産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会経営支援分科会商業部会(第14回合同会議) 議事録
日時:平成17年12月22日(木曜) 10時~12時
場所:経済産業省 本館17階 国際会議室
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上原議長:定刻となりましたので、第14回合同会議を開催させていただきます。
本日の審議について申し上げます。前回事務局等から提示された中間報告案につきまして、皆様から貴重なご意見が出されております。これを踏まえ、私と事務局とで再度修正した案をご提示しますので、それを審議していただきたいと思っております。
なお、議長の立場としては、本日できる限り取りまとめていきたい、という意向でございますので、よろしくご協力をお願いいたします。
また、前回の議事録につきましては、時間の制約から、まだ十分にできておりませんので、当会議後に皆様にお配りしてご確認を頂いた上で、ご了承いただきたいと思っております。
それでは、早速議事に入らせていただきますが、資料に沿いまして、まず事務局から中間報告案についてご説明をお願いします。10分程度でお願いいたします。 -
和田流通政策課長:それでは、資料4―1の中間報告をご覧ください。大きく変更した点は3点でございます。ただ、その3点のほかに、回数等を若干書き直したところはございます。
冒頭大きく変えたところは、3ページ目でございます。中段あたりで、今後の取り組みについての方向性を書いております。
本日中間報告案が取りまとまりましたら、ご提言に従って制度改正を行いますが、それとともに行うべきこととして、「制度改正後においてもその運用状況や中心市街地の状況等について、適時適切にフォローアップし『コンパクトでにぎわいあふれるまちづくり』の実現に向け継続的な努力を行うことが必要である」と書いております。これが1点目でございます。
次に、18ページの下から5行目、6行目のところですが、前回、浅見先生からご指摘いただきましたとおり、括弧があると、特別な意味があるということになってしまうということなので、この括弧を外しております。
さらに、20ページの真ん中あたりですが、前回、大型店のみならず、サービス施設について、大店立地法上どのような規制を行うかという議論がございました。この点につきましては、ここに書いてあるとおり、「ただし、物販部分とサービス部分との切り分けが困難であることを踏まえ、大規模小売店舗と一体として併設されているサービス施設部分に係る駐車場の確保等についても、実態把握を十分行った上で、必要な駐車台数の確保等が行えるよう指針の改定を行うべきである」と書き直しております。
サービス施設単独について規制することは、この審議会の範疇にあるかどうかという議論もございますし、他の省庁との関係もございます。従いまして、今すぐ取り組むべきこととして、物販とサービス部門が一体化しているものについては、この審議会の範疇に入るということで、このような書き方をしております。
続いて、21ページでございます。いわゆる企業の社会的責任の話でございますが、上から4行目以下、「そのため、大型店も含めた商業者がまちづくりに参加・協力することが望ましいことから、政府においても、中心市街地活性化法において中心市街地活性化のための『事業者の責務』に関する規定を新設するとともに、その趣旨も踏まえ、大型店は、退店時の対応等地域におけるまちづくりへの協力について、自らの社会的責任の一環として自主的に取り組むよう求めるべきである」と記述しております。大型店の代表の方から「取り組む」旨のご発言があったことも踏まえまして、このように書かせていただいております。
以上が主な変更点でございます。そのほかは、27ページで、審議会の回数を14回とした点など軽微な変更でございます。
以上でございます。 -
上原議長:ありがとうございました。
以上が中間報告案でございます。
これを踏まえまして討議に入りたいと思いますが、できる限り多くの方々からご意見をお伺いしたいと思っております。よろしくお願いします。
石原委員、よろしくお願いいたします。 -
石原委員:指名されましたので。
前回の議論を踏まえて、かなり修正をしていただきましたので、この内容で結構だと思っておりますが、1ついいっ放しの意見としてお聞きをいただきたいと思うのは、企業の社会的責任の問題なんです。もう前からもそうなんですが、企業の方から社会的責任については非常に感じておるとおっしゃっており、大変心強く思っておるのですが、世間でこれだけ社会的責任について議論があるということは、企業の方がお考えになっておられる社会的責任と、世間が期待している社会的責任が微妙にずれているのではないか。そこに思いを至らせてほしいと思っております。
これが同じであれば余り議論になるわけもないわけでありまして、特に今回問題になっている退店問題についていえば、実際に大型店にせよ何にせよ、努力をされた上で事業がうまくいかないという場合には、退店せざるを得ないということはあると思います。それはあるのですが、そのときに、やむを得ず、地域への影響も考えて、きちっと対応した上でというご発言もいただいておりまして、それを聞くと、大変そうだなというふうに思うのです。
しかし、逆に、スクラップ・アンド・ビルドを行うことによって、立地をどんどんと動かしていくということが、1つの戦略であるというふうに標榜しておられる企業もあるわけです。そういう感覚で、いざ退店というときになると、結局は、半年ぐらい前に地元に話をした、それで企業の社会的責任だというわけにはいかないだろうと思います。何カ月前に議論をするかということではなくて、企業が地域社会、地域商業を支えていくという根幹のところだと思っておりまして、これは法律とかなんかで規制できるような話ではありませんので、文字どおり社会的責任としかいいようのない問題でありまして、そこのところを十分にご理解いただきたいと思います。
以上です。 -
上原議長:どうもありがとうございました。我々もその点につきましては十分留意しております。文章の中に組み入れているつもりでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
岩崎委員、お願いいたします。 - 岩崎委員:この議論の過程で何回も出ましたが、地権者の法律的位置づけという問題ですが、企業の社会的責任についてと同様に、やはり協議参加乃至は協力義務をうたうといったことをぜひ挿入すべきだと思います。以上です。
- 上原議長:中村委員、お願いいたします。
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中村委員:百貨店の立場として、先日も申し上げましたけれども、最近はやはり結構百貨店自体も、それぞれの地域では頑張っていても、大変厳しいということで、撤退ということがあるわけです。特に地方百貨店でその傾向が見られるわけですけれども。地方百貨店の中では、市街地あるいは商店街の中の一応中核としてご商売をし、地元にも貢献している。
特に行政と商工会議所あるいは商店街と連携していかなければ、当然その町は栄えませんので、具体的にはいろいろな物を売るということ以外に、やはり集客、イベント、あるいは最近では空き店舗対策とか、防犯、防災、環境美化とやっているわけですけれども、そうはいっても撤退をやむなくという状態に追い込まれた場合に、今お話がありましたように、今まではどちらかというと、各店ごとにちょっと対応していたのかな。
これをもう少し業界のガイドラインというものをつくり上げて、これはもちろん経産省のお力をいただきながら、それを住民あるいは行政、お取引さん、従業員、その従業員も社員ばかりでなくして、パートナーとか、いろいろ派遣社員もおりますので、そういうことをしっかりと決めていきたいと考えております。そして少しでも社会的責任の観点からお役に立ちたいということで、今そんなことを決めております。 -
上原議長:どうもありがとうございました。
遠藤委員、お願いいたします。 -
遠藤委員:DIY業界としまして、6ページ、6行目でしょうか、総合スーパーがおおむね横ばいで推移している中で、コンビニエンスストア、ドラッグ、あるいはホームセンターといった業態が売り上げを、あるいは店舗をという形で、非常に伸ばしていることを書いておりますけれども、確かに各業態、いろいろ工夫・努力をしてきております。ホームセンターも、DIY振興の一環として人材教育に特に力を入れて取り組んでまいりました。人材の育成は当時の通商産業大臣から大臣認定のDIYアドバイザー制度として取り組んでまいりました。現在では、社団法人日本DIY協会認定ということで引き続き人材育成に努力している次第です。そのような結果としてホームセンターは成長してまいりました。
確かにホームセンターも郊外に大型の店舗を出店する企業、また既存の1店舗、あるいは数店舗という小規模の企業もあり、各地で努力をされております。ホームセンターは、ただ商品の販売というだけのことではなく、ハウツーや情報の提案・提供といったことが不可欠であり、「くらしを変えるDIY」をスローガンとして国民生活の満足に応えていく使命との考えで取り組んでいく所存でございます。
総論としては、確かにこのような取りまとめにならざるを得ないということ思いますが、ホームセンターが成長していくためには人材育成なくして考えられないということでございます。 -
上原議長:どうもありがとうございました。
秋元委員、お願いいたします。 - 秋元委員:質問ですが、20ページの赤字のところの上です。例えばサービス業は云々とありまして、「それぞれの施設がもたらしている生活環境への悪影響の実態や内容を具体的に分析する必要がある」と書いてございますが、実際に現行の枠組みの中では、どこが分析して評価するのでしょうか。
- 上原議長:それにつきましては、事務局からお願いいたします。
- 和田流通政策課長:「指針の改定を行うべきである」と書いてありますが、指針の改定を行う際、例えば物販施設とサービス施設が一体化した施設で、駐車場も一体化しているときに、現在の大店立地法の運用では、物販の部分の駐車場が確保されているか、ということが中心になっており、また、例えば映画館が併設されていると、物販と同じだけの駐車場が必要かというと、必ずしもそうではないと思われますので、その実態を我々の方で十分に調べた上で、どういうものが必要か考慮しなければならないと思っております。例えば駐車場台数であれば、どういうケースを考えていけばいいのかということを今後我々がやっていきたいと思っております。
- 秋元委員:どうもありがとうございました。
- 上原議長:浅野委員、お願いいたします。
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浅野委員:ただいまの質問と関連しておりますけれども、一体化された施設をこれからどのように対応していくかについて、少しコメントしておきたいと思います。一概に組み合わせといっても、サービス業等の相手方の業種、業態、それから全体の中でどのぐらいの床面積のシェアを占めるかということによっても、かなり変わってきます。最初の指針がつくられたときにも、やはり問題になったと記憶しております。
その後、一体化した施設について調査も若干はされましたけれども、なかなか把握しがたいところもあります。さらに床面積のシェアだけではなくて、駐車場をどのように切り分けるかという問題もあります。一般的には、一体化により、それぞれが個別に駐車場を準備するときよりも少なくて済むように思われます。それは時間帯とか、滞在時間とか、いろいろな要素がございます。ですので、十分に実態調査を行うと書いてありますけれども、拙速ではなくて、かなり細かくじっくりと調べる必要がありますので、その辺をよろしくお願いしたいと思います。
もう1つは、前回のこの審議会でもご発言がありましたけれども、やはり立地の問題と出店の問題が宿命上、切り分けられていることに関してです。きょうの新聞紙上でも、立地と出店がごちゃごちゃに理解されているように何となく読み取れました。
そういう意味で、本来、立地の可否が、これは開発行為に対してということになると思いますけれども、きちっと判断されますと、大店の立場からいうと、出店の可否の判断を軽くする可能性も若干あるかもしれません。ただ、そうはいっても、後に業種、業態が変わっていく可能性を考えますと、開発行為はそもそも土地の形状を変えることが前提になりますので、その辺も踏まえると、やはり両方がどうやって余り齟齬を来さないようにするかが大事になります。したがって、都市計画法の改正の側と、大店立地法の側とが、接点を持てるような環境もぜひつくっていただきながら、これを検討していただくと大変ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。 -
上原議長:どうもありがとうございました。
川島委員、お願いいたします。 -
川島委員:冒頭に石原先生の方からご指摘がありました。意見として聞き置けというようなお話もございましたけれども、企業の持つ社会的責任、なかんずく大型店の社会的責任というのが、地域と必ずしもマッチングがされてないんじゃないかというようなご指摘でございます。
これはもう何回もいうようですが、小売業だけが社会的責任ではないというのが私の持論ですが、企業である以上、企業がひとしく理解して社会に貢献したり、あるいはまた、その責めを負うべきことをきちんと果たすということが、どの企業にも求められていることですが、当然小売業の中でも、それは企業の倫理や、モラルや、あるいはまた経営の方針の中に明確にあらわすべきであるというふうに考えています。
具体的に、例えばそれじゃ地域の参画はどうなっているのか。あるいはまた、いわゆる組織体としての機能を果たしているのかどうか。あるいはまた出店、退店のときのコミュニケーションや説明責任を果たしているのかどうかというもろもろのことについては、やはりいろいろ過去の経過の中で、ご指摘のような懸念や、あるいは事実というものがあることも否めないと思います。ですから、これからそういうことについては、業界としてこれらについての一種のガイドラインというものをきちんとつくって、これは今内部で詰めておりまして、今まだ具体的対応について公表する段階ではございませんが、その中で退店の問題も含めて、あるいはまた参画の問題も含めて、あるいはまた地域の貢献のいろいろな細かいことも含めて、記載をして、開示していこうかと思っております。
特に退店の問題については、先ほどご指摘がありましたように、企業がスクラップ・アンド・ビルドという経営戦略の中で当然やるべきことを淡々とやっているにすぎないというふうに標榜する企業もあるということですけれども、これは少なくともそういう表現は使っても、店を閉めるということ、特に投資回収も半ばで見きわめて、選択と集中というようなことの中で切り捨てるということは、これは大変な決意が企業としてもあるわけですし、またそのリスクも当然あるわけです。それについては避けて通れない問題であろうと思うし、他の産業でもそれはあると思います。
例えばその中で、今いろいろいわれている工場の跡地の問題、工場が退出した後の問題で、更地になっていたり、あるいはまた工場の建物が残ったままであるというような状況についても、工場を誘致したときからの社会的な変化が当然あった訳です。いわゆる産業の勃興期、あるいは隆盛期、あるいは日本の果たすべき役割が、いわゆる物を生産するということに拍車がかかるときに、地方自治体が率先して誘致を図って、一日千秋の思いで、大企業の工場が出ることを積極的にワークした時代が幾多あるわけです。
それが長年、経年の結果、やめて出ていく。それで更地になり、あるいは空虚な建物になるというようなケースが現在起きているわけですが、それを再利用するというのはむしろ大型店など、小売業が今一番その役割を果たしているのではないかと思えます。このように捉えますと、必ずしも退店が、工場の退店は有効であって、小売業の退店は社会悪だというような図式も、これもいかがかというふうに考えております。
しかしながら、そういうことも含めて、我々がガイドラインの中で、地域にきちんとした説明と、特に従業者の再雇用の問題等も、十分な配慮を行いながら、それぞれの責任を果たしていくということは、これは責任というよりも企業倫理というような範疇の中で対処していくべき問題だろうと考えております。 -
上原議長:どうもありがとうございました。
片岡委員、お願いいたします。 -
片岡委員:日ごろ商店街とかタウン・マネージャーの方々と接している者として、感想をちょっと申し上げたいと思います。
中心市街地活性化法の問題点として、11ページのところに「基本計画等の問題」、それから「タウン・マネジメント活動の問題」ということで、何が問題だったのかということを丁寧に掲げてくださったことは、私は非常にうれしいと思います。実際にタウン・マネージャーの方々のお話を聞いていますと、基本計画をつくった後、市町村とのパイプが切れる。場所はすぐ隣にあっても、TMOになった、商工会議所の方々と、市と、市町村と、余り連携がなくなってしまう。タウン・マネージャーとして派遣されて、行った人も、人間関係づくりのために1年間かかるという現状があります。
ですから、タウン・マネージャーの方々は、やはり市町村と連携をして、もう少し人間関係をつくりながら、まちづくりをスピードアップして進めていきたいと考えているということを、私も日ごろ感じております。それについて、23ページの?と?で、「基本計画の実効性の向上に係る措置」ということで、非常に選択と集中ということを掲げてくださっているのですけれども、やはりこの部分で、基本計画をつくる部分でもう既にTMOを立ち上げることまで考えて、基本計画をつくるというようなことを今後検討していっていただきたいなと思っております。
また、?のところなんですけれども、ここのところでは「関係者」というのが途中に出てきます。?の2行目ですが、以前書いてあったところには、「関係者」というところが、「地域住民、地権者などを含む関係者」というのが最初入っていたんですよ。上の分の削除した部分ですが、ここになって関係者というのがちょっとあいまいになった部分がありますので、関係者というのはどういう人なのか。細かいことなんですけれども、それを入れていただければわかりやすくなるのではないかなと思います。
以上です。 - 上原議長:篠原委員、お願いいたします。
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篠原委員:前回、いろいろ問題提起をさせていただきましたけれども、議長のご尽力でここまでお取りまとめいただいたことに厚く御礼を申し上げたいと存じます。
昨年9月以来、14回にわたりまして、この場でいろいろなことをご議論させていただき、あるいは失礼なことも申し上げたかと思いますけれども、私ども商工会議所をはじめ、中小企業関係4団体が最重点でお願いを申し上げておりましたのは、コミュニティの再生と共生によるまちづくりということが基本的な考えでございました。それぞれの地域が歴史と文化と伝統を守りながら、お年寄りにもやさしい、安全で安心なまちを維持したい、あるいは再生をしたいということが願いでございました。
そういう意味で、今回お取りまとめをいただきました報告書3ページに、まさに書いていただいたとおりでございます。「本中間報告は、21世紀の我が国が人口減少社会という課題を克服し、『コンパクトでにぎわいあふれるまちづくり』を実現するための、第一歩である」のところでございます。まさしく、今日、この報告を取りまとめていただいたことは、第一歩を踏み出すということだと我々も理解をいたしております。そういう意味で、この新しい枠組みの中で魂を入れていくのはここにいる我々当事者の責任だという自覚を持って、私どもは今後取り組んでいきたいと思っております。
1つ、お願いがございます。3ページの「今後、本中間報告で提言する方向に沿って」云々、「適時適切にフォローアップし……継続的な努力を行う」というふうに書いていただきました。ちょっとこれはお役所の文章で、主語がよくわからないのですが、私自身といたしましては、適時適切にフォローアップするのはこの審議会の責務である、この審議会の役割であるという理解をいたしております。議長にもその旨、ご確認をいただきたいと思います。
継続的な努力を行うということは、ここにいる我々全員が継続的な努力を行うということであると私は理解をいたしております。ぜひ皆様方のご賛同を頂きたいと思います。
最後に、20ページから21ページにかけまして、議長のご尽力によりましてお取りまとめをいただきました件、重ねて厚く御礼を申し上げます。私どもも、商業者の社会的責任は大規模小売店舗の社会的責任だけではないと思っております。商店街も含めまして、個店の経営者も含めまして、また私ども地域の総合経済団体も含めまして、あらゆる当事者がそれぞれ役割分担に応じた社会的責任を負っている、そういうふうに理解をいたしております。
地域、地域においても、またこういう場においても、ぜひ経済産業省のお力添えを得ながら、当事者である出店側、商業者側、あるいは我々団体も含めまして、継続的にお互いに意思疎通を図りながら、意見交換をしながら、この報告書の趣旨の実現に向かって話し合いをさせていただいたり、あるいはそれぞれの責務について確認をしたりしながらやっていけるような枠組みを、ぜひまた議長のお力添えあるいは経済産業省のお力添えによってそういう枠組みをつくっていただければ非常にありがたいと思っております。
最後に、社会的責任という点について、今後のフォローアップの一環の中での扱いになるかとは思いますけれども、先ほど川島委員から非常に前向きなご説明をいただきまして、私どももありがたく思っております。ただ、業界団体に属さないアウトサイダー、あるいはそもそも新しい業態で団体がないというような新業態等々も、地域で社会的責任という面からは等しく責務を負っていただかなければいけない。そういう意味で、各業界団体で社会的責任についてガイドラインをつくっていただくのはありがたいと思っておりますけれども、ぜひこういう審議会の場でも、一般的なことでも結構でございますけれども、そういうアウトサイダーなり業界団体に属さない人たちにも1つの導きになるようなものを、今後このフォローアップの一環として作成していただければ、私ども、非常にありがたいと思っております。
いろいろ皆様方にご協力いただきまして、ここまでお取りまとめいただいたことに、厚く御礼を申し上げます。 -
上原議長:どうもありがとうございました。今おっしゃられたことは、まさに報告書の基本的スタンスでもあるということを、議長から確認をしておきたいと思います。
浅見委員、お願いいたします。 - 浅見委員:先ほど、岩崎委員あるいは片岡委員からもちょっとあったんですけれども、実際、中心部等を中心として支援をするというようなことが書かれております。やはりその裏返しとして、協力をしていく義務みたいなものをもうちょっと強調してもいいのかな。先ほど、23ページの「関係者」という話がございましたけれども、これは地権者あるいは借地人とか借家人を含めて、そういった空間を占有する方々、権利を持っている方々、こういった方々の協力する、ある種の義務みたいなものをうたい、もし協力できないんであれば、何らかの不経済に応じた負担をしていただくような仕組みづくりまで考えていく必要があるのかなという感じがしますので、若干そういったトーンを入れるといいのかなと感じております。
- 上原議長:宮下委員、お願いいたします。
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宮下委員:きのう、きょうあたりの新聞で一斉に「規制」というタイトルで我々のこの議論の問題が報道されていましたが、私もこういう商業政策に過去、長い間、関わりを持ってきましたけれども、商業政策はいわば規制と緩和との繰り返しの政策が長い間行われてきたわけでありまして、その都度、社会的環境等々によってある規制を強化し、規制を緩和する。今回も全体のトーンとしましては、既にご説明いただいたような、ここに書いてあるような形でもって、規制の強化の方向にいったわけでありますよね。それは今日の社会的環境だけでなくて、今後の社会的環境を踏まえて、また将来的に規制が緩和される可能性もあるんですね。
ですから、そういう意味で、少し長期的視点からこの問題を考える必要がありますし、そのときに私は、例えばいろんな形で幾つかの地方やあるいは東京周辺の町を見ていますと、必ずしも郊外に大型店ができたから町の真ん中が不振になっていると一概にいえないですね。ですから、申し上げたいことは、規制の強化の方向でいいんですけれども、町の真ん中はどういうメカニズムで停滞し、あるいは成長するのかという、そこをやっぱり踏まえておかなきゃならない。これは法律問題でなくて政策の問題として、中心市街地の活性化のまちづくりのビジョンあるいは人づくりとか、それからまた情報化時代、あるいはまたもっと進む自動車時代等々、そういう新しい社会的な中で対応できる中心市街地ないし商店街の活性化策というのを、政策としてきめ細かい政策を打ち出す必要があるという思いがしますね。そういう意味で、これを踏まえて、法的にはこういう方向でいいでしょうけれども、よりきめ細かい中小商業政策とかまちづくり政策とか商店街政策をぜひ打ち出していただきたいと思います。
今、篠原委員もおっしゃられていましたけれども、私が前回提案したのは、座長一任で、もし課題があれば後ろの方に検討課題とつければいいんじゃないかと申し上げましたけど、今回見事に、後ろじゃなくて文中にちゃんと押さえておりますし、そういう意味で、冒頭に議長が「今回で一応おさめたい」とおっしゃった、その言葉を私は支持いたします。
以上です。 - 上原議長:事務局からお願いしたいと思います。
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和田流通政策課長:特に中心市街地の地権者とか空間利用者に対して、どうやって取り組ませるか、強くいえば規制をどうするかという話が岩崎委員、片岡委員、浅見先生等から出されました。それについては非常に難しい問題であることは事実ですが、若干書かせていただきましたのは22ページの?、?のところですが、?の下の方にも「関係行政機関、TMO、各種事業実施主体、市民等との連携・協議体制の構築」と書いておりまして、同じことを繰り返しております。23ページには関係者の内容を書かなかったのですが、文章を工夫し、すべての主体が入れるような協議会のようなものをつくりたいと考えています。ただ、まだ法律ができておりませんので、今の段階では少しぼかした書き方をさせていただいていますけれども、当然地権者も含めて協議会のようなものに入るようにしたいと思っております。
また、23ページ下段の?について、意欲的に取り組む、とポジティブに書いておりますが、取り組む地域に対しては計画の認定をして「『選択と集中』による重点的な支援を講じる」ということを逆に読むと、地権者の協力も得られず、立派な計画ができないところには支援はされないということが真意であり、それが若干の担保になるかもしれません。
また、協力しない人は土地収用するというわけには当然いかないと思いますが、税制上も若干の工夫はしたいと思います。そして、本日いただいた意見でもう少しわかりやすくした方が良い点については、議長とも相談しながら若干変えさせていただければと思います。 -
上原議長:どうもありがとうございました。いろいろご意見をいただきましたが、私としては基本的にはこの報告書の基本方向は認められている、と考えております。修文等は議長に一任という形でお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり) - 上原議長:どうもありがとうございました。
- 遠藤委員:その前に1つお聞きしたいことがあります。いろいろ審議を重ねてまいったわけですけれども、既にこういうようなことをとらえて、各地方行政、商工会議所を初め各々の関係するところで、大型店は反対だという宣言、採択案が提出・議論されているところもあります。これに対しては、経済産業省として、あるいはこのような審議会としてどのように対処していくのか。これでいいのかどうかお聞きしたい。
- 和田流通政策課長:大型店が反対というだけではないと思いますが。
- 遠藤委員:いや、もう既に宣言をしているところもあります。
- 和田流通政策課長:中間報告案にも書かせていただきましたが、結局は地方自治体が、住民も含めて、自分の中で自分のまちづくりをどうするか選びとり、その仕組みを考えましょう、というのが今回の方向性であります。国が一律に強制して、あなたのところは全国一律に、絶対に建てはならない仕組みにするということではございません。規制することもできる仕組みを作るということですので、地方毎に自分のまちづくりをどうするかについてよく判断し、考えるべきことだと思います。そのこと自体が良い悪いということではありません。公明正大に手続を踏んでやっていただきたい、ということです。ただ、商業調整的な考えではなく、まちづくりという観点で考えていただきたいということです。
- 遠藤委員:そこはひとつ、十分徹底して、よろしくお願いします。
- 和田流通政策課長:先ほど申し上げましたように、要不要や、出店してきて困るという観点ではなく、まちづくりの観点でどう捉えるか、ということで考えていただきたいと思います。
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上原議長:どうもありがとうございました。本日の議論を踏まえ、皆様方からご承認いただきましたので、私が文章を修正し、その後、商業部会長である石原委員にもご確認いただき、打ち合わせして修正していきたいと思います。よろしくお願いします。修正が終わり次第、委員の方に郵送すると同時に、経済産業省のホームページに掲載いたしますので、よろしくお願いします。
この会議としては、お集まりいただくのは本日で最後でございます。非常に喜ばしい最後でございます。最後に、迎商務流通審議官と西村中小企業庁次長からごあいさつをお願いいたします。 -
迎商務流通審議官:中間報告案をお取りまとめいただきましたが、これまでのご審議、大変ありがとうございました。
昨年の9月から14回にわたって開催をするということで、大変長期にわたる審議会にもかかわらず、毎回皆さん、ご多忙の中、ご出席いただきまして、貴重なご意見を賜りましたことを大変感謝しております。
大変難しい問題でございまして、中には意見の対立等もあったわけでございますけれども、逆にいえば、それだけ活発な意見交換ができたということではないかと思っております。
特に小売業につきましては、これから人口減少社会を迎えるということで、大変大きな転換点にある中、今後のあり方を議論するという大変難しい課題であったわけでございますが、まちづくりという切り口のもとで、商業にとどまらず、まちづくり全体の施策についてご提言をいただけたということは、非常に大きな、重要な方向性をお示しいただけたと思っております。
新聞等でもご存じのように、与党の合意ですとか、あるいは党での取りまとめとか、こういった動きがあり、この場以外でもいろいろな議論が並行して行われていたわけでございますが、そうした中で、コンパクトでにぎわいのあるまちづくりという方向性をこの場で出し、大体の議論もその方向にまとまっていったということで、この審議会の貢献は非常に大きかったのではないかと感謝する次第でございます。
私どもといたしましては、これを受けまして、今後法案の作成ですとか、あるいは指針づくりですとか、こういったものに取り組んでいきたいと思っている次第でございます。他方、ここにおられる方々も、いろいろな場で直接まちづくりに携わられる、あるいはそういった方々に助力、支援をされる、あるいは助言をされるというお立場におられる方が多いわけでございますが、政府の措置だけではこうしたまちづくりができるわけではございませんので、皆様方それぞれのお立場でぜひこの実現に向けて引き続きご助力を賜れば幸いだと思っております。
また、この審議会は非常に長期にわたっておりまして、前半では大店立地法の指針の見直しを行い、10月にひとまず施行されたわけでございますけれども、さらに本報告でももう一段、大店立地法の指針も見直しをするということになるわけでございます。そうした問題についてもまたいろいろご助言を賜る機会もあろうかと思いますので、その節には、また引き続きよろしくお願いをしたいと思っております。
最後に、重ねて皆様方のこれまでのご協力、それから、おまとめに大変ご苦労いただきました上原議長に感謝を述べて、私のあいさつとさせていただきます。
ありがとうございました。 -
上原議長:どうもありがとうございました。
西村次長、お願いいたします。 -
西村中小企業庁次長:委員の皆様方におかれましては、1年余りにわたりまして、大変お忙しい中にも関わらず熱心なご審議を賜り、誠にありがとうございました。
今回、お取りまとめいただきました中間報告に基づきまして、私ども中小企業庁といたしましても、今後の中小小売商業全体の発展あるいは中心市街地の活性化の実現を図るべく、TMO活動の機能充実を含めまして、今後より以上に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
改めまして、上原議長を初めといたしまして、本合同会議におきまして格別のご尽力を賜りました委員の皆様方に対しまして深く感謝を申し上げまして、私からの御礼のごあいさつとさせていただきます。
まことにありがとうございました。 -
上原議長:どうもありがとうございました。
なお、私が修文して石原先生と調整した後、中間報告は年内に公開することになっておりますので、よろしくお願いいたします。
最後に、私からも一言申し上げたいと思います。私は必ずしも上手な議長ではなく、時々感情的になりまして、議長として越権行為ではないかなと言われたこともありましたが、これは私の性格の成せる技でございまして、何よりもこうやって無事に終えて、新しいまちづくりといいますか、商業とまちとの関係ができ上がってきました。これに沿って、私たちは事業者の方々も含め努力をしていきたいと考えております。この点をここで確認しまして、本合同会議の閉会といたします。
本当に長い間、ありがとうございました。(拍手)
――了――