中小企業政策審議会企業制度部会(第4回) 議事要旨 |
1.日時:平成13年10月9日(火)10:00~12:00 2.場所:経済産業省本館17階 国際会議室 3.出席者:小川部会長、見学部会長代理、在原委員、上野委員、江頭委員、江崎 委員、唐津委員、倉島委員、鯉江委員、佐伯委員、篠原委員、数納委員、瀬賀委員 田中委員、都村委員、鳥飼委員、堀委員、美安委員 4.議事概要 (1)報告事項 (事務局から「売掛債権を引当とする与信」、「相続税・贈与税」、「商法改正の 動向」の3件について報告) ○(売掛債権を引当とした与信について)担保としてどの程度のことを考えている のか。(事務局から、現行の一括決済方式の事例等を示し説明。) ○(相続税・贈与税について)日本では農地には殆ど相続税・贈与税が課されない シンガポールなどは相続税を廃止して海外からの企業誘致を図っている。日本も産 業分野で思い切った相続税の優遇措置を考えるべき。 ○(売掛債権について)信用リスク判断は非常に難しい。保証協会はどのような方 法を考えているのか。(事務局から、過去の取引実績、月次の資金残高情報等の徴 求などきめ細かい手法を検討中である旨説明。) ○従来は一般的に手形で行っていた支払が、最近はあまり使われなくなってきた。 手形であれば割引して資金化できるが、手形が利用されないと中小企業の資金繰り の機会が失われかねない。 (2)審議事項 (事務局から「中小企業の会計に係る問題」について説明) ○商法における計算書類の公開は、経済全体の取引コストの削減が目的。従来の官 報、日刊紙では公告されるのが1日限りで、見るべき人が気づかないことも多い。 このため、コストは掛かるのにベネフィットが少ないという問題があった。ホーム ページ(HP)であれば、コストも安くて済み、且つ一定期間公開されるので、見 る方へのベネフィットも高まる。これを機に公告が進み、取引コストの削減が図ら れることを期待。 ○損益計算書の公開は、中小企業にとっては不利になる可能性があるので、貸借対 照表、或いはその要旨の公開にとどめることが望ましい。 ○インターネット開示には賛成。しかし、貸借対照表のみならず、損益計算書も公 開させるべき。開示するからには確からしさを保証することも重要。 ○現下の中小企業の厳しい資金環境等を踏まえれば、計算書類の開示について、守 らない企業にペナルティを科すとなると混乱するおそれがある。赤字でも一律公開 とすると運転資金を調達することも難しくなる。やるのであれば、ノーペナルティ からはじめて、段階的にペナルティを科すようにすべき。 ○計算書類をHPで公開したとして、すべての関係者がこれにアクセスできるのか は疑問。デジタルデバイドへの配慮も必要。 ○税理士による書面添付制度は税務署で評価すべき対象を狭めることで、徴税サイ ドの負担軽減を図るという意味もあると考えられる。 ○非公開の中小企業の中にも、公認会計士や税理士の指導を受けているものも多く 帝国データバンク等では多くの非公開企業の情報がストックされている。非公開企 業は、一律に開示をしていないという見方は正しくない。 ○非公開株式の評価は難しいので、第三者機関に一律評価を委ねる方法も検討すべ き。 ○中小企業向けの金融機関から見ると、中堅企業では監査法人が付いているところ も多く、財務書類の整備は比較的進んではいる。しかし、中小企業全体としては、 財務書類の整備は遅れている。中小企業の財務書類の整備を進めてもらえれば、金 融機関としてもありがたい。会計書類は資金調達のみならず、自分の会社の状況把 握のためにも有効であることを啓蒙する必要がある。 ○国税庁のOBの税理士なども、ディスクロージャー支援に加わるべき。金融機関 が保証協会に頼りすぎているのは問題であり、その審査能力を高めることも大切。 ○ベンチャー企業の中には、創業当時から公認会計士の指導を受けているところも ある。 ○中小企業が公開に前向きに取り組んでいくための環境づくりが重要。従来も、組 合等を通じて、HP作成等の支援を行っているが、今後は併せてディスクロージャ ーの支援も行っていきたい。 ○「クロヨン」「トーゴーサン」のような中小企業に対するあらぬ疑いを払拭する ためにも情報開示は重要。 ○財務会計等を学ぶ機会が少ないのも問題である。資金計画や事業計画をきちんと 立てられる企業は少ない。政策金融等の現場でも指導をすればよいのではないか。 ○20年前のアメリカの大学では既に、機械工学科のコースの中でもプレゼンテー ションと会計学が必須科目に入っていたと聞く。 ○計算書類開示を進めるためには、最終的にはペナルティが必要ではないか。 ○小規模企業では官報、日刊紙での公告をしているところはほとんどない。HPで の公開だからといって、ペナルティを科すのであれば、反対である。 ※以上の議事要旨は、事務局の責任で取りまとめたものであり、出席者各位の了承 を得たものではないことに御留意下さい。 |