中小企業政策審議会中小企業経営支援分科会商業部会(第3回) 議事録
開 会
○保坂商業課長 それでは、定刻でございます。皆様おそろいでございますので、中小企業政策審議会の第3回商業部会を開催させていただきたいと思います。
中小企業庁の商業課長の保坂でございます。9月6日に着任して、1回、まちづくり三法の方でご議論いただきましたが、まだ新任でございまして何分に不慣れでございますので、よろしくお願いいたします。
本日は、皆様ご多忙のところをご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
それでは、早速でございますが、議事に入らせていただきます。
まず最初に、資料の確認をさせていただきたいと思います。
お手元の資料一式の上に配布資料がございます。今日は資料が大部で恐縮でございますが、まず、資料番号1~10がございます。その後ろに参考資料1~7を配付させていただいております。ご確認の上、もしご不足があるようでございましたら、今お手を挙げていただければ、事務局の方から資料をお持ち申し上げますので。
よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、本日ご出席の委員の方々及び代理出席の方々のご紹介をさせていただきます。勝手でございますが、所属とお名前のみ申し上げさせていただきます。
皆様の右手の方から、まず、日本専門店会連盟理事長の岩井委員でございます。
全国卸商業団地協同組合連合会会長の尾池委員の代理で北村代理でございます。
商業プランナー、中小企業診断士の片岡委員でございます。
日本商工会議所常務理事の篠原委員でございます。
中小企業基盤整備機構理事長の鈴木委員でございます。
全国商店街振興組合連合会副理事長の坪井委員でございます。
全国商工会連合会専務理事の寺田委員でございます。
東京経済大学経営学部教授の宮下委員でございます。
大阪市立大学大学院創造都市研究科教授の矢作委員でございます。
このほかに、本日ご欠席の委員の方をお名前だけ呼び上げさせていただきます。
上原委員、成宮委員、原田委員につきましては、所用のためご欠席というご連絡をいただいております。よろしくお願いをいたします。
続きまして、事務局側を紹介させていただきます。
皆様から向かって左側から、商業課企画官の朝稲でございます。今回の法律の担当室でございます商務流通グループ流通・物流政策室長の濱邊でございます。そして、私どもの方の経営支援部長の古賀でございます。中小企業庁を代表いたしまして次長の西村でございます。私、課長の保坂でございます。そして、補佐の荒井でございます。
そして、石原部会長でございます。
それでは、これからの議事進行を石原部会長にお願いしたいと存じますが、その前に、本会議の公開につきまして、資料3で方針を確認させていただきたいと思います。最近は情報公開の厳しい折、どの委員会も公開の方針を定めなければいけないということでございまして、資料3の公開の方針についての案でございますが、基本的認識から申し上げます。
本審議会における審議対象である流通業務総合効率化事業の実施に関する基本的な方針については、流通事業者等幅広い関係者にまたがる事項であり、その背景、考え方などについて幅広い層に周知することが必要。
また、経済産業省関連の審議会については、議事要旨、配布資料、議事録及び会議について、原則公開の方針で運営することとしております。
本審議会の具体的公開方針についてを5項目ほど書いております。
議事要旨でございますが、審議会終了後、事務局にて、1~2枚程度の議事要旨を作成し、開催日の1週間以内に公開をいたします。これについては、出席された各委員への内容確認等は行わないという方針でございます。
配布資料については、原則公開をいたします。
議事録につきましては、事務局において各委員の発言の要点を記述した議事録を作成し、出席された各委員に送付し、各委員の発言部分について内容を確認した上で公開する。その際、発言者名も明示をいたします。
傍聴につきましては、会議室の余裕のある範囲内で、原則一般の傍聴を認めるということで、本日、周りに傍聴の方がいらっしゃるわけでございます。
例外でございますが、傍聴、議事録、配布資料について、特別の事情がある場合――公開することによって無用な混乱を招く可能性が高いなどの場合には、部会長の判断でその一部または全部を非公開とすることができるという方針で臨みたいと思っております。
ご異論がなければ、このまま進めさせていただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
それでは、石原部会長、よろしくお願いをいたします。
○石原部会長 石原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります前に、事務局を代表いたしまして、西村中小企業庁次長から一言ごあいさつをいただきたいと思います。
○西村中小企業庁次長 中小企業庁次長の西村でございます。おはようございます。
本日は、委員の皆様方におかれましては、非常にお忙しい中をご参集いただきまして、まことにありがとうございます。
本日お諮り申し上げます「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」に基づきます基本指針でございますが、かねてから中小企業に関します物流の効率化等の対策につきましては、平成4年に公布施行されました中小企業流通業務効率化促進法を通じまして、中小企業が協同組合等を通じまして行います共同物流等の効率化を支援してきたところでございます。
そういう中で本年2月に京都議定書が発効したわけでございますけれど、特に我が国のCO2排出量の2割を占めます運輸部門におきましては、2002年度までに90年比でCO2排出量は2割程度増加しているわけでございまして、二酸化炭素の排出削減が進んでいない状況がございます。このようなことから、強力な対策を講じることが喫緊の課題になっているわけでございます。
運輸部門のうち、物流部門におきましては、輸配送の共同化でございますとかITの活用等によります流通業務の効率化が二酸化炭素の削減に資することはいうまでもないところでございますが、また、流通業務の効率化によりましてコストも削減されるわけでございますので、中小企業も含めた企業の競争力強化にもつながるものと認識しているところでございます。
このような地球環境問題を踏まえました流通業務の総合的な効率化を目指しますために、先の通常国会におきまして、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」が制定されたところでございます。この法律におきましては、従来の中小流通法に基づきます支援策を引き継ぎますとともに、協同組合のみならず、任意グループでございますとか個別中小企業者が行う流通業務の効率化への取り組みを支援対象に加えるということでござい
ます。
今般の法律につきましては、今申し上げましたように、大企業も含めた総合的な物流対策といたしまして講ぜられるものでございまして、国土交通省、私ども経済産業省商務流通グループ等とも一体となりまして、今回の施策の骨太化を図ったところでございます。どうぞ本日のご審議をよろしくお願い申し上げます。
○石原部会長 ありがとうございました。
それでは、議事次第に従いまして議事に入らせていただきます。
本日ご審議をいただきますのは、先ほどもご説明がございましたが、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」の施行に伴います「流通業務総合効率化事業の実施に関する基本的な方針」(案)――以下、「基本方針」(案)と言わせていただきますが、についてでございます。
この基本方針は、先の法律の第3条第3項の規定に基づいてご審議をいただくものでございます。まず、事務局からご説明をいただき、その後、皆様でご議論していただきまして、その結果を踏まえ、ご採決をいただければと思っております。
それでは、事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○保坂商業課長 それでは、事務局から簡単にご説明をさせていただきます。
今、次長の方からもご説明がありましたが、まず、背景を先にご説明を申し上げます。資料4をご覧いただけますでしょうか。
今、次長からお話をさせていただきましたように、中小企業流通業務効率化促進法という法律は平成4年に制定をされておりまして、10年以上この法律を運用してきております。後ほどご説明しますが、この間、17件の計画認定をさせていただいていて、うち2件が頓挫をしている場合もありますが、10年以上たって17件の件数ということでございます。
この間、環境問題は、ご存じのように非常に問題が大きくなってまいりまして、今般、京都議定書の比準もされ、CO2関係の削減が国としての政策課題として大きく浮上してきたわけでございます。
他方、私どもの方で苦しんでいるのは、製造業の部門等はそれなりのCO2の削減が進んでいるわけでございますが、運輸部門・民生部門についてはなかなか進まないということでございまして、今般、国土交通省の方とも相談をして、運輸部門の方の環境問題の対応を進めなければならないという話になってまいりました。
環境問題の対応というのは当然業務の効率化にも影響しますので、その点では国際競争力の強化というものも当然視野に入った形で法律改正をすべきだということになりまして、流通業務全般、中小企業のみならず、大企業も対象にした形の法律をつくるということになりました。
したがいまして、中小企業流通業務効率化促進法という法律がこのまま存続をすると、大企業向けと2つの法律が存続をすることになり、今般の行革の流れも踏まえまして、法律が屋上屋するというのも問題でありますので、中小企業流通業務効率化促進法の趣旨を残したまま新しい法律の方に入れていくということで、今回、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」ということで統合するという形にしたわけでございます。
審議の方は、下に経過が書いてございますが、無事に参議院・衆議院を通過しておりまして、公布に至っているということでございます。
そこで、本日は、まず一番最初にその基本方針を定めよということになってございますので、その基本方針を定めるに当たって、法律の3条3項のところに、中小企業関連部分につきましては、中小企業政策審議会のご意見を聞くということになっておりますので、今回、開催をさせていただいているということでございます。
それで、まず今回の法律の全体の概要を申し上げたいと思います。資料6をご覧いただきたいと思います。最近はやりのパワーポイントの色つきの絵が書いてございます。
今回の法律の構成としましては、目的があり、認定スキームがあり、支援措置がつくという、法律としましてはよくある形の構成になっております。
目的につきましては、先ほど申し上げたようなことがそれぞれうたわれておりまして、これに認定スキームがついて、支援措置が入ってくるという形であります。
認定スキームについてでございますが、今までの認定スキームと若干基本方針をかえる形で認定スキームを用意してございます。右側に書いておりますが、基本方針としまして、?立地要件、?設備要件、?環境要件、この3つの要件を今の全体の事情にあわせてつくっております。
今までは設備要件のみで認定をしてまいりまして、情報関係の設備、プラスアルファー、ベルトコンベアー等の効率に資するような設備、この2つの設備が必要だったわけですが、この設備要件を残したまま、今回につきましては、設備要件もそれぞれ情報関係を含めて3つの設備を全部必要とすると。
立地要件でございますが、これは高速道路インターチェンジ、空港、港湾、流通団地の流通の結節点となる社会資本等の近傍への立地ということでございまして、我々で中小企業関係の調査をしたところ、社会資本関係のそば5キロメートル以内のようなところには大体立地をしているということで、大きな影響はないだろうということでございまして、全体の都市計画の問題もあるわけでございますが、社会資本等の近傍への立地ということを1つの要件にしてございます。
環境要件につきましては、中小企業が連携をしてやっていくということで効率化に資するということであれば、これはもう環境要件は必ずクリアできるということでございますので、今回、3つの要件を決めて、認定のスキームとさせていただきました。
それにつきましては、あとは支援の措置が下のところについているということでございます。
施策の中身をご説明する前に、基で、平成4年から法律をやってきて、今、一体、中小企業の物流関係というのはどういう状況になっているのかということをご説明させていただければと思います。この基本認識のないまま大きい法律ができたので、そのまま統合するのだというわけにはいかないわけでありますので、資料が飛んで恐縮でございますが、資料10の「基本認識」をご確認させていただければと思います。
1ページでございますが、物流事業者の大半を占める中小企業者と書いてございますけれど、この総数の構成率の右のところで下線を引いてある部分が、法律上、中小企業者として認定をされる部分でございます。運輸業の方につきましては全部足し合わせますと98.3%、卸売・小売業につきましては全部足し合わせますと97.5%が引き続き中小企業者という対象になっております。
したがいまして、企業数という点におきましては、引き続き中小企業者中心でございますので、ここを中心に政策を打っていきたいということでございます。
次のページでございます。では、物流関係の中小企業者にとって何が問題かということでございますが、消費者ニーズもいろいろ多様化をしておりますし、クロネコヤマト等に代表されますように、小ロット・多頻度の要求が非常に増えてきているわけでございます。それにあわせまして、納入時間の指定の厳格化等も、男女共同参画で女性が家庭にいらっしゃらない、昼間仕事に出ておられる方もいらっしゃると、これまた納入時間の指定が非常に厳しくなったりもするわけでございます。
そのほか、リードタイムの短縮化、納品付帯作業の増加、返品への対応等、それぞれの課題が浮き彫りになっているわけでございます。
また、次のページでございますが、それでは一体、大企業との関係で、取り組みという点において遅れているというのは、中小企業者は何が遅れていると思っているかということでございます。中小企業はブルーの部分、大企業はエンジの部分でございまして、幾つか特徴的なところに丸をしてございますが、まず、輸配送問題の対応につきましては、セールスと配送機能の分離という点について非常に差があると感じているということでございます。
それから、施設問題への対応ということで、配送センター等の整備、販売拠点と物流施設の分離という点で、特に販売拠点の物流施設の分離という点においては非常に差が出ているということであります。
作業問題の対応では、ピッキングの機械化等、そして梱包形態の規格化という点について特に差を感じているということでございます。
右側でございますが、情報システム問題への対応ということで、このほかにも、ICタグへの対応とか、大企業の方はさらに情報化あるいはシステム化へのところの対応を進めているわけでございますが、それぞれ受発注のオンライン化を初めとして、情報化、コード等の統一・標準化等について非常に遅れていると。情報システムによる在庫管理とありますが、これはICタグなどでは大企業の方が進み始めているということでございますので、こういうところの問題点を解決していく必要があるということでございます。
次のページでございます。今、一体どういうことが進んでいるかということでございますが、中小企業者のリスク分野における連携の類型ということでございます。これはいろいろ書いておりますが、垂直的連携あるいは水平的連携ということで、昔であれば1つ業種としてすみ分けができていたものが、それぞれ連携してやっていかないと進んでいかないということでございまして、垂直的であったり水平的な連携であったりということが進んでいます。
その実態を示したものが、次のページの目的別にさまざまな連携形態が存在をしているということでございまして、これは左側の項目の問題意識で、どういうところと上のところの企業とが連携をしているかということでございます。
取り組みが一番多い相手のところが濃いオレンジ、2番目に多いところが薄いオレンジということでございますが、いろいろ多様に出ております。例えば、仕入れ先企業というところの連携の目的としますと、調達・仕入れ商品集荷、あるいは在庫の共有化、在庫情報の開示、納入頻度の総合調整などを目的にやっていると。
これに対して、物流事業者への連携等については、近距離の集配、長距離の輸配送などでございまして、これは現状のところでございますが、今後望ましい物流連携の相手が下に書いてございますけれど、これはさらに濃いオレンジの部分がばらけております。ばらけているというのは、それぞれの目的に応じてこれから改善をしていかなければいけない連携の仕方がまだいろいろあるということをお示しをしております。
こうした問題意識のもとに、私どもは中小企業流通業務効率化促進法を運営してまいりました。
次のページでございます。国の法律でございますので、認定件数が10年以上たっている法律で17件というものが政策評価的にどうなのかというご議論は1つ残っていると思いますが、構成組合員の企業者数としましては901社がこの17件に関係をしております。そして、中小の物流環境は非常に厳しいので、そのうちの2つは現在稼働していないということでございまして、15件認定をしてまいりました。
次のページでございます。では、実態的にどういう形でやっているかということですが、幾つかの類型に分かれます。
1つ目は、センター利用に関する共同化を中心として認定をしてきたもの。
2つ目は、共同配送を中心としたもの。
3つ目は、共同化のツールとなる情報システムを中心とするもの。
次のページでございます。では、効果として、この17件のうち15件がまだ動いているわけでございますが、どういうことについて効果があったかということを聞いてみますと、まず、サービス面の効果としては、高度サービスの提供を実現することができているということでございます。物流を確保し、情報システムを活用することで、先ほどの課題として上げられていた多頻度小口納入・定時納品など、高度なサービスを提供することができるようになっているということでございます。
それから、全体が大きくなったということで、お客様からの信頼もある程度厚い、信頼度が増したのではないかということと、品質管理が向上したということをいっております。
それから、物流の管理レベルが向上して、在庫管理について情報処理システムを活用して正確な在庫管理が実現できるようになったことなどを上げているということでございます。
次のページでございます。コスト面の効果。今回の新しい法律のもとでも、効率化をすることによって、環境問題への効率化、そしてコスト面の効果で国際競争力が増すということでございますが、コスト削減効果の算出が可能であった6件について調査をすると、輸送費の削減、施設の共同利用等による、おおむね10%、一部の組合では50%のコスト削減を果たしたという回答も出ているということであります。
それから、もう1つはイニシャルコストの削減で、これは高度化融資制度がついておりますので、ランニングコストの低減を果たすことができたということであります。
次のページでございます。コスト面の効果でございますが、センターの運営に係るコスト減として上げているのが保管費でございます。共同保管をしているわけでございますので、営業倉庫を利用した場合の50%以下にコストが削減されたとか、在庫コストより手持ち在庫が37%減少したとかという例。あるいは、人件費として、作業員の適正採用・適正配置が実現する。あるいは、在庫管理システムの導入で棚卸し作業が不要になったという例で、人件費の面で効果があったという声が上がっております。
次のページでございます。輸送コストでございますが、これは環境問題の負荷を減らすということが私どものこれからの1つの国是でございますので、スタート時は中小企業の効率化ということでやっているわけでございますが、例えば、コスト削減効果で車両台数が71台から41台へ、全体の量を減らさずに効率的に配送ができるようになったという例も挙がってきております。
それから、次のページですが、環境負荷は当然その前のところで効率化になっていますので、では、CO2排出量としてはどうであったかということでございます。これは数値のはかり方の問題がありますので、正確かという問題はありますが、20~70%の排出量が抑制されているということが試算をされております。
それから、共同配送が環境負荷低減に貢献をしているということであります。
取り組み事例でございますが、代表的な例を後ろに書いてございます。卸団地における共同物流センターの設置、部品メーカー組合による共同物流センターの設置という形で、卸団地、日用雑貨だけではなく、部品メーカーがやっている例も出てきているということであります。
その最後のページでございますが、共同事業を行う場合の問題点として、いざやってみてどういう問題点があるのかということもヒアリングで聞いております。1つは機密保持でございまして、共同化していきますのでいろいろな機密が漏れてしまう。あるいは情報システム基盤が弱い、連携スタッフが欠如している、業務プロセスの共通化ができない、コスト負担のルールが不明確であるといった問題点が上がってきております。
以上、数字としてみますと、平成4年から引き続きまだ中小企業の方の流通業を取り巻く環境は非常に厳しいと。今までやってきた法律の認定で17件の評価をみると、それなりの効果は上がっているということでございますので、引き続き法律は必要だと私どもは認識をしておりまして、今回の法律の方に盛り込んでいったということでございます。
では、今回の法律の改正で施策はどう深堀りするかということでございますが、戻っていただきまして、資料7でございます。新しい支援措置がついてございます。右上に黒い※印で「拡充・強化した措置」と書いてございます。したがいまして、1ページ目は全部拡充・強化した措置でございます。
どういう形がつくかというと、まず、(1)として、物流関連規制に関する特例措置ということでございまして、倉庫業法、貨物利用運送事業法の認定につきましては、今回の計画の認定を受けると、登録または許可を受けたものとみなすという、みなし規定をつけてございます。
(2)として、特定流通業務施設の整備に関する立地規制の緩和ということでございまして、?として、都市計画法における配慮でございますが、市街化調整区域における開発行為は原則として不許可という取り扱いになっておりまして、原則としてというのは、20ヘクタール以上のものをつくる場合はいいということになるわけでございますが、この場合、本法に基づく認定を受けた者については原則許可するように運用するということで、配慮という形で法律には盛り込んでおりますが、運用するということでございます。
?として、工場立地法につきましては、工場をつくる場合には工場立地法で緑地帯の話とかいろいろ厳しい規制があるわけでございますが、その際に問題になっているのが、流通施設と組み立てを行う施設の部分が一体で運用されている場合に、工場立地法の対象範囲が変わってしまうわけでございますけれど、そこの規定を緩くしまして、流通施設と組み立て部門を行う施設の部分を計画認定の段階で分けることが可能となるという形にしております。
(3)として、税制の特例で、今回の倉庫等の関係で、2ページに書いておりますが、地方税の特例認定要件で所得税・法人税を割増償却する、固定資産税・都市計画税の軽減を受けられるといった形を行っております。
(4)として、食肉の部分で、食品流通構造改善促進法の特例ということで、債務保証等をつけているということでございます。
今まで私どもの方でやっていました中小企業の取り組みに関する支援措置、信用保険法、投資育成株式会社法につきましては、引き続き中小企業者を対象としてそのまま法律を残す、支援措置を残すという形でやっております。
それから、資料8でございますが、この法律に乗るものとは違いまして、非常に大きい部分は高度化融資の部分でございますけれど、高度化融資の部分は引き続き残しつつ、対象範囲を広げることにいたしました。今までは、我々は組合を対象に高度化融資をするということに規定をしていたわけでありますが、基本的に中小企業者同士が連携をする場合も高度化融資の対象としていくというこの法律の趣旨を踏まえて、中小企業者同士が連携をした場合も相手に入れていくということをしております。これは赤字で書いている部分で対象範囲を広げたということでございまして、組合だけではなく、中小企業者同士が連携をした場合も対象としていくという形で、深堀りをさせていただいたということであります。
以上が、全体の法律の背景と、私どもの認識及び政策の深堀りということでございます。
それで、お時間をとらせてまことに申しわけないのですが、今回は指針の判断をしていただくということでございますので、問題となりますのは、資料9の「基本的な方針」でポイントだけ書いている紙でございます。
この第5のところは中小企業関連でございますので、申しわけございませんが、この第5のところを読み上げさせていただきます。まず、基本の認識としまして、今まで中小企業物流効率化促進法の中に入っておりました指針はすべて盛り込んでおります。文言が少々変わっている部分はありますが、基本的に盛り込んでおります。ただ、組合を対象としている部分が、中小企業者がある程度読めるように主語がかわっている部分はあるということでございます。
第1~第4までは大企業も含めて全体でありますが、第1の流通業務の総合化及び効率化の意義に関する事項ということについては、これは今の認識を書きましたので、今までの中小企業物流効率化促進法とは若干違っております。例えば、荷主から物流を一貫して請け負う「サード・パーティー・ロジスティックスといった物流に関する新しいビジネスモデルの出現を背景に」ということで始まっていますが、これはポイントだけでありますので、もっと細かい文章を書いていますが、基本的に京都議定書が発効されるというようなことで、先ほどご説明したような背景についてずっと書いていっているというわけであります。特段大きな問題があるというわけではないと思います。
したがいまして、第5を読ませていただきます。「中小企業者が他の事業者との連携又は事業の共同化により実施する流通業務総合効率化事業に関する事項」でございます。
1 中小企業者の対応能力等
中小企業者の物流は、元来梱包、仕分けその他の作業に関し人手に頼る面が多く、
大企業に比べて省力化投資に立ち後れているため、効率化の格差が拡大している。また、物流のサービス内容が高度化する中で、これに対応しきれない中小企業者も見受けられる。
我が国の物流事業者の大半を占める中小企業者には効果的な物流効率化投資が求め
られるが、中小企業者は一般に経営基盤が脆弱であり十分な資金調達力等を有さない場合が多く、また、その取り扱う物流量が大企業に比べて少なく、設備投資を行って効率性を上げるだけの事業規模が不足しているため、物流効率化投資が進んでいない。
2 中小企業共同流通業務総合効率化事業の基本的考え方
(1)中小企業者が現下の物流をめぐる状況に対応していくためには、自らの物流の効
率化を図り、一層高度化する物流サービスの要求に対する対応能力を向上させることが重要である。このため、発注動向を踏まえた的確な在庫管理、荷役作業の省力化、計画的な集荷、配送の実施等に努めることが重要であるが、中小企業者の資金調達力の脆弱性、事業規模や輸送ロットの小ささ等を踏まえれば、中小企業者が共同してこれらの対策を講ずることが効果的であり有意義である。
中小企業共同流通業務総合効率化事業は、このような中小企業者の物流の効率化
のための共同事業である。すなわち、流通業務を行うための施設及び設備を設置した上で、これらの施設及び設備を活用して複数の中小企業者の流通業務を一体的に行うことにより、各中小企業者の流通業務の総合化及び効率化を図る事業である。
(2)中小企業共同流通業務総合効率化事業は、一体的に行う流通業務の種類や設備投
資の内容により様々な事業が考えられるが、いずれの事業についても、各中小企業者の流通業務の総合化及び効率化が十分に図られるものでなければならない。
(3)中小企業者が他の事業者との連携により実施する中小企業共同流通業務総合効率
化事業は、法人格の統合等の強固な結びつきに拠らず、一定の契約・取引に基づく任意グループによる事業活動であり、当該グループの構成員の多数は中小企業事業者でなければならない。
(4)また、中小企業者が他の事業者との事業の共同化により実施する中小企業共同流
通業務総合効率化事業は、効率化計画を作成する事業協同組合等の構成員たる中小企業者のために行われるものであり、自らの流通業務を一体的処理に委ねる事業者 の多数は、当該事業協同組合等の構成員たる中小企業者でなければならない。
(5)中小企業共同流通業務総合効率化事業の実施に当たっては、任意グループ及び事
業協同組合等の構成員たる中小企業者の大部分がこれに参加できるように配慮するものとする。
特に、流通業務を一体的に行うための施設及び設備のうち複数の構成員たる中小
企業者が共同して利用するために設置されるものについては、大部分の構成員たる中小企業者がこれらの施設及び設備を公平かつ有効に利用できるように配慮するものとする。
3 中小企業共同流通業務総合効率化事業に使用する施設及び設備
(1)中小企業共同流通業務総合効率化事業に使用される施設の設置については、中小
企業者の事業活動は一般的に地域的に限定されていることから、物流の結節点としての性格を有する高速自動車国道のインターチェンジ等や鉄道の貨物駅、港湾、空港等の社会的資本のみならず、物資の生産拠点である工業団地、地場産地等の近傍、物資の流通拠点である流通業務団地等の近傍に立地することが望ましい。
なお、例えば企業城下町における共同物流センターの設置など、中小企業者の輻
輳輸送の解消による合理化、環境負荷の低減のみならず、ジャストインタイムの物
流管理・輸配送が図られる地点での施設の設置も望ましい。
(2)中小企業者の流通業務を一体的に行うための施設及び設備は、必ずしも複数の構
成員たる中小企業者が共同して利用するものに限られる訳ではない。
すなわち、個々の中小企業者の施設及び設備であっても、複数の中小企業者の流
通業務を一体的に行うために使用するものであるならば、これも中小企業共同流通業務総合効率化事業として設置される施設及び設備に含まれるものとする。例えば、構成員たる中小企業者が、共同物流情報システムを構築するためコンピュータの端末機器を取得したり、共同配送用の大型トラックが自社倉庫に立ち寄り集荷できるようプラットホームを改造すること等が考えられる。
4 事業実施の計画性
(1)中小企業共同流通業務総合効率化事業が、これに参加する中小企業者にとっては、
投資規模、内容いずれの面においても、その後の事業活動の成否に係る重大な事業 であることを踏まえ、事業の実施に当たっては、各中小企業者の経営実態、環境条 件の変化等を十分に把握し、長期的な視野に立って今後のあり方を展望した上で、 適切な運営方針及び運営計画を作成するよう努めるものとする。
(2)中小企業共同流通業務総合効率化事業は、できるだけ多くの流通業務を一体的に
行うことが望ましいが、各中小企業者の物流をめぐる状況、取引実態、費用負担能 力等を勘案した上で、全体としての効率性に配慮しながら、実施が容易で効果的な ものから重点的、段階的に取り組んでいく(例えば、第一段階として出荷の効率化、 第二段階として保管の効率化、第三段階として流通加工の効率化を行う)ことも重 要である。その際、各業種・品目ごとに、それぞれの物流の状況、特性に応じた取 組を行う等のきめ細かな配慮を行うものとする。
5 各中小企業者の商取引への配慮
物流は製造、販売の商取引と密接に関連しているため、中小企業共同流通業務総合
効率化事業で複数の中小企業者の流通業務を一体的に行うことにより、各中小企業者 の取引単価、数量、決済条件等の取引内容が他の事業者に漏洩することに関する懸念 が生じがちである。したがって、この点について特に慎重な配慮を行い、各中小企業 者の商取引と一体的に行う流通業務との間を分離するオペレーション機能を備えるこ とが望ましい。特に共同物流情報システムの運用に当たっては、管理責任者の明確化、 システムへのアクセス及び資料の取扱いに関する関係者間のルールの確立等を行い、 各中小企業者の秘密保持体制に万全を期するものとする。
以上が、今回の指針の案としてお示しさせていただいたものでございます。第5章については以上でございます。簡単でございますが、ご説明をさせていただきました。
室長の濱邊の方から補足の説明をさせていただきます。
○濱邊室長 商務流通グループ流通・物流政策室長の濱邊でございます。今日は、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。
この新しい流通業務総合効率化法でございますが、昨年、国土交通省の方から、環境調和型の物流効率化を支援する法律をつくりたいと、こういう打診がございました。当初、国交省の方で運輸業者のみを対象とした法律を想定していたのですが、やはり荷主と物流事業者が一体となって連携して取り組む法律が必要であろうということで、私どもの方から一緒にやっていこうと。さらに、農林水産省も含む形で、まさに流通業務全体を取り扱う新法の策定に向けて進んだわけでございます。
ただ、そのときにベースとなりましたのはやはりこの中小企業流通業務効率化促進法というものでございまして、これは10数年前につくられたとはいえ、非常に時代の先端を行く法律であったということで、ほとんど国土交通省のつくってきた原案がコピーのようなものであったということで、施策の対象が中小企業・大企業と分かれた形で併存するのはいかがなものかといった検討も官房中心に行われまして、中小企業庁にとってみればこれは非常に重要な中小企業振興策であったわけですが、この支援策の位置づけを一切後退させることなく、より大きな法律の枠組みの中に統合・強化していこうということで、方針の一致をみたわけでございます。そこに至るまでには、関係省庁、また省内でもかなり激しい議論が行われたわけでございます。
旧法は中小企業支援がメインの法目的でございましたが、新法では、環境負荷の軽減、国際競争力の強化ということで、法目的は広がっております。そういった中で、今、保坂課長からご説明がありましたように、中小企業の協同組合以外にも支援対象を拡大していこうというところでございます。
環境調和型の物流効率化ということでございますので、一見すると前の法律よりも要件が厳しくなっているのではないかというご心配やご懸念もあろうかと思いますが、先ほどの説明にもございましたように、その立地場所につきましても、通常の施設ですとインターチェンジから5キロ以内ですとか、物流の結節点の近くという制限がかかっているわけですけれど、中小企業が共同して取り組むものにつきましては、地場産の近傍であるとか、あるいは工業団地、流通業務団地、こういった場所の近傍でも構いませんでした。そういった意味では、従来の中小物効法からみて、要件が厳しくなっているというわけではございません。
ほかにも環境要件などございますが、これまでの協同組合の物流効率化によりますと、20~70%近くのコスト削減、それを裏返してみればCO2の削減にもつながっているわけでございまして、そこはあえて環境要件というものは設けてはいないのですが、各個別の計画申請の段階でそれらのコスト削減あるいは二酸化炭素の削減効果が各事業者からお示しいただけるものと考えております。
また、支援措置につきましても、従来、一番大きいのは中小企業基盤整備機構の高度化無利子融資で、これは非常に効果が大きいわけですが、それに加えまして、立地規制の緩和ですとか物流規制の緩和、さらに現在、一般会計の方で要求しておりますグリーン物流パートナーシップに対する2分の1の補助金、こういったものの拡充もあわせて今行っておりまして、より物流効率化を支援する枠組みとしては強化されていると思います。
昨年度、環境税の導入が非常に激しい議論となった際には、省エネ法の改正で運輸部門を対象にする、追加するということと、もう1つの措置として、この新法によりましてより環境調和型の環境改善効果の高い物流効率化を支援すると。これは事業者の皆様の自発的な取り組みということですが、そういった形で一律の環境税導入よりも、こうしたCO2
削減を積極的に促すような支援の方がより望ましいであろうということで、環境税の導入が見送られたという背景もございます。
この法律は10月1日から施行ということで、指針はきょうご審議いただいて初めて決まるということでございますが、既に事業者の方から、「早く認定してほしい」ということで幾つかの案件が上がってきております。これは実際に運送業の98%以上が中小企業ということもございまして、運送業を含む中小企業の支援策の1つとしても、この法律の意義は非常に大きいと私どもは考えております。
そういった今回の法改正の趣旨、あるいは基本指針の内容につきまして、ぜひともご理解を賜りたいと考えております。
以上でございます。
○石原部会長 ありがとうございました。ただいまのご説明に関しまして、何かご質問やご意見はございますでしょうか。
○宮下委員 今から数カ月前、濱邊室長と一緒に流通・物流システムビジョンというものをつくりました。あれは流通部会の小委員会の委員長をさせられたわけですが、その中で、きょう提示されましたこの物流に関する新法のお話がございまして、その委員会でもぜひこの新法をスピーディに施行してほしいといったニュアンスの声が結構ありました。それがきょうこうしてご説明いただきましたように、もうかなり具体的に基本方針までつくる段階に至ったということは、大変高く評価しております。
それから、非常にスピーディな政策の展開ということをまず評価したいと思いますし、内容的にも高く評価できるということで、全体で申しますと、旧中小企業物流効率化法の問題点をベースとして、これをクリアして新しい法律の内容ができているということは非常に高く評価したいと思います。
また、別な言い方をしますと、10年間で17件というのは、高く評価すべきなのか、1年1件、7件、ここは逆だと思います。率直に申しまして。しかしながら、この法律があったから新法ができたということにおいては大変評価しますし、その17件の中で幾つかメリットが出てくる事例も出されましたので、そういう意味で、旧法があって、それをベースとして、そして旧法のいろいろな問題点・課題をここで解決するという、そういう意味において私はよかったと思います。
今までこの旧法について、組合でなければだめだとか、いろいろ制約条件があったようですが、使いづらい法律だったという批判がそれなりにございましたね。そういう意味で、使いやすくしたという意味においては私は大変評価したいと思います。
それから、今、この問題を打ち出すタイミングが非常によかったという感じがしております。もう1つは、ここに環境問題が入ってきたということですね。我々の委員会でも物流の環境負荷の問題は非常に大きなテーマでしたので、これをいただいたということはよかったと思います。
タイミングとしてよかったのは、これから中小企業と大企業との格差増大時代で、そこにおいて、特に流通の世界においては大企業と中小企業の格差の増大の競争的要件の1つは、やはり物流へのレベルの格差が大と中小との格差の増大をもたらして対立をし、中小企業の流通業がそういう状況へ置かれる。
卸売団地が事例として挙がっていましたが、卸売団地は、今、北村さんが事務局で来られていますが、卸の商店街ですけれど、小売りの商店街と同様の問題が今卸売団地にあって、かなり歯抜け状態になっているんですね。ですから、注文かもしれませんけれど、今後も卸売団地にこの新法を適用するならば、卸売団地全体の活性化という問題を踏まえなければならないような気がいたします。この問題をほったらかしておいていいのかどうか。卸売団地そのものの再整備、活性化をどう進めていって、この法律をどう提供してもらうのかということであります。
それから、私は数カ月前にボランタリーチェーン協会の役職に引っ張り出されたのですが、ボランタリーチェーンというものが日本においては、欧米と違って、非常に発達がおくれていますよね。ボランタリーチェーンは卸主催のものと共同仕入れ機構と、組合の両方入っている、これがおくれているために物流問題が共同ができないということが1つありますし、ボランタリーチェーンという仕組みそのものが、取引慣行とか日本の縦型流通とかいろいろな面で日本で発達しなかった問題がある。
ですから、ボランタリーチェーンのような共同仕入れ機構と卸主催の小売り組織化の中にこの法律をうんと適用してもらうためには、ボランタリーチェーンという仕組みそのものを、あるいは共同仕入れ機構そのものをどうやって普及させていくか、促進させていくか、その辺を同時にできたら政策的にやっていただければと思います。物流法だけではなく、それを導入する、卸売団地もそうだし、ボランタリーチェーンもそうだし、あるいはフランチャイズチェーンもそうかもしれませんし、共同仕切れ機構、協同組合、そうしたものの促進というものを一方において同時並行的にやられることが必要ではなかろうかなと思います。
○石原部会長 ありがとうございました。基本的には、前段でこの専門家から非常に高く評価いただきまして、ありがとうございます。
後段でご指摘いただいている卸団地とかボラチェンの支援等につきまして、何かございますか。
○保坂商業課長 今、この法律ができて、その後、卸団地、ボランタリーチェーンのところまでまだ手が及んでいないのが実態でありますので、どういう政策の組み合わせがあってそこのところまで手が及ぶのかというのは、商務流通とも相談をした上で、視野に置いてやっていきたいと思っています。
もう1つ、厳しいご批判で、17件というのはどうなのだということですが、それは私どもも考えていますけれど、役所が営業努力というのも変なのですが、施策の普及の営業努力というものをする必要があるかなというのは商務流通とも話しておりまして、先ほど濱邊の方からもありましたが、現時点でも何件か話が上がっているようなので、その普及のところをやるということとともに、卸団地とかボランタリーチェーンなどの全体の構想力で使えるものは使えるはずなので、その政策のツールをそろえた上で、これから構想力について我々の方でやっていきたいと思っております。
○石原部会長 ありがとうございます。特に先ほどのご説明でございました、組合でなくてもミニグループがその対象になるというのは非常に大きな転換だろうと思いますので、その辺はそれこそ売り込みをしてでも普及をしていただけたらと思います。
ほかにございますか。
○矢作委員 大阪市大の矢作です。感想というか、質問が2点です。
特定流通業務施設を高速道路のインターチェンジあるいは空港等々の社会資本の近傍に立地させて環境の改善に貢献させるということについては、歓迎すべきことかと思います。それに関して、都市計画法上の配慮ということを書いてございますが、市街化調整区域内の原則許可というのはちょっと距離があるのではないか。
要するに、市街化調整区域の中でも社会資本に近接して立地するという項目がないと、どこでもいいよということですと、緑がつぶされる等々が出るわけですから、環境政策としては必ずしも望ましくないのではないかという印象を私は抱きます。
とりわけ、市街化調整区域あるいは都市計画区域の外については、例えば、インターチェンジのそばに準都市計画区域とかが設定できるようになっているわけですね。ですので、その立地場所については、市街化調整区域の場合には幾分かの距離なりエリアの限定が必要ではないかなという印象をもちました。
もう1点ですが、資料10の2のところでご説明がありましたけれど、共同化によって環境負荷、特にCO2の部分で随分貢献があったということで、それは共同化の成果かなと納得したわけでありますが、物流の小ロット化あるいは多頻度化、あるいは納入時間の厳守、リードタイムの短縮化ということについてここに書いてありますけれど、こうしたことをさらに促進することは、一部のコンビニエンスストアはかなり厳しく要求していますが、そうしたことが流通の近代化だと基本的にご理解なさって、こうしたことをさらに促進する必要があるとお考えになっているのか、あるいは、環境面で負荷がある、特に大都市あるいは県都クラスの中心部での多頻度にわたる物流がかなり交通渋滞の原因にはなっているわけですが、こうしたことのさらなる促進が流通の近代化につながるのだと全的にお考えになっているのかどうか、ご感想をいただけるとありがたいと思います。
○保坂商業課長 市街化調整区域のところは、おっしゃるとおりの部分が若干ございます。現時点でこうなっていまして、特別積み合わせ貨物運送に係る施設、宅配便の拠点施設などについては、都市計画法の施行令の21条の6号で、市街化調整区域であっても開発許可を受けずに立地をしているというのが実態のようです。これは一緒にやっている法律なものですから、国土交通省に問い合わせたものであります。
今回のところが、今までのところより若干広がることは事実だと思います。今までの立地は、道路のそばが多いものですから、工業地区、準工業地区、臨港地区、流通業務地区に立地するものがほとんどで、先ほどいいましたように特別積み合わせ貨物運送に係る施設というものは開発許可が要らないということになっていますが、実態上は、市街化調整区域はほとんどないということのようではありますけれど、今回、物流効率化の方を優先した関係もあって、今、市街化区域で認定されているのはインターチェンジでは大体1キロ近辺ぐらいの自治体さんが多いということなので、5キロになると若干広がる可能性があることは事実であります。そこは物流効率化の観点から国土交通省とも議論をした上で、今回こういう判断をしているというのが1つです。
それから、いろいろな委員の方にご説明をしたときに、転用される危険などもあるのではないかというご議論も実はあって、それについては、基本的には転用されることになるときは、環境の保全上支障がないと認められるものでなければ開発許可は出ないということで、都市計画法の42条の1項の方ではきちんと担保をされているということであります。
ただ、いずれにしても、今、矢作先生からご指摘のあった前者の部分については若干広がるということは、今回の法律上では認識をしております。ただ、実態上、今までと比べてそこのところは出ていくかどうかという認識でいうと、今までのところは近辺の1キロ以内のところに集中しているので、大きい話になるかどうかというのは、私どもとしては余りそういう認識にはないということであります。
○濱邊室長 矢作先生が2番目にご指摘になられた問題、小ロット化・多頻度化、こういうものを進めるのが物流の効率化といえるのかという点につきましては、これはやはり環境負荷を高めているという側面も大きゅうございまして、特に積載率の低いままに多頻度の配送をする、しかも荷主の方で基本的に商品の在庫管理ができないままに、急に「なくなったので、もってきてくれ」と思いつくままに注文しまして、それで卸さんや物流業者に負担をかける、こういうことは決して効率化とはいえないと考えております。
このため、現在、国土交通省と連携しまして、政府の方で総合物流施策大綱というものをこのたび閣議決定すべく準備しているところですが、その中でも多頻度・小口配送を含めた商慣行は今後見直していく必要があるだろうということで、よく実態を把握した上で、余りにも買い手の優越的な地位の濫用みたいなことがある場合には、やはりそういう点も改めていただく必要があると考えております。
グリーン物流パートナーシップ会議というものも、別途、経団連、物流連、日本ロジスティックシステム協会などとともに開催しておりますが、そういった中でも、こういう多頻度・小口の見直しということは議論に上がっているところでございます。
○石原部会長 よろしゅうございますか。
それでは、ほかにございますでしょうか。
○鈴木委員 基本方針については大体よろしいのではないかと思いますが、私どもは高度化融資を含めていろいろ支援していますので、その観点から若干お話しさせていただきたいと思います。
私ども旧中小企業総合事業団は昨年7月に中小企業基盤整備機構にかわったわけですが、その際、全国9つのブロックに支部を新たに設けましたものですから、そういう意味で、昨年7月以来、1年3カ月たちまして、私どもは、高度化事業を含めまして、各支部を使っていかに運用するかと。今回の場合もいろいろ制度改善がありましたので、こういうPRにつきましては、本部のみならず支部についてもやろうかと。特に高度化融資につきましては、最近、地方自治体の財政事情から、10年前、20年前とはかなり違っているということも十分認識しなければいけないのではないか。
そういう意味で、高度化事業については今回の法律以外にもいろいろ、高度化事業全般について制度改善が昨年7月以降されているわけですが、今回、この法律も含め、そういう意味で本部の各物流関係の団体等のみならず、支部を通じていろいろやりたいと。
その際に、これまでにやった案件、中小物流法なら17件、そういったものについて今どうなっているのか。あるいは、今後の新規のニーズなど、従来ですと地方自治体が中心だったのですが、我々は地方自治体と一体となって支部を使って既存の事業のフォローアップなり新規案件のプロジェクト発掘を――先ほど経産省の方でもプロジェクト発掘に努力するといっていましたが、そういう意味で、我々も都道府県と一体となって制度の趣旨、既存のプロジェクトはどうなっているか、あるいは新規分野についてのニーズを一緒に考えようと、こういう形で考えていきたいと思っております。
そういう意味で、この資料10の5のところに17件のリストがありますが、これをごらんになってもわかりますように、意外と地方の卸が使われているんです。先ほど宮下先生からもありましたように、卸事業をどうするか。そういったときに、卸団地というのも1つありますが、この卸関係が中小物流法を使って共同事業をやっている。特に北海道とか東北に多くて、先ほど大型店の話がありましたが、大型店というのが地方の卸に対しても非常にインパクトがあって、我々がやっていった卸センターも大変時代の環境変化になっていますけれど、そういう意味でのフォローアップが必要なのかなという感じがしております。
私どもは、そういう意味で、これまでに高度化事業を使っていただいた方々が現状どうなって、新しいいろいろな制度・仕組み、あるいは今回の法律もありますが、そういうものがどう機能するのか、これも支部などを使って考えていきたいと思っていますので、またよろしくお願いしたいと思います。
○篠原委員 新しくできましたこの法律に基づく今日の審議事項でございます基本方針について異議はございませんが、先ほど来、皆さんからご議論が出ておりますように、そもそも中小卸なり流通業界の現状がどうあって、今後どう活性化していくのかということが、本来のこの商業部会でこれからご議論していただきたいテーマだと感じます。
それで、2~3気づいた点を申し上げたいと思います。
矢作先生がおっしゃった、都市計画法における配慮で、原則、市街化調整区域における開発行為を許可するよう運用するという点でございますが、これは現在、国土交通省の方で都市計画法の見直しを行っておりますので、結論が出たらこれに合わせるように、こちらの方の法体系も含めて整合性をとるようにお願いをしたいということが第1点でございます。
それから、これは私の理解が間違っているのかもしれませんが、この法律自体は、物量自体をどう削減するかということが法律の中には入っておりません。我々は、いかに物量そのものを減らしていくかという観点から、ぜひこの部会でもこれからご議論いただきたいと思います。私どもが日ごろ感じておりますことは、大資本によるナショナルチェーンとか大資本によるGMSとか、いろいろな物流から小売りまで一気通貫で全国をコントロールしている事業、これ自身はそれでいいのですが、それがすべていいことであるかどうかというのは、一度白紙に戻して検証してほしいということでございます。
要は、今、中小卸なり物流事業者が、体力的に活性化事業もできない。小売商業の小売店と同じなんですね。活性化事業もできないほど体力的に弱っているのはどういうところに原因があるのかということで、私どもは、もう一回、食料品とか地場産品を地元で、物流を地元で完結させる。地産地消と申しますか、地元で物流を完結させる。物流量自体を減らす。それが地域の経済にどのように活性化になったり、地域の雇用にどうプラスになったりするのか、しないのか。それを我々自身もよく勉強したいと思いますが、こういう場で検討していただければと思います。
今日はたまたま岩井委員がおられるので、聞きかじりですけれど、今、北海道の産米は道内で3割か4割しか消費されていないそうなんです。つまり、北海道の人は7割から6割は本州からコメをもってきて消費している。地産地消が成り立っていない。そういうところからやらないと物流量は減らないと思いますが、そのためには、関係省庁、農林水産省も含めて、一緒になって、消費も含めて、地元の産物を地元で消費する物流体系、経済内循環が今どうなっていて、これを再活性化するにはどうしたらいいのかということをぜひご議論いただければと思います。
法律はこれで結構です。
○石原部会長 ありがとうございます。先ほど来いただいているフォローアップの話を含めて、流通そのもののあり方を考えていくというのは大事なことで、それは直接的にこの部会の課題かと思いますが、今、最後にいわれたことはいささか大きくて、それこそ経済システム全体にかかわるような問題で、だからだれもみなくていいという話ではありませんので、ここですべて引き受けられるかどうかわかりませんが、重要な課題だと思いますので、検討の糸口を探してみたいと思います。
ほかにございませんでしょうか。
○宮下委員 今回のこの法律では環境問題を非常に重視していると。環境問題をこの物流問題に関連して重視する目的というのは、生活者の生活環境をよくするということであって、ある意味では生活者利益への貢献だと思います。この前の街づくりの問題で大きな議論になりましたけれど、これから高齢化社会という1つの社会的に新しい面が進展していく中において、例えば、コンビニエンスストアあたりでも生鮮コンビニとか九九プラスとかというのが大発展している。コンビニのあの九九プラスあたりは、かなり高齢者を意識した、極めて小ロットなものを、できるだけ店の在庫を少なくして、生鮮食品を扱いながらも効率的な経営が成り立っているわけですよね。
同じように、地方の中小スーパーあたりをみても、そういう非常に特殊な、高齢者を意識した小ロット化、生もの、小分け、これの売り場がどんどんふえている。そうすると、こういう売り場が進展すればするほど、そこに納入する物流というのは、先ほど矢作先生がおっしゃった問題がいろいろあるわけですよね。先ほど濱邊さんもおっしゃいました。非常にきめ細かい小ロット化の物流を設定していく。そうすると、これは効率性に相反するんじゃないかという問題になっていきますよね。最終的には消費者ニーズに合った売り場づくり、その非効率を効率化するための共同配送とか物流だと思うのです。
そういう意味で、この法律というのはかなり柔軟に中小・卸までグループで使えるというのは、私は大変結構だと思いますし、ぜひそういう視点から、ここに言葉としてはありませんけれど、生活者のニーズとか生活者の利益とか、そういう面をもうちょっと主張したらいいんじゃないかと思わないでもないです。
意見です。よろしく。
○寺田委員 この指針につきましては全く異存ございません。それから、今回、この法律で対象も非常に拡大していただくとか内容も充実するということで、大変結構なことではないかと思います。とりわけ私どもは非常に高く評価したいのは、これまで中小の組合だけに限られていたのを、組合以外のグループにもこれを適用拡大できるような形にしたということで、これによってかなり潜在的に可能性も広がるということでございますし、今後、重視しなければいけないのは、せっかくこういう制度ができたわけですから、これをいかに広く普及して多くの中小企業の人に機会があるということを理解してもらうか、わかってもらうかということではないかと思います。
そういった意味で、我々の方の組織としても全面的にこれを普及するというところについてお手伝いしたいと思いますし、国の方としても、そういったことを特に念頭に置いて、ぜひ施策の普及に努めていただければと思っております。
特に、組合だけということではなく、任意の中小企業ですから、日本国中の500万の中小企業に全部これを承知してもらった上で今後の事業活動に役立ててもらわなければいけないということですので、今までとちょっと違ったその施策普及についての観点を取り入れていただければと思います。
○石原部会長 ありがとうございました。先ほど課長から政策の営業みたいな話がありましたけれど、役所の方からの努力もさることながら、各団体におかれましては、ぜひご活用いただけるように普及にご協力をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
ほかにございませんでしょうか。
○坪井委員 私は商店街でございまして、実はこの環境負荷の低減ということにつきましては、もう既に私どもも実行に入っております。といいますのは、すべてではないのですが、私どもの場合には、ちょうど愛知万博もございましたし、環境ということは非常に重要視しているというところでございまして、特に私どもの商店街は中心地でございまして、名古屋の中心である栄でございまして、繁忙期には車に乗って来られて中心地でお買い物をしていただくというのは困るのだということで、できる限り公共交通機関を利用していただいてお買い物をしていただきたいということで、大きくアピールをしてまいりました。
やはり車でお買い物というのが主でございますので、それをあえて車を残して、公共交通機関を利用していただいてお買い物をしていただきたいということで、大きくアピールをさせていただきました。それで、車も大分抑制がかかったかなと私自身も思っているわけでございますが、そのかわりいろいろな特典などもつけまして、例えば、お帰りなさい切符ですとか、ある程度の金額をお買い物をしていただくと公共交通機関のお帰りの際の金額は全部、ちょうど駐車料金の立てかえと一緒でございますが、それをやっているとか、私どももいろいろやっているわけでございます。
ただ、お買い物をしていただくとどうしてもお荷物があるわけでございますが、トゥデイ便といいまして、きょう3時にお買い物いただく場合には、当日の6時までにお届けするというシステムが本当にできるのかどうかというのを非常に検討させていただきました。私どもはデパートも全部含めているわけでございますから、あるデパートで社会実験をさせていただきました。そうしたら、もう100%その日にお荷物を届けられたということで、苦情がほとんどゼロということでございました。これではいけるということで、私どもは5つか7つのデパートがありますが、4つのデパートや商店街もこぞって、共同宅配という形にさせていただいたわけでございます。
それは今非常に注目をされているわけでございまして、そういう点は環境に非常に優しいということや、特に中心地の交通渋滞については、繁忙期のお中元・お歳暮時期になりますと中心地に車が入れないような状況にもなるのですが、それも少しは緩和になったということでございまして、そういう点では非常にいいなと私自身も思っているわけでございます。それに増してまた強化していただけるという話でございまして、私も非常に喜んでいた一人でございます。
ただ、もう少しそれを推進するために、支援策を何らかの形で打っていただけるようなものを、融資とか保険とかというのはそれなりに利用はさせていただいているわけでございますが、それをやったらどうだという、例えば名古屋だけでなく、ほかのところもそういうことによってコストの削減ということも含めてやっていただければ、ますますこれが大きく広まっていくのではないかなと思っています。
大分いい方向に来ているということも事実でございますから、それも一つ参考にしていただければ非常にありがたいなと思っています。
○石原部会長 ありがとうございました。非常に先進的な事例をご紹介いただきました。
ほかにございますでしょうか。
まだ時間もあるようですが、無理無理やることもございませんので。
大変貴重なご意見をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。今後の課題とか、あるいはこの法律あるいは指針の問題はこれはこれとしてこれでいいのだけれど、これまでの施策にあったさまざまな卸団地とかボランタリーチェーンの話等も含めて、あるいは今後の流通のあり方も含めて、あわせて検討していくことが必要なのではないかというご指摘をいただいておりまして、それは今後の宿題ということで預からせていただくことにいたしますが、本日のところご議論をお願いしておりました「流通業務総合効率化事業の実施に関する基本的な方針」につきましては、ご異議なくご承認をいただいたということにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
ありがとうございました。
それでは、こちらで用意をさせていただいておりますものは以上でございますが、この際ということで何か特にございますでしょうか。
ございませんようでしたら、少し早いようですけれど、本日の商業部会をこれで終了させていただきたいと思います。お忙しい中をご協力いただきまして、どうもありがとうございました。