1.日時:平成13年1月19日(金)10:00~11:40
2.場所:経済産業省 本館17階 第1特別会議室
3.出席委員:石原委員、稲葉委員、井上委員、上野委員、小川委員、角田委員、
木下委員、清成委員、鯉江委員、鴻巣委員、児玉委員、坂本委員、
高原委員、都村委員、中村委員、橋本(寿)委員、樋口委員、
前田委員、美安委員、山本委員
佐伯委員(菅野代理)、堤委員(作田代理)、橋本(昌)委員(鈴木代理)
省内出席者:中山副大臣、中小企業庁長官、次長、審議官、事業環境部長、経営支援部長等
4.配布資料:
(1) 議事次第
(2) 中小企業政策審議会名簿
(3) 中小企業政策審議会 体制(案)
(4) 中小企業政策審議会運営規程案
(5) 中小企業政策の考え方
(6) 近年の中小企業対策
(7) 2001年版中小企業白書 主要検討課題
(8) 商法改正に関する検討について
(9) 商工会組織に関する制度整備について
(10) 当面の審議スケジュール
5.議事次第:
(第1回 中小企業政策審議会)
(1) 開会
(2) 中小企業政策審議会会長の互選
(3) 中小企業政策審議会の体制及び運営規程について
(4) 中小企業政策の現状と課題
(第1回 中小企業経営支援分科会)
(5) 中小企業経営支援分科会長の互選
(6) 中小企業経営支援分科会の体制について
(中小企業分野等調整分科会)
(7) 中小企業分野等調整分科会長の互選
(8) 閉会
6.議事概要:
《 第1回 中小企業政策審議会 》
< 会長の互選 >
・中小企業政策審議会令第4条第1項に基づき、稲葉委員を会長に互選。
< 会長代理の指名 >
・中小企業政策審議会令第4条第3項に基づき、稲葉会長が児玉委員を会長代理に指名。
< 中山副大臣挨拶 >
・改組前の中小企業政策審議会においては、一昨年9月、小渕総理大臣の諮問に応え、「21世紀に向けた新たな中小企業政策の在り方」を答申いただいた。この答申に基づき、新しい中小企業基本法が成立した。
・経済は総じて緩やかな回復基調に乗っている。しかし、アメリカ経済の減速、内外の株価の低迷等、先行きを十分注視する必要。
・一時のような貸し渋りは改善したが、必要な中小企業に金が回っていない面もある。そうした中、昨年の臨時国会において信用保証制度の改正を行ったところ。
・新しい経済産業省は、「経済」全体に目配りをすると同時に、「産業」がついていることからも、個々の産業の息づかいを肌で感じながら政策に活かしていく所存。
< 審議会の体制と運営規程 >
・配布資料(3)、(4)に沿って、事務局より審議会の部会構成等の案と運営規程の案を説明。
・稲葉会長の発議により、案について採決、全会一致で決定。
< 中小企業政策の現状と課題 >
・中小企業政策の考え方
・近年の中小企業対策
・2001年版中小企業白書 主要検討課題
・商法改正に関する検討について
・商工会組織に関する制度整備について
上記各項目につき、配布資料(5)~(9)に沿って事務局より説明。
< フリーディスカッション >
配布資料(5)~(9)による事務局からの説明を受けてフリーディスカッション。委員からの発言は大要以下のとおり。
(現下の景況)
・倒産件数が昨年12月で1500件を超えている。特に特別保証制度を受けた企業の倒産が増え、月300件以上出ており問題。
・昨年の11月頃から再び景況感が悪化している。商工中金の月次景況観測によれば、9月、10月に、指数50の景気好転ゾーンに入りかけたが、11月から反転し、1月には46.7ぐらいまで下がる見込み。これは一昨年秋の水準であり、原因は様々考えられるが、政府としても対策を考えておくことが必要。
(中小企業金融対策)
・銀行が中小企業に返済のリスケジュールを行うと、金融監督庁による債権分類の基準のため、次の保証を受けられなくなり、大変に厳しい。
・CLO・CBOのスキーム円滑化が重要。
・2年前に自己資本比率の規制が非常に厳しくなり、総貸付残高を減らすために内容のいい企業から返済を求めて第1次貸し渋りが起きた。次に翌年度、改めて資産内容について将来に問題がありそうなものを本格的に整理縮小し、第2次貸し渋りになった。ここで20兆円の特別保証が大変な威力を発揮したと認識。
現在、大銀行の統合・合併が進んだ結果、分散したはずの貸付けの集中が進み、与信限度との関係で整理が必要となり金融の締まりが起こる危惧がある。第3次貸し渋りという言葉を使うべきかはともかく、銀行の統合に伴う対応は十分考えておくことが必要。
(中小企業対策費)
・中小企業の従業者4,100万人に対して、中小企業対策費は13年度で1,943億と非常に少ない。例えばSBIRの代表例とされる課題対応研究委託費はわずか合計31億。大体1件数千万円かかるので、総計100件程度にしか補助できず、構造転換を図るには余りにも少ない。
・事業費の予算スキームについて、必ず県の裏負担の問題が出てくる。県の財政が非常に逼迫しており、せっかく国でつけた事業費の執行が困難となることを危惧。例えば国が2分の1、県が4分の1、市町村が4分の1というような予算については、県が出せないのなら市町村が2分の1を出せるような弾力的な予算組みを考えてほしい。また国として重要な事業は、全額補助というように出来ないか。
(事業承継)
・株価の算定基準が改正され、利益を上げている企業の株価が従来の評価よりも大体1.5倍ぐらいに高くなり、事業承継の障害となっている。
(中小企業政策PR)
・中小企業政策は基本法の前後で大変大きな変革を遂げた。従来以上にPR・広報活動の活発化が重要。
(NPO)
・地域ではボランティア支援が活発だが、政府と自治体とが連帯して強力に進めることが重要。
(中小企業の多様性)
・中小企業を平均値で議論するときと、勝ち組と負け組に分けて議論するときで、かなり大きな乖離が出ている。中小企業の中でも分散・多様化が非常に進んだということ。日本経済再生のためには、セイフティネットを整備しつつ、強い企業、業績の向上が認められる企業を積極的に支援する必要。
(ITの光と陰)
・ITは光と同時に陰の部分も大きい。従来の取引関係は、暗黙の前提としての信頼に基づいていたが、バーチャルな世界でそれが形成されているか。IT政策を中小企業に展開するときは陰の部分に注目を怠らないことが重要。
(地域中小企業支援センター)
・地域支援センターについて、地方では商工会との連携がなかなか密になっていない実情があり、配慮を求めたい。
・地域支援センターはアメリカのSBDCの日本版だと思うが、アメリカのものは大学との連携スキーム。日本においても地域レベルの産学官協同の観点から、地域支援センターの大学版を展開してはどうか。
(商工会・商工会議所の合併)
・商工会の広域化や合併に向けた動きが、商工会青年部やJCの活動を基盤として多くの市町村で活発化している。商工会法はできる限り早く改正してほしい。
・一つの自治体の中にある複数の商工会議所の合併、あるいは商工会議所と商工会の合併について、現在進められている市町村合併の問題と絡めてどのように考えるのか。
・商工会議所と商工会の合併は、定常的な現象として毎年幾つかの実例がある。一方、現在課題になっている商工会同士の合併と、商工会議所の合併は別の視点から出てきた問題。
(建設業)
・今の倒産の33%は建設関係で特に厳しい。建設業は650万人の労働人口と国民総生産の12%~15%を占めており、インパクトが大きく対策が重要。
・街の中心部分にもっと高層住宅を建てられるような規制緩和を進める等が必要。
(前向きな中小企業の支援)
・中小企業庁長官が行っている優良中小企業の表彰は、経営者のマインドを大いに刺激するもの。当審議会から、経営者の新しい挑戦を支援するハード・ソフト・ヒューマンウエア等について強力な発信をしていきたい。
(中小企業白書)
・中小企業白書において、事業承継については、マインドの啓蒙・意識改革だけでなくノウハウを掘り下げてほしい。
・経営革新支援制度がよく使われており、非常に結構なこと。白書の中で、経営革新の成功事例・失敗事例の分析をすると、これから新しい事業に取り組む方々にとって大変参考になるのではないか。
・昨年から動き出した民事再生法が、中小企業庁の敗者復活に役立つことを期待。
(商法改正)
・商法の改正に当たっては、事前チェック型から事後チェック型の行政に転換する視点も重要。
(事務局からの答弁)
・景況感については、十分注視する必要。
・金融環境は、我々も地方の実情を精査しているところ。特に、特別保証の3月末終了を踏まえ新たな保証制度を拡充したところであり、ソフトランディングを図るため弾力的な対応をしていきたい。
・IT施策については、昨年の「経済構造改革のための行動計画」第3回フォローアップの中で、電子政府が立ち上がる平成15年度末までに中小企業の半数が電子商取引に対応できるようにするという目標を掲げた。そのためには、個々の中小企業だけでなく、企業間関係やITインフラ等を構造的に考えてゆく必要。
・中小企業は大変大きな構造変化の中にある。この構造変化に対応していくために経営革新を図ってゆくことが重要。
・NPOは現在の中小企業施策の体系上中小企業に含まれておらず、基本法の抜本的な改正にもつながり得る論点であり、将来の検討課題。
・地域支援センターに大学を、との話があったが、地域支援センターがより役立つものとなるよう考えていきたい。
・商工会法の改正については、市町村合併の大きな流れとも関係し、また商工会議所との関係も出てくる。まず第一歩と整理して進めたい。
・今後とも、中小企業政策審議会で十分ご意見をいただいて政策を進めてまいりたい。
< 閉会 >
・当審議会の議事ついては、中小企業政策審議会運営規程第4条に基づき、審議会終了後に議事録が公開される。
・引き続いて短時間、経営支援分科会と分野等調整分科会を行う。
《 第1回 中小企業経営支援分科会 》
< 分科会長の互選 >
・中小企業政策審議会令第5条第3項に基づき、小川委員を分科会長に互選。
< 分科会の体制 >
・小川分科会長の発議により、経営支援分科会の部会構成の案について採決、全会一致で決定。
《 中小企業分野等調整分科会(分科会長選任のための会合)》
< 分科会長の互選 >
・中小企業政策審議会令第5条第3項に基づき、宮下委員を分科会長に互選。
7.問い合わせ先
中小企業庁 事業環境部 企画課 担当:遠藤
電話:03-3501-1511(内5231~6)
電話:03-3501-1765
Fax:03-3501-7791(内8521)