中小企業政策審議会企業制度部会(第10回) 議事要旨 |
1. 日時:平成16年11月1日(月)15:00~17:00 2. 場所:経済産業省本館17F第2特別会議室(東京都千代田区霞ヶ関1-3-1) 3. 出席委員:小川部会長、江崎部会長代理、淺井委員、安藤委員、上野委員、江頭委員、倉島委員、品川委員、篠原委員、杉田委員、鈴木委員、数納委員、瀬賀委員、田中委員、都村委員、冨永委員、鳥飼委員、西岡委員、引馬委員、堀委員、前田委員、水口委員、山下委員 4. 議事概要: 各委員の発言内容は以下のとおり。 [金融機関等による「中小企業の会計」の普及に向けた取組みに関する意見] ○会計の質の向上は、信用リスクデータベースの信頼性の向上につながり、信用各付ランクに応じた商品開発あるいは説得力のある金利設定等、これまで以上に市場原理に適合した取組みが可能となる。 ○会計の質が向上することにより、事業のキャッシュフローがよりクリアーに見えてくれば、その分、情報の非対称性が低減される。したがって、仮に情報の非対称性部分に対し、担保・保証により信用補完をこれまで図っていたとすれば、その部分に対する一定の見直しが可能となる。 ○会計の質の向上に伴う決算書類等の信頼性向上が金融機関との取引先の信頼性の向上に直結している。 ○計算書類の精度向上に伴い、財務や経営の実態を経営者が従来以上に的確に認識し、対策を講ずるようになる。ひいては問題意識をより具体的に金融機関と共有できるようになる。企業再生の局面等、金融機関は従来以上に計数面で信頼性の高いデータを求めるようになってきており、この点が会計の質の向上と符合する。 ○金融機関における先駆的取組みや、具体的なインセンティブの付与が広がりつつある背景には金融機関側の収益管理の高度化等の環境整備が進むことにより合理的な対応が可能となっている側面がある。 ○同時に、金融機関は企業との接触のなかで計算書類の精度向上のためにきめ細かいアドバイスを行い、中小企業金融の円滑化につなげる努力を続けることも重要。 ○金融機関の中でも、特に政策金融の役割は大きい。企業データを活用し、経営分析のアドバイスをより行うべき。 ○中小企業の会計を知った理由に「金融機関を通じて知った」というのが少なかったことが非常に意外だった。全国あまたある金融機関に対して、上部団体を通じて啓蒙活動していくことが肝要。 ○デフォルト率の低い企業グループは、過去のデータから見て、比較的減価償却率が高い傾向がある。「中小企業の会計」をきちんと行うことは非常に重要である。 ○チェックリストの提出がある場合の融資のデフォルト実績は、予想以上の成果を得ている。 ○チェックリストを活用した融資は地域的には首都圏が大半であり、業種的にも偏りが見られる。 ○チェックリストを活用した融資は、最近では地方でのニーズも高く、認知度は全国的に高まってきている。 [その他の意見] ○融資以外の方法で会計基準を普及させるには、会計参与そのものの制度を普及させた方が近道である。 ○中小会社の会計基準の中で、減価償却を定期的に行う、という部分で問題がある。減価償却によってできた繰越欠損金については、7年とは言わず、より長い耐用年数を別枠として設けたら、会計基準は適用しやすくなるのではないか。 ○金融機関以外での活用の場として、例えば、地方の公共団体、市町村の入札等の場における会計基準の利用も検討すべき。 ○チェックリストの活用は、決算書の信頼性の向上と中小企業の意識改革の2点において非常に有効である。 ○中小企業庁の「中小企業の会計」、日税連の「中小会社会計基準」及び公認会計士協会の報告書が並列的に3本立てになっており非常に分かりにくいので、1本化すべきではないか。 ○会計参与制度で債権者に示すものは過去の実績である。企業経営を見た場合、継続性の観点から、将来の事業性を判断することも必要。その様な意味で、キャッシュフロー計算書や中小企業の経営計画書が無料でダウンロード出来るような仕組みは是非活用すべき。 以上 (お問い合わせ先) |