところがございますので、これまた別途ご説明申し上げたいと思います。
    人材については、ポスドクはもちろんそうでございますし、基本的な問題は若い人たちが中小企業を知らないということが一番大きいと思いますので、18年度の予算の中でも、あるいは今度の法律の関係でも、若者と中小企業の情報交流のネットワークをつくるということになっております。
    村本先生の日銀短観のことは私どもも常に問題意識をもっているところでございまして、私どもが関係しているいろいろな調査を、つとに小規模企業を中心として補足をして、日銀短観は決して中小企業全部をあれするものではないということは繰り返し主張していきたいと思います。
    新連携は、実はお時間があったらもう少しあれしなければいけないのですけれども、既に162 社で2案件について行われておって、大変ユニークないろいろないい材料があるので、本来であればここでお配りすべきデータ集がいっぱいあったと思います。もし終了までに配れれば配りたいと思いますので、よろしくお願いします。
    済みません。私は先ほど話題に出たまちづくり三法の審議に今呼びつけられておりまして、早まってるから早く来いというので失礼しますけれども、あとは次長、部長、皆さん待機しておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。失礼いたします。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    それでは、引き続きましてご質問を承りたいと思います。――篠崎委員。
  • 篠崎委員:1点質問と1点関連する意見ということでお話ししたいと思います。
    1つは質問というか、これと直接は関係ないのでしょうけれども、新経済成長戦略というのに今とりかかられているということでしたので、どういうご議論がなされているのかということと、それにこの中小企業問題をどのように組み込もうとされているのかという点を、最後でも結構なのですが、お話をお伺いできればと思います。
    意見の部分は、これに関連してなのですけれども、きょうの説明でも出たのですが、人口減少下で成長を促すためには、とにかく需要の底上げと生産性の向上ということしかないわけです。それを両方解決する1つのかぎになるのが投資だろうと思っています。投資を促進していく、特に息の長い、ぱっと上がってぱっと下がるというのではなくて、中小企業の投資の場合、非常に循環要因が大きいのですけれども、息の長い投資ブームをつくっていくような支援策が必要だろうと。
    私が思うのは5つの分野に対する投資。1つは製造業も含めたハード、2つ目がソフト、3つ目が人材、4つ目がR&D、5番目がM&A、この5つに対する投資の促進を行って息の長いブームをつくることによって需要の底上げと生産性の向上を目指す。それによって新経済成長戦略に中小企業問題の方から組み込んでいけるのではないかと思っておりますので、最後は意見ということで述べたいと思っております。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    それでは、都村委員お願いいたします。
  • 都村委員:商工会の都村でございます。特に小規模事業についてなのですけれども、三位一体改革で国の予算がほとんどすべて県の方に移管されております。そこで小規模事業について県の独自性ということで、いろいろな形でこれから県ごとに発揮されていくだろうと思うのです。ただ、私どもの団体からいきますと、これから県ごとにかなり格差が生じてくるのではないか。その格差について中小企業庁としてはどのようにリードしていくのか、指導していくのかというのがこれから大変大きな課題になってくるのではないか。長官がおっしゃいましたように全国各地でまだら模様になってきたのではいけないので、ぜひひとつその点について指導なりリードなりをしっかりとこれからやっていただきたいなという意見をもっております。
    以上です。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    それでは、三村委員お願いいたします。
  • 三村委員:1つだけ申し上げます。今回コミュニティ・ビジネスということについて非常に詳しくおもしろい分析を出していただきまして、大変評価しております。今、まちづくり三法で大変時間をかけて大変なご作業だったと思いますけれども、いい方向に政策は修正していただいたと思っております。これを生きたものにするためには、恐らくキーワードとしてはこのコミュニティ・ビジネスというのがかなり大きな役割をもってくるだろう。そして、地元の方についても、この点についての情報は相当に必要とされていると思います。
    ただ、拝見しましたところ、日本のいい事例も入っていますしイギリスの事例もちょっと入っているのですが、コミュニティ・ビジネスというものは一体どういうものかとか、そのためにはどのような全体枠組みが必要かということについて、これからさらに分析とか情報提供をしていただければありがたいと思っております。
    以上です。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    そのほかございますか。――井上委員お願いいたします。
  • 井上委員:今、中小企業庁のいろいろな対策というのが、新しいこと、新連携、そして今回はものづくり基盤技術の研究開発ですか、非常にいいことを打ち出していただいているのは非常にありがたいのですが、何といってもまだまだ予算が少ない。新連携にしてもたしか四十何億というような予算、そして今回これは64億という予算なのですけれども、これは全国ベースの数字でして、それを要望する中小企業に対してこたえていくということになると、ほんの一部の企業にしかこたえられない。新連携は162 件ということですけれども、全国でいったらこういういいことに対してはもっともっとあるはずだと思うのです。ほんの一部の人しか使っていないということですので、中小企業庁の予算も実質的には73億ほどふやして頑張っていただいているわけですけれども、今後もっとふやしていただくことをぜひともお願いしたいと思います。
    一番の問題は事業承継の問題だと思うのですけれども、廃業が4年間で29万社、その中の25%が後継者がいないためという理由になっている。これによって失われる雇用が20万人から35万人。大変な数ですよね。これをもっともっとこれからどのようにしていくのかということだと思うのです。今、商工会議所でもM&Aや何かやっておるわけですけれども、まだまだ力の入れ方が足りないのではないか。それには資金も要るということになると思うのですけれども、雇用がこれだけ失われるということ、そして1つの問題は事業承継税制の問題、相続税制の問題もあると思いますが、いろいろな面で問題点が非常に大きい。結果的には中小企業の経営者は自分の子供も後を継いでくれないということになるとやめちゃおうというようなことになるわけで、そういう点を何とか改善する方向に資金的にも政策的にも打ち出す、もっと強いことで打ち出すということが必要だと思いますので、よろしくお願いします。
    以上です。
  • 山口会長:まだご質問の方がおありかと思いますが、まだ議題が残っておりますので、ここで西村次長から長官が答えられました以外の件につきましてお願いいたします。
  • 西村中小企業庁次長:ご指摘いただきました何点かにつきましてコメントさせていただきたいと存じます。
    まず、篠崎委員からの新成長戦略との関係でございますが、新成長戦略、中間的なとりまとめが大体終了しているところでございますけれども、人口減少社会における今後の日本の経済成長の実現に関します戦略を総合的に講ずるということで検討を進めているところでございます。特に中小企業との関係におきましては、地域経済の活性化という中で地域中小企業がどのような役割を果たすのか、あるいはそれを支援してまいりますときに、例えば地域資源を活用して地域産業の活性化を進めていくための具体的なプログラムをどうつくっていくのか、そのあたりが1つの中心になっております。また、イノベーションを実現するためには基盤技術を支える中小企業の取り組みが非常に大きいわけでございまして、そうした側面へのかかわりも非常に大きいものがございます。
    また、中小企業政策との直接的な関連性、これからの検討ではございますが、日本のサービス業の生産性が非常に低いというかねてからの問題があったわけでございますけれども、サービス産業の生産性向上も新成長戦略の中に盛り込んでおりまして、そうした観点からの関連もあると考えております。
    いずれにいたしましても、実質的に新しい成長の戦略を支える日本の中小企業は全企業の99.7%でございますので、中小企業の活性化、中小企業の活力をどう生かしていくかということが成長戦略の中の重要な課題だと認識しておるところでございます。
    都村委員のご指摘でございますが、小規模事業の関係でございます。三位一体の改革等々の影響もございまして、今後、小規模政策の中で県ごとの格差が出てくるのではないかというご指摘でございまして、私どももそれを非常に懸念しているところでございます。これにつきましては、私ども、各県あるいは各自治体の方に私どもの問題意識を常に申し上げたいと思っておりますし、また中小企業支援法に基づきます中小企業の支援計画、これは国の計画と都道府県の計画それぞれを毎年度策定いたしまして情報共有を図っていくシステムでございますけれども、こういうものをより有効に活用いたしまして前向きの取り組みを各県自治体がお進めいただきますように、自治体の中での競争関係が働くような前向きのメカニズムをつくっていくことが大事だと思います。いずれにいたしましても、私ども中小企業庁といたしまして小規模対策の必要性、十分認識しておりまして、各都道府県、自治体の方にお願いしてまいりたいと考えております。
    それから、三村委員のご指摘はそのとおりでございまして、来年度、まちづくり三法の施行等々、そういう過程におきましてコミュニティ・ビジネスの位置づけ、あるいは分析、具体的な取り組みに対するいろいろなご紹介、そういうことはぜひ頑張ってまいりたいと考えております。
    それから、井上委員のご指摘につきましても、予算の問題につきましては厳しい財政状況の中で精いっぱいやっているところでございます。これもいつも申し上げているところでございますけれども、中小企業政策、毎年度の通常予算だけでございませんで、補正予算もございます。それに加えまして一番大事なところは、金融とか税制のところが中小企業政策といたしましては非常に大きな枠組みになっておるわけでございまして、そうした総合的な政策パッケージとして中小企業政策を私どもは認識したいと考えておるところでございます。
    また、新連携等につきましては、これは個別の具体的なプロジェクトをご支援することも非常に私どもも重要視しておりますし、また具体的なハンズオンのメカニズムを通じまして事業化支援をしているところでございますけれども、もう1つの効果として私どもが非常に大事だと思っておりますのは、いいモデルを予算のプロジェクトとしてやっていただいて、周りの中小企業の方が刺激を受けてそれをどんどん広めていただくという意味におきまして、予算を具体的に活用していただきまして進められているプロジェクトが1つのモデルとしての意味合いもあると思っております。そういう意味におきまして、これもかねてからの懸案でございますが、中小企業施策の普及とかいろいろな施策を中小企業の皆様方のお一人お一人のところまで広めていくと申しますか、お伝えていく努力をしていくことが大事だと考えております。
    税制につきましては、18年度の税制改正、国会でもう終了いたしましたが、中小企業税制はかなりの進展がみられたところでございます。事業承継税制につきましても、その中で物納制度の改善等をしたわけでございますが、先ほど井上委員からご指摘もございましたように非常に重要な課題でございますので、税制の問題にはしっかりと取り組ませていただきたいと思っております。
    先ほど長官が申し上げませんでしたことで申しますと、水口総裁の方からご指摘がございました各省庁間の連携とか地方との連携の問題、これから先ほど申しましたような地域経済の活性化を進めるに当たりましても、農工連携とか、狭い意味での中小企業政策で閉じない部分が非常に多うございますので、こうした政策については18年度の大きな政策としてそういう問題意識をもって進めてまいりたいと思っております。
    外人労働者の方につきましては、今回の人材のところで直接の分析はいたしておりませんけれども、これも例えば組合制度の中で外国人労働者を中小企業の方が活用されるような取り組み等々ございまして、そのような実態につきましても全体としての中小企業の人材問題の一環として引き続き勉強させていただきたいと思っております。
    簡単でございますが、以上でございます。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    それでは、平成17年度中小企業の動向に関する年次報告(案)及び平成18年度において講じようとする中小企業施策(案)につきましては、細かな字句等詳細にわたる部分は私にご一任いただくこととしてご了承いただきたいと存じますが、ご異議ございませんでしょうか。
    (「異議なし」の声あり)
    ありがとうございました。
    それでは、次に進ませていただきます。
    さて、本審議会のもとに各分科会及びそれに属する部会がございます。ここで平成17年度の1年間に開催されました各部会等の活動状況について、事務局からご報告いただきたいと存じます。
    まず、基本政策部会及び信用補完制度のあり方に関する検討小委員会は、担当の寺澤金融課長にお願いしたいと思います。
  • 寺澤金融課長:寺澤でございます。資料10をごらんいただきたいと思います。信用補完制度見直しについては、昨年の4月にこの場で途中状況をご報告いたしたかと思います。その後、6月に清成部会長を中心に提言をとりまとめていただきました。きょうは、その提言の報告のポイントと、その後10カ月ぐらいたって実施状況をご報告したいと思います。
    検討の背景でございます。信用補完制度というのは中小企業にとっては非常に重要で、半世紀の歴史、残高30兆円、中小企業者の約4割が使っているという制度なのですけれども、最近のいろいろなニーズに対応しなくてはいけない、また構造的な赤字も発生するということで持続可能な制度にしなくてはいけない、また中小企業者に真に役に立つ制度にしなければいけないということで、抜本的な見直しということをご提言いただいたわけです。
    「取りまとめのポイント」、時間の関係で幾つかはしょります。下から2つですけれども、中小企業の再生というのは大きくニーズがございます。これまで信用保証協会の求償権が再生の邪魔になっていたという話がございました。求償権の消滅とか放棄、これを一定の枠組み、一定の手続を経た上で柔軟にやりましょうというご提言をいただきまして、これは順次実施中でございます。これを通じて信用保証協会の求償権が邪魔にならないという状況というのはできつつあるのかなという感じです。
    次に2ページでございます。まず保証料率は、今まで財務状況がいい人も悪い人も全く一律だった。これはやはり変であろうということで、これから財務状況に応じて信用保証料率を変えていく。財務状況がいい人は保証料率を安くする、悪い人については高くなる。これは考え方でございますけれども、従来一律の保証料だと保証はできなかったという人たちについてもきちっと保証料をとるということで保証するということでファイナンスが可能になる。こういう方向で4月から実施していこうと考えています。
    2つ目でございます。信用保証協会は、件数でいうと約2割について、現在、第三者保証、例えば取引先とか親戚の保証を求めるという実態がございます。これは昔から大分減ってはきたのですけれども、こういうことを原則としてはなくしていこうということで、4月から原則的に第三者保証というのは、少なくとも信用保証協会の保証については求めていかないという方向に実施していこうということでございます。
    きょうご紹介する最後ですけれども、3点目、2ページの上から3つ目でございます。これまで信用保証というのは10割保証ということで中小企業者のリスクを全部もっていた、金融機関の方はリスクがゼロであるという状況が続いておりました。これについて諸外国の例をみても非常にユニークな独自な形でございましたので、やはりそこは一部金融機関の方にも責任をもってもらって、中小企業者のチェック、再生にも一緒に努力しようということで、10割保証というのを変えていくという方向を出していただいています。
    これについては、これまで申し上げたことの中でも非常にインパクトが大きいことでございますので、現在関係者の皆様と調整中でございまして、できるだけ早期に導入したいということで、今、鋭意調整中でございます。
    以上、私の報告は終わります。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    次に、企業制度部会及び中小企業の会計に関する小委員会につきましては、担当の平井財務課長にお願いしたいと思います。
  • 平井財務課長:財務課長の平井でございます。お手元の資料11に基づいてご説明をさせていただきたいと思います。
    企業制度部会、これまで平成14年以降、こちらの企業制度部会の中で取り上げてまいりました1つの大きなテーマが中小企業の会計の話でございました。この点につきまして、平成17年度におきましては、最初のページの第11回企業制度部会で会計の質の向上に向けた推進計画をつくりましてお認めいただいたというのが中心事項でございます。
    中身につきましてですけれども、その次のページ、「別紙」というのをごらんいただきますと、総論としてこれまで中小企業の会計ということで企業会計基準とは別の形で中小企業のための会計というのを策定し、その普及を図ってきたわけですが、その取り組みを倍加するということで、現在2割程度の認知度にあるものを3年間で5割にするという大目標を立てた上で、ではそのために何をするのかということを幾つか定めたものでございます。
    何といってもその中心となる対策が、第1章に書いてあります「『中小企業の会計に関する指針』の策定」というところでございます。当時、昨年の今ごろにおいては、中小企業庁で定めました中小企業の会計と税理士会がつくったもの、公認会計士協会がつくったものということで3つのものがあって混乱しているというご批判があったところを受けまして、これを何とか一本化しようということでご依頼申し上げて、その動きになっていったということでございます。この中身については次の小委員会の話になるのですが、この会計の指針を策定しようというのが基本でございます。
    第2章に書いてありますのは、それをパンフレット、説明会、研修を使って普及、理解を深めようということでございますし、それをさっさとつくれるということについてのサポーターとして税理士さん、公認会計士さんにお願いするという第3章の話。
    さらに、第4章においては、政府系金融機関を含めて金融機関からのその支援といったような話を充実しようということでございます。
    以上がこの推進計画の中身でございまして、先ほど申し上げましたその中心事項となった中小企業の会計に関する指針という会計の中身そのものにつきましては、その次のページの小委員会を設置しよう、そこで議論しようというのがこの企業制度部会での結論だったわけであります。
    3ページ目でございますけれども、その小委員会が6月17日に開かれまして、鋭意、公認会計士協会、税理士会、さらに日本商工会議所、ASBJという民間の4団体にお集まりいただきましてご審議いただいて成案ができておりました。「中小企業の会計に関する指針」というものを、この中小企業の会計について先鞭をつけまして我々の方で進めてきた企業制度部会の方としてこれを後継者として任ずるのにふさわしいものになっているのかということをご議論していただいたのがこの会の議論でございました。
    次のページ以降が、実際にその直前の6月13日に4団体からプレスリリースをしていただいた「中小企業の会計に関する指針」の中身でございます。これもすべてではございませんで、本当に簡単なことしか書いてございませんが、その6月17日のこの小委員会の中では、これで指針が統合されたということで非常に意義深い動きができたのではないかとか、記帳の問題についてはもう少し配意したらどうだろうかというようなご異論がありましたけれども、基本的には皆さんこちらで中小企業の会計を引き継ぐものとしてふさわしいというご判断をいただきまして、戻りまして企業制度部会全体として、これを企業制度部会の結論として中小企業の会計としてさらにこれを普及、推進していくべしというご議論をいただいたところでございます。
    私からの報告は以上でございます。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    次に、経営安定部会、担当の児嶋経営安定対策室長よりお願いいたします。
  • 児嶋経営安定対策室長:児嶋でございます。資料の12をごらんください。経営安定部会では、上野部会長のもとで小規模企業共済制度と中小企業倒産防止共済制度について審議をいただいております。
    小規模企業共済とは、小規模企業者が掛金を積み立てて、廃業等の場合に共済金の支払いを受けられる制度です。中小企業倒産防止共済とは、中小企業者が掛金を積み立てておいて、連鎖倒産しそうになったときに積立金の10倍を限度とする貸し付けを迅速に受けられるという制度です。
    第12回経営安定部会は、平成18年3月6日に開催されました。議題は3つで、第1に「小規模企業共済の平成18年度付加共済金支給率について」、第2に「中小企業倒産防止共済の貸付金回収率向上策の実施状況について」、第3に「その他の取り組みについて」であります。
    審議内容は、第1議題については、財務状況にまだ余裕がないため、平成18年度に係る支給率はゼロとすることが適当であるとの答申がなされました。
    第2議題については、サービサーへの回収委託等の諸対策を引き続き着実に実施することによりまして、目標であります回収率87%の水準に近づけていくということが確認されました。
    第3議題については、中小企業基盤整備機構の共済業務のアウトソーシング、それから災害時即日融資等の加入者サービスの向上及び両共済の加入促進の取り組みを初め、共済制度の運営全般についてさまざまなご意見をいただきました。
    中小企業庁といたしましては、経営安定部会でいただきました貴重なご意見を踏まえながら、小規模企業共済制度と中小企業倒産防止共済制度の確実な運営に努めてまいります。
    以上です。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    次に経営支援部会、担当の山田経営支援課長よりお願いいたします。
  • 山田経営支援課長:それでは、ご説明をさせていただきます。資料13をごらんください。17年度経営支援部会は、伊丹部会長のもとで4つの諮問事項、1つのその他、合計5つについてご審議をいただきました。
    まず最初に、1つ目の固まりでありますが、「中小企業診断士制度の在り方について」です。中小企業診断士につきまして、質、量ともに確保を図っていくというために、科目試験合格制などを内容といたします「中小企業診断士制度の在り方について」とりまとめをいただき、答申をいただきました。これに基づきまして省令改正などを行い、来る4月1日から新しい中小企業診断士制度を施行することとしております。
    2つ目は、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づく基本方針」であります。この方針につきましてご議論をいただき、おまとめをいただいた上で、例えば新連携事業を進めることになりまして、先ほど望月からご説明申し上げましたとおり、本年2月末の段階で162 件の認定を出し、その一つ一つの事業についてブラッシュアップに努めているところであります。
    2つ目の固まりになりますが、「基盤技術を有する中小企業の技術力強化施策について」でございます。これにつきまして、基盤技術を有する中小企業の課題認識から支援策のあり方につきまして4回の審議をいただきまして、「モノ作りの国際競争力を担う中小企業の技術競争力の強化について」とりまとめをちょうだいしまして、これに基づきましてモノ作り中小企業に対する総合的な支援策をつくっております。現在そこの部分であります法律につきまして、1月31日の閣議決定をいただき、現在、国会で衆議院の審議をちょうだいした上で参議院に回っているところでございます。
    1ページおめくりいただきます。さまざまな分野で活躍する我が国のモノ作り中小企業の姿を具体的に目にみえる形で出していこうということで、「全国の元気なモノ作り 300社」の事例集をつくろうとしておりまして、その選定に際しまして事例集検討小委員会、伊丹委員長のもとで検討を行っていただきまして、さまざまな意見をちょうだいしております。
    最後になりますが、去る16日、国、都道府県、中小基盤機構などが中小企業支援事業を計画的、効率的に行うための支援計画につきまして諮問をちょうだいいたしまして結果をとりまとめていただいております。
    一つ一つの内容につきましては、その以降の資料で簡単にとじておりますので、ごらんいただければと思う次第であります。
    以上です。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    次に、組織連携部会、担当の小林創業連携推進課長よりお願いいたします。
  • 小林創業連携推進課長:小林でございます。資料14をごらんください。組織連携部会におきましては、清成部会長のもと、今後の中小企業組合制度のあり方について、合計9回の審議を重ねております。この審議を踏まえた答申をもとにいたしまして、中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案を3月7日に閣議決定いたしまして、現在国会に提出しているところでございます。
    法案の内容は答申の内容を踏まえたものでございますが、別紙としておつけしてございますので、こちらでご説明をしたいと思います。
    法律制定の目的でございますが、皆様ご承知のとおり、中小企業や個人事業者などが相互扶助の精神に基づきまして、いろいろな共同事業などを行ってきた中小企業組合制度は、制度発足が昭和24年ということで、設立以来半世紀を経過したところでございます。この間の中小企業組合の規模の拡大、あるいは事業の多様化、この中には共済事業、いわば保険事業でございますが、こういった高度な事業もかなり発達をしてきたということでございまして、従来の内部の自治をもとにしたガバナンスではほころびが生じてきているということでございまして、現実に最近幾つかの組合が破綻をしているという事例が発生してきたところでございます。
    こうした状況を踏まえまして、中小企業組合全般につきまして運営の規律強化を図るとともに、中小企業組合による共済事業(保険事業)につきまして健全な運営を確保するための措置を講ずるということを目的としたものでございます。
    主な内容といたしましては今申し上げた2点でございまして、まず2の(1) でございますが、中小企業組合全般におけるガバナンスの充実といたしましては、組合の任期の見直しということで監事の任期を延長するなど、監事の権限、内部機能の充実に努めております。また、理事による利益相反取引の制限といったことで、理事の債務の債務保証を組合が行うというような場合につきまして理事会の承認を必要とするというような改正を行っております。
    こうした組合全般に関する規制の中で、とりわけ一定規模以上の中小企業組合につきましては、規模が拡大しているということでガバナンスがききにくいということに配慮いたしまして、監事への会計監査以外の業務監査権の付与、員外監事制度の導入、余裕金運用の制限など、新たな上乗せ措置を講じております。
    2番目に保険事業(共済事業)に関するガバナンスの充実でございますが、これも一般的には共済以外の事業との区分経理、事業方法書等の提出、認可、準備金の積み立て、余裕金運用の制限などの導入をいたしております。さらに、規模の大きい共済事業につきましては、原則他の事業との兼業を禁止する、あるいは財務の健全性に関する基準(ソルベンシーマージン)の導入、最低出資金規制の導入などをさらに上乗せて規制をすることにしております。
    簡単でございますが、以上でございます。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    次に取引部会、担当の福岡取引課長にお願いしたいと存じます。
  • 福岡取引課長:福岡でございます。資料15をごらんいただきたいと思います。
    取引部会におきましては、毎年、官公需施策、特に官公需法に基づく国との契約の方針等についてご議論をいただいているところでございます。昨年7月6日にご議論いただいておりますけれども、議題は3点ございました。ポイントのみ申し上げたいと思います。
    1点目が「規制改革・民間開放推進会議の追加答申等について」ということでございます。これは先ほど竹岡委員からご指摘がございましたけれども、平成16年に中政審では基本政策部会、取引部会におきまして、官公需施策のあり方についてのとりまとめをいただいております。そのとりまとめは、もともと総合規制改革会議におきまして、この官公需施策についてあり方を見直しするべきというご指摘をいただいたことによってとりまとめをいただいたものでございますが、そのとりまとめにつきまして、またそれに基づく中小企業庁等の施策につきまして、規制改革・民間開放推進会議におきまして継続的な取り組みがなされているという評価をいただいているということを報告申し上げたところでございます。
    議題の2つ目の「平成16年度の中小企業者の受注機会の増大のための措置の状況等について」ということでございます。これは官公需施策、従前からやっていたところでございますが、毎年契約の方針は決めたけれども、そのフォローアップが十分ではなかったのではないかというご指摘をいただいたところでございまして、16年度の措置から各省庁ごとの措置状況、官公需の受注機会の増大のために何をやったのかということをとりまとめて公表を始めたということについての報告でございます。
    例えば技術力を評価した調達ということにつきましては、各省庁ごとの技術力の評価を考慮した入札件数につきまして件数を公表している。そういった各省庁ごとの数字を発表することによって、今後の各省庁の対応を促すという意味で進めてまいりたいと思っています。
    3点目にご審議をいただいた事項でございますけれども、「17年度の国等の契約の方針」でございます。このペーパーの下半分に書いてございますけれども、1.の?、17年度におきましては契約目標について物件、工事、役務の細分化、?の官公需適格組合の受注実績の公表、?におきましては技術力の評価を踏まえた調達でございますけれども、随意契約制度を活用できることの例示、客観的評価のためのSBIRの活用等を新たな事項として盛り込んだところです。
    また、そういった措置によりまして、中小企業者向けの契約目標が46.7%になるという見通しを示したというところでございます。
    ちなみに、この案に基づきまして7月15日に閣議決定をいただいたところでございます。
    以上でございます。
  • 山口会長:ありがとうございました。
    それでは、最後に商業部会、担当の商業課よりお願いいたします。
  • 朝稲商業課企画官:商業課の朝稲でございます。商業部会におきましては、資料16でございますが、流通業務総合効率化事業の実施に関する基本方針(案)につきましてご審議いただいたところでございます。
    流通業務の効率化を通じましてCO2 の排出削減など環境への負荷の低減及び流通業の国際協力の強化を図るべく法律が制定されたところでございますが、この法律の運用につきまして基本方針案を作成させていただいたものでございます。この中で中小企業の対応能力等を加味しまして、2グループで事業が対応できるよう、弾力的な運用ができる計画につきましてご審議いただいたところでございます。
    また、資料の下段でございますが、産構審の流通部会及び商業部会の合同会議におきまして、委員からもご発言がありましたように、まちづくり三法の見直しにつきましてご審議をいただいたところでございます。基本的には、平成10年におきます政策転換以降の施策の評価を踏まえまして、次のページでございますが、今後の中心市街地活性化方策の方向性につきましてご審議いただいたところでございます。基本的な方向性としまして、人口減少社会の到来、持続的な自治体財政の確保、コミュニティの維持、こういう観点からコンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを目指すべきというご提言をいただいたところでございます。
    また、施策の方向性としましては、さまざまな都市機能の市街地集約と中心市街地のにぎわい回復に努めるということで、こちらの事業を一体的に推進することが必要ということでご提言をいただいたところでございます。こういった中で基本計画の実効性を確保するとかタウンマネジメント活動の事業強化、また対象事業の拡充等につきましてご審議、ご提案をいただいたところでございます。
    具体的な法律案につきましては、別添の資料がございまして、3月8日に国会の方に改正案を提出させていただいておりまして、これからご審議をしていただくという予定になっております。
    以上でございます。
  • 山口会長:ありがとうございました。それぞれの部会のご報告をすべていただきました。
    それでは、もう時間も大分迫って残りはございませんが、大事な会議でございますから、ただいまの事務局からの説明につきまして、ご質問、ご意見が特にございましたらおっしゃっていただきたいと思います。
    特にございませんようでございますので、各部会におかれましては、平成18年度も中小企業施策の企画立案のために活発にご審議をいただきたいと思っております。
    きょうは相当要領よく説明をしていただきましたけれども、案件が非常に多くて、それだけ中小企業については問題がたくさんあるということをご理解いただけたと思います。
    司会の不手際で多少時間が超過いたしましたが、以上で終わりたいと思います。
    それでは、以上をもちまして中小企業政策審議会・基本政策部会の合同会議を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

以上