平成20年度中小企業政策審議会経営支援部会(第1回) 議事録
- 日時:平成20年6月2日(月曜)9:59~11:45
- 場所:経済産業省 第1特別会議室
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出席:(委員)別紙参照
(事務局)地域経済産業グループ 横田地域経済産業政策課長
中小企業庁
事業環境部 餅田企画課長
経営支援部 長尾経営支援部長、岸本経営支援課長、本橋創業連携推進課長、桜町小規模政策室長
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岸本課長 おはようございます。定刻前ではございますけれども、全員おそろいでございますので、ただいまから「平成20年度第1回中小企業政策審議会経営支援部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多用のところ、御出席を賜り、誠にありがとうございます。私、事務局を努めます経営支援課長の岸本でございます。よろしくお願いいたします。
議事に先立ちまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。「配布資料」に記載のとおり、資料1~4までございます。資料3につきましては、農商工連携の取組、企業立地促進法の改正、基本方針の骨子(案)と3点ございますので、御確認をいただければ幸いでございます。
本日の議事は、資料1の議事次第にありますとおり進めたいと考えております。
委員の方は、出席者が20名、また、代理の方の御出席が3名ということで、委員総数32名の過半数の出席を満たしております。
また、本審議会は公開ということになっております。議事録につきましては、後日、中小企業庁のホームページにて公開させていただきます。
それでは、渡邊部会長に議事進行をお願いしたいと存じます。 -
渡邊部会長 このたび、伊丹先生の後任として経営支援部会長に就任させていただきました渡邊でございます。大変重責を引き受けたと思っておりますけれども、皆様の御協力によりまして、その責を全うしたいというふうに思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります前に、今年3月に行いました中小企業政策審議会経営支援部会以降の委員の方の異動につきまして、事務局から御紹介をお願いしたいと思います。 - 岸本課長 御紹介申し上げます。本日から、財団法人三重県産業支援センター理事長の石垣英一様に委員として御就任をいただいております。
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石垣委員 石垣です。よろしくお願いします。
- 渡邊部会長 それでは、開催に当たりまして、長尾経営支援部長の方から一言ごあいさつをお願いしたいと思います。
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長尾部長 長尾でございます。本日は朝早くから、お忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。
議題に入ります前に、実は今日からクールビズという形になりまして、私もこういう格好で参らせていただきましたけれども、この制度もかなり定着したのかなというふうに、拝見しても、相当の方がクールビズをやられておるようでございますが、できるだけ楽な格好でやっていただければと思っております。私も最初はこれになかなか慣れなくて、スーツ姿からネクタイと、ベルトもしていないんですけれども、両方外したら、どこかで見かけるような光景になって嫌だなという感じもあったんですけれども、慣れると非常に楽でございますので、そういうことをやらせていただければと思います。
御承知のとおり、前回の経営支援部会でも御案内申し上げたとおり、地方の活性化のために農商工連携ということをやっていかなくてはいけないということで、農商工等連携促進法を国会に出しておったところでございますけれども、お陰様で5月16日に無事に成立したということで、今後はこれを具体化に持っていかなければならない。そうすると、事業者の方々から、いろんな事業計画を出していただく前段階として、それに対するガイドラインとしての基本指針というものを定めていかなくてはいけないということになっております。
多分、法律の施行時期は、関係政省令の整備もございますので、7月に入ってこようかと思いますけれども、それまでの間に基本指針の中身を御審議いただきまして、これからパブリックコメントにかけていくということもございます。その前提として、まず専門家の皆様にその中身について十分御審議いただきたいと思います。
農商工連携につきましては、前から申し上げておりますように、これまでの取組みと違って、経産省、農水省という行政の壁を超え、それから、1次、2次、3次産業という産業構造の壁を超えて新たな取組みをやっていくということになってございますので、基本指針の中でも、そういった取組みについて、事業者の創意工夫が生かせるような中身にしていきたいと思っておりますので、よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 -
渡邊部会長 ありがとうございました。
それでは、本日の議題につきまして、事務局から説明をお願いしたいと思います。 -
本橋課長 創業連携推進課長の本橋でございます。どうぞよろしくお願いいたします。着席して説明させていただきます。
では、お手元の資料3-1「農商工連携の取組について」という資料をお開きいただきたいと思います。3枚ほどめくっていただきますと、1ページ目の?農林水産業と商業・工業等の産業間での連携(「農商工連携」)促進等による地域経済活性化のための取組についてという資料がございます。
この資料の趣旨でございますけれども、地域経済を活性化するためには、地域の基幹産業であります農林水産業と商業・工業等の産業間での連携を強化し、相乗効果を発揮していくこととなるよう、農林水産省と経済産業省が密接に連携をして、いろいろな取組みを行っていくというものでございます。
具体的な取組みといたしまして、ここで4つほど取り上げさせていただいております。1つ目が、地域経済活性化のための「農商工連携」促進等の取組みで、後ほど予算措置の内容等を紹介させていただきたいと思います。
次に、「まるごと食べようニッポンブランド!」「ニッポン・サイコー!キャンペーン」の共同実施ということで、これは国民的な運動や展開を促進していくというものでございます。
3番目といたしまして、「農商工連携」のためのPR等ということで、「農商工連携88選」につきましては、後ほど紹介させていただきます。
4番目といたしまして、法制度面等での検討ということで、これにつきましても、後ほど農商工等連携促進法につきまして説明させていただきたいと思います。
資料を1枚おめくりください。?「農商工連携」の促進を通じた地域活性化(102.6億円)というものでございます。これは、今年度の経済産業省におけます予算措置を紹介しているものでございます。この措置の実施に当たりましては、農水省と密接に連携を取って行っていくというものでございます。
具体的中身でございますけれども、地域産品の販売促進・新商品開発の支援ということで、中小企業庁地域資源活用プログラム28億円等がございます。
また、IT活用による生産性向上・販売促進ということで、地域産品のIT販売開拓支援事業等がございます。
また、地域における知的財産の保護強化、地域の人材の育成・交流、地域産品の輸出促進、企業立地による地域振興ということで、多数の施策を講じる予定でございます。
次のページをお開きいただければと思います。同じく農水省の「農商工連携」の促進を通じた地域活性化で、本年度の予算計上をされております約100億円の事業でございます。これにつきましても経産省と連携を取りつつ取組みを行っていくというふうに承知をしております。
内容につきましては、生産段階における支援、研究・事業化段階における支援、加工・販売段階における支援等々がございます。
次のページをお開きいただければと思います。ここでは、先ほど申しました「農商工連携88選」について紹介させていただきたいと思います。
この88選は、農林水産業者と商工業者等が連携しまして、それぞれの技術や特徴等を活用している先進的な取組みを選定したものでございます。今後、広く公表し、多くの事業者の方々の参考となることを期待するものでございます。
経緯等につきましては、昨年の11月30日に実施を公表いたしまして、その後、公募、審査、そして4月4日に公表させていただいています。
なお、7月3日には、農商工連携フォーラムにおいて授与式を予定しているものでございます。
内容等につきましては、下にございますように、新商品の開発、新サービスの提供、新しい生産方式や販売方式の開発等々でございます。具体的な例につきましては、次のページと、次の次のページに紹介させていただいております。
5ページ目をごらんいただければと思います。こちらは農商工等連携の事例で、ここでは4つほど紹介させていただいております。
1つ目が、農業者、製造業者、デザイン会社・大学等が連携いたしました、川越イモを活用したビールの開発です。
2つ目が、地元の銘木の間伐材を用いましたバッグ等の開発で、林業、木材製品製造業者、コンサルタント、デザイン業者が連携したものでございます。
3つ目が、地場の小麦を使った、地域ブランドになります高品質なめんを開発したものでございます。
4つ目が、規格外品を含めた地元農産品を含めた新メニューやウェディング等に活用しております観光集客事業でございます。
次のページをお開きいただければと思います。6ページ目、同じく農商工等連携事例の続きでございまして、5番目としましては、ITを活用しました酪農用自動給餌システムの開発で、これは農業者、酪農用機械製造業者、IT企業者等が連携したものでございます。
6番目は、青森県産リンゴの海外販売ということで、欧州や中国に、相手国の嗜好に合わせた出荷をしているという取組みでございます。
7番目が、建設事業者のワサビ事業への参入ということで、建設業者の農業分野への参入です。
8番目が、地元の農業を守り育てる活動を実施するということで、農業者、製造業者、流通販売業者、消費者団体等の連携した事業でございます。
2枚ほどおめくりいただければと思います。これからは農商工等連携促進法につきまして紹介させていただきたいと思います。7ページでございますが、?中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律の概要でございます。これは、地域を支える中小企業者と農林漁業者との連携により、双方の活力を取り戻し、地域経済の活性化を図るというものでございます。
新法の考え方では、業種の壁を超えまして、また、行政の壁を超えました、従来ない法律でございまして、農水省、経産省が共同で支援するものでございます。予算措置200億円以上のものにつきましては、先ほど紹介させていただいたものでございます。
その横の「2.スキーム・支援措置」でございますけれども、基本的には、基本方針を定めまして、これは主務大臣が定めるものでございます。実際に中小企業者及び農林漁業者が共同で計画を作成し、それを申請し、認定された場合には、その下にあります中小企業信用保険法等の支援措置を受けるというものでございます。
また、同じく、農商工等連携に関しまして、指導・助言等の支援を行う人たちも、農商工等連携支援事業計画というものを策定いたしまして、これが申請後、認定されれば、下にあります支援措置としまして、中小企業信用保険法の特例の対象となるというものでございます。
次のページをお開きください。これは「農商工等連携事業」の基本的要件でございます。これにつきましては、後ほど資料3-3で御紹介させていただきます基本方針の骨子の方につながっていくものでございます。そちらで具体的内容を説明させていただきますので、ここでは4つの件名だけ御紹介させていただきます。
この基本的要件の中では、実施主体、有機的連携、新商品の開発等、それから経営の改善といったことを触れる必要がございます。具体的内容は後ほど御説明させていただきます。
次のページをお開きいただければと思います。農商工等連携促進法の位置づけでございます。これは、昨年成立いたしました地域資源法、あるいは、それ以前からございました新事業活動促進法とのすみ分けを示しているものでございます。一部ダブっているところがございますけれども、今般の農商工等連携促進法では、これまでの法律では救えなかった部分、左側の下の部分、あるいは右の下の部分といったところが新たに対象となるものでございます。
次のページをお開きいただければと思います。農商工等連携促進法におきます主な支援措置でございまして、こちらは、計画が認定された後に適用になるものでございます。
中小企業信用保険法の特例といたしましては、例えば、現行では普通保険が2億円以内のものが、認定を受けた後は、普通保険で4億円以内になる。
あるいは、小規模企業者等設備導入資金助成法に関しましては、現行では貸付対象が2分の1以内が、認定後は3分の2以内になる。
それ以外にも、食品流通構造改善促進法、あるいは農業改良資金助成法等につきましては、現行では対象になっていなかったものが、新たに本法の認定を受けたものにつきましては対象になるというものでございます。
また、課税の特例といたしましては、機械等の取得におきまして、特別控除もしくは税額控除の対象となるといったものでございます。
次のページをお開きいただければと思います。こちらは、「農商工等連携支援事業」でございます。これにつきましては、中小企業者と農林漁業者の出会いの機会が少ないために、両者の連携を支援する事業の促進が重要であるということから、こうした事業を実施します公益法人及びNPO法人に対しまして、計画認定を行い、支援をするというものでございます。
農商工等連携支援事業の内容でございますけれども、対象となる事業は、中小企業者と農林漁業者との交流の機会の提供、あるいは農商工等連携事業に対します指導なり助言といったものでございます。
スキームにつきましても、基本方針に対し、NPO法人、あるいは公益法人の方から計画を作成し、申請し、それが認定されれば支援措置の対象になるといったものでございます。
次のページをお開きいただければと思います。今まで申しましたこと全体をまとめたものでございまして、農商工等連携促進法における支援の流れでございます。大まかに、事業者への支援と支援機関への支援の2つに分かれております。
事業者への支援につきましては、連携して新事業展開に取り組む中小企業者と農林漁業者が事業計画を策定いたしまして、農政局・経産局が共同で認定するというものでございます。
なお、事業計画の策定、あるいは認定後の試作品開発から需要開拓につながる段階まで、さまざまな段階におきまして、地域力連携拠点なり、食料産業クラスター協議会なり、あるいはハンズオン支援事務局なりが手広く、かつ密接に支援を行っていくというスキームでございます。
また、認定後につきましては、先ほど御紹介させていただきました無利子資金、債務保証、低利融資、設備投資減税、あるいはさまざまな予算措置といったもので手広く支援をさせていただくというものでございます。
また、支援機関の方につきましても、指導・助言等を行うNPO、公益法人が計画を作成し、それが認定された後には信用保証の対象となりまして、彼らに農商工連携支援を進めていただくというものでございます。
資料3-1につきましては、以上でございます。 -
渡邊部会長 ありがとうございました。
今までの事務局からの説明につきまして、御意見、御質問があれば、御自由に発言をお願いしたいと思います。どうぞ。 - 鹿住委員 鹿住でございます。済みません。今日は早目に失礼させていただきますので、先に質問させていただきます。こちらの農商工連携の主体となる事業者の中の中小企業者の中に、中小企業の事業協同組合は含まれるのでしょうか。例えば、揖保の糸というそうめんがありますけれども、あれは1社でつくっているのではなくて、協同組合さんで共同販売をされている、統一ブランドで販売されているかと思うんですが、ああいった商品を組合さんで新たに開発をされるといったときに、農業者さんと連携をするといった例もあるかと思うんですけれども、その場合、主体となり得るのかどうか教えていただけますでしょうか。
- 渡邊部会長 お願いします。
- 長尾部長 含まれる方向で進めさせていただきたいと思います。
- 渡邊部会長 どうぞ。
- 米村委員 実際の指導に携わる人の年齢の問題なんです。地域資源のとき、マネージャーとか、そういう人たちが65歳になると定年になってやめなければならないということを聞いたことがあるんです。特に農商工連携ですと、相手が、農業の方はお年寄りですので、むしろ年配の人の方が具合がいいわけです。したがって、定年みたいなものがあるのかどうかなんですが、できるだけそういうことがないように、高齢者個人の問題ですから、きちんと活用していっていただくようなスキームにしていただきたいと思います。
- 渡邊部会長 その辺、事務局の方で御意見がありますか。
- 長尾部長 定年というのは、どこの組織のどこの定年のことを御指摘されているんでしょうか。
- 米村委員 昨年、地方へ行ったときに、基盤機構のマネージャーになるときに定年があるという話を聞いたことがあります。せっかくやってきたのに、65になるとおりなければならないと、そういうことがありました。
- 鈴木(孝)委員(村田代理) 中小企業基盤整備機構の理事長の鈴木の代理で参っております。私ども機構では、全体として外部の専門家の方々を委嘱して、いろいろとハンズオンの支援をやっております。その外部の専門家の方々をお願いするときに、一応のルールとして、年齢的に65歳ということを定めております。ただ、これにつきましては、原則は原則でございますので、事例によりましては、今後、弾力的にやる余地があるかどうか、これはまた改めて検討してまいりたいと思っております。
- 渡邊部会長 山田さん。
- 山田委員 農産品の製品化ということで、売り方にかなり苦労されるんではないだろうか。例えば、徳島の上勝町でいろどりという会社を経営されている横石さんは、元農協で葉っぱビジネスを立ち上げるのにかなり大変な苦労をして、料亭通いをしたり、日本料理屋にうまくつなぎをつけられたというところから、80、90になるおばあちゃんが何百万という所得を得られるようなビジネスを展開されたというんですけれども、そういうようなつなぎ役ということで言うと、今までの新連携のサブマネージャー等のノウハウとは全く違うものですから、どういう方がハンズオン支援の方に入られるのか、その辺はどんなイメージでいらっしゃるでしょうか。
- 渡邊部会長 事務局の方から何かありますか。
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長尾部長 お答えします。これまで地域支援の世界で、機構中心に、いわゆるハンズオン事務局というのを整備してきたわけでございますけれども、先生おっしゃるとおり、農商工、より現場に密接したところでマーケティングをやっていくというのは非常に難しい問題になります。そこで、我々としては、2層構造でこれを考えなければいけないと思っておりまして、まずは現場に近いところで、そういったような販売ニーズ、こういった商品があって、これはどうやったら売れるだろうと、一次的なマーケティングのアイデアというものをきっちり提示できる人間が必要になる。
そういった観点から、後でまた説明があると思いますけれども、全国に300か所以上の地域連携拠点に800人以上のコーディネーターを配置をするということで、このコーディネーターの方々は、そういった地元のニーズと全国的なニーズというものを密接に、まずファーストコンタクトのところで整理をする。第2段階としては、そこで整理されたものを、機構のハンズオン事務局を活用していく、こうした行政資源を最大限、活用しながら、さらに、全国的、もしくはJETROも使って海外への展開をも図っていくという重層構造でマーケティングをやっていくということを考えている次第でございます。 - 渡邊部会長 では、西川さん。
- 西川委員 簡単に言えば、農商工連携という言葉で、東京の者が感じるのは、関係ないなというイメージなんです。つまり、「農」という字があるだけで、そういう浅い理解をしてしまいがちなんですが、実は、中国のギョーザの事件があったり、野菜の農薬の問題があったりすれば、安全な国産の農産品を、例えば、食で言えば、学校給食であるとか、結構都会は直結してもうやっているんです。私どもの区は、福島とか青森とか群馬と組んで、いろんなものをやっているわけです。ダムの貯水池ばかりの手入れではなくて、その水が末端の消費地まで十全にいくという完結型のマーケティングをしないと、農水の100億円を見ても、地産地消とかいって自分のところだけでやるというんでは、大してこういうものは効果がない。やはり一大消費地にこういうものが流れていくような仕組みを中小企業庁は支援すべきであって、高齢者に対して、どういう商店街対策ができるのかとか、そんなことを手厚くしていくことが、この政策を成功させるかぎだというふうに思うんです。その辺はよくわかっておられるんだろうと思うけれども、念のため一言申し上げます。
- 渡邊部会長 貴重な御意見です。
- 長尾部長 ありがとうございます。先生御指摘のとおり、単に地産地消だけにとどまらずに、いいものをたくさん買っていただけるマーケットというのはやはり東京にあるわけでございますが、東京におられる方が、地場のそういったものがあるということをまずどうやって認識するのか。また、地場のものをどうやって集めて、どうやって消費をしていくのかという中で、多分、高齢者を中心に、一番身近に存在する商店街というものをどう活用するのかが非常に重要なポイントになってまいります。特に商店街の中では、空き店舗等、いろんな問題が起こっているわけでございますけれども、そういったところをどう活用して、地方のものをうまく活用して、第1段階としてアンテナショップで売るみたいな話もあるかと思いますけれども、一方ではそこで、地方のものを、小分けしたものを全部集めて、一括して高齢者の方々に配送するというような、そういったファンクションも入っていく。そういった中で、高齢者の方々に地方のいいものの情報が入って、いいものがちゃんとできる、そういったような体制を商店街を中心に組んでいきたいというふうに思っています。
- 渡邊部会長 安井さん。
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安井委員 安井でございます。先ほどの西川さんや山田さんの話にも関連するんですが、まとめの12ページでございますが、農商工等連携促進法における支援の流れという形で、農政局と経産局の認定というところで、最近、ネット社会で、あるいは団塊の世代が脱サラをしたり、あるいは辞めたりして活躍する、こういった年齢の方もネットの社会に随分かかわりを持ってきている。特に若い人たちは、ネットの活用というのは大変進んできているわけでありますが、国の食料の問題と、市民の食料の安全という意味から、生産者と消費者の情報のやりとりというのが非常に重要になってくるわけです。その中で、情報化というものをどう進めていくかということが1つのキーになるんではないか。
今、中小企業の中でもITを活用したさまざまな形があるんですが、特に流通のプロセスをカットする、商業でもそうですが、物の流れをカットして消費者に直接という、ネット社会におけるさまざまな変化というのが起きてきているわけで、農業については特にそういった流通を、こういう新しい連携の中で、直接消費者と生産者が結びつくという形の中で、情報化というものが大変重要なキーになってくる。農政局の認定の中で、例えば、JAが入るとか、さまざまな形で、既存のシステムの中で認定する中でもいろいろブレーキがかかるような形にならないか。この辺は、キーワードとして、情報化、いわゆるIT化というものをベースにしたビジネスモデルや、新しい支援の仕方というものを積極的に支援するような形で活用をお願いしたいと、こういうふうに思います。
以上です。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
上野さん、どうぞ。 -
上野委員 1ページ目の農林水産業と商業・工業等の産業間での連携の具体的な取組みの中で大変重要なことが書いてあると思っています。1番の後半のところにありますが、地域産業におけるイノベーションの推進というところと、農業関連施策と中小企業庁関連施策の連携推進というところです。
今まで私どもは、中小企業政策については大変多くの提案をしまして、採択を受けたり、あるいは何回も失敗しているわけです。しかし、中小企業政策というのは、基本的には、新しいことをやる、あるいは提案をして、その多くの中から採択を受けるということで支援策ができていると思うわけです。ところが、農林業や漁業の支援策というのは、私の認識では、私どもも日常生活の中で大変お世話になっている、国にとっては大事な産業ですので、底上げ的な要素が非常に強いと思っているわけです。
そこと同じように、中小企業政策が国民の間やメディアの間でよく言われる言葉があります。それは、要するに、国に頼っているという言い方をされます。私ども、中小企業政策にチャレンジするときに、国に頼っているという意識は全然ありません。中小企業というのは、はっきりしているのは、内部の経営資源が決定的に不足しているということであります。人、物、金、情報、ネットワークが足らないということです。そこで国の支援策にアプローチする外部経営支援の活用であります。
そして、厳しい提案件数の中から、実現可能性の高いものから採択されるということでありますので、そういう面と、従来の国として底上げしていかなければいけないというところの政策を、具体的な現場で、どのような出会いをし、お互いに理解をするか、そういうところが非常に重要だと思っているのですが、具体的にはどのように推進するか。そのときに、どういう方々が非常に重要な役割を担って両者を引き合わせていくかということが、この政策の中で一番大事ではないかと思っています。その辺のところを是非、条文を精査して、この政策を推進していくことを、私どもも一緒になって協力していきたいと考えております。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
では、坂戸さん。 - 坂戸委員 要望でございますが、御説明いただいた資料の9ページに位置づけというのが書かれております。私は現場の中小企業者の1人として、この農商工連携のお話を聞いたときに、地域資源法、あるいは新連携とどこが違うんだろう、我々は今後、どれを使うことが有効なんだろうかということで大変戸惑ったことがございます。ですから、是非とも支援機関や何かに、この法律の特徴といいましょうか、どれにチャレンジするかというようなことの区分けといいましょうか、そういうものをはっきり整理していただければ、利用する側としては非常に明白になって助かるというように思いますので、是非お願いをいたしたい。
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渡邊部会長 ありがとうございます。
では、松島さん。 - 松島委員 法律の新法の考え方のところを見てみますと、業種の壁を超えた連携というところが大変強調されていると思うんです。農商工連携ですから、農業と商業、あるいは農業と工業という業種の壁を超えた連携がこの法律によって促進されるということは、まさにポイントだと思うんですが、同時にこれは地域の壁を超えるということを意味していると思うんです。先ほど西川委員からもお話がありましたように、例えば、商店街がどこかの産地と提携して何か商品を持ってくるとすれば、地域の壁を超えなくてはいけない。あるところで農産物を原料にした製品をつくるとするならば、それも往々にして地域の壁を超えることがある。この連携を指導するためには、違う地域をまたぐ協力を推進するようなアドバイスが必要になるわけです。恐らく、これが一番、これまで行政がやってきにくかったこと、あるいは地方公共団体にゆだね切れないところ、あるいは地域の、経産局とか農政局というのが出ていますけれども、そういうところで収まり切れないもの、こういうものがあると思うんです。是非そういうことを念頭に置いたアドバイスをする体制をお考えをいただきたい、こういうふうに思います。
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渡邊部会長 ありがとうございます。
では、木村さん。 -
木村委員 先ほど情報が非常に大事というふうにおっしゃっておられましたが、私も大変賛成です。情報の場合、システムとツールがありますが例えばツールであれば、農業従事者の方高齢化していらっしゃるということで、ユーザーインターフェイスが易しい、利用者が広がるようなインターフェイスの開発が重要になってくるのではないかと思います。特に日本は携帯電話の開発が得意ですから、農業の現場で、雨に濡れても大丈夫で、高齢であっても非常に使いやすいようなものを開発するということが可能になれば、トレーサビリティーの問題も含めて、すばらしい成果が期待できるのではないかと思います。もし、こういうものが開発されれば、国内のみならず、アジアのマーケットも含めたグローバルスタンダードとしてマーケットを広げていくことも不可能ではないでしょう。
先般、海外に視察に行きましたときに、ある大手小売業が、3D化された音声認識によるショッピングシステムの開発を行っておりました。具体的には、たとえば、両面にバナナとかが出てくるのですが、瞬時にトレーサビリティーが出てきて、さらにどういう栄養素があって、レシピはこうでと情報が出てきます。既にシステム開発が済んでいるような状況で、こういうシステムが導入されるのも遠くない将来かと思います。
以上です。 - 渡邊部会長 それでは、石垣委員に発言いただきまして、総括的に事務局の方から、各委員のコメント、あるいは御回答をお願いしたい。それでは、石垣さん、お願いします。
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石垣委員 初めて発言をさせていただきます。少し私のことをお話しさせていただきますが、実は私は昨年まで三重県の農水商工部長をしておりました。約4年間やっていました。初めの2年間は農林水産商工部長をやっていました。多分、そういうことで今日呼ばれたんだろうなと思っております。
私どもの前知事が、これからは、1次、2次、3次産業と縦割りで食っていく時代ではない。済みません、私は関西弁でまくしたてますので、その辺、よろしくお願いします。基本的に、1次産業、農業、林業、水産業は厳しいです。これを支えるには、1次、2次、3次産業が横ぐしで連携を取っていくことが大事だということで、10年前から三重県はやってきております。要するに、1×2×3なんです。この根底は、1次は付加価値を上げるためには2次産業と連携しましょう、マーケットからのニーズを受けて、3次産業の情報を持って、消費者ニーズに合ったものをつくっていきましょうという発想の中で、私どもは6次産業化というのを進めてきました。
これから本題をお話ししますが、私ども三重県は相当元気だと言われていますが、南部の半島地域は大変格差があります。はっきり言って、今、限界集落というのがどんどん出てきているわけです。ここの格差対策も含めて、地域にある資源、地域の特性を生かして、それを付加価値を上げていくことが必要です。そういう面でいくと、この農商工連携というのは、各地方にとっては大いに評価していい取り組みだと思っています。今回のこの農商工等連携促進法、あるいは私どもは地域力連携拠点に指定されましたけれども、専門的なアドバイザーを置いて支えていくということになります。
今まで、三重県も、地域おこし、むらおこし、まちおこし、いっぱいやってきたんです。なぜうまくいかなかったか。情報もなかった、つくっても売れる道がなかった、ビジネスにつなげていくことが大変弱かったんです。そういう面を私どもはこれから、こういう国の制度、あるいは関係機関と連携をしながら支えていこうという思いで取り組んでいきたいと思っています。これは各県とも、地方はみんな同じことを考えているんではないかと私は思っています。
自分のふるさとの山や農地が荒廃していくことは残念です。三重県では毎年約100ヘクタールの農地が耕作放棄地になっています。そういう状況の中で、私どもは6次産業化であり、農商工連携であり、使えるものはすべて使って、地域に新しい息を吹き込んで新しいものをつくっていきたいと思っています。
そこで、最後ですが、多分、47都道府県で、農業、林業、水産、商工、観光部長をやったのは私だけだと思いますが、どちらかと言いますとハードは農水省、ソフトは経済産業省が強いように思います。あえて言いますならば、農水省については、農地の開放、市場開放、あるいは農協というものに対して、大変大きな壁があります。これについて、経産省さんと農水省さんはどういうふうに調整していただくのかなという思いはあります。
以上です。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
それでは、今までの各先生の意見について、事務局の方から何かありますか。 -
岸本課長 支援体制でありますとか、ネットワークについては、この法案の立案過程でかなり重視した部分でございます。委員からご指摘のありました点を今年度の事業展開においてどう組み込んでいくか、考えているところでございます。本日、複数の委員の方々から、心して進めるようにという御指摘があったということを踏まえて対応してまいりたいと思います。
また、首都圏の商業が重要だということですけれども、とりわけ東京の中小企業について、中小機構のネットワークも活用して対応していきたいと考えております。
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渡邊部会長 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、「企業立地促進法の改正」につきまして説明をお願いしたいと思います。 -
横田課長 お手元の資料3-2をごらんいただきたいんですけれども、実は、今回の農商工連携の促進ですけれども、先ほど御説明しました新法と、この企業立地促進法の改正法と2つ併せて、農商工連携2法ということで検討を進めてまいりまして、法案の審議も一緒に進めてきているという状況でございます。
例えば、先ほどの新法での支援が実って、新たな事業所設立に至るとかいった場合には、この企業立地促進法の方で支援をしていくとか、あるいは、トマトを生産している農家が、系統で流していくためには一定のサイズ、規格がありますので、規格外のものがロスになっているという面があります。そういったときに、例えば、トマトジュースの工場とか、トマトケチャップの工場とかいったものがあれば、非常にプリミティブな意味での農商工連携ということで、1次産業の活性化につながるんではないかということで、この企業立地促進法の改正を行ったということであります。
1ページをおめくりいただければと思いますけれども、企業立地促進法自体は、昨年制定された法律でありまして、左上の1のところにありますように、従来型の企業立地支援の国の施策といいますのは、テクノポリスとか、頭脳立地とか、どちらかといいますと国の方で立地を進めるべき産業集積を指定をして、それに同意をいただく地域の方で手を挙げていただいて支援をするということでやってきたわけですけれども、こういう時代になりますと、地域の事情は一様ではないということで、昨年つくりました企業立地促進法については、地域がその地域の強みを生かして企業立地を進めていくということで、特段業種の限定もなく、何でも自由に、基本計画、企業立地マニフェストというふうに通称していますけれども、つくっていただくことに対して支援をするという仕組みになっています。
1枚おめくりいただいて2ページ目をごらんいただきますと、3月末までに既に42道府県で108の基本計画が策定をされています。この中で★がついている計画がございますけれども、これは既にこれまでつくられました基本計画の中で農林水産関連業種を盛り込んだ例となっております。そういった意味では、これまでも1次産業関連業種について、企業立地促進法で支援してきたということなんですけれども、実際、支援措置の中身を見ると、業種によって手厚いところと薄いところがございました。
2枚めくっていただきまして、4ページ目をごらんいただければと思いますけれども、例えば、租税特別措置、企業立地促進税制というのを昨年つくったわけであります。これは、財務省と議論する中で、なぜ地域における企業立地に国税がつき合わなければいけないのかという議論になった際に、国の方で支援をしないと海外に逃げてしまうかもしれない業種ということで、比較的規模の大きな、海外生産比率7%以上の66業種に限定をされてしまいました。
投資額も、機械3億円、建物5億円ということで、比較的大きなものしか対象になっていなかったものですから、例えば、北海道とか鹿児島とかいう地域に行きますと、立地の半分ぐらいが食品加工業だったりするものですから、税制の優遇措置が食品加工業が対象になっていないことについては非常に残念だという声がございました。
今回は、企業立地促進法の中でも、特に農商工連携を促進しようという観点で、これまでの66事業種に加えまして、農林水産関連業種を40業種程度追加をするということと、それから、投資規模も、3億、5億と非常に大きな規模なものですから、投資規模要件を10分の1ぐらいに引き下げようといったような支援措置を講じています。
それから、もう一枚おめくりいただきまして、5ページ目ですけれども、地方交付税の措置につきましても、例えば、企業立地を進めるために、各地域の方で固定資産税とか不動産取得税を減免していただくというときに、この企業立地促進法の中では、減免して失われた固定資産税収について、4分の3、交付税の方で埋め戻しをしてやるという減収補てん措置というのがございました。これは実は平成10年の閣議決定で、減収補てん措置はもうやらないということになっていたわけですけれども、地域活性化のために立地が非常に重要だということで、昨年創設された制度であります。これも製造業は5億円、それ以外は3億円と比較的大きな投資しか対象になっていなかったものですから、今回、農林水産関連業種については、この投資要件の規模を5,000万ということで、10分の1の水準に引き下げることと、それから、製造業とその他についてもかなりハードルが高かったものですから、それを2億円まで引き下げるという措置を講じております。
6ページ目をごらんいただければと思いますけれども、比較的規模の小さな農林水産関連業種の立地を支援しようということで、中小公庫の特利制度というものを創設をしています。3月現在、この特利制度を活用しますと1.1%ということになっておりまして、実は、先ほど申し上げた投資減税とか、あるいは交付税の措置を受けるためには、基本計画を策定した上で、企業が立地計画をつくって、そこで設備投資の内容を書いて都道府県の承認を受けるという仕組みが必要で、約70件、既に承認が出てきているわけです。
一方で、立地ではないけれども、製品の高度化を図るとか、新商品開発をするという高度化計画ということについても承認を受けるという仕組みがあったわけです。この高度化計画に対する支援というのが余り手厚くなかったものですから、これまで実績がなかったわけですけれども、この特利融資制度が立地計画と高度化計画と両方が対象になるということで、高度化計画についても活用したいというニーズが非常に上がってきておりまして、つい先日、第1号目の高度化計画の認定も行われました。特利制度も活用しながら、立地なり、事業の高度化ということを後押ししていきたいというふうに考えております。
その下にあります2番目、3番目の小規模設備導入資金助成法の特例とか、あるいは食流機構の特例につきましては、先ほどの農商工連携新法と並びの支援措置ということになっております。
最後に7ページ目をごらんいただければと思いますけれども、予算措置の方でも、先ほど御説明した経済産業省の103億の農商工連携予算のうち18億が企業立地の支援となっておりまして、具体的には?の人材の支援と、?の設備の支援ということで、それぞれ11億、7億という予算が用意をされております。そういった意味で、特に人材の方は、いろんなメニューがありますけれども、主要なメニューとしては、各地域の方で特定の企業を誘致するための人材育成について、100%定額補助するという中身になっておりまして、こういう補助率というのは今時珍しいわけですけれども、こういったものも活用しながら、地域における農林水産関連業種の立地を促進して、農商工連携を進めていきたいと、こんなふうな中身になっております。
以上でございます。 -
渡邊部会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの説明について、御意見、御質問があれば、御発言をお願いしたいと思います。よろしいですか。
それでは、引き続きまして、「農商工等連携事業の促進に関する基本方針の骨子(案)」についての説明をお願いしたいと思います。 -
本橋課長 それでは、資料3-3「農商工等連携事業の促進に関する基本方針の骨子(案)」について説明させていただきたいと思います。
1ページ目をお開きください。基本方針の位置づけでございます。これは先ほど御説明した内容と若干ダブりますけれども、農商工等連携促進法は、5月23日に公布いたしました。
この中におきましては、主務大臣が農商工等連携事業の促進に関する基本方針というものを定めることになっております。その内容は赤字で書かれている部分でございます。
(1)としまして、農商工等連携事業の促進の意義及び基本的な方向に関する事項。
(2)としまして、農商工等連携事業に関する事項としまして、その内容、中小企業の経営の向上及び農林漁業経営の改善を図るための方策に関する事項及び配慮事項でございます。
また、(3)としまして、支援事業の方でございますが、これの内容及び配慮事項でございます。
なお、3つ目の○でございますが、この基本方針を定めるに当たりまして、主務大臣は審議会の意見を聞くことになっております。経産大臣におきましては、中小企業政策審議会の御意見を聞かせていただくことになってございます。
それでは、資料を1ページおめくりください。参考としまして、法令の構造でございます。簡単に紹介させていただきます。法律の中では、農商工連携事業及び農商工等連携支援事業、それぞれ第2条第4項、第2条第5項に内容が書かれてございます。
これを受けまして、具体的な在り方につきましては、その基本方針の中で規定することになります。この基本方針を基にしまして、それぞれの農商工等連携事業、あるいは農商工等支援事業の計画を認定するという形になります。
なお、基本方針よりも更にブレークダウンしました詳細な基準、手続等につきましては、その規定であります実施要領というものを別途作成する予定でございます。
次のページをおめくりください。参考2としまして、法律のスキームでございます。こちらは先ほどの説明にダブりますので、一言だけ申し述べますと、この基本方針に基づきまして計画を認定し、その計画を認定された場合には、各種の支援措置を受けられるというものでございます。
次のページをお開きください。参考3でございます。今後のスケジュールでございますが、5月に法律が成立、公布いたしまして、6月2日、本日、ここで第1回経営支援部会を開かせていただいております。その後、パブリックコメントの実施、7月に施行、第2回の経営支援部会、更に基本方針の告示を予定しているところでございます。
次のページをお開きください。基本方針の骨子(案)でございます。まず、第1に、農商工等連携事業の促進の意義及び基本的な方向に関する事項でございます。
まず、促進の意義でございますけれども、最初の○でございますが、我が国の農林水産業は、現状では必ずしも国内外の消費者のニーズに対応した事業展開が十分に図られていないという認識がございます。
これに対しまして、2つ目の○でございますけれども、中小企業者と農林漁業者とが連携することによりまして、中小企業者におきましては、経営資源に対する適切な評価がなされ、競争力のある事業展開が促進される。また、農林漁業におきましては、先進的な取組みが広く普及し、新しい担い手を生み出す起爆剤となることが期待されるというものでございます。
次に、農商工等連携事業の促進に当たっての基本的な方向でございます。先ほどブレークダウンいたしました問題点でございますが、中小企業者、農林漁業者は、それぞれ資金調達が困難である。それから、通常の事業範囲の中では出会いの場が少ないという状況でございます。
こうした状況の中では、債務の保証、資金助成、あるいは出会った後の支援としましてのノウハウ面での支援といったものを講ずることによりまして、当該事業活動を促進することになるというふうに考えております。
また、支援事業の促進の意義及び基本的な方向でございますが、こちらにつきましても、やはり両者の出会う機会が少ないということと、88選のような例はございますけれども、そうした例は一部の事業者にとどまっているというものでございます。
こうしたことから、中小企業者と農林漁業者の連携を強めることによりまして、両者の自発的な取組みを促すのみならず、両者の連携の形成の支援や、連携の高度化を支援する事業を促進するというものでございます。
次のページをおめくりください。農商工等連携事業に関する事項で、農商工等連携事業者の内容に関する事項でございます。
まず最初に、有機的に連携ということで、中小企業者と農林漁業者が有機的に連携し、それぞれの経営資源を有効に活用するというものでございます。まず、ここで言う中小企業者は、加工販売事業等を行う者に限定されております。
また、有機的に連携としましては、両者が一体となって事業に参画する。
それから、経営資源の有効な活用としましては、両者の有します資源、設備、あるいはノウハウ等を具体的かつ有効に活用するというものでございます。
なお、大企業が参加した場合におきましても、中小企業者及び農林漁業者は支援対象になるというものでございます。
また、新商品の開発におきましては、新商品もしくは新サービスでございますけれども、これは事業実施主体にとって新しいものであることが必要というものでございます。
また、計画期間でございますけれども、計画実施期間は原則として5年以内ということで考えております。
次のページをお開きください。7ページでございます。農商工等連携事業の実施により中小企業の経営の向上及び農林漁業経営の改善を図るための方策に関する事項でございます。最初の部分に書かれておりますのは、この両者を同時に実現することが必要であるというものでございます。
更に、経営の向上・改善でございますけれども、現時点では、当該事業者の付加価値が5年で5%以上向上するということを考えているものでございます。
なお、付加価値とは、現時点では、営業利益に人件費、減価償却費を足したものを想定してございます。
また、新製品の売上げにつきましても、5年間で5%以上の増加、あるいはグループによる申請につきましては、グループ全体としての指標、あるいは個々の指標、いずれも可能ということを考えてございます。
3の農商工等連携事業の促進に当たって配慮すべき事項でございますけれども、国は環境整備に努めるということで、?といたしまして、計画段階から実施段階まで一貫して、助言等の支援を行うための支援事務局、地域力連携拠点、あるいは食料産業クラスター協議会を整備する。
それから、きちんとした評価を行うための評価体制の構築。
更に、都道府県、中小企業基盤整備機構等、関係機関との連携及び幅広い情報提供に努めるというものでございます。
次の8ページ目をお開きください。こちらは支援事業に関する事項でございます。まず1としまして、支援事業の内容に関する事項でございますが、実施主体は一般の社団法人、財団法人及び非営利活動法人でございます。これにつきましては、社員総会における議決権の2分の1以上は中小企業が有しているということ及び関係する機関とのしっかりしたネットワークを持っているといったことが必要でございます。
次に、農商工等連携支援事業の内容でございますが、交流の機会の提供、あるいは指導・助言等でございますけれども、その具体例としましては、下にございますように、交流会や商談会の開催、フォーラムの開催、ビジネスマッチング事業、あるいは経営指導や経営技術指導、更に人材の育成といったものでございます。
また、件数としましては、5件以上の連携事業の形成もしくは指導・助言ということで、期間につきましても、事業の方と同じように5年以内というものでございます。
更に、配慮事項といたしましても、国は環境整備等に努めるということで、評価体制の構築、あるいは関係する機関との連携によりまして、農商工等連携支援事業を支援するように努めるといったものでございます。
以上でございます。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
ただいまの事務局からの説明につきまして、委員の皆様方から御発言をお願いしたいと思います。坂戸さん、その次に西川さん、お願いします。 - 坂戸委員 今、御説明いただいた資料7ページの経営の向上・改善というところで、当該事業者の付加価値額が5年で5%以上向上することと明記をされておりますが、まず最初にちょっとだけ質問させていただきたいのは、農商工連携の事業に対して5%なのか、事業者が行っているすべての事業に関して5%なのか、教えていただきたいんです。
- 渡邊部会長 事務局の方からお願いします。
- 本橋課長 事業者が行っているすべての事業に関してとなります。
- 坂戸委員 今、中小企業は、原材料や何かが急騰していまして、付加価値が非常に下がっておりますので、それを補って5%全体を上げろというと大変なものでありますから、是非弾力的な運用をお願いできればと思います。
- 渡邊部会長 それでは、西川委員、お願いします。
- 西川委員 この法律というか、基本方針は、全体では農商工連携とうたいながら、ある部分では中小企業者と農林漁業者を明確に分けているんです。そうすると、さっき上野委員がおっしゃったことが非常に重要になる。つまり、我が国は伝統的に農林漁業経営に対しては手厚い国の補助があって、そこに今度、農商工連携で追加の支援が及ぶということになれば、中小企業の方からも、つまり、農林漁業経営だってサイズの面で切り口を取ってみれば、零細もあれば、中小もあれば、大きな連携もあるわけでしょう。そういうような偏りがないように気をつけてほしいということをさっきも申し上げたんで、是非この基本方針の骨子(案)、大勢においては賛成をいたしますけれども、配慮をしてほしい。特に中小企業者の経営という点に特段の配慮を経済産業省としてはしてほしいという要望を申し上げておきたい。
- 渡邊部会長 よろしいですか。石垣委員、お願いします。
-
石垣委員 私は農業も林業も水産業も商工業もやってきました。1次産業と2次・3次産業とでは経営基盤が基本的に違うんです。何を言いたいかというと、7ページの方向というのは、私もおおむね問題ないと思っているんですが、中小企業の経営の向上・改善、経営革新も、知事が認定する形も今までもこういう形で進めてきており、中小企業の方々は付加価値額はきちんと出すことはできます。今、日本の中小企業のほとんどは、付加価値額はこういう形で出せると思います。経営革新についても、今後どういう計画を持っているかは出ると思います。
「かつ」の後なんですが、農林漁業者の農林漁業経営の改善ということについて、基本的に農業者の方々が、例えば、営農法人というのは圧倒的に法人化、組織化が遅れているわけです。そういう中で、農業経営の方々が中小企業と同じように5年で5%、こういう付加価値税額を出してくるだけの経営基盤があるかどうか懸念があります。そこで、期するところ、農業の方すべて、水産の方のすべてでは私はないと思っています。基本的に根底にはチャレンジ、やる気のある方々がこれに乗ってくるんだと思います。一般農業の方すべてがこれに対応できるかとなってくると、この経営の向上・改善、付加価値額という形で出したときには、多分、ほとんどの方は落ちていくというふうに私は思っています。 - 渡邊部会長 どうぞ。
- 米村委員 素朴な疑問なんですが、基本方針そのものが非常にサプライサイドに偏っているような印象があるんです。先ほど来、出された議論は、もっとマーケティングのことをしっかりやりなさいよという意見が出されましたし、生産者とマーケティングの連携、情報化を含めた、ITを使う、そういう面も大事ですよというような意見が多々出されたように思うんです。全体を通して、非常にサプライサイドの連携というんでしょうか、サプライサイド間での連携で話がクローズされているような印象を受けるんです。
-
渡邊部会長 ありがとうございます。
伊藤委員。 - 伊藤委員 今、中小企業はどこも、お話になった原材料の問題などで厳しいところにおかれていまして、長年営んできた商売をずっと継続できるかどうかという局面に立たされている企業も多い中で、今回の連携を通じて、新しいビジネスとか発想が生まれれば一番いいかなと思う一方で、例えば、食の安全とかの自給率の問題が最近よく取り上げられています。私も母親として、子どもに安全な食べ物を食べさせたい。多分、いろんな地域でそういうのがつくられているんでしょうけれども、圧倒的に今、情報が限られてしまっているのも1つでして、心配なので、子どもをこれ以上増やせないとか、産まないという女性も増えてきているんです。ちょっと広がっていきますけれども、今回の連携を通じて、安全で安心で、心配のない、少子化問題もこういったことで少しは改善できるような、総体的に見てみても、国が発展し、国民が喜びをもっともっと分かち合えるようなことにつながっていけばなと希望を申し上げました。申し訳ございません。生意気なことを言いました。ありがとうございました。
-
渡邊部会長 ありがとうございました。
河野さん。 -
河野委員 さっきのところと関係するかもしれませんけれども、まず、今回のこの施策そのものが、継続性がある、結果としてつながるかどうか。ここでは5年とか書いてあるんですけれども、要は、毎回それなりの政策というのはやられているんですが、それが継続して、中小、あるいは今回、法律でやろうとしていることの発展性にどうつながっていくのかというところが一番気になるところなんです。
私は農業の関係のことは理解が十分できていないものですから、中小企業政策のところに関係して要望、意見を述べさせていただきたいと思います。今、先ほどからお話ありましたように、1つは、中小企業は非常に厳しい環境にあります。農業もそうです。例えば、灯油の値上がりでいろんなことができなくなるとか、あるいは原材料の値上げが、今まで論議してきた以上の問題がたくさん起こっているものですから、これは今日のこの会議とは別の施策をやってもらわなくてはいけないような環境になっていると思います。
それは横に置きまして、私が言いたかったのは、地域でいろんな施策をやられているんですけれども、中小企業の経営にとっては、人材不足であったり、あるいは新しいものをやろうとしても、要するに人が集まらない。つまり、いろんな支援というのはあるんですけれども、それが将来的な発展につながっていくというのはなかなか難しい部分があります。
私は今、連合の副会長という立場で出ておりますけれども、私はJAMという中小企業の組合で、6割以上が100人未満のところがメインになります。実際、中小企業政策が強化していっているというのは、先ほどどなたかがおっしゃったんですけれども、中小企業経営者の姿勢というのが非常に大きいんです。それと勿論、働く側の人材も必要なんです。
つまり、やろうとしている政策と、もう一つは発展をしていくためには当然、大学などの誘致とセットでなければ、好循環サイクルにならないんです。つまり、技術者とか、そういう人を確保しようとしても、地方にはなかなか来てくれないんです。この地図の中にも載っておりましたけれども、岩手県の北上とか、そういうところについては、まず企業誘致をして、大学も誘致をして、人材育成して、地元の大学に就職してもらうということで、人材育成の好循環サイクルというのをある程度やって、成功例というのはあります。しかし、それをやろうとしているのは、単に中小企業庁だけではなくて、地元の商工会議所の皆さんや、中小企業の経営者の皆さんが、将来、その地域の中小企業を発展させるための位置づけとして、そういうような施策が現在やられているというのを、私も現地から聞いて知っているんです。
だから、そういう意味で、今回のこの内容も、5年というある程度のあれを見なくてはいけないんでしょうけれども、ある程度、中長期的にやっていけるような施策の後押しみたいなことが、これから、この法案ができて、この審議ができただけではなくて、そのことが当初の目的どおり、どのようになったのかということを是非点検していただくのと、先ほどちょっと大学の話をしましたけれども、つまり、中小企業政策は、経済産業省、あるいはTLOとか、1級技能士の活用とか、高度化法というのをやっている、これも経産省と厚生労働省の関係もあるんですけれども、大学誘致しろと言ったら文科省の関係になる。つまり、何かやろうとした場合に、それぞれの省庁の壁というのがたくさんあるんです。
そういう意味では、これは要望になりますけれども、今回の農商工等連携事業を推進するということに別に反対するわけではありませんけれども、つまり、中小企業政策については、公益法人とか、いろいろ細かく分断してやるんではなくて、大まかな意味で、横断的な政策が可能となるようなことは考えられないものかなと思っております。今すぐ回答いただくあれではありませんけれども、毎回別のところへ行って中小企業政策の話をさせていただいているんですが、すぐできないかもしれませんが、そういったことも今後、省庁の壁を超えて検討していっていただきたいと、そのように思っております。
要望、意見となりましたけれども、以上、発言させていただきました。 -
渡邊部会長 ありがとうございました。
山田さん、お願いします。 - 山田委員 3年前に新連携、2年前にものづくり高度化法ということで、国際競争力なりイノベーションなり、そういう方向に向かっていたのが、昨年から地域資源法、そして今回、農商工連携ということで、いわば国内の供給・需要の循環を促して、再度需要を固めようという方向に向かっているんだろうと思うんです。それは日本経済を打開する1つの手口だと思うんですけれども、問題は、昨年の地域資源法というのが非常に類似したものなんです。これが結局、どのように施行後活用されたのか。結果として、それが大消費地と地域とを結ぶ何らかの新しい消費の喚起に寄与しているのかどうか、その辺の評価が非常に大事だと思うんです。そういう意味で、売れて何ぼというか、消費者に届けられてどうなんだと、その辺の評価をやらないと、先ほど米村委員からも、供給サイドということで、マーケティングなり需要サイドの面がこの基本方針に弱いなということは私も同じように思いますので、その辺りの基本的な、今までやられてきた評価を含めて、どのようにお考えなのかということを御質問します。
- 渡邊部会長 それでは、各委員の御意見、質問に関して、事務局の方からお願いします。
-
本橋課長 それでは、申し上げます。特に最後に御意見いただきました地域資源法との関係等でございますけれども、地域資源につきましても、多数の認定案件というのが出てきておりまして、手元に数字がないので恐縮でございますけれども、当初の想定している数を超えた認定件数が出てきているということで、それは適切に活用されているものというふうに認識しております。
ただ、今後につきましては、まさに地域資源、あるいは新連携、あるいは今回の農商工連携という法案が出てきております。これらのものにつきまして、より適切に、それぞれの法律の特性を生かしまして地域の活性化につなげていきたいということなので、例えば、先ほど出ていましたハンズオンの支援の話につきましても、1か所で全体を見るというような仕組みをつくりたいと考えておりまして、そうしたことによって、この施策の中で一番適切なものを当てはめていくというようなことも積極的にやっていきたいと考えております。
済みません。先ほどの数字でございますけれども、3年間で500件弱の事業認定をやっております。これは新連携でございます。このうち、新連携につきましても、6割が販売を達成しておりまして、地域支援に限らず、新連携につきましても着実な成果が出ているというふうに認識しているものでございます。
なお、この3つの事業につきましても、これから当課、創業連携推進課におきまして、3つの新連携、地域支援、農商工連携、併せて見させていただきまして、これらの施策かより適切に行われるように努めてまいりたいと考えている次第でございます。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
それ以外に御意見、御質問がありますか。よろしいですか。
本日は活発な御意見をいただきまして誠にありがとうございます。今後、本基本方針の策定に向けまして、本日いただきました御意見を踏まえ、事務局とも相談の上、基本方針の原案作成に反映し、1か月程度のパブリックコメントに付した上、農商工等連携促進法第3条の規定に基づきまして、改めて中小企業政策審議会と、更に食料・農業・農村政策審議会、林政策審議会、水産政策審議会に意見を聞くことにしたいと存じます。パブリックコメントに付す具体的な基本方針案の作成につきましては、関係行政機関並びに事務局とも相談の上、部会長であります私に御一任をお願いしたいと存じますけれども、御異議ございませんでしょうか。
(「異議なし」と声あり) -
渡邊部会長 ありがとうございました。御異議がないようでございますので、部会長である私に一任させていただきたいと存じます。
続きまして、最近の中小企業施策につきまして、その現状等を事務局から報告していただきたいと思います。議事次第にあります「地域力連携拠点を中心とした中小企業への支援体制について」、事務局から説明をお願いしたいと思います。 -
桜町室長 小規模企業政策室長の桜町でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。私の方から、地域力連携拠点を中心とした中小企業への支援体制について御説明をさせていただきたいと思います。
資料4の中の「地域力連携拠点について」というタイトルの横長の黄色い紙がお手元にあるかと存じます。それをごらんいただきながらお聞きいただければと思います。
去る5月20日になりますけれども、地域力連携拠点、中小企業のさまざまな経営課題をワンストップで解決をするというものとして、316か所採択をさせていただきました。そして、先週の金曜日には、316か所、全国一斉に事業を開始するということで、すべての拠点で開所式も執り行ったという状況でございます。
この拠点でございますけれども、幾つか特徴がございます。1つは、拠点の構成でございます。この資料の上のところに316の内訳が書いてございますけれども、従来の伝統的な中小企業支援機関でございます商工会、商工会議所、中央会、こういった機関に加えまして、地銀、信用金庫、信用組合、こういった地域の金融機関でありますとか、あるいは大学、農協、さまざまな地域の支援機関が拠点になっているというのが1つでございます。
それから、拠点を支えるパートナーというものがございます。拠点だけで、その支援機関だけで単独で活動するということではなくて、パートナーと協力をし、連携をしながら、地域の中小企業を支援していくと、こういう体制になるわけでございます。
そして、このパートナーは、全部数えますと2,000を超えるわけでございますけれども、例えば、主に資金面でつながっていくであろう金融機関が500、あるいは技術面でのパートナーとしてのサポートが期待される大学や公設試、こういったものが250、その他、農協、職訓校、建設業協会のような異分野とのつながりが期待されるものが100、こういったさまざまな種類のパートナーが拠点と連携をしていくわけでございます。このように、地域力連携拠点の「地域力」という言葉にありますように、地域にあるさまざまな支援機関が力を合わせ、結集して拠点活動を行っていくと、こういうことになるわけでございます。
それから、拠点での中心的な役割を果たすのが、その下にございますコーディネーターと言われる方でございまして、316か所の拠点で、合計800名ほどのコーディネーターが御活躍をいただくことになってございます。このコーディネーターも、これまでの商工会、商工会議所にいらっしゃいます経営指導員の中から、優秀な方でありますとか、あるいは金融機関の職員の中でも優秀な方、こういった内部の方がコーディネーターになっている場合もございますけれども、半数以上は外部から、中小企業診断士でいらっしゃいますとか、税理士、あるいは大企業のOB、こういった外部の血を入れる形で、外部の人材を登用してコーディネーターとなっていただくということになっているわけでございます。先ほど地域力と申し上げましたけれども、この地域力の中には、支援機関に限らず、こういった地域にいらっしゃる人、あるいはそれにつながる知恵、情報、さまざまなものを、このコーディネーターを媒介として、この拠点で活用していきたいと、このようになっているわけでございます。
本日、審議いただきました農商工連携のような取組みにつきましても、農協が場合によっては拠点、あるいは場合によってはパートナーということで、今回、この拠点活動にも参画をしていただくことになっております。
それからまた、マーケット、需要サイドをきちっと重視していくべきではないかという御意見を何人かの委員の先生方からいただきましたけれども、この拠点の中で、コーディネーターがしっかりとマーケティングの専門家が中小企業、あるいは農林漁業者にアドバイスをするということでございますとか、あるいはマーケティングの結果を踏まえて、きちっと商品開発をしていくために、技術面で公設試の力を得るということもありましょうし、また、ITを活用すれば、もう少しマーケットニーズにぴったりくるような商品開発ができるということで、ITの専門家のアドバイスもいただきながら商品開発をしていくと、こういったこともできていくのではないかと、このように考えている次第でございます。
それから、この拠点につきましては、今年度、活動していくわけでございますけれども、事後評価をしっかりやっていきたいと、このように思ってございます。拠点としての実績がどれだけ出ているかということは勿論でございますけれども、それに加えて、拠点の周りにいらっしゃるユーザーの方の満足度評価といったことも併せて年内には行っていきたいと、このように思っております。来年度に向けて、その結果を踏まえて、勿論、立派な拠点、あるいは立派なコーディネーターということも出てこられると思いますので、そういった方々には、顕彰したり、あるいはそういった方々の活動の結果としての成功事例を公表して、すべての拠点でそのノウハウを共有をしていきたいと、このように思っております。
それから、中小企業の支援組織は勿論拠点だけではございません。全国で420万社、中小企業だけでもいらっしゃいますので、316の拠点に限らず、既存の支援機関が持てる力を最大限発揮していただきたいと、このように強く思っておりまして、この拠点で蓄積されたノウハウは、こういったすべての既存の支援機関にもきちっと伝えていきたいと、このように思っております。このような体制を先週金曜日をキックオフといたしまして、今年度取り組んでやっていきたいと思っております。当面、6月、7月は、特にこういった拠点が開設をされて、ワンストップで中小企業の方のお悩みを解決をするという拠点ができたと、こういった機能があるということをきちんと多くの地域の方々に浸透させていかないといけないと思っておりまして、PRを集中的に、徹底的にやっていきたいと、このように思っております。
以上でございます。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
ただいまの事務局の説明に御意見、御質問がございましたら、お願いしたいと思います。どうぞ。 -
村本委員 村本ですけれども、今までの議論と、地域力連携拠点と併せて意見を申し上げます。いずれにしても、連携をするとか、支援先を支援するとか、あるいは支援機関を支援するとかといった場合に、基本的には人材の問題が重要になるということで、地域の連携をこうやってお選びになって、併せて各省のこういう支援機関をサポートされるのは大変結構なことだと思うんですけれども、今、いわゆる経営相談員等の人材を合わせても8,000数百人ということでございますので、幾ら税理士さん、中小企業診断士さんが頑張っても、さすがに足りないということになりますから、地域の金融機関などの人材が約30万人いるわけですので、こういうところに大いに声をかけていくというのは重要なことではないかと思っております。
それと、併せて、資料3-1にもございましたが、新現役チャレンジ事業というのがありまして、現役のOBをどんどん、これから団塊の世代がリタイアしていく、その人材を使おうというときに、こういう人材をNPOなどで吸収していくのは非常に重要なことだと思っておるのですが、その際に、東京にいる人がどうやって地方に行くのと、こういう問題が実は残されています。地域活性化には6省庁の連携があるわけですが、経済産業省だけではなくて、例えば、住宅ということになると国土交通省になるわけですが、地域に行こうとすると、移住・住みかえ支援機構などという別な政策がもうできておりますので、そういうものがうまく連携するように、他省庁との政策をうまくコーディネートしていただけると、より一層高まっていくのではないかということを感じておりますので、是非、今後、政策の中で御検討いただきたいということでございます。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
どうぞ。 - 坂戸委員 今、御説明をいただきまして、年内に実績評価、ユーザーの満足度評価をされるということで、これは大変すばらしいことだと思います。どちらかと言えば、今まで、施策の評価がなかなかちゃんと行われなかったではないかというような意見もございますから、大変すばらしい取組みだとは思うわけでございます。しかし、言わずもがなのことでございますが、年内ということで、非常に短期的な評価をまず行うということでございます。企業でもそうでございますし、やはり中長期的な視点での評価というものも同時にされなければならないわけでございますから、短期的な評価にプラス中長期的な評価を加えた上での評価を是非していただきたいと、かように要望するものでございます。
-
渡邊部会長 ありがとうございます。
上野委員。 -
上野委員 今回のこの地域力の連携拠点というのは、今日の新聞でも報道されておりまして、東京版のところで地域の金融機関の記事が載っておりました。西武信用金庫や多摩信用金庫などとか、地域の金融機関の働きの重要性を強調されておりまして、大変いいプレスリリースをしていただいていると思っております。
私は拠点の評価というところが大変重要だと思っています。先ほどの御説明では、自己評価という言い方をされたと思うのですけれども、こういう評価というのは、それぞれが自分で評価するということも非常に重要なわけです。それにはガイドラインみたいなものがあって、その指標に基づいて自分のところで採点するということも大事なのですけれども、外部評価委員会のようなものがないと、やはり甘いところと、非常にシビアに考えて、自分たちはまだ足りないと思っている人たちのところが、なかなか客観的に評価として出せないんだろうと思うので、是非、外部の評価委員会のようなもので評価する必要もあるのではないかというのが提案でございます。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
小松委員。 -
小松委員 先ほどからすばらしいお話が出ておりますけれども、これらは先ほどもPRをなさるとおっしゃっていただきましたけれども、このPRの仕方、末端まで届くように、きちんとした方法でやっていただきたいと思います。
以上でございます。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
それでは、石垣委員。 - 石垣委員 これは大田さんの話だったと思うんですが、実は私は、農商工連携事業は、農業と商工をひっつけたらいい、マーケティングでいいものをつくって、東京の皆さんが喜ぶものをつくって売ったらいいということだけではないと思っております。基本的なことを言いますと、大きな、あるいはグローバル化の中で地方がどう生きていくか、産業をどうしていくか。イノベーションが求められている中で、今のままではいけないだろうという大きな流れの中の1つだと思っています。ですから、私はうちの職員にもいろいろ言うんですが、基本的なシンクグローバリー、アクトローカリーと言いますけれども、この事業も、単なる農商工連携だけして、何か新しいものをつくり上げていったらいい、そういうもので地域の格差をやったらいいという狭い地域振興策にしたくないと思っております。
- 渡邊部会長 山田委員。
- 山田委員 コーディネーター800名ということで、それぞれの地域力連携拠点に配置するんだろうと思うんですけれども、東京のように極めて巨大なところで、渡邊会長いらっしゃいますけれども、商工会議所も大変巨大な組織なんですが、47都道府県を均等に割るという発想ではなくて、もっと人口的な、あるいは企業数とか、そういったものを考慮してコーディネーターを配置されるおつもりなのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
- 渡邊部会長 この御質問は。
- 桜町室長 今の御質問の部分だけ、まず、お答え申し上げたいと思います。コーディネーターにつきましては、この316拠点、それぞれ公募に応募されてきているわけでございます。その際に、固有名詞も含めまして、うちの拠点では、この方と、この方と、この方にコーディネーターになっていただきたいということで特定をしていただいておりまして、それを踏まえて316件採択をさせていただいているということでございますので、むしろ各拠点の創意と工夫を基にやっていると、こういう御理解いただければと思います。
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渡邊部会長 ありがとうございます。
それでは、前田委員。 -
前田委員 私、建設業の方から参っております前田でございます。この支援機関に関して、御相談申し上げる企業というのは、銀行と相談できない企業が御相談申し上げることが割に多いんではないかなと、このように思っておりますし、現実にそうだと思っています。だから、できるだけ専門職のコーディネーターを置いていただいたら非常にありがたい。
それと、網の目を少し狭くしていただいて、できるだけ困った企業が引っかかるように御支援いただけたら非常にありがたいと思います。特に我々建設業界においては、今、大変疲弊しておりますし、もっともっと建設業の方もこういう支援に取り組んでいただけたらなと、こういうような要望もいたしたいと思います。ありがとうございます。 - 渡邊部会長 それでは、河野委員。
- 河野委員 私の方から要望したいのは、悩む中小企業と書いてある中で、我々、中小企業の中で今、実は取引に関係する悩みというのは大変大きいです。要望したいのは、各業種でかなり違うんですけれども、規模の小さいところにおいては、取引にかかわる法律、例えば、下請代金支払遅延防止法とか、いろんな法律を知らないというのは、業種によっては6割とかありますので、このようなものが具体化していくベースになる取引の正常化、適正化というのがベースになって、非常に重要だと思いますので、今回、特に地域の中小企業からは知らないというのが結構ありますので、併せて周知徹底をお願いしたいという要望です。
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渡邊部会長 ありがとうございます。
どうぞ。 -
荻堂委員 商工会関係の荻堂でございます。このたびの地域力の拠点につきましては、78か所指定いただきまして、大変感謝申し上げます。商工会は、いわゆる中小企業の団体でございますけれども、各地でかなりいろんな事業を展開させていただいておりますけれども、今回の農商工地域連携の新しい制度によりまして、私どもがより一層、地域と密着な連携しながら、いろんな活動ができる場ができたと、高い垣根を超えて、その場ができたというのは大変喜ばしいことでございます。
一例を申し上げますと、今までは、地域によって、漁協さんの大きな敷地を活用しまして、商工会とか、そういうところから提案しまして、そこで活力のある地域づくりをしましょう、そこでは、いわゆる農協さんの地域ですから、私ども、農業も入れて、そこで連携事業をやりましょうと言っても、ここは漁業の場だから、農作物はだめだとか、そういうことでけられた経緯もあります。ですから、今回、こういう事業ができまして、大変将来に期待ができる連携事業が展開できるんではないかなと思っていますので、引き続き御支援をちょうだいしたいと思います。ありがとうございます。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
そのほかございませんか。では、事務局から、今までの御意見に関して、何かありますか。 -
桜町室長 それでは、まず、私の方から、地域力連携拠点の関係についてお答え申し上げたいと思います。
まず、コーディネーターその他の人材が拠点で、大変重要だという御指摘をいただいたわけでございます。拠点活動におきましては、コーディネーターという、いわばジェネラリスト的なタイプの方、それから、コーディネーターがさまざまな中小企業のお悩みにピンポイントで応えるために、専門的な知見を有する方をアドホックに全国各地から来ていただくと、こういうような方、中には、もう少し地域に埋もれて、中小企業にむしろ就職をして活躍をしたいという方、さまざまなタイプの方がいらっしゃると思っております。そのそれぞれにおいて、新現役という御指摘をいただいたと思っておりますが、団塊の世代を初めとした、企業を卒業される方、あるいは卒業した方、こういった方の御活躍が大変重要だと思っておりまして、こういった方が積極的に地域に行っていただけるように、今後とも各省連携、農林水産省でありますとか、あるいは厚生労働省、こういったところと積極的に連携をしながらやっていきたいと、このように思っております。
それから、拠点の評価について御指摘をいただきました。まず、中長期的な視点できちっと評価をすべきではないかというお話をいただいたわけでございます。年内にユーザー満足度評価などをやると申し上げたのは、今回の拠点が今までの中小企業支援機関とは違うものなんだと、先ほど申し上げたように、さまざまな支援機関が連携をしながらやるといったことを初めとして、違うものであるという意識をそれぞれの拠点できちんと持っていただくということが大変重要だと思っておりまして、そのためにも早目の段階でユーザー評価をしたいと、このように考えているわけでございます。
他方で、その企業の経営とおっしゃっておられましたけれども、中長期的な評価が大変重要なのは承知をしております。今回の拠点に採択をされた機関は、基本的には3年間やっていただくのを原則にしておりまして、その3年間の中でどういった実績を出していこうとしているのか、それぞれの拠点ごとの目標を、これも公募申請時に記載をしていただいております。そういった目標の高さ、低さも含めて、採択時にも評価の1つとさせていただいておりますけれども、採択時のみならず、今後3年間やっていく中で、レビューは毎年いたしまして、うまくいってなければ、入替え戦みたいなことも勿論ございますので、そういった中で、きちっと3年、あるいはそれより先の長い評価軸についても、そういう要素を入れてきちっと評価をしていきたいと、このように思っております。
それから、自己評価というのは、ちょっと私の御説明が舌足らずだったと思います。拠点での活動した実績を評価をするということを年内に、ユーザー評価とともにやろうと思っております。これは拠点の中での評価ではございませんで、むしろ採択をした側の、行政サイドとしてきちっと評価をしていく、それを踏まえて、繰り返しになりますが、入替え戦にもつながっていくと、このようなきちっとした第三者的な評価をしていきたいと、このように思っております。
それから、拠点での、下請代金法を初めとした法律の周知をきちっとやるべきだという御意見もいただきました。全くそのとおりだと思っておりまして、拠点では、個別の企業の相談を受けて、アドバイザーを派遣するなど、さまざまな活動をするわけでございますけれども、その中の1つに、近隣の関心の高い中小企業の方々にお集まりいただいてセミナーを開くというような活動もございます。そういったところで、下請代金法の周知が必ずしも十分なされていないのではないかという場合においては、きちっとそういったセミナーなどの機会を通じて周知を図っていきたいと、このように思っております。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
餅田課長の方からお願いします。 -
餅田課長 下請代金法の件は、今、御説明がありましたけれども、それに付け加えさせていただきます。これにつきましては、非常に重要だということで、公正取引委員会とともに体制を整備しまして、これまで以上に調査をしっかりやっていくということで、調査対象の企業数を大幅に増やしているところでございます。
一方、法律による規制だけではなくて、ガイドラインをつくりまして、これを広げていこうではないかということで、今、10業種についてガイドラインを作成して、これの周知徹底ということをやっております。更にこのガイドラインを作成する企業を増やして、下請取締りについて進めてまいりたいと思っております。
また、4月1日から全国47か所に下請駆け込み寺というものを開始いたしまして、ここに専門家を配置するとともに、弁護士等と連携いたしまして、悩みの相談に応じているところです。これまで数百件の要望が来ておりまして、それに対して、一つひとつ対応しているところでございます。6月の下請取引月間ということで、各地で、国ベース、都道府県ベース、民間ベースでセミナー等を行いまして、丁寧に対応していきたいと考えておりますので、御支援方、よろしくお願いしたいと思います。 - 渡邊部会長 どうぞ。
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桜町室長 私の方からもう一つ、お答え忘れていたものがございました。建設業を中心として、業種別にきちっと対応、きめ細かくやるべきであるという御指摘をいただいておりました。拠点は、先ほどワンストップと申し上げましたけれども、業種を問わず、中小企業のあらゆる悩みに対応するのが拠点であるということでございますので、基本的にはそういうつくり方をしております。業種によって、勿論、厳しい業種、そうでない業種、ばらつきがあると思っておりまして、ただ、厳しい業種についても、困っている中小企業の方は、その拠点の中で丁寧に拾っていきたい、また支援をしていきたいと、このように思っております。
コーディネーターとして、専門職というお話もございましたけれども、ワンストップでの支援をするという性格上、なかなか個別の分野特定ということにはなってございません。ただ、先ほどパートナーの中に建設業協会みたいなところが入っていただいたり、あるいは専門的なアドバイスをする人材として、拠点にアドホックで来ていただいて、アドバイスをしていただく方の中には、勿論、建設業によく通じておられるような方もさまざまいらっしゃると思いますので、そういった方々をうまく活用しながら、建設業に対してもきちっときめ細かく対応していきたいと、このように思っております。 -
渡邊部会長 ありがとうございます。
どうぞ。 - 塩田委員 今日は中小企業サイドから大変貴重な、いろんな御意見を拝聴して、大変勉強になりましたけれども、別途、農林漁業サイドで御紹介あったように、食料・農業・農村政策審議会等でも議論されているということなので、次回で結構ですので、農林漁業サイドの審議会とか、関係者がどういう問題意識を持っているかを御紹介していただければと思います。
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渡邊部会長 ありがとうございます。
そのほかよろしいですか。特に御意見、御質問がないようでございますので、これをもちまして本日の経営支援部会を終了させていただきたいと存じます。
最後に、事務局から事務連絡をお願いしたいと思います。 -
岸本課長 本日は基本方針の御審議ありがとうございました。基本方針につきましては、パブリックコメントの期間を約1か月間予定しております。農商工等連携促進法の施行の後に、改めて御審議の日程をいただきたいと思います。その日程につきましては、また改めて御連絡を申し上げます。
それから、本日の資料ですけれども、お席に置いていただけましたら、こちらの方から各自のお手元へ郵送いたしますので、そうしていただいても結構でございます。
本日は長時間ありがとうございました。 -
渡邊部会長 どうもありがとうございました。