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産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会商業部会(第9回合同会合) 議事要旨

平成17年5月17日
中小企業庁

日 時:平成17年4月27日(水) 10:00~12:00
場 所:経済産業省本館17階 国際会議室
出席者:上原議長、秋元委員、岩井委員、岩?委員、遠藤委員、
片岡委員、川島委員、篠原委員、鈴木委員、谷本委員、坪井委員、
寺田範雄委員、成宮委員、永井委員、原田委員、松岡委員、三村委員、
藻谷委員、矢作委員、神戸代理(尾池委員)、小豆澤代理(中村委員)

議 題:1.小売店舗に関連する「まちづくり条例」について
2.中心市街地活性化支援策の現状と課題などについて

配布資料:1.議事次第
2.委員名簿
3.小売店舗に関連する「まちづくり条例」について
4.中心市街地活性化支援策の現状
5.安井会長(早稲田商店会)提出資料
6.木下顧問(株式会社商店街ネットワーク)提出資料
7.中心市街地・中小商業活性化における課題
8.今後のスケジュールなどについて

議事概要:
(1) 小売店舗に関連する「まちづくり条例」について、配布資料3.に基づき、事務局から説明があった。これに関して、委員等から以下のような発言・質問があった。

・民主主義の中で、生活者の快適な生活が保障されるためには、商業、サービス、情報などについて自由な選択が可能であることが必要。そのためには、公正な競争条件が不可欠。国も、地方も、商業者も、このことを理解すべき。
・大店立地法の指針改定の中では、地域の独自基準が認められたが、競争を規制するような内容は制限されるべき。
・紹介された条例は法令の合間をかいくぐったものだが、小売業が狙い打ちになっているのは残念であり、ある意味、需給調整的なものもある。まちや都市のあり方については、国土利用計画や都市計画法や農地法で対応すべきで、それらを総動員してでも若しくは不十分であれば、総見直しした上でも適正なゾーニングが必要。自然淘汰され、バランスのよい商業の在り方になるのではないか。

・営業時間の規制が地域環境に配慮した結果である一方、商業者の立場としては規制は困るといった状況にある。
・小売業全体としては、頭打ちで、自動的に淘汰されていく。出店について神経質にならなくても、自動的にブレーキがかかる。かえって条例を作ったことが足かせにならないように注意すべき。

・まちづくり三法ができたのに、なぜ条例を作らなければならなかったのか。三法と実態との乖離があるのではないか。紹介のあった条例も参考に検討が必要ではないか。

(2) 中心市街地活性化支援策の現状と課題などについて、配布資料4.~7に基づき、事務局、安井会長、木下顧問、事務局の順で説明があった。これに関して、委員等から以下のような発言・質問があった。

・中心市街地活性化法について、3つの問題提起をしたい。?現行法は商業の活性化と市街地の整備改善が2つの柱だが、人口が減少に転じる中で、まち全体としてもコンパクトシティを目指していくことが必要であり、目的ももっと幅広い観点が必要ではないか。?基本計画は行政が作ることになっているが、パブコメ、公聴会、議会の議決など、市民参加の手続が必要ではないか。?基本計画を作った後の実施の段階においては、行政、商店街、TMO、住民のそれぞれの責任の範囲や役割がはっきり整理されていない。行政は基本計画を作ったら終わりというのでなくて、TMOの運営費について、中心市街地の固定資産税の一定割合を行政が出す責務があるといった位置付けが必要でないか。

・早稲田商店会の事例からは、仕組みを作っただけではうまくいかないというお手本を見せてもらった。地域の問題として、ゴミ問題を取り上げ、新しい活性化の糸口にした。しかし、単純に早稲田商店会をモデル事業にして、拡大させるのは無理。一番大事なのは、地域の中から、新しいものを探していくことだ。
・まちづくりにおける顧客ニーズに関するワークショップをやろうと、住民に声をかけると、かなりの方にきてもらえる。住民は商業者に与えてもらおうという発想から、自分が何をできるか、手伝えるところはどこかという発想に変わってきている。中心市街地活性化には、住民の意見を継続的に入れて、地域それぞれが考えていく仕組みが必要。その上で条例が必要ならば作ればよい。

・コンパクトシティが実現できて、乱開発が止まったとしても、中心市街地が自助努力しないと効果がない。中心市街地の中で、市場経済の名の下で、努力することについて反対する人はいないと思う。補助金を入れると逆効果の場合もある。?自助努力する、?組織化する、?専従化すると順を追っていくことが必要で、最初から補助金でBIDを作るというのは発想が逆。

・早稲田商店会の成功には3つの理由がある。?安井会長のカリスマ的リーダーシップ。?早稲田は低層住宅が多く、職住近接のまちであること。?早稲田大学が地域のコアになっていること。これは、中心市街地全体としてみれば、レアな事例で、他のまちがモデルにするのは難しいのではないか。

・中心市街地活性化法では、中心市街地を、原則として市町村に一地区としている。このため、極めて大きなエリアが設定される方向となってしまった。中心市街地とか、まちとか言ってもいろんな大きさがある。例えば、新宿で考えてみても、西口なのか、早稲田なのか、によって目指すべき方向も異なる。今のままだと、早稲田のような小さな地区での大きなアイデアを潰してしまいかねない。

・地方行政において、土地の利用を指導できる仕組みや土地利用の長期ビジョンが欠けている。将来、まちづくりをどうするのか。生活者の近くに商業があれば、大きくても、小さくても便利である。こうした原点に返って、物事を考えることが必要。

・具体的な方向性が見えてきた。?商店街の自助努力によって、魅力を高め、競争力を高める。?その取り組みが軌道に乗るまでは、行政が支援する。?基本的方向としてコンパクトシティを目指す。
・成功事例が現実に沢山あるので、経済産業省は整理して欲しい。そこから、自分のまちはどのパターンに当たるのか、考えればよい。
・専門家の意見は重要。SC経営士はそれに適していると思うが、高松の丸亀商店街のようにSC方式を取り入れ、テナントを入れてみて、それがダメなら、入れ替えるような工夫が必要。

・ 空き店舗対策について。現在、空き店舗が増えているのは、致し方なくそうなっているのではない。本当は余力を残したままで経営者が自分の店を閉めてしまい、郊外の大型店に出店して、こんな街は駄目だと見捨てている、というようなこともある。
・ 行政には、今までの失敗している事例も含めて、総括をして欲しい。人材がいないことを問題にする前に、正確に現状を総括することが必要。それとともに、やはり人を育てることも必要。
・ 「タウンキーパー」という発想で、商店主が店の2階に住み込んで、警察や消防、交通整備、治安などを自らで担う代わりに固定資産税が安くなるとしたら、現在商店街活動がかかえている問題の大部分が解決すると考える。

 ・ 人材がいないから駄目だというのは理屈に合わず、やる気があれば人材は必ず育つものだ。例えば、ショッピングセンターを若い人に任せれば、彼らはそのうちに大変なノウハウを持つようになる。


(3) 事務局から、今後のスケジュールについて、配布資料8.に基づき説明があり、了承された。

(4) 次回は、平成17年6月3日(金)14時から、開催することになった。