議事概要:
(1) 河津流通産業課長から、前回合同会議の論点整理について、配布資料3に基づき、説明があった。
(2) 続いて、浅見委員、中井委員、原田委員からそれぞれ、日本、イギリス、アメリカにおける関連制度等について、配布資料4~6に基づき、説明があった。これらについて、委員から以下のような質問、意見があった。
・ドイツや北欧でもリテールキャップ制度を導入している。今や日本は先進国の中でも大型店の出店が最も自由な国になったのではないか。
(説明者からの回答)
・欧米と比べて全般的には日本の規制が緩いと言える。
・アメリカでは自治体ごとに制度が違っており、全てが日本より厳しいとは限らないが、大きな流れとしては厳しくなる方向であると言える。
・イギリスでは、中心市街地の中ではむしろ規制がない。一方で郊外では大型店だけでなく、住宅地なども規制されている。中心市街地VS郊外の図式であって、大型店VS中心市街地ではない。そもそも、ヨーロッパは都市の文化であって、郊外は都市ではない。既成市街地の活性化は都市間競争に勝つための条件であり、その経済活動は最も有力な戦略である。その意味で、中心市街地の衰退は、都市の崩壊、文化の溶融という認識がある。
・日本は計画と開発の関係が曖昧で、都市計画がないところでも開発されるし、計画があるにもかかわらず、開発のために計画を変更する。アカウンタビリティが問われるのではないか。
(説明者からの回答)
・日本では、外部不経済性の抑制要因としての計画であり、計画がないところでも、外部不経済性がなければ開発ができてしまう。
・用途地域制度を作ったとき、将来どういう地域とすべきか判断できない地域は、今後の市街化の状況を見極めるため、白地地域とされた。
・日本の土地利用規制は、過剰規制を避けた最低限の基準となっており、禁止される用途を列挙しているのであって、許容される用途を挙げているのではない。
・ある程度の時期から技術的な基準に置き換わってきたので、強い規制は取りにくい。
・開発を抑制する市街化調整区域でも規模の大きいものは例外的に認められている。
・アメリカでは厳しい規制をしているという説明だったが、どんどん新しい業態が出てきているということをどう見るか。規制の理念と実際の実行では乖離があるのではないか。
(説明者からの回答)
・実効力は日本よりはるかに強く、開発申請が出てから制度を作って、厳しくすることもあり得る。消費者は同質性や画一性が日本よりなく、A市で可能な業態が、B市では可能でないということがある。
・また、アメリカでは最近は大手某社が雇用や賃金など地域経済にマイナスの影響を与えるということで、大型店が出てくる場合は規制しようとなってきた。シカゴでは、大手某社が2店舗の出店を予定しているが、最低限賃金法を制定して、規制しようとしている。
・ アメリカで行われたICSC(国際ショッピングセンター協会)のスプリングコンベンションでは、中小都市の市長の出席が増えており、大型店を誘致するため、税金を低減するとか、手続を緩和するとか言っていた。アメリカが大型店を規制しているという感じは全く受けなかった。アメリカ全体の印象としては、日本に比べて自由であると思う。
(説明者からの回答)
・アメリカは分権化されており、大型店の進出は立地する自治体にとっては良いが、地域全体としては雇用などに打撃を受ける。
・大手某社は田舎の高速道沿いに出店しており、全く外部に不経済性を及ぼしていないのではないか。
・大型店による土地の資産価値や雇用の低下はアメリカと日本とは違うのではないか。
・CIR(コミュニティ・インパクト・レポート)は印象に残った。日本では行政だけでは弱く、住民についてもいつも同じ人が集まるだけなので、市のコンサルに頼んでやってもらうというCIRを導入してほしい。
・交通問題は大きな問題であるが各国ではどのような対策をしているのか。その際に、周辺への影響を定量化して分析しているのか。
(説明者からの回答)
・イギリスでは、パークアンドライドなどやっている。徒歩、自転車を使おうことを都市政策上も、交通政策上も位置付けている。
・日本では、前面道路の幅員幅や駐車台数などの対策はやっている。影響評価は定量的なものではなく、定性的なもの。
・説明を聞いて、日本は欧米に比べて大分遅れていると思った。街の中心に人が集めるには、一反更地にして、ホームセンターを作ったらどうかと思う。
(3) 河津流通産業課長から、今後のスケジュールについて、配布資料7.に基づき、説明があり、了承された。
(4) 次回は11月1日(月)10時から、開催することになった。