1.日時:平成13年4月3日(火)14:00~16:00
2.場所:経済産業省本館17階 第一共用会議室
3.出席委員:稲葉中小企業政策審議会会長、石岡委員、石原委員、伊丹委員、井上委員、 上野委員、浦田委員、小川委員、角田委員、木下委員、鯉江委員、河野 委員、鴻巣委員、児玉委員、紺谷委員、佐伯委員、篠崎委員、進藤委員、 高原委員、玉利委員、堤委員、都村委員、南条委員、橋本委員、樋口委 員、平野委員、前田委員、三村委員、宮下委員、美安委員、山本委員
省内出席者:松田副大臣、中小企業庁長官、次長、審議官、経営支援部長、政策調 整課長、企画課長、調査室長、経営安定対策室長、金融課長、財務課 長、取引課長、小規模参事官、経営支援課長、創業連携推進課長、技 術課長、商業課長
4.議事録:
○稲葉会長 定刻でございますので、まだ全員おそろいでございませんが、会議を始め させていただきたいと思います。私、中小企業政策審議会の会長、稲葉でございます。よ ろしくどうぞ。
ただいまから、中小企業政策審議会・基本政策部会合同会合を開会いたします。本日は 御多忙のところ各委員 の皆様方には多数御出席いただきまして、誠にありがとうございま す。また、本日、平沼経済産業大臣の代理として御出席いただいております松田副大臣、 私の隣にお座りでございますが、におかれましても、お忙しい中御出席を頂きまして、あ りがとうございます。
初めに、本日御出席いただいております松田副大臣からごあいさつをお願いしたいと思 います。
○松田副大臣 第2回中小企業政策審議会及び第2回基本政策部会の合同会議の開催に 当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。本日、大臣ちょっと所用で、私、代わっ てごあいさつを申し上げさせていただきます。委員の皆様方におかれましては、御多忙の ところ御参集いただきまして、心からお礼を申し上げます。
本日は、中小企業基本法に基づきまして政府が国会に提出することを予定しております 「平成12年度中小企業の動向に関する年次報告」及び「平成13年度において講じようとす る中小企業施策」について、御審議の上御答申いただきたいと存じます。
思い起こしますと、個人の話になりますけれども、私自身の話になりますが、若き中小 企業庁事務官のころ、実は昭和38年、第1回中小企業白書の執筆に当たらせていただいた 者でございます。思えば、今回の白書は、それから数えますと38回目の白書になるという ことでございまして、本当に感無量のものを感ずるわけでありますが、当時のテーマは二 重構造と格差問題と。今日では歴史的な学術上の文書にはこういう二重構造とか格差問題 という言葉は出ておりますけれども、今日の中小企業白書からは一切消えた言葉が第1回 中小企業白書のテーマでございました。
そんなことを思い起こしながらごあいさつをさせていただくわけでありますが、御案内 のように、日本経済、このところまた足踏み状態になっております。特にまた中小企業の 景況も大変いいとはいえない、またこれ足踏み状態と。中小企業はしかし、日本経済の活 力の源泉であります。何としても頑張っていただいて、日本の経済のかつての栄光を取り 戻すどころか、世界の経済をリードしていかなければならん我が国経済であります。そう いう意味でも、中小企業のあり方、しっかりと現状を分析し、かつ、それに対して間違い のない対策を講じていかなければならないと、そういう思いで我々一生懸命頑張っている ところだと。しかし、まだまだ足りない点あろうかと存じます。
今日こうして、通産省、経済産業省として御用意させていただきました原案、どうぞ皆 さんでじっくりひとつ見ていただきまして、足らざる点いろいろありましょう。忌憚のな い御意見を頂きまして御答申いただけますれば、誠に有り難い限りであります。限られた 時間でありますので、私の冒頭のあいさつはこの程度にさせていただきますが、どうぞ各 委員各位、大事な時期でございますので、それぞれ御自愛いただくと同時に、経済産業省 の政策、中でも中小企業政策、我々としては極めて大事なものと思って、明日発表になる 今日ここで内容を申し上げるわけにはまいりませんけれども、緊急経済対策ということで 省内挙げて今死に物狂いで頑張っておると、正直そう御報告できると思います。
いろいろな意味でまた叱咤激励、御指導、御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げ 重ねて、今日もまた本当にお世話になりますことをお礼申し上げて、ごあいさつといたし ます。
○稲葉会長 ごあいさつありがとうございました。本日は中小企業基本法第11条の規定 に基づき、政府が国会に提出することになっております「平成12年度中小企業動向に関す る年次報告」(案)及び「平成13年度において講じようとする中小企業施策」(案)につ いて御審議いただくことになっております。
審議に入る前に、事務局から審議会の運営につきまして御説明をお願いいたします。
○加藤企画課長 事務局の企画課長の加藤でございます。
審議会の運営につきましては、平成7年9月の閣議決定に基づきまして、審議会は原則 として公開するという方針になっております。本審議会につきましても、原則公開として 資料及び議事録を公表させていただきたいと存じます。
なお、議事録につきましては、1月の審議会の際と同様に、委員の皆様に1度チェック をしていただいた上で作成して公表することにいたしたいと思っております。
なお、恐縮でございますが、今日の「配布資料」をちょっとごらんいただきたいと 存じます。この中で資料の5、6、それから8と9、以上4つの資料は白書本体の関係の 資料でございますが、この4つの資料につきまして、今月下旬に予定しております閣議決 定を経て公表するということになります。それまでの間は委員限りの扱いということでお 願いしたいと思います。非公表という扱いでございます。
なお、資料の7―1、7―2、これはポイントでございますので、こちらの方は本日公 表ということにさせていただきたいと思います。
それでは、稲葉会長、よろしくお願いいたします。
○稲葉会長 それでは、「平成13年度において講じようとする中小企業施策」(案)に つきまして、経済産業大臣の諮問をお願いいたします。
○松田副大臣 それでは諮問文を朗読させていただきます。
平成13年4月2日
中小企業政策審議会
会長 稲葉 興作 殿
経済産業大臣 平沼 赳夫
中小企業政策審議会に対する諮問について
中小企業基本法第11条第2項の規定に基づき、別添「平成13年度において講じよう とする中小企業施策」(案)に関して、貴審議会の意見を求める。
以上でございます。
○稲葉会長 それでは、「平成13年度において講じようとする中小企業施策」(案)に つきましての御説明に先立ちまして、「平成12年度中小企業の動向に関する年次報告」 (案)につきまして、事務局の方から御説明をお願いいたします。
なお、「平成12年度中小企業の動向に関する年次報告」(案)は、本年1月29日に開催 されました第1回基本政策部会において、その主要検討課題につき御審議いただき、部会 での論議を元に取りまとめたものでございます。
それでは、この説明方をお願いいたします。
○藤調査室長 調査室長の藤でございます。座ったまま御説明させていただきます。
それでは、お手元の資料―4に基づきまして、動向編のポイントを御説明したいと思い ます。資料―4、動向編でございますが、2部構成になっておりまして、1部が動向編、 2部がその取組、トピックス編でございます。それで、1部につきましては、前回1月の 段階で詳しく御説明をしておりますので、ポイントのみ御説明させていただきたいと思い ます。それでは、右下にページ数がございますが、2ページをお開きいただきたいと思い ます。 <中小企業の動向>ということで、我々自身、景況調査が10~12月期の数字しかござい ませんので、まだ最近の景気回復の特徴はということになっているわけでございます。今 週月曜日の日銀短観、それから我々の景況調査の1~3月期の数字が4月の中旬に公表に なりますので、それをみた上で最終的な動向についての記述を変えなければいけないと思 っているわけでございますが、やはり御案内のとおり、今回の景気回復を引っ張ってきた IT関連を中心にかなり腰折れ感が強くなってきているということでございまして、最終 的にはその数字をみた上で適切な表現にしてまいりたいと思っております。
それから、飛ばして4ページにいかせていただきますが、下の方、前回1月の段階で中 小企業向け民間金融機関の貸出しが増えているということにつきまして、中身をよく見る べきだという御指摘につきましては、商工中金さんの方の今年1月お調べになったものを 使わせていただきまして、融資先に対する選別が進んでいるという一つの証左をここで提 示してございます。「民間金融機関の融資態度」ということで、左、真ん中、右に向けま して、信用ランクの高いところ、真ん中、低いところですが、下の方の斜線が現在でも貸 出し態度が緩和している、さらには緩和するというもので、上の方の黒いものが融資態度 が厳しくなった、もしくはこれからなるだろうということでございます。
これを見ていただきますと明らかでございますが、信用ランクが上位の貸出し先、企業 は今後も融資態度が緩くなると考えている方が増えているということに対しまして、信用 ランクが下位のところにつきましては、現在でも非常にその態度が厳しいと答えていらっ しゃる企業が多いですし、さらにそれが増えているということで、融資先の選別というこ とで一つのその実態を表しているのではないかと思っているわけでございます。
それでは5ページにまいりまして、第2部でございます。「中小企業が抱える経営課題 とその対応」ということで、我々、構造的な問題として、いわゆる需要の停滞、それから 資金調達の問題、それから人材の確保・育成ということにつきまして、以下、現状と、そ れから具体的に頑張っておられる実際の事例というものを後で御説明したいと思っており ます。
2枚飛ばしていただきまして7ページをちょっとお開きいただきたいわけでございます 真ん中のグラフは「消費構造の変化」ということで、いわゆる選択的支出が消費全体を上 回り、非常に増加しているということでございます。一番左側が昭和60年から平成11年ま での間、消費が20%増えたというものでございますが、真ん中のところで、必需的支出と 選択的支出ということで、選択的支出が全体の平均の20%を超えて25%伸びている。さら に選択的支出の中でも項目を少し詳しくみてみますと、設備修繕・維持といういわゆるリ フォーム関連ですとか、それから通信関連が大体60%伸びている。それから補習教育、い わゆる塾、さらには教養・娯楽関係が40%前後伸びているということで、これも、よく言 われていることでございますが、大量生産型から一味違ったものをつくっていく、さらに は中小企業のマーケティングを含めてそういう取組がこれから必要になってくるのではな いかという意味での、需要面での構造変化を1つ表しているグラフとして提示させていた だきました。
それに対する具体的な取組事例というのが7ページに出ておりますが、商品化の前の段 階、実際に作ってから丹念にいろいろ顧客の生の声を聞きながら、商品の用途、売り上げ 拡大をしているケースを本編では書いてございます。 それから8ページにいかせていただきまして、「資金調達」でございます。「キャッシ ュフローでみた有利子債務の必要返済期間」というのは以前御説明しましたので省略させ ていただきますが、このような厳しい中で、具体的な対応事例としましては、キャッシュ フローというかどうか別といたしまして、やはり日々の資金繰りをよく見ながら財務関連 資料で黒字経営を中小企業としてもこれまで以上に努力してやっていくべきではないか、 そういうことをやっている事例ですとか、地道にその原価構造を把握しながら、その中で 無駄な仕入れとか在庫のコストを下げているような事例を書いてございます。
それから9ページにまいりまして、このような資金調達の中で、8ページでは実際の中 小企業の具体的な取組を紹介させていただきましたが、特別信用保証制度が先月3月末を もって終わったわけでございます。我々といたしましても、本年の2月、3月に緊急にア ンケート調査をさせていただきまして、上が、多くの企業が資金繰り改善等に利用してい ただいたわけでございますが、その中でも約2割の企業が既存事業拡大投資とか新規事業 投資にも御利用いただいたというものでございます。それからその下が制度なかりせばと いう話でございますが、約85%の企業が事業の縮小、人員の削減など、経営上の支障が生 じたというふうに御回答いただいております。
最後の○で資金調達の円滑化でございますが、先般の特別国会でお認めいただきました 一般保証の枠拡大ですとか、さらには中小企業の信用リスクの定量的評価のためのデータ ベースであります、CRDといっておりますが、その構築ですとか、さらには売掛債権の 流動化、政府といたしましてもこのような形で資金調達の多様化を側面支援してまいりた いと思いますが、中小企業としても引き続き、情報をより一層確実な形で出していくこと が必要ではないかと本編では書かせていただいております。
それから10ページにまいりますが、「人材の確保」ということでございます。一番上の グラフが「技術職・専門職に対する過不足感DIの推移」ということで、線が下にあれば あるほど不足感が強いということでございます。一番上の折れ線グラフが 1,000人以上の 企業、それからそれ以下、 300人、 100人、30人となるわけですが、平成10年から12年を 見ていただきますと、一貫して中小規模の企業は専門職の人材が足りないということでご ざいます。
それに対します具体的な対応例といたしましては、組織の魅力を向上させるために、例 えば若手社員を1年限りで取締役に抜擢するなど、業務改革を推進しているような例を書 いてございます。
それから2.以下が個別業種の対応でございまして、お時間の関係で詳しく御説明できま せんが、製造業であればISOを真に組織変革まで含めてやっているようなケースですと か、大企業の資材調達業務という、いわゆる製造業のサービス機能の向上のような取組を 書いてございます。
それから11ページにまいりますと、建設業、サービス業、卸、小売ということでござい ますが、建設につきましては、やはり官工事の需要の停滞からどうやって民間の隠れた需 要を掘り起こしていくかというのがポイントだと思っております。それからサービス業、 その他につきましても、やはり顧客満足度を上げるためにどのように既存の仕事の仕方を 変えていくか、もしくは視点を変えていくかというところだと思います。それからさらに 卸売業につきましては、やはり小売と連携しながら、システム全体で、例えば粗利益を確 保できるようなニッチをどのように開拓していくのか。それから小売につきましては、特 に小規模の小売につきましては非常に厳しい状況でございますが、例えば自転車販売業が 上級者向けのマウンテンバイクの注文生産をオンライン通販で売上げを拡大しているよう なケースもございまして、やはり小なりといえどもいろいろと一味違ったやり方でまだま だ活路があるのではないかということでございます。
それから、駆け足で恐縮でございますが、12ページが、個店の取組に加えまして、実際 面として、例えば商店街、中心市街地についてどうかということでございます。商店街に つきましては、真ん中あたりに「商店街による集客力向上の取組事例」ということで、例 えば実際に商店街に訪れていただけない消費者にどうやったら来てもらえるかという、例 えばグループインタビューをしているような商店街ですとか、それから介護サービス券を 実際に商店街負担で発行して、少しでもお年寄りの方に商店街に立ち寄ってもらおうとい う地道な努力をしている商店街の取組を挙げさせていただきました。
中心市街地につきましては、いろいろ基本計画、それから構想も出かかっているという ことでございますが、どういう形でサクセスストーリーをつくっていくかというのが今後 の課題ではないかと思っております。 それから13ページが「IT時代における経営革新」ということでございます。一番上の グラフが「IT化が企業に与えた効果」ということで、白が中小企業、黒が大企業という ことでございますが、業務の合理化、社内情報の共有化につきましては、中小企業も大企 業並みに効果があったとお答えいただいているわけでございますが、ただ、新サービスと か新顧客の獲得となりますと、まだまだ大企業ほど中小企業は効果があらわれていないと いうことでございます。
それから前回1月の御議論の、導入の失敗事例もやはり提示すべきではないかというこ とを踏まえまして、我々自身が考えたいわゆる典型的な失敗事例というものを2つ挙げさ せていただいております。1つ目は、業態の変化にマッチしない形でのIT導入というこ とで、これは実際に文具卸売業でございますが、既存の小売との関係を余りにも意識し過 ぎたがゆえに、ほかのグループ等との関係でなかなか競争力の向上につながっていないよ うなケースです。それから事例の2は、IT投資というのはともすれば当初のコスト以上 に、実際ふたをあけてみるとコストがかさんでしまうという問題点がございまして、その 追加的コストに見合ったメリットがなかなか出てこないということで苦しんでおられるよ うなケースが結構多々あるのではないかということで挙げさせていただきました。
それで、IT導入のステージ論というものも考えてみてはという1月の御議論を踏まえ まして我々なりに考えましたのが14ページのポンチ絵でございます。第1ステージは、先 ほどのアンケートで、既にかなり中小企業でも効果が出ているといわれております業務の 効率化、それから第2ステージはこれから大企業と同じ比率で効果を上げていかなければ いけない、いわゆるeコマースのような受発注業務への応用、それから第3ステージは第 1ステージと第2ステージと表面上の機能、効果は同じでございますが、やはり業務とか 組織全体の見直しをやっていかないと本当の意味でのITの効用はうまく使い切れないの ではないかという問題意識で、あえて第3ステージとさせていただきました。
それで第1ステージ、第2ステージ、第3ステージということでございますが、第1ス テージは、例えば共用ソフトをうまく使って苦情処理情報を類型化して、そのスピードを 迅速化するようなケース。それから第2ステージは、実際にウェブサイトを作りますけれ ども、丹念に技術相談に応じるとか、それから顧客参加型のコミュニティをつくるような 形で、デジタル以外にアナログでも汗をかいてうまくいっているようなケース。それから 第3ステージは靴下卸業ですとかが実際協力企業全体のPOSデータを集めて大幅な業務 の見直しを行ってうまくいっているケース、等々挙げてございます。
15ページ以下が「創業を巡る現状と課題」ということで、これまで経営革新の話を御説 明いたしましたが、最後に創業ということで御説明させていただきます。上のグラフは開 廃業率の推移ということで、これは事業所ベースで、企業ベースの数字は今試算中でござ います。多分、事業所とほぼ同じ傾向ではないかと思っておりますが、平成8~11年は開 業率自身が 3.7から 4.1に上がったのですが、残念ながら廃業率は 3.8から 5.9になりま して、いわゆる逆転現象が拡大したということでございます。
それで、今の開業率が 4.1%、20年前が 6.1%の開業率だということで、実際に業種別 にどういう凸凹があるのかを見ましたのが下の図でございます。「業種別開業率」という ことで、一番左の飲食店が14%、これが現在6%ということで8ポイント差があるという こと。それから製造業、卸・小売、それからサービス業が結構差がついております。最近 頼みの綱と言われております運輸・通信はまだそれほどふえていないということで、この 辺のところが20年前の開業率に比べましてなかなか増えていかない原因の一つかと思って おります。
16ページは事業承継の円滑化ということで、あえて「第二創業」というネーミングをつ けさせていただきましたが、取組事例といたしましては、実際にそのバトンを受け取る側 の人間がこの事業承継を自らにとってのビジネスチャンスと考えて事業革新するという例 を今回、このポイントでは2例ばかり挙げさせていただきました。
それから17ページ、駆け足で恐縮でございますが、創業の中の中小企業のニューフロン ティア論ではございませんが、高齢者生活支援ですとか環境の部分で、例えば高齢者生活 支援でありますと、直接介護サービスとは関係ございませんが、2つ目の事例で、服装メ ーカーが例えば老人ホームを丹念に回ることによりまして、御高齢の方はカラフルで自ら 脱いだり着たりする服が実は欲しいのだということがわかりまして売上げを拡大している ようなケースがございます。それから環境、特にリサイクルの関係で見ていただきますと 今月から各種リサイクル法が施行されまして、その1つ食品リサイクル法も施行されたわ けでございますが、中小スーパーが自ら出る生ゴミを堆肥にして、それを農家に使ってい ただいて有機農産物を実際に地域住民に提供しているようなケースもございました。
それから最後でございますが、これからもっと技術シーズの拡大ということで、中小企 業からみたTLOの課題でございますが、大学には多分魅力あるシーズがあるだろうけれ ども、なかなかどこにあるかわからないという問題とか、コーディネーター不足、PRが 少ない、さらには技術移転だけではなく事業家支援もできればやってほしいという中小企 業の要望等をまとめさせていただきました。
それからインキュベータでございますが、公的、民間セクター含めて数的には増えてい るわけでございますが、これもよく言われていることでございますが、まだソフトな支援 スタッフが欧米に比べて足りないという事情は変わってないわけでございます。
それでは、最後になりましたが、19ページ、昨年5月にスタートしました3類型支援セ ンター、相談件数は堅調に推移してございますが、今後より一層経営支援を求める中小企 業の方々のニーズにこたえる形でそのサービス機能を向上したいと思っております。
簡単でございますが、説明は以上でございます。
○稲葉会長 どうも御説明ありがとうございました。御質問あろうかと存じますが、続 きまして「平成13年度において講じようとする中小企業施策」(案)につきまして事務局 の方から御説明を伺って、その後で御質問を受けたいと思います。ではひとつお願いいた します。
○桑田政策調整課長 政策調整課長をしております桑田でございます。 それでは、資料に即しまして簡単に御説明させていただきたいと思います。お手元の方 に御用意しました資料の7―1、7―2で、平成12年度におきまして講じた施策のポイン ト並びに13年度において講じようとする施策のポイントという形で整理させていただいて おります。また資料の方では本文といたしまして資料8、資料9で中小企業施策につきま して詳しく記述させていただいております。恐縮でございますけれども、まずポイントの 方で主要なところにつきまして御説明させていただきたいと思います。本文の方につきま して参照していただければ結構だと思います。
まず、御審議をしていただく前に、平成12年度におきまして講じました中小企業施策の 主なポイントを簡単に御紹介させていただいた後、引き続きまして、13年度において講じ ようとする施策のポイントを御説明させていただきたいと思います。 平成12年度におきまして講じた中小企業施策のポイントでございますが、特に大きくは 3つのポイントがあろうかと思っております。何といいましても第1には中小企業金融対 策、第2番目がIT革命への対応、3番目が中小企業支援体制の整備でございます。この 3つを中心に整備していったわけでございます。 まず第1に「中小企業金融対策」でございますけれども、ここに書いてございますよう に、中小企業をめぐる金融情勢、なかんずく平成10年10月に未曾有の金融収縮、いわゆる 貸し渋りの状況の中で、健全な中小企業にもなかなか資金が回っていかないという中で導 入されました中小企業金融安定化特別保証制度が平成13年3月末、ほんの数日前でござい ますけれども、期限が到来したわけでございます。その到来を踏まえまして、中小企業信 用保険法の一般の信用保証制度におきまして、制度の内容の拡充並びに最近生じておりま す災害、大型倒産に対応するようなセーフティネットにかかわる対策の充実を図ったとこ ろでございます。中小企業金融安定化特別保証制度でございますけれども、31日の土曜日 も回転をして受付したわけでございますが、30日現在では約28兆 6,000億、29兆弱という ことでございます。件数にいたしまして 170万件という形になってございます。 昨年の12月25日に、ここに書いてございますように、信用保険法並びに中小企業総合事 業団法の改正案を臨時国会に提出いたしました。一般特別保証制度が3月末に到来いたし ますので、その後、中小企業信用保険法の一般保証制度の中で、現在無担保の保証限度額 が 5,000万円でございますけれども、これを 8,000万円まで拡充する。またあわせまして セーフティネット保証の範囲の拡大でございます。昨年生じましたそごうの倒産でござい ますとか、東海豪雨等々自然災害におきまして、中小企業の方々にいろいろな影響が生じ たわけでございますけれども、特に取引先企業の倒産の中では、そごうのように、テナン トとして同一の建物の中に入られている、実際には取引はないけれどもそごうの撤退等に よりまして影響を受ける事業者の方々を対象にするとか、さらに、直接の取引先だけでな く、その先の間接的な2次卸取引先につきましても対象にするといった形で、セーフティ ネットの網をより広く拡大する形で対応するようにしたわけでございます。これを改正い たしました。 またあわせまして政府系金融機関におきましても、中小公庫、国民公庫、商工中金にお きまして、一時的な業況悪化でございますとか、取引先企業の倒産、取引先金融機関の破 綻、災害に対しますセーフティネット貸付制度を整備いたしました。特に現在、土地価格 等々の低迷の中で中小企業の方は担保の問題が非常に難しゅうございますので、担保徴求 につきましても、貸付の2分の1を限度といたしまして担保徴求の緩和を図るといったよ うな特例処置を設けてセーフティネット整備を図ったところでございます。これが中小企 業金融対策としての一番の柱でございます。 2番目が、後ほど、平成13年において講じようとする中小企業施策のポイントで御説明 させていただきたいと思いますけれども、中小企業がIT革命の時代の中でデジタルデバ イドに陥ることなく、経営の中にしっかり生かして活躍できるような体制の整備というこ とで幾つかの整備を行ってございます。 第1が、ここにございますように、「IT活用に対する意識向上と人材の育成」という ことでございます。これまで既に、経営者の方を対象にいたしまして、1月から3月の3 カ月間、ITの研修、セミナーを全国で行ってございます。商工会議所だけで既にこの3 カ月で5万 5,000人の方が研修を受けられるということで、中小企業の方々のITに対し ます熱意が非常に大きいということだろうと思います。2番目にはシステムの導入という ことでございますけれども、ITの貸付制度の創設、さらには、3番目、中小企業の方が 実際に使いやすい共通のインフラとしてのソフトウエアの整備でございます。製・配・販 を通じた方々が使うようなソフトウエアの開発等々につきましての支援、最後にIT推進 のための情報提供の整備ということでございますが、後ほどこのあたりは説明させていた だきたいと思います。 3番目の柱が「中小企業の支援体制の整備」でございまして、これは御承知のように、 中小企業指導法を中小企業支援法に改正いたしております。そういう中にありまして、国 都道府県レベル、さらに地元の中で密着いたしました地域中小企業支援センター、これを 私ども3類型と呼んでございますけれども、平成12年度におきまして、この3類型の中小 企業支援センターの整備を行ってきてございます。先ほど藤室長の方から、中小企業白書 のポイントの最後のページで、これまでの各センターでの状況を御説明したところでござ いますけれども、月間 9,000件程度の相談がまいってございます。そういう意味で、従来 の国からの指導から、民間の専門家を活用して、専門家によります専門的な知識によりま して、中小企業の方々が取り組まれております様々な経営課題に御支援するといったよう な形で進めてきておるわけでございます。 4番目、「税制改正措置」でございますけれども、簡単に項目だけごらんいただきたい と思います。創業・ベンチャーの育成という観点からエンジェル税制の拡充をしてござい ますし、それから設立後10年以内のいわゆる同族会社の留保金課税の特例の創設をしてお ります。また中小企業が円滑に事業承継を行うという観点から、相続税の延納利子税の軽 減等々やってございます。また景気対策といたしまして、中小企業の設備投資の促進とい うことで、投資促進税制の適用期限の1年延長を行ったところでございます。 5.「創業・経営革新の促進」、6.「小規模企業支援対策の推進」等々掲げてございます これが平成12年度に講じた施策でございます。 次に資料7―2の方に移っていただきたいと思います。ここでのポイントといたしまし ては、平成12年度、「中小企業のIT革命への対応」ということで、平成13年度の政策を ある意味では前倒しをする形で手がけてきてございます。特にIT革命への対応につきま しては、本審議会の経営支援部会におきましても、中小企業が3年間で、2003年を目途に いたしまして、 508万あります全体の中小企業のおおむね半数程度がインターネットを活 用した電子商取引を実施できることを目標として、IT3カ年計画につきまして御審議を 賜っているところでございます。 ポイントにつきまして、最後のページに「中小企業IT化の推進」ということで、私ど もの基本的な考え方並びに施策につきまして整理させていただいております。一番左の方 からごらんいただきたいと思いますけれども、森内閣の中ではe―Japan構想が出さ れ、2005年までに先進国の中で最も進んだIT国家に日本をしていこうということでござ いますけれども、その中で、現在の中小企業が置かれておる現状でございます。一番左の ところにございますが、米国が電子商取引の実施状況、現在4割、ホームページ開設状況 8割ということでございます。中小企業の電子商取引の実施状況、日本におきましては1 割でございますので、これを何とか、上の方に「IT革命の目標」とございますけれども 2003年の電子政府の構築にあわせまして、中小企業の半数の方々がインターネットを活用 した電子商取引が可能となるような体制を整備していきたいということで、米国の現状が 電子商取引に取り組まれている企業の数が4割でございますので、それを上回るような5 割程度、約 250万社の方々が導入できることを目標に取り組んでいきたいということでご ざいます。 前回の基本政策部会におきましてこの中小企業白書のスケルトンを御議論いただいたと きにも御意見ございましたけれども、まずIT化を中小企業において進める場合に、何と いいましても経営の中にいかに生かして経費を削減したり、それから売上げを伸ばしたり ということでございます。そういう観点から、中小企業のIT化支援のSTEP1という ところをごらんいただきますと、経営者の方々の意識の向上等を図っていただくことが何 よりも重要でございます。経営者自らの強いリーダーシップが必要ということでございま す。他方で、なかなかITの進歩が著しいので、最新の知識が不足しがちであるというこ とから、経営者の立場に立ってソフトウエアとかのハードを提供する、企業の側からでは なく、受ける中小企業の側に立ってアドバイスできる人材を育成していかなければいけな いという課題でございます。2番目は、経営者の立場に立って専門的な知識をもった人が アドバイスできる体制をつくる。3番目がシステムの導入を中小企業の方が円滑に図って いけるような体制を整備するということでございます。 それに即しまして、政策の方につきまして一番右の側に書いてございますけれども、経 営者の方の意識の向上並びにいろいろな成功事例等々につきまして情報提供を行うという ことで、3カ年の目標といたしましては、約 150万人の方々に研修並びにセミナーの機会 を提供していきたい。また支援人材のところでございますけれども、ITコーディネータ ーといいます、ITの専門的な知識をもちながら経営的なコンサルができる人たちの育成 を図っていきたいということでございます。 3番目の「ITシステム導入に対する支援」でございますが、資金供給の円滑化、税制 面からの支援、それから商工会、商工会議所、中央会等によるIT導入支援サービスとい うことを考えてございます。 システムの導入のところでございますけれども、先ほども説明ありましたが、一番右の 欄の4つ目の箱に「共通基盤的なソフトウエア等の整備」というのがございます。 最後に真ん中の欄の中段の大きな箱でございますけれども、「IT化のための基盤整 備」の中に「IT推進のための情報提供」というものがございます。施策といたしまして は、e―中小企業庁並びにJ―NEt21といったような、中小企業施策並びに中小企業 団体が有しておりますいろいろな情報を中小企業の方が適切に利用できるような体制を引 いていきたいということでございます。 それでは、申し訳ございませんけれども、1ページ目の方に戻っていただきたいと思い ます。中小企業の半数の方がインターネットを活用した電子商取引に取り組めるような目 標を掲げながら施策を講じていきたいということで、ある意味ではターゲットに対しまし て効率的に実施していきたいと思っております。 まず最初の「中小企業のIT化支援」でございますけれども、「IT活用に関する意識 向上と人材の育成」ということでは、今年度、セミナーの開催、10万人を目標にしており ますし、研修の実施では3万人程度としております。また時間の制約がございますので、 遠隔研修ということで衛星放送並びにインターネットを使いましたバーチャル大学校も開 設して中小企業の方々が取り組めるような形にしていきたいというのが1点目です。 2点目が「IT化のための共通基盤の整備」でございます。ここに書いてございますよ うに、製造、配送、販売、下請といった複数の中小企業の方が活用できるような業務アプ リケーションソフトウエアの開発に対する支援でございますとか、製造業の中におきます 熟練技能者が有しております様々な技能につきまして、それを客観化・デジタル化するよ うな促進。さらにIT推進のための情報提供につきましては、中小企業総合事業団の中に インターネットの統一画面、いわゆるポータルサイトをつくりまして、中小企業関係の様 々な施策情報の提供を行いたいと思います。現在、年間 600万ヒットぐらいですけれども 大幅に拡充いたしまして 1.9億回ぐらいのものにしたいということで現在取組の準備をし ているところでございます。 2番目が経営支援体制の整備でございます。昨年の平成12年度に法律改正をして3類型 の整備を図ってきたわけでございますけれども、平成13年度におきましては、対国レベル 都道府県、政令指定レベル並びに地域中小企業支援センター、各レベルにおきまして体制 の強化を図り、特に専門家の増強を図りまして、ワンストップサービスとして中小企業者 の方々に土・日にも対応できるような体制を引いていきたいということでございます。 3番目は「中小企業金融対策」でございますけれども、昨年度に講じられました一般保 証制度の拡充、セーフティネット保証の充実、さらには政府系金融機関におきます金融の 充実を引き続き実施していきたいということでございます。 4番目に「税制改正措置」でございますけれども、3ページをおあけいただきたいと思 います。中小企業の事業承継の円滑化のために、相続税、贈与税の改革を盛り込みますと ともに、景気対策関連税制を延長してございます。特に相続税の課税価格の計算におきま して、特定事業用宅地並びに特定居住用宅地の特例、80%減額の対象面積を 330平米から 2割拡大の 400平米、さらに宅地につきましては 200平米から 240平米に拡充しておりま す。また昭和50年度以来25年改正されておりませんでした贈与税につきましても、基礎控 除額を60万円から 110万円に引上げを図ってございます。また景気対策関連税制におきま しては、中小企業の投資促進税制を1年延長してございます。 さらに「創業・経営革新の促進」でございますけれども、中小企業の既存の企業の方々 が新しい分野に取り組んでいただくということで、経営革新支援法というものがございま す。平成11年7月から施行して現在まで 3,700件弱の認定をしておりますけれども、これ に基づきます新しい分野への取組に対しまして、個別企業、任意グループを含めて支援し ていきたいということでございます。またインキュベータの施設につきましても、地方公 共団体等が取り組んでおりますことにつきまして引き続き支援の拡充を図っていきたい。 さらに中小企業技術革新制度、SBIRでございますが、平成12年度 130億円でございま した。平成13年度につきましては、現在各省から対象補助金の指定の作業をお願いしてご ざいます。5月ごろには目標額につきまして閣議決定を図るべく関係各省の御協力をお願 いしている最中でございますが、中小企業技術革新制度の充実強化を図ってまいりたいと 思っております。 さらに3ページの一番下にございますが、「小規模企業支援対策の推進」でございます 本審議会の小規模企業部会におきましても御審議賜りまして、ニーズの多様化、地域経済 活動の広域化への対応といたしまして、小規模な商工会の事業実施体制の強化のための環 境整備という観点から、「商工会法の一部を改正する法律案」をこの通常国会に提出させ ていただいております。 さらに「その他」のところでございます。幾つかの点を挙げてございますが、中心市街 地等中小商業対策でございます。基本計画は既に中心市街地につきましては 379、基本構 想 118、さらにはTMO事業実施計画が34という形で取組が進んできてございます。これ につきまして引き続き支援の強化、それから事務局体制の強化等につきまして支援してい きたいということでございます。また商店街が行います空き店舗対策、IT対応といった ソフト事業への支援を引き続き行うことにしております。 また取引適正化施策の推進という観点からは、裁判外の紛争処理制度につきましての調 査を行いますとともに、地域振興、地場産業対策におきましては、個々の事業者でござい ますとか、グループによる産地の主体的な取組を支援するという観点から、特に私ども、 日本のある意味では技能の源泉でございますけれども、「伝統的工芸品産業の振興に関す る法律の一部を改正する法律案」をこの通常国会に提出させていただいております。 経営安定対策につきましては、先ほど申し上げましたとおり、セーフティネットに関連 いたしまして、倒産、災害への遺漏なき対応を図るということでございます。 最後に、厚生労働省から出されておりますけれども、「経済社会の変化に対応する円滑 な再就職を促進するための雇用対策法等の一部を改正する等の法律案」ということで、再 就職支援の促進、地域雇用開発の促進のための法律案が今国会に提出されているという状 況でございます。 以上でございます。ありがとうございました。 ○稲葉会長 説明ありがとうございました。ただいま、平成12年度中小企業の動向に関 する年次報告と、もう一つ、平成13年度において講じようとする中小企業施策につきまし て説明がございました。 それでは、ただいま事務局から御説明いただきましたことにつきまして、御質問、御意 見等がございましたらお願いいたしたいと存じます。 ○南条委員 非常にたくさんの説明なのでそしゃくがなかなか難しいのですけれども、 3つ御質問したいのです。 1点は年次報告の中にある部分ですが、金融システム不安、そういう中で相当大胆に大 きな手が打たれたという中で、例の特別信用保証制度ですけれども、たしか、パーッと今 説明の中に、29兆円ぐらいに上っていると。確かにすごく役に立っていると思いますけれ ども、一面、こういってしまえばあれですが、これは仕方のないことですが、審査とかそ ういうものをかなり甘くして、それによって相当部分焦げついてしまったものも、つまり はっきりいって役に立たずにひっくり返ってしまったものもかなりあると思うのですけれ ども、そういう数字が全く出ていないのですが、わかる範囲内で御説明を頂きたい。 それからもう一つは12年度の方の政策ですが、この中で税制面でかなり何点か出ていま すけれども、これの利用状況というか、本当にどの程度役に立ったのか、もうちょっと具 体的に説明していただけると有り難い。 それから13年度の方で1つだけですが、SBIRの制度の拡充とありますが、既にSB IRできているわけです。拡充するということは、今まで余りうまく利用されていなかっ たのかもしれないなあという感じもありますので、今までどの程度の利用状況と成果がも たらされているのかということを、ごく簡単で結構ですから御説明いただきたい。 ○稲葉会長 どなたか……。 ○桑田政策調整課長 御意見ありがとうございます。まず特別保証制度につきましては 現在のところ、まだ最終的な締切りをしているわけでございませんけれども、3月30日現 在、先ほど申し上げました28兆 5,000億でございます。それから2月現在で、いわゆる特 別保証制度に落ちまして、それから代位弁済に至ったものでございますが、この比率が保 証額のうちの金額で 2.2%という状況でございます。件数では 2.5%ということでござい ます。件数ベースでいきますと、御承知のように、保証しておりますのが 170万件弱でご ざいます。それから税の方につきましては私どもの担当の課と、それからSBIRにつき ましても担当の方から御説明させていただきます。 ○北川財務課長 それでは税制につきまして御説明いたします。財務課長の北川と申し ます。 まず12年度の税制改正におきまして、エンジェル税制、同族会社留保金課税のこの2つ から申し上げます。エンジェル税制につきましてはもともと利用件数が大変少なかったも のでございます。これにつきましても、所得税の特例でございますし、ちょっと今手元に 数字がございません。これは後ほど御報告させていただきたいと思います。 次に同族会社の留保金課税でございますが、留保金課税自体が大体 1,600億円ぐらいの 課税でございます。そのうちの大体1割、 160億から 170億程度の減税になるのではない かと考えております。 それから事業承継の円滑化でございます。これは延納利子税につきましては特に手元に ございません。特に数字も公表されておりませんけれども、一方で、取引相場のない株式 の評価方法につきましては、おおむね7割ぐらいの中小企業者にとっては1割から2割ぐ らい評価が下がっているのではないかと思います。一方で、収益性の高い企業につきまし ては何割かの評価額の増があるものと考えております。 それから個人事業者に対する配慮、これはいわゆる青色申告特別控除というものでござ います。これはその特別控除による減収額が大体 700億円ぐらいでございます。これのお おむね1割程度の増加ではないかと思っております。 それから最後に5番目の中小企業の設備投資の促進、景気対策関係でございます。これ は投資促進税、大変包括的な税制措置でございまして、おおむね 1,400億円程度の減税に なっているのではないかと考えております。そういう意味では、特に減税規模が大きいと いう観点からしますと、この5番目の景気対策関係の設備投資促進税制ではないかと考え ております。 ○林技術課長 それでは引き続きまして、SBIRの利用状況と成果についてご説明さ せていただきます。 SBIRの利用状況でございますけれども、平成11年、約 100億弱、それで応募された 件数が 1,000件弱が対象ということになっております。平成12年度につきましては、支出 の目標、これは中小企業の方にこのSBIRを使っていただく目標額でございますけれど も、この額が 130億円ということでございます。現在、47の委託費とか補助金がこのSB IRの対象ということでございます。現在、この12年度どのぐらいの目標に向けて実行が なされたかというところを各省にお問い合わせを始めているところでございます。5月ぐ らいにその辺の結果が出ると思います。 それから成果の状況でございますけれども、本格的に始まりましたのが11年からでござ いまして、この11年、12年、2年間でR&Dが行われております。早いものにつきまして は既に事業化に向けての設備投資等も行われておりますけれども、通常はやはり1~2年 なので、本格的な事業化が進むのがこの13年ということでございます。それで中小企業の 金融公庫さんにもお願いいたしまして、このSBIRの事業化に向けたものに対しての融 資ということ、特定のそういう融資制度も設けていただきまして、この事業化を支援して いきたいと考えているところでございます。 ○稲葉会長 どうもありがとうございました。よろしゅうございますか。 ○南条委員 はい、結構です。 ○稲葉会長 そのほか御質問、御意見ございませんでしょうか。 ○佐伯委員 ITの推進でe―中小企業庁の実施と書いてありますが、どんなことをや るのか、どういうイメージなのか、ちょっと御説明いただければ有り難いと思います。 ○林技術課長 それでは、e―中小企業庁につきまして概要を御説明させていただきま す。e―中小企業庁と申しますのは、中小企業庁が現在、中小企業トピックスという形で 週に1回、施策でありますとか、それからITの研修であるとか、そのような中小企業に 関するいろいろな情報を皆様に直接御提供するということで、もちろんインターネットの ホームページ上にも載せておりますけれども、直接皆様にお届けするということでメール で配送しているところでございます。 ただ、主に中小企業の関連団体、商工会、商工会議所、それから中央会等の皆様にお送 りするということが現在はメインになっております。そこの方からそれぞれの会員の方等 にまたさらにそのメールをお配りいただくということになっておりますけれども、現在、 ITの進歩ということで特にメールマガジンというのが整備されておりまして、できれば 直接中小企業のそれぞれの方にこのような情報をお送りするようなことを考えているとい うことでございます。よろしいでしょうか。 ○鴻巣委員 今年の白書は、従来の製造業を中心にされた白書に比べるとサービス産業 とか建設業とかいうところまで目を配られた視野の広い白書になっていることは大変結構 だったと私は思いました。 2つほど伺いたいのですが、第1の方の質問と関連するのですが、特別保証制度につい て書いてありますね。昨年の白書はたしか、私の記憶に間違いがなければ、事故率にかな り詳細にページを割いてお書きになっていて、通常の保証制度は2%の事故率なのだけれ ども、特別保証制度は10%にしてあると。特に2年目と3年目に少し事故率が上がるかも しれないけれども、5年か6年たつとだんだん落ちついてくるという趣旨のことがたしか 書いてあったと思いますが、それだけ去年ページを割かれてお書きになったのだったらば 今年、つまり2年目の事故率といいますか、代位弁済の割合が、先ほど桑田政策調整課長 がお答えいただきましたけれども、本来はそういうことは書いておいた方がよかったので はないかという感じがしたのです。今直してくださいといっているわけではありませんが それからそれに関連して、実は藤調査室長の御説明以外に、この本文を拝見したのです が、本文の38ページのあたりを読んでいると、38ページの中ほどからちょっと下のところ で、最近の業況について、「改善した」とか「若干改善した」企業が「悪化した」とか、 あるいは「若干悪化した」というのを上回っていると。だから、この特別信用保証制度と いうのが本来だったらば淘汰されるべき企業の延命を図ったにすぎないといった見方は事 実に反するとかなり強い表現が使われているのですが、実際はこの中で、表を読むと、表 はたしかもう一つの方の55ページにあったと思いますが、「大いに改善した」と「若干改 善した」というのが両方合わせて39%、それから「少し悪くなった」とか「大いに悪くな った」とかいうのが36%で、36%と39%でそんなに、ここに書いてあるほど胸張っていえ ますかと。特に25%はよくも悪くもならなかったという言い方をしてますよね。 ここに書いてあるような特別信用保証制度というのはそういう企業の延命措置にすぎな いといった見方は私初めて知ったのですけれども、そういうことが非常に広範にいわれて いるのでしょうか。そんなにいわれていないのではないかと。こんなにむきになって表現 されることはないのではないか。むしろ次のパラグラフを読むと、そこでは、人員の削減 とか事業の縮小ということをしないで済んだというのが84~85%あるわけですよね。それ で十分答えているのではないのか。だれがいったかよくわからない、特別信用保証制度は 企業の延命を図ったにすぎないということをわざわざ取り上げて反論しているというのは 私はちょっと、言い過ぎているといっては失礼ですけれども、ここまでむきになることは なかったのではないかという感じがしたのです。これは私の感じですから、勘弁してくだ さい。 それからもう一つ、表を読んでいて、これはうっかりミスなのではないかと思ったとこ ろがあります。中小企業の動向の方の図表編の35ページは「中小企業性製品輸入動向」と いうのが表になってますよね。その表の中で3業種表記したのだと書いてあります。食料 品と木材・木製品はわかりますが、もう一つ、真ん中のところで一番輸入動向の高い業種 が落っこっているのですけれども、これは何でしょうか。これが一番大事なのではないか という気がしますけれども。 ○藤調査室長 今調べておりますので、もうしばらくお待ちください。 特別信用保証の関係でございますが、御指摘の点、確かに昨年はかなり分析したという ことで、それは事実でございます。私どもといたしましては、今回は事故率というところ は、先ほど桑田の方から数字を御説明いたしましたが、これからどういう形になっていく かということにつきましては、もう少し時間がたって、その段階で実際分析した方がいい のではないかということで、あえて今回は記述してないというところが本当のところでご ざいます。もうしばらく推移をみないと実際この事故率なりそこら辺のところがどうなる か、昨年の場合は始めたばかりで、まだ少し先があるということで、やや定量的な分析を したということはございますが、むしろ我々は今回、終わってすぐ次の月に白書を出すと いうことから、もうしばらく様子をみた上で、実際、もしやるとすれば時間がたってから やった方がいいのではないかということで、あえて書いてございません。 それから先ほど、事実に反するうんぬんというところ、どういう指摘があったのかとい うことにつきましては、こういう指摘というのはこの場で申し上げるのもあれですし、多 々ございましたので、個別に申し上げるのは何かと思いますが、そういう指摘は実際いろ いろなところからございまして、それに対しまして、少し強過ぎるのではないかというお 気持ちがあるかもしれませんが、そこはやや筆が走り過ぎているかもしれませんが、一応 そんなことでございます。 それから3点目の一般機械器具とその他ということで、これは誤植でございますので、 訂正をさせていただきたいと思います。ありがとうございました。 ○紺谷委員 ただいまの融資保証について、一般にどういう意見があったかというと、 藤調査室長から御説明のあったとおりでございまして、かなり、こんなことするなとか、 カンフル剤を打つなとか、駄目な中小企業はつぶせとか、そういう多くの御議論はあった のですよ。新聞紙上でもしょっちゅうみかけましたし、テレビの様々な討論番組でそうお っしゃっている経済学者、エコノミストを私は何人も知っております。だれとだれがいっ たと申し上げてもいいぐらいですけれども、そういう中で小渕政権がよくぞこういうこと をやってくだすったと思うのですよ。これがなかったらつぶれていたはずのところがつぶ れないで済んだということはあるわけです。 駄目な中小企業とよくいいますけれども、基本的には、ここで申し上げるのは何ですが 行政の失敗、政策の失敗というのは非常に大きかったわけです。上流でダムを決壊させる がごときことをやったら、普通だったらば、十分泳げる人でも、オリンピック選手でも川 で溺れるではないかと、そういうような状況がずうっと続いてきたわけでありまして、合 格点が75点、80点になったような状況で企業を切ったらもったいないですよ。 中小企業は日本の財産でありまして、中小企業が強いということが日本の製造業を支え てきたわけですね。そういう中で中小企業をできるだけ助けようというような施策を国が 行ってくだすったわけでありまして、中小企業というのは体が小さい分だけ体力がないの ですね。赤ちゃんがすぐ脱水症状を起こすように、これだけ長い不況だったらば、かなり のところまでやられてしまうわけですよ。 ついでに申し上げますと、最近の直接償却うんぬんという議論も大いに間違っておりま して、直接償却なんか今やってどうするのだと思うのですね。そもそもが銀行の不良債権 処理はもう7割が終わっております。うち8割が直接償却だということを金融庁自身が発 表なさっているわけですよ。今もしも銀行が資金繰りに困ると、できるだけ担保の処理を するとか、不良債権を売ってしまって、現金化して、それを必要なところに貸してやらな ければ困るというような状況だったらば直接償却とおっしゃってもよろしいと思うのです ね。だけど、きちんと引き当てを積んでいて、損失が出てきても大丈夫というような処理 を行っているわけでございます。そうであるにもかかわらず、現金化するだけが目的の直 接償却をするということはどれほどの意味があるのか。 それからゼネコンとかスーパー、その他小売業なんかの流通業の大型の不振企業という のも多々あるわけでございますけれども、ここはつぶしたらやはり経済にマイナスの効果 が来るのですよ。今銀行がなぜそういう大型の部分の不良債権を抱え込んでいるか。2期 続けて赤字だろうが何だろうが、中小企業に貸しているか。銀行がやさしいからしている わけではないのですね。自分のためなのですよ。大型倒産を呼ぶようなことをやったらば 自分にはね返ってくるのですね。ほかの取引先企業への波及効果ということで直接はね返 ってくる部分もあるし、日本経済全体が悪化して間接的にはね返ってくる部分もあるわけ です。 それから小さい方は、これだけ9年、10年の長い不況を耐え抜いてきた中小企業という のはある意味では立派な中小企業なのです。今それを、苦しんでいるからと、10年間耐え 抜いてきて体力もなくなって、今一番苦しいときですよ、今あっぷあっぷしているから頭 たたいて水の中に沈めてやれみたいな御議論というのは本当に間違っているのですね。 一昨年の後半から日本経済は完璧に回復軌道に乗っております。企業業績も2割から4 割アップして、それだけ株価だって回復しているのですよ。オールドエコノミーを中心に だけれども、とてつもないITバブルが膨れて破裂して、それがあるために全体として株 価回復、業績回復というのがみえにくくなっているという問題がございます。もうトンネ ルの出口はみえてきているわけでありますから、時間の問題というところまで来ているの ですよ。相当かかるだろうとは思いますけれども。 今こそ護送船団、今こそ先送りで、なるべく多くの企業が助け合って、それで今痛みが ここで手術をしろという声もありますけれども、先送り先送りでここまで病状悪化させた というのは事実です。ですけれども、ここまで病状が悪化してしまったために手術に耐え られないというところまで来ているわけですよ。だから、何とか今少しでも状況がよくな るように、政府の施策のおかげもあって水はもう引き始めているわけですから、もうちょ っと待っていれば水位はどんどん下がっていくわけですね。そういう中で何であっぷあっ ぷしている人たちをわざわざ頭押さえて沈めなければいけないのかということは全くわか らないですね。 ゼネコンだって、流通業だって、多くの関連業者とか下請企業があるわけですよ。そう いうところをつぶさなかったら、ヒト、モノ、カネが足りないという状況ではないのです ね。完全雇用ではないのですよ、今。ヒトもモノもカネも余っているのです。余っている 中でわざわざほかに移動させるような、そういう企業つぶしをやることないのですよ。企 業をつぶせば、そこでまた失業、倒産がふえて、それがまた購買力の低下につながって、 それがまた景気を悪化させるということになるのではないですか。だからやってはいけな いのですね。 ですから、先ほど鴻巣委員がおっしゃいましたように、だれがいいましたかというご疑 問はあるとは思いますけれども、多くの方がおっしゃってました。私はこの耳で聞いてお りましたし、この目でみておりました。目の前にいたらひっぱたいてやろうかと思うぐら い腹が立って聞いていたのですよ。ですから、中小企業庁がこういうことをお書きになり たいという気持ちは本当によくわかりますし、もっと強調していただいてもいいぐらいだ と私は思っているのですね。 さらにその中小企業白書について書いていただきたいなと思うのは、明るい展望を示し てくださいということなのです。実は悪くないからです。最近の論調というのは、98年の ときには景気対策やるなとおっしゃっていたような方まで、景気対策やれと。また恐慌が 起きるかもしれないということをこのお正月の株価下落以来おっしゃっているのですけれ ども、98年と今と比べたら全然違います。今は全然恐慌の心配はないといってもよろしい ぐらいです。アメリカがクラッシュすれば別ですよ。だけど、今程度のハードランディン グでおさまっていてくれれば、どうっていう心配は全くないといってもよろしいぐらいの 状況なのですね。日本経済がきちんと回復してきているということを中小企業の皆さんに 納得させてあげるような、そういう方策をおとりいただきたいと思うのですね。心配要ら ないのですよ。きちっきちっとよくなってきているのです。時間がかかるというのは、こ れだけの大不況だったのだからしようがないと思うのですよね。 ついでにいいますと、財政赤字とか年金の危機とか医療保険の危機というのも極めて大 げさに語られているわけでありまして、厚生大臣を3回もお務めになりながら社会保障政 策を一切おとりにならなかった方が改革の人だといわれているのはとても不思議なことだ と思いますけれども、そういうようなにせの改革論に惑わされずに、きちんと本当の改革 をおやりいただきたいと思うのですね。 本当の改革というのは何かというと、アメリカやイギリスや欧米の戦略に乗ってジャパ ンバッシングをすることではないです。日本のどこがいいのか、日本企業のどこが強いの かということをきっちり整理していただいて、そこをなお強くするような、日本が全体と してもっと強くなれるような、そういう制度改革が本当の改革です。企業が痛み切ってい る中で減損会計、時価会計なんてやって、一体時価なんかどこにあるのですかということ ですよ。時々刻々あんなに乱高下する市場価格が時価だなんていうことはとんでもないで すよ。だけど、経済のことをご存じでない会計士とか商法学者の方たちが変てこりんなこ とを決めてしまったわけですよ。その時価会計や減損会計がさらにその企業を追い詰めて いるという現状があるわけですね。 だから、そういう間違った改革については経済産業省は間違っているともっとはっきり とおっしゃっていただきたいと思うのですよ。日本企業の基本的な基礎体力というのでし ょうかね、それはまだ失われていないと、貿易黒字をずうっと続けてきて、世界一の債権 国である日本で財政赤字なんか心配要りませんよ、すぐ増税するなんていうことにはなり ませんよというようなことをおっしゃっていただきたいのです。 今非常に苦しいというのは、例えば日銀短観も、先ほど藤さんはこれが暗いというよう な感じでおっしゃいましたけれども、とんでもないですよ。経常利益だって何だって改善 しているとはっきり出ているわけです。増収・増益だって書いてあるわけですよ。それな のに、景況判断だけが暗くなっているのです。心理的な悪化でしかないですよ。ですから その心理を改善させてあげるということが非常に大事なのですね。今非常に誤った見方を する方たちが日本は駄目だだめだ駄目だとおっしゃっているのですよ。駄目ではないので す。そういう方たちが誤った改革を押しつけたから駄目になってきたのです。むしろそう いうことを全部やめてしまって、本当に日本が強くなるためにはどうしたらいいかという ことをゼロスタートで考え直したらいいなと思うのですね。まだ間に合いますから、これ から一生懸命おやりいただきたいと思います。 どうも失礼しました。 ○稲葉会長 非常に元気のある御発言で、ありがとうございました。そのほかどうぞ。 ○伊丹委員 一橋大学の伊丹でございます。今話に出ました特別信用保証制度、私も大 変いい政策だったと思いますが、2つ質問がございます。 1つは、この制度を事故率の問題をうんぬんする、あるいは延命を図るというタイプの 批判と、もう一つある批判は、本当は要らない、お金の要らない中小企業に実は金が回っ てしまって、それが株式投資に回るとか、そういった本来の趣旨でない使われ方に相当額 がされているのではないか、それは決して政策的に望ましいことではないというタイプの 批判もある。実際私の身の回りでも、何だか借りてくれ借りてくれ、何でもいいからとい って、保証制度があるのだからというので、株を買った中小企業のおやじさんがいる。 やはりそういうことをみていますと、その制度の、事故率のみならず他の批判にも答え るためのきちっとした分析が中小企業白書で、これだけ大きな政策を打ったわけですから 当然あってしかるべきではなかったかと、そういうふうに思います。したがいまして、質 問は、変なお金の使い方を、本来の目的ではないものに使われてしまったかにみえる金額 というか、そんなことはわかるわけないのかもしれませんが、そういう見当とか何かはつ かないのか。それが1つです。 それからもう一つは、これは中小企業白書の問題ではなくて、今年度とられる、あるい は既に決まっている政策についての判断とか、その背後のデータといいましょうか、判断 材料についての御質問ですが、同じく信用保証に関連した話で、一般保証に移す限度額を 引き上げる。当面の経過措置としては私も必要かなとは思いますので、政策そのものには 反対ではないですが、最大の懸念は、臨時にとられたはずのあの大規模な特別保証制度が 一種恒久化していくという、日本の政策に非常によくみられるパターンをどうやって防ぐ かということです。金利?臨時措置法が戦後40年臨時措置として続いたとか、その種のこ とが起きる危険はないのか。29兆円あるという信用保証の残高のうち一体何割ぐらいがこ の一般保証制度に移って存続し続けるという見当でもってこの政策判断をとるのかといっ たようなことについてお聞かせいただければと思います。 ○内山金融課長 お答えしたいと思います。中小企業庁の金融課長でございます。 今のまず第1の御質問でございますが、特別保証というのが要りもしない企業に使われ ているのではないという点でございます。特別保証制度につきましては、資金使途、これ は事業資金に当然限定をしておりまして、事業と無関係なそういった資金は当然対象外と いうことでございます。したがいまして、保証時点でそういった資金使途が対象外である ということがわかれば当然保証には応じないわけでございますし、後になって、場合によ っては、仮に事業資金以外に流用されたということがわかった場合には当然、今後の当該 事業者からの保証申込みにつきましては保証を行わないというきちっとしたペナルティも 科して運用しているところでございます。 それから特別保証制度を廃止しまして一般保証制度を拡充したわけでございますが、こ ういった措置が恒常化するのではないかという点でございます。特別保証制度につきまし ては、これが臨時令たるゆえんでございますけれども、1つは、制度的にネガティブリス ト方式という、所定事項に該当しない限り原則として保証するという審査を行っていると いう点と、それから国から全額補助によりまして各信用保証協会で特別な基金を創設して いるという2点でございます。今回、一般保証制度におきましてはこのネガティブリスト 方式をやめて、個々の中小企業者の実情をきめ細かく審査して総合的に判断するというよ うな審査方式に改めたところでございまして、相対的に、当然特別保証制度に比べますと ハードルというのは高くなっておるわけでございます。 それから特別保証廃止後拡充されました一般保証、どのぐらい移行するのかという点で ございますけれども、先ほど御説明あったかと思いますが、保証承諾につきましては、特 別保証2年半の実施の間に約29兆円が承諾をされております。この3月末の保証残高につ きましては、約16兆円弱ございます。 他方、一般保証につきましては、毎年12兆あるいは14兆ぐらいで推移してきておるとこ ろでございまして、特別保証と一般保証合わせました保証残高は、現在41兆円に上ってお ります。特別保証の残高16兆円弱はおおむね今後5年間ぐらいではゼロに向かいまして、 かわりに一般保証の残高、今26兆円ぐらいあるわけでございますが、これが増加していく だろうとみております。そこで合計の保証残高につきましては、数年後には30兆円台に着 地をしていくのではないか、そこにソフトランディングしていくのではないかという見通 しをもっておるところでございます。 ○稲葉会長 そのほかどなたかいらっしゃいませんか。 ○篠崎委員 九州大学の篠崎です。 IT関係と政策、中小企業問題について、これは質問というよりもコメントになります 一般的にITは民間主導なので政府の出る幕はないということがよくいわれるのですけれ ども、そのことの是非はともかくとして、私は今地域にいて思うのは、2つの点でやはり 政策というか行政機関がかかわれる部分があるだろうと思います。 1つは、地域においては、いい悪いは別にして、行政機関というのがかなり大きなプレ ゼンスをもった経済行為をしている機関だということです。ですから、例えば福岡ですと 電子県庁とかそういうことがいわれてますけれども、ここが電子化する。これは電子化す るために電子化するのではなくて、大筋は要するに税金の節約、効率的な政府という意味 で使うわけですけれども、そこが電子化していく中で、単に印鑑証明がどうのこうのとい う話ではなくて、電子調達をこの地域のいろいろな行政機関が、県庁に限らず市役所、そ れから経済産業省の局も九州にありますし、これは組織の枠を超えて、農水局だとか建設 局だとかいろいろなところがあるわけですけれども、そこが電子的な経済行為をすること によって、地場の、地元の企業が、つながりをもったところが電子化していくということ を促すきっかけになると思うのですね。そういう意味では、これはある意味でデジタル・ オポチュニティをつくっていくことになると思います。 ところが、いろいろなところにアンケートしていくと、どうやったらいいかわからない というのが確かにあるわけですね。今いろいろなセミナーのようなことがやられてますけ れども、これを単にお勉強のセミナーではなくて、そういう地域の実情に応じて、ここだ と、行政機構もこういう電子化をしていくので、そのためにはこういう使い方をしていっ たらいいというのを、ITというのは時間と空間を超えるだけではなくて、組織の枠を超 えて、アイデアとか頭脳とかが自由に行き交うわけですから、例えば九州であれば、これ は県庁のシステム、これは市役所のシステム、これは経済産業局のシステム、これは中央 政府の機関というのではなくて、地域としてまとまって中小企業の人がIT化していくと きに具体的なものを学びながら実際のビジネスにもつながっていく。そうするとビジネ ス・オポチュニティにもなるし、全体の底上げにもつながっていく。 ちなみにアメリカでは、これは2年前のデータですけれども、19の政府機関が電子調達 に入っていって、6万社が参加して、11億ドルの節約につながったと。 1,200億円ぐらい ですね。そのうちの一部は参加した企業にリファンドしているのですね。これだけ行政が 効率化したので、参加してくれたところには報奨金を出すと。そういうインセンティブも ついている。これが一つの方策ではないかということ。 もう一つは競争政策ですね。例えば、これはある自治体の話で、九州ではありませんけ れども、2次情報なので私も明言はできないのですけれども、例えば建設に関係する入札 で、今までは情報が均等には行き渡りにくい社会だったので、大きい建設会社が大体情報 をたくさんもってますので、引き受けて、ずっと発注を、どういう言葉を使っていいかわ かりませんけれども卸していくというような仕組みがあったと思います。地域単位でいろ いろな発注情報が電子的に流れるようになって中小企業も使えるようになると、そういう ところを抜きにしてダイレクトに、中小企業というか、いわゆる最後の施工企業がとれる ようになってきたのですね。そうすると、かなり実は浮いているのです。ここら辺にいろ いろ問題があると思いますけれども、そのことの是非はともかく、ただ、そういうことを やったところは後が怖いというのですね。 これはどういうことかというのもなかなかいいづらいのですけれども、やはりある種の 業界の秩序を乱してますし、江戸の仇を長崎で討たれるというような怖さだと思うのです けれども、これは明らかにフェアトレードに反するわけです。公正取引というのは、公正 取引委員会がやっているからいいではないかと思うかもしれませんけれども、やはり規模 の問題とかきめ細かさという面で必ずしもそこだけでうまくいかないものを中小企業庁あ たりもくみ取って、少なくともボイスを出す。そうすることによって競争政策自体も、政 策機関自体も、多元的なチャンネルで競争政策、あそこが怠けているとここがやるよとい う感じの多元的な政策ができるのではないかということが1つです。 この2つがITと中小企業の関係ではできるのではないか。 それから、これは1点、さっきエンジェル税制というのが出たのですけれども、あれも 私は余り詳しくないのですが、通算できる所得の枠が非常に限られているので、あれのね らいは、とにかく金もっている人がもっとリスクのところにお金がいくようなインセンテ ィブなわけなので、これは通算できる所得の範囲はむしろ制限がない方が、お金持ちの人 のお金が動くという意味ではいいのではないかという気がしてます。 これもすべて意見ですので、特にリプライは必要ありません。以上です。 ○稲葉会長 非常にわかりやすいようなわかりにくいような話でございまして(笑声) 勉強になったと思いますが。 ○都村委員 商工会からまいっております都村と申します。 現場としていろいろのことでの要望なり意見なりを申し上げたいと思いますが、この中 小企業施策に基づいて13年度予算というものができてきまして、13年度取り組んでいかれ るわけでございますけれども、この2月、3月ぐらいになりますと、13年度やっていく上 においてのかなり具体的なものが決まって予算づくりができます。これは最もそうだと思 いますけれども、ただ、こういう変化の多い時代に、13年度の事業というのはこれこれで すよと、あとはもうないですよという話をできるだけなくしていただきたい。変化がある 時代ですから、できる限り13年度にやっていこうとする意欲のあるものについては、その ときそのときに応じてやっていただかなければ、予算というもので積み上げていきますも のですから、極端にいえば、もう12年度に13年度やることが決まってしまっているという ような形では、やはり後編、後編になってくるのではないかなと。こういった気持ちがあ りますので、要望を1つしたいと思います。 もう一つは、そういったことをやっていく場合に、裏負担の問題であります。地方の県 の何分の1負担、それから町が何分の1負担という負担の問題でありますけれども、なか なかこの負担の問題でできない事業がありますのが地方の現状であります。したがいまし て、できる限り地方の負担というものを弾力的に考えていただきたいと思っております。 例えば県が何分の1、市町村が何分の1というのであれば、本当にやりたい町なら県の分 まで抱えてやるわけです。ですから、そういったところの地方という考え方を是非ひとつ 県が何分の1、町が何分の1ということではなくて、少し弾力的にお考えを頂きたいなと 副大臣お越しいただいておりますので、是非ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思い ます。 ○稲葉会長 どうもありがとうございました。時間がまいりましたので、もう一人だけ にしたいと思います。 ○鯖江委員 まず、本日示されました中小企業白書ですね。これは本当に多彩な、私ど もに頑張る一つのベースを与えていただいたということで、うまくおまとめいただいた。 是非これをベースにして新しいチャレンジをしたいと思っております。さらに新しく講じ ようとする中小企業施策につきましても、私どもは、結局今求められるのは中小企業の自 助努力であり、またダイナミズムと同時に秩序であると考えておりまして、私どもはこの 政策を現場として忠実に頑張ってチャレンジすることによって中小企業に勇気も与えたい と思っております。 ところで1つ、副大臣おみえになっておられますので、これは番外の話になります。そ れから紺谷さんのセコンドの話にもなります。今紺谷委員からのお話を伺っておりました けれども、中小企業の痛みというものは、ただのエコノミストであるとか学者の先生方に は実は本当に体験上そういう痛みというのはおわかりにならんと思うのですね。常に安全 地帯からいろいろ御批判なさっているような気も実はいたしております。 例えば本来中小企業向けの貸付金を株に向けたというような話ですけれども、これは 1 ,000に1つあるかなしかの話だと思うのですね。例えば金融機関の現場において完全に成 長管理も同時にみながら、同時に危機管理もなさっていると思うのですよ。したがって、 主要目的外の金融をまず受けるということは恐らく借り手の方は至難の技だと思うのです ね。そういう網の目をくぐり抜けた 100に1つ、 1,000に1人のことを取り上げていただ きまして、中小企業はどうのこうのといわれるのはやはり中小企業にとっても本当に現場 として、現場の痛みを知らんのと違うかなあというような懸念がいたしております。 それからきょう大臣の先生おみえになっておられますので一言申し上げたいと思うので すけれども、これは番外で、後で中村長官におしかりを受けるかわかりませんけれども、 あえて申し上げさせていただくなら、せっかく今回政審委員制度が廃止されまして、それ から国会で経済論争とか中小企業論争とかそういう政策論争が期待できると、本当に真の 立法府としての御意見などを承れると実は期待しておりましたが、だれやらおろせとか、 かれやらおろせとか、人の攻撃ばかりで、本当の政策がみえてこなかった。恐らくこれで は首相がどなたかにおかわりになったってまた同じことになるのではないか。 ぜひひとつそういう面において、失われた10年は与党も責任あったかわかりませんけれ ども、現在、野党の方にも失われた10年の責任の一端があったわけでございますので、そ こら辺も、責任与党として、皆さん方にも責任あったよということをはっきりおっしゃっ ていただきながらやっていただかんことには、ますます政局混迷いたしていきます。せっ かく出されましたこういった13年度に施す施策等も、実際にコストパフォーマンスという か、費用対効果というか、それだけの実効性のある効果が出てこなければ、せっかくおつ くりになった施策も骨太とはいえないわけでありますので、そういう意味では先生方にも 若干責任があると思いますので、どうかひとつそういう点も御勘案の上、私どもに対する 育成の支援をしてください。 それからもう一つ、時間がないようで恐縮でございますけれども、今までの白書もこれ を直せと一切いいません。本当にうまくできているのですよ。実は無理やり難題吹っかけ てきたら、それは文言からとれば1つ2つ出てくるかもしれませんが、全体からみると本 当にこれはきちっと整理されておる。これをひとつベースにしたいと。これは変わりござ いませんけれども、ただ一つ、この長引く不況の根源、これにはやはり中小企業庁の方は 触れにくいかなと実は思っているのですね。 例えばどんどん消費が冷え込んで、同時に安いものしか買わない。ますます値段が下が ってくる。企業は利益が上がらない。どんどんデフレスパイラルが消費の面でも進んでい るわけですね。生産拠点を海外にお移しになったことは企業の利益のためにやむを得んこ ととは思いますけれども、それによってこうむる中小企業の弊害も相当あるわけですね。 同時についでに土地まで下がってきた。下がり過ぎたのですね。普通、 100ある一つの土 地の資産が半分から3分の1に減ってしまった。これは減ることによって固定資産税の問 題が出てきた。地方にとっては固定資産税というのは安定的、継続的な、非常に税収のも となのですね。それにもかかわらず土地が、資産が下がってきた。これは何とするのです かということになります。固定資産税変えよとはいっておりません。ここの論点外でござ いますので。しかし、それによって資産の担保の価値も下がったわけです。貸し渋りでは なくて、借りにくい状態になっているのです。3分の1に目いっぱいお金を借りておった 運転資金も次に借りられないのですね。 ですから、実際に店を直したい、あるいは設備投資をしたいといったって、貸し渋りで はなくて借りられない状態になっているのです。まず土地も下がった、消費も下がった、 何もかも下がった。先生、土地も少し上げていただく手立ても講じていただいて、半分な らまだいいけれども、3分の1ではちょっとひど過ぎますな。そういうような、この問題 以外の問題で先生方のおしかりを是非頂きたいと思うのです。 そういう意味で、最後に、くどいようですけれども、出されました今回の施策全部に対 して本当に感謝の意を表しながら、一応おまとめいただいたことを了解させていただきた い、かように思います。 ○稲葉会長 どうもなかなか長いごあいさつありがとうございました。先ほど高原さん 何か御意見あるように……。例外に1つお願いします。 ○高原委員 時間の関係で1点だけ申し上げます。 中小企業経営者というのは、今の工業社会から情報社会に転換する大転換期にビジネス モデルというのを非常に求めておると。それについて、桑田課長さん、あるいは藤室長さ んに検討いただけるのではないかと。その前提として、本日の事務局の御発表に対しては 私は基本的に敬意を表します。したがいまして、私の今の発言は追加を検討していただき たいということでございますが、私なりに仮説として、工業社会の場合には中小企業の役 割というのは、いわゆる下請であるとか、小さな規模のサービス業であるとか、したがい まして、きょうも御提言ありましたように、小売業とかサービス業とか、あるいはゼネコ ンの下請とか、そういうふうな形が大半を占めておる。じゃ情報社会にどういった中小企 業の可能性があるのかということを、もし単年で分析が十分できなければ、少し継続的に 一つの項目に入れられてはどうか。 私自身の仮説を具体的に申し上げますと、情報社会の中小企業の一つの仕事として、エ ンゲル係数の推移をみてみますと、完全にモノ離れになっておりまして、ネット化社会と いうことで、手段、方法でネットという光の当て方もありますが、ワン・ツー・ワン・マ ーケティングという、いわゆる小地域の抱え込み。たとえていえば旅行業者なんかでも、 大手のJTBで提案するのと反対に、なじんだ旅行業者が親切にやってくれるというのは 中小企業の一つの立派な分野として成功する情報社会のモデルです。これだけエンゲル係 数がずうっと変わってモノ離れになっておりますので、そういうデータから明確にビジネ スチャンスを提案することは確実であると。ですから、この項目以外に是非追加をして、 こういうビジネスモデルにチャンスがありますよと。今年の白書は、藤室長が随分モデル を入れていただいたのですが、ビジネスモデルの体系化を少し御検討いただけたらと。 時間の関係でこれはカットします。終わります。すみません。 ○稲葉会長 おっしゃる趣旨よくわかりますので、よく検討していただきたいと思いま す。 きょうは実は出席の方が非常に多くて、欠席の方が1名ぐらいしかいないのです。それ で皆さんもいろいろ御意見おもちで、勉強になることばかりで、さらにお聞きしなければ いけないのですが、時間という問題がございまして、この辺でまとめたいと思いますが、 ひとつお許しを頂きたいと存じます。 それで、答申文を読み上げたいと存じます。実はこれは最初からできているのですけれ ども(笑声)、副大臣に聞いていただきたいと思います。 平成13年4月3日 経済産業大臣 平沼 赳夫 殿 中小企業政策審議会 会長 稲葉 興作 「平成13年度において講じようとする中小企業施策」 (案)について(答申) 平成13年3月29日付け平成13・03・29中第6号により、中小企業政策審議会 に対してなされた「平成13年度において講じようとする中小企業施策」(案)について 下記のとおり答申します。 記 中小企業基本法第11条第2項の規定に基づき諮問があった「平成13年度において講 じようとする中小企業施策」(案)については、内容を検討した結果、適切なものと認め られる。 これをひとつ提出します。 (答申書手交)(拍手) ○松田副大臣 この紙に尽きない貴重なお話をたくさん頂きました。中小企業審議会も 三十何年前に比べますとはるかに内容豊かになり、きょうは経済財政諮問会議に出席して いるのかなと思って楽しませていただきました。 皆さん、本当に今後ともひとつ、経済産業省、とりわけ中小企業庁、きょう御発言なさ らなかった方もたくさんおられることと存じますが、御案内のように、いつも開かれた役 所であります。どうぞそれぞれの立場でまた一層、今副大臣指名で御下命もいろいろ頂き ました。なかなか政治が本来の役割を果たしていないということは私も反省しながらしみ じみ聞かせていただいたわけでありますが、どうぞひとつこれを御縁に、また中小企業庁 一層御指導御鞭撻くださいますよう心からお願いいたしまして、有り難く答申を頂きまし た。ありがとうございました(拍手)。 ○稲葉会長 大臣のごあいさつを頂く予定になってなかったのですが、頂きまして、あ りがとうございました(笑声)。 ここで、副大臣が所用のために退席をされます。本日は御多忙のところありがとうござ いました。 (松田副大臣退席) ○稲葉会長 どうも予定と違いましてちぐはぐいたしまして失礼いたしました。 さて、本年1月に新しい中小企業政策審議会がスタートして以来、各部会、分科会が開 催されておりますが、本日はその概要につきまして、お手元の資料―10~14に基づき報告 いたしたいと存じます。 これは別件でございますが、まず最初に小規模共済制度における付加共済金額の算定に 用いられる平成13年度の支給率についてでございます。この支給率は小規模企業共済法及 び中小企業事業団法の一部を改正する法律附則第8条の規定に基づき、経済産業大臣が本 審議会の意見を聞いて決めることになっております。本件につきましては、経営安定部会 部会長をなさっている上野委員から審議経過について御説明を頂きたいと思います。上野 委員、よろしくお願いします。 ○上野委員 経営安定部会に所属しております上野と申します。どうぞよろしくお願い します。 既に委員の方々にはご存じのように、従来の中身を経営安定部会が引き継ぎまして、特 に中小企業の方々の退職金的なものに当たる共済制度がございます。その共済制度の額は 毎月積み立てているわけですけれども、契約期間に応じて固定額として決まった利率で退 職、あるいはおやめになるときに払う基本共済金と、その運用収入に応じて支給される付 加共済金の合計をお払いするという意味で、また2階建ての部分がございます。 このうち1階の部分については固定的にお支払いするということで、2年前に利率を若 干下げさせていただいて、大変厳しい状況の中で 2.5%になっているわけですけれども、 この2階部分に当たります付加共済金の額のプラスアルファ部分の支給率は毎年度、経済 産業大臣が本中小企業政策審議会の意見を聞いて定めることとされております。 このことについて議論をし審議をするために、3月1日に開催されました経営安定部会 におきまして、昨今の利率の状況などをかんがみ、あるいは付加共済金の原資となる額な どを勘案しまして、平成13年度に係る支給率をゼロとすることが適当であると部会では議 決されましたので、ここに報告申し上げたいと思います。 ○稲葉会長 どうもありがとうございました。いろいろ長く説明いたしましたが、結局 プラスアルファはゼロだということでございます(笑声)。しかし、全体としてまあまあ ではないかと思いますが。これは余計なことかもしれませんが、既に基本的なものは確保 されたということでございますので、ひとつ御了解を得たいと思います。 ただいま御報告いただいた経営安定部会での決議の内容は、審議会運営規則第10条に基 づき、本審議会会長である私の同意を得て審議会の議決となっております。本件につきま しては、3月8日付けで本審議会の議決をして経済産業大臣に答申したところでございま して、委員の方に御報告いたします。 その他の報告事項につきまして、事務局の方から説明をお願いいたします。 ○加藤企画課長 4点ございます。順次担当課長の方から1~2分で御説明させていた だきます。まず第1点でございますが、北川財務課長から、企業制度部会における商法改 正の御説明でございます。 ○北川財務課長 財務課長でございます。資料―11をごらんいただきたいと存じます。 企業制度部会におきましては、商法改正に伴います審議を行っております。「検討経緯」 をごらんいただきますと、法務省が事務局となっております法制審議会では、平成14年の 通常国会への法案提出をめどといたしまして会社法の全面的な見直しが議論されておられ ます。これに対応いたしまして、中小企業政策の視点からどういった議論があるのかとい うことを企業制度部会で御議論いただいておるわけでございます。 去る1月31日に中間取りまとめを公表いたしまして、現在、パブリックコメントを頂き それをもとにまた議論しているところでございます。具体的な提案は、1ページ目以降、 「基本的視点」、あるいは次に具体の議論としては「定款自治の拡大」、中小企業におけ る柔軟な運営の確保を会社法上どうするのかという議論、それから資金調達その他の議論 から株式の取扱いの規定の問題、それから3ページにまいりますと、特に中小企業の実態 も踏まえた上での計算書類の公告・開示の問題、特に中小企業のディスクロージャーとい うのは非常に重要な政策課題ではございますが、それを実態上どのように進めていくかと いう問題意識でございます。 このような観点から中間報告をまとめて公表したところでございます。引き続きまして 法制審議会でも4月中に中間試案を公表される予定とお伺いしております。そういったも のを踏まえながら、また引き続き検討を進めていただきたいと考えております。 以上でございます。 ○加藤企画課長 2点目は真鍋参事官から、商工会組織の説明をお願いします。 ○真鍋小規模審議官 資料―12でございます。「商工会組織に関する制度整備について の検討状況」という資料でございますけれども、一言で申し上げますと、商工会同士が合 併を行う、それをやりやすくするように商工会法の改正というものを念頭に置いて検討が なされてきたということでございます。 これにつきましては、昨年の11月以来、本審議会の小規模企業部会において審議をして きていただいておりました。それで、昨年の12月21日でございますけれども、中間取りま とめをしていただいたところでございまして、前回、1月19日でしたか、本審議会におい てその中間取りまとめに関しまして報告をさせていただいたところでございますが、その 後、2月2日でございますけれども、小規模企業部会が開催されまして中間取りまとめの 案のとおり取りまとめがなされたということでございます。 内容につきましてはその後にるる書いておりますけれども、ポイントだけ一言御説明さ せていただきますと、2ページ目をあけていただきますと、「商工会の広域化・合併への 動き」ということで、中小企業者における支援の商工会に対するニーズ、こういったもの がIT革命への対応でありますとか経営革新でございますとか、高度化、多様化している ということでございます。しかしながら、商工会の方の実態をみますと、経営指導員の数 等々含めましてなかなかそれに対応しにくい状況になっている。そういった問題を解消し て対応していくためには、その有力な対策として商工会同士の合併というものがあるので はないかということでございます。 次の3ページ目でございますけれども、そのためにということで、制度整備、具体的に 何をやるのかということで、ポイントはその(1)と(2)の2点でございます。これは 商工会法の改正ということでございますが、(1)、現在の商工会法に合併の手続規定が ございませんので、それを設けるというのが1点。それから(2)でございますけれども 現在、原則として商工会というのは一つの市町村の域内全部をみなくてはいけないという ことになっております。しかしながら、それを待っておりますとなかなか時間がかかると いうことで、一つの市町村の中にたくさんの商工会があるようなときに、それが全部一緒 にならないまでも、市町村の部分にしかならないものであっても、その合併を認めていこ う。ただ、その市町村行政との整合性という意味において、関係市町村長の意見を反映さ せるといったような条件のもとに部分合併も認めていこうというのが2点目でございます あと最後のページになりますけれども、そのような法律の改正を期していく。それから 最後4.、4ページに、その際の心構えといったことが書かれているわけでございますけれ ども、合併を選択するかどうかはあくまでも商工会が自主的に選択していく問題であると いうこと。それから、当然のことでございますけれども、合併はそれ自体が目標ではなく て、そのメリットを最大限に生かす形でやっていくことが肝要であるということが最後に 書かれているわけでございます。 その後の動きでございますけれども、この小規模企業部会の取りまとめの方向に沿った 形での商工会法改正案につきまして3月2日に閣議決定を頂いておりまして、同日、国会 に提出されております。今後、今回の通常国会で御審議を頂き成立を期したいと考えてい るところでございます。 ○加藤企画課長 次に近藤経営支援課長から、中小企業支援計画について御説明いたし ます。 ○近藤経営支援課長 資料―13でございますが、13年度の中小企業支援計画についてで ございます。中小企業支援計画につきましては、【参考】に書いてございますが、中小企 業支援法に基づきまして、国、県が行う経営に関する助言・診断、あるいは研修等の事業 につきまして大きな計画を年度ごとに定めるということで、3月6日に経営支援分科会の 経営支援部会で、別添についてございますけれども、原案を御了承いただきまして、7日 に審議会からの答申を頂くということでございます。 それで、その後でございますけれども、こういった支援計画につきまして各県にも通知 をいたしまして、あわせて官報で要旨を告示いたしました。3.にございますけれども、さ らに、これを受けまして各都道府県が地元の独自性も織り込んだ各県における支援事業の 実施計画というものを今後定め、経済産業大臣にお届けいただくということで、各県がこ れから作業に入るという状況でございます。 以上でございます。 ○加藤企画課長 最後4点目でございますが、林技術課長から、IT推進計画について 御説明いたします。 ○林技術課長 それでは資料―14に基づきまして、「IT化推進計画について」御説明 いたします。「検討経緯」のところにございますけれども、昨年の12月1日に「経済構造 の変革と創造のための行動計画」、これは閣議決定でございますけれども、ここにおいて 中小企業のおおむね半数程度がインターネットを活用した電子商取引等を実施できること を目標に、必要な支援策を総合的に講ずるということが定められておりまして、この目標 の実現に向けまして具体的な取組を定めましたところの「中小企業IT化推進計画」を策 定することとしております。具体的には、3月6日に経営支援部会におきましてこの計画 案につきまして御議論を頂き、その後、パブリックコメントを頂いております。 「今後の取扱い」でございますけれども、各委員の御意見、それからパブリックコメン ト等の御意見を踏まえまして、4月上旬に「中小企業IT化推進計画」というものを策定 する予定でございます。 内容でございますけれども、資料―14の3ページ目に、「中小企業IT化推進計画 (案)」ということでございます。ここに書いてございますように、背景といたしまして は、日本の経済成長に結びつけるためには中小企業のIT化は不可欠であるという認識の もとに、先ほど申し上げているようなお話をしております。具体的には、中小企業のIT 化に向けた課題、これは中小企業が取り組むべき課題、公的機関が取り組むべき課題、そ れから連携して取り組むべき課題がございまして、右の方の半分に、その課題を実現する ための支援策ということで、「中小企業のIT化の支援策」並びに「中小企業のIT化の ための基盤の整備」ということでまとめております。 最後に、これらの計画につきましては、IT化の推進の実態調査を行いますとともにフ ォローアップを実施しまして、必要に応じて各施策の目標の見直しを行うこととしており ます。 概要、以上でございます。 ○稲葉会長 以上、非常に駆け足で事務局から報告がございましたが、企業制度部会及 び経営支援部会の部会長でいらっしゃる小川委員、何か御意見ございますか。 ○小川委員 時間がございませんので、一言二言だけ申し上げておきます。 まず企業制度部会、商法改正でございますけれども、こちらの方は部会の中に法制審議 会の商法部会の専門委員がいらっしゃいまして、そのレクチャーを受けながら中小企業の 特徴を大変熱心に議論していただいて、ただいまの報告のとおりの内容になったわけでご ざいます。 それから経営支援分科会、経営支援部会で2つのテーマ、今報告がございましたように 年次計画の問題、それからきょうここでの重要な議題となりました中小企業のIT化に向 けて議論が進みました。1つは、支援計画につきましては、人材登用、民間における専門 人材の登用という大変画期的ともいえる方向を打ち出し、3つのレベルの支援センターの 強化に充てた。 それからもう一つは、これは申し上げておきたいと思いますが、ITに関する議論は白 熱いたしまして、結果においては、IT政策を展開するときのフィットのよさ、先ほども 九州大学の先生から御発言ございましたように、レベルも規模も業種も業態もいろいろ地 域の事情も違うので、フィットのよい施策をきめ細かく展開することが必要だというのが その部会での結論でございました。 以上でございます。 ○稲葉会長 どうもありがとうございました。それでは、小規模企業部会長でいらっし ゃいます上野委員、事務局の報告に対して何かございますでしょうか。 ○上野委員 時間がありませんので、私も手短に。 若干私見が入るかもしれませんけれども、1つは、小規模企業というのは、ここで議論 されているよりも、もっときめ細かいといいましょうか、非常に小規模であると。従業員 10人、あるいは19人以下といっても、日本の経済構造からいえば9人以下の事業所が圧倒 的に多いわけでありまして、そこを対象にした議論をしているわけですけれども、中小企 業基本法の改正がそういった極めて細かい、規模の小さい企業の方々にとってどの程度徹 底されていて、どの程度具体的な施策展開が受けられるようになっているのかどうかとい うことについては若干私は疑問のところがありまして、そういう中で、もう少し法改正の 趣旨を徹底して、同時に具体的な政策展開をどう提示していくのかと、小規模企業に対し てどうするのかということについて、細かさが必要ではないか。 それから2点目は、先ほど参事官の方から御報告いただきましたように、商工会の合併 手続ですが、IT関連にしても、様々な施策展開を具体的に実施していただいているとい いましょうか。ところが、商工会であったり、商工会議所であったり、中小企業団体、中 央会であったりするわけですけれども、さらに地域中小企業センターをつくって、今年は 300カ所ぐらい、国の機関、あるいは都道府県の3類型も含めて、それらの関係というの がどうもまだ徹底していない。いわば仕事の役割分担をどうするのかということについて も検討しなければいけない。 第1回の審議会の中で清成委員の方からも、次はというのか、商工会と商工会議所の合 併とか、地域によってはその方がもっと施策展開にはいいのではないかという意見もあり ました。今その時期であるかどうかはちょっと疑問のところもありますが、小規模企業の 施策展開を具体的に国としてどういうふうにやっていくかというための組織的なあり方に ついてもう少し整合性を考えて、一本化するなり、あるいはもうちょっと整理するなり、 そういったものが必要ではないかと思います。 それから最後に、各委員の方々からの御報告や御意見の中にもありましたけれども、第 1番目の小規模企業という非常に規模の小さいところからありまして、ただ、それがどう しても経済産業省、あるいは中小企業庁からいうと企業レベルでの施策展開、あるいは産 業別の施策展開、それは税制にしても、企業の支援策にしても、対企業に対してどうする かという話ですけれども、小規模企業からいうと、地域的に、例えば先ほどの創業支援の 中でも、小売業、飲食業の創業が余りなくて、廃業しているのが多い。じゃそこはどこの 地域でどういう状況になっているのかという、ある意味では地域的な展開の枠組みの格差 とか、それからどういう地域が産業集積があって、元気のいい中小企業がそこから生まれ てくるのかというような、どうしても産業別、企業別の施策展開に陥りやすいのですけれ ども、小規模企業にとってみると、地域ごとのビジネスモデルとか、あるいは地域ごとの 施策展開とかいったものをもう少しきめ細かく議論していかないといけないのではないか と思って、小規模企業部会でも、これからはそういったところにも少し重点的な枠組みを やって議論をしていきたいと考えております。 どうもありがとうございました。 ○稲葉会長 どうもありがとうございました。商工会議所を私やっておりましてよくわ かります。よろしくひとつお願いいたします。 なお、ただいま御報告いただきました案件のうち中小企業支援計画につきましては、審 議会運営規則第10条に基づき、本審議会会長である私の同意を得て審議会の議決となって おります。本件につきましては、3月7日付けで本審議会の議決として経済産業大臣に答 申したところでございまして、委員の方々にこの件を御報告いたします。 時間も若干予定より過ぎておりますが、最後に中村中小企業庁長官からごあいさつを頂 きたいと存じます。 ○中村中小企業庁長官 中小企業庁長官の中村でございます。長時間、御議論、御意見 頂きましてありがとうございました。 私どもは、中小企業、現在大きな構造変化に直面していると認識しておりまして、その 構造変化の内容をできるだけ具体的な事例に即して今回御説明し、我々の政策の背景を御 説明すると、こういう観点から白書をつくったわけでございます。今後ともこういう認識 に立って、より具体的な実例をもとにして、その変化をお示しして政策のバックグラウン ドをしっかりと御説明していきたいと思っております。 とりわけ特別保証についてはいろいろ御意見を頂きました。国会でもいろいろ議論がご ざいまして、これはまず政策評価という点でも議論がありましたし、執行面という点でも 議論がございました。政策評価という点については、私どもは効果が大きかったと評価い たしておるところでございます。執行面については若干の不正使用、その他があったとい うことは事実でございますが、 160万という件数の中では比較的、しかも短期間という中 ではうまくいったのではないかと思っております。 先ほど課長が御説明いたしましたように、3月30日までに既に承諾したものが28兆 5,0 00~ 6,000億円と。しかも31日まで受け付けましたので、未処理のものが、未審査のもの がまだございますので、29兆円近くになるのではないかと思っております。 ただ、私ども、去年の10月に法律を出したときに、国会でもいろいろ議論がございまし て、信用補完制度のあり方については抜本的な検討をするということになっておりまして 私どもの法律にもその旨書いてございます。できるだけ早く見直すようにといわれている わけでございますが、こういう状況の中でございますので、もう少しよくみたいと思って ますが、その萌芽としまして、例えばここに出てましたが、CRDというのを今つくって おります。試験的な試行を開始したばかりでございますが、信用保証協会、政府系金融機 関、銀行等の参加を得て、百数十万のデータをもとにしてスコアリングのシステムをつく りたいということでやっておりますので、そういうものができてくれば、また信用補完制 度のあり方もそういうのを踏まえてつくり直していくということでございます。 いずれにしましても、経済構造改革については、そのタイミング、その内容等について 大変御議論があったところでございますので、現場をよく踏まえてタイミングよく実施し ていきたいと思っておりますので、今後ともいろいろ御指導賜りたいと思っております。 きょうは本当にありがとうございました。 ○稲葉会長 以上をもちまして、第2回の中小企業審議会・第2回基本政策部会合同会 議を閉会といたします。予定より5分ほど過ぎましたが、無事終わりまして、どうもありがとうございました。 ――了――
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