トップページ 審議会・研究会 審議会(平成25年6月30日以前分) 中小企業政策審議会中小企業経営支援分科会商業部会 産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会商業部会第10回合同会合 議事要旨

産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会商業部会第10回合同会合 議事要旨

平成17年6月15日
中小企業庁

日 時:平成17年6月3日(金) 14:00~16:00
場 所:経済産業省本館17階 第1・2共用会議室
出席者:上原議長、秋元委員、浅野委員、石原委員、岩井委員、
岩?委員、遠藤委員、片岡委員、川島委員、篠原委員、坪井委員、
寺田範雄委員、中井委員、中村委員、成宮委員、原田委員、松岡委員、三村委員、藻谷委員、神戸代理(尾池委員)、野澤代理(鈴木委員)

議題:1.まちづくり三法の評価及び今後の方向性に関する論点整理について
2.今後のスケジュールについて

配布資料:1.議事次第
2.委員名簿
3-1.まちづくり三法の評価及び今後の方向性に関する論点整理について(案)
3-2.まちづくり三法の評価及び今後の方向性に関する論点整理について【参考資料】
4.今後のスケジュールなどについて
5.第9回合同会議議事録(案)

議事概要:
(1) まちづくり三法の評価及び今後の方向性に関する論点整理について(案)について、資料3-1及び資料3-2に基づき、事務局から説明があった。これに関して、委員から以下のような発言・質問があった。

・郊外大型店の立地規制については、引き続き都市計画法による適切なゾーニングで対応すべきであり、個別の商業調整に委ねるべきではない。都市計画による正しいゾーニングをおこなうためにも総合的な国土利用計画が必要。
・一市町村によるゾーニングでは、広域的な調整ができない。周辺地域も含めた形での広域的な調整ができなければ、実質的には、市町村における商業調整につながるおそれがある。市町村レベルでの条例による対応ではなく、国・県レベルでの法令に基づいた、ゾーニングの在り方を考えるべき。
・支援の強化は必要だが、市町村等の作成する計画は総花的なものになりがちなので、良いものを積極的に評価することが必要。商業者・地権者・市民・地元自治体・国が協力、連携することは重要。特に、地権者の中には、地域への帰属意識が薄い者もいる。うまく巻き込むことが必要。

・全体として良く論点がまとまっている。
・追加すべき点として、車依存社会が広がっているという弊害があり、歩行者専用道路とかトランジットモールの導入時に必ず反対にあう。例えば、老舗の店舗ではお客が店の前まで車で来ることが出来るようにしたいと思っていたり、車のユーザー側でも一方通行や迂回の手間がかかるため歓迎されない。過度な車依存に対して社会的意識を醸成することも重要。
・中心市街地問題は、総合的であり、商業の問題が中心ではあるが、商業が中心となる場合、及び商業が脇役となる場合もあることを明確にしておく必要がある。
・景観制度など、他の法律とまちづくり三法をリンクさせるという考え方もある。

・大型店の退店問題について、論点とされていないことは問題。大型店が退店することによって、街中の空洞化につながり、地域経済に悪影響がもたらされている。退店については市場の失敗であり、何らかの調整メカニズムやコントロールが必要。
・大店立地法の問題について、問題点が整理されていない。ゾーニングだけで全て問題が解決するのかについては検討を要する。ゾーニングで対応するならば、どのように対応するのかを記載しないと説明にならない。大型店の立地問題は、環境、騒音といった生活環境の問題だけではなく、社会問題もあると認識している。ゾーニングで対応できる点、対応できない点について明確にすべき。
・市街地の活性化に係わる関係者は、地域の人間だけではない。チェーン展開する大型店の経営を行う東京や大阪の本社の人間の役割も明確化してほしい。

・今のゾーニングは機能していない。特定用途制限地域を導入したが、地方自治体に使われていない。この点も含め、もっと広域的な土地利用について考える必要がある。
・都市は継続的に成長するという前提に立ち、都市計画法体系は作られてきた。市街化調整区域は将来的な開発をする余地が残され、大規模であれば開発がどんどん進むということが問い直されている。いつでも開発ができるという考え方も見直す必要がある。
・中心市街地への都市機能の集約は都市計画の課題であり、高齢化社会に対応し、都市機能の集約化を図るためにも、抜本的にゾーニングの在り方を見直す必要があると考えている。
・広域調整の「調整」とは、「ゾーニングの調整」という意味で使っている。

・まちづくり三法が機能しないのは、三法が縦割りで、相互に有機的にリンクしていないから。このため、コンパクトシティの導入、都市計画運用指針の活用支援、ゾーニングによる計画性と秩序ある開発の3点について、これまで提言してきた。この中には、緊急にやるべきこと、中長期的にやるべきことがある。緊急にやるべきことは、?郊外の乱開発を止め、ゾーニングを強化すること、?中心市街地活性化法は、商業に重点が置かれているが、生活者の視点や幅広いタウンマネジメントにより安全・安心なまちを作り出すような見直しを行うことが必要であり、人材の育成も重要、?まちなか居住を進めるため、自治体に公共設備を郊外に移転させないこと、である。中期的にやるべきこととしては、?自治体の財政難をコンパクト化で対応し、コンパクトな都市を目指すこと、?行政、住民、商業者の3者の理念を共有化するため「まちづくり基本法」を制定することである。
・まちづくりがうまく行かない理由として「自治体は固定資産税に目がくれ、住民は無関心、商業者は無気力」といわれるが、商業者がやる気になり、危機感を持って取り組む必要がある。

・人口が減少していくことのインパクトを強調してほしい。中心市街地のにぎわいづくりには誰も反対しないが、郊外抑制にはわっと反対される。市街地活性化と郊外開発とが原則両立しないことを明言して欲しい。そのようなスタンスのもとで中心市街地活性化を行うことが自治体の責務である。
・また、コンパクトシティの概念は地方では通りやすいが、大都市周辺部では市街地が連坦しており、必ずしも有効でないところもある。こういったコンパクトという点では捉えきれない地域で広域調整をするしかないかもしれないので、その点を明確化してほしい。

・全般的には良く整理されているが、全体としてどのような方向を目指すべきかを示すことが国の役目である。都市の中心部が持つ多様性を発揮することで他地域との競争にも勝てる。都市の魅力を高める方向に全ての施策を向かせるべき。大店立地法ができて以降、大規模店の立地は減っているというが、非線引き白地で大型店の立地割合が増加している資料は、三大都市圏には非線引き地域がないため、特に地方では大型店立地が増加していることを示しており、地方圏で深刻な事態となっていることを認識すべき。
・広域調整については、何を基にして調整するかを決めることが最も重要で、都市計画区域外や農地も含めてきっちりした土地利用計画を作っておかなければ調整も上手くいかない。
・総花的な支援は駄目で、総合的な支援ならいいというが、自治体はいろいろやろうにもすべてはできないのだから、どういう順番で、何をやろうとしているか、踏み込んで評価してあげる必要がある。

・時代の変化に対応していかなければならない。コンパクトシティは有力な方法であり、効率的で、便利で、暮らしやすいまちが今後の方向性である。青森は、コンパクトシティとして、都市機能を集め、再生している。税制などによる拡散防止のための措置が必要である。それでも、郊外に大型店を作りたいという人がいるだろうが、それに対しても、きちんとしたゾーニングで対応を講ずる必要がある。
・商店街は、にぎわいの中心であるが、今のままではなく包括的なマネージメントにより競争力を持つと意識する必要がある。商店街に住んでいない地権者は、商店街に起こっている問題に実感が湧かないのだから、法的に何らかの位置づけが必要。
  ・まちの拡散を防止するためには、初期段階では何らかの措置(特例)が必要。

・今起こっている、また将来的に問題化する問題は、地方で都市計画区域外の農地を転用し、5万台規模の駐車場を作り、大規模店舗を立地するようなケース。過去ではなく、将来的に顕在化しつつある問題を論点としてほしい。

・まちづくり三法では、市街地の衰退を止められなかったことを真摯に受け止め、三法連帯で責任を負う必要がある。
・今後の方向性については基本的に賛成だが、人口の減少と高齢化で、過疎化が進んでいる中で、具体的にどう肉付けをしていくのか。コンパクトなまちづくりというが、コミットした自治体について具体的にどう進めるのか、国としてビジョンを示す必要がある。そうすれば、自治体としても関係者間のコンセンサスを作りやすい。

・人口問題以上に重要なのは、環境問題。日本は、京都議定書にコミットし、CO2排出量を削減しなければならないのだから、コンパクトシティによって、排出量を削減するといったことを前面に出してほしい。人口減少だけでは郊外開発規制の根拠としては弱い。
・ゾーニングというが法律用語ではない。ここでいうゾーニングとは、何なのか。アメリカ型の退店問題や営業時間規制も含めたものなのか、単なる地域地区制なのか。ゾーニングという言葉のイメージを統一する必要がある。
・全体を通じて国の役割がはっきりしないため、国は何をする、県・市町村は何をするという役割分担がほしい。

・市街地は、ライフインフラであるにもかかわらず、一般の生活者はそのライフインフラの在り方について考える場がない。生活者の参加も重要。

・商店街におけるマネジメントの話があったが、商店街は個店の集まりであるので、難しい。地権者の税の負担は大きく、シャッターを閉めていても大きな負担を強いられる。個店商業者は各種税を負担している現状も見て欲しい。

・中心市街地の活性化といっても、地域住民や商業者は冷めている。市民を巻き込むような工夫を提案した方が良い。
・また、ハード、ソフトの整備だけではなく、教育施設・文化施設など公共的な施設へ投資するような、まちにきちんと投資するとの方向性を大きく打ち出してほしい。

 ・まちづくりに対する関心は高いが、まちづくり三法に対する関心は薄い。法制化するプロセスに生活者の声を汲み上げ、生活者・住民が参加し、責任を持てるようにすれば、まちは活気を取り戻すのではないか。

 ・ゾーニングという言葉を同床異夢なままに、議論してはならない。

 ・ゾーニングとは、都市計画法と建築基準法で決まっている用途制限である。
  ・用途地域について、都市計画区域以外のことも含めて、制限が非常に緩いということを指摘されたが、都市計画の目が届くようにしていく必要があると考えている。

・「広域調整」という言葉も誤解を生みやすい言葉なので、商業調整ではないことを確実に示して欲しい。

 ・地域住民全員にとって、行政コスト・インフラコストを抑えることは、重要。今年の中小企業白書には、中心街の方が、郊外よりコストがかからないということが書かれている。都市の在り方を検討する際には、抽象論のみではなく、数字でコストを示すことも重要であることを認識して欲しい。

 ・県レベルでの広域調整機能が必要。市町村のみの計画は、税収に引きずられてしまうおそれがある。

 ・論点整理の内容は、行政寄りになっているが、市民の役割、関係者の連携を図ることの重要さを示してほしい。今後どのように連携していくのか仕組みの中に取り込むとともに、市民が果たすべき役割があることを示すべき。

(2) 事務局から、今後のスケジュールについて、資料4に基づき説明があり、予備日については開催せず、本日の議論を踏まえ、事務局にて報告書案をまとめ、次回検討することが了承された。

(3) 次回は、平成17年7月8日(金)10時から、開催することになった。