産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会経営支援分科会商業部会(第13回合同会議) 議事録
日時:平成17年12月12日(月曜) 10時~12時
場所:経済産業省 本館17階 国際会議室
-
上原議長:おはようございます。定刻ですので、第13回の合同会議を開会致します。
まず、本日の議題についてご説明申し上げます。前回の結果を踏まえまして、9月23日から中間報告とりまとめ案についてパブリックコメントを実施致してきました。本日はパブリックコメントに寄せられた意見と、それへの対する対応方針について事務局からご説明させていただきます。また、このパブリックコメントで寄せられた意見とその後の検討状況を踏まえて私と事務局とで修正したものを、中間報告案としてご議論いただきたいと思います。同案についても事務局の方からご報告をお願い致します。皆様の議論にもよりますが、できれば本日、中間報告としてとりまとめることを目指したいと思いますので、よろしくご協力をお願い致します。
なお、資料5の第12回議事録案については委員の方のみ配付させていただきますが、内容につきましては、既に委員の方々からご確認を得ておりますので、これを公表したいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
では、資料のとおり公開させていただきます。早速議事に入りたいと思います。配布資料に沿いまして、事務局から、意見募集の結果と対応方針について、まずご報告いただき、引き続いて中間報告案のご説明をいただきたいと思います。この2つとも内容は密接に絡んでおりますので、同時にご報告していただきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。 -
和田流通政策課長:それでは、資料3と資料4-1を、できましたら両方お手元に置いて見ていただければと思います。
まず初めに、資料3、意見募集の結果とこれに対する見解及び対応について、ご説明致します。意見募集に際しましては、相当多数の意見をいただきました。1枚目の2.のところに書いてありますが、件数的には4,700以上の方からご意見をいただきました。そのため、すべてを配付するとなりますと大変な量になってしまいますので、事務局の判断で整理したものを後ろに、参考資料1としてお配りしております。なお、意見の原文につきましては、個人情報的なものを削除したりする都合もありまして、来週早々にも、経済産業省で閲覧可能とするようにしたいと思っております。
それでは、お手元の資料3に基づいて概要について説明したいと思います。まず2ページ目を開けていただくと、「意見等に対する対応方針等」ということで、先ほど4,700者以上の意見の提出がありましたといいましたけれども、中にはいろいろな意見を書かれている人が当然いらっしゃいますので、延べ意見数は7,000件ぐらいになります。資料3には意見が特に多かったものを中心に載せておりますが、それにこだわらず、代表的な意見は例示して、可能な限り全体像がわかるようにしているつもりでございます。「特に多数」は50件以上、「多数」は10~50件、「複数」は10件未満というのを一つの目安として書いております。
それでは、具体的な中身に入りたいと思います。「はじめに」の項目からですが、コミュニティの危機と中心市街地の衰退の因果関係が不明確とか、今後、合同会議においてさらに議論を深めるべきという意見が出ました。これについてはお手元の資料4-1中間報告案の主に3ページのところに若干字句の修正をしております。委員の方には赤字で訂正したものをお配りしておりますが、下の方については、最近の進捗状況を踏まえて削除しております。ただし、3ページ後半の「第一歩」や、25ページの「出発点である」という記述は引き続き残しております。
次に前文です。これも相当多数の意見をいただきました。まちとか中心市街地というのは時代により移り変わるとか、どこが中心市街地かわからないとか、まちの郊外化についても、まちが郊外に移るのは当然であるとか、郊外規制をすれば中心部がにぎわうとはいえない、などの意見を多数いただきました。
これについては、ご指摘をたくさんいただいたということで、本文の5ページ前半に、「まちが既に移っているとの指摘も多くなされている」と若干字句の調整をしております。その他のご意見につきましては、?のところは主たる要因の事実関係を客観的に書くことを原則としておりますので、いわゆる要因分析についてはここには書かないようにしている、ということでご理解いただきたいと思います。
それでは、3ページ目中段の「小売業の現状」の項目ですが、ここでも、無理に競争を抑えることには反対とか、郊外の大型店はニーズがある証拠とか、世論調査の結果についてさらに詳細に書けとか、大型店の撤退が地域社会に与える影響について詳細な分析を行うべきという意見をいただきました。これにつきましては、これらのご指摘を踏まえた若干の修正、また、一部の委員からいただきました意見を反映しまして、本文の6ページの真ん中あたりも訂正をしております。
なお、世論調査の結果につきましては、資料4-2の方を大幅に拡充しておりまして、その62ページから68ページまでに、世論調査の結果を大幅に拡充して記載しているとともに、具体的な数値は本文の方にも入れるようにしております。
それと撤退の影響等につきましては、資料4-2の28ページから30ページにて、商工会議所が調べられたものも利用させていただいております。
次の「中心市街地・商業地区の現状」という項目について、この項目については延べ意見数が非常に多く、1,700件程度となっております。具体的には次の4ページのところで、商店街や旧中心市街地の事業者は現代のライフスタイルに合ってないとか、商店街にコミュニティを感じないとか、コミュニティの機能の低下の理由を大型店等のせいだと断定しているのは不適切とか、大型店やナショナルチェーンには、元旦営業、初売りなど、地域の商習慣、伝統に沿わない形でビジネスを行う企業もあることを記載すべきとか、すべての商業者や商店街外部要因に責任転嫁しているわけではない等、様々な指摘がなされているところですが、中心市街地・商業地区に対する厳しいご指摘が多かったということは事実ですので、これについては本文の7ページ、「中心市街地・商業地区の状況」の中程に記載しております。
また、その地域コミュニティの機能低下や関係者の意識の希薄化については、8ページから9ページのところに文章を追加しております。また、地域の商習慣に沿わない形でビジネスを行う企業があるということにつきましては、8ページの下のところに追加的に記述しております。
それと、全てが責任転嫁しているわけではないというのは全くそのとおりだと思いますが、7ページの3.の4行目のところに、「責任転嫁するのではなく」と書いております。すべてが責任転嫁しているということで書いているわけではございませんし、また、関係事例集でこんな取り組みをされているというのを書いてあるということでご理解いただきたいと思います。
?の「現行施策の評価」について、本文でいいますと10ページ以降です。これについては、縦割り行政による弊害を明記すべきとか、三法それぞれの整合性について十分な検討を行うべきという意見をいただいております。また、中心市街地活性化法についてのご意見としましては、税金を使ってまで保護する必要があるのかとか、住む人、来る人から始めるべき、商業者だけでまちをとらえるべきではないというご意見や、都市計画法については、住宅開発が最も大きな問題であることを明示すべきとのご意見、郊外開発が認められやすいというのは実態に合ってないとのご意見、土地利用規制の厳格な運用を確保すべき等、様々なご意見をいただいております。
この部分につきましても、一部修正しまして、10ページの中程に、十分に機能できなかったということを書かせていただいております。色々なご意見をいただきましたけれども、中身的には、今後の施策に関連する、?のところに関する意見が多いので、そこで整理させていただきたいと思います。
それでは、パブコメの6ページ目、「大店立地法」に移ります。この部分について、一定面積以下の中小の店も周辺環境の保持に配慮が当然必要との御意見、自治体の弾力性をどうコントロールするかとの御意見、透明性と公平性の確保が必要との御意見、大型店の社会的・経済的影響の具体的内容を明記すべき、などの御意見をいただいています。
これについては、先ほどの縦割りの話は10ページに、また、大型店の地域の経済に与える影響につきましては13ページの下から2行目に若干追加をしております。さらに、14ページ目に、パブリックコメントを募集してからの変化、政府の中の変化としまして、いわゆる構造改革特区を全国的に展開すべきだということが10月11日決定されたということを追加的に記載しております。
条例の内容等につきましては、本文の19ページの?の下から2行目に「透明性・公平性の確保」ということを追加的に記述しております。
?の「今後の中心市街地活性化の方策」でございます。人口減少社会の到来のところでは、都市機能集約化よりも少子高齢化を解決すべき等の意見もいただいております。また、自治体財政につきましては、集中させるための行政コストの方がはるかに大きい、大型店は近隣のまちにも多くの弊害をもたらす、といった意見がございました。また、コミュニティの維持についても、郊外で人が暮らしていればコミュニティは生まれる、中心市街地の帰属意識があるからではないだろうかというのは個人の感想でしかないので削除すべき、といった意見をいただいております。高齢化については、15ページに「高齢化社会の到来」として記述を追加しております。
また、コミュニティ論については、以前からあるご意見ですが、16ページの真ん中やや上に追加的に、「コミュニティは人が住んで生活している場所であれば自然に発生する面もあるが」というのをつけ加えました。それと、先ほどの個人的感想についても、「推察される」との中立的な表現にしております。
それでは、パブコメの資料の8ページ目、「基本的な方向性」に移ります。関連する延べ意見数が相当、1,500件と多くございますが、主なご意見としては、まち中には高くて住めないので郊外に住んでいる、お店だけでなくいろいろな施設がある中から選べる楽しさを奪うべきではない、中心市街地のにぎわい復活はよいが郊外を規制することには反対、車社会であるから郊外に住むのは当然、生活者や消費者、地域住民のためのまちづくりとすべき、経済活動は基本的に自由であるべき、どのようなまちづくりをするかは地方が決め、国としてまちづくりの理念や基本的な方向性を示してガイドすることは必要、といったさまざまな意見をいただいております。
これにつきましては17ページにまとめて書いておりますが、どのようなまちづくりを目指すかは当然地域住民が判断すべきことが原則と記述しております。あくまで地域住民のためのまちづくりであるということが本中間報告の基本的考え方には違いありません。しかし、当然、目指すべき方向性がないと、何でも勝手にやってくださいということではないので、追加の記述として、自治体が判断すべきものであり、国が強制すべきものではないことはいうまでもありませんが、自治体が今後目指すべき主要な選択肢の一つとすべきである旨を書き加えております。
それでは、パブコメの9ページ目の「様々な都市機能の市街地集約」の「中心市街地の様々な都市機能の集約化」に移ります。ここでも、土地利用に新たな制限を加えるのは反対、事前に地域の意見集約が大事、工場の跡地等に誘致できれば地域の活性化につながる、土地利用の手続やルールを柔軟に運用すべき、郊外に行くほど規制が厳しくなることについては反対、広域調整には反対、市町村の意見を尊重すべき、都道府県が調整するにしても国の関与のあり方を示しておくべき、といったいろいろな意見をいただいております。
これにつきましては、郊外規制の強化について反対という意見が非常に多く出されているのでございますが、人口減少社会において、コンパクトでにぎわいあふれるまちづくりを目指すことが重要ということで、事務局としては原文をそのまま維持したいと思っております。また、どこに集約するということは、先ほどいったとおり、地域が決めるものですが、その方向性については先述のとおりでございます。
さらに18ページ目の2)の下に、基本的にはゾーニングで決めるが、これは硬直的であってはならず、住民参加のもと、社会的によく判断した上で機動的に変更することも必要である、という文章を加えさせていただいております。
それでは?の「小売店に関する条例」、これは先ほども申し上げたところなので省きますが、公平性や透明性確保は重要だということを本文の19ページに加えさせていただいております。
本文でいいますと19ページ、パブリックコメントの資料でいいますと11ページの?の「大店立地法の在り方」、ここも意見を多数いただいておりますが、大型店の社会的責任について、出店後の地域活動への協力、退店時の問題について検討すべき、逆に、退店について過度な要求をすべきでない、対象施設の適用範囲を拡大すべき、などさまざまな意見をいただいております。
これにつきましては、本文の20ページから21ページに若干の修正を加えております。20ページの上と真ん中より下のところの括弧書きで世論調査の結果の数字を入れております。また、上から6行目のところは「適切な対応を可能としていることにかんがみれば」との記述を「大店立地法の直接の目的に照らしてみれば」と変更しております。
それと20ページの下から21ページ目にかけて、大型店の対応なども注視しながら引き続き検討すべきである、との記述を消し、「さまざまな見解もあるが、少なくとも地域住民からの関心が高いことも踏まえ、大型店自らが積極的に対応することが望ましい」と加えております。また、先ほどの特区等の関係で、中心市街地、大型店を誘致するという観点からも、退店後の場所に大型店を誘致するという観点からも、大店立地法の特例措置の拡充を行うべきである、との記述を追加しております。
それでは、パブコメの資料の11ページ目に戻りまして、「中心市街地におけるにぎわい回復」に移りますが、ここもいろいろな意見をいただいております。事業者自身の危機感と意識が重要である、車で行けて買い物できる商店街にしてほしい、商業者・地権者がみずからの問題として取り組む仕組みの構築すべき、商店街の成功事例を参考にしてより良い商店街づくりをすることが必要である、といった意見をいただいております。
これにつきましては、事業者自身の意識や自助努力が重要であるということはいうまでもないのですが、政府としても、このような取り組みを促進するような仕組みを検討することと、まちづくりについて集中的に支援することについて、後ほど述べますが、記述を追加させていただいたところでございます。
そして、成功事例を参考に、という話は21ページに既に記述しておりますが、(2)の柱書きの下のところに、成功事例を全国に拡大するため、成功事業のノウハウを水平展開するための支援を行うべきだ、との記述が既にございます。
パブコメの12ページ目、「選択と集中」「総合的なTMO体制の構築」についても、選択するのは国民であり官庁ではない、総花的施策からの脱却が必要である、TMOの権限強化についても言及が必要である、TMOの活動を含め十分な財政・人的確保を図るべき、といった意見がございました。また、「商業活性化のための取組の推進」のところでは、改めて認識を商業者・地権者にもさせることが必要、大型店を誘致するような施策にも踏み込むべきだ、自治体もみずから進んで主体的に積極的に関与することが必要、といったいろいろな意見をいただいております。
続きまして、13ページから14ページにかけましても、広く意見を聞く制度もあわせて考えてほしい、各都市独自ビジョンを出すべき、まちづくりの基本法の制定が必要だ、といったまちづくりの推進についてのさまざまな意見をいただいております。
これにつきましては、前の記述と若干重複はしますが、23ページから24ページに、「一体的推進のための制度のあり方」という記述を大幅に拡充いたしました。これは政府部内等におけます最近の検討状況も踏まえて大幅に拡充して書いております。
具体的には本文の23ページの真ん中あたりの?以降ですが、「支援対象の拡大と商業機能の更なる強化に向けた措置」につきましては、都市の重要な構成要素と考えられる機能、例えば居住機能などを新たに法の支援対象とするとともに、郊外移転等を背景とする商業機能低下を防止する。それとともに大型店の中心市街地の立地を誘導するための措置、これは先ほど申し上げました規制緩和等に当たりますが、それを講じていくということが書かれております。
?が基本計画の実効性の向上ということで、ここは再三述べておりますが、選択と集中による重点的な支援を講じる仕組みを法制度として構築すべきということです。
?はタウンマネジメント活動の機能強化ということで、タウンマネジメント活動形態を再構築して、民間のまちづくりの司令塔として新たなTMOとして位置づけるべきであり、その際には、民間を主体としつつも、市町村等についても新TMO任せにするのではなくて、積極的に参加することが求められる、と書かせていただいております。
?の基本法的法制度としての位置づけということで、関係省庁が多岐にわたることから、省庁間の連携を円滑化するために、中心市街地活性化本部を設置して全体として取りまとめられるようにするとともに、中心市街地の活性化を図るための基本法的な法律へと改正すべきであるという記述を加えております。
それでは、パブリックコメントの「おわりに」の部分、14ページです。パブリックコメントの周知方法が不十分ではないか、海外の法制度や事例も参考にすべきではないかといった意見をいただいております。パブリックコメントの周知方法につきましては、結果としまして4,700者以上ということで、多数の方から意見をいただいたということもあり、相当関心が高いことの現れだとは思いますが、これについては、今後報告書の趣旨や新しい制度について周知に努めていくべきであると考えております。
諸外国の法制度については、当然、合同会議でも紹介がありました。それを参考にして都市計画法体系の改正が必要との結論に至った次第です。さらに、そういったご指摘もあったため、参考資料集の48ページに、参考として、諸外国の制度の概要を加えさせてました。
以上、パブリックコメントと中間報告について、少し駆け足ではございますけれども、ご説明させていただきました。その他、例えば合同会議が第何回目であるとか、中活法に基づく基本計画の数が増加したので変えたなど、字句の修正等を加えておりますが、パブリックコメントを踏まえた修正、または政府における検討が進んだ点や事情が変わった点の追加記述をしております。
以上、簡単ではございますが、ご報告とさせていただきます。 -
上原議長:どうもありがとうございました。パブリックコメント等を踏まえ、前回の中間取りまとめ案からの変更をお示しいただきました。
それでは議論に入りますが、全体を通じて、活発な議論をしていきたいと思います。
それでは、篠原委員、よろしくお願いします。 - 篠原委員:皆さんのお手元の報告(案)の3ページ、赤で傍線を引っ張ってあるところをよくご覧いただきたいと思います。このまちづくり三法に係る問題は、他省庁の審議会でも、またいろいろなところで議論が行われている。それらの結果も踏まえて9月の中間レポートを見直して、最終報告をまとめると皆さんで決めたはずである。例えば、国土交通省の社会資本整備審議会が先般報告書案をまとめ、全国に公開しているにもかかわらず、この席で資料の配付も説明もないというのはいかがなものでしょうか。
- 上野座長:その点について、事務局からご説明をお願いいたします。
- 和田流通政策課長:その点につきましては、現在、パブリックコメントをかけられている状況だと承知しております。
-
篠原委員:皆さんご存じですか。皆さん全員、お読みになられましたか?
読んでない方もおられるので、ポイントだけ、特に関係の深い事項だけご説明いたします。国土交通省の社会資本整備審議会はゾーニング規制の強化の対象としていろいろ議論された結果、次のような報告書案をとりまとめました。
具体的に申し上げます。広域的都市機能を有する施設が、多数の人々を広い範囲から集め、他の建築物と比較して著しく大きい発生交通量などが生じる場合には、広域的なインフラや周辺環境に大きな影響を与えることとなる。このような施設として、一定規模以上で、店舗――その後です――飲食店、劇場、映画館、演技場、遊戯場、スタジアムなどの用途に供する建築物が考えられる。これらの施設の無秩序な立地が不適切な用途地域においては立地規制を強化し、規制を解除する際には、公正・透明な都市計画手続により、住民参加のもと、地域において社会的に判断した上で機動的な変更等を可能とする仕組みとすべきである。
要は、都市計画法及び建築基準法体系によるゾーニング規制の強化の対象は大規模小売店舗の商業施設にとどまらず、関連するサービス施設もあわせて強化の対象にするというのが結論でございます。この結論については、与党である自民党、公明党も賛成いたしております。
まちづくり三法というのは、釈迦に説法ですけれども、立地の適否は、どこにつくったらいいのか悪いのか、これは都市計画法でやります。決まった後、周辺の生活環境はこの大店立地法でカバーするという分担ができたわけです。都市計画法の方でまちに及ぼす影響が大きいということで、サービス施設も含めて強化の対象にするということなのに、なぜ大店立地法の対象にこのサービス施設ができないのか。今日説明のあった報告書案では、大店立地法の法適用対象にサービス施設を加えるという表現はありません。もし、この報告書案のように、大店立地法の対象にサービス施設を加えないという結論をこの審議会が出すのなら、我々はまちづくり三法ではなくて、まちづくり2.5法をつくることになると思います。ぜひこの点は徹底的に今日ご議論いただきたいと思います。 - 上原議長:川島委員、お願いいたします。
-
川島委員:ただいまの篠原委員のお話を伺いまして、確かに国交省の社会資本整備の審議会でまとめた内容についてみる限りにおいては、少なくとも都市計画という切り口でまとめられていることになるわけですが、ただ、これは、今までの経済産業省、なかんずくこの構造審議会で討議されていたことが反映されていない。特に都市計画が住民のニーズのよって来るものであるべきだという概念が抜けて、むしろ行き過ぎた規制色が随所に出ている。
したがって、いわゆる都市計画の用途制限については、現在の12分類の区域について、純化適用ということで、用途で示されているもの以外は全く原則として認めないといった形になっています。多少議論の余地を残すような部分というのはあるように見受けられましたけれども、この内容は多分、国会議員の先生方が地元で意見集約されたことの中でそれを具現化した部分もあるのではないかと思います。もちろん、私も、このまちづくりは都市計画と不可分であるということは前から申し上げているのですが、不可分であるけれども、それが極端に振れた場合には、これは規制以外の何ものでもなくて、自由な経済ですとか、あるいは自由な商業ですとか、あるいは消費者の自由な選択だとか、そういったものが否定されてしまうということが出てくるのではないか。
もっと極端なことを申し上げますと、用途純化という形で、商業地域以外は一切商業は認めないという形で決められた場合には、問題があると思います。例えば全国各所で、大きな工場が海外移転でなくなっている、あるいはまた廃墟になっているというところが幾つもあるわけですが、そういったことをそのまま放置して、まちづくりも、あるいは都市計画もあったものではないわけです。それを適正にいろいろな角度から見直して、仮に商業であってもバランスよくそれを配置すれば、空洞化して放置するよりははるかにいいわけですから、そういったことのバランスをとりながら跡地利用というものを真剣に考えるべきだということを主張してきたわけです。そういったことが行われなくなると、都市計画やまちづくりのあり方だとか、あるいは生活者ニーズだとかいうことがどうも軽んじられてきているのではないかという気がいたします。
この審議会で十数回にわたって議論されていたことが少なくとも国交省のプランの中ではそれがかいまみえてきません。したがいまして、今後はもっと、これは省庁間の壁かもわかりませんけれども、もともとこういうことは、まちづくり三法ですから、三法それぞれが機能し合って初めて有効になるという原点に返るべきだということを印象として申し上げておきたいと思います。 - 上原議長篠原委員、お願いいたします。
-
篠原委員:前回も申し上げましたとおり、今、全国各地で大規模なショッピングセンターがオープンしたり計画されてますけれども、そのほとんどは商業施設とサービス施設の複合体でございます。大体2割程度はサービス施設が入っていると思います。周辺に及ぼす生活環境というのは、商業施設だけから発生しているものでしょうか。一体的に建物が運営され、駐車場も一体的に運営されて、サービス施設からは生活環境に一切影響を与えてないという立証ができるのでしょうか。だからこそ、都市計画法の方においても、商業とサービスを一体的にゾーニング規制の対象にしようということで、与党も合意をして結論が出たわけでございます。社会資本整備審議会の報告書案は、まだパブリックコメントにかけられている最中ではありますけれども、それとの整合性をなぜ図らなければならないのかということをもう一度よく考えていただきたい。
ちなみに都道府県の条例では、兵庫県が10月1日から新しく条例をつくりました。これは商業施設だけではカバーできないということで、サービス施設を入れた周辺生活環境を保護するためのいわば大店立地法の横出し条例でございます。我々が住んでいる東京都、足元をみても、渋谷区、杉並区、新宿区、この3区は、商業施設だけでなくて、サービス施設も一体的にとらえた条例を施行しております。また、墨田、江東、品川、目黒、世田谷、荒川、葛飾、これらの区も商業施設とサービス施設を一体的に、条例ではございませんけれども、要綱でカバーして補完いたしております。
こういう世の中の実態があるにもかかわらず、なぜ大店立地法が、サービス施設と商業施設の一体的な運営がされているにもかかわらず、法律の対象にできないのでしょうか。経済産業省にお聞きいたします。間違っていたら後で訂正してください。 - 上原議長:では、事務局からお願いいたします。
- 篠原委員:あわせて、飲食店、劇場、映画館、展示場、遊戯場、スタジアム、こういった施設は経済産業省の所管業種ですか。イエスかノーでお答えください。
- 和田流通政策課長:一部は違います。
- 篠原委員:どこが違うのですか。
- 和田流通政策課長:飲食店は違います。劇場は文部科学省、飲食店は農水省、というように所管省庁が異なっております。
- 篠原委員:これらは文部科学省、警察庁、農林水産省の所管業種でございます。私どもは、この3省庁は、各々の所管業種について今回大店立地法を改正して規制対象に追加することに反対ではない、賛成していると聞いております。経済産業省は他の3省庁と調整いたしましたでしょうか。
- 和田流通政策課長:調整はしておりませんが、ご意見は伺いました。ある会議において、「反対はしない」と言った省があったことは伺っております。
- 篠原委員:調整をしてないというのはどういうことでしょうか。先週、二階大臣と副大臣お二人、2人の政務官、次官、ここにおられる局長、皆さんと経済3団体ということで懇談会をいたしました。そのときに、私どもの山口会頭から、サービス施設を大店立地法の対象に加えることの要請をいたしました。他省庁の権限にかかわることならば調整をしてほしいというお願いをしました。早く実行していただきたいと思います。
- 上原議長:そもそも大店立地法ができた経緯を考えますと、当時、既に警察等、いろいろなところで規制があった中、特に物販施設に関しては、その集客力やごみの排出量等に鑑みて、大きな影響があるということが結論づけられました。その結果、既にある他法令の規制に加えて、何か上乗せすることはできないかという思想でできたわけです。したがって、今急にサービス業に対象を拡大するかどうかについては、今後とももう少し長い議論が必要ではないかと思います。
- 篠原委員:議長、皆さんの意見を聞いてください。議長の意見だけでまとめるのは反対です。
- 上原議長:意見ではなくて経緯を申し上げたまででございます。それでは、川島委員、お願いいたします。
-
川島委員:今のお話で、サービス業というものがいろいろ具体的にお話がありましたけれども、一つの、例えばショッピングセンターであれば、これは機能として不可分なわけですから、それの及ぼす影響がいわゆる立地法にどうなのかということは、ただいま上原議長の方からお話しあった経緯を踏襲しているのではないかと思います。
問題は、どういうことがよく作用しているのか悪く作用しているのかということを十分みるべきだろうと思います。ですから、それがいろいろな問題あるならば、それに対する調整を図るなりする必要があるけれども、ショッピングセンターにしても、郊外のそういう集客施設というものを考えてみても、場合によっては公共施設もその中に入る場合もあるわけですから、また、そういったことが本当の意味のまちづくりとしての機能になるわけです。そういうことを考えた場合に、これを外すといった整理する仕方というのは必ずしも快適なまちづくりにはなり得ないと思いますが、今の篠原委員のご指摘では、これは一緒だから問題があるのかどうかというふうにどうも誤解を受ける気がするけれども、いかがでしょうか。 - 上原議長:今のご質問は、篠原委員に対するご質問でしょうか。
- 川島委員:ええ。
-
上原議長:そのようなことがある、という問題指摘として承っておきます。この点につきまして皆様からご意見いただきたいと思います。
その前に、この点について一言申し上げますと、サービスも規制対象に加えるか物販だけにするかという問題の他に、集積効果という問題もございます。つまり、一つのものが出てきたら付随サービスがつかざるを得ないということです。したがって、例えば新しい中心街にコンパクトシティを作る際には、そういう効果があるということも念頭に置きつつ、我々はもっと現実的に考えていかざるを得ない。ですから、私は篠原委員がおっしゃったことはよくわかります。しかしながら、それだけで規制すべきか否か、簡単には決められない、と申し上げたいわけでございます。なお、今申し上げたことは、私の意見というよりも「もう少し考えて頂ければ」という提案でございます。
中村委員、お願いいたします。 -
中村委員:全体的な今までの報告を通してお話をしていきたい。この中間報告、私どもの意見、提案がほとんど盛り込まれて、全体的にはよくまとまっているなと。でも、幾つかちょっと要望申し上げたいと思います。
これまで、合同会議において、このまちづくり三法が機能してない原因というのは、三法が行政の縦割りで相互に有機的にリンクしていないためであるということを申し上げていました。そこでまず、まちづくり三法をつくり、まちづくりの基本理念を明確にすべきであると申し上げてきました。今回明確に、現在の中心市街地活性化法を改正して、そして中心市街地の活性化を図るための基本的な法律へと改正すべきであるとした点、また、省庁間を連携するために中心市街地活性化本部を設置する、このことを明記したことは大変評価したいなと思います。
しかし、今回抜本的に見直される予定の都市計画法と大店立地法をしっかりリンクさせるためには、また実効性あるものにするためにも、24ページの?の「基本法的制度としての位置づけ」の項目の中に、具体的に盛り込むべき内容やあるべきスキームをここに記述していいのではないかと思いました。
なお、できれば、この項目の重要性を考えれば、22ページの一番下の(3)の「様々な都市機能の市街地集約と中心市街地におけるにぎわい回復の一体的推進のための制度のあり方」の中の1項目ではなくして、新たな項目を起こしてもよいのではないかなと、そんなことも思いました。
次に、今篠原委員からもありましたように、大店立地法について一言申し上げたいと思います。現在、都市計画法の見直しについて、いわゆるゾーニングの強化が検討されていますけれども、現行都市計画制度では大規模商業施設という言葉を使っていますけれども、見直し案をみますと、対象として一定規模の大規模施設ということで、商業施設、劇場、シネコン、アミューズメントの施設など、いわゆる大規模集客施設が検討されているということを伺っておりました。そこで、まちづくり三法を相互にリンクさせるなら、大店立地法の対象もこれにあわせて、大規模小売店舗だけでなくて、やはり大規模集客施設とする方が望ましいのではないかと私も考えます。
少なくとも大規模小売店舗だけよりは、集客数とか、あるいは滞留時間の面において、かなり異なるのではないかと思います。当然、交通問題とか騒音問題にもかなり影響すると思います。したがって、大規模小売店舗に併設する集客施設はすべて大店立地法の対象にすべきではないかと思います。先ほど篠原委員がいってました。
ちょうどいい機会ですから、百貨店の地域貢献についてちょっとお話しさせていただきます。先日ちょっと新聞で、当社、三越が立川にある日産工場跡地にできるショッピングセンターに出店する話が掲載されました。皆様方からいろいろ問い合わせを受けました。私どもは、郊外店のショッピングセンターといいましても、あくまでも大都市圏の中での出店であって、中心市街地と共存共栄できるということを前提にしておりますので、どこでもいいということは考えておりません。中心市街地活性化に甚大な影響を及ぼすような郊外への出店は考えていないということをまず申し上げさせていただきます。
百貨店の地域貢献、百貨店は長年、都市のインフラとして、また地域の伝統・文化を守る立場として、あるいはコミュニティ形成の場としてさまざまな役割を果たしてきました。そして消費者の信頼と信用を築いてきました。その結果、生活者の豊かなライフスタイルの形成や中心市街地の活性化に大きな役割を果たしてきたと自負しております。
特に地方百貨店では、地元商工会議所、それから商店街等と連携してやっていかなければ中心市街地は衰退してしまうという危機感を強くもちまして、懸命に取り組んでおります。例えば共同してさまざまな集客イベントの開催、それから空き店舗対策、それから地元産品の販売、それから地域の伝統・文化の保存・普及、それから犯罪・防災対策、環境美化、子供の教育や育児支援活動するNPO法人への支援。現在、宮崎の山形屋さんが店舗の一部をキッズルームに開放するといったことも積極的に取り組んでおります。今後ますます、この地方商工会議所とか商店街組合、NPO、法人等々の連携を深めて、生活者にとって暮らしやすく、安全・安心なまちづくりに積極的に活動支援していかなければならない、かように思っております。
なお、退店問題、ここに出ておりました。私どもは今大変気を使っております。できるだけ地元の方に迷惑をかけないように、いきなり退店を決定するのでなくして、その前に住民や行政と十分時間をかけて協議しております。今後も退店問題には慎重に対応してまいりたい、かように思っております。
最後に、これまで合同会議、議論をいろいろ闘わせて、これからもいろいろ出るでしょうけれども、我が国、これから経験したことのない人口の減少、それから少子高齢化、劇的な変化が襲ってくる中で、まちづくりや、それからまた市場原理だけに任せておいてはだめだといった思いをしておりますけれども、生活者の視点が重要だといわれておりますけれども、この生活者の視点というのも、人口が減って、そして少子高齢化が進む中でライフスタイルが本当にどう変わっていくのかと。さまざまに変わって、私どもが今予想している以上の変化が起きるのだろう。そんなことを想像しながら、20年、30年先の都市計画というものがどうなっていくのだろうともう一度予測し、そして、私も企業の一員でございますけれども、企業のエゴを捨てて本当に真剣にまちづくりの議論をしていかないといけないのかと、そんなことを全般に感じました。
長くなりましたけれども、申しわけございません。 -
上原議長:どうもありがとうございました。
今、篠原委員と中村委員から、大店立地法にサービス施設を含めるべきだ、とのご意見をいただきましたが、これは規制手法の観点からは、いろいろ検討すべき点があるかもしれません。また、お聞きしたいのですが、現在、大型店が出店する際、サービス施設が付随することがあります。実際に、このような付随サービス施設が大店立地法の対象に入っていないことによる大きな問題はございますか。
つまり、実際には、駐車場の問題や騒音の問題、また、大型店の中に入っているサービス施設の影響も、物販施設からの影響の一部として処理しているケースが多いのではないか、ということです。もし、実際上の問題がございましたら、お聞かせ願いたいと思います。 - 篠原委員:全く、事実認識が反対だと思います。今の議長のご意見は賛同できません。今、7万、8万平方メートルの大きなショッピングセンターは一体構造です。駐車場も一体です。そして、物販面積が7割とか8割、2割とか3割がサービス施設です。一体構造です。経営者も一体です。それで周辺に及ぼす影響は、物販に来たお客さんによるものなのか、サービスで来るお客さんによる交通渋滞なのか、一体不可分です。それにもかかわらず、今の大店立地法は物販のところでしかつかまえていません、法律上は。事務当局、説明してください。
- 和田流通政策課長:議長のご質問の趣旨を確実につかんでいるかどうかわかりませんが、そのような状況であるというのはご存じの上で、どういう問題が具体的に起きているか、もしご存じであれば教えてください、というのが議長の質問であったと思います。
- 川島委員:私の質問もそういう趣旨です。
- 上原議長:石原委員、お願いいたします。
-
石原委員:この問題は大変難しい問題だと正直思います。事実認識は、篠原委員のいわれているのは全くそのとおりだと思いますし、法律の三法の体系の美しさといいますか、からいえば、合っているのが多分一番素直に読めるかなという気はいたします。
ただ、議長のご質問に絡む話でいえば、立地法で駐車場の下限を設けているというのは、原則としていえば、開設者は駐車場を余りつくりたがらないということが前提になって発想があったのですね。ところが、特に郊外部に出店されるときには、そんなけちなことをいわずに、どんどんと駐車場をつくってしまうということになってしまった。だから、こと駐車場に関していえば、実害は現在あるのかといわれればほとんどないということなのだろうと思います。
交通問題について、オフサイドかオンサイドかという話が前のときに出たのですが、敷地の中だけの問題というふうに立地法は今定義してますので、その意味では、現在問題になっていないというのは議長の意図だろうと思うのですが、これから今後の話になっていくのですが、まち中に誘導していこうということを考えると、この問題は同じような構造をもってまち中に入ってくるとなれば、郊外で、今想定していたのと同じようなことが今後ともそれで乗り切れるかどうかというのは定かではないと。その意味では、今すぐかどうかは別にして、この問題というのは非常に重要な問題として検討しなければならない問題であると思います。
ちょっと違うことですけれども、せっかく言い始めたのでよろしいですか。 - 上原議長:お願いいたします。
-
石原委員:それ以外のところで、全体として随分とまとまってきたのかなあという印象をもっているのですが、特にここがどうこうということではなくて、ほぼ意見としては盛り込んでいただいている中で強調してお願いしたいなと思ってますのは、前にも申し上げた、中活法での基本計画が自治体の本当の性根の入った計画になっているのかと。単に商業化の一つの計画にすぎないということではなくて、本当の意味での計画になってほしいと思っているのです。
今回のレポートでいえば、23ページの?のところあたりはそのことを象徴的に表現していただいたと思うのですが、先日、山陰のある都市へ行けば、中心市街地の中で既に800億の投資をしながら、そこから離れた農地のところに大型店の誘致、誘致ではないのですかね、出店計画に対して着々と進もうとしている。そういう形というのはもうもたないと思うのですよね。これを何とかしない限り、パブコメの中にはありましたけれども、まち中がよくなるのはいい。でも、郊外を規制するのは反対だ。両方やりましょうなんて美しいことをいっていても、もうもたないということをはっきりとさせてほしいし、それが実効性のところでこれから具体化してほしいなあと思ってます。 -
上原議長:ありがとうございました。
岩崎委員、お願いいたします。 -
岩崎委員:都市計画によるゾーニングということがこの問題と不可分に出てくるわけですが、これはコンパクトシティを実現していくという理念の実現のための手段であると思います。その場合に一番大切なことは、地域住民がどういうまちをつくるべきかという点について、現実問題としてはなかなか時間のかかることだと思いますが、徹底的に議論して、地域の意見というものを統一する、コンセンサスを得るということだと思います。
それに従って都市計画を描き、ゾーニングを行うということですからやはり市町村当局が中心になって相当努力をしてもらう必要があると思うのですね。
そういう意味では、需給規制ではなく都市計画に基づく土地の用途規制であることを十分にアナウンスする必要があると思います。需給調整ということはあくまでもやらない。あくまでも皆が望む都市計画、都市のあるべき姿を実現するための手段なのだということをですね。
それから、只今石原先生がおっしゃった基本計画の問題ですが、重要さの割にはそれに適わしい取扱いの実情にはなっていないと思います。市町村当局で作成されたものが事務的に都道府県や国の方に送付されるだけでとくに評価が加えられるわけでもなく、従って国の補助も評価にリンクして行われるというより、現実の事業に対して行われています。この点は改善が必要です。いろいろと利害のからむ市町村がすべて取りし切ることには限界があると思われるので、都市計画や中心市街地の活性化といった重要課題を整然と進めていくには、何らかの形で上位官公庁が関与することが必要ではないかと思います。 -
上原議長:ありがとうございます。
遠藤委員、お願いいたします。 -
遠藤委員:先ほど皆さんのお話を聞いて、もっともな話ですが、私もホームセンターという立場で考えますと、やはり郊外店舗という形が中心にならざるを得ないのが現状です。郊外を規制すればそれで中心市街地がにぎわいを取り戻すか簡単に判断はできません。市街地活性化に取り組む課題として、岩崎委員も話をされましたように、行政を交え、それから地域の住民を交えて話し合いする中で理解していくことが必要であるはずです。同時に各市町村もまちづくりに精通しているリーダー的な立場、また経済産業省でもそのような立場を確立していくことが必要かと思います。
非常に難しい問題でございますが、もう一つ付け加えますと、郊外に大型店が悪であり、商店街が善であるといった表現で書かれていると非常に誤解を招きます。7ページの5行目の後半に、「大型店の郊外立地は中心市街地に悪影響を与えるものとされる」という文面が入っております。これは余りにも大型店を無視している表現だと思います。それから同じく11行目に中心市街地・商業地区の衰退ということが大きな要因であるということもあわせてそこの点をご検討いただきたいと思います。
重ねてお話いたしますが、まちづくりのための大店立地法を改正しようとする意見、法律を変えればまちが活性化するというわけでもないと私は思います。私は、地元の商工 会議所にも関係しておりますが、いろいろ地元の方々のお話を聞きます。私どもの実際体験から、郊外に出店するという立場でもありますが、今盛んに、大型店は何万坪という形でショッピングセンターを建設、ホームセンターもその一部かもしれませんが、その開発についての考えが自己中心であり、倫理に外れているのではないかという懸念もいたします。
といいますのは、大きな開発には相当の資金が必要です。その資金源といわれるものは、海外から資金調達、一部にはファンドマネーと称する資金で賄われている状況にあります。
何が何でもつくればいいではないかといったことが多分にあると思います。本業から外れた部分で利益をあげるデベロッパーということが元となり、いろいろなサービスゾーンを備えて集客を行い、テナント料による収入が実態という現象が起きています。
このような状況で開発・出店の場合、いかに地域の皆様とコミュニケーションや情報交換をしていくかが、まちづくりの基本だと思います。中心市街地の活性化は中長期の努力の上に成り立つものと考えます。よろしくお願いします。 -
上原議長:どうもありがとうございました。
坪井委員、お願いいたします。 -
坪井委員:いろいろご論議がなされておるわけでございますが、私は商店街の立場からいえば、要するに複合的な商業施設というのは、当然ながらサービス業も中に入って、一体的に運用しているということがあるわけでございまして、これを切り離して論議するということはもうナンセンスだと私自身は思っているわけでございます。
といいますのは、地方へ帰って、市町村で大店立地法の審議会があるのです。そのところでいつも問題があるのは、要するに物販、小売の物販だけを対象でこの立地法を論議してみえるわけです。全く違うわけでございまして、そういうところも一体的に物事を考えていただいて論議の場というものが必要だということを各先生方おのおのいってみえるわけでございます。といいますのは、要するに環境というところが非常に重要視される昨今であるにかかわらず、交通渋滞を起こしながら、それは物販の方だとかサービス業の方だということは区別なんてできるはずがないわけでございますから…… - 上原議長:現実にはできておりませんね。
- 坪井委員:ええ。それを要するに私は、篠原委員がいわれるとおりでございますから、当然ながら……
- 上原議長:私もその点につきましてはお伺いしたいと思っております。現在は物販施設が中心ですが、サービス施設を対象に入れていないために大店立地法が機能していないという問題がどの程度存在しているかについて、お伺いいたします。
- 篠原委員:我々が主張していますのは、物販とサービスが渾然一体に運営されている。したがって、トータルで把握しないと、サービスでどれだけ迷惑かけているのかは分析できないのです。トータルで把握しなければ、交通渋滞だって、物販で起こしているのかサービスで起こしているのか、だれも実証できないから、トータルで把握すべきと。そういう実態に即して条例も要綱もできているわけです。
- 坪井委員:一緒なのですよ。要するに、物を買って……
- 篠原委員:都市計画法もトータルにゾーニング規制の対象にしましょうということです。
- 坪井委員:物を買ったら食事をしないということでもないわけでございますから。
- 上原議長:したがって、物販施設とサービス施設は一緒になっておりますが、現在、それで迷惑がかかっているというのは、どのように迷惑がかかっているか、ということを教えていただきたいと考えております。
- 篠原委員:逆に、サービス施設から迷惑をかけていないという証拠はありますか。
- 上原議長:そのようなことを申し上げているのではありません。どのような問題があるかということをお伺いしたいだけです。
-
和田流通政策課長:少々、事務局から発言させていただきます。先ほど、都市計画法と大店立地法の話、都市計画、社会資本整備審議会の話も出ましたが、都市計画法上規制すべきというのは、広範な都市機能とか都市構造への影響という視点でございます。大店立地法の規制は周辺の生活環境の保持という視点でございまして、両者が同一の視点では問題ということではありませんし、それと同時に、同一の視点でなければいけないということでもありません。
また、被害の実態については、我々も地方自治体を通じて調査しようとは考えたのですが、例えばカラオケ屋がうるさいという実態があったとしても、物販施設と一体化しているからうるさいのか、カラオケ屋自体がうるさいから問題なのか、分けるのは難しく、実態を把握するのが困難ということです。
また、物販施設と一体化しているサービス施設を規制すべきとおっしゃいましたが、当然、アミューズメントだけの施設とか、レストランだけの施設がもし被害を出しているならば、そのような物販施設と一体化していない単独のサービス施設についても、当然規制の対象にすべきとおっしゃっているのではないかと推察いたします。そう考えると、所掌などの縦割りの問題はもちろんありますが、それに加えて、そもそもこの審議会が流通部会、商業部会である中、サービス業の規制を本当にその所掌の範囲内で取り扱うことができるのか、という点も問題になると思います。
これまでにも、本審議会にサービスの関係の方をお招きし、また委員にするといった話ももちろんなかったのですが、そのような中で、この審議会でサービス施設も規制をするといった結論を得ることは、ある意味では非常に慎重にやらなければいけないと思います。手続面でも慎重でなければいけないと思いますし、そのことについてこの審議会でできるかどうかということも含めてご議論いただければと思います。 - 篠原委員:おっしゃるとおり、今議論になっているサービス施設の業所管省はほとんどが農林水産省、警察庁、文部科学省です。したがって、この審議会で結論が出せない、設置法上出せないということはわかります。しからば、各省庁の責任者をここに呼んできていただきたいと思います。どういう意見をもっておられるのか。賛成なのか反対なのか、各省庁の意見を聞けばいいではないですか。その調整の努力をしてないのですよ。
- 上原議長:先ほど事務局から申し上げたのは、そもそもこの審議会に他省庁を呼ぶことが当審議会の所掌の範囲内かどうか、ということです。
- 篠原委員:それなら、所掌範囲外だからノーコメントにすべきなのです。当審議会に権限がないのなら、そこの部分についてコメントを差し控えるべきだと思います。
- 岩崎委員:篠原さんがおっしゃっているのがよくわからないのですけれども、SCの場合サービス店舗を含めてのテナントミックスですから、分割して考えるということはしていないんですが…。
- 篠原委員:いやいや、そういう議論をしているのではないです。10万平米なら10万平米のショッピングセンターに物販施設が7万平米、サービス施設が3万平米の場合、どうなっているかという議論をしているのです。その場合に、今の大店立地法はこの7万平米の物販施設から起こった問題しか対応できない法体系ではないですかということを問題提起しているのです。
- 和田流通政策課長:サービス施設は対象にはなっておりません。
- 坪井委員:なってないよ。うちの地方の審議会、いつもそうです。それは対象外ですよといわれるのですから。
- 上原議長:宮下委員、お願いいたします。
-
宮下委員:きょうはもう13回目でございまして、何回やってもいいのですけれども、かなりまとめの段階に来て、何回もパブリックコメントを踏まえて事務当局が出されている。そして、篠原委員等々がおっしゃられたのは非常に重要な問題であることは間違いない。しかしながら、ここは経済産業省の場で、先ほどから話があったように、流通部会、あるいは商業部会の合同部会で進めてきた一つの検討の範囲というのはあった気がします。
そういう意味で考えますと、今のご指摘のサービス業等々は非常に重要ですが、今までの検討の中で、1年かけてそれほど十分取り扱ってこなかったテーマ、しかしながら重要だというならば、我々の最終的なまとめは、多く、こういう報告書は最後に、今まで十分検討しなかったけれども、こういう点がまだ残された重要な課題だと。今後の検討課題という形でやはり明記しておいて、そしてその前提で、報告書を我々はこの段階でこういう形で出したいと。しかしながら、今おっしゃられた非常に重要な現実的な課題が残っているので、これは今後の検討課題として、しかるべき場なり、あるいはこの場所としたら、半年、1年後にまた再開される可能性もあるわけですよ。ですから、もうこの段階に来ると、国会等々がいろいろ動き出しますし、いろんなところでパブリックコメントも7,000通も来たというこの事実、このあたりでやはり事務当局なり議長がまとめて一つの中間答申を出して、最後に明確に、今いったような、この場で検討しなかった重要な課題、今後検討しなければならない課題を明確に明記しておさめるべきような気がするわけです。 -
上原議長:ありがとうございます。
篠原委員、お願いいたします。 - 篠原委員:サービス施設を所管する他省庁、3省庁ございますけれども、その意見も聞かずにこういう報告書を出していいものでしょうか。
- 上原議長:他省庁からはご意見を伺っていると先ほども申し上げましたが、それらの意見も参考にしつつ、この原案ができたということです。その中で1つ重要なことは、今回与えられた課題の範囲を超えているということです。しかも、コンパクトなまちづくりについては、都市計画等についての議論の方向を踏まえて、我々のできる範囲で提案されてきたものが原案でございます。これでぜひご理解願いたいと思います。
- 篠原委員:この原案の20ページの中段に書いてあることは、これまでの議論を踏まえますと、100%承服できません。
- 上原議長:具体的に20ページですね。
- 篠原委員:はい。20ページの中段でございます。「都市計画体系等との再整理や役割分担を行うことが必要である」云々と書いてありますけれども、都市計画法体系でサービス施設を商業施設と一体的にとらえるという整理がなされつつあるにもかかわらず、こういう表現はいかがなものですか。
- 上原議長:どの方に対してのご質問でしょうか。
- 篠原委員:いや、原案を出した事務局に。
- 上原議長:申し訳ございません。もう一度、ご質問をお願いいたします。
-
篠原委員:20ページの中段に、「また、サービス施設を含む大規模集客施設全般を対象とする場合には、関係法令(環境影響評価法、都市計画体系等)との再整理や役割分担を行うことが必要である。このような点を踏まえれば、大型店の社会的責任の一環として、退店時の適切な対応を含む地域貢献を求めるべきではないかとの指摘もある」というくだりでございますけれども、「都市計画体系等との再整理や役割分担を行うことが必要である」、ここはどういう意味なのか。
都市計画法体系では、審議会で大規模小売店舗の物販施設とサービス施設を両方ゾーニング規制の強化の対象にしようという報告書案が出ているにもかかわらず、大店立地法上の扱いはイエスなのかノーなのか、この報告書は何もいってない。あいまいに、ごまかしたままになっているわけです。イエスかノーかをはっきりさせる必要があると思います。 - ○上原議長:事務局からお願いいたします。
-
○和田流通政策課長:先ほど、都市計画法と大店立地法の関係についてはお話ししたところでございますが、今、都市計画法では大規模な集客施設を対象として一定の規制をかけようとしている、少なくとも審議会のパブコメにはそのように出されているという中で、さらにそれに加えて規制を行う必要があるのか、という問題がございます。したがいまして、都市計画法で規制がなされた以上、同様に大店立地法でも規制しなければならないとアプリオリになるわけではないと思います。もちろん、被害実態がないので対応する必要はないというつもりは、全くございません。
また、先ほど申し上げたとおり、本件は本当にここで結論を出すべき問題なのでしょうか。それは当審議会の所掌の問題ということですが、その点について事務局としては疑問なしとせずということでございます。 - 上原議長:川島委員、お願いいたします。
- 川島委員:私、意見として申し上げたいのですけれども、サービス施設を含め、ショッピングセンター、さっき岩崎委員もおっしゃってましたけれども、これは不可分だということは皆さんもご存じなわけですから、そういうことに対して立地法上でどういう影響があるのかといった場合には、例えば駐車場問題、騒音の問題、あるいは青少年に対する影響の問題、さまざまなことがあるのですけれども、そういうものを全部包含しているという中で、例えば計算方式が変わるとか、あるいは何か具体的なものがないと、それを分ける意味がないということで考えてます。
- 篠原委員:事務局、明確に答えてください。現在の大店立地法は、サービス施設は対象にしてない。法律の対象外、そこは間違いないですね。
- 篠原委員:事務局、明確に答えてください。現在の大店立地法は、サービス施設は対象にしてない。法律の対象外、そこは間違いないですね。
- 和田流通政策課長:そうです。
- 川島委員:いや、だから、対象にしてないということは、対象にした場合にどういう影響があるのか、それは計算上できないから、そういうものも包含して駐車場何台ということを、法の求めるところとはちょっと広げているかもわからないけれども、判断して、行政が認めているわけですから。
- 篠原委員:それは法ののりしろを超えていると思います。例えばアミューズメントから大きな騒音が出たと、あるいはレストランから廃棄物、悪臭が出るというときに、この大店立地法は対応できますか。
- 和田流通政策課長:できません。悪臭防止法とか騒音防止法で対応することになります。
- 川島委員:できないけれども、騒音防止条例もあるし、それを規制するものは幾らでもあるでしょうに。
- 篠原委員:他の法令で規制できるのなら、この大店立地法は要らないのです。
- 川島委員:そんなことはないでしょう。
- 篠原委員:いや、要らないのです。
- 川島委員:大店立地法というのは、それはやはり法の求める、地域に与える影響というものをきちんと配慮して守ってくださいよということなのです。例えば、所定の算出方法を用いて駐車場の台数を決めるなんていうのはこの法律以外に今のところないわけです。
- 上原議長:そうです。大店立地法は他法令に規定のないものから入っております。これはぜひお考えいただきたい点です。基本的には、複数の法令で規制するということは望ましくありません。むしろ、一つの規制体系に準拠することが最も効率的であるとの考えに基づいているわけです。
- 岩崎委員:渋滞とか、あるいは交通安全問題とか、あるいは騒音などに対してはそれなりに現在規制があります。例えば交通関係については警察との協議が必要ですし、騒音は市町村条例もあるわけです。ただ、そうではあるけれども、立地法はその上で特に影響が大きいと認められる物販について、規制を加重し数値化したということだと思います。そのように理解したらいいのではないでしょうか。
-
上原議長:そうです。
石原委員、お願いいたします。 -
石原委員:先ほどと同じようなことをもう一度いうことになると思うのですが、時間の関係で、ここのところも大事ですけれども、ほかにもあるのかなという気がするのですが、要するに、郊外、これは実態が一体化しているというのもご指摘のとおりで、それについては争う余地はないと思ってます。ただ、郊外の超大型店ということになると、多分、実態的に何かぐあいの悪いところが出てきているかというと、ほとんど周辺に人間が住んでないのですから、問題の出ようがないということなのかもしれません。
交通渋滞のことについては、深刻だといわれながら、渋滞問題は立地法では扱えてないのですよ。駐車場の問題しか扱えてないという意味です。それは立地法をつくるときに随分と議論をしながら、そこに射程が及ばなかった問題なのですね。だから、そこは何ともいえませんけれども、駐車場の台数を確保するという点だけからいえば、恐らく、私が経験している限りでは、ほとんどのところで十分な駐車場は確保されているといえると今は思います。
ただ、これから、郊外ではなくてまち中へ引っ張ってこようとすると、この問題は同じようにはずっとはいえないでしょうねと。だから、先ほど宮下委員のご指摘のように、今回わりあい急というか、煮詰まってきている状況ですので、課題として置いておくと。重要な課題であるということを明記しながらこれでということでどうなんでしょうねと思います。 - 上原議長:篠原委員、お願いいたします。
- 篠原委員:少なくとも私どもが、議長及び事務当局にお願いしたいのは、サービス施設を所管する他省庁、農林水産省、警察庁、文部科学省はどういう考えをもっているのか、あるいは大店立地法の対象にすることについて賛成なのか反対なのか、白黒、決着を早くつけてください、ということです。
- 上原議長:賛成なのか反対なのかということよりも、むしろ、先ほど石原委員がおっしゃったように、郊外では余り問題が起きていませんが、これを都心部に置き換えた時には幾つかの問題が起きるということです。しかし、問題が起きるということは、そもそも都心部と郊外でまちの在り方が異なりますので、また新しい観点を入れて考えなければならない、というのが石原委員のご提案だと思います。
- 篠原委員:郊外で問題が起こっていないという認識は本当ですか。某大ショッピングセンターの近くを通過するのに1時間かかりました。現にそういう事態があるのです。
- 上原議長:それは既に物販施設が全体の7割も占めているからではないでしょうか。
- 篠原委員:物販とサービスでトータルに影響を及ぼしているわけです。
-
上原議長:交通渋滞問題というのはなかなか難しい問題が絡んでいます。
秋元委員、お願いいたします。 -
秋元委員:パブリックコメントの内容を拝見しまして、特に生活している方、まちの声というのが本当によく反映されて、改めてこういう仕組みのよさを感じました。例えば中心市街地は一体どこを指すのかといった意見もありました。先月、私どもで団塊の世代のご夫婦を対象に食生活について訪問調査をしました。たかだか十数軒なので、統計的な意味というのはありませんが、参考になる意見をたくさん聞いてまいりました。
団塊の世代ぐらいになりますと、食に関する情報収集、それからいろいろな食材の調達にインターネットを積極的に使っています。食材の調達先についても、1カ所ですべてを済ませているお宅はほとんどありませんでした。それからリタイアされたご主人の場合、毎日行くところは、図書館であり、それからスポーツクラブです。ですから、今ご議論されているサービス施設の中に、学習の機会であるとか、それから健康のためのスポーツ施設でありますとか、そういったサービス施設も含めて議論をされてはどうかと思います。
それから少子高齢化は、マクロ的には問題ですが、団塊の世代の50代半ば以上、それから60代以上の方のお話を伺って驚いた点は、男性がリタイアされると、予想以上にコミュニティに戻っていくということです。したがって、団塊の世代が大定年時代を迎えるということは、男性がコミュニティに戻り、関心を持ち、まちづくりを活性化させるのに、またとないチャンスといえるかと思います。
それから省庁関連の調整というのは必要だとは思いますが、新しい仕組みをつくるとき、新しいアクションを起こすとき、何が弊害になっているのか、問題を解決していく上で縦割り行政がどのような面で弊害になっているのか、そこをもっと明らかにしていくべきではないかと思います。 -
上原議長:ありがとうございます。
寺田委員、お願いいたします。 -
寺田範雄委員:先ほどの大店立地法の業種の話もそうですけれども、これまでまちづくり三法がうまくいかなかったのは、それぞれの法律が、所管も分かれてますし、それから自治体の窓口も必ずしも一本化してないといった形でばらばらで運用されてきて、まちの破壊がとめられてこなかったということではないかと思うのです。で、理念も必ずしも明確でなかったと。
今回、ここの審議会でコンパクトなまちづくりという一つの明確な理念を示してもらったということは大変重要なことだと思いますし、むしろそういった理念を実現していくためにそれぞれ三法の運用をどう変えていくのか、あるいは改正すべき点は改正していくということで、基本法というのを今度制定していただけるということですけれども、それでは大店立地法について、コンパクトなまちづくりにどう貢献できるのかと。
今まではそういう理念がなかったから、大店立地法は大店立地法として厳格に運用していけばよかったのですけれども、今後はまちづくり三法それぞれがこのコンパクトなまちづくりのためにどういう形で貢献できるのか。あるいは薄いかかわりなのかもしれないですが、まちの中でそういうコンパクトなまちづくり計画を進めている中で、それを明らかに阻害するような、例えば立地が認められるとかいうようなことがあってはならないと私は思ってますし、1つこの中に、中心部の立地は少し緩和するといったような考え方も入っているので、こういったことも非常に重要だと思いますが、そういった観点から、本当にコンパクトなまちづくりのために今の大店立地法というのは全く改正しないでいいものなのかどうか、そこをもう一回再検討していただきたいと思うのです。
やはり大事なのは、自治体がこれを運用していくわけですから、そういった理念が常に頭にしみついた形で法律の運用をしていくという体制をいかにつくっていくかということだと思いますので、その辺、法律改正、大店立地法のところをもう一回、できれば、本当に改正しないでまちづくりがうまくいくのかというのを再検討していただければというのが私の意見でございます。 - 上原議長:浅見委員、お願いいたします。
-
浅見委員:2点ほど、手短に申し上げます。
1つは、中心市街を活性化するために不可欠な一つとして、中心市街地の地権者がいると思うのですけれども、この中では地権者の責務みたいなことが余り明確に述べられていないのですが、もう少しそれを明確に打ち出してもいいのではないかという気がいたします。どこをどう字句修正したらいいかというのまではちょっと意見がないのですが。
それからもう一つ、微妙な表現なのでちょっと考えていただければと思うのは、18ページの下から5~6行目のところですが、「社会的に『よく判断』した上で」と括弧で書いてあるんですね。普通、括弧で書くときは特別な意味を伏せるというのが普通ですが、ここにおける特別な意味が何なのかというのがちょっとわかりにくいような気がいたします。ですから、よく判断した方がいいことは確かですけれども、もし特別な意味を伏せたいのであればやはり明確にすべきではないかと。
この2点です。 - 上原議長:岩井委員、お願いいたします。
-
岩井委員:4点ばかりお願いをいたしたいと思います。
初めに、今の大店立地法のサービス部門を含めるかどうかという論議については、現場にいる我々から考えますと、これを外すという意味がよくわかりません。要するに一体的なものであって、その影響というのは相当大きなものがあると、現場にいると常にそう感じております。そのことが1つ。
それからもう一つは、この体系では市町村が非常に大きな役割を演ずることになるだろうと思います。ただ、議論の中にもありましたが、どこの市町村でもそれだけの受け皿をもっているのか、あるいは意欲をもっているのかということについては疑問であります。私の地元では現在TMOは会議所と市で共同運営しております。私はTMOを担当する立場にいる関係で、市の状況が厳しいとの認識を持ってはおりますが、今後とも市の協力を得られるよう強く要請しているところでございます。
こういう状況の中で、市町村にある程度自由にまちづくりの裁量をさせるということについては、果たしてどっちに向かって進むのかという点で非常に不安感があります。やはり国の方針としてもっと踏み込んだ方向性をきちんとセットしていただきたいというのが現場としての考え方であります。
また、市民参加ということと市民の判断を仰ぐということが重要な要素であることは我々も理解しております。そのために、幅広く市民の声を聞くことが必要でありますが、具体的に実態に即した意見を引き出すということが非常に難しいのだろうなということで、ここの部分についても相当工夫をする必要があるのではないかと思います。
それからもう一つは、先ほど委員の中からいろいろございました、大型店の郊外立地が中心市街地の活性化に阻害要因としてあるという表現について取り消すようなご意見がありましたけれども、これは現実の問題として、もう衆目、どなたが考えても原因としてはっきりしている部分が事例としても非常に多いわけですので、これを取り消す必要は決してないと思います。地元の北海道でも、大型店の出店によってまちが崩壊しているという事例がこのところ、今年になってからも数件続いております。
それから、先ほど、工場跡地の再開発を放置しておくことは非常に損失が大きいとおっしゃいましたけれども、その再開発をすることによって失われる損失はどうなるのかという意味でいうと、その方がむしろ実態的には大きい例が非常に多いということを考えて、その辺のところについても考え直していただきたいなと、私、現場からいえばそのように感じております。 -
上原議長:ありがとうございます。
原田委員、お願いいたします。 - 原田委員:2点ほど申し上げたいというか、質問を兼ねてですけれども、1つは、篠原委員以下のご指摘あった、サービスを含む含まない問題というのは、これは他省庁の問題である、あるいはこの合同会議の、場合によったら守備範囲を超えてしまうということはわかりますけれども、その先をいうと、では縦割り行政という問題がなかったとしたら、サービス産業も、同時に立地する場合も単独で立地する場合も、対象とする制度を設ける必要がないとお考えなのか。あるいは、一本化された制度というのはあった方がいいけれども、現状では省庁間の調整、その他いろいろ問題があるから技術的にやりにくいと。あるいは他の技術的要因、例えば影響評価が非常に難しいのだと、そういうことによるのか。サービス産業を除くというのがなぜなのかということについて1つお伺いしたい。それからもう一つは、これはお伺いしたいということとは別……
- 上原議長:今の問題は経済産業省だけに質問するのも非常に難しい問題だと思います。
- 原田委員:私は経済産業省に質問させていただきたいと。
- 上原議長:かしこまりました。省庁間の調整の問題などですので、事務局からお願いいたします。
-
和田流通政策課長:はっきり申しまして、所管の有無にかかわらず、サービス施設も規制すべきとか、サービス施設は対象に含めることが難しいと言い切る自信はどちらにもないということです。所管からいえば、我々は決められません、という答弁になってしまうのですが。ただ、もともとの大店立地法の経緯として、物販施設であるがゆえの上乗せの規制であった、という前提はもちろんございます。
他の施設についても規制すべきか否かは、またさらに議論が必要なので、少なくとも我々、流通政策課の意見として自信をもって答えられるほど情報をもっているわけではございません。もちろん調査はしようとはしたのですが、その調査自身がなかなか難しいことも事実でございます。現時点では、まだ何ともいいようがないと思います。 - 上原議長:原田委員、もう一つの点についてお願いいたします。
-
原田委員:それはそれといたしまして、もう一つ、中心市街地の活性化の問題ですが、7年前に活性化法ができて動き出したときに、いろんな市町村、つき合っている中で感じた点は、これは今度の法改正の次のステップになるかもしれないのですけれども、例えば基本計画をつくるのに補助金が出る。だけど、今の財政状況でそれがいつまで続くかわからない。急いでもらわないともらえなくなってしまうのではないかと。現実にだんだん補助金減っていったわけですけれども、そこでとにかく急いでつくろうよというのがあったような気がして仕方ないのですね。
そのために、出来合いのものに近いものをコンサルタントに任せてしまう。私が現実にみている中で、ひどいコンサルタントになると、ワープロでもって一括変換して市町村名が変わるとかいうような、内容、実情何も変わらないような報告書が、現実に2つ並べると出てくるわけですけれどもね。それは、補助金がなくならないうちにとにかくもらっちゃおうよ、やっちゃおうよというのがかなりあった。本当はこういうものについては市民を巻き込んでかなり長期にわたって地元で手づくりでしなければいけないと思うのだけれども、それをやっているだけの余裕、精神的余裕が与えられてなかった。
その意味では、今回、中心市街地活性化法を何らかの形で改正するにして、新しい形で動き出すときにも、ある意味で役所側で、例えば補助金を出すのだとすれば、いつまで続きますとかいうような長期的な方針というか、ビジョンというか、プログラムというか、何か出てこないと、また一斉に、今もらっちゃわないともらえなくなってしまうのではないかという不安感をあおる可能性が非常に強いと思うのですね。だから、運用上はその辺をぜひご注意いただきたいと。これはここへ書いていただいてもいただかなくても結構ですけれども、その辺、何らかの形で方針としておもちいただきたいと思います。 -
上原議長:ありがとうございました。
鈴木委員、お願いいたします。 - 鈴木委員:パート?の「今後の中心市街地活性化策の方向」、これはいわゆるパブリックコメントを踏まえて前回よりかなり具体的に書かれて、非常にいいのではないかと思います。特に20ページと23ページ、24ページに書かれていることというのは、関係機関、関係省庁との関係もあると思うのですけれども、ぜひこういう方向で法改正されることがより市街地活性化の支援策の推進になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
- 上原議長:藻谷委員、お願いいたします。
-
藻谷委員:時間もあれで恐縮ですが、篠原委員ご指摘の点については、私、今個人の感想ですが、こういう重要な問題についてもっともだと思うのですが、これまでの議論、13回に全然気づいて指摘していなかった自分の不明を恥じるところであります。パブリックコメントを出す前とかに気づいて指摘していればよかったと思うのですが、もちろん今後の課題としては重要だと思うのですけれども、とにかくおのれは不明だったと思うわけでありますが、貴重な機会なので、パブリックコメントに対する委員のコメントとして申し上げさせていただきたいのですが、このパブリックコメントをみて思うことは、現状、この問題に関する世のコンセンサスというのは実はまだ全然とれていないと。これから急速に議論は固まっていくと思うのですが、まさに千々に乱れる議論が出ているということ自体が、今後私などがこの審議会が終わってもやっていくべき仕事を明確に示していただいたと思っております。
特に自由競争によって一方的に便益があると思っている人がたくさんいるということがこのパブリックコメントからわかるわけでありますが、実は自由競争の結果として起きることは、当然ながら、弱者の撤退でありまして、それは別に競争の結果で結構なのですが、その結果残される残骸の処理のコストが自治体に押しつけられて納税者の負担になるという問題についての観点がない。つまり、大型店を一方的にどんどんつくるのは、当然、業規制がありませんから自由なのでありますが、その結果として、ゴルフ場が無制限にふえた後にいろんなコストがふえたように、業規制の対象には当然ならない。ゴルフ場もそうですが、地元の自治体には土地関係のコストが生じる。それゆえに、都市計画でいろんなことを考えるのだという点についての区別、理解がパブリックにはされていない。この審議会でも、議論、大分その点は苦労したと思いますが、一応コンセンサスだと思うのですけれども、その点については、逆にいうと、大店立地法という範疇ではなく、市街地活性化全体に向けてもっときちんと、社会資本整備審議会も含めて議論していかなければいけないということを思いました。
しかし、逆にいいますと、この大店立地法という中に全部巻き込んで議論するのは無理であるという限界を私個人としてはつくづく感じた次第でありますが、あきらめずにほかの機会でがんばっていきたいと。変なことを申してしまいましたけれども、終わりでございます。 - 上原議長:宮下委員、お願いいたします。
-
宮下委員:今、藻谷委員もおっしゃられましたけれども、やはりこの問題は非常に広がりがあって、また、ある意味では奥行きが深いですよね。ですから、また別の機会等々でやるべきテーマだと思いますし、それから省庁間の調整の問題も今後の残された大きな課題でございまして、恐らくそれぞれの市町村の実行レベルになると、この問題、非常に大きな問題になろうかと思いますので、今後の大きな検討課題として残して。きょうのこの場でも相当議論が盛り上がったですね。そういう意味では、この部会というのは、13回目を迎えてますけれども、まだまだ議論の真っ盛りの最中。そういう意味では、私は大変な成果があったと。それ自体が。そしてまた、国会等々でも大変な議論を呼んでいる。そこにもってきた日商さん初め団体等々の活動に対しては私は敬意を表しますよね。
そして、なおかつ広がりがいろんな舞台で展開されてますから、経済産業省の我々の一番もとになったこの審議会はもうそろそろ、どういう結論というか、どういう方向を出すのかと待っていると思うのですよね。我々のここで出す一つの方向をもとにしてまたさらにいろんな検討が始まると思いますので、私は、慎重かつ、事務局と一体になって議長一任して、この中間答申、地方の意見を十分入れてまとめることを提案いたします。 - 上原議長:篠原委員、お願いいたします。
-
篠原委員:まだ論点が尽きてはおりませんので、現時点で議長一任は反対でございます。
第2の論点、20ページをご覧いただきたいと思います。20ページの後半から、出店者側の社会的責任ということでいろいろ触れていただいております。20ページの最終行、「少なくとも地域住民からの関心が高いことを踏まえ、大型店自らが積極的に対応することが望ましい。なお、退店時の対応として」云々とございまして、「これは中期的な課題として検討していくべき事項であろう」と、こういう取りまとめ案になっております。
この審議会は国土交通省の審議会だけではなく、いろいろな場の議論も踏まえて総合的に判断する場だと思います。参考までに、先週水曜日、自由民主党の三法見直しワーキングチームの状況を、事務局から説明がなかったので、私からご報告をいたします。約80名の自民党の先生方が1時間45分にわたりまして、この問題についての熱心なご議論がございました。特にこの審議会にかかわる問題を申し上げますと、1つは退店問題、もう一つはサービス施設を入れるかどうかというご議論でございます。特に退店問題については多くの議員の先生方から懸念の表明があり、行政として、所管省として、経済産業省は何らかのルールをつくるべきではないか、どのようにこの問題について所管省である経済産業省は考えているのかというご質問が相次いで行われました。迎審議官がお答えになったので、私から引用するのは差し控えます。後でお答えいただければと思います。
本件について、当審議会の報告書案は、大型店みずから積極的に対応することが望ましい、あるいは退店問題は中長期的な課題であると、こういう取りまとめでいいのでしょうか。つい先般も、NHKのテレビ、皆さん、ご覧になった方が多いと思いますけれども、「ご近所の底力」あるいは「クローズアップ現代」でこの問題をとらえておりました。私は、この問題は今や、東京にいる人はわかりませんが、地方にいる生活者、消費者からみれば、社会問題になっていると思います。単にこの1行の評論家的な報告書で済ませていいものでしょうか。ぜひ皆様方のご見識を問いたいと思います。
その前にまず、所管省である経済産業省は、この問題についてどのように認識し、どのようにこれからしようとされているのかお教えをいただきたいと思います。 - 上原議長:どの問題についてでしょうか。
- 篠原委員:退店問題です。
- 上原議長:ここに書かれているだけでは不十分であるということでしょうか。
- 篠原委員:これで全国民、世の中が、私どもが13回もやってきた審議会の結論として、皆さん納得するのでしょうか。見識を問われると思います。
- 上原議長:では、事務局からお願いいたします。
-
迎商務流通審議官:党での議論をこの場でお話しするのが適当かどうかというのはございますが、まさに、その企業が退店する場合に、後の建物が空き家にならないように新しいテナントを探す、多くの方を雇っておられるわけですからそういった方たちの再就職を考える、あるいは、まちづくりにも影響を及ぼす話ですから早めに地域にお知らせをする、といったことは企業の社会的な責任の問題、あるいはモラルの問題として取り組むべきと思っております。
ただ一方で、逆にそのようなモラルや社会的責任の問題を法律で規制するのが適当かどうかということについては慎重であるべきではないかということを、私は先ほど篠原委員が引用された党の場でも申し上げました。 - 上原議長:篠原委員、お願いいたします。
- 篠原委員:法律で規制する問題かどうかは別の議論で、徹底的にご議論いただければいいと思いますけれども、少なくともモラルの問題、社会的責任の問題であるということからして、単に業界に要請するとか、業界に対して望ましいということで行政の責任放棄ととられませんか。私はそう思います。
- 上原議長:川島委員、お願いいたします。
-
川島委員:今のご指摘は、まちづくりの当初から、企業の社会的責任というのがこの中間とりまとめの中にも出てきて、大型店の社会的責任というのは、大型店に限ったことでなく、企業というのは等しく社会的責任を負うものだということの前提の中で、大型店が各地域で起きる悩みですとか、あるいは問題ですとか、そういうものをどうやって解決していくかということに積極性があるかないかという問題、これは企業間の差はあるかもわかりませんが、少なくとも協会内部で議論した限りにおいては、先ほど、百貨店協会の中村会長からもお話があったように、あの種の対応というのは私ども協会各社も、かなり各地域で行っておりますし、その中での重要な要素として退店の問題があります。退店というものを選択するのは企業としても大変つらい選択であるわけですから、当然それがよって来る地域に対する影響等については考えないはずがありませんし、あしたからやめますからどうぞよろしくというたぐいのものでは決してないわけです。
したがって、それらについて、長短はあるけれども、事前に地元に対するお話はさせていただいているはずです。しかしながら、これも漠然としたもの、あるいは一部不安があるということであれば、協会内部でそういうことも含めたアクション、ガイドラインみたいなものをつくりながら、その中に、例えばまちづくりの検討ワーキンググループを協会内部に設けて、具体的な策、例えば退店の問題について、あるいは地域貢献の問題について、あるいは地域主催のイベント等についての積極的な参加、あるいはまた、本当に中心市街地が疲弊しているということについて支援が必要であるならば、それに対して積極的に入って、大型店であるがゆえにもっている機能やノウハウを積極的に提供しましょうと。そのようなたぐいのもろもろ具体的な行動プログラムというものをガイドラインとして用意いたしましょうということを、あえて今お話がありましたので、申し添えておきたいと思います。 -
上原議長:ありがとうございます。
岩崎委員、お願いいたします。 - 岩崎委員:1年間の作業としては中身のある内容になったと私は思います。特に、わかりやすいコンパクトシティという理念が打ち出されたということは収穫です。地方の基本計画の取扱いも今回の議論を踏まえて改善してもらいたいと思います。それから、今日出されたようなサービス施設をどうするかといった問題については、先ほど来経産省側からもご説明があったように、恐らくまちに集約するという段階ではたて割り行政の克服を含めたシビアな話になると思いますが、それらは政府内で整していただくことを前提に、報告書案の作成を私は議長に一任をしたいと思います。
- 上原議長:篠原委員、お願いいたします。
-
篠原委員:今、川島委員から前向きなご説明をいただきまして、私どもも本当に喜ぶ次第でございますけれども、この問題は単に業界団体の自主的な取り組みに政府として任しておいていい問題なのかどうかという点について、私は、一抹の危惧を覚えます。この産業構造審議会は権威ある場として、法律の規制になじまない問題、あるいは企業の社会的責任といわれるような分野についても、業界代表、あるいは消費者代表、学識経験者、ここにお集まりのような構成メンバーの中で十分ご議論をいただいて、企業、あるいは業界団体が守るべきプリンシプル、原理原則は産業構造審議会の場で審議をし、その枠の中で各業界団体がそれぞれ自主的な基準をつくる、行動規範をつくるということをやってきた歴史がございます。
例えば地球温暖化のCO2削減問題、あるいはベンゼンなどの有害大気汚染物質の削減問題、あるいはVOC、有機化学物質の削減問題、あるいは現在議論してますけれども、容器包装リサイクル法に基づきます3Rの実施について、それぞれ業界団体がどのように自主的に取り組んでいくのかという枠組みは第三者機関で議論をし、実際のやり方については自主的にそれぞれの団体に委ねていく。ただし、定期的にチェック・アンド・レビューはやっていくというシステムがこの産業構造審議会では確立しております。私は、この問題もそういうシステムの中で、原則は第三者機関の中で議論をし、チェック・アンド・レビューをやっていくということを提案したいと思います。 - 上原議長:今までそのような仕組みがなかったとのことですが、例えば大店立地法についての今後の話し合いの中で、そういうことが出てくる可能性も随分あるのではないかと思います。ただ、そのような社会的責任について、例えば公害規制というのは数字で出ますけれども、社会的責任はそれ自体が、経営の自由や経営そのものと関わっておりますので、規制といいますか、一つの委員会で方向を決めるというのは非常に難しいのではないかと思っております。その中でどこまで対応すべきかについては、かなりいろいろなことを考慮する必要があると思います。
- 篠原委員公害分野だけではございませんで、今経済産業省のやっている中の、まだ議論途中でございますけれども、容器包装リサイクル法に基づく廃棄物の減量のために、こういうペットボトルも材質を同じようにしましょうとか、減量化しましょうとか、企業が自主的に取り組むことを、それぞれ規範づくりを業界でやりましょうという議論をしているわけです。私が問題提起したいことは、各業界団体が自主的に取り組みますということだけでいいのですか、あるいは第三者でチェック・アンド・レビューする必要はないのですかということをここにおられる皆さんに問題提起をしております。
-
上原議長:どうもありがとうございました。
議論は尽きませんが、私としては、再度この会議を開きたいと考えております。それまで、私の方から皆様方のご意見を聞いた上でさらに修正した文案を出したいと思います。本日の議論を踏まえて議長に一任するとのご意見もございましたが、再度、皆様にご足労願えるでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
どうもありがとうございました。私の方から事務局の方にお願いしているのですが、次回は22日に開催するということで再度調整いたしますが、いかがでしょうか。
また、その前に、私の方からぜひ皆様にお願いしたいことがあります。まちづくりというのは3つの要素から成立していると思っております。1つは、消費者利益、2つめは、有効な競争を阻害しないこと、もう一つは、まちの形態を守るための都市計画。この3つのバランスの上にまちづくりがあるのであって、その点だけはしっかりと確認していただきたい。それを踏まえた上で、私は今後文案を、皆さんのご意見を踏まえて修正しますので、次回はできる限り結論を出していただくようにお願いして終わりたいと思います。
それでは、次回の会合について、事務局の方からお願いいたします。 - 和田流通政策課長:大変恐縮ですが、次回は12月22日の10時から12時に、国際会議室で開催する予定でございます。年末のお忙しいところ恐縮ですが、どうかよろしくお願いします。正式なご連絡は至急、メール及び書面等でご連絡申し上げますので、よろしくお願いします。以上です。
- 上原議長:それでは、閉会します。