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中小企業経営支援分科会(第13回) 議事要旨

日時

平成29年2月7日(火)14時00分~16時00分

場所

経済産業省別館9階944会議室

出席者

  • 経営支援分科会委員等
    沼上分科会長、大浦委員、河原委員、木村委員、小出委員、瀬戸川委員、曽我委員、髙井委員、髙澤委員、高田委員、竹岡委員、光畑委員、森委員、小正委員代理高橋専務、西川委員代理白田係長、平野委員代理清田理事
  • 事務局
    宮本長官、岸本中小企業政策統括調整官、吉野事業環境部長、高島経営支援部長、桜町参事官、飯田経営支援課長、高倉技術・経営革新課長、川村企画課長、小林金融課長、吉村財務課長、村上政策企画委員

議題

議事1 中小・小規模事業者からみた中小企業支援機関に関するアンケート(確報)
議事2 よろず支援拠点の今後の方向性(骨子)
議事3 個別政策課題について支援機関に期待すること(その1)

議事概要

(事務局作成。ただし、発言者の確認をとったものではない。)

1.よろず支援拠点の今後の方向性(骨子)

(よろず支援拠点のミッションについて)
  • 経営者の立場に立って考えれば、よろず支援拠点は、色々な悩みを抱えた事業者が「そこに行けば何とかなる」と思っているところ。これに対し、よろず支援拠点が自分でできるところは自分で対応、他の支援機関を紹介するときは紹介対応することになるだろう。そういう意味では、よろず支援拠点の第一ミッションは課題解決のための総合調整、第二ミッションが専門性の高い経営アドバイスではないか。
  • 地域の支援機関の力量を考え、よろず支援拠点が足らざるところを補うという見直し方針を基本的には評価する。地元から県庁所在地まで距離があり、出かけるのが困難な事業者にも手を差し伸べて欲しい。地域密着型の活動に期待したい。
  • 広報については地域経済のために情報交換の仕組みについても入れて欲しい。経産局が情報収集し、中企庁にシェアーするイメージ。情報提供等が国を基点として一方通行的なものにならないようにすべき。
  • 企業支援の現場からは、商工会、商工会議所がよろずを活用しているパターンとしては、自分が支援できない内容は専門家であるよろずを使う。支援機関としての連携がうまく行っているところはそういうところ。また、商工会、商工会議所が相談を受けて対応しづらいところについては専門家派遣事業も使っている。
  • 殆どの小規模は悩みが整理されているところが少ないことから、全体のコンサル能力が優れているところを増やす必要がある。それで出てきたのがよろず。全般にもう少し整理できる専門家がいてもいい。今までの専門家の採用の仕方は、専門分野の専門家を採用するが、それでは現在の問題に対応できないことが増えてきた。そうした専門家がいてもいいが、それが殆どでは困る。
(よろず支援拠点のPDCAについて)
  • 行動指針を作るというのは非常にいいと思った。支援者に、考え方、哲学を勉強して貰うことが大切。
  • よろず支援拠点事業の見直し方針は素晴らしい提案だが、全国一律の評価は恐ろしく手間がかかるだろうから、優先順位をつける必要がある。本当に簡単なチェックリストを作っては。
  • よろずの今後の運営図については、改善も図られているが、未だに複雑な印象。特に、評価の軸とお金の流れが別なのは違和感。行動指針を作って、目標にどこまで行ったかを確認する運営方法は良い。質の向上のため、競争をどう入れるかが大事。トップダウンだけでなく、競争の要素、顧客評価、こうしたものが見えるようになると、もっとクオリティが上がる。
  • 地域割りをすると競争原理は働かない。よろず支援拠点の成果普及、広報をどのように行うか検討する必要。
  • 中小・小規模事業者からみた中小企業支援に関するアンケートによれば、経営改善、販路開拓だけでなく専門的な課題も多い様子。こうした中、よろず支援拠点のパフォーマンス評価については、一般的な評価なのか、国の課題についても評価に入れるのか、そういう視点も必要。

2.金融機関の経営支援を強化・促進するためにより充実すべき機能

  (信用補完制度の見直しについて)
  • 今回の信用保証制度の見直しは、金融円滑化をより進めるためと理解しているが、保証協会と金融機関の連携を重視し、金融機関が貸し渋りに走らないようにすることが大切。
  (金融機関による経営支援について)
  • 金融機関は、事業者に対して、目先の融資だけでなく本質的な経営アドバイスをしっかりする必要がある。
  • 金融機関による経営支援については、最近、積極的な印象は受けるが、未だに保証協会依存型の融資が横行している様子。今回の見直しの中でもう一歩踏み込めないか。
  • 金融機関による経営支援は、地銀クラス以上だと自分でできるが、信金・信組ではなかなか自分でやるのは難しいのが実状。
  (中小企業支援機関に期待する役割について)
  • 金融機関にとって便利なツールは専門家派遣。よろず支援拠点、ミラサポ、信用保証協会からの派遣などが有効。改善計画は作るだけでなく実行のフォローも必要なので、専門家派遣を強化して貰いたい。
  (その他)
  • 貸出競争が厳しい。信金は、これでは生き残れないということで地元の中小企業、農業、畜産など、これまで手がけていなかったところを成長させて長い得意先にすべきと考え、行員に診断士や税理士の資格を取るよう働きかけているほか、農業関係の分野などの専門的知識を習得させるなど、自分の組織の中に専門家を作ろうとしている。こうした取組が大事。
  • 金融機関による支援のうち、ベンチャー支援を考えると、VCに早い段階で入ってきてもらう必要がある。創業の早い段階で公認会計士に入って貰うことは大事。月次会計の考え方、カルテ、可視化するという思考方法を身につけると、会社の発展可能性に大きな影響。会計士を入れて真実の姿を示してプロパー融資をするようにすべき。

3.事業承継の視点からみた支援機関に期待する役割について (事業承継支援全般について)

  (事業承継支援全般について)
  • 中小企業経営者にとって、事業承継は先送りしがちな課題。これを何とか早めの準備を促すような機運、しかけが必要。事業承継後に企業がどうなるのか、経営者自身の経済的地位がどうなるのかなど、事業承継への不安を持っている経営者は多い。こうした不安をきちっと取り除くことが大事。
  • 事業承継については、事業者にどのように危機感を感じさせるかが大事。とにかく何も考えていない経営者を集めて、財産目録と借入金を書かせてBSを作らせる、そうすればいくら相続税がかかるかがわかり、少しは危機感をあおることができるのでは。
  (中小企業支援機関に期待する役割について)
  • 事業承継ネットワークもいいが、よろず支援拠点や認定経営革新等支援機関との連携も明記して貰いたい。プレ承継も大事だが、事業承継について大事なのはその後どうなるかのポスト支援。
  (その他)
  • 事業承継診断だけでなく、企業の健康診断できないか。

4.IT活用の視点からみた支援機関に期待する役割について

  (IT活用全般について)
  • ITについてポイントは2つ。1つは、経営者の高齢化によりITに馴染みのない人が増えてしまっていること。こうした中、今、ITを導入しないと淘汰されてしまうという認識がどれだけあるか。もう1つは、人手不足。ITを使って生産性を上げるしかない。これら踏まえると、ニーズは多いはずなのに、相談件数が少ないのが問題。経営者はITの重要性を認識しているのか、認識していても手が出ないのか。現状分析が不十分。事業者が直面する状況に応じて具体的に進めていくことが大切。やるべきことが山積。
  • 小規模事業者等を中心に、ITと聞くと拒否反応を示す事業者もいる。このような企業は生産性の低いところが多いので、IT導入を表に出すよりも、いかに利益を出すか、そのツールとしてITという進め方が大事ではないか、と提案していく必要。まずはできるレベルから、経営に入れ込んでいく機運を起こすことが大事。
  • 中小企業庁では、IT活用について、「システム化」、「効率化」の観点から考えていると思うが、現場ではこの手のニーズを聞くことはまれ。現場では、情報発信にITを使いたいというニーズが圧倒的に多い。
  • IT導入で最も大事なのは経営者が今後どうしたいのか。大きなお金を使う以上、そこが大事。それがないとIT導入はうまくいかない。中小企業庁でIT導入のガイドラインを作れないか。
  • ITはすさまじい勢いで進んでいる。セキュリティ面に不安を感じてIT化を躊躇する動きもある。IT活用については、中小企業の意識のボトムアップが求められているのではないか。具体的な成果イメージを持って施策を考えないと、効果が薄れてしまう。
  (中小企業支援機関に期待する役割について)
  • ITに関する知識が、中小企業支援機関の評価軸に入るといい。
  • IT投資については、まず事業者が狙いをはっきりさせるべき。その上で、事業者がどこに行けば適切な情報が得られるのかを国は情報提供するべき。
  • 中小企業のIT導入のボトルネックは、経営者が業務フローを見える化できていないというIT導入以前の問題にある。経営者が、経営の基本的作業として、自分の仕事を表現できるようにならなければならない。ここに対する支援が必要。
  • IT支援人材は業務フローの整理、高度化を行うべきではないか。
  • IT支援の際、専門家派遣事業を活用するのであれば、事業者が適切な専門家を見つけることができるよう、データベースを作るのも一案。事業者が自分で問題を認識することが必要だがそれを支える仕組みがないのではないか。
  • 利用者の立場からは、IT活用支援においてベンダーを活用するのはリスク。コストもかかるし、ベンダーは仕事なので利益を追求する。
  (その他)
  • ITは、経理は経理、請求は請求、物流は物流といったように専門家が全部分かれている。従って、ツールについては、一気通貫で適用できるようなものは殆どない。ニーズに応じた使い分けが大事。
  • どんな商品でも市場に出て初めてこれが欲しかったというのがわかる。ITもこれからニーズがもっと増えてくる。課題は色々あるが、IT活用に向けた取組を続けていくことが大事。そうすれば、ニーズに応じたツールが出てくるはず。

5.その他

 
  • 政策課題ごとに支援機関の役割整理して貰っているが、課題が明確な場合にはそうだが、明確でない事業者が多い。
  • 事業者は、抱えている問題を明確にすることが大切。そこの支援に重点を置いて欲しい
  • 中小・小規模事業者からみた中小企業支援に関するアンケートによれば、支援機関同士の連携を高めて欲しいというニーズがある様子。これは、中小企業支援において、国以外の政策との関係もある。似通った中小企業政策について、各地でどのように活用しているのか。各支援機関のトップによる忌憚ない意見交換を一月に一度実施するなどして効果的かつ効率的な中小企業支援を行うべき。


<お問い合わせ>
中小企業庁経営支援部経営支援課
電話:03-3501-1763
FAX:03-3501-7099