日時:平成30年1月25日(木)10:00~12:00
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室
議題
- 委員・外部有識者等からのプレゼンテーション
- 中小企業庁からの説明
議事概要
- 伊藤委員、三須委員、静岡県中小企業団体中央会、北海道経済産業局、一般社団法人日本損害保険協会、全日本火災共済協同組合連合会、製造産業局から、それぞれ資料1~7のとおりプレゼンテーションを行った。
- 中小企業の災害への備えのすそ野を拡げていく上での新たな視点と前回研究会の委員からの主な意見と論点整理について、中小企業庁から資料8~9のとおり説明を行った。
討議
- 本県では主に製造業の工場が海岸付近に集中している。県が進める「内陸のフロンティア」の取組に従い、災害の影響が少ない地域への移転も検討されるが、資金面の理由から建物建て替え時の検討となり、良い場所の確保や交通の便が悪いことも課題。
- 4つの視点は、従来の取組について、先を見据えて大きく見直しており、全面的に賛成。従来プル型であったが、プッシュ型とすべき。また、保険でカバーできない部分をBCPで、ではなく、本来、BCPでカバーできない部分を保険で、とすべき。
- 実際にBCPで事業再開がどの程度迅速に進んだかの有効性を見せるべき。また、客観的な情報をベースに、普及が進み、多くの企業が策定していることをアピールすべき。
- 平常時にBCPを策定し、災害発生時に備えて企業の体力をつけることが、企業そのものが良くなり、日本経済が良くなるという考え方を経営者に理解させるとよい。
- BCPが普及しないのは、問題の原因ではなく、問題の結果である。儲からないからBCPを策定する余裕がない。BCPの策定等に応じ、保険料を割り引く等が出来ないか。
- 地震リスクにおける建物の耐震基準のように、水災リスクにも建物のリスク耐性を表す公的な基準があれば、できることが出てくるのではないか。また、BCP策定による割引については、BCPを策定しても水災リスクが下がる訳ではないため、リスクの評価が難しい。
- 火災保険に加え風水災に備えるオプションはそこまで高くなく、加入者は災害時に保険でカバーされる。なぜその費用が払えないのかが疑問。
- 中小企業の経営者は保険の補償内容について検討できる時間が限られており、既存契約の内容で更新するケースも多いと思われる。経営者が普段から補償の必要性を考えることに時間を割くことも必要ではないか。
- 保険会社側の周知努力にも限界がある。行政等が中小企業の集まりで補償の必要性を周知することなどにより、事業者の意識も変わるのではないか。
- BCPを知らない社長の取組が実質的なBCPの機能を果たしている事例については、それを補う評価軸が必要。これは専門家の育成の課題にもつながる。
- 実質的なBCPが多数存在するのはその通り。経営者の責任等の必要事項が定められていれば、分量や形式は問うべきではない。中小企業BCP策定運用指針について、そのような考え方をより明確にした新しい指針を作るべき。また、策定率は重視すべき。
- 災害発動型保証予約システムは素晴らしい。信用保証協会に加え信用金庫との間でこのような制度が実現し、災害直後に資金が供給されるシステムができれば役に立つ。
- BCP特別保証は、一般的には、商工会と金融機関と企業が連携してBCPを作り、信用保証協会へ提出することになる。信用保証協会としては、BCPの具体的なアクションを条件とし、毎年の更新時、BCPの実行、改良を促す取組をしている。
- 本県では、企業がBCP特別保証を利用する際、商工団体が企業のBCP策定を支援した旨の「確認書」が必要であるため、実質的にBCPの内容を精査する仕組みとなっている。
- 策定率が上がらない理由は、小規模事業者の策定率が低いため。商工会議所の経営指導員がBCPを知らない、又は経営者にアドバイスしていないと思う。再度、BCPの必要性を啓蒙すべき。また、インセンティブとして、マル経融資を工夫できないか。
- 中小企業が自主的なモチベーションで取り組むことが重要なのか、事業継続又は災害対応に取り組むことが重要なのかを整理すべき。前者は難しく、後者は規制を入れた方が早い。また、事業継続は、事前の対策と事後の対応のどちらをやるか、整理が必要。中小企業が出来るのは防災の事前対策だと思う。視点を考えるとよい。
- 中小企業は、重要業務や目標復旧時間の設定より、企業の抱えている環境を理解し、災害時に何が起きて、何が足りなく、何をすべきかを短時間で把握する能力を向上させるべき。
以上
<お問い合わせ先>
中小企業庁事業環境部経営安定対策室 電話:03-3501-0459 |