トップページ 審議会・研究会 審議会(平成25年6月30日以前分) 中小企業政策審議会中小企業経営支援分科会経営支援部会 中小企業政策審議会経営支援部会地域中小企業政策小委員会(第1回) 議事要旨

中小企業政策審議会経営支援部会地域中小企業政策小委員会(第1回) 議事要旨

日時:平成18年10月16日(月曜)15時〜17時
会場:経済産業省本館17階西7第1特別会議室

 滝本経営支援課長から資料3及び資料4に沿って、谷委員から資料5に沿って、また、滝本経営支援課長から資料6に沿って説明の後、議事の概要は以下のとおり。

  • 食品とそれ以外のものとで分けて考える必要があるのではないか。伝統工芸品、服飾や家具と同じ土俵上で食料品を議論するのは適切か。宮城県の加工食品メーカーや加工業者の9割が中小零細企業で、その7〜8割が量販店向けの商売をしている。伝統工芸品の類の商売とは異なる。食品は毎日供給されるものであり、一年に数回或いは生涯に一度も購入されない商品とは異なる。食品メーカーは原料を確保することが困難という供給面での問題、消費者ニーズに応えることが困難という需要面の問題に直面しているため、受注生産が不可能である。また、食品は単価が低く利益率が薄いため、薄利薄売の商売である。食品業界は安心・安全面において法律遵守や消費者からの突き上げの問題に直面している。地方の加工食品業界がうまくいかないのは、量販店の取引条件が厳しいところにある。その実態を流通業界及び消費者が知らないところに問題があるのではないか。食品分野とそれ以外の分野で共通部分と相違部分について、議論してはどうか。
  • 委員長:家具にしても伝統工芸品にしても、必ずしも単価が高いものばかりでない。大川の家具や尾州の手織物には、量販店で取り扱う比較的安価なものもある。必ずしも、全く違う問題点があるとも言い切れないのではないか。議論のターゲットは地域内の異なる資源を地域経済の活性化のために取上げていくというところにある。小委員会の議論では産業間の問題の共通部分と相違部分を仕分けしながら、議論の遡上に乗せていきたい。
  • 企業の勝組と負組の分析をしており、勝ち組には4つのポイントがある。第1は、マーチャンダイジングである。欧米でもデザイナーが明確に存在しており、53週間の消費者の心の変化を捉えることである。企業に時代の変化を捉えることができる一流のデザイナーが存在することが重要である。第2は、ビジュアルアイデンティティである。店舗の雰囲気を変えることで、売上げが10〜15%上がる。提案の仕方である。第3は、雑誌やインターネットなどのコミュニケーションツールを活用して、消費者にPRすることである。第4は、販売スタッフにコストをかけることが必要である。この4要素を掛け合わせることが勝ち組の要件となる。日本ではプロダクトアウトの精神が支配的な企業が多い。工業品としてではなく、商業品として販売するという点から、デザイナーに投資してはどうか。日本ではせっかくよいものをつくっても、上記の4つの要素が欠けていることが多い。
  • 農業と各産業がマッチングすれば、石川県及び日本の農業が変わってくるのではなかろうか。農業と産業とが乖離していることが問題である。もう一つは、バブル崩壊後、日本では価格競争に走りすぎで、品質競争を忘れていたのではなかろうか。悪貨が良貨を駆逐するというが、価格競争で敗れた「敗者」は実は質の高い「良貨」ではなかったのか。質の高い商品が、安価な輸入商品や量産品に駆逐されていることもあるのではないか。これには、流通大手が価格を基準にして商品を選択していることが要因の一つとして考えられる。品質競争を日本でもう一度できるよう流通業者に理解していただきたい。
  • 地域特有の資源というアプローチでいくと、機械産業は地域資源を活用していないため、機械産業を拾えないのではないか。機械産業は、今後、地域産業をリードする有望な産業である。例えば、情報通信技術や交通手段の発達により、高知県では中山間地域に立地して、京阪神の半導体メーカーに小ロットの部品を供給することが可能になってきている。教科書的な立地論から、かけ離れた地域への立地が可能になってきつつある。こうした新たな動きが、地域産業を振興する牽引役になるのではなかろうか。機械産業に関しては、地域資源の利用というアプローチから捉えるのか、別のアプローチから捉えるのか、検討する必要がある。
  • 委員長:地域資源を広めに定義したらどうか。例えば、自然環境、周辺に分業相手が存在していることも資源といってもよいのではなかろうか。そういう点からみると、機械産業は周辺の加工メーカー等を使っていることから議論の枠組みに入ってくる可能性がある。農産物や観光も産地の中の分業を担う企業群である。山奥の半導体のケースでは、山奥は自然環境がよいので、技術者を集めやすいということである。そういう点で資源を幅広く捉える見方もあるかもしれない。資源をどのように捉えるかは、最後に、中小企業政策審議会の答申に盛り込みたい。
  • 全国の産地組合は、地域産業集積活性化法を活用し努力してきた。同法の廃止に伴う影響と地域資源を活用した新たな支援策についての調査を行った。現行の法律の下で、平成15年、16年でも50以上の認定があるが、ほとんどの計画は5カ年であり、廃止に伴う経過措置を考慮いただきたい。これまでは対象地域を狭く捉えていたが、今後は地域及び地域資源を幅広に捉えてほしい。既存の支援策である新連携支援事業などとの峻別をしてほしい。例えば、新連携支援事業では新規性に乏しいものは採択されないが、新規性に乏しいものでも、成功が期待できるものは取上げてほしい。都市部と地域との連携が重視されているが、地産地消の取組みも支援してほしい。
  • 委員長:今の議論を整理すると、従来の集積活性化法が終焉を迎えてその後どうするかということ、地域や地域資源の捉え方を柔軟にすべきということ、生産と市場の連結は重要だが市場は全国だけではなくローカルにもあるということである。
  • これまで地場産業振興等に取り組んできたが、同じようなことのオーバーラップであってはならない。地域資源の取り上げ方として、「さすが国が取り上げる案件だけある」というところを出さないと、「屋上屋を架す」ことになってしまう。新しい芽を如何に取り上げるかなど、「さすが国」というところを出していくべき。
  • 地域の中小企業がうまくいっていない理由として、出口戦略ができていないこととマーケティング戦略ができていない、ということが挙げられる。とりわけ付加価値が地域内に留まらないことが大きな問題である。農産物では付加価値の85%ほどが県外企業に取られている。これを地域内に留めることが重要である。論点にもあるように、地域金融機関の役割としては、より踏み込んだアドバイスである。いくら立派なアドバイスをしても、中小企業には実行する人がいない。立派な設備を与えても、付加価値が他地域に移転してしまえば、その地域の産業としては根付かない。お金を地域に注ぎ込んでも、その付加価値が地域に留まらなければ、地域の産業として大きくならない。IPO志向企業でも必要なのは資金ではなく、人の確保である。中小企業にとっても適切な人材の確保は大きな課題である。この点についても検討して頂きたい。

 滝本経営支援課長から資料7及び資料8に沿って説明の後、議事の概要は以下のとおり。

  • これまでは供給サイドからの接近が中心であったが、新しい価値創造のためには川下からの接近が重要である。動きの早い市場の動向を捉え、市場に商品を供給するだけでなく、市場の要請に対応することが重要である。中小企業は一社の思いが強いため、中小企業間の連携のためには、プロジェクトマネージャーによる調整が重要である。マネージャーによる調整のみならず、更に深掘り支援するなど、ハンズオンが重要。地域振興は、農工の連携、医工、観光を見ながら進めていった方が、成果が出やすい。そのためには、経済産業局のみならず農政局との連携が必要である。中小企業間で作った新しい商品にはブランドがないため、消費者とのマッチングを国が支援しながら市場に出していく必要がある。品質管理や参入障壁を作る必要もある。地域経済を活性化する上で、国と県のみならず、市民団体やNPO、市などがどう連携し、最終的に地域の中小企業の成果に繋げるか。お知恵を拝借したい。市場は地域の目線か全国か、社会的に見ていくかで、物事の見方が変わってくる。中小機構は、地域の資金と一緒になって、ファンド作りや人づくりをやっている。新しい人材を入れ込みながら、地域振興を行う必要がある。
  • 地方分権化の中で、中小企業施策について国、県、市の関係がどうあるべきか難しいところがある。新しい目玉として、地域にある資源を活用するという着眼点はすばらしい。いろいろなものが本県でもやられているが、明確に成果が上がったものは少ない。地方分権化の中で、国にやって頂きたいことは、個々の商品なり、企業の良い事例を如何に助け上げていくかということである。地方はそれを利用して、個別事例を事業化するという役割分担がある。地域産業集積活性化法は、本県でも活用させていただき、それなりの成果はあった。新しく取組む地域資源の活用の具体的なやり方は、新連携やサポイン等と方法が近い気がする。ただ、地域の資源を活用するという意味では、ハードルを下げたやり方で行う必要があると思う。
  • 地域間格差のグラフが出ているが、これは非常に短いトレンドで、有効求人倍率が指標として取上げられている。ある調査では、10年という期間で、人口増加、民営事業所数や従業者の増加率、地方税という指標でみると、沖縄が一番になるというデータもある。長期のトレンドで見ると、有効求人倍率が10年前はさらに低かった、という見方もある。地域資源を掘り起こし供給体制を構築するためには、今治の事例のように海外に輸出し海外で評価を受けて日本に戻すことを行ったり、消費者の高級化志向を考慮して、燕の事例でみられるステンレスのフォークやナイフに漆を塗ったりするような高級品を作る必要があるのではなかろうか。
  • 人は経験のないことはイメージできない。ゆえに、従来にない新しい枠組みを創ろうとする本制度においては、優れたサンプルを見せつけることが重要。誰もがワクワクする夢のある『物語』を仕込み、それを『顔』にして本制度の志とダイナミズムを社会にアピールすべき。新聞やテレビ等メディアともあらかじめ組んでおく。それをパイロットプロジェクトと呼んでもモデルケースと呼んでもいい。たとえば、日本を代表するグラフィックデザイナーと農産物、茶道界の若手リーダーと滞在型リゾートなど、斬新なコラボレーションを実現させる。その際に大切なことは、トップクリエイターの起用、意表を突いた組み合わせ、ブレークスルーを予感させる展開など、地方の人たちにアドレナリンを出させること。「俺たちも変われるかもしれない」と実感させることがエンジンになる。この種のケースでは、制度設計とともに、具体的なプロジェクトを並走させることが大事だと思う。
  • 中小企業の課題は国際競争力である。国外マーケットと国内マーケットを分けて考えるべきである。パリで行われる繊維のオリンピックでは、世界から800社が出展するが、日本の匠の技は世界でも冠たるものである。繊維業界では、機械さえ動かしていれば何とかなったという時代が50年も続いた。「手をつなげ輸入で世界の人々と」とジェトロも言っていた。1999年以降、様々なモノや人が世界に行っている中で、繊維業界は行っていない。流通構造が複雑であることも議論していただきたい。2003年に策定された繊維ビジョンでは、自立支援と輸出振興が柱として掲げられている。先程、「プロダクトアウトからマーケットインへ」という話があったが、繊維業界では「プロダクトアウトからクリエーションアウトへ」という言葉が使っている。「マーケットイン」では売れている商品の真似をして、市場に流通している商品が同一化してしまうため、使用しないことにしている。技術では中国にかなわないので、技術+感性をつけることとしている。
  • 委員長:本日の議論は大きく5点に整理できる。
     第1は、「地域資源」という言葉がキーワードである。産地の技術、農産品、自然、文化も含めて幅広く捉えるのはよいが、その種類によって議論は一様ではないとのご指摘を踏まえ、地域資源の特質にあわせて、次回以降はきめ細かく議論していく。
     第2は、中小企業の課題として、市場及び顧客を意識した製品づくりが重要であり、また、顧客とのコミュニケーションツールとして、ビジュアルから始まり店舗づくり、インタ−ネットなどのツールを活かしたアプローチが重要という点である。
     第3は、中小企業が補完すべき資源として、人的ネットワーク、ノウハウ、資金が挙げられるのでなかろうかという点である。人材の確保が重要とのご意見もあった。
     第4は、これまでに地域の中小企業政策として、新連携支援事業など多様な政策が講じられているが、国、県、市町村のレベルで、重複がないよう、「国として支援するのはここだ」ということを明確にすることが重要という点である。国として実施する政策は、サクセスストーリーを示すことであるとのご指摘もあった。
     第5は、来年度で終焉を迎える地域産業集積活性化法の後継をどうするかという点である。従来の政策は一定の効果があったが、施策が拾えきれていないというご意見もあった。今後、「地域」、「資源」、「新規性」、「対象」等の捉え方などについては、更に検討する余地がある。

−以上−