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中小企業政策審議会(第1回) 議事録

1.日時:平成13年1月19日 10:00~11:40

2.場所:経済産業省本館17階 第1特別会議室

< 第1回 中小企業政策審議会 > 【加藤企画課長】定刻になりましたので、ただ今より第1回中小企業政策審議会を開催い たします。
 本日は、お集まりいただきましてありがとうございます。私、事務局を務めさせていた だきます企画課長の加藤でございます。
  初めに、資料の確認でございますが、お手元に席次表、綴りになっております資料1~ 10までの資料集、そしてパンフレットが1つということでございます。ご確認いただきた いと思います。
  まず初めに、本日の議事につきましてご説明させていただきたいと存じます。お手元の 資料の1をご覧下さい。本日は、審議会といたしまして、会長の互選、体制及び運営規程 のご審議をお願いしたいと存じます。また、事務局よりご説明いたします中小企業政策の 現状と課題につきまして、意見交換をしていただきたいと考えております。
  審議会に引き続きまして2つの分科会をごく短時間、ほんの数分でございます、開催し ていただきまして、経営支援分科会におきましては、分科会長の互選と分科会の体制につ いて、分野等調整分科会におきましては、分科会長の互選をお願いいたしたいと存じます。
  続きまして、審議会の委員の皆様のご紹介をさせていただきたいと存じます。ご承知の とおり、先般の省庁改革に伴いまして、国の審議会の整理、合理化がなされまして、本審 議会についても再編を行うことになりました。委員につきましても、その再編に伴いまし て、資料2のとおり審議会及び2つの分科会に新しく委員の任命が行われたところでござ います。
  それでは、資料2及び席次表に基づきまして、本日お集まりいただきました委員の皆様 のご紹介をさせていただきたいと存じます。大阪市立大学商学部教授・石原委員でござい ますが、新幹線の都合で30分程度遅れられます。日本商工会議所会頭・稲葉委員、東京商 工会議所常議員・井上委員、東京学芸大学教育学部教授・上野委員、中京大学学長・小川 委員、主婦連合会参与・角田委員、中小企業総合事業団理事長・木下委員、法政大学総長 ・清成委員、全国商店街振興組合連合会副理事長・鯉江委員、社団法人配合飼料供給安定 機構理事長・鴻巣委員、商工組合中央金庫理事長・児玉委員、国民生活金融公庫副総裁・ 坂本委員、ユニ・チャーム株式会社代表取締役社長・高原委員、全国商工会連合会理事・ 都村委員、弁護士・中村委員、法政大学経営学部教授・橋本委員、社団法人全国中小建設 業協会副会長・樋口委員、学習院大学法学部教授・前田委員、株式会社電脳代表取締役社 長・美安委員、ちょっと遅れられております。空港施設株式会社代表取締役社長・山本委 員、全国中小企業団体中央会常任理事・佐伯委員・代理菅野専務、中小企業金融公庫総裁 ・堤委員・代理作田理事、茨城県知事・橋本委員・代理鈴木商工労働部長。
  委員、臨時委員含めまして人数は、資料2のとおり31名でございます。本日は、そのう ち23名のご出席をいただきました。改めまして、ご多忙中のところ、また寒い中、お集ま りいただきまして、まことにありがとうございました。
  続きまして、審議会令第4条1項に基づきまして、会長の互選をお諮りしたいと存じま す。どなたかご推薦はございませんでしょうか。

【木下委員】旧中小企業政策審議会において会長としてとりまとめに当たってこられまし た稲葉委員に引き続きお願いしたらどうかと考えますけれども、いかがでございましょう か。(「異議なし」の声あり)

【加藤企画課長】それでは、異論もございませんようですので、稲葉委員に会長をお願い したいと存じます。稲葉委員、恐縮でございますが、会長席の方にお越しいただきたいと 存じます。

【稲葉会長】稲葉でございます。皆様のご推挙をいただきましたので、引き続き会長をお 受けし、全力を挙げて中小企業政策審議会の運営に務めてまいりたいと存じます。 改組前の審議会においては、一昨年の9月に、21世紀に向けた新たな中小企業政策の在 り方についての諮問に応じ、「独立した中小企業の多様で活力ある成長発展」の重要性を 答申いたしました。我が国の経済の活性化を図るためには、中小企業の役割は極めて重要 であります。こうした中小企業をいかにサポートしていくか、皆様方のご意見を集約し、 今後とも中小企業政策審議会として積極的な活動を行ってまいりたいと存じます。簡単で ございますが、ご挨拶といたします。 なお、中小企業政策審議会令第4条第3項におきまして、会長代理については、会長の 指名によるところとなっておりますので、児玉委員に会長代理をお願いいたしたいと存じ ます。お忙しいところ恐縮でございますが、宜しくお願いいたします。 さて、本日は、中山副大臣においでいただいておりますので、ご挨拶をいただきたいと 存じます。中山副大臣、宜しくお願いいたします。

【中山副大臣】皆様お早うございます。ご紹介いただきました中山成彬でございます。1 月6日の省庁再編によりまして新しく経済産業副大臣を任命されましたので、どうか宜し くお願い申し上げたいと思います。 第1回となります中小企業政策審議会でございますので、一言ご挨拶を申し上げたいと 思います。このたび、稲葉会頭に引き続き会長をお引き受けいただきました。また、皆様 方には、委員への就任を快く引き受けいただきまして、改めて感謝申し上げる次第でござ います。 今、会長から話がありましたように、一昨年9月でございますか、小渕総理の諮問に応 えて、21世紀に向けた中小企業政策の在り方についてご答申いただいたわけでございまし て、その中で、「独立した中小企業の多様で活力ある成長発展」が新しい政策の基本理念 であり、中小企業というのは単なる弱者ではなくて、日本経済のまさに活力の源泉である 、このようなお言葉をいただいたわけでございます。また私は、昨年の通常国会、衆議院 の商工委員長を務めておりまして、その中で、特に印象に残っておりますのが、これまで のような中小企業を指導するのではなくて、支援していくのだ、このような言葉があった ことを非常に印象深く心に残っているわけでございます。これまで委員の皆さん方がいろ いろご指導いただきましたことにつきまして、改めて感謝申し上げたいと思います。 今日は、閣議の方で、企画庁の月例経済報告がなされているようでございますが、家計 部門がちょっと遅れている。しかし、企業部門は引き続き底堅い動きをしているというこ とで、総じて緩やかな回復基調に乗っているのではないか、こういう基本的な路線は変わ ってないようでございます。しかし、アメリカの経済の減速とか、また内外の株価の低迷 とか、先行き十分注視していかなければいけない、そういう時期ではないか、このように 認識をしているところでございます。また、中小企業に関しましては、一時のような貸し 渋りこそなくなりました。しかしながら、政府系の金融機関の皆さん方にお聞きしますと 、資金需要はそれほど伸びてないというような話もございますけれども、一方では、まだ まだ必要なところに必要なお金が回ってないというのが現状ではないか、このように考え ておるところでございます。そういったところから、昨年の臨時国会におきましては、特 別保証制度の期限が到来するということもありまして、普通の一般の保証につきまして、 その範囲の拡充、あるいは限度額の拡大ということを改正を図ったところでございます。 今後も中小企業の資金繰り、それらについては十分注意していかなければいかん、このよ うに考えているところでございます。 今回、通商産業省が経済産業省と名前が変わったわけでございまして、私はいろんなと ころで申し上げているのですけれども、経済産業省になった以上は、経済全体に目配りを するという大きな視野も必要でございましょう。しかし、その下に産業省とついていると いうことは、まさに経済は生き物でございまして、その経済を支えている個々の企業、あ るいは産業の息づかいを、まさに肌で感じながら、それを政策に生かしていくということ が非常に大事ではないか、このように考えているところでございます。私どもも頑張って まいりますけれども、どうか審議会の先生方の積極的なご意見をいただきまして、中小企 業政策に遺憾なきよう、どうか宜しくご支援、ご指導をお願い申し上げたいと思います。 第1回目ということでございまして、一言ご挨拶をさせていただきました。今後ともどう か皆さん、宜しくお願い申し上げます。

【稲葉会長】ご挨拶、ありがとうございました。 続きまして、中小企業庁の幹部の紹介を事務局よりお願いいたします。

【加藤企画課長】それでは、中小企業庁側の紹介をいたします。中小企業庁も今月、組織 の再編及び若干の異動がございました。改めて紹介させていただきたいと思います。中村 中小企業庁長官、羽山中小企業庁次長、東審議官、小脇事業環境部長、鈴木経営支援部長 、桑田政策調整課長、林技術課長、内山金融課長、北川財務課長、こちらサイドでござい ますが、近藤経営支援課長、真鍋小規模企業参事官、小野創業連携推進課長、藤調査室長 、玉木商業課長、小高取引課長、金子経営安定対策室長、以上でございます。

【稲葉会長】それでは、審議に入らせていただきます。本日は「中小企業政策審議会の体 制及び運営規程」についてご審議いただくとともに、「中小企業政策の現状と課題」につ いての説明をさせていただきたいと考えております。 まず初めに、中小企業政策審議会の体制及び運営規程につきまして、事務局より案の説 明をお願いいたします。

【加藤企画課長】それでは、お手元の資料3をご覧下さい。本審議会は、中小企業基本法 に根拠をもつ審議会でございます。広く中小企業政策全般のご審議をしていただくことに なっております。今般、審議会の再編によりまして、ご存じのとおり従来の分野等調整審 議会を統合いたしまして新たに出発するものでございます。 審議会には2つの分科会、すなわち二重四角で囲ってございますが、中小企業経営支援 分科会と中小企業分野等調整分科会、この2つが置かれることは既に審議会令、政令で決 まっておりまして、その2つの分科会の所掌事務も政令で決まっております。ここに書い てありますとおり、経営支援分科会は中小企業の経営の革新及び創業の促進並びにその経 営基盤の強化に関する重要事項をご審議いただく。分野等調整分科会は、中小企業の事業 活動の機会を適正に確保するための大企業者の事業活動の調整に関する重要事項をご審議 いただくことになっております。 審議会には、直轄の3つの部会を置くこととしたらいかがかと考えております。 1つは基本政策部会、これは中小企業政策の基本理念等の政策の根幹にかかわる重要事 項のご審議、それから白書を含めた中小企業の実態の調査のご審議、そして各部会・分科 会にパーツパーツをご審議してもらうような場合の集約ということをお願いしたいと考え ております。 企業制度部会は、商法を含みます企業制度、法制等のご審議。 経営安定部会は、経営の安定等、あるいは共済制度のご審議をお願いしたいと考えてお ります。 分科会につきましては、経営支援分科会の下に5つの部会を置くこととしたらいかがか と考えております。経営支援に関する幅広い政策のあり方のご審議をいただく経営支援部 会。交流、連携、協同組織等についてご審議いただく組織連携部会。下請を含めました中 小企業の取引の適正化及び官公需に関してご審議いただく取引部会。小売・卸・サービス 業の政策について商業部会。小規模企業に関する政策をご審議いただく小規模企業部会の 5つでございます。 なお、資料にはちょっとございませんが念のため。 諮問大臣につきましては、今回の省庁再編に伴いまして、内閣府に審議会の各省調整事 務の役割が従来あったのですが、今回なくなりました。したがいまして、すべての審議会 共通のルールでございますが、内閣府の長たる内閣総理大臣は、各省にまたがる審議会の 諮問者にはならないということになりました。本審議会におきましても、諮問大臣は、し たがいまして経済産業大臣及び関係各大臣ということになってございます。 続きまして、資料4をご覧いただきたいと存じます。本審議会の運営規程の案でござい ますが、基本的にこれまでの規程を踏襲いたしております。 具体的には、例えば第1条、審議会の招集、これは会長が招集する。 第2条、委員以外の者として臨時委員、専門委員等の出席ができる。 第3条、緊急議案は委員の半数以上の同意を得たときにできる、というようなことでご ざいます。 若干変えた規程として、第4条をご覧いただきますと、審議会の公開でございますが、 原則として、会議又は議事録を公開する、ということで、公開原則が明記されております。 例えば、本日の審議会につきましても、議事録は、事務局で案を作り皆様にご確認してい ただいた後、公開ということに致したいと思っております。 ただ例外的に、ただし書にございますように、特段の事情により会議及び議事録を非公 開とする場合というのは、あるということでございます。例えば、先ほどの資料3の取引 部会などでは、官公需の具体的数値をご審議いただくときに、閣議決定までは数値を出さ ないとか、あるいは分野等調整分科会などにおきましても、議題によりましては非公開と いうことがあろうかと思います。その都度、委員の先生方にご判断いただきたいというこ とでございます。原則は公開でございます。 もう一つ、第5条のところも大きな変更点でございます。いわゆるパブリックコメント でございまして、基本的な政策あるいは国民の権利義務に影響を与えるようなことをご審 議いただく場合には、書面等によりまして広く意見の提出を国民の皆様から求めるという 原則が規定されてございます。 その後の条文につきましては、7条で分科会の議決が、会長の同意を得て審議会の議決 になるということ。9条で、審議会あるいは分科会では、部会を置くことができるという こと。10条で、部会の議決も会長の同意を得て審議会の議決になるということ等は、従来 と基本的に同じでございます。 12条では、付託の規程でございますが、審議会に諮問があった場合には、分科会又は部 会に付託ができるということでございます。 13条からは小委員会でございますが、専門的なことをご審議いただくために小委員会を 設けますが、分科会あるいは部会と根本的に異なるのは、審議会の議決にはならないとい うことでございます。 なお、最後に15条でございますが、この運営規程の改正は、出席委員の過半数の同意を もって行うということが規定されてございます。 以上でございます。

【稲葉会長】ご説明ありがとうございました。ただいま事務局から審議会の体制等につき まして説明がございましたが、これについてご質問等ございませんでしょうか―― 特にご異論等なければ、資料3及び4でございますが、提示いただきました体制及び運 営規程の案について決定をいたしまして、今後これに従ってご審議いただくことにしたい と存じます。 続きまして「中小企業政策の現状と課題」につきまして、事務局より説明をお願いいた します。

【加藤企画課長】それでは「中小企業政策の現状と課題」につきましてご説明させていた だきたいと存じます。まず私の方から資料5の「中小企業政策の考え方」について総括的 なご説明をさせていただき、続きまして担当課室長の方から白書、商法改正、商工会法の 改正の3つのテーマについてご説明させていただきたいと存じます。 なお、ちょっと恐縮でございますが、資料10をご覧いただきたいと存じますが、今後の 部会等のスケジュールが資料10でございますが、今申し上げた個別の3つのテーマ、白書 につきましては1月29日、基本政策部会。商法につきましては、企業制度部会で26日。商 工会関係につきましては2月2日の小規模企業部会でそれぞれ詳細にご審議いただくとい うことにしてございます。 それでは、資料5をご覧いただきたいと存じます。先ほど中山副大臣のご挨拶にもござ いましたが、一番左の欄でございますが、一昨年、11年12月に基本法が改正されたわけで ございます。新基本法では、中小企業像を我が国経済のダイナミズムの源泉と捉えまして 、新たな政策理念としては、多様で活力ある中小企業の成長発展を掲げておるところでご ざいます。中小企業政策の基本方針あるいは具体的な施策につきまして、ここにございま すように第1の柱として経営の革新及び創業の促進、第2の柱として経営基盤の強化、第 3の柱として経済的社会的環境変化への適応の円滑化という3つの柱になっているわけで ございます。 なお、この3つの柱につきまして、先ほどご審議いただきました審議会との関係では、 真ん中の欄の下の方に矢印で対応関係を示しておるところでございます。 新基本法におきましては、資料の真ん中の欄でございますが、中小企業の定義の見直し 、対象の拡大、小売・サービスの区別というようなことを行ったわけでございます。その 新たな定義に基づく中小企業の地位は、企業数で申し上げまして508万企業ということで 、全体の99.7%、従業員数でも72%以上を占めるという地位を占めているということでご ざいます。 我々は新基本法に基づきまして多様な施策を講じているところでございますが、一番右 の欄に、最近の状況の中で個別の政策というより、むしろ一般的な切り口の問題でござい ますが、新たな課題としてここに4つばかり例を挙げてございますが、こういう課題があ るのではないかという問題意識をもっておるわけでございます。 1つは中小企業の景気・構造問題でございます。中山副大臣のお話にもございましたが 、中小企業をめぐる景況は緩やかに改善しつつありますけれども、昨年の秋ごろから傾向 は鈍化してきております。注視が必要だということでございますが、よくいわれることで ございますけれども、右のグラフにございますように、キャッシュフロー分の有利子債務 、キャッシュフローというのは営業利益の半分プラス減価償却ということで指数をとって ございますが、要は、借り入れの返済期間のグラフでございますけれども、20年を超える ような状況に90年代はなっております。また、倒産件数も、昨年3月1,700件を最高にい たしまして、その後も毎月1,500件以上の倒産が続いているということでございます。今 後とも中小企業をめぐる金融環境等には十分注視をし、拡大されました信用保証制度など を通じまして中小企業に対する資金供給の円滑化に努めることはもちろんでございますが 、今後はさらに中小企業政策としても、我が国経済の構造問題に対応した取り組みが必要 ではないかというのが第1点でございます。 2点目は「独立した中小企業」の振興ということでございますが、特にIT革命の進展 と相まって、企業の組織戦略あるいは大企業も含めました企業間関係そのものが大きく変 容してきているのではないかということでございます。右にグラフで1つの例として下請 比率をとってございますが、一般論としては下請比率が下がってきております。そういう 中で新しい企業間関係を踏まえまして「独立した中小企業」の企業間連携をより支援して いくべきではないか、あるいはそのために何が必要かというのが2つ目の問題意識でござ います。 3つ目が、少子高齢化が進む中で、中小企業におきましても経営者の高齢化が、右のグ ラフにございますように進んでおります。また後継者がいないという問題も深刻でござい ます。我が国経済の構造改革の担い手としての中小企業が意欲的な新規事業の創出を促し 、産業の新陳代謝を活性化させるために何が必要かということで、経営資源の維持、再生 としての事業承継の円滑化措置を抜本的に確立すべきではないかというのが3つ目の問題 意識でございます。 4点目がNPOの取り扱いでございますが、平成10年にいわゆるNPO法が施行されま して、右のグラフにございますように介護とかまちづくり等々の分野で多くのNPOが活 躍してございます。中小企業基本法におきましては、中小企業者というのは事業を営む会 社または個人ということで、NPOは基本法の対象になっておりません。中小企業振興の 観点からそうしたNPOをどのように評価していくべきかというのが4番目の切り口とし ての課題でございます。 資料6につきましては、時間の関係もございますので一言だけ。資料6は、1ページ目 に最近の中小企業対策のクロノロジーということで、主な施策を整理してございます。左 側の欄に、平成11年12月、基本法の話が書いてございますが、真ん中の欄、その下に中小 企業支援法、12年4月のところに書いてございます。全国300ヵ所の地域に中小企業支援 センターを整備するということで、それこそITから一般的な経営マネジメントまで含め ましてあらゆる相談、情報提供、専門家派遣等に応じられる体制を整備しているというこ とでございまして、別途お配りしてございますパンフレットに詳細が記載されております のでご覧いただきたいと存じます。 一番下に中小企業信用保険法等の改正の話も書いてございまして、中山副大臣からお話 がありました限度額の引き上げとかセーフティネット保証の充実というのは書かれてござ います。これの詳細につきましては、資料6の3ページ目に詳細がまとめてございます。 なお、資料6の2ページ目にはIT対応としての施策の詳細もまとめてございますのでご 覧いただきたいと思います。以上でございます。

【稲葉会長】ご説明ありがとうございました。 それでは、担当課長から考え方についての説明をお願いいたします。

【藤調査室長】引き続きまして資料7につきまして、「2001年版中小企業白書主要検討課 題」について、詳細に説明したいと思います。 今回の白書でございますが、2部構成ということで考えておりまして、1ページをお開 きいただきますと、第1部は「最近の中小企業の動向」ということでございます。景況で ございますが、皆様ご案内のとおり、今回の景気回復につきましては、業種別、企業別の ばらつきが見られていまして、1ページの下にございますが、やや見にくいのでございま すけれども、一番上の製造業が、平成10年のボトム以降急速に回復してきているわけでご ざいますが、それ以下のサービス、卸、小売等々につきましては、既に平成12年に入りま してから景況感だけ見ますと、少し落ち込んできているということで、今回の景気回復の 特徴は、ITを中心とした製造業が順調に回復しているものの、その他の業種の回復、非 常にすそ野が余り広くない形の景気回復というのが見て取れるのではないかと思います。 2ページに移らせていただきますが、倒産の動向でございます。平成12年でございます が、3月に1,712件を記録するなど、残念ながら上昇傾向にございます。前年同期比を見 ましても、平成11年11月以降、それから昨年の11月まで、13ヵ月連続で前年比プラスでご ざいましたが、先月の数字が今日の午後、商工リサーチの方から公表されますが、一応1 ,500件弱ということでございますので、12月には前年比がマイナスになるということでは ございますが、昨年倒産件数が大体1万8,800件ということでございますので、11年が1 万5,400件、平成10年が1万9,000件でございますので、確かに非常に件数としては多くな っている状況でございます。 業種別を見させていただきますと、建設業の倒産件数が33%ぐらいということでござい まして、その増加率も全体が22%の中で34%ということで、残念ながら非常に増加率が高 くなってございます。 設備投資でございますが、これは、先ほどの景況と同じでございますけれども、製造業 ではIT関連ということでございまして、4年ぶりに、平成12年の9月段階での修正計画 では、11年度に比べまして13.5%の増ということになるわけでございますが、やや足元で 少し軟調の気配もあるということで、注視が必要かと思っております。 3ページをお開きいただきたいと思うのでございますが、雇用の関係でございます。完 全失業率がなかなか下がっていかない中で、中小企業の雇用の過剰感、グラフは非常に見 づらいわけでございますが、大企業に比べますと中堅中小企業の方の過剰感は、レベルと しては低いわけでございますが、この数字以外に、今日はちょっとお出ししておりません が、中小企業の労働分配率等々を考えますと、規模が小さくなればなるほど70%を大きく 超えたり、場合によっては80%を超えるということで、雇用過剰感というのは強い状況に あるのではないかと思っております。 次に、下の図でございますが、資金調達について、平成10年の第?・四半期、3ページ の下の図でございますが、329兆円が中小企業向け貸し付け残高だったわけでございます が、それから減少傾向にございまして、平成12年第?・四半期が299兆円、平成12年の第 ?・四半期で306兆円ということで少し戻しておりますが、この伸びの原因につきまして は、都銀さん、地銀さんの方で貸し出しが増えているということが原因のようでございま すが、数値はやや減少傾向ではないのかなという感じがしております。 資金繰りの改善状況につきましては、経済観測調査等では昨年の前半、かなり改善いた しましたが、後半に入りまして横ばいという形になってきておるということでございます。 4ページ以降が「第2部 円滑な経済構造変化に不可欠な中小企業の挑戦」ということ で、先ほど企画課長の方からありました基本法の新たな政策理念に従いまして、中小企業 が多様で活力ある発展をするためにどうすればいいかというところを少し見ていきたいと 思っているわけでございます。 1.が「中小企業が抱える経営課題とその対応」ということでございますが、上の方の パラグラフは、先ほど申し上げましたように、理念が変わりました。その背景といたしま しては、5行目ぐらいに下線が引いてございますが、それもよく言われていることでござ いますけれども、「近年、同じ業種・同じ規模でも中小企業間に大きなばらつきが見られ るようになった」、それに対してどう政策対応していくかということが、先般の中小企業 基本法の考え方だということでございます。 しかしながらということで、経営課題ということでございます。???と続くわけでご ざいますが、まず?が資金の問題でございますが、ご案内のとおり中小企業は間接金融依 存ということで、先ほど加藤課長が説明いたしましたが、返済期間が、97年から98年に向 けて18年ぐらいから23年ぐらいに長期になったということで、多くの中小企業にとっては 、借り入れによる資金確保が業績の向上に必ずしもつながりにくくなっているような状況 があるのではないかということにつきまして、借り入れにつきましての数字をどうするか ということはございますけれども、財務内容の情報開示も行いながら、自己資本の充実、 コストとリターンの関係がいわれる中で、少しそういうものを入れる必要があるのではな いかというのが1点でございます。 2点目でございますが、?でございますけれども、売り上げの縮小とか、取引先の減少 傾向に歯どめをかけるということで、中小企業の現場におかれましては非常なコストダウ ンをされているわけでございますが、なかなか歯止めがかからないという状況の中で、I T革命等の進展によりまして、新しい企業間関係が出来つつある中で、このような変化を 捉えながら会社経営をプラスに転ずるような努力や発想の転換が必要になっているのでは ないだろうかという問題意識でございます。 5ページに移らせていただきますが、?でございます。先ほど申し上げましたとおり労 働分配率が上昇する中で、一方ではIT人材というものの専門職技術者についても不足が ある。デジタルデバイドということで銀行にリサーチされているような状況でございます が、こうした状況を打開するために、おのおのの経営者が前例にとらわれない思い切った 発想・決断で、他社とは一味違った対応を行うというのが、古くから言われていることで ございますが、必要なことではないだろうか。そのような問題意識のもとで、今回の白書 につきましては、危機感をそれぞれお持ちになっておられる、しかもさまざまな境遇に置 かれております中小企業経営者に対しまして、解決の糸口の一助となるような参考事例を 出来る限り多面的に発掘・紹介していきたい。 各論につきましては、やや小規模であるかもしれませんが、例えば業種別ということで 、製造業、流通業、建設業、サービス業、運輸業等々で、いわゆる横並びからの脱却とい うものをどうやって図っておられるかという点、商店街、産業集積におきましても、リー ダーシップというか、これも横並びからの脱却、差別化ということをどうやって図ってお られるのかというのを紹介する。 さらには、各論の下にございますけれども、海外事業展開のところにつきましても、受 け身ではなく積極的に自社の経営資源の強化をされているようなケースというものを少し 取り上げていきたいと思っております。 6ページが2.ということで、あえて経営革新の中でもIT時代をどう確立していくか ということでございます。これにつきましては、引き続き今回もアンケート調査等の結果 をご報告するとともに、ITというものを、業務効率化というだけではなくて、マーケテ ィングとか他社とのネットワーク形成といった、少し一味違った経営戦略のもとで導入・ 活用化されるケースというものを紹介したいと思っております。 さらには、中小企業のデジタルデバイド解消の観点から、政府におきましても一丸とな って関連施策を講じてまいりましたので、その現状とそのあり方を検討したい。特に今回 は、職業訓練教育制度につきましても少し指摘してみたいと思っております。 7ページが、先ほどの第1章が経営革新ということで、次に創業ということで、現状と 課題ということでございますが、創業の全般的な傾向ということにつきましては、平成1 1年の企業統計別で開業率・廃業率を出してみますと、開業率が4.1%、廃業率が5.9とい うことで、格差は近年まれに見る形で開いてしまったわけでございますが、業種別には電 気通信とか情報サービス・調査業等が開業率・廃業率が際立って高くなっております。そ れから小規模事業所数の増加も著しくなっているということでございます。 次に2.で、ややフレックス的ではございますけれども、「社会の新たなニーズに応え る中小企業」ということで、中小企業のニューフロンティアの動きということで、包括的 ではないわけでございますが、高齢化とか環境問題の高まりということで、介護関連・環 境関連のビジネスチャンスを、中小企業はどのように社会に伝えているかということを紹 介してみたいと思っております。 3.が「創業の活性化」ということで、「ビジネスシーズ発掘の促進」ということで、 大学の研究成果の民間移転の円滑化のためにできましたTLOにつきましての中小企業の 方々の利用の現状と課題。?は「ビジネスサポート体制の充実」ということで、創業した 企業をどうやってまた育てていくかというところの観点でのビジネスサポート、先ほど企 画課長からNPOの扱いということもございましたけれども、新しい動きとしては、NP Oによるビジネスサポートのケースも出てきておりますので、そこら辺もとらえていきた いと思っております。 最後に8ページでございますが、事業承継という問題を「第二創業」、先ほど事業承継 の円滑化という論点が提示されているわけでございますが、少子高齢化の中で中小企業の 経営資源のいたずらな散逸をどうやって防いでいくかということにつきましては、やはり 「経営資源の維持・再生」という観点から、最近新しい動き、M&Aにつきましても少し ずつ活発になってきているとか、法制度の整備、例えば株式公開ですとか企業分割等々の 制度も、成果を生んでおりまして、少しずつ新しい動きが出てきておりますので、そこら 辺を紹介したいと思っております。 最後に、近年、創業・経営革新支援策等を我々は講じたわけでございますが、まだ少し 時期尚早ではございますけれども、例えばSBIRとか「3類型支援センター」の現状と 課題というようなものを評価してみたいと思っているわけでございます。 最後のページは「過去3年の中小企業白書の概要」でございますが、時間の関係で説明 を省略したいと思います。以上でございます。

【小野創業連携推進課長】続きまして、資料8をご覧いただきたいと思います。「中小企 業政策の視点からの商法改正に関する検討について」、簡単に中間的な経過でございます が、報告をさせていただきます。商法につきましては、見直しにつきまして、昨年来関係 方面で検討が進められていると承知しておりますけれども、本委員会におきましても組織 小委員会において、検討を昨年の秋からお願いしてきておりまして、2回ほど開催されて おります。具体的な検討事項につきましては、1点目は、アンケート調査によるニーズの 把握ということでございまして、これは昨年の10月でございますけれども、全国中央会、 あるいは中総研(中小企業総合研究所)の方にとりまとめをお願いしてアンケート調査を いたしております。 経営の手法、あるいは経営の手続についてが大きなテーマかと思いますけれども、手法 につきましては、比較的規模の大きな中小企業については、取締役会重視といいましょう か、割とコーポレート・ガバナンスを意識するようなニーズというのが出てきているので はないかということがわかってきております。 また手続面におきましては、会社の機関、取締役会、あるいは株主総会を運営するに当 たりまして、電子的な手段の導入ということを中小企業においてもかなり志向している、 あるいは開催の手続とか方法につきましては、自由度の向上ということを志向していると いうことが明らかになってきているように思われます。計算書類の開示につきましては、 中小企業では余り励行されておらないわけでございますけれども、比較的慎重な方が多い わけでございますけれども、今後の課題として出てきているように思われます。 1ページめくっていただきまして、2.でございますけれども、今後の課題ということ でございます。大きく中長期的な課題と短期と2つあろうかと思いますけれども、中長期 の方につきましては、中小企業が会社として見ますと株式会社と有限会社、大きく2つが 中心かと思われますけれども、その実態と法律上の規定とをうまく実態に合わせていくと いうことが大きな課題としてあるのではないかということでございます。中小企業の創業 ですとか経営革新を進める、機動的・弾力的に経営を実現していくという観点からは、い ろいろな選択肢を拡大していくということもあり得るのではないか。 その際に、株式会社と有限会社というものを統一的な目で見て、見直しを検討していく ということも必要ではないかと思われまして、この点につきましては、当面ということで はないかと思いますけれども、今後数年ぐらいの期間内には中小企業政策審議会において も見直し、とりまとめをお願いしたいと考えているところでございます。 短期的課題の方につきましては、来年の14年、通常国会での商法改正が予定されており ますので、そこへの要望項目ということで検討を進めてきております。会社運営の自由度 の向上は、先ほど申し上げております。 3枚目の方をご覧いただきたいと思いますが、「会社設立の容易化」あるいは「計算書 類の開示」といった点が項目として挙げられております。計算書類の開示につきましては 、余り励行されておらないわけでございますけれども、中小企業の自主的な努力を奨励す るという観点からは、官報、あるいは日刊新聞での現在の公告と並びまして、インターネ ットと言いましょうか自社のウェブサイトというものも追加をする。任意で選択できるよ うな仕組みをつくっていただいたらどうだろうかという点をご議論していただいていると ころでございます。その際、今、中小企業総合事業団の方で立ち上げを準備されておりま す中小企業ビジネスの支援検索サイト等の活用についても考えていただいたらということ をお願いしているところでございます。 以上のような点につきまして、今後1月26日に企業制度部会を開催させていただきまし て、可能であれば中間的なとりまとめをしてパブリックコメントに付して広く意見を求め るということで進めていきたい、お願いをしたいと考えているところでございます。

【真鍋小規模企業参事官】引き続きまして資料9「商工会組織に関する制度整備について の検討状況」に基づきましてご説明を申し上げたいと思います。 現在、中小企業政策審議会の小規模企業政策小委員会におきまして、商工会の合併円滑 化のための措置、商工会法の改正を念頭に置いておりますけれども、それにつきまして議 論をしていただいているところでございます。最初の1.にございますように、11月に論 点整理を行っていただきまして、12月21日でございますけれども、これからご説明申し上 げます中間とりまとめをしていただいたところでございます。その後、中間とりまとめを パブリックコメントに付したところでございます。 「中間とりまとめの概要」でございますけれども、大きく4つの章からなっております 。最初の章でございますけれども、「1.近年の小規模企業政策の検討の動き」というこ とでございますけれども、これはご承知のとおりでございますけれども、さかのぼれば平 成11年9月、中小企業基本法の改正につながりました中小企業政策審議会の答申をいただ いていたわけでございますけれども、その折りに、小規模企業政策小委員会におきまして もとりまとめを、同様の問題意識のもとでしていただいておりました。そのとりまとめの 中で、商工会の広域化、あるいは合併等の促進について、真剣に議論を進める時期に来て いるのではないか、こういう内容のとりまとめをしていただいていたわけでございます。 2ページ目でございますけれども、現在の小委員会といいますのは、その問題意識のも とに商工会の広域化・合併への動きを踏まえつつ環境整備の必要性についてさらに具体的 な検討を行っていただいているということでございます。2ページ目の2.でございます けれども、商工会をめぐる広域化・合併への動き、現状ということでまとめさせていただ いております。 「(1) 商工会を巡る状況」でございますけれども、中小企業政策の転換、あるいは事業 者ニーズの多様化というようなことでございまして、経営革新でございますとか、あるい はITの活用といったようなことで、商工会に求められる役割というのは高度化・多様化 しているのではないかということでございます。それに対する対応といたしましてポイン トが2つあろうかと思いますけれども、1つ目が、2番目の○に書いております効率化と いうことでございます。商工会事業の効率化、もう一つのポイントが、3番目の○のとこ ろに書いてありますけれども、経営指導員等の資質向上、専門家、それらを図っていくこ とが必要ではないかということでございます。 そうした効率化でありますとか、あるいは経営指導員の資質の向上ということをかんが みましたときに、(2)でございますけれども、「広域化・合併による対応」というのが有 力な対策として挙げられるのではないかということでございます。 (3)でございますけれども、全国レベル、あるいは都道府県レベルにおきましても、商 工会側におきましても、そういった検討が各地で今進められているということでございま して、2ページ目、一番下になりますけれども、そのような動きに対応して合併の制度的 な枠組みを示して検討の円滑化に資するためにも、合併を円滑に進める法的制度を整備し ていくことが必要ではないかという問題意識でございます。 3ページ目でございますけれども、ここに、現在念頭に置いております商工会法改正の 具体的な内容が書かれております。ポイントは(1)と(2)、大きく2点ございます。 (1)でございますけれども、「合併の円滑化のための制度整備」ということでございま す。現行の商工会法におきましては、合併のための手続規定が整備されておりませんで、 事実上、合併に近い効果、統合とでも申しましょうか、をするためには、清算型の手続が 必要になる。すなわち2つの商工会が合併する際に片方を清算して片方を大きくするであ りますとか、あるいはその両方を解散して新たに大きな商工会を1つ作るといったような ことが必要になるわけでございますけれども、そういった清算型の手続でございますと、 民事法上、あるいは税法上のコストがかかる、こういう問題点があるわけでございます。 そういったコストを軽減するために合併に関する手続規定を創設しようというのが1点目 でございます。 (2)でございます。「合併後の商工会の地区について」ということで、やや法律上の用 語も尊重しながら縷々書かれておりますけれども、一言で申しますれば、例えば1つの市 町村の中に商工会が3つ以上、例えば5つあるというようなときに、現行の商工会法では それらが全部合併しなくてはいけない、すなわち合併後にできた新しい商工会が市町村の 全域をカバーしていなくてはいけないということになっているわけでございますけれども 、それを部分的なもの、すなわち5つある中で例えば3つだけが合併したいといったよう なときに、そういったものでも認めていこう、そういう商工会法の改正をやろうというこ とでございます。 若干文言に即していいますと、○の1でございますけれども、現行の商工会法の考え方 を書いております。「一の町村の区域とする」というのが原則でございまして、ただ市町 村の合併等があった場合に、経過措置として特例的に1つの市町村の中に複数の商工会が ある。逆にいえば商工会の方から見れば、市町村の一部の区域を地区とする商工会の存続 が認められているわけでございます。しかしながら、経過措置とは申しましても、その後 の実態を見ますと、○の2でございますけれども、市町村合併から相当期間を経過してい るにもかかわらず全部が一緒になるということにつきましては、なかなか難航しているわ けでございまして、そのうちの一部分だけが合併するものについても認めていこう。下か ら2番目の○のところに書いてありますけれども、「合併後の商工会が市町村の区域の一 部を地区とするような合併を認めることが適当である」ということでございます。これが 商工会法改正の2番目のポイントでございます。 4ページ目に移りますけれども、最後に「商工会の広域化・合併化に向けて」というこ とで、ある種の心構えとでもいえるようなことを書いているわけでございますけれども、 具体的な合併につきましては、あくまで自主的に決定されるべきものである。こういうこ とでございまして、今回の合併に関する手続規定の整備というのは、あくまでも自主的に 合併を選択した場合にその合併が円滑に進むよう環境整備の役割を果たすものであるとい うようなこと、あるいは合併は、当然のことでございますけれども、それ自体が目標では なくて、そのメリットを最大限に生かす形で実施していく、そういった努力が関係者に求 められるといったようなことが書かれているわけでございます。 現在、この中間とりまとめ、パブリックコメントに付したところでございますけれども 、今後の予定といたしまして、2月2日に小規模企業部会で検討いただきまして、その検 討結果を踏まえまして、次期通常国会において商工会法の改正案を提出いたしたいと考え ているところでございます。以上です。

【稲葉会長】非常に広範な問題をご説明いただきましてありがとうございました。 それでは、ここで皆様から今の事務局からの説明に対してのご意見をいただきたいと存 じます。どなたでも結構ですが、お願いいたします。 時間の都合もございますので、私から指名させていただきたいと思いますが、まず井上 さん、いかがですか。

【井上委員】私、このたび初めて参加させていただきました井上でございます。今の最初 に問題になりました景況感の問題でございますけれども、商工会議所の動向調査によりま すと、また12月が非常に悪くなっておる。3.6ポイント拡大してマイナス42.4までなって おるという現況でございます。非常に中小企業の景況は悪いということをまずお伝えした い。それから先ほどからお話が出ておりました消費の動向も当然悪いということはご承知 のとおりでございますし、企業倒産、これも、先ほどは12月1,500件というようなお話が 出ております。ただ、その中で一番問題になりますのは、中小企業金融安定化の特別保証 制度で保証された企業の倒産、これがふえておるということでございまして、11月が、1 0月の371件を上回って378件というようにふえてきておる。12月の調査はまだ出来ており ませんけれども、ともかく300件台を上回っているということは、中小企業としては、安 定保証で何とか食いつなぎはできたけれども、その後の金融が非常に疲れている。 それからリスケ、銀行に対してリスケジュールをお願いする。それは銀行としては受け 入れてもいいのだけれども、今度は逆に、それを受け入れると金融監督庁からの取引先ク ロというような判定になって、次の保証を受けられないというような問題が起こって、そ こで逆に企業を解散するとか、倒産にもっていかれてしまうというような現状が起こって おりまして、大変に厳しい環境にあるということがいえると思います。ですので、金融の 問題については、もっと深く突っ込んで中小企業に対する問題として取り上げてもらいた いと思うわけです。東京都の保証で担保証券、CLOが1回目はなされましたけれども、 2度目は予算がないからということで続かなかった。こういうようなものも非常に拡大化 して、できれば何か国としてやるようなシステムが起こればと、今、社債担保証券、CB Oでは、という話ですけれども、これは非常に規制が厳しくて、私募債を発行するにはな かなか厳しいわけでして、私募債を発行できるのだったら銀行が幾らでも融資をできると いうような現状にもあるわけですので、その辺、金融問題としては特に考えていただきた いと思います。 あと、私の考えておりますことで、よろしければちょっとお時間を拝借したいのですが 、中小企業対策費、13年度ですけれども1,943億、非常に少ない。ここにも出ております ように中小企業の従業者4,100万人ということに対して、今非常に困っておる中小企業は たくさんあるにもかかわらず、それで方向転換をしようと、SBIRだとか新しい創業関 係に補助金を出していくということをいっておりますけれども、SBIRにしてもトータ ルにしてたかだか50億、そのような数字なわけですね。新しいものを開発するには大体1 件4,000万から5,000万かかってしまう。それで40億やそこらだったら、トータル100件程 度の補助であるということになるわけでして、今、方向転換をさせるには余りにも予算が 少な過ぎるのではないかということを思います。農水産省には3兆4,000億というような 一般予算で組まれておるわけですので、そういうことから考えると、是非とももっと大き な予算の配分ということもお願いしたいなと思います。 事業継承の問題、これは非常に大事な、我々としても次の世代に送っていかなければい けない。株価の問題、株価も改正はされましたけれども、逆に利益を上げている企業は非 常に高額になるということでございまして、企業によっては大体1.5倍ぐらいに、従来の 評価よりも高くなるというような計算が出ております。そうすると中小企業が内部留保で しっかり蓄えてということで、雇用のためにもなる企業を大きくしていくということが不 可能だ。次の世代にも送れないというようなことがあるわけですので、その辺の問題もも っと深く突っ込んでお願いしたいなというようなことも思います。 あと建設関係についても非常に悪い。今の倒産の3分の1ぐらいが建設関係、ここにも 建設の方は出ておいでになりますので、その方からもご意見があると思いますけれども、 投資、基本整備ということで重点になっておりますけれども、要するに規制緩和というも のをもっと考えないと、今のようでは、センターコアの部分にもっと高層住宅を建てると いうことをどんどん進めていくべきではないのかなというようなことも考えられますので 、その辺の問題もひとつ今後取り入れていただければというようなことを考えております。 以上、ちょっと私の気がついたことを申し上げました。大変失礼しました。

【稲葉会長】どうもありがとうございました。商工会議所で議論されているような点、網 羅的に発表されましたが、これは一つの希望といいますか要望だというように解釈をいた しております。 それでは、小川さん、いかがでございますか。

【小川委員】ご指名いただきまして、若干の時間、今日ご説明いただいた点について、二 、三点コメントをさせていただきます。資料5、6、7、8、9とご説明がありました。 とりわけ資料5でしたか、政策が基本法の前後で大きな変革を中小企業政策として遂げた 、このことを市民の一人一人に出来るだけ、つまり市民の中に新しいベンチャーをやられ る方もおいででございますので、従来以上にアクセスを強める、PRする、広報活動を活 発化するということがより大切ではないかなと、まず最初に思いました。 次に、ご説明の中でNPO、このような審議会の場でNPOの位置付けをされたという ことは、今後ボランティアのオーガナイジング・アクティビティに対する支援体制が全国 的に整うという新しい視点であったなと思います。既に地域では随分活発に活動されてい ますが、中央政府と地域と連帯して強力に進めるということだろうと思います。 第三に、平均と分散についてであります。つまり中小企業を平均値で議論するときと、 勝ち組と負け組に分けて議論するときとでは議論が違ってきます。それは業績を平均いた しましても、なおその中の分散が大きくて、成績のよい中小企業と必ずしも業績の振るわ ない企業の間には非常に大きな格差が出ています。日本経済再生には強い企業、業績の向 上が認められる企業に積極的に支援する。もちろんセーフティネットということは念頭に 置きます。 ITの問題が大変表に出ておりますが、お聞きしながら、私自身の個人的考え方を申し 上げますと、ITは光の部分がとても大きくて、ポテンシャルは全く大きいので、光の部 分が拡大するにつれて陰の部分も大きくなってくる。現実世界と同じマイナス効果が働い ております。なぜならば、取引の実態というのは、今まで暗黙の前提としての信頼に基づ いておりました。それがバーチャルモール、あるいは虚構的な世界、ITの、インターネ ットの世界で、果たして現実の世界で我々が暗黙の前提とした信頼が形成されているかど うかという意味において、ITディバイド、あるいはIT政策を中小企業に展開するとき に、光の部分を強力に進めると同時に、陰の部分に注目を怠りないことがIT政策進展に は必要ではないかなと、今思っております。 先ほど井上委員のご発言にありましたように、会社継承に関連して「第二創業」といわ れたネーミングは、私は大変結構だなと思いました。以上でございます。

【稲葉会長】どうもありがとうございました。ITの問題は非常に広範、複雑でございま して、今ご指摘の点、私もそのように思います。 清成委員、何かございましたら……。

【清成委員】地域ということに関して2つばかり意見というか、あるいは質問にもなるの ですが。 1つは、中小企業支援センターということで、今日も資料が配付されておりますし、全 国にも展開されております。これは非常に結構なのですが、アメリカの場合のSBDC、 これの日本版だと思うのですが、アメリカの場合には大学がかなりこれに積極的に取り組 んでいるのですね。日本においても大学が地域レベルで、産学官協同ということで、これ をもっと進める必要があるのではないかと思うのです。私どもでは、中小企業総合事業団 の制度を使って実験的に試みておりますけれども、今、各大学、地域関係で新しい学部を つくっているところが相当ふえてきていますので、これは国立も私立もそうであります。 したがって、大学版というのを展開されたらいかがかという、これが1つです。 もう1つは、先ほど商工会の広域化・合併という話が出てまいりました。これも市町村 の合併の問題、最近また、これがクローズアップされているわけでありますけれども、地 域物件カタログの関係ですけれども、商工会議所について、広域化・合併化ということが あり得るのかどうか、あるいは商工会議所と商工会、一つの自治体のテリトリーの中に複 数の商工会議所、あるいは商工会と商工会議所があるという場合がございます。これも、 広域化・合併ということは当然出てくるのではないだろうかと思うのですが、これはどう いうふうなお考えでしょうか。これは質問になるわけです。以上です。

【稲葉会長】ただいまの商工会議所の合併について、私がご答弁するのはおかしいのです けれども(笑)、ちょっとご返事いたしますと、商工会議所でも合併の議論を今やってお ります。商工会議所と商工会の合併については、毎年幾つかの実例が出ておりまして、商 工会から商工会議所に組織変更するというのが2つ、3つ出ております。そういう動きは あるのですが、非常に数が少ないということです。それはそれとして、我々は定常的な現 象として捉えてここ十数年やってきております。したがって、商工会議所としては数も増 え、人間も増えて、いかにも発展しているかのように見えるのですが、実際は商工会が母 体だというような現実があるわけでございます。今の商工会の中の合併と、商工会議所独 自の合併というのは別の視点で出てきた問題でありまして、それはそれで進めないと推進 できないということでございまして、実態としてあるけれども、まだ規模は小さいという ような状況でございます。 それでは、児玉委員、ひとつお願いいたします。

【児玉委員】二、三、感想を申し上げさせていただきたいと思います。 最初に景況感のところですけれども、この資料にもありますように、昨年の11月ごろか ら少し様子がおかしくなっているなというように思います。私どもの月次景況観測を見ま しても、9月、10月で、あとほんのちょっとで景気好転というゾーンに入りそうだなとい うところまで来たのですが、11月からそれは反転しまして、要するに50という一つの区切 りがあるのですけれども、49.8までいっていたのが、48になり、47になりということでご ざいまして、1月の予測がもしそのまま当たれば、46.7ぐらいまで下がってしまうのです ね。これはどの辺のレベルかと言いますと、一昨年の秋なのです。 一昨年の秋ぐらいの感じに戻ってしまうというのは何なのだろうかということでありま すけれども、実際に年末年始にかけましてお客様方の話を聞いておりますと、実需が少し 緩んできた、というと言葉がちょっと変ですけれども、今までの勢いがないのだというこ とをおっしゃる方が多くなっております。いろんな原因があると思いますし、心理的なも のもありますけれども、地域の金融機関がいろいろ問題になって来つつあるということが あると思いますし、株の問題もあるかもしれないと思いますし、先ほども話題になってお りましたけれども、金融の方も、この3月末で一応今までの例の30兆円の話の方も区切り がついて、もちろんその代わりに、8,000万円までの無担保の拡大というのも付いている わけですけれども、しかし、その過程で、どうも先行き非常に自分のところがやっていけ る自信がないという人も増えているのかなと。倒産件数が増えているというのもそうだと 思います。 そんなことで、今、政府がやっております様々な景気対策と現実の景気の関係、平成1 3年度の予算の増加というのは、あれは白書ではパート?が鍵なのでしょうかね、ですか ら余りそこのところは、コメントを沢山なさらないかもしれないのですが、しかし、13年 度の景気を、政府の予測なんかを見ていたら、1.数%のプラスになるはずなのですけれ ども、そこら辺のところが、どのぐらいそうかということについて、政府の施策と絡めて 、少し何か前向きのことが言えるのであれば、考えておいていただけるといいのではない のかなという気がいたします。 倒産の話に関連いたしましては、昨年から民事再生法が動き出したわけでありまして、 これは中小企業庁としても民事再生法というのがある意味での敗者復活に非常に役に立つ ということで期待しておられるのではないかと思うのです。件数もかなり増えてきている わけです。いろんな案件が、私どもの目から見ておりましても入っているように思うわけ でありまして、民事再生法、ほぼ1年に近くなっているものについての評価というものを しておいていただいた方がいいのではないかと思います。 それとも関連しておりますけれども、金融について、私、最近言っておりますのは、第 3次貸し渋りということになるのではないか。つまり2年前に自己資本比率の規制緩和が 非常にきつくなりまして、第1次の貸し渋りが起きました。そのときには、貸し出しの方 のリスクアセスを、何はともあれ急いで削らないと自己資本比率の辻褄が合わないという ことで、むしろ返してもらい易いところから返してもらうという時期がしばらくあったの ですね。ですから、内容のいい企業からかなり返してもらったという時期があります。こ れが第1次の貸し渋りで、これは比較的対応がしやすかった。それが一巡しまして、年度 を越えたところで改めて見直してみると、残った資産の内容というのは、実は余り良くな いということで、今度は、一度切った方のお客様にもう一回返ってもらって、その代わり に内容について、将来に問題がありそうなものを本格的に整理縮小するということになっ たわけであります。これが第2次の貸し渋りになったわけです。そこのところで、実は2 0兆円というのは大変な威力を発揮したわけであります。 私が第3次と申し上げているのは、今、既に既定の事実としてどんどん進んでおります 大銀行の統合とか合併というのがあるわけでありまして、これは、話が前に出ているもの ですから、今現実に作業が進んでいることについての注目というのは余り集まらないので すが、実際には、今年になって、さらに第2次分割がどんどん進んできます。そうすると 、例えば借り手の方から見ても、銀行を分散させておりましたものが、気がついてみたら 、実は分散ではなくてどんどん集中になってしまっていて、借り方としてそれでいいのか なという問題が起きようかと思います。他方、銀行の方から見ましても、自分のところは 大して貸してなかったと思っていたのが、合併統合になって、改めて与信限度というもの を見直してみると、随分貸しが沢山あるということになりまして、ここで何とかもう一回 与信限度についての見直しをして整理をしなければならないということが起きつつありま す。これは、そういう統合再編に伴う金融の締まりということでありまして、確か日銀の 短観なんか見ましても、金融について現在は割合に緩んできたけれども、将来について、 かなりきついのではないかというふうな見方をしている中小企業の人が多いのですけれど も、これなんか、そういうものを反映しているわけでありまして、第3次貸し渋りという のは、ちょっと大げさな言葉なので、使うべきかどうかと思いますけれども、そういう体 制の変化に伴う対応というのは、これは十分考えておかなくてはならないという感じがい たしております。 元気の出る話の方では、経営革新という制度が物すごく使われているのですね、非常に 結構なことだなと思っておりますけれども、経営革新についても、これを白書の中で、い ろいろうまくいっているケースがあったり、あるいはうまくいかなかった場合には、なぜ かというようなことについても、是非分析をしておいていただくと、これから新しい事業 に取り組んでいかれる方々にとって大変参考になるのではないかという気がいたしますの で、出来たら宜しくお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。

【稲葉会長】どうもありがとうございました。時間も迫ってきておりますが、その他、ご 意見ございますでしょうか。

【樋口委員】我々、中小の建設業者ですけれども、先ほど建設業の倒産件数が全産業の3 分の1もあるという御指摘をいただいたのですが、建設業は650万人の労働人口をもって おり、また国内総生産でも14%とか15%を占めるという大きな産業でございます。しかし ながらその倒産件数が多い。政府の方でもいろいろ施策をしていただいておりますが、何 と言いましても建設業というのは国土全域に広がっておりまして、いざ災害となったら、 我々中小建設業者が率先して御協力をしております。それなので中小建設業者をつぶして しまうとそういった御協力もできなくなるのではないかと、非常に心配しているわけです。 そういった観点からも、政府におかれては、真面目に努力する中小建設業者の経営が成り 立っていくような施策をしていただきますよう、特にお願いしておきます。

【高原委員】ユニ・チャームの高原でございます。時間の関係もあり、手短に3点述べさ せていただきます。 まず第1点目は、加藤課長からご説明いただいた資料5の、中小企業政策の考え方とい うことについて、私自身の経験から述べさせていただきます。今から35年前になりますが 、私は創業5年目に、当時の中小企業長官から優良中小企業賞をいただきまして、経営者 として使命感を強め、同時に信用力も増し、会社成長の原動力になったと考えております。 当審議会から中小企業の経営者に対し、新しい挑戦への啓発を、ハード、ソフト、ヒュー マンウエアの3つの面で強力にしていただければと考えます。 2点目は、藤課長からご説明いただいた白書についてでございます。内容を読ませてい ただいて、本当にきちっと網羅されていると思っております。要は事業への支援、あるい は事業承継を行うときには、1点目に申し上げましたマインドの啓発だけでなく、ノウハ ウを徹底していくことに力を入れていただきますよう、お願いします。 最後になりますけれども、小野課長からご説明いただいた商法改正の視点でございます が、一口で申しますと中小企業に対して「事前チェック型」から「事後チェック型」の行 政も並行してやっていただければと思っております。 私からは以上です。

【都村委員】商工会から参っております都村でございますけれども、まず商工会法の改正 についてでございますが、特に広域化とか合併の問題、各市町村で進んでおるところは沢 山出てまいっておりますので、その進めておる基盤というものが、私どもの商工会の若い 青年部とかJCとかが非常に活発にやっておるところなのでございます。したがいまして 、そういった意味では、出来る限り早く改正というものをやっていただきたい、このよう にお願いをしたいと思いますし、審議会の方でご議論をいただくようでございますので、 委員の皆さん方にどうぞ宜しくお願い申し上げたい、このように思います。 もう1点でございますけれども、先ほども中小企業対策費の予算というお話がございま したけれども、特に事業費の予算についてなのですけれども、必ず各地方におきまして県 の裏負担という問題が出てまいっております。県の方の財政が非常に逼迫をしております ので、毎年、毎年、何%シーリングというところがかかってまいりまして、ほとんど事業 ができません。したがいまして、そういった意味では、せっかく国でつけていただいた事 業費というものがほとんど出来なくて返還されるような予算というものが出て来つつある のではないかと危惧をしておるのですけれども、例えば国が2分の1で、県が4分の1で 、地元、市町が、また商工会が4分の1というような予算の場合に、地方という考え方を どこに捉えるのか、県が4分の1で、もう一つ地方が4分の1でなければ、地方ではない でしょうか。例えばもっと弾力的に、県が出せないのなら、市町村ででもやりたいところ はやらせていただきたいというような予算組みといいますか、弾力的なものをお考えいた だきたい。そうでないと、県が必ずどんどん、どんどんと予算が逼迫しますから、事業が 出来にくくなってくるのではないかというような危惧をもっております。その場合に、国 の方でやっていかなければいけない事業というものは、ぜひひとつ2分の1ということで なくて、100分の100でやっていこうというものもそこに出てきて、いろいろ弾力性を持た せた予算というものを組んでいただきたい、このように思っております。 もう一つ、中小企業支援センターの話なのですけれども、これは出来る限り既存の私ど も商工会と一緒に連携しながら、ちょっと今のところ進んでおりますけれども、地方では 連携がなかなか密になっていないような感じもいたしますので、それをひとつぜひお願い したいな、このように思っています。以上です。

【稲葉会長】どうもありがとうございました。時間も迫ってまいりますが、長官から何か お話があるようです。どうぞ。

【中村長官】中小企業庁長官、中村でございます。大変広範なご議論、ご意見をいただき まして、大変ありがとうございました。景況感につきましては、私どもも大変危惧をいた しておりまして、十分注視していなければいけないと思っております。それと関連して金 融環境でございますが、我々も地方の現状を良く調査しつつございまして、迅速に対応し なければいけないと思っております。特に、特別保証を3月末に終了するということで、 新たな保証制度を拡充して立ち上げているわけでございますが、これについては、ソフト ランディングを図るということで、相当弾力的にやろうと思っておりまして、先ほどご意 見がありましたような、例えばリスケというような話がございましたけれども、そのよう な場合でも、従来と違ったような運用をするという弾力的な対応をしていきたいと思って おります。 ITの関係もおっしゃるとおりでございまして、私ども昨年の閣議決定の中で、ITに ついては、中小企業の半数の方が15年度末、これは電子政府が出来る時でございますけれ ども、この時までに電子商取引に対応できるようにするという目標を掲げたわけでござい ます。これを掲げた以上は、単に個々の中小企業の方がどうするかということだけではな くて、ITによって企業間関係とか、あるいは中小企業が利用するための様々なITに関 するインフラについて、先ほどの信頼性とかそういうような問題も含めて、対策を講じな ければいけないと考えております。そうした中で、ITのもたらす光と陰という点につい ては十分考えていきたいと思っております。 いずれにしましても、中小企業については、資料5でお示ししましたように大変大きな 構造変化の中でいろいろ問題が生じてきているというように考えておりまして、この構造 変化に対応していただくためには、特に経営革新というようなことでこれを乗り切ってい ただきたいと考えているわけでございます。そういう観点から幾つかの検討項目を掲げさ せていただきました。例えば、NPOというのは、現在の中小企業政策としては中小企業 には入らないわけでございますから、もしこれを取り入れていくとなれば、中小企業基本 法の抜本的な改正ということにもなるわけでございますけれども、こうした非常に大きな 構造変化、例えば下請の関係でも基本的に変わってきているわけでございまして、これを 踏まえてどうしていくかということでございます。 それから地域支援センターについて、大学にも作っていくべきとの意見がございました が、おっしゃるとおり、地域支援センターも300作るのだから役に立たなければいけない ということでございます。 商工会法の改正につきましても、これは市町村合併という大きな流れとも関係している ものでございます。商工会議所との関係も出てくるわけでございますけれども、まず第一 歩ということで、私どもこのように整理して進めたいと思っております。 いずれにしましても、いろいろご指摘いただいた点、非常に大きな問題でございますの で、今後とも中小企業政策審議会で十分ご意見をいただきまして政策を進めてまいりたい と考えておるわけでございます。

【稲葉会長】全般の問題について、今、的確なご返事をいただいたわけですが、時間の都 合で、この辺で議論を終了させていただきたいと存じます。 中小企業政策審議会の公開につきましては、中小企業政策審議会運営規程に第4条とい うのがございまして、これに基づきまして審議会終了後、議事録を公開させていただきま す。 なお、会合当初に事務局から説明がありましたように、審議会終了後、引き続き若干の 時間をいただきまして、中小企業経営支援分科会及び中小企業分野等調整分科会を開催い たしまして、分科会長の互選並びに体制の審議をいただくことにしております。両分科会 の委員でない方々におかれましてはご退席いただいて結構でございます。 それでは、第1回中小企業政策審議会を閉会といたします。本日、皆さんご多忙のとこ ろ、まことにありがとうございました。

【加藤企画課長】稲葉会長、ありがとうございました。

< 第1回 中小企業経営支援分科会 >

【加藤企画課長】それでは、引き続きまして、第1回中小企業経営支援分科会に移らせて いただきたいと存じます。 分科会につきましては、審議会令第5条第3項に基づきまして分科会長の互選をお諮り したいと存じます。どなたかご推薦はございませんでしょうか。

【鯉江委員】旧中小企業政策審議会において経営革新小委員会をはじめ、多くの小委員会 をおとりまとめいただいておりました小川委員にお願いいたしましたらどうかと考えます が、いかがでございますでしょうか。(「異議なし」の声あり)

【加藤企画課長】それでは、異論もございませんようですので、小川委員に分科会長をお 願いしたいと存じます。

【小川分科会長】それでは、司会をさせていただきますが、ご推挙いただきましてありが とうございました。お引き受けいたしますからには一生懸命皆さんと一緒にやらさせてい ただきたいと思っております。 今日の審議は、先ほど既にご紹介があったわけでございますが、中小企業経営支援分科 会の下に5つの部会、経営支援部会、組織連携部会、取引部会、商業部会、小規模企業部 会の5つでございます。資料3でございますが、このような体制で進めさせていただいて よいかどうか、よろしゅうございましょうか。(「異議なし」の声あり) それでは、このような形で今後審議をいただきたいと思います。具体的な各部会の日程 等につきましては、事務局から後日ご連絡をさせていただきますので宜しくお願いいたし ます。 中小企業経営支援分科会は第1回でございますが、以上で終了でございます。ありがと うございました。

【加藤企画課長】小川分科会長ありがとうございました。

< 中小企業分野等調整分科会(分科会長選任のための会合)>

【加藤企画課長】引き続きまして、中小企業分野等調整分科会に移らせていただきたいと 存じます。 この分科会につきましても、審議会令5条3項に基づきまして分科会長の互選をお図り したいと存じます。どなたかご推薦はございませんでしょうか。

【石原委員】今日お見えになっていらっしゃらないようなのですが、これも旧分野等調整 審議会会長としておとりまとめいただいておりました宮下委員にお願いできたらと思って おります。(「異議なし」の声あり)

【加藤企画課長】宮下委員は、本日ご都合によりご欠席されておりますので、事務局から 分科会長ご就任の件を申し伝えたいと思います。 それでは、議事を終了させていただきます。本日は皆様ご多忙のところ、ありがとうご ざいました。 ( 以 上 )