中小企業政策審議会企業制度部会(第7回) 議事要旨 |
1.日時:平成15年4月18日(金)14:00~16:00 各委員の発言内容は以下のとおり。 ○株式会社・有限会社のあり方についての部分で、留意すべき事項として文章が疑問形となっており、どれも単に留意点の提示で終わっている。部会としての意見をはっきり示すべきではないか。 ○情報公開の部分について質問したい。「基本的な問題意識」では、情報公開が重要としており、具体的な論点の「計算書の公告」においては、公告することは実益がなく、また、競争相手に財務内容を知られてしまうデメリットがあることが指摘されている。全体としての思想を整理すべきではないか。 ○譲渡制限株式会社について有限会社と同じ程度の規制にするべきという理屈は理解できるし、また平成2年以来の問題についても提言されている。中小企業政策の立場に立てば評価できると思う。また、会社法制一本化の議論も提言の書き方は理解できる。 ○個人的には、既存の会社はそのまま残して新しく設立する会社に対する規制と分けることもありうるとは思う。他方、法制上は、中身が同じで名称が違うというのは問題。そういう難しい部分なので中小企業の立場からの提言としてはこれでいいのではないか。 ○会社法制の在り方については、留意点について「商号を従来通り使用できるか」などと書いてあるが、「~すべき」と書き換えるべき。 ○最大の論点は、中小企業にとって使い勝手がよく、現実に守れるような会社法にして頂きたいということ。今の法規制では、公告など中小企業にとって必要なく、守っていない事項も多い。 ○時代の流れで情報公開は重要。今後中小企業も情報公開を進めて資金調達を進めるべきだが、あくまで企業の自己責任で行うべき。自己選択の余地を残すことが重要。 ○中小企業の経営者もきちんと法規制に責任を持たなければいけない。また、零細企業には、より実態に則した経営者が責任を持てるような選択肢を用意すべき。 ○情報公開は重要であり、その促進のためには、インセンティブを付けて啓蒙していくことが大切ということ。レポート全体としては、定款自治を進め、譲渡制限株式会社と有限会社の同一化を図る方向になっている。 ○情報公開の部分について所感を述べたい。情報公開については、資金調達方式が多様化し、資金調達マーケットの変革とともに中小企業が自ら積極的に開示していくことが求められているという流れがあるのではないか。今まではリレーションシップ金融においてフェイストゥフェイスの関係で融資がなされていたため公告する必要が乏しかった。しかし、このような銀行にリスクを全て負担させる仕組みは限界に来ており、リスク分散をさせることが重要になり、経済産業省も電子金融マーケットの構築を進めるなど空間を超えた資金のマッチングを進めようとしている。こうなると企業のリスク評価が重要となり情報公開の必要性が高まる、そして、中小企業の会計に関する研究会で情報公開する計算書類のスタンダードを提示することもしてきている。要するに、今後は、公的規制ではなく、マーケットの変革の中で情報公開が重要となってくるということだと思う。 ○提言には、これまで指摘してきた論点が網羅されており、評価できる。情報公開については、商法という罰則つきの強行法規で義務づける必要はない。情報公開自体は重要だが今後はマーケットが判断していくということ。 ○会社法制の在り方についても原案でよい。ただ、法制審でこの提言をつらぬくと株式会社と有限会社が一本化されることを念頭においておくべき。そうなると留意点の(3)、(4)は問題ないが、(1)、(2)は問題となってくると思う。特に(2)などは法律的には難しいと考えておくべき。 ○会社法制のあり方について一本化の議論は当然出てくる。一本化の方法としては、中小企業向け株式会社を作るか、既存の有限会社に一本化することが考えられる。部会でどちらを主張すべきか難しい。個人的には、いずれにせよ株式会社の名称を使えるようにしておくべき。但し、都合のよい要求だけでは難しいかもしれない。 ○既存の有限会社が不利にならないようにすることは重要。 ○法制審で中小企業庁として株式会社に一本化するのか、有限会社に一本化するのか、どっちにするかといわれた場合の対応は決めておくべき。 ○商法自体の長期的発展という観点に立つと、最大のユーザーである中小企業に配慮する構成とすることも重要。2つの株式会社法制ができるとすると大企業向けの条文を中小部分に引用するのではなく、ユーザーの多い中小企業が読みやすい条文とすべきかもしれない。長期的には中小企業向け株式会社法が必要であり、有限会社は発展的に解消すべきと思う。会社法制のあり方については、あとはご随意にして頂いて結構。部会長にお任せする。 ○「成長の段階に応じた新たな取引先を開拓し、必要な資金を取り入れるため金融機関からの与信の拡大を目指す会社」と記載されているが、取引先拡大と資金調達のそれぞれの局面でコーポレートガバナンスを高め、情報公開を行うことが重要となるのだから、その点を明確に区別して記載すべき。 ○やはり外部からの信頼獲得が重要であり、そのためには中小企業の会計のイメージアップを図る必要がある。このような提言により、情報公開を促進するための取組を行うべき。 ○一本化問題については、法技術的な問題。株式会社は大企業向けと中小企業向けの2つになり、既存の有限会社はそのまま経過措置として維持するということではないか。会社法制の一本化が行われても現行有限会社はそのまま認めていくことが望ましい。 ○有限会社レベルに譲渡制限株式会社の規制を合わせるという考え方は理解できる。現在小企業は有限会社が使いやすいが、一本化されても使いやすければ株式会社でもよい。 ※以上の議事要旨は、事務局の責任で取りまとめたものであり、出席者各位の了承を得たものではないことに御留意ください。 (お問い合わせ先) |