日時:平成29年3月2日(火)15:00~16:30
場所:経済産業省本館9階西8共用会議室
討議
- 資料4-1の今後の検討内容・方向性として、昨年12月に商流情報の整理について議論する上で、本検討会が有効に活用できていたと思うので、当然維持管理や普及に向けた対応についても議論をする必要があり、ぜひ経産省に音頭を取っていただきたい。
- 全銀協様に1点ご質問がある。資料3の2ページ、企業-新システム間の通信のネットワークについて、当然まだご検討中というステータスであることは承知しているが、インターネットまたはIP-VPN網というのは、ユーザーが選択できる形なのか、それとも、どちらかにすることを検討されているということなのか。
- ユーザーが選択できる形を想定している。
- 仕様等については非常によく考えられていると思うが、全体的な問題として、例えば総合振込だけではなく、それ以外についても、これからどんどん高度化や安全な仕組みを考えていかなければいけない。そのような意味で、FinTechの関連全般の体系化について検討してほしい。新システムが実際にテストができる段階になれば、ベンダーがテストに参加することが必須であると思っている。スケジュールをできるだけ早くお示し頂き、どのような形でテストができるのかを提示してほしい。
- FinTechの関連全般の体系化については、産業資金課よりFinTechビジョンという形で、これまで議論を体系的に取りまとめたものを公表予定。
- テストについては、企業に参加いただくことも想定。ただし、テストの規模やレベル感等は、現状、要件定義を進めている段階にあるため、現段階で明確に回答することはできない。
- まず1点目として、法人のインターネットバンキング利用率について統計がないことが、KPI計測を難しくしていることが挙げられる。資料4-3の7ページにあるようなソフトの利用率に加えて、法人のインターネットバンキング利用率についても、今後何らかの調査に混ぜてほしい。API開放は、金融庁の制度改革の中で見据えている分野でもあり、欧州ではデータポータビリティの議論は個人にはかかっているものの、法人についてはそれほど明確な定義でもないところでもあるため、将来的にもう少しプッシュが必要になってくるかもしれないという思いを持っている。2点目は、これは半分感謝にもなるが、今回、IT補助金を使ったさまざまなクラウドサービスが、今までには見たこともなかった普及経路を遂げている。2月末に第一弾の申し込みが終わり、現在は審査というタイミングと思うが、我々や新産業側が行うアピールに比べると、広報効果が全く違うと感じている。
- 法人のインターネットバンキング利用率については、日本だけではなく、海外もあまりそのようなデータがないようであるが、調査できないか検討して参りたい。
- 今後取り組むべき検討課題として、政府としてできること、あるいはすべきことというところで、今回の金融EDI対応等で、様々なデータが取れるようになってくる一方、個人情報保護をはじめとした法規制により、企業側では制限があることを、政府が閲覧し、活用する形で、何らかの情報が提供されるのではないかという期待を持っている。統計だけではなく、全体を知っているからこそできる施策を、例えば不正検知等、ぜひ検討してほしい。
- 昨年の12月に議員立法で官民データ利活用法というのができ、民のデータのみならず、官のデータもうまく公開して繋げていきましょうといった基本方針が示されている。そういった方針に基づいて、適切な対応を検討したい。
- テストの件について、まずは流通業から実施しようというような話があったが、これが本格的になった場合、ほかの業種からもというのは可能なのか。
- 当然、特定の業種のために構築するわけではない。我が国全体の経済の合理化のために取り組んでいるため、幅広い業種の方々に使っていただくようなインフラを目指していきたい。スタートについても、まずスモールスタートしたいというところで、入りやすい、入りにくいというのは各業種により差はあろうかと思うが、いろいろな方とこういった場もはじめとしたコミュニケーションが取れるような状況になっているため、ご意見をいただきながら徐々に使いやすいような仕組みも考えていきたい。
- まず1点目、「インターネットバンキング」について、アンケートを行う際、利用の有無のほか、「利用しない理由」についても聞いていただければ幸いである。商工会議所経営指導員から聞いている「利用しない理由」は、費用対効果の観点やセキュリティの関係で怖いという声があるということだった。また、経営者の年齢やITリテラシーとの関連があると思われるので、ぜひ掘り下げていただきたい。2点目として、「システム改修や新機能のリリースの期間」について、おそらく大企業では様々なシステム改修が必要になるだろうし、また中小企業向けにはFinTechベンチャー企業が新機能をリリースされると思うが、システム改修や新機能のリリースに際しどれぐらいの期間がかかるのか教えていただければ幸いである。3点目として、新システムについて、3月9日の全銀協のXML検討会とも関係するが、XML電文移行の周知に関し、新システムやXML電文移行に関する中小企業向けのPRチラシ等があれば、普及の際に活用させていただきたい。最後に4点目として、資料4-3の6ページに、中小企業がFinTechを活用すると中小企業の収益力が劇的に上がると記載されているが、特に興味があるのは「SCCC(サプライチェーン全体の資金循環速度)」である。中小企業の大きな課題の一つとして「資金繰りの円滑化」、特に「資金回収の早期化」というのがあるが、通例「入りは早く、出は遅く」というのが経理担当者の評価基準になっており、全体の意識改革が必要である。「SCCC」という新しい概念を、どうやって実行に移していくのか非常に興味がある。
- インターネットバンキングをやらない理由の調査は法人のインターネットバンキング利用率同様、今後、検討させていただきたい。広報についても、何らかの形で作成した場合には、各団体の皆様を通じてPRに使っていただければと考えている。SCCCについては、まさに意識改革をしていくべきだと考えており、業界ごとの数字等を少しフォローしていくことを考えている。何らかの形で政府としても活用していく方向で検討したい。
- 資金循環のSCCCをどのようなサービスによって進めていくかというようなところは、例えば、よく海外で請求書のファクタリングサービスがあり、日本でも法的にできないものではないので進めていく等、補助金と相まって結構進んでいくという流れが実際に生まれている。別にこれは補助金がなくても利便性とくっついていくものではあるため、本来この指数をどのジャンルの企業群によって計測するかにより異なってくるとは思うが、計測というところで考えると、やや若い会社に絞ってみる路線はあると思う。また、スケジュール感については、インターネットバンキングがそもそも使われないような状態であると、そもそもEDIを使いこなそうというメンタリティーにはなり得ないので、そこは正直、もう少し大きな枠組みとして動かす必要があるかと思っている。
- XML電文の機能をシステム・ソフト等に実装するのに、システム改修の期間はどれぐらいか。
- ここまで要件定義が丁寧にされていれば、あとはセキュリティ上、何か大きな壁があったりするとそこで遅れる場合もあるが、本当に当社でこれがファーストプライオリティーだといった場合、本当に何か簡単なものであれば、1週間、2週間でできないかなという思いはある。それぐらいデータ構造が定義されていて、かつ、お互いの握手の仕方がわかっているという環境であれば、ベンチャーやアジャイルな開発をしている人たちは早く終わるとは思っている。実際にその場になって、2カ月かかるということはあり得るかもしれないが、そのような温度感で開発はいつもやっている。
- SCCCの話であるが、当社も元請先からの支払いの83%が120日の手形というのが現状。一方、支払いについては、現金払いを続けている。CCCという発想だと、本当に支払いを短くしようというインセンティブにはならないので、SCCCという発想をぜひ定着させていただきたい。もう1点、社内では流通業でPOSができて、なぜ製造業でPOSができないのかという問題意識の下に、現場の見える化、EDI化というのを行っているが、このEDIの仕組みが幾つもあるというところが、今回金融機関が統一のEDIになるということはすごく大きいことであり、これは本当に大きなチャンスだと感じている。POSのような、現場の情報が知りたいタイミングで、知りたい人に伝わるということを念頭にぜひ進めていただきたいと感じている。ドイツが進んでいると聞くが、ミッテルスタンド4.0という、中小企業4.0というのは、文献を読む限りはまだまだ進んでいない。日本が先んじることができると期待をしている。
- このEDIに関する取り組みは、ここまで金融機関の取り組みとあわせて進んできたが、これは企業の皆さん非常に熱い期待が推進力になっている。そのような意味では、このような場を通じて皆様からいただいた意見を受けながら、金融界としてもしっかりと取り組みを進めていきたいと考えている。先ほど経済産業省からもSCCCの改善による資金繰りの改善、あるいは、それが成長戦略、経済・経営の高度化などにつながっていくという説明があった。このXMLの取り組み、あるいはEDIの取り組みがそれぞれ進んでいくことは、もちろん大事だが、それぞれが単独で進んでいくということだけでは、なかなかメリットが出ず、いろいろ連携していくことで、効果が大きくなっていくと認識。そのような意味で決済高度化官民推進会議等でも議論がされているが、例えば、手形や小切手の電子化等、中小企業の電子化などもあわせて進めていくということが必要と考えている。また、クラウド会計など、中小企業の経営を支援するようなツールもあわせて取り組みを進めていくということなどにより、中小企業を含めた企業サイドの経営全般がSCCC等により抜本的に改善していく等、どんどん取り組みを進めていくことが期待されることだと思う。金融庁としても、引き続き、皆様方からもいろいろなお知恵をいただければと思っている。
- 様々な取り組みが急速に進んでいることは非常に喜ばしいことだと思っており、皆様のご努力等に感謝しているところ。こうした中、一般論としてFinTech企業の視点からは技術や開発というのは、優先順位さえ上げれば、それほど時間のかかることではないと考えている。むしろ後押しとして、実証や、社会環境、意識改革が非常に重要でこれは全世界的な傾向。特にイギリスとかシンガポールでは、今いろいろな形で決済も含めた金融の高度化等が議論されている中で、本当に必要な最後の後押しは、サンドボックス、あるいはソーシャルイノベーションという考え方の枠組み設定にあると思っている。ぜひとも官民一体となって進め、私どももぜひ貢献したい。
以 上
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