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中小企業政策審議会経営支援部会地域中小企業政策小委員会(第2回) 議事要旨

日時:平成18年11月1日(水曜)15時~17時30分
会場:経済産業省本館17階西7第1特別会議室

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 滝本経営支援課長より資料3に沿って、迫田委員により資料4に沿って、藤巻委員より資料5に沿って、三宅委員より資料6に沿って、また、滝本経営支援課長より資料7に沿って説明の後、議事の要旨は以下のとおり。

  • 地域に行けば行くほど、地域産業の連携や農工連携という中小企業が入り口から出口まで繋がったようなシームレスな商品開発を行う必要がある。青森には帆立貝を融雪剤として利用した興味深い事例がある。この事例は地元の人の伝統技術を全く違う視点から活かした取組である。世の中の人が求めているものを意識するとともに、いろんな方々に見ていただくと、新しいビジネスチャンスが始まる。
    地域ブランドに関しては、ブランドの品質をいかに保つかが大事である。そのためにはクレームを商品開発に活かしていく窓口をつくらないと全体のブランドを維持できないのではないか。大事なことは、みんなが守るような品質規格をつくること、ブランドを維持する上での前向きな競争とともに落伍者がないようにすることである。
    農工連携の関連では、農家は原価管理を行うという発想がない。少し計算をすると一定の利益を上げることができるため、原価計算の視点を農家にも持っていただくほうがよいのではないか。また農業においても企画、開発、販売をうまく分類することが重要である。機械の使い方、開発の仕方の面では、工業的なノウハウを農業に取り入れたらよいのではないか。
  • 従来の産業集積法に取組んできた産地組合を側面的に支援してきた。各都道府県にメールや電話で聞き取り調査を行った結果として、集積法の事例や組合独自の成功事例が集まってきたという意見、新しい支援策については歓迎する意見が大多数であった。
    次に、これまでの集積法を側面支援してきた立場から意見、要望を述べる。5年の計画を立てるのは大変であり、5年先を見通すことができなかったため計画通りの事業はできなかった。しかし単年度では無理で3年以内の複数年の計画として支援策を作り上げていただけると大変使いやすい。
    また、地方の組合から多く出た意見としては、地方では新しい支援策が具体的な形で正確に伝わってこない、中央会として一番努力したのは各中小企業の取組姿勢に温度差があり、それを平均値に近づけるときに大変の苦労があった、ということであった。
    今回の支援策では、関連の支援機関が全国各地に作られなければうまくいかないのではないか。各地の支援機関が地域の中小企業や組合に直接助言などを与える仕組みを取り入れてほしい。
  • 今回新しいと思うのは、都市の知恵と地域の資源を融合させるというハイブリットなプロジェクトであるというところ。消費者は新しい価値観を提案しないと飛び込んで来ない。今回のプロジェクトでも、合言葉や標語が大事になってくると思う。かっこいいマークやデザインがあれば若い人にも伝わりやすい。環境省のクールビズでは合言葉があったため、マスコミが取り上げた。標語とマークを作って頂けないか。
  • 中小企業政策は重要であるので、地方に移管するのは間違っている。もっと国の関与が必要である。その一側面として地域資源の活用を捉えてほしい。
    また、これまでの国の施策などで商工会が使ってきたものでは、政策に制約が多いことが課題である。
    これまではマーケティングまでの一貫した流れをもつ施策はなかったが、今後はこのような施策が重要である。国の予算は秋頃になってはじめて我々のところにくるが、よいネーミングを作りなるべく早い段階からPRするなど、色々と考えて新しいものを作り上げていくことが重要である。
  • マーケティング力ということを考えると、大企業と中小企業の水準には大きな乖離がある。一方、中小企業では、都市の中小企業や流通業、小売業とローカルの方々では差がないと感じている。これまで、日本の中小企業ではマーケティングに興味を持ち、力を入れていこうという動きは希薄であった。日本は戦後、製造業立国であり、製造面での諸政策は非常に厚いものが展開されてきたが、ここ20年で産業構造がサービス経済にシフトし、大手のメーカーや流通業ではマーケティングについては世界でも非常に高い水準のところまで達してきた。しかし中小企業、零細や地域の商店街のマーケティングはこれからというレベル。
    その点から考えるといくつかキーワードがある。一番目は「地域資源」。差別化していく上で、経営資源が弱い地域の企業でも成長できるポテンシャルとして重要である。身近な資源をテーマに、マーケティングの基礎から力をつけていくことができる。
    二番目は「域外」。まずは、市場としてのアジアを考えてみたらどうか。アジアでは専門の買いまわり品の商品に関して、日本の商品に対するニーズが高い。衣食住、文化の点で日本と類似しており、アクセスは欧米と比較して容易である。しかし販売ルートや広告宣伝が希薄であるため十分に知られていない。
    三番目は「連携」。支援機関の連携の幅や、一つの支援に予算や人をどのくらい投入するかという支援のプライオリティーを中小企業の現状にあわせて検討していくプロセスが必要ではないか。これまでは最初に予算設定があり、その予算を広く浅く平等に配分するという形であった。名前だけ入っている地域と本当にポテンシャルがあって支援が必要な地域が同列になっていたきらいがある。評価基準の見直しと、支援期間の柔軟な設定も必要と考える。
    省庁間・政策間の連携のプロセスも重要ではないか。
    連携にはコーディネーションが必要となる。中小企業診断士は、マネジメントからマーケティングに至まで助言する機能をもっており、大いに貢献したい。
    最後に、マーケティングという用語を施策名に取り上げてもよいのではないのか。
  • 政策の支援対象と支援期間に関して申し上げたい。
    第一点の「支援対象」についてだが、地域で特産品を作ろうとしている企業や組合に対して支援を行うことで地域活性化を行うというアプローチのようだが、視点を変えてみれば、販路を提供・拡大しようとしている企業も支援対象としてインセンティブを与えたらどうか。このように申し上げる背景は2つある。豊岡かばんはイトーヨーカ堂が一つの商品として取引しているが、メイドインジャパンシリーズとして成功している。かばんの工業組合は、平行して同様の製品作りを行っているが、イトーヨーカ堂での取組から、「高いものであってもしっかりしたものが欲しい」という消費者ニーズが確かにあるということが確認できたと評価する声が聞かれた。また、板橋区にハッピーロード大山という商店街がある。そこで空き店舗の活用策としてなされている「とれたて村」では、9つの地域の産品が販売されている。商店街活性化のために行っているが、地域の産品をつくっている企業に対しても貢献していることになる。他省庁との連携という話があったが、同じ省庁内で、中小企業庁商業課との連携も考える必要があるのはないか。
    第二点目の「支援期間」について。これまでは計画、生産、販売という1サイクルで終わりだった。計画、生産、販売という1サイクルが終わったとしても、その間に消費者やユーザーからニーズをフィードバックする体制を構築し、フィードバックされたニーズを基に地道な商品開発に活かすことが重要ではないか。計画から販売までの1サイクルを作った後、これを基準に期間を考えてはどうか。
  • 7年前に会社を設立した際のミッションは、北海道にとって外貨を獲得する産業を発掘・誘致・育成すること、利益誘導型の経済から付加価値創造型の経済に作り変えること、技術・ものづくり志向の会社からマーケティング志向の企業に作り変えることであった。
    地元にあるものに付加価値をつけて、中央からの財源に頼らなくてもよい経済を作っていくことが大事である。北海道ブランドというと農・水産物でも高いイメージを持っていると思うが、農家や漁師や加工業者は儲かっていない。ブランドイメージはあるが金に変える仕組みができていない。
    最近中小機構とがんばれファンドのスキームを使って、北海道信金活性ファンドを立ち上げた。もう一つ販売パートナーとして、全国的に有名な流通業者、ネットや昔ながらの流通形態を活用している百貨店を入れた。どのように直に販売していくかということを考えている。
    今回のスキームでは、新連携などのスキームがあるが、現在の政策のイメージが分からないのでもう少し教えていただきたい。
    中小企業のみならずベンチャー企業ともつきあいがあるが、支援メニューが増えれば増えるほどフリーランチを取りに行く企業が多くなり、自助努力をする企業が少なくなる。ただで支援をするのではなく、何らかの対価を要求するべきではないか。
  • 三位一体の改革以降の新連携や中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律などの政策を、県がどのように受け止めて、地方のなかでどのように使っていくかという悩みを抱えながら来た。今回のものは、地域に密着しているものを如何に掘り起こし、如何に磨き上げていくかが、特に重要になってくる。商工会は地域のことを一番よく知っているから、うまく掘り上げていくという形の中で、うまく県と関わりをもてればよい。
    三宅委員の資料にもあったが、どこのレベルまで求めるかにより戦略が異なる。どの程度までのものを事業計画として求めるのか。このあたりは今後の支援措置の中身に絡んでくるであろう。
    委員からの指摘もあったが、補助制度となるといろいろと制約がある。静岡県では、研究開発の段階は補助でよいが、試作試販の段階では投資制度をうまく使ったことがある。このあたりのことも今後ご検討願いたい。
  • 製品開発とマーケティングを分けるというよりも、一体化して考えることも重要ではないか。製品の開発段階でマーケティングを意識する必要がある。最初から一体的に支援できれば、自立も円滑に行くのではないか。
    人的ネットワークについては非常に賛成である。この場合、ビジネスパートナーだけではなく、広い意味での人的な交流もサポートできるような仕組みがあればよい。産地の中でも元気な企業はビジネスパートナーでなくとも、同じようなものを作っている他産地のリーダーや外国の同業者などとのネットワークを持っており、それが結果としてビジネスに繋がっている。中小企業のモチベーションや地域資源をインスパイアーする必要がある。
  • 食品については質を重視した品揃え計画が行われていないのは現実である。イトーヨーカ堂の品質管理基準は最も厳しい。地域の企業はほとんどパスできない。本部の取締役クラスと店舗レベルの担当者との乖離が大きすぎる。
    また、サクセスストーリーをPRするよりも、サクセスシステムを分析すべきではないか。資料7にある支援策については、なぜこれができないのか、という理由を分析すべきである。
    観光地で衰退していくところは、地元の仲が悪かったり、口の利き方が悪かったりする。コミュニケーションがとれないために、前に進めないことがある。また人材の確保は非常に重要ということでお願いしたい。
    加工メーカーなどからは、プロジェクトマネージャーを内製化できないため、一年でもよいので、製造から販売まで担えるプロジェクトマネージャーを派遣して欲しいといわれる。宮城県でも様々な先生をお呼びしてセミナーを行っているが、ほとんどが未消化に終わっている。マーケティングの話しは食品流通の現場に落ちてこない。その理由の一つとしては、アイデアは提供するが、販売の面倒はみないところにある。製造から販売までの面倒を全部見られるプロジェクトマネージャーの人材育成を行う必要がある。
    また、新規商品開発だけではなくて、それを継続させる支援が必要ではないか。食品では鮮度管理が冷凍、冷蔵、常温と異なるものを一括して管理、物流できるものがない。すべての省庁にまたがった幅広い支援をお願いしたい。

(戸井地域技術課長より資料8に沿って、説明の後、議事の要旨は以下のとおり。)

  • 情報通信技術が発達したが、集積のメリットが失われてしまった訳ではなく、集積の範囲が全 世界的に広がってきているということではないか。例えば、中小企業であっても、国内生産が適している部分と海外生産が適している部分を戦略的に使い分けている。特定の地域内で分業が完結している必要性は、かつてに比べて、はるかに薄くなっている。
    また、一つの集積に立地する個別の企業の方向性は多様で、産業集積の地域として一つの方向 性をもつことが難しくなってきている。これらを考えると、地域全体というよりも特定の地域資 源を活用する企業に着目したほうが多様な方向性を許容できるのではないか。地域の企業は想定 外の動きをして、斬新なアイデアを出している。そうしたアイデアをなるべく細かく拾い上げる 必要がある。事業展開の最中にも不確実なことが起こるが、それらに対応できるように支援する ことも必要ではないか。
    中小企業のマーケット志向の動きを支援していくには、現場に即した情報をもち、企業の日々 の支援を行う地域金融機関の役割が大切である。
  • 確かに産地は大きく変化している。毛織物では紡績から織りまで各工程を行う様々な企業が産地に立地しているが、現在では、全ての工程をいくつかの大きな企業においては一社内で行うところが出てきている。日本の織物産業の中で染色整理工程は世界一の技術をもっているが、この工程のみを独立して持つ企業は設備投資の余力もなく、廃業が相次いでいる。このため、世界一の技術が日本から無くなってしまうかもしれない。その点に不安を感じている。
  • B集積における中小企業金融公庫、国民生活金融公庫による低利融資はほとんど成されていない。その理由の一つに、これまでの支援は都道府県の承認を得る必要があったが、新分野に進出する企業で雇用を創出する企業に対して、同程度の金利で融資を行う支援策が複数存在していたことが挙げられる。
    また、小規模企業の多くが市場とのつながりが少なく、何をつくればよいか、どのように売ればよいか分からない企業が多い。そのため、実際に資金が必要となる段階にまで至らないことが多いというのも、融資実績が少ない要因であろう。今回の支援制度では、経営支援もセットで行うため、融資制度の実績も上がっていくのではないか。
  • 委員長:今回は多くの意見が出されたため、すぐにまとめができるほど単純ではない。しかし、今回の議論では共通している点が2点ある。
    1点目は、モノ、サービスをつくる際にマーケットの姿をみながら行うことが重要ということである。これまでの産地対策は、政策の対象として生産場面を重視し、モノが最終的に消費者に使われる場面までよく見ていなかった。この点を踏まえて、政策体系をつくっていくことが必要である。
    もう1点は、差別化戦略の大切さの指摘があったが、差別化する源は地域の資源ということである。マーケットのみを見ていたら、各地で同じ商品しか出来上がらないが、マーケットと同時に自分たちの資源を活かして、他の地域ではできないものを如何に発見していくのか、それをビジネスの形にくみ上げていくかということが大切である。これらの点を踏まえた上で、次回の委員会に向けて資料の取りまとめとめを行っていきたい。

-以上-