日時:平成30年2月8日(木)10:00~12:00
場所:経済産業省本館17階第13特別会議室
議題
- 委員・外部有識者等からのプレゼンテーション
- 中小企業庁からの説明(被災中小企業支援関連)
議事概要
- 成蹊大学後藤教授、大分県、九州経済産業局、山中委員から、それぞれ資料1~4のとおりプレゼンテーションを行った。
- 過去の災害時における被災中小企業支援等の取組・現状について、中小企業庁から資料6のとおり説明を行った。
討議
- 企業が自助としてBCPを策定しても、現状では保険会社が保険料を下げない。保険会社が保険料を下げてもよいBCPをどう定義するかが重要。また、災害が発生した時の補助金等について、支払の基準とともに、支払のスピードが問題となる。
- 地震等のハザードないし被害の発生確率を減じることができれば、保険料を減じる可能性がある。一方、BCPを策定することで地震等のハザードの発生確率を減じることはできないため、保険料の計算とリンクさせるのは難しいだろう。
- 土地の許認可が付いている産業において、災害時に簡単に移転できないことがBCP上の問題。災害時に公助としてどのようなことが必要かを整理し、自助との組み合わせでどのようにカバーするかを整理するのがよい。
- 北部豪雨の際、国の補助金は小規模事業者の持続化補助金しか手当てされず、中企業が対象となっていなかった。その後、一定の復旧をした後で、新たな補助金を提示してもすぐには使われない。補助金は、通常、新品の機械を購入する際しか対象とならない。
- 補助制度の場合、周知期間や審査期間があり、実際に確定後に交付申請をするためタイムラグが生じる。本県では、その間の繋ぎについて支援を考えており、平成18年度から県の制度資金に災害復旧融資を設けている。
- 補助金のタイムラグの問題は、災害の規模によっても違う。東日本大震災のような大規模な被災地では復旧工事に着手できるようになるまでにも時間がかかる。実際にお金が事業者に渡るまで時間がかかっても、補助金が出ることが決まっていれば金融機関がつなぎ融資等について柔軟に対応してもらえる。
- どのような災害、中小企業を対象とするかに加え、資金使途とプロセスやタイミングも含めて整理しないと全体最適になり得ない。
- 中小企業の事業者が、災害が起きた際に最も恐れるのは、顧客や市場を喪失すること。災害は、住民構成や経済構造が変わり、サプライチェーンも強制的に変わるため、大きなビジネスチャンスとも言える。創業支援や業態・業種の転換に対する支援が欲しい。
- 自助努力をする方へのインセンティブは必要。損害保険料を支払うことで税金が減る等、何らかのレバレッジが利く制度を作れば有効である。
- 支援対象とする中小企業について、これまでと違うビジネスでより高い価値を生み出す企業を選定するのは難しい。既存の付加価値の高い企業だけではなく、それ以外の企業についても考慮することを前面に出したほうがよい。
- 地方公共団体としては、支援対象の事業者を選別することは難しい。また、地域では、特に小規模事業者など、事業者であるとともに生活者でもあり、産業政策と社会政策とを合わせて考えていく必要がある。
- 本県では、小規模事業者を支援する独自の補助制度を設け、災害救助法の適用地域を線引きとした。資料5の論点でサプライチェーン等が挙げられているが、災害復旧・復興で区別するのは難しい。これは通常の産業振興施策の中で支援するイメージである。
- 本県の場合、大規模災害時は、県の全部局を対象に水害対策会議を設けて、全県的に被災者支援、農業の支援、商工業の支援、インフラ支援等の復旧・復興計画を作った。その時に、農業の手厚い支援と比べ、商工業の支援は金融だけでよいのかという議論があった。
- 本県では災害に対する全般的な基金を設けておらず、財政調整基金で特殊な財政事情があった時にカバーしている。復旧・復興に向けて財源のことを置いて制度がスタートし、事後的に特別交付税の申請あるいは次年度以降に向けての支援制度の提案や要望を行う。
- 農業における加工業者や販売業者の扱いについては、農商工連携の仕組みがあり、6次産業化も様々な補助制度がある。災害時の認定のハードルを下げれば使えると思う。
- 支援対象を判断する場合、インシデントベースは難しく、インパクトベースの実際の被害から考えた方が企業側のニーズにかなうだろう。
- 補助金や支援の制度を知らない中小企業の経営者が多く、事前にポジティブに使い方を考えることも自助の一つだと思う。
- 現状の制度そのものに問題や欠落があると感じないが、現実的に運用する時に問題があるのではないか。1つは、制度の適用範囲、自助の評価の問題。もう1つは、運用のスピード、お金が支払われるまでのスループットの問題と思われる。
- 支援対象とする中小企業は、自助ができているところが前提となる。サプライチェーン上の重要な企業や特殊な技術を持っている企業は様々な支援を受けられる可能性が高い。結果を計れるように指標化し、自助を図ることが第一歩ではないか。
- 国、都道府県、市町村のそれぞれの段階で、支援範囲は悩みどころ。
- 都道府県の現状の財源ベースで考えると、自助対応できると思われる中小企業に対する支援の優先順位は低くなる。都道府県と市町村は役割が違い、都道府県が中小企業の状況を把握し、できるものは行い、できないものは財源で確保して対応していく状況となる。
- 今までBCPは企業と商工団体と自治体と診断士の構図の中でやっていたが、損害保険会社を仲間に巻き込んでいきたい。協定を結び、BCPのワークショップ等で中小企業をフォローして欲しいとお願いしている。
以上
<お問い合わせ先>
中小企業庁事業環境部経営安定対策室 電話:03-3501-0459 |