トップページ 審議会・研究会 審議会(平成25年6月30日以前分) 中小企業政策審議会中小企業経営支援分科会経営支援部会 中小企業政策審議会経営支援部会地域中小企業政策小委員会(第4回) 議事要旨

中小企業政策審議会経営支援部会地域中小企業政策小委員会(第4回) 議事要旨

日時:平成19年5月15日(水曜)

  滝本経営支援課長より、資料に沿って説明の後、議事要旨は以下のとおり。

  • 「地域産業資源の属性に係る考え方」として「この際、当該地域産業資源を活用する可能性がある中小企業者が概ね10程度以上存在することが目安となる」とあるが、これは何を基準として10程度となっているのか。
  • 地域資源を活用することで、それが一つの新しい産業の創出なり、既存の産業の強化なりにつながっていくということが必要ということで、一種の企業の集積まで発展していくことを目的としており、地域資源は、地域の中で共有されて、1社で独占的に使われているものであってはならないという考え方。今、それを活用している企業あるいは将来的にそれにならって活用していくような企業、それを販売するような企業などを含めて10程度はあるべきと考えている。
  • 例えば、最終製品にするところは1社でも、そこに原材料を供給するところが10社以上ある場合には、どういうふうに考えるのか。
  • 地域資源を活用する事業を行う中小企業が10という考え方。
  • 例えば、小田原のように10件かまぼこ屋があるときにはよいが、徳島のいろどりのように、最終的に販売する会社は1社しかないが、その販売会社に葉っぱを納める方々が30人いる場合にはどうするかを、文章ではっきりさせた方がよい。
  • 10社程度生まれていく可能性が重要。夕張メロンであれば、それを活用して事業を行う土産物屋、レストランといったものも含むと考えている。
  • 文章の書き方は注意しないと、書き方で随分ニュアンスが変わってくるため、表現ぶりをきちんと書いた方がよい。
  • 法律には、「地域資源」や「事業内容」の定義がされているが、その活動の主体になる中小企業者が、地域に立地しているか、地域外に立地しているかというのは、特に明示されていない。いろんな需要の開拓という点では、域外の企業の活用というのが非常に重要だと思うので、そういう可能性は排除しない方がいいのではないか。
  • 全くおっしゃるとおり。その場合には、地域における中小企業が域外の企業と共同で販路開拓を行うという形で設定をして、事業計画の共同主体として入ってくるといったことは想定している。支援事務局でも、そういった域外開拓のためのビジネスネットワークを作ることも併せて考えている。
  • 都道府県には観光的な資源、農産物、あるいは伝統工芸や地域の技術などが多々存在する。各県においては、3類型とも指定されるのか、あるいは、余りたくさんの指定をしてはいけないとか、あるいは複数の指定もいいとかということの考えはあるか。
  • 3類型それぞれ複数の地域資源が指定されると想定している。ただ、5年間で1,000件の新事業創出を目標としており、単純に平均すると1年間に200件ぐらいのイメージだが、各都道府県で1,000件も2,000件も指定してしまうと焦点がぼけてしまったり、支援対象にもなり切れないというところもあるため、数量的には申し上げてはいないが、例えば、100件とかせいぜい200件ぐらいが妥当なところではないか。都道府県の具体的な基本構想ができる段階で、大体の相場観といったものができ上がっていくものと思っている。数が多いと作業が大変になってくるし、執行面でも基本構想を出すのが遅れてしまうといった弊害もあるため、それなりの相場観というものを相談しながらやっていきたい。
  • 数の面の制約はしていない。例えば、相当程度認識されているような農産品とか鉱工業品だけでも、各地によっては相当な数があるし、2番目の鉱工業品に関わる技術と言えば、鉱工業品を幾つ指定するかによって技術というのは自動的に決まってくる。観光資源、文化財、温泉については、文化財も国が指定しているものもあれば地方で指定しているものもあって、数は相当ある。相当程度認識ということで地域資源をとらえれば、実は数は相当書くことはできるはず。
    それを本当に中小企業が活用して新しい取組みを期待しているのかどうかというところで、これから特別に新しいことは行わないというものについて、有名だからとりあえず書いておこうかというのは必ずしも意味がなく、何か新しい取組みが起きてきそうだということがはっきりしているものをむしろ中心に書いていただきたい。既に認識されているので、後で新しい取組みが起きそうになったら追加するというようなことでも柔軟にやれるのではないかと思っている。
  • 福井には、繊維やめがね産業という地域産業資源が豊富にあり、ほとんどが中小企業である。繊維の場合、今までは大企業がそれらの中小企業を統括しながら商品化していくケースが非常に多かったが、最近は中小企業がみんな独立し、例えば、染めの専門家とか、または織りの専門家とか、それぞれの企業の技術を相持ち寄り、そういった専門家が集まりながら、一つの産業群をつくっている。先程、「10社以上」という形容詞があったが、そういうものの複合したプラスのものがそれから生まれ出てくるところに大きな意味があるのではないかと思うが、そういう解釈でよろしいか。
  • おっしゃるとおり。将来の取組の可能性を含めて10社以上ということ。
  • 和歌山は繊維の県だが、和歌山県だけでものづくりはできない。繊維の場合は多段階構造になっており、染め屋もあれば、紡績もあるし、ニッターもある。全国20産地ぐらいあるが、いわゆるミニクラスターというか、リンケージ・プロダクトというか、そういう方々の一気通貫型のチームを和歌山県を中心にして、地域外にまたがっている。こういう場合は一つのパッケージとして認定できるのか。
  • 地域資源が活用された事業であれば、他の地域の事業者と連携する取組も支援していくことは可能。
  • 複数の県にまたがるときはどうしたらいいのか。
  • それも支援対象。連携に意義を見出そうということであれば、別途、新連携という制度も活用可能。
  • 繊維製品の中には、もともと多段階に他地域と展開していることも十分あるが、そこの部分がコアであるところとして、県の方での基本構想として指定するというのが、まず最初にある。その上で、それを使ってどうする、あるいは他地域と展開する計画が出てくるということは十分考えられる。新連携で使う場合も勿論あるが、この地域資源の活用事業として新しい発想でやるという場合も当然含まれてくる。
  • 「地域産業資源の内容を定める際の留意事項」に「明確性」というのがあって「地域産業資源の内容については、中小企業が活用すべき地域産業資源を明確に認識できるよう品目及び地域の範囲ができる限り具体的に示されることが必要である」とあるが、リンケージ型のものは工夫が必要。それぞれの事業計画の中に、ほかの地域のこれとうまくやるようにとかそういうことを書くとか、工夫が必要となる。あくまでも、地域と品目がセットになっているのが地域資源の考え方なので、それを踏まえた運用が必要。
  • 何を地域資源とするかという点で、「好循環を生み出す源泉」とか、「潜在的に活用可能」とか、「相当程度認識されている」と書かれているが、現場で企業と話すときには非常にわかりにくい。例えば、好循環を生み出すか生み出さないかの判断基準をどの辺に置くのか、その判断基準の根拠は何をもってするのか、それの信頼性をどこに求めておくのかというようなことについてもう少し工夫が必要。買い手の消費者の方でデータを取るというようなことは考え方としてどうか。評価を判断するときに、消費者はそれをどう評価しているか、あるいはニーズとどう合致するかといったことを検討してはどうか。もう一点は、今回、マーケット・インというのがキーコンセプトの一つだと思うが、仕掛けられる方も重要で、消費者のニーズとか、消費者の受容性とか、将来的にわたった、それを受容していく可能性の度合いといったものについて、もう少しどこかで配慮をしてはどうか。国民運動としての機運づくりは、呼応していく者、呼応していくサイドの方にも目配りをしておかないと、結局空回りをする。
  • 2点御意見があった。1点は、もう少し、何か定量的な基準があった方が現場の運用が混乱しないのではないかという意見。もう一つは、事業計画か基本構想かわからないが、その考え方の中に「マーケット・イン」という思想が含まれる方がいいのではないかという2点の御意見があったと思う。
  • 1点目は、表現については、わかりやすく書くように努めたい。2点目は、全く御指摘のとおり。地域資源の活用事業の内容に関する事項ということで、評価基準の中に「?需要開拓の可能性」というところに書いてあるが、需要開拓は、事業者にとっては需要開拓だが、消費者に売れるかどうかというところを重要な基準として考えており、この背景にあるのは、やはりマーケット・インを第一に考え、ここを評価するということの表れとして書いた。それから、活用の促進の方向性の「ロ)地域産業資源等の認知度向上」は、これも消費者の認知度の向上を考えていかなければいけないということで書いている部分であり、我々も十分認識をしている。
  • マーケット・インの発想は、本委員会でも相当議論になった点であり、その意識は持っている。「地域産業資源の価値は、それを活用した商品や役務を提供する中小企業の側だけでなく、それを受け取る消費者等にそれが認められることによって初めて実現するものであり、当該地域産業資源が、実際に価値をもたらす資源たり得るか否かは、それを活用した商品や役務が実際に市場に浸透するか否かという結果によって判断されるということを念頭に置いて、事業の促進に当たることが必要である」ということで、マーケット・インの発想は、事務局だとかあるいは評価に当たって、そういう意識で当たってもらいたいということで一番最初に書いてある。それから、潜在的とか好循環という気持ちが走った表現で、少し定量のところがわかりづらいという御指摘はあるが、基準のところは極力、余り紛れがない、他方で可能性を否定しないという方向で書いているつもりで、好循環といったところは、むしろこの事業全体としての方向感としての思いである。潜在的云々というところは、産地として見た場合には、事業者はいろんな形で関わっていて、確立した地場産地と言われているものは、大体10ぐらい。農水産品とか、新しい資源発掘ということですと、やはり潜在性に着目をして、そこの資源をどうやって活かしていけるかという、少し広目の発想が要るのではないかということで、潜在ということで少し広げている。好循環のところは、さすがに定量基準の中には入れておらず、むしろ新しい産業を興していくという思いの部分。相当程度認識というのは、一体どういうことだというのが非常にわかりづらいため、それを先ほどの3ページ目のイ)ロ)ハ)ニ)という形で、その地域だけでわかっていてはだめで、例えば伝産品は既に国の指定であるし、あるいは都道府県でこういうものは自分のところの何とか産地だということで、ある程度公告されているというのは、ある意味で認識されているという例である。
    一般誌、新聞、雑誌、専門誌などは、特定のジャンルの人はよく知っているが、そうではない人は余り知らない場合もあるため、一定の期間報道されているとか、その地域だけではなくて、都道府県内ぐらいには知られていなければならない。ハ)というのは、都道府県の広報紙などで、あそこの地域はこういうものが特産品だよという形で載っているという場合。消費者の視点を少し入れたものがニ)で、消費者とか流通業者に対する調査で一定の認知度があるようなものも、この中に含む。そういう調査をやっているケースは余り少ないが、そういうものも入れ込んであるのが、このイ)ロ)ハ)ニ)という基準である。
  • 基本方針の中には2種類の情報が入っている。1つは、法律を運用するに当たっての基本的な哲学とか考え方。これはフィロソフィーなので、余り定量的な基準が変わるといけない。そういう考え方を明らかにする部分。もう一つは、県や事業者がこの法律を見て活用する訳だが、この法律の運用に関わる当事者が、判断の紛れがないように運用の基準、助成をするときの助成基準のようなものが入っている。それは、どちらかといえば数量的な指標が入っている。そういう哲学の部分と、この法律の運用基準の2つがこの基本方針に入っているので、書く方も、ここは哲学を書いているのか、運用基準を書いているのかということを意識しながら、書き分けをきれいにするということが大事だなと感じた。その運用基準の方に関して言えば、若干、条文の定義があいまいなところがあるので、余りそこの基準を明確にしてしまうと運用が難しくなる。ある程度の幅を持たせるような形で基準も書かれている。そこら辺は法律の運用に当たる実務者の知恵というのが、ある程度にじみ出た書き方になっているというふうに御理解をいただきたい。
  • 北海道上士幌町はイムノリゾートというプロジェクトを北海道大学医学部免疫講座、JTBなどと共同で手掛けている。十勝、大雪地方には杉がないので、スギ花粉がない。つまりスギ花粉症がない。そのため、花粉症で悩んでいる人を、上士幌町にリトリート(避難)させようというツアーで、スギ花粉症に悩む参加者の症状は劇的に改善し、また血中のアレルギーに関するマーカーの数値もかなり改善するということで、全国的に注目を集めている。この地域は大雪山国立公園、日本一広い牧場であるナイタイ高原牧場、糠平湖、スキー場、熱気球のフェスティバルなどの観光資源もあるが、今回、注目されているのは「スギがない!」ということ「何もない」ことを売り物にしている。生産量、品質、機能、外観、歴史云々と、モノがあることを想定して地域資源が議論されているが、この事例のように、「無い」ことを売り物にするということが、地域資源の事業の考え方にマッチするのかどうか教えていただきたい。
  • そういう「花粉がないという環境がある」ということだと思う。当然、相当程度認識されていれば、例えば、周りに街灯が全くなくて真っ暗やみで星の観察がよくできるとかも含め、相当程度認識されていけば地域資源になり得る。
  • 今のようなリゾートということであれば、法律の第2条2項第3号の「文化財、自然の風景地、温泉その他の地域の観光資源」の中に入ってくる。
  • 議論を具体的にするため、ケーススタディ的に考えると、例えば、この法律が有効に機能する可能性のあるフィールドとして、製材業辺りが考え得るのではないか。今、中国を中心とした需要拡大で、外材の価格がかなり上がってきて、国内材に回帰しているような状況がある。ここ20年ぐらい、日本の各地で製材業及び林業がひどく疲弊しているが、今の状況から行くと、そういう流れが少し変わってくる状況、可能性があるような感じがする。例えば、林業が、今、かなり疲弊していて、その地域資源としての知名度としては、現在はほとんどない状況の中で、この法律が一つの促進剤になって、日本の製材業が再生して、それに伴って日本の林業が再生してくるというのが、この法律の機能する姿としてはすごく美しい姿だと思う。地域資源の属性は、様々なケースを想定して網羅的に定義するのが恐らく難しいため、運用上、ある程度明確化しないといけないし、余り明確化し過ぎると可能性の芽を取ってしまうという、トレードオフの関係がある。地域資源を特定する場合、都道府県で地域資源を活用した事業としてどういうものが考えられるかを、幾つかヒアリングして、幾つかの事例の中から、逆にそれにちょうど合致するような地域資源の属性を帰納法的に導くような方法もあるのではないか。
  • 今の話は、基本方針の書き方が難しい中、各地域では、ユニークな取組みがあり得る。そういう取組みを中小企業庁の方でピックアップし、これなら基本方針に合致するというようにしてもいいし、そういうところから基本方針をまた書き直してもいいという、現場の地域資源活用型事業とコミュニケーションをしながらダイナミックに、この法律の運用を考えていったらどうかという示唆だと受け止めた。大変重要だと思うので、現場の政策担当の方は大変かもしれないが、考えていただきたい。
  • 今の御示唆は全くそのとおりだが、これまでも地方経済局を通じて、現に取り組まれているようなものを想定して、この方針に落とし込んでおり、今、おっしゃったようなことを踏まえてつくられているというふうに御認識いただきたい。
  • 明確性と多様性ということの中で、特に、この方針のところを柔軟に、ある意味では余りきっちり書かないで幅広く取れるようにしていただくのが一番いいと思う。また、県が基本構想をつくる際には、局を通じて、都道府県の基本構想の策定などの支援、指導をしていく中で、少し柔軟性や幅を持たせてやっていただきたい。幅広く取れるという形にしておきながら、だんだん、いろいろな玉を選び、そして磨きをかけていく中で絞りをかけていくというスタイルを取っていかないと、ぎちぎちになってしまうため、運用も含めて、是非御配慮をお願いしたい。抽象的には書いてあるが、都道府県がどうやって県内のいろいろな関係者、いろいろな情報を持っている人から玉を拾い出し、磨き上げ、そして、それをどうチェックしていくかというようなところの体制整備の話や、都道府県がどう支援していくかというような部分について、むしろ基本構想に表していただくような御支援ができればありがたい。
  • 今、ものづくりの現場とか、マーケティングの現場で一番大事なポイントは「環境」だと思う。CO2の問題とか、例えばオーガニックのタラコとか、そういうものが多分、新しい地域資源になり得るかとも思うが、そういう意味で、関係省の連携による支援という中で、構成メンバーの中を見ると、環境省が入っていないのは何か理由があるのか。
  • 特に理由はないが、余り接点がないことも事実。前回の経営支援部会でも、環境の観点も重要ではないかという御指摘があって、まさにそのとおりだと認識をしているが、たまたま入っていない。
  • 今、物を売るときに、結構、環境的なアプローチで、新聞を見ても、大メーカーも何もみんなそれで切り込んでおり、このプロジェクトに将来、環境省も入れて意見を聞いていただきたい。
  • この制度、スキームが成功するかどうかの大きなポイントの一つが、物語をどれだけたくさん生み出せるか、それをどれだけ広く発信できるかということだと思う。よく事例で出てくる山形カロッツェリアプロジェクトにしても、熊野の化粧筆の話にしても、物語がセットになっている。物語があるから腑に落ちるし、自分もやれるかもしれないと考える。一方、新たな成果がこの制度の下で生み出されたときに、それを手に取ったユーザーにとっても、そのバックグラウンドに物語が付いているかどうかで全然違う。キックオフの告知だけでなく、成果のプレゼン、さらには成功に至るプロセスまでを含めて、たくさんの物語を作って伝えることが大切だと思う。多少金がかかっても是非やられた方がいい。この制度の肝は、「地域資源という古いようで新しい視点を国が大々的に導入し」、「そこからきっと新しいものが生み出されるはずだ」、「みんなで生み出していこう」という、言わば、ある種の国民運動のような要素も含まれている。そのためにも、物語の浸透が大切だと思う。
  • 広報については非常に重要という認識で、ここにも幾つかまとめているが、「地域資源活用チャンネル」には、そういったストーリーをたくさん入れていこうと思っているし、奥山さんや熊野筆のような先行事例をどんどん出していく。先進事例の調査はやっているが、事例が少ない段階で、具体的な弾を打ち込めていないというところもあるが、御指摘は肝に銘じてやっていきたい。1年目に何をやって、3年目で評価をして、新しい仕組みを少し付加して、4~5年目で大きく見せるようにとか、そういった、平野委員から以前に御指摘のあった5年の展開ということで、これもいろいろと考えて、今日は御紹介できなかったが、それもやっていきたい。
  • 先程の意見の中でとても大事な点は、プロセス。一つの製品が地域資源を活用して物になっていくプロセス。何でもない資源が非常に意味がある製品になって消費されていく、消費者から認知されていくようになるプロセス。要するに、「売れるようになりました、ちゃんちゃん」ではなく、売れるようになるプロセスが出されることが大事だ。それは非常に、その話を聞いたほかの人にとって大変いい刺激になる。
  • 「3 都道府県における地域産業資源の活用の促進の方向性」の中で、イ)ロ)ハ)ニ)という項目があり、林業にこだわるようだが、やはり資源の保全というようなこともキーワードとしては必要であり、法律の成果が長い目で見て、産業の振興に役立っていくためにはそういう視点が大切。ひとくちに地域資源といっても多様である。海洋深層水などを材料としたミネラルウォーターがブランドを付けて売り出されたが、このようなある種、公共財に近いようなものから鉱物資源みたいなものは、特定の個人あるいは、企業が所有している場合が多いだろう。こうした地域資源の所有関係も活性化計画の策定に当たって考慮すべき要素だと思う。
  • 地域産業資源について、地方の名産というようなものから初めは始まり特産品という姿に変わっていくのかもしれない。やはり地域の代表になるところまで押し上げていくようなものを全国各地からブラッシュアップして出していく。その過程の中において、先ほど言われたような物語も必要だけれども、マーケット・インに結び付けていくかというのは非常に大切なことだし、また、マーケット・インに結び付けていくには、広告や宣伝が本当に重要。福井のある傘屋の傘は一番安いもので1本3万円で、一番高い傘は1本30万円だが、どうしても生産が間に合わない。中国からも注目を集めている。この傘の繊維はカーボン繊維だが、傘屋ではカーボン繊維は折れないし、緻密であるから合成もできない。緻密でなければ傘は漏れてしまう。そういういろんな配慮がされているが、たかだか30人ぐらいの中小企業の繊維会社だが、やはり10社以上の方の協力がなければそういう傘1つはでき上がらない。この例を見ても、繊維という地場産業の特性を生かして、今、傘に続くようないろんなものが福井では考えられている。傘は6年かかっているが、これには物語性がある。マーケット・インの協力をどう地域でしていくか、グループでしていくか。経産省に協力を願うとかができれば、日本はどこへ行っても優れたたくみの技術を持っているし、また、優れた名産品・名物はたくさんあるので、そういうものの掘り起こしをすれば、大変優れたものが出てくるのと期待している。
  • 基本方針はできるだけ幅広く、いろんな地域資源を取っていこうということで、制限を入れないというのは大賛成。ただ、都道府県で似たようなものが山ほど出てきて、日本国中、地域資源だらけになるということなども考えられるのではないか。例えば、産地間競争をしている場合に、A地域はペケで、B地域はマルとなったときに、ペケの地域は非常にインパクトが大きいのではないか。その辺の調整はどのようにするのか。それから、実は地域資源は都道府県に1つしかないみたいな印象としてとらまえておるような印象があるが、実は愛媛と高知とか、愛媛と香川とか、徳島も含め、四国は大体一緒のような風土・気候なので、他の県も、隣接県を含めた地域資源が実は間違いなく存在する。例えば、A県で地域資源であっても、B県ではないものが地域資源であったりすることもあり得るので、その辺は、A県がやったらB県が認めてもらえるのかとかというような心配も若干ある。もう一つ、支援事務局の体制のことで、各ブロックに1つということだが、非常に大事だと思うのは陣容。支援といっても、来たら教えてあげるといった、なかなか使い得ない、敷居が高いという問題が出てくるので、できるだけ充実をしていただきたい。できれば、地域資源を活用する事業家が、本当に困ったら、せめて3日以内ぐらいには行けるとか、2時間ぐらいでは来てもらえるということが重要。今月は無理だけれども、来月できたら時間を取れるなどと言われたら、頼む気がしなくなるという点があり、せっかくのものが形骸化してしまうのではないかということで、ここの充実を最後にお願いしたい。
  • 都道府県の地域資源の指定について、制限することは余り想定しておらず、要件を満たすものであれば、基本的にはそのまま認めるというのが原則。むしろ、こんな資源もおたくの県であるのではないか、これを活用したいという企業がいますというようなことを、抜けているものについてプラスするということはあっても、これはだめということは余り想定していない。また、ある県では○で、ある県で×といったことも基本的にはないと思っているが、地域資源が県をまたいで存在しているような場合には、それぞれの県で出すことを原則に考えている。その際に、A県とB県の間である程度調整をしてもらえればありがたい。支援事務局の実施については、予算が許す限り充実をしていきたい。支援事務局のない県が相当数あるが、そういったところは県の支援センター、振興公社とか、産業振興センターといったところと連携して、週に2~3日分ぐらい、地域資源活用の仕事をしてもらえるような方を配備できるぐらいの予算を支援センターに配ることを検討している。
  • ストーリーづくりはとても大切だと思う。今回の地域資源は、地域の中小企業にとって非常に活用でき得る範囲が広くなると思う。そのために、シーズを見つけるためにも、着目ポイントとか、具体的にどうすれば地域資源として活性化のためにつくり上げていくことができるのかというようなセミナーや研修会などをやっていく必要があるのではないか。事例紹介をするのも非常にいいが、地域資源活用企業化コーディネート活動支援、普及啓発という予算があるが、例えば中小企業大学校で、自社商品ということではなくて、地域のそういうシーズを持っている人たちがきちっと組み立てができるように、そして、それを提案して県で認められるように、また、国の方で支援してもらえるように、その前段の部分のシーズをきちっと引き上げていくというような、やはり研修とかセミナーとかが今回は特に非常に重要ではないかと思う。
  • サポーターズ・サミットがあるが、サポーターは、ベクトルとしては、どちらかというとつくるサイドで考えられている。それは消費者の、私も3万円のものが欲しい、食べたいということでの消費者のサミットがあってもいいのではないかと思った。広島の方は、広島の女性はポーチに熊野のブラシが入っているというような機運というか、それがやはり満ちていくことが今回のねらいだったり、フィロソフィー、哲学である。広報のところで挙げられているものについてはワンウェイ。基本的にはいろんなメディアを挙げているが、ツーウェイのコミュニケーションというのはなかなか難しい。やはり体験型が一番で、今、効果的と言われるものは広報キャラバンを組んで体験型のイベントをやるとかをもう少し双方向で持ち上げていかれることが必要。
  • 今日議論したことを私なりに簡単に総括すると、大きく分けて2つに分かれていた。1つは、この法律の運用の基本方針についての議論。もう一つは、この法律の狭い意味での運用を離れて、この法律をきっかけとして地域資源を活用して、いかに地域の中小企業を活性化していくかという2つの大きな議論があったかと思う。
    中小企業を活性化するというテーマは非常に大きなテーマで、1つの法律だけでそれをなし得るものでもないし、また、そういうつもりで法律ができているわけでもない。さまざまな中小企業支援の法律、あるいは政策体系の中で対応するという議論もある。途中で新連携という議論も入ったが、様々な施策が既に用意されている。そういう従来の施策の蓄積に加えて、今回、新しい法律ができたわけだから、そういうものも併せて対応する、広い意味での地域資源活用型中小企業の活性方策という議論もあった。
    本日、2つのタイプの御意見と議論があったが、それぞれ、実は大変重要な問題だと思う。まず第1の法律の運用としての基本方針の議論については、その中でも2つあった。1つは基本哲学をクリアーにするべしという意見。もう一つは、助成策の基準としては、できるだけ紛れがないようにするための配慮も必要だという2つの議論があった。
    これは相矛盾する面も勿論あるが、この狭い意味の法律の運用のための基本方針を書く上では、この2つの部分をはっきり区別しながら、基本哲学を明確にちゃんと打ち出し整理して書くこと。もう一つは助成策の運用指針として、現場が混乱しないようなクリアーな基準を書くこと。この2つをこれからの作業の中で少し事務当局には詰めていただきたいというのが、この審議会の意見だったと思う。ただ、基準をクリアーにすることは、場合によっては、こういう場合はどうなんだろうかという新しいアイデアを封殺してしまうという危険性もあるため、そういうせっかくのアイデアが縮こまることがないように、基本方針をある程度、弾力的に運用するきっかけも与えた。あるいは適当な時期に見直しをする。現場とのすり合わせをし、現場の知恵を酌み取りながら、場合によってはしかるべきタイミングで見直しをする。そういう柔軟さを持って運用していくということが重要だろうというようにまとめられると思う。
    法律の運用も含んで、大きな面での政策の遂行の仕方についてもいろいろ御意見があった。物語性をつくっていこうではないかとか、様々な施策を組み合わせることによって、狭い意味の法律の運用ではなかなか当てはまりにくい問題も受け止めていこうではないかという意見があった。この運動として展開をする支援事務局あるいは本部というものが、この法律の運用に限らず、関連する法律の運用を含めて、現場からいろいろな知恵が出やすいように、あるいはせっかく出た知恵がうまく生きるように、柔軟に対応する。そういう心構え、気構えでやっていただくということが必要なのではないかというような御意見の集約ができるのではないかと思う。
    以上を、今日の議論のまとめとさせていただきたいと思うが、これから、1か月間のパブリック・コメントに付した上で、中小企業政策審議会経営支援部会に報告するという手順に入ります。今日の議論を踏まえ、事務局の方で修正すべきところは修正するということで手続を進めていただきたいと思うが、そういう結論でよろしいか。(「異議なし」と声あり)

-以上-