中小企業政策審議会経営支援部会(第4回) 議事要旨
時間:平成17年11月30日 10時~11時30分
場所:経済産業省 本館17階 特別第1会議室
出席者:(委員)伊丹部会長、上野委員、江崎委員、江守委員、清成委員、小出委員、小森委員、鈴木委員、須田委員、都村委員、寺嶋委員、中村委員、野々内委員、藤本委員、前田委員、水口委員、茂木委員、望月委員、山口委員、山田委員
(事務局)望月中小企業庁長官、鈴木事業環境部長、古賀経営支援部長、川口中小企業庁参事官、山本企画課長、後藤技術課長、山田経営支援課長、吉本製造局企画官
山本企画課長より、資料3に基づいて報告書の原案について説明がなされた。その後、自由討議となった。自由討議においては、以下のような意見が出された。これらの意見を踏まえ、部会長の下で必要な修正を行った上で報告書案をパブリックコメントに付することが了承された。
(支援対象等)
- 「トップ層の厚みを持たせる」というのは大変よく考えられた表現だ。
- 今回の政策は中小企業基本法改正の流れに沿ったもので大変良い。技術別指針によって努力しているが空回りしている中小企業に対して「気づき」、「ヒント」を与えることがポイントで、これにより、彼ら自身がロードマップを作ることが重要。ただ、全く受身の中小企業に「答え」を教えるようなことをすると、そこに多くの企業が殺到して利益に結びつかないことになりかねない。あくまでも「ヒント」を与えて、自分でロードマップをしっかりと書けるような企業を見分けて支援していって欲しい。
- 以前に今回の政策が金属関係に偏っていると言ったが、複合、組合せ等の分野で活用できると聞いて安心した。これからは、強い中小企業の育成のために法案を地方の中小企業へとどのように広めていくかが重要である。
(技術別指針)
- 中小企業の人材育成に関しては、教育現場と連携して政策展開することが必要。個別指針については、技術別指針は内容をわかりやすくして大学や高専等の教育現場に届くようにして欲しい。若者の意欲を高め、教育者にとっても良いガイドラインになるし、中小企業にとっても存在のアピールになる。川上-川下間のネットワークにも教育機関を入れる等情報が教育現場に流れるようにすべき。文部科学省等とも連携して若者を誘引していって欲しい。
- 技術別指針の活用が重要。分かりやすい内容にして企業内勉強会等でも使えるようにすべき。学生に加えて、現に働いている中小企業の若い従業員にもメッセージとして伝わるように工夫して欲しい。
- 技術別指針を作るのは大変良いが、それをどう普及させていくかの視点も重要。指針の普及について報告書でも言及してはどうか。
- 技術別指針をうまく書けるかが重要。そのためにも指針の策定においてコンソーシアム等を想定すると良いかと思う。
- 技術は日々進歩し、社会の変化に応じて製品に求められる性能も常に変わっていく。技術別指針について、現実の世界に応じて不断の見直しを行い、柔軟に変えていくべき。
(人材問題について)
- 中小企業にどうやって人材を集めるか、政府横断的な施策を進めて欲しい。
- 人材の問題で、2007年問題と言われているが、高齢者、特に大企業から出てくる高齢者人材をうまく活用できると良いのではないか。彼らに若者を教えさせる等の取組も面白いのではないか。報告書に若者の人材の記述はあるが、高齢者の活用について言及してはどうか。
- 技術を持った中小企業をどう強化していくかがポイント。現時点で我が国が強みを持っているIT、化学、金属等の分野で10~20年後に今の強さを持続させることが出来るのか。中国の人たちの習得努力はすごく、10年後を考えると、人材は重要であり、今のままでは将来に対して問題を感じる。
(その他)
- 基盤技術が国際競争力を担っており、今回支援したものが特定の大企業のみにしか使用されないのでは意味がない。基盤技術は公共財としての位置付けにあり、力関係から大企業が独占的に使うのではなく、広く使われるようにすべきではないか。また、権利やノウハウが全面的に外国企業に委譲されるのは問題で、どこかで歯止めを掛けるべきではないか。
- メッシュ構造化などの構造変化は規制緩和等の成果としてではなく、個別企業の経営者が強力なリーダーシップをとって頑張って達成したものではないのか。また、P14の「戦略的な製造業の国際競争力を強化する産業政策」とあるが、やや簡略化しすぎているので、P7にある記述のようにもう少し詳しく記述した方が良いのではないか。
- 大変良くできていると思うが、女性・主婦の視点、消費者の立場を踏まえた記述が少ない。実際に消費者の立場を考え、製品を具体化させて指針の策定を行ったらより分かりやすくなるので、その際に主婦等の意見も聴いてはどうか。福祉機器についての記述もあり、これは良いことだが、医療・介護などでも消費者のニーズを聞くことが重要である。
- p5の中段にある技術継承について、技術・技能継承とすべきではないか。また、中小企業にとっても、単にコンピュータを導入するだけではなく、データを処理したり、EDIを進めるなどが重要。ITの活用、情報インフラの整備といった部分に言及できないか。
- 三位一体で小規模企業対策の予算が県へ移り、県のみで政策が決まっており良くない。小規模企業にも国際競争力を持つ企業もあり、こういった小規模企業には、地方がバラバラに施策を行うのではなく、国が政策を行うべき。小規模な製造企業にも使えるような施策にして欲しい。
- この政策は積極的にやって欲しい。イタリアでは、5、6人の中小企業が多くあり、それらが強みを発揮しているが、その秘訣としてはやる気のある経営者に対して十分な支援が行われていることにある。イタリアのファッションが強いのもこのためであり、きちんと対応していって欲しい。政策の宣伝をし、選定したら成功するまでフォローして、成功事例を積み上げていくことが大事。