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経営支援部会(第4回) 議事録

平成17年11月30日
10:00~12:00
経済産業省17F
第一特別会議室

  • 山本企画課長  おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから中小企業政策審議会の第4回経営支援部会を開催させていただきます。
    本日はご多忙のところをご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
    議事に入ります前に、資料の確認だけさせていただきます。お手元に資料一覧がありまして、資料1が議事次第、資料2が委員の名簿、資料3―1というのが「中小企業政策審議会経営支援部会『ものづくりの国際競争力を担う中小企業の技術競争力強化について』(案)」というA4縦長のもの、資料3―2としまして、資料編でグラフ等がついたものが入っているかと思います。そのあと参考資料1は、前回の部会の議事録でございます。漏れなどはございませんか。――それでは、早速ですけれども、これからの議事進行を伊丹部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 伊丹部会長  それでは、今日は最後の報告書をまとめるための部会でございます。前回の部会で今回の政策のターゲットとしてどのような技術レベルの事業者を想定するか、支援の対象となる技術というのはどういった技術であるべきか、支援措置のフレームワークとして事業者の間で情報を共有していただくことを促す仕組みとしてどういったものが考えられるかというようなことについて、さまざまな活発なご議論をいただきました。多くの貴重な意見をいただいたと思います。
    本日はそういった皆様方の議論をベースにこれまでの議論をとりまとめまして、パブリックコメントにかけることになる報告書原案についてご審議をいただく、それが今日のたった一つの議事でございます。その報告書案は既に皆様のところで内々のご説明もさせていただいているかもわかりません。その際にいただきましたご意見等も反映させていただいておる部分がかなりある原案を事務局の方でつくっておりますので、まずそれについて説明をさせていただき、その後、今回もたっぷり時間をとってございますので、自由討議をしていただければと思います。
    それでは、お願いします。
  • 山本企画課長  それでは、説明させていただきます。資料3―1、済みません。タイトルは経営支援部会と書いてあるのですが、部会報告書の案でございます。表紙をおめくりいただきまして、1ぺージのところが「はじめに」という導入部になってございます。簡単にご説明しますけれども、我が国の経済も大分回復の動きが確かなものになってきて、日本の卓越したものづくりの競争力について、社会全体がやや自信を取り戻してきているというような時期にあるのではないかと思いますが、こういう状況を冷静に分析いたしますと、人員とか、在庫とか、いろいろなことを含めて合理化を極限まで追求しつつ、技術の向上に絶え間なく努力していただいている数多くの中小企業が存在しているということがわかると思います。製造業は国富の源泉でございまして、国際市場での競争にも打ち勝つ高付加価値製品を提供していくことが極めて重要なわけでございます。
    この審議会では9月に大臣から諮問をさせていただきまして、これを受けて中小企業の担う高度な技術力とそれが生かされる産業構造・経済システムを日本のものづくり産業の競争力の源泉、本質としてとらえて、その一層の強化に向けた課題と具体的な対応のあり方ということでご審議をいただいてまいったわけでございます。これはその結果をまとめた報告書であるということでございます。
    2ぺージに進ませていただきます。2.我が国製造業の強みの源泉を担う中小企業ということで、ここは現状分析。中小企業がいかなる重要性をもっているか、位置づけにあるかということを書いてございます。
    (1)が中小企業の高度な技術力ということでございまして、新産業創造戦略などにも出てまいりますけれども、我が国の産業の強みの重要な要因の一つとして、製造業の基盤となるすぐれた技術をもった中小企業が数多く存在しているということが指摘されております。こういう製造業の過程に不可欠な鋳造ですとか、鍛造、プレス加工、メッキ、切削など、ものづくりの基盤となる技術を有する川上産業。この川上産業という言葉は、その上3行のところに注をつけてございまして、最終製品を製造、販売する産業というのを川下産業と呼ばせていただいて、それに対応する意味で、川下産業に対して加工サービスや部品の供給等を行う産業を川上産業と呼んでおります。本来は、やはり一番川上の素材をつくるところの鉄鋼ですとか、化学ですとか、そのようなものは入れるつもりはありませんので、厳密には川中と呼んだ方がより的確なのかもしれませんけれども、今申し上げたような鉄鋼ですとか、本当に大企業が担うようなところを入れるつもりはないのですが、余り限定して考えるのもどうかと思うところもございまして、ここでは川下に対する意味で川上と呼ばせていただいております。
    そういう川上産業が多数存在しまして、その技術レベルが高品質、高精度の製品の生産を可能とする卓越した水準を実現しているという点が我が国の強みであるということでございます。
    この部会でもご議論がございましたように、アジア諸国の猛烈な追い上げもみられますけれども、現時点では日本のものづくりに一日の長があるというようなご意見が出ておりました。この高度なレベルを達成した中小企業というのは、単に加工精度、技術精度がいいというだけではなくて、当該技術を具体的な開発課題に適用して解決していく実践的な課題対応、課題解決を行う能力ですとか、技術を経営に戦略的に活用する能力、いわばみえざる資産として個々の中小企業に蓄積されている。このように書かせていただいております。
    (2)はそういう中小企業は、今度は川下にある大企業も含めてコミュニケーション、それからすり合わせなどを行うことによって協調しているというところがまた我が国の製造業の強みだということでございます。3ぺージに進みまして、こういうすり合わせのプロセスを通じて、市場ニーズを的確にとらえて革新的な新製品を生み出すということが可能になってきているわけでございます。
    また、こういうレベルの高い中小企業が数として相当数存在していて、層をなしているということも我が国の強みの要因の一つであると考えられると思います。そういう層をなしている中小企業の方々が協働作業で分担することによって、さまざまな発注に迅速に応じる強靱でしなやかな産業構造が実現している。このようにまとめさせていただいております。
    4ぺージに進ませていただきます。3.がそういう中小企業をめぐる事業環境の変化と構造的課題。どういう課題に直面しているかということを書いてございます。 (1)が事業環境の変化ということで、最近の動きを書いてございます。
    ?が取引関係のメッシュ構造化ということでございます。この部会でも何度もご説明させていただきましたけれども、従来の固定的な系列取引だけではなくて、柔軟に戦略的に取引をするメッシュ構造化といわれるような状況が進展しつつございます。こういう構造変化自体は何もマイナスばかりのことではございません。むしろプラスに作用するものであると思われますけれども、他方でこういうメッシュ構造化のようなことが取引相手を選定するために膨大な情報処理をする必要があって、取引コストを増大させるというような面も無視できないと考えられると思います。結果的に、現実には限られた事業者間での取引関係に閉じてしまうというようなおそれがあるのではないか。一部においては、事業者間の技術シーズとニーズに関する情報の非対称性が顕在化しまして、技術力の高い川上の中小企業がマーケットに近い川下企業が求めている技術開発の方向性やその要求に関する情報を十分に把握できない、必要以上に事業活動に伴うリスクが高まっている可能性があるのではないかということでございます。
    ?は技術レベルの向上に伴うリスクの上昇ということでございます。我が国製造業は既に世界最先端のレベルに達してきておりまして、キャッチアップの時代とは異なりまして、みずから方向性を模索して、高度な技術開発を行う必要がございます。技術開発の成否、あるいはその成果の活用の可能性、市場における評価、こういったものに対する不透明性が高く、リスクが大きくなってきているのではないかと思われます。中小企業はもともと経営基盤が脆弱な体質でございますので、こういうリスクの上昇の結果、研究開発、技術開発への取り組みが抑制されて、製造業の競争力が制約されるというようなおそれがあるのではないかということでございます。
    5ぺージの (2)は、今度は構造的な課題を書かせていただいております。
    ?は経営資源確保の困難性ということでございます。人材、資金、そういった面でやはり中小企業は経営資源を確保することが難しい。この部会でもご意見をいろいろお聞かせいただきましたけれども、人材に関していえば、そもそも中小企業では人材をとること自体が難しい。あるいは、人材が高齢化して、技術承継に懸念が生じている。それから、人が少ないので、自社の技術力を客観的に評価して、知的資産を具体的なニーズにどうやって活用していくかということについて十分検討が行われていないというようなおそれもあるのではないか。場合によっては、従業員の教育を行う余裕がないというような企業も散見されるということでございます。
    資金の面につきましても、これは金融サイドの問題ということかもしれませんけれども、すばらしい技術力をもって開発した成果が必ずしも適切に評価されていなくて、その結果必要な資金調達が円滑にされていないというような事例も見受けられると思います。
    ?は取引関係における課題でございます。中小企業を取り巻く取引慣行の中にはまだ改善の余地のある部分もあるのではないか。やや言い古された例かもしれませんが、典型的な例として鋳物の重量取引などがございますし、6ぺージにまいりますと、中小企業が開発したせっかくの知的財産が大企業との関係で侵害されてしまうようなこともございます。例えば、金型の図面や加工データが流出してしまうというようなこともまだ依然として存在しているようでございます。
    それから、中小企業は本当に技術力が高いということを取引相手に示すために、自分のつくっている製品の精度、あるいは品質を科学的・客観的に評価・証明するということが求められる傾向が強くなっているわけですが、こういうことも中小企業にとっては簡単ではないというようなことがあって、環境整備が不十分ではないかというような問題もあろうかと思います。
    7ぺージに進んでいただきまして、4.がこの報告書の一番のコアになる部分でございます。支援のあり方、具体的な政策展開に向けてということでございます。
    (1)が支援に当たっての基本原則と支援対象ということでございます。新しい中小企業基本法の理念のもとで、全部の中小企業を護送船団で保護していくというのではなくて、前向きにリスクに立ち向かい、努力する中小企業に対して政策支援の手を差し伸べるということが基本でございます。これを大前提といたしまして、どういう中小企業を主たるターゲットにしていくかということについて前回活発にご議論をいただいたところでございますけれども、前回の収れんしたところは、トップレベルの技術力を備えた中小企業者の層を一層厚くしていくということが政策のねらいではないかというところでした。その技術力というのは、加工の精度や速度といったことだけではなくて、コスト削減や環境負荷抑制効果、さらには技術課題、経営課題を発見して解決していくという能力全般を意味する。そういう技術力のレベルでみて、まだ今の時点では技術トップ層にはないものの、日本、あるいは世界的にみても最高水準の技術を実現し得る潜在的な能力を有して、目標に向けて企業努力を続ける、トップの少し下の階層に位置する中小企業を主たるターゲットにすべきではないかというのが大体の収れんしたご議論ではなかったかと思いまして、そのように書かせていただいております。
    こういうことを念頭に置きまして、こういう対象に対して必要な法的措置、予算等の具体的な施策のフレームワークを検討することが重要である。このようにまとめさせていただいております。私どもといたしましては、今日ご議論いただいて、ご答申をいただいく結果となった場合には、こういう基盤技術をもった中小企業の高度化を支援するための立法措置を講ずることにして、次の通常国会に提案したらどうかということを検討してまいりたいと考えております。
    (2)が製造業の競争力に必要な技術の高度化、支援対象となる基盤技術の考え方ということでございます。事前に委員の先生方にお送りしましたバージョンでは、この部分がもう少し前のところに書いてございましたけれども、その後整理をした結果、今からご説明するところは支援対象となる技術をどの範囲にしていくかということでございますので、今の支援のレベルの問題ですとか、支援対象の技術の問題、それから具体的にどんな支援策を講じていくかということをまとめて4.にもってきた方がいいのではないかと考えまして、こちらに移しております。
    今回の政策の大目的はこういう製造業の国際競争力の強化ということにあるわけですが、先ほどのようにその強みの源泉が基盤を支えていただいている中小企業の技術力でありますので、そこを強化することが重要でございます。ただ、限られた政策資源を投入するということを考えますと、高度化を支援する対象としていかなる技術を選定するかということが極めて重要となってまいります。後でご説明申し上げますように、対象とする技術分野につきましては戦略ビジョンといいますか、指針のようなものをつくりまして、それに基づいて支援していくというようなことも考えておりますので、まずどういう技術分野が支援対象かということを見定めていく必要があると思います。
    その場合に以下の基準を重要な判断要素とすることが適当であるということで、これは前回もご説明いたしましたところでございますけれども、3つのことを基準として書いてございます。
    1つ目が?の多様な分野での適用可能性ということでございます。特定の産業分野だけで使われる技術ではなくて、より多くの産業、とりわけ収益や雇用を多く創出する重要な産業分野において必要とされる適用可能性の高い技術を支援対象とすべきではないかということでございます。
    ?は重大性・不可欠性でございます。技術の中にはそれが我が国製造業の競争力強化の観点からみて重大な役割を担っている不可欠性の高いものがございます。例えば、これから非常に注目されます燃料電池には、実はメッキの技術が非常に大きな役割を担っているところです。自動車部品の強度、重量を強化していくということのために、先端的な鋳造技術、あるいはマグネシウム等の新素材を扱う基盤技術が重要になってきているというような例があります。このように当該技術がその品質や性能、開発・生産コスト等の競争力のコアの部分に重大な影響を与えるものを支援対象とすべきではないかということでございます。
    ?が中小企業性でございます。ここは私どもの政策の目的が基盤技術を担う中小企業の技術力を強化するということでございますので自然な流れかと思っておりますけれども、されば中小企業が担うような技術というのはどういう技術かというと、専門化、細分化された分野に非常に高い技術をもっているところがあると思います。一般的にいって、大企業とは違って、余り巨額な資本を投入してやるというのではなくて、細かいところに創意工夫を凝らしてコストを削減していくとか、そういういわば資本節約的と思われるような技術が中小企業の得意とする分野で担っておられるところだと思います。
    大企業の場合はスケールメリットを生かすということに強みがあるわけでございますけれども、中小企業の方は逆に1人で複数の川下の企業と取引を行って、それで十分に規模の経済を生かすというようなところに強みをもっておられるということかと思います。製造業の分業構造の中で、中小企業が相当程度担う生産工程において主に使用され、産業構造全体の高度化に貢献するような中小企業性の高い技術を支援対象とすべきであるというように書かせていただいております。
    9ぺージの下半分のところは、これもこの場でご議論が出た件でございますが、今申し上げましたような基準を満たす技術としてはいろいろ例示してまいりましたようなものがありますけれども、これに限られるものではなく、複数の基盤的な技術の組み合わせから構成され、個別技術の総体として高い付加価値を生み出している、いわば組み合わせ・複合技術と呼ばれるような概念が存在すると思われます。この場でも繊維を使った複合材料が大事ではないかというようなご議論もございましたし、考えてみれば、金型なども切削、いろいろな金属加工の技術を組み合わせて非常にすばらしいものをつくっておられるということかと思います。こういった複合技術というものも当然に支援の対象とする必要があると考えております。この技術分野につきましては日進月歩で技術が進歩しておりますので、内容の見直しを常時行いつつ、広範かつ、柔軟に選定することが大切であるということかと思います。
    10ぺージに進ませていただきます。 (3)で具体的な政策展開のあり方というのでは何をやっていくのかということでございます。
    ?は「基盤技術に関する将来ビジョン・高度化戦略の策定~『技術別指針』の策定~」と書いてございますが、先ほど来ご説明いたしましたように、中小企業においてはマーケット動向等に関する情報収集がなかなか難しいというようなこともあって、技術開発の方向性を見定めることが総じて困難になってきていると思います。こういうことを踏まえて、川下企業が抱えるニーズや技術課題を体系的に整理いたしまして、それらを解決するために川上企業が有するものづくりの基盤技術が目指すべき高度化の方向性を示した技術別の将来ビジョン、高度化戦略を技術別指針としてとりまとめ、広く開示することの必要性が高まっているということかと思います。
    その下にア、イ、ウと3つ書いてございますが、つくるべき技術別指針は3つの機能を有するガイドラインとすることが重要ではないかと考えられると思います。
    アは中小企業自身が自分の技術レベルを確認して、高度化の方向性を見定めることができる。さらにこれまでの事業や取引相手以外に自分の技術がこういうところにも使えるのだという多様な分野があることに気づいていただくことが大事なのではないかという議論がこの場でも先生方からございました。
    イは当然のことでございますが、ビジョンが示されて技術開発が促され、基盤的な技術力が全般的に向上するということでございます。
    ウは逆に川下の企業からみていただいても、そういうことを川上の方でやっているのであれば、自分の経営資源は他の方に振り分けようとか、どういう人と取引をすればいいのか川上企業の発掘の可能性が高まるというような効果を期待できるのではないかと思います。
    11ぺージに進んでいただきまして、?が川上・川下企業間のネットワーク構築、有効な情報共有を進める場の設定ということでございます。これもこの場でも議論が前回も出た件でございますけれども、川上企業の技術力が川下で生かされるために必要な情報共有、あるいは川下と川上とのマッチングというようなことが行われるような環境整備を進めることが重要であると考えられると思います。先ほど出てまいりました技術別指針は比較的抽象度の高い方向性を示していくということかと思われます。他方、実際のビジネスの場では個別交渉で、場合によっては守秘義務をかけてやるというようなことが必要な具体的なやりとりがあると思いますが、その中間と申しますか、実際のビジネスの流れを想定いたしますと、技術力をもった中小企業がニーズを抱える川下企業と出会って、相互に情報交換を行うことを通じて信頼感を醸成しまして、次に進むべき具体的な技術開発契約へと昇華させるということになってくる。ここに行政の役割があって、出会いの場を設定するというようなことがあるのではないかと思います。
    具体的な仕組みとしては、川下産業の方から抱える技術課題を示して、それを解決し得る基盤技術をもった川上の中小企業を求める逆見本市のような形態、逆に川上の中小企業の方々が川下の方々にプレゼンテーションしていくようなもの、多様なものが想定されると思いますので、実態を勘案した有効な仕組みを整備していくことが重要であるとまとめさせていただいております。
    ?は重要度の高い基盤技術への予算措置の重点化でございます。12ぺージに進みますけれども、政策資源も十分でございませんので、選択と集中の考え方に基づいて効果的に我々の予算も使っていかないといけない。したがいまして、中小企業者が先ほど出てまいりました技術別指針を踏まえて行う研究開発の中で、川下企業から求められ、その成果のインパクトが大きい、一方で開発リスクが大きいようなものに研究開発予算を集中投下すべきではないかということでございます。
    また、その予算を執行する場合には、これまでやってきた予算制度の評価を踏まえて、例えば、具体的には川上だけではなく、川下の企業も入って、そのニーズが的確に反映できるようなコンソーシアム形態とするとか、柔軟に目標設定をしたり、途中段階における見直しなどを十分できるようなシステムにすることが好ましいということかと思います。
    ?が事業環境の整備でございます。ここでの大きい問題はやはり人材の確保・育成に関する問題でございまして、なかなか特効薬が少ないところでございますけれども、当省といたしましても、具体的な対応として、例えば地域の中小企業の魅力を学生等に伝える情報発信の取り組みですとか、高等専門学校を活用して実践的な教育などを行う仕組みをつくる。あるいは、技術の承継のために情報技術を活用してデジタル化をする。もちろん技術は全部をデジタル化するというのはなかなか無理なわけですけれども、可能なところをデジタル化して技術承継を促していくというようなことはやっていかなければいけないのではないかと考えております。ここのところは関係省庁が連携して、政府横断的な取り組みを進める必要があるということかと思います。
    資金調達につきましては、やはり先ほど予算も使うということも申し上げましたけれども、これはすべてに行き渡るということにはなかなかなりませんので、やはり金融というものを活用していくことが非常に大事かと思います。13ぺージに行きますけれども、今回の政策目的に誘導を図るために政策金融による資金供給を行うなど、基盤技術の開発に取り組む中小企業の資金調達の円滑化に資する施策を講じることが適当かと思います。
    その次のパラグラフは中小企業が築き上げた生産技術やノウハウ、こういった知的資産の問題についてです。こういう知的資産をどうやってビジネスに活用していくか、そのためにどうやって特許等の形で権利化するのか、あるいは逆にしない方がいいのか、そのようなことについて専門家によるいろいろなアドバイスをするとか、権利化をする場合には、その支援を講じるというようなことが適当かと考えられます。
    取引慣行につきましては、1つは川上・川下の企業間の関係として、価格競争に陥るばかりではなくて、革新的な技術を活用して新製品開発を図るなど、差別化戦略が必須でございまして、川上・川下双方で共通のゴールを見据えた信頼のある自発的取り組みというものが望まれると思いますが、行政といたしましても、必要に応じて代金遅延防止法の厳正な運用ですとか、取引に関するガイドラインの提示など、必要な措置を講じていくべきかと考えております。
    その他、先ほど出てまいりました中小企業が自分の製品の精度などをきちんと証明するための計量機器だとか、検査設備の設置とか、専門家の充実等のインフラ整備も必要かと思います。
    ちょっと長くなってしまいました。最後、14ぺージが締めになっております。米国でもパルミザーノレポート、フランスでもベファレポートというようなものが出て、諸外国でも産業の競争力を高めるという動きがみられております。今回の施策の本質は、川上の中小企業が担う重要なものづくり基盤技術に着目しつつ、そこに川下企業が求めている技術課題の要素を明らかにして、両者の円滑なコミュニケーションを促すことによって、戦略的な製造業の国際競争力を強化する産業政策であると考えております。主役は基盤技術を担っている中小企業でございまして、その中小企業がさらなる技術の高度化に向けた挑戦を続けることが成否のかぎを握っておりますけれども、特にトップレベルだけではなくて、その少し下も含めてトップ層に厚みをもたせることが重要であるとの考えのもとに、それらに続く中小企業に着目した支援策が重要であるという結論に至ったかと思います。
    中小企業は非常に厳しい経営課題に直面しておりますけれども、積極経営が求められており、政策当局、あるいは関係機関にはこういう中小企業の取り組みが円滑にいくように、環境整備に全力を尽くすということが求められているのではないかとことで締めとさせていただいております。
    ちょっと長くなりまして申しわけございませんが、説明は以上でございます。
  • 伊丹部会長  熱の入った事務局のご報告でやや長くなりましたが、これから先は委員の皆様のご自由なご意見をいただきたいと思います。例によりまして、どなたからのどういう発言でも結構でございます。今日は余り議事整理をいたしませんので、皆さんのご自由なコメント、ご意見をちょうだいしたいと思います。どなたからでも結構でございます。どうぞ。
  • 茂木委員  大変意欲的な内容にまとめ上げていただきまして、事務局のご労苦に対しまして感謝したいと思いますが、せっかくの今回のスキームをより発展させていくためには、私はもう一工夫必要であるように思っております。その際にポイントとなりますのは、これからの中小企業の担い手となる若い技術者の卵たちを今回のスキームに巻き込んで、生産現場だけではなくて、教育現場とも直結させた施策展開をしていくことが重要であり、これによって現有技術力の向上という、いわば技術力のストックの面だけではなく、これから参入してくるフローの面まで視野に入れていくことで政策的広がりがより広範なものになり得るのではないかと考えております。
    具体的にどういうことかといいますと、業界の有識者の方々が集まり作成される、これからの方向づけをする貴重な技術別指針をぜひとも全国の大学、高専、工業学校等の教育訓練を行っている現場に届けていただきたいと思うのであります。今、現に技術者を志願して勉強している若者にとりまして、この技術別指針なるものはわくわくするような情報であり、次なる目標として大いに啓発されるものであろうと思います。それを教育現場につながない手はないのではないかと思うのであります。
    また、こうした学生を教える教員の側にとりましても、教育指導をしていく上で、この日進月歩の激しい時代に得がたいガイドライン足り得ると思います。さらに中小企業にとりましても、みずからの存在をPRするまたとない機会になり得るはずでございますし、そうしたことはそのまま中小企業の生きた求人情報にもなり得るでありましょうし、中小企業を身近に感じさせ、魅力を感じてもらう十分なツール足り得ると思います。
    さらに欲をいえば、川上・川下企業間のネットワークの構築を考える際に、中小企業と大企業の現場だけでなく、教育現場とも結びつけていただいて、例えば、川上・川下フォーラム等の情報なども含めて、中小企業庁が仲介役になって、その種のホームページを開設するなどして発信源となって、可能な範囲で情報の共有が図られていくとするならば、若い技術者の卵にとりましては、大いに刺激されて意欲づけられる面もあろうかと思います。
    こうした情報の発信力を通じまして、技術力の普及の面でのすそ野を広げていく努力、若者を誘引していく努力も大切なことのように思います。当然のことながら、文部科学省等との連携も不可欠になろうかと思いますが、この機会に可能であればご検討いただければ幸いと存じます。
    私からは以上でございます。
  • 伊丹部会長  今のご意見は12ぺージの?「事業環境の整備」の2番目のパラグラフの一番最後のところの「関係省庁が連携した政府横断的な取り組みを進める必要がある」という、ここらあたりにもっと書き加えよというご意見ですか。
  • 茂木委員  もっと踏み込んでいただければありがたいなという意見です。
  • 伊丹部会長  なるほど。わかりました。しかし、部会長としては大変うれしいアイデアです。
    他にはございませんでしょうか。どうぞ、須田委員。
  • 須田委員  今のご発言にも関連するものですから一言申し上げたいと思います。前回ターゲット論を提起しまして、このようにまとめていただいたことについて了解といいますか、よく理解いたしました。そのことについては何ら申し上げるつもりはございません。例えば、「トップ層に続く層の厚みをもたせる」等々の表現は非常に苦心のにじんだ感じもいたしまして、大変敬服しております。
    一言だけ申し上げたいことは、ちょうど12ぺージの話が出たものですから、やはり技術別指針自体はそういうトップレベルに近いものであるということの認識は結構なのですが、それをどのようにうまく生かしていくのかということについてです。それを多くの関係の方々が、あるいは現実に今この基盤産業に従事している若者も含めて、彼らが例えば時には企業内の勉強会をしようかというようなときに使えるよう、この技術別指針をごくわかりやすくかみ砕いたとものになるよう工夫をしていただければと思います。そのことは前回申し上げましたように、こういう基盤技術の問題を取り上げたということが現実に今働いている若者に対するメッセージになるのではと思います。10年に1回か、めったにないことだということがメッセージとしても伝わるわけでして、そのような意味で、学生等に伝えるというさきほどのご発言にも関連しまして、それも非常に結構なことだと思いますが、あわせて、現実に今従事している、特に基盤技術を担う若者に対して、とにかく活字離れといいますか、字を読むのが嫌いだとか、今大分ふえているようでございますけれども、そういう方々にもなるべく取り組めるようなものであると良いと思います。少なくともこの意味はこういうことなのだということがかみくだいて伝わるように工夫されるとすばらしいなと考えています。以上です。
  • 伊丹部会長  役所がつくりそうな難しい文書でとどめておくなということでございますね。ありがとうございました。
    他にはご意見ございませんでしょうか。はい、都村委員。
  • 都村委員  この答申といいますか、この案につきまして、異論はございませんけれども、ただ、最近なのですが、一概に中小企業と申しましても、特に小企業の予算というものは三位一体改革で、ほとんど県の方に行っているような状況でありまして、私どもからすれば、中小企業といっても、もう小企業の方は県サイドですべて政策が決まるような考え方を皆さんもっているわけです。これは大きな誤りであります。私どもの地元で2人か3人の国際競争力を持つ小企業やオールジャパンで推進する製造業について県サイドでばらばらと支援していくというようなことは誤りだろうと思います。やはりこういったところの製造業については、大きな意味での中企業、小企業、全部を合わせたところの施策としてやっていただきたいということで、このようなことを受けとらせていただきました。ということは、中小企業といいましても、特に小企業の製造業についてはぜひひとつ重点といいますか、力を入れていくような形のものをとっていただけたらありがたいというような気持ちで読ませていただきました。
    以上です。
  • 伊丹部会長  今のご意見は先ほど須田委員からもお話のございましたターゲット層をどこに設定するかという問題と関連いたします。小企業ということを強調してしまいますと、トップのその次ということと必ずしも重なる小企業もあるでしょうし、重ならない小企業もある。そういう意味で、ターゲット層というのはトップの次に行くようなところというので、それが2、3人の企業でも別に廃除することは全くない。そのように理解していただければよろしいのではないでしょうか。
  • 都村委員  結構です。
  • 伊丹部会長  他には。どうぞ、山田委員。
  • 山田委員  まさに基盤技術力が国際競争力を担うという意味で、そこを担っている中小企業に対して非常に大きなメッセージを与えるものとして、今回のものはすばらしい政策だと思います。それで、今回のものが国際競争力という点と基盤技術という点にかんがみて、1つは前回もちょっと申し上げたことで、懸念しているところは、特定大企業だけに独占使用されるような、それを強制されるといいますか、そのようになってしまうとちょっと何にもならないのではないかということです。一転、川下の大企業等も含むというスキームになっておりますので、ある程度優先的な利用はやむを得ないといいますか、これは当然あり得ることですけれども、それが取引慣行の中の力関係で、中小企業側が独占使用をされてしまって、他には利用されないというのでは、今回の基盤技術というものが一種の公共財的な役割を果たすという意味からするとちょっと問題になるのではないかと思います。ですから、それをどのようにフォローするのでしょうか。
    もう1つ、それよりももっとまずいケースとして、外国企業にそのまま権利を持ってかれてしまう、開発したものがそのままそっくり全面移譲されてしまうというケースです。あるいは、権利、ノウハウが全面移譲されてしまうというようなことだと、今回せっかく国際競争力を国内に維持させるという点でこの政策を出されるわけですから、その辺はどこかで歯止めがかからないといけないという感じがいたします。したがって、前に触れていただいたのですけれども、中小企業だけの連携体についても可能かどうか、その辺のお考えだけ確認させていただきたいと思います。
  • 山本企画課長  前回もご説明を申し上げましたように、実際に私どもがやっている研究開発のプロジェクトをみますと、中小企業だけで課題に取り組むよりも、むしろ大企業というよりは本当は正確にいうと川下の企業ということですが、そういった企業がちゃんと入っているようなことで課題設定が非常にうまくできていて、あるいは必要な助言も得られてうまくいっているというようなところがあります。ですから、私どもとしては、中小企業だけでやらなくてはいけないというような制約を設けるべきではないのではないかと思っております。ただ、必ず大企業が入らなくてはいけないかというと、別にそんなことにする必要はないと思っております。
    それから、そういうコンソーシアムを組んで、現実に成果として出てきた技術についての例えば特許とか、そのようなものをどのように考えていくか、処理していくかということについては、確かに委員のご指摘のような問題もあって、そういったものがすぐに外国に行ってしまうとかいうようなことになると、政策の意味が薄いのではないかというようなこともあるのでよく考えないといけないとは思っております。
    ただ、実際のビジネスの場で中小企業、あるいは場合によっては大企業も含めていろいろ研究開発に当たった部分の成果を、例えばどこまで規制するのがいいのかということについてはまた慎重に考えなくてはいけないところもあると思うので、実際制度を動かすときにまずいことにならないようにうまく考えていきたいと思います。
  • 伊丹部会長  今の課長のお答えのように、具体的に政策を実施していく段階でのご注意のご意見があったというように受けとめればよろしいのか、それともこの報告書の書きぶりがそういう懸念を起こさせるような書きぶりになっているのでしょうか。私には余りそのように読めなかったのだけれども……。
  • 山田委員  フォロー体制をという意味です。
  • 伊丹部会長  わかりました。では、報告書としては別に特に大きな問題ではないと。
  • 山田委員  はい。
  • 伊丹部会長  他には。どうぞ。
  • 藤本委員  趣旨としては大変すばらしいと思います。特に中小企業基本法で、今までの中小企業なら何でも助けるというのではなくて、努力する中小企業ですね。ぜひこの流れに沿ったものでやっていただきたい。多分今回のもので主要なターゲットとなるのは、努力しているけれども、空回りしている中小企業といった辺りだと思います。要するに、何か足りないということだと思います。そこでこの指針ですが、将来ビジョンをつくり、高度化戦略をつくり、技術別指針を策定するということで、これはうまく使えばすばらしい道具になると思います。しかし、もろ刃の剣ということもあると思います。下手すると、とんでもないことになる。これはここの書きぶりが云々という話ではなくて、その先の話だと思うのです。多分具体的な政策のところだと思うのですけれども、お考えいただいていると思いますが、ちょっと確認です。恐らくここで実際に出ている気づきだとか、ヒントだとか、そういうのがこれの趣旨だと思うのです。今いった努力をしているけれども、空回りしているような会社があるとしますと、そういうところがこれをみれば、それをヒントとして自分のビジネスモデル、自分のビジョンをつくるというように気づきの材料にするわけです。あくまでも自分でロードマップがかける、自分で道を開けるというような中小企業を集中的に支援するというのが多分趣旨だと思うのです。
    一方において、口をあけて待っているタイプの会社がまだたくさんいるわけです。そういうところがこれをみますと、下手するとこんな指標が出た、何やれということが書いてあるではないか、このとおりやろうと思い、これを全く受け身にとって、いわれるとおりにやりましょうということになります。そういったものがわいわい出てきますと、よくあるパターンで、ここで何回か話したこともあると思いますけれども、ちょっとヒントをお上から出したところに皆さん殺到してわいわいやるものだから、そこでは利益が全然出ない、不毛の場になってしまうわけです。何のための政策だという話になるというケースが過去にもあったと思うのですけれども、くれぐれもそっちの方にならないようにご注意いただきたい。あくまでもこれはヒントであって、これをみて自分のロードマップがかける人、かいてもってきた人に対して評価する場合の注意です。つまり、そのときにWhatで評価しないようにということです。これはいうまでもないと思うのですけれども、何をやったらほめられるみたいなことをやりますと、またヒントがここにあると、それをやればいいのだとかいって、またわっと殺到してしまうことになりますので、どう取り組んでいるかをしっかりと評価しなくてはいけません。実際にロードマップがちゃんとかけているか、Howのところで評価をするというようなところがはっきりすれば、実際に努力しているけれども、空回りしているみたいな人たちが救われるという趣旨に沿った方法になるのではないかと思うわけです。ちょっと蛇足ですけれども、そのようなことを考えました。
  • 伊丹部会長  ありがとうございました。全く同感です。14ぺージを開いていただきますと、一番最後のパラグラフに具体的に仕組みをどう設計するか、技術分野の選定をどうするかというのは、やはり学識経験者など、幅広い有識者から意見を聴取して、今後精力的な検討をすると書いてございますので、藤本先生のご協力をぜひ。
    他には。はい。
  • 小出委員  今回の内容については、私も積極的にやってもらいたいというわけでありますが、たまたま去年、イタリアの中小企業が非常に強いということなので、私自身、見学をさせてもらったときに非常に感動したことがございました。イタリアというのは5、6人の本当に中小零細の集まりなのですが、ここで聞いたのは、要するにやる気がある経営者には、必ずそれに対して支援する体制がつくられているのです。日本との違いというのは、日本はどっちかというと、中小企業を保護するというようなことでやってきた。しかし、これから先というのは、やはりやる気のある経営者に対してきちっと支援をするという体制をつくっていかないと、恐らく世界の中ではとても対応できない状況になってくるのではないかと思います。何でイタリアのファッションがあんなに強いかというのは、そこに根底がある。例えば、中小企業の中でも5、6人の零細企業の中で、これを輸出したいということをあるところにもっていくと、それに対する支援体制をきちっと支援してくれるのです。それが理念だろうと思うのです。
    今回の施策について、1つは中小企業庁にやってもらうと同時に、選定したら、それが最終的に成功するまで徹底的にこれを育成するというか、面倒をみていく。その成功事例をつくることがやはり次のステップにつながってくるのではないかと思います。
    恐らく今の日本の中小企業そのものはただ待っているだけだったら、つぶれるところはいっぱいあるでしょう。やはり意欲に対して支援するという体制をこれからつくっていかないと日本の中小企業は守れないのではないかという感じがしますので、ぜひそういう視点で、この中身をそういう形で推進していただきたいと思っております。
  • 伊丹部会長  まさにそういう趣旨でこの報告はつくられていると思います。
    他のご意見はいかがでしょうか。寺嶋さん、どうぞ。
  • 寺嶋委員  今度の案はこれまでの審議の内容をさらに反映していると思いますので、余り本質的なところでは異論はないのですが、ちょっと気になったところだけ2点申し上げたいと思います。
    4ぺージの3.の (1)の?の2つ目のパラグラフで、要するに、産業構造といいますか、取引の構造が変わってきたというところで、「かかる構造変化自体は、基本的に産業全体の競争力強化にとってプラスに作用するものであり、これまでの政府の規制緩和等の制度改正の成果のあらわれともいえる」というくだりがあるのですが、このような変化というのは、果たして規制緩和によってもたらされたものなのだろうかという疑問がちょっとあります。これはごく端的にいえば、日産自動車の再建に登場したカルロス・ゴーン氏が強力なリーダーシップでコストダウンに努めたプロセスで、系列取引にこだわらないで価格を引き下げようという方法が成功し、それが他企業、他産業にも広がったということが実態ではないかと思うので、政府の規制でそういうことができなかったということは本当にあるのかどうか。もう1点は修文の問題なのですが、14ぺージの「おわりに」のところの3つ目のパラグラフで、今回の政策は戦略的な製造業の国際競争力を強化する産業政策といえると。短い文章なのでこのようにならざるを得なかったのかとは思いますが、それより前のパラグラフではもう少し丁寧に、7ぺージでしたか、「家電、ロボットなど今後需要の拡大が見込まれる戦略的産業分野を初めとして、日本の製造業の国際競争力を強化することにあり」と書いておられるのです。今までの審議の中でもこの議論、随分あったと思うのですが、終わりのところが少し簡略化され過ぎているように思います。戦略的な産業とそうでない産業がはっきりと2つに分かれるのではなくて、無限のグラデーションというのがあると思いますので、例えば、戦略性の高いとか、戦略的価値の高い製造業をというようにしていただけたらと思います。
    以上です。
  • 伊丹部会長  他にはご意見ございませんでしょうか。はい、中村委員。
  • 中村委員  中村でございます。とても上手に難点なくまとめていただいて問題ないのですけれども、若干女性の立場とか、主婦の立場とか、そういう視点がやはり少ないかなという気がいたします。ですから、実際の消費者の立場、生活者の立場からこんな商品が欲しいな、こんなものづくりがあったらいいなというようなものがどういうルートで商品に反映され、産業として伸びていくかという点をもう少し加味されるともっと身近に感じられるかなという気がするのです。
    そういう意味では、具体的には、例えば14ぺージの一番下に、「事業者や学識経験者など幅広い有識者」に聞くことについて、有識者というよりはもう少し主婦とか、消費者自身の意見も聞く場をここに盛り込まれたら、具体的でピンと来るかなという気がいたします。その前にも、新製品の開発は福祉サービスの事業になるという9ぺージのご指摘もとてもいいと思うのです。やはり高齢化で高齢者がこんな商品があったら便利なのにというようなものをものづくりに生かしていけば、これが福祉政策にもなっていくわけですから、そうした意味では、医療や介護の現場の声を入れるとか、もう少し具体的なものがところどころちらちらとこの文章にあるとより具体的になるのではと思います。大体盛り込んではあるのですが、例えばこういう声を聞いてつくっていくというような具体例があるともう少し全体の文が何をいおうとし、具体的に何をイメージしているのかが伝わってきて、わかりやすいかなという印象を持っています。
    以上です。
  • 伊丹部会長  その種の例示を加えた方がいいところがありそうな気はいたしますが、例えば、今、中村委員が最後におっしゃった例示のところですと話が難しいのです。最終製品をつくっている企業が消費者とさまざまな対応をする。これは非常にわかりやすいのですが、最終製品をつくっている人がさらにそのために必要な素材や部品を供給する人と話し合う場に主婦がいても、主婦は困ってしまうのではないかと思います。ここでは既に生産段階の上の方に移った話をしておりますので、そこではちょっと入れにくいかもわかりませんが、福祉のところなどは何か例として入れられると思いますが、そんなところでよろしいですか。
  • 中村委員  はい。
  • 伊丹部会長  他にはご意見ございませんでしょうか。どうぞ。
  • 藤本委員  忘れたというか、今気がついたのですが、12ぺージの人材のところについて、書くか書かないかは別として、高齢者について申し上げます。今、我々が取り組んでいることなのでちょっと我田引水なのですが、例えば、大企業から大量に高齢者の定年退職者が出てくるという、いわゆる2007年問題というのがありますが、うまく回る仕掛けをつくると、そういう人たちの中で、一部の人たちは引き続き65ぐらいまでは大企業に取り込まれていくと思うのです。もう少しつぶしのきく中小企業でも教えられます。場合によっては近所のスーパーマーケットでも教えられますというようなオープンな形でのものづくりインストラクターをつくっていくような仕掛けがうまくできますと、大企業から大量に指導、改善等々のできる人たちが出てまいります。この人たちをそのままほうっておくと根無し草みたいになってしまうわけですけれども、うまく利用できるのではと思います。実は我々ずっといろいろな人と話をしていて、60歳以降も引き続きものづくりにかかわっていきたいという意欲をもっている方はかなりいらっしゃる。値段的にも折り合うのではないかというのが我々の今の事前調査でわかっているところです。具体的な値段はいいませんけれども。
    ここで若者の話がずっと書いてあります。これは全くそのとおりだと思うのです。と同時に、とりあえずそういう高齢者の方々に入っていただいて、その人たちに若者を育ててもらうというワンクッションを置いたやり方もあると思います。そのための人材的にいうと、物すごいチャンスが2007年に来るという見方もできるのです。その辺ちょっと言及する必要もなければそれはそれでいいのですが、我々としてはそのような人材のことを少し考えているのです。その辺、いかがでしょう。
  • 伊丹部会長  シニア人材の活用という観点の言及をしておくというご発言ですね。
  • 藤本委員  はい。
  • 伊丹部会長  それはそうかもしれませんね。
  • 山本企画課長  現実に我が省でも企業のOBをうまく活用する。そういう方を中小企業とマッチングするとか、そのようないろいろな事業もやっておりますので大事な視点だと思います。
  • 伊丹部会長  他にはございませんでしょうか。どうぞ、鈴木委員。
  • 鈴木委員  今回の答申で、いわゆるものづくりの競争の源泉ということについて、技術力のある中小企業群という、その厚みというものを確認し、それに対して、今後、中小企業を維持するために技術別指針という非常に付加価値のある情報を提供するという考え方になっていると思いますので、全く賛成でございます。むしろこの技術別指針というのは大変難しい作業だろうと思うのですが、それをつくった暁には、それをどうやって中小企業なり、あるいは自治体を含め、各種支援機関に普及させるかというところが課題かと思います。1つの手段として、ビジネスマッチングというのが提供されると思うのですが、ビジネスマッチングの他に、技術別指針の普及、周知、その活用の促進が大事かと思います。
    私どもそのような支援機関として、これを活用させていただきたいと思うのですが、そういった活用という面で、自治体を含め、あるいは各省、先ほど来教育の現場といいますか、そういったところにも技術別指針を活用していただくような前提になっていると思いますので、報告書の中でもう少し普及や活用の促進について触れてはどうかと思います。いわゆる技術別指針をつくることについてのいろいろな意見、あるいは情報共有を進める「場」についてもいろいろとありますが、むしろそれ以外にも、苦労してつくる技術別指針が大いに活用されて、教育の現場なり、我々の支援機関なり、あるいは地域の中小企業を支援する自治体にあまねく普及させるといった考え方を少しどこかににじみ出していただければありがたいなと思います。
  • 伊丹部会長  なるほど。先ほど何人もの委員の方から技術別指針なるものを活用する仕方について、もっと工夫をするというようなことをちゃんと書いた方がいいと。これは恐らく12ぺージになるのですかね。技術別指針の後に1つ、むしろ項目をつくった方がよろしいのかもしれません。先ほど茂木委員がおっしゃったような例示も含めまして、そういう活用のための万全の対策を講じるというようなことを書き込めるものなら書くという方針で、事務局、よろしいですか。
  • 山本企画課長  はい、わかりました。
  • 伊丹部会長  ありがとうございました。どうぞ、江守委員。
  • 江守委員  事前にこれをちょうだいいたしましたので読ませていただきました。大変うまくまとまっておられると思います。特に技術をもった中小企業をこれからもどう強く特化していくかということに対しての一番大きなポイントになるのだろうと思うのであります。
    今のところ私どもは化学をやっているわけでありますけれども、化学にしましても、繊維にしても、金属、IT等につきましても、日本の中小企業は世界でもかなり強いです。今のところはかなり強いのですけれども、これは果たして、あと10年、20年、今の強さをこのまま持続できるのであろうかということに対して、私ども海外で合弁会社をつくって、向こうに研究所をつくりながら、特に中国などではやっているのでありますが、そこでは中国の若者たちの勉強の習得力が異常に早いと思います。かつての日本の30年代と申しましょうか、あのように燃えるような生産に対しての思いというのが今の中国の若者にはあるのです。
    そういうものを思いますと、果たして10年後、今すばらしいいろいろな手だてをしておりますけれども、どう進めていくでしょうか。技術力、特に新しい技術力を中小企業がさらにどのように培っていくのか。先ほど皆さんからも出ましたけれども、やはり若者の人材という問題になります。どのように若者の人材をそういう方向へもっていくのか。現場でやっておりますと、そういう点について、将来に対しての若干の危惧を感じるわけであります。
    それから、また初めのころにおきましては、どうもこの案は金属に偏っているのではないでしょうかというご提案を私の方で申し上げたのですが、いろいろお話を聞いてみて、また経産省でお考えになっておられる複合技術とか、組み合わせ技術とか、そういうものを展開しながら金属だけではないということでした。いろいろな分野において、これは中小企業に活用できるという方針を承りましたので、これは安心いたしました。ひとつこれを地方においても大いに勧めていきたい。
    この法案ができ上がりまして、我々はこれをどういうぐあいに今日の中小企業に説明していくか、これに相当ウエートをかけなければいかんなと思います。強い中小企業をつくるということが一番大きなポイントだと思います。そうでなければ、中国にやられる。発展途上国にやられるということです。業種によってはやられかけております。だから、どうして強い中小企業をつくっていくかということを我々自身が考えなくてはいけないということを皆さんに申し上げているわけであります。
    大変すばらしい、こういうものができ上がったのを喜んでいる次第であります。どうかよろしくお願いいたしたいと思っております。
  • 伊丹部会長  ありがとうございました。
    他にはご意見ございませんでしょうか。どうぞ、望月委員。
  • 望月委員  13ぺージの最後の3行のところ、その他で始まる書き方が実は具体的にはどんなことをイメージしているのかよくわからないのですが、先ほど技術別指針云々とずっとお話が出てまいりまして、そういう技術別指針のレベル云々というところがここのところに書き込まれているのかというように思うのですがどうなのでしょうか。
    それから、12ぺージの中小企業で働く従業員に対する教育であったり、中小企業にいかに若い人たちを引っ張ってくるかというところの話について、茂木さんなどからすばらしいお話がありました。中小企業にいかにいい人材をもってくるかという意味では、今までも課題がいろいろあり、いろいろなことをやられている。インターンシップみたいな制度があってやってはいるのだけれども、そのときに一番問題になるのは、どうやって企業と教育の現場、あるいは生徒とうまくつなげてあげるかということです。そこの人材がきちっとしていると、本当に魅力的に感じ、私はここに就職して、ここでずっとやっていくのだという気をもたせることができるのはないでしょうか。そこがミスマッチになってしまいますと、もうとんでもないという話になっていくわけで、そういうところを関係省庁が連絡して横断的な施策をうまくやれるような手だてをぜひ考えていただきたいと思います。
    それから、だんだん後ろから来て申しわけありませんが、9ぺージのところにさかのぼって、山本課長の説明の中でもありましたが、技術の変化というのは大変激しいものがあるわけでございます。今の組み合わせ技術、複合技術という表現の中で読まれるのかもしれませんが、上げられてくる幾つかの技術があるのでしょうけれども、ここについてはこれからの進歩の状況等をみながら、ぜひ柔軟に対応していただくようにお願いいたしたいと思います。
    それから、もう1点。これは私の読解力の問題なのかもしれませんが、2ぺージの2. (1)の中段のところに、実際すぐれた基盤技術は云々と書いてあって、4行ばかりあり、昨今このような云々と次の段落に入って、3行あって、しかしながらとなっていきますが、ここのところ、さらっと読んだときに、しかしながらというところで、その先7行ぐらいの部分に対して、しかしながらといっているのではないだろうか。だとすれば、これは段落を変えた方が文章の意味としては分かりやすいのかなと思いました。これは余分なお世話で、私自身の読解力の問題かもしれませんが、指摘させて頂きました。
  • 伊丹部会長  最初の点については、何か事務局の方から説明はございますか。
  • 後藤技術課長  最初のご指摘は、13ぺージの一番下の3行につきまして、どういう背景で何をやるのかというご指摘かと存じます。6ぺージをごらんいただきまして、一番最後の5行ほどでございます。6ぺージのあたりは、これまで直列であった取引構造のメッシュ化が進んでおりまして、中小企業もいろいろなところに営業していかなければならず、川下の方も一層最適な取引をしていかなければならない。そういう中で個別の中小企業が達成する品質ですとか、製品の精度というようなものがより客観的に評価される必要があるということです。それによってメッシュ化した取引も助長する、という流れがこの6ぺージのところで伏線として書かれております。
    それで何をするかが13ぺージです。具体的には地域で中小企業が製造しましたものの品質といいますか、精度を絶対的にはかるような、端的にはメートル原器のような計量器と、はかる人や設備などを地域に立地させようということです。現在、予算要求しているところでございまして、例えば、自治体が関係する支援機関ですとか、工業技術センターですとかに設備を置きます。そうすることで、地域の中小企業は割とアクセスが容易になりまして、自社の製品や技術の精度を確認できます。そうすると、地域にいましても世界のマーケットにアクセスがしやすくなるということでございます。
    あと、山田委員から、研究開発をするときに、大手企業と一緒にやることで、技術が独占される弊害が生じないかというご議論がありました。これから制度を設計していくところでございますが、基本的には川下の企業が一緒に組んでやることが従来の戦略基盤技術研究開発の制度の成果からも、現場の技術と需要への接続という意味で、非常に有効と思っております。技術の分野や事情によりましては、中小企業中心にやることも大事かとも思います。中小企業だけでやる場合には、従来からの補助金制度なども別にございますので、その辺のこととの兼ね合いで考えてまいりたいと思っております。
  • 伊丹部会長  それでは、他にご意見。野々内委員。
  • 野々内委員  この政策の対象をどうするかというのでトップ層の厚みをもたせるというのはなかなかいい表現だなと。トップだけを引っ張り上げるのでもないし、一般レベルを上げるのでもないしというので、このトップ層の厚みをもたせるというのはなかなかよく考えた表現だなと思います。
    それから、この政策がうまくいくかどうかというのは、やはり技術別指針がうまく書けるかどうかという点にあるかなという感じがいたします。それで2つ、気がついたことを申し上げます。1つは、12ぺージの予算執行の仕組みのところで、コンソーシアムのことが書いてありますが、技術別指針をつくる段階でコンソーシアムのようなものの存在を想定してもいいかなと思います。それによって、具体的に実行可能な目標が書けるのかなという感じがいたします。それをつくることによって、補助金が事前に想定されるというのは不公正かもしれませんけれども、何かそういった技術に関する情報の共有の場というのがあってもいいかなという感じがしました。
    もう1つは、指針をおつくりになって、年に1回締め切りを決めてつくるというのではなしに、最終製品の機能などはどんどん進歩していくわけですから、設計もどんどん変わってきます。また、一たんつくった指針で何ミクロンというような数字もやはり世の中の進歩に応じて変わってくるかもしれないし、あるいはもう外国でつくってしまったようなものは陳腐化するでしょう。指針というものは現実の世界の動きに従って常時見直しをし、あるいは新しい分野を考えていく必要があるのかなと思います。その辺をちょっとどこかに表現した方がいいような感じがいたしました。
    以上でございます。
  • 伊丹部会長  ありがとうございます。
    他にはご意見はございませんでしょうか。もしございませんでしたら……どうぞ。
  • 上野委員  中小企業の経営者の上野でございます。今回の支援策についての案というのは、中小企業庁がとりまとめて、ものづくり力を強化していこうということについては、私は大変高く評価できると考えています。私どもがご提案した内容がかなり色濃く反映しておりますので、現場に即した提案が非常にしやすいような内容だと思っております。
    1つ提案申し上げたいことがございます。ものづくりをより強くし、維持向上していこうという方針に対してです。今現在、私どものものづくりの技能と技術というのは大変高いレベルにあると認識しています。しかし、この案の中にものづくりについてのことが詳しく書いてあって、さらに情報ということをかなりちりばめてあるのです。4ぺージ、5ぺージ、6ぺージ、7ぺージ、10ぺージから。私どもは、中小企業でものづくりをするというのは、単なる加工のプロセスで非常に強い力をもっているということプラス、ITをしっかりと入れ込みませんとうまくいかないということがあると思っているのです。コンピュータを導入している中小企業はもう70%を超えていますので、当然情報の交換というのはできるわけです。しかし、ものづくりをする上ではデータベースを積み上げていくとか、そういうことが極めて重要でございますので、その面でのITということが10ぺージからの具体的な政策展開の中で、12ぺージのところにぜひそういうITの基盤整備ということを入れる必要があるのではないかと私は考えているのです。
    それで、5ぺージのところにもまさに重要な指摘があることで、それをちょっと提言したいのですが、経営資源確保の困難性というところで、真ん中辺のところです。人材のところの2行目でございます。社内での技術継承に懸念というところでございますが、中小企業の場合は技能があって、技能を技術化していくわけですので、技術・技能の伝承というようにしていきたいのです。そういう言葉にした方がいいのではないかと思っています。
    もう1つは、中小企業のものづくりを強化する上では、受発注にEDIを使ってやっていくということが非常に重要ですし、今、内閣府で進めているIT戦略本部の中でもIT経営という企業と中小企業のものづくりとITの強化というようなことを折り込んでございますので、今回の政策の中にもそういう考え方を早目に取り込んでおいた方がいいのではないかなと考えています。
    以上でございます。
  • 伊丹部会長  修文の方についてはそのとおりかと思いますけれども、ちょっとITのことまで翼を広げ始めますと、報告書としての焦点がややぼけるかもしれないという危惧を感じます。上野委員と私は総理官邸のIT戦略本部の本部委員でございますので、そちらの方で書かせていただくことで、この報告書はちょっと勘弁していただいた方がよろしいのではないでしょうか。それでよろしいですか。
  • 上野委員  基盤整備のところで少し触れておく程度にしておいていただいて、やはり中小企業のITはかなりおくれていますので、ものづくりとITというのは非常に強い。私はそのようなことを少し触れておいていただける程度でいいと思っているのです。
  • 伊丹部会長  12ぺージあたりで情報インフラの整備というような言葉が出ているので、そういうところでちょっと書き込みますかね。
    他にはご意見はございませんでしょうか。――もしこれ以上、特段のご意見がございませんでしたら、本日皆様からいただきましたご意見を踏まえまして、修文等も含めまして、若干の修正が必要な箇所があろうかと思います。特に技術別指針の活用については項目を起こして、皆さんからいただいたさまざまなご意見をつけ加えた方がいいという判断も十分あり得ると思います。そういう意味では修正案をつくる必要があろうかと思いますが、修正の内容については、最終的に部会長にご一任いただけますでしょうか。
    (「異議なし」の声あり)
    それでは、責任をもって、本日の皆さんのご意見の内容を修正に反映させて、パブリックコメントに掛ける原案を作成したいと思います。
    また、パブリックコメントに掛けますと、広く一般的からご意見を募集することになり、その意見に関しましても必要な場合には、私が事務局と相談して修正を行うということをさせていただきますが、その修正が字句の修正等で済むかどうか。内容に関して非常に軽微なものだというように判断いたしましたら、皆様には特段のご相談はいたしませんが、もし内容的に皆様にご相談すべきだと思うような意見がパブリックコメントで出てまいりましたら、別途ご相談をさせていただく。それ以外は部会長にご一任いただくということにさせていただきたいと思います。
    そうした修正をいたしました報告書をもちまして、この部会のとりまとめとして、中小企業政策審議会の山口会長にご報告をし、経済産業大臣への答申としていただくということにいたしたいと思います。
    部会長としても、皆様のご協力で大変いい報告書ができたように思っております。それでは、これで一応この報告に関する審議の大方が終わりますので、中小企業庁長官から一言ごあいさつをお願いいたします。
  • 望月長官  9月から大変精力的に皆様方にご審議をいただきましてありがとうございます。大変難しい論点が数多くあったと思いますが、今日のお話を承っていても、この場におられる皆様方の中にきちんとした共通理解が生まれたのではないかというように感謝をしているところでございます。難しい審議を適切に導いてくださいました部会長には心から御礼を申し上げたいと思いますし、ご参加いただきました委員の皆様方には心から大変感謝を申し上げたいと思います。
    今回の政策はものづくりの基盤となる、俗に日本の強みといわれているものが本当にそうであるのか。あるいは、そうであれば、これは持続するのか。持続することに危惧があるとすれば、一体何をしなければならないのかということを端的にご議論いただいたと思っております。いただきましたご結論は、いわば中小企業政策の仕組みを全体のOSのようなものとして、個別の産業が抱える問題に対応した政策になっていくのではないか。中小企業施策というよりは、日本の経済産業政策の基本となるようなものとして育てていけるのではないかというように私どもは受けとめております。
    今後はとりまとめていただきました政策の立案、実施という観点からいえば、ここまでのところは第一歩だろうと思っておりますので、今後はその政策の具体的なフレームワークを詰めさせていただいた上で、その中軸となるものとして次期通常国会に法案をご提案しようと思っているところでございます。詳細はいろいろございますけれども、今後とも皆様方にはその推移をよろしくお見守りいただきながら、また来年のしかるべきところでご報告をし、ご相談をしていくということを今後の課題として残していきたいと思いますし、その過程を通じまして、私どもの政策のきちっとした実現に委員の皆様方のサポートを引き続きぜひお願いしたいと思っているところでございます。
    最後に心から皆様方のご尽力に感謝を申し上げて、御礼の言葉とさせていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。
  • 伊丹部会長  ありがとうございました。それでは、最後に事務局から今後の予定などにつき、ご説明をお願いいたします。
  • 山本企画課長  本日、大変有意義なご審議をありがとうございました。また、報告書原案をとりまとめいただきまして、ありがとうございました。先ほど伊丹部会長からおまとめがございましたように、今後、先ほどの部会長のおまとめにあったような方法で部会長のご指示もいただきながら、パブリックコメントの手続を進めてまいりたいと思います。それから、パブリックコメントの結果いかんではございますけれども、本日の原案と変わらないご答申をいただけることになりましたら、今の長官のお話のように、私どもは具体的な政策のとりまとめに入っていって、法案の提出の準備をしてまいりたいと考えております。
    また、政策が実現してまいります場合には、今、長官からもありましたように、またこの部会の皆様方にもご相談すべきことが出てこようかと思います。これは来春のことになろうかと思いますが、具体的なスケジュールや体制につきましては、また部会長ともご相談いたしまして、ご連絡を申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
    それから、この経営支援部会といたしましては、毎年、中小企業支援計画のご審議が年明けにございますし、今年はそれ以外に労働力確保法を改正するというような構想がありまして、これは厚生労働省と当省の共管でございますけれども、そのような案がございますので、そういったことにつきましてもお諮りする必要が出てくる可能性もございます。これらにつきましても、部会を開催させていただくというようなことになりましたら、別途ご連絡をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。本当にありがとうございました。
  • 伊丹部会長  やっと報告書のとりまとめが終わったかと思ったら、何か次の仕事を予告されたようでございますが、今回の報告書のとりまとめに至ります数ヵ月にわたりまして精力的な審議会の審議で大変建設的に意見が積み重なっていって、今日の技術別指針の活用についての皆さんのご意見が1つの方向に収れんしていったのがその典型例かと思いますが、大変有意義な審議をさせていただいて、部会長としても皆様のご協力に大変感謝をいたします。
    それでは、本日の審議会、これで終了させていただきます。ありがとうございました。