トップページ 審議会・研究会 審議会(平成25年6月30日以前分) 中小企業政策審議会企業制度部会 中小企業政策審議会企業制度部会(第6回) 議事要旨

中小企業政策審議会企業制度部会(第6回) 議事要旨

1.日時:平成15年3月14日(金)14:00~16:00

2.場所:経済産業省別館11階 1120会議室

3.出席者:小川部会長、見学部会長代理、在原委員、上野委員、江頭委員、倉島委員、品川委員、篠原委員、数納委員、瀬賀委員、冨永委員、井田委員代理

4.議事概要
 新委員の紹介後、事務局より、商法改正の検討経緯と、改正の論点について説明。
 その後、篠原委員(日本商工会議所)、井田委員代理(全国商工会連合会)、冨永委員(全国中小企業団体中央会)より、商法改正の考え方についてプレゼンテーションが行われた。その後の審議における各委員の発言内容は以下のとおり。

○ 現在の開業率の低迷は、商法が創業のハードルを高くしたことも原因の一つ。創業を促進する規制緩和は賛成。

○ 譲渡制限会社を閉鎖会社という呼び方をするのは専門家には馴染みがある言葉かもしれないが、一般人が聞けばイメージが悪いのでやめて欲しい。自己中心的で、社会的な役割を果たしていないようなイメージを受ける。

○ 技術力や製品開発力で競争力を得ようと考えているような会社は公開はしてなくても、ほとんどが税理士や公認会計士を顧問に迎え決算を見てもらっている。また、その数値を民間の信用調査会社へも提示している。きちんとやっているところはやっているということを明確にして欲しい。

○ 株式会社の規定を有限会社並みに緩和して創業がしやすいようにすべき。その際は罰則を強化するなどして不届きな創業者を取り締まることも必要かもしれない。

○ 創業者にとって、最低資本金の1千万円を用意するのが大変。最近ではとりあえず最低資本金額が低い有限会社でとりあえずスタートする場合もある。最低資本金額は現在の半額程度でもいいのではないか。

○ 計算書類の公告については任意とし、実施した企業については一定の評価をするなど、何らかのインセンティブを与えるようにしてはどうか。

○ 現在の最低資本金額は高すぎる。OLや主婦が起業をする際に、300万円、1000万円を用意するのは大変で、精神的・物理的な障害となっている。また、会社の設立手続は難しく、自分でやると手間がかかるし、専門家に任せると費用がかかる。

○ 小規模な会社で、2年ごとの取締役の選任は全く無駄なことだと思う。

○ 前回の提言(平成13年1月)の積み残しは早く改正すべき。その他の論点については、実体にあわせた規制緩和は基本的には歓迎だが、それによって問題が起こらないかについては慎重に議論する必要がある。

○ 企業は一般的に拡大を目指すものであるとするならば、新しい取引先を得ていくことは必要なことであり、情報開示やコーポレートガバナンスをしっかりすることで自らの信用を示していくことは重要。短期的な負担減を望む改正ではなく、金融機関等のステークホルダーとの関係も踏まえ、成長の視点をもった改正とすることが重要。

○ 倒産、廃業が増えている中、機動的な自己株取得が難しいという問題が出ているので規制緩和して欲しい。

○ 会社法は利用者のために作られたもの。実体にあわない法規制でがんじがらめにするのではなく、会社の定款自治に委ねていくことは賛成。

○ 最近、やたら法人の種類が増えている。近年、新しい法人制度、(中間法人等)が多く作られ混乱を招く恐れがある。法人の種類はなるべく少なくし、定款で自由に制度設計できるようにすればよいのではないか。

○ 節税のテクニックとして、有限会社を使うことがある。株式会社では、出資金額の二分の一は資本金としなければならないが、有限会社はそのような制限がない。そのため、敢えて有限会社を選択し、資本金として本来は十億円が必要な事業であっても、形式的には資本金を一億円未満にすることによって登免税の負担を小さくするというようなことが行われている。また、資本金一億円以上になるなる税務局への申告になるため、それ以下にするといったこともある。

○ 現物出資については時価以下であればいくらでも良いという考え方が、節税対策に利用されている。

○ 倒産、廃業が増える中、有限責任が商法上保証されている会社の経営者にも、個人保証がかけられており実質的には無限責任化している。一度事業に失敗したらすぐホームレスというのはいかがなものか。これは倒産法、国税徴収法の問題かも知れないが、有限責任が実質的に獲得されるすべきではないか。それにより、創業にもプラスに働くのではないか。

○ 廃業と開業の割合が2%の差があるということは、毎年10万社の会社が減っていると言うこと。「小会社の乱立防止」などという考え方は既に絵空事になっている。今後の縮小経済の中で経済政策としてどうあるべきなのかを商法でも議論するべき。

○ そもそも会社制度についてなぜ法律がここまで介入するかという議論が、中小企業についてはある。大企業については、公開企業であれば不特定多数の株主がいることとなるし、規模も大きいため倒産時の社会的影響が大きいこと等により説明できる。しかし、中小企業については株主は限られているし規模も小さく、債権者保護といっても、大口債権者は情報を自由に取れる立場にあるし、個人が貸すようなことはない。そうすると、結局は中小企業同士の関係だけということになってしまう。

○ 公告の意義は、経済効率性を高めることにある。制度化することにより取引コストが低減することになる。調査会社から情報を得るよりは登記所の情報を入手する方が低コストのはずという理屈で制度は作られている。

○ 平成2年時の最低資本金の改正で、1000万、300万となっているのは、当時の諸外国での最低資本金のレベルを参考としているから。その後諸外国では、創業、ベンチャーを活性化させるという議論があり下がっていった。同じ問題に日本も直面しているということ。

※ 以上の議事要旨は、事務局の責任で取りまとめたものであり、出席者各位の了承を得たものではないことに御留意下さい。

(お問い合わせ先)
 中小企業庁事業環境部財務課
 電話:03-3501-5803(直通)